東南 アジア研 究 11巻4号 1974年3月
ク ラ ン タ ン の 二 つ の 農 村
-
町 に近 いむ らと遠 いむ
らとの比較-坪
内
艮
博*
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は じ め に 本 稿 は
1
9
7
0
年1
0
月 よ り1
971
年9
月に 至 る1
年 間 , 西 マ レ- シ ア東 海 岸 ク ラ ン タ ン州 に お い て 筆 者 が 行 な った 農 村 調 査 の 第7報 で あ る。1) この 調 査 に お け る主 な 調 査 地 は ク ラ ン タ ン川 左 岸 の 河 岸 段 丘 上 の 天 水 田, ゴ ム園 の 混 在 地 域 に 位 置 す る1
4
6
世 帯 か らな る マ レー人 集 落Gal
ok
で あ った (本 稿 で はG
と略 記 す る)0Gal
ok
は 郡 役 所 所 在 地 の パ シル マ スか ら9
マ イ ル ほ ど離 れ て お り, パ シ ル マ ス と タナ メ ラを 結 ぶ 定 期 バ ス, 乗 合 タ ク シ ー な どが この 集 落 を 通 過 す る とは 言 え , 町 との 間 に 日常 的 な 交 渉 は 少 な い 。 本 稿 で は 町 か ら材∼f
iマ イ ル 離 れ た と こ ろ に 位 置 す る他 の 集 落KubangBe
mban
(本 稿 で はKB
と略 記 す る)
2
'との 対 照 を 通 じて, マ レ-人 農 村 の 変 容 の 方 向 を さ ぐ る と同 時 に , 異 な った 条 件 下 に お い て も共 通 に 認 め られ る側 面 に も注 冒す *京都大学東南 アジア研究 セ ンタ-1) この調査は京 都大学東南 アジア研究 セ ンターとマ ラヤ大学経済経営学部に よるマ レ-シア農村調査計画 の一部 と して行 なわれたり この調査計画は マ レーシアの稲作農村 の比較 を 目的 として,社会科学系 と自然 科学系 の研究者 の協力に よって行 なわれた総合的な もので,調査地 として ケダー州
, クランタン州, マラ ッカ州の農村が選ばれた。総合的な報告が いずれ発表 され る予定 であ る。本稿 の作
成に関 して,竜谷大学 教授 口羽益生,京都大学東南 アジア研究 セ ンター助手前 田成文 の各氏か らいろいろ と貴重な助言をいただ いた。記 して感謝の意を表す る次第であ る。 クランクソ州に関す る筆者 の既発表 の報告 としてほ次 の ものがあ る1 「クランタンの-農村におけ るタバ コ耕作の導 入と社 会 ・経済的変化」 『東南アジア研究』 9巻4号, 1972.3;「東海岸 マ レ-農民におけ る土地 と居住」
『東南 アジア研究』10巻1号,1972.6; 「マ レーシ ア東海岸 の天水 田地城 におけ る稲作- カンポ ン ・ガ ロにおけ るケ- ス ・ス タデ ィ- 」 臼'東南アジア研 究』10巻2号,1972.9;「東海岸 マ レー農民におけ る結婚 と離婚」 『東南アジア研究』10巻3号,1972. 12;「マ レ-シア東海岸の村落住民 の収 入と収 入源- カンポ ン ・ガ ロにおけ るケ-ス ・ス タデ ィ- 」
『東南 アジア研究』10巻4号,1973.3;「クランタンの蹟村におけ るポ ン ド (寄宿宗教塾)」 『東南アジ ア研究』11巻2号,1973.9. 2)KBは町に連続 した集落であ り,その一部分はKBに含 まれ ると同時にパシルマスの町域 に も含 まれ る と考え られ てい るO ここでは町 の領域に含 まれ る部分 を調査範囲か ら除いてい る,,東南 アジア研究 11巻4号 るこ とに よ って, クラ ンタ ンの マ レー農民 の一 般 的特徴 を見 出す ことを試み る. 1 生 業 と 収 入 1. 生 業 構 造 町 に近 い ことは生計 の源 を町 に依 存す る者 の存在 を増 加 させ る。 パ シル マスの町 は,商業 と 政府 の諸 サ ー ビスを 中心 と して成立 してお り, 小 さな修理 工場 を除けば 工場 は存在 しない。 こ の ことは,KB居住者 の収 入源が 町 に依 存 した場合, 主 と Lて商業 ・サ - ビス部PF封こ関連す る ことを必然 的にす る。図 1は,KBお よびGの集落 の 世 帯 成 員が従事す る仕事 (または収 入源) a)種 類 別に従 事率 (従 事者 を含む 世帯/全世帯 ) を示 した もので あ -)て,
G
におけ る従事者 に 対 してKBにおけ る従 事者 の比が高い ものか ら順 に配列 され てい る。 町 に近 い集落 の特徴 と し て, 輪 タ グ,菓 子づ く り,大工 ,職 人,理髪 , 美容,通年 的雇 用労 働 , 野菜 づ くりな どに従事 す るものが 多 くな る ことが分か る (比 の値 が2.0以上)。 これ に対 して, 牛 ・水井 の売却,季節 的雇 用労働, ゴム園貸 出 し, ゴム タ ッピ ング, や し糖 づ く り, ロー ラー賃 貸 L,果実 売却, 出 稼 ぎ, タバ コ耕作 な どは町か ら遠 いG集 落の特 徴 を形 成す る (比 の値 が0.5以下)。 対人 的 な内 容 を もつ収 入源がKBを特徴 づけ る針目ニ対 Lて, 栽培 作物 に直接 に 関係す る収 入源がGを特徴 10 20 3L1 40 50 60 70 80 1.輪 クワ 2.菓 子つ くり 3.大工・職人凋 &'/・美容 4.通 年的雇用労働 5.野菜 つ くり 6.商 売 7.水E日貸 出lノ 8.本 員 9.水稲柑作 10.牛・水牛・責真弓 ll.季節的雇用労働 12.コム園貸 出 し 13.コム・タ ヒンク 14.や し糖 つ くり 15.口-ラ-賃貸 し 16.果実売却 17.出稼 き 18.クハコ耕作 図 1 生 業 別 従 事 世 帯 率 * *従事者を含む世帯/全世帯,ただ しKlうまたは Gにおいて従事率 3%以上のものだけを示す。. 486坪内:クランタンの二つの農村 づ けてい る。3) 商売,水 田貸出 し,家賃, 水稲耕作 な どはKBとGとの問に決定的な従 事率 の 差が認め られ ない生業 (または収 入源 )であ る (比の
値0
.
8
7
-1
∴i
O)
。
図2はKBお よびGにおけ る総収 入 の うち, それ ぞれ の収 入源が どU)くらいを占め るか を示 す 。 図1の場合 と同様KBにおけ る総収 入に対す る割合 とGにおけ る総収入に対す る割合 との 比 を計算 し,KBの比 の値が 大 きい職 に配列 してあ る。 輪 タ ク運転手, 大工 ,職人 ,理髪 ,美 香 ,通 年的雇用労働 は,上 に述べた よ うにKBの特徴 を最 も顕 著に示す収 入群であ るが, これ ら三者 o)合計はKBの全収 入の52%を 占め てい る0 0 10 20 30 40 50 〔50 70 80 90 100 i i 図2
線収入に対する収入源別収入の割合 上述 の ことが らか ら明 らか な よ うに,KBにおいては生産手段 と しての土地 はGにおけ るほ ど重要ではないoGにおい ては全世帯 中生産用の土地 (水 田 と ゴム園 )を全 く所有 しない者 の 割合は18.5%で あ るが,KBにおいては3
4.
6%
に達 してい る。 クラ ンタ ン州にお いては, 他 の州 と同様に農民 の生活は比較 的早 くか ら自給 自足 の とざ され た構 造 を失 -)ていた。〉町か ら遠 いむ らGにお いて も,8
(揮
前 にむ らカ澗 かれ てか ら間 もな く, 農民 白身に よって小 規模 な ゴム園がひ らかれ ,農民達は貨幣経 済 の中で生活す るのに馴れ てい る。 町に近 いむ らにおけ る生
清 〃)変化は この意味では,町
に遠 いむ らの生 溝 との関連 において 連続 的であ る,)西海 岸U)多 くの州 とは異 な り, クラ ンタ ン州では華 僑の流入が少 な く,マ レー 人 自身が 商業活動に参 加す る機 会が 多い。 2. 世帯収 入 と生活 水準 上 に述べ た生業構造 の相違は両集落 におけ る世帯収 入の較差 を もた らす。
図 3はKBとGに おけ る1-日l
j
l
世帯収 入 の分布 を示すが,GにおいてはM $999以下 の世帯が54%を占め る所 こ対 して,KBにお いて
は最賦植 (
3
7
%)
/jiM $1,
0
0
O
- 1,鮒9の層に現
われ るo またGにおいて はM $5
,rX
)
()以 仁の年収
f
.
I
得
る も刷 雄 t;J無であ るが,KBにお いては M
$
5
,
0
(
)
()以 上の高収 入 世帯が全体 の6%
を 占打 こい 右 か く して,Gの平
均
世帯収 入M$1
,
(
)
7
6
に対L
てKBのそれ 3) Gにおける季節的雇用労働はタ/:コ・シーズンにおけるタバコの薬の処理を中心 とする労働や水稲耕作 のための賃労働を,
出稼ぎは主としてジャンクル地域におけるゴム ・タッピングをその内容としている・。東南 アジア研究 11巻4号 はM $1・963と1・8倍 にな ってい る。 またGの世帯収入 中央値 M
$
936に対 して,KB
のそれ はM
$1
,
5
2
0
で1.
6
倍で あ る。 世帯収 入の差 を背景 と して, 近代 的な家庭用晶に関す る普及率 の差がKB
とG
の間に明確 と な る。 図 4はKB
とGに おけ る若干 の品 目に関す る普及率 を,KB
にお いて高率 を示 Lた もの か ら順に示 した ものであ る。 すべ て の品 目に関 してKB
の値 が高 い値 を示す が, 各品 目に関す る普及率 の順序 に関 してはKB
とG
は同様 の傾 向を示 さない。 タバ コ耕作 におけ る運 搬 目的に用
い るため近時 自転車が 急増 した ことと, 電気 の供給が ないために扇風機 が用い られ ない こと がGにおけ る順序 をKB
のそれ と異 な った もの とす るために最 も大 きな役割 を果 た してい る。 家屋 もまたKB
においてGにおけ るよ りも立派 な ものが多 くな る。 床面横に関 しては,図5
に示 され るよ うに基本 的 な大 きさの相違は認め られ ない ので あ るが, 図 6に明 らか な よ うに建 築にかけ られ た費用はは るかに大 きい。 これ は良材 の使用,側壁 勘 こ竹 を軌 、ず 木 材 を用い る よ うにな る こと,窓枠,扉, 天井 の完備 , コ ンク リー ト製基 石の使胤 コンク リー ト製階段 の 付 設な どを通 して家屋 の機 能 と外観が 向上す る ことと結 びつ いてい る。 か くして,Gにおけ る 平均建築費M $1
,
0
1
5
は平均年収 の0
・
9
4
倍で あ るのに対 して,KB
の平均建築費M
$
2
,
9
2
5
は 年収 の1
.
4
9
倍 とな ってい る。 3. 稲 作 水稲耕作 はKB
におい て もG
にお いて も営 まれ てい るが, そ の内容 を検討す ると両者 の間に は若干 の類似点 と同時に,かな りの相違 点が認 め られ る○水稲耕作が小 規模 な水 田所有(
KB
50 100(%) 責 ン (M S ) = J I i ,. LJL 1 -∴ ∴ ∴ ∴ ・ ︺ 7 1 3 C ∼ 」 .9 9 9 r . rJ ; -・ r J . ) ・ JPJ ム . L ^ CrC ∼ ム 19 9 9 3 . U O C ∼ 3 13 9 9 2 一〇 0 0 -2 .9 9 9i.
︺ O O-一.99
9
-1 9r
j心 図 3 世 帯 収 入 の 分 布 30 20 0 488 図 4 家 庭 用 品 普 及 率坪 内 :クランタンの二つの農村 SF 糾 7 ] -丁 2 . 0 0 0 -2 . 19 9 1, 8
00
上 . 9 991,60
0上
,79 91,40
0⊥
,59 91.20
0⊥
139 9一,GO
O-二 99800
-999 60 0-799 4 00 -59 9 2 0 0 -3 9 9 7 1 9 g 図5
家 屋 の 大 きさ
( M S j 一〇 .0 00 -5 , 000 -9.9 99 4 . 00 0-4 . 99 9 3 . 00 0-3, 99 9 2, 00 0-2, 99 9 一 10 00 - 1-99 9 -阿 弼図 6
家 屋 の建 築 費 平 均1
.
5
- - カ-,G
平均1
.
2
- - カー)を基礎 と Lて,
自作に 重点 をお きなが ら家族労働 を主 体 と して行 なわれ るとい うことが基本 的な類 似点であ るれ 町に近 く, また よ り良好 なか んが い条件 を もつKBにお いてほGに くらべ ると以下 の よ うな相違 点が認め られ る。 第1に,水 田所有者 と耕 作者 との比が低下す る。水 田所有者を 100とした場 育,G
では耕作 者 数は6
6
で あ るのに対 して,KBでは58とな るO 第2に,上述 の事実 に関連 して, 土 地 を貸 し出す 者がKBにお いて多 く,従 って小作者 の割 合が増加す る。 ちなみに小作 のみに よ /'て耕作 を行 な ってい る者は,KBにおいて稲 作農家 の2
0%
,G
にお いては8%
であ る。 第3
に,KBでは二期作 化がか な り行 なわれ, 総 水 田耕佃面積4
7
- トーカ-中3
2
- - カー(
7
9
潔 )が二期 作 田であ る。 第4に, 二期作化 に ともな ってKBでは政府が推奨す る新 品種(
Ma
h
s
ur
i
)
が受け入れ られ て お り,全水 田筆 数の うち7
8%
は この品種 を用 いてい る。G
の場 合新品種 は全 く用 い られ ていない。 第5
に,Gにお いては牛, 水牛に依存 して 自力
で本 田耕起 を行 な うのが主 な耕作形態 であ る が(
61
%)
,
KBにお いては トラクタ-を雇用す ることが主 な形態 とな っている (
7
0%)
.
第 6に, 肥料 の使用に関 して,G
で は全農家 のわずか3
(
)
%
が化学肥料 を使 用す るのに対 して KBでは例外 な く化学肥料 を使用Lてい る。 1-- カ-あた りの投 入巌 もG
では肥 料使 用農家 だけ につ いてみ て も1.6袋 にす ぎないがKBでは2.6袋 を用 いてい る。4) 4)農務局の推奨する量は1--カーあた り3袋であるO東 南 ア ジア研 究 11巻4号 第
7
に, L述 の条 件 の 相違 を反映 Lて, 単位 面 積 あ た E)a,)収 量 の相 違 がみ られ るoG
で は, 通 常 の収 穫 の 場 合3
09
ガ ンタ ン/ - - カーが期 待 され てお り,1
9
7
0/71
年 度 の実 際 の収 穫は2
2
0
ガ ン タ ン/ - - 力付で あ ′)たoKB
で は 二 期 作 閏に お い て は1
年 あ た り9
7
0
ガ ンタ ン/ ェ --カ --,一 期 作 田に お い 千言5
02
ガ ン タ ソ/ ェ --カ-が 収穫 され てい る.5 -以 仁の相 違 をふ まえ て総 合的 な相 違 が 二 つ U)集落 の 間 にみ られ る。G
で は 米 は 自家 消 費 に用
い る もの と され て い るcj、)に対 して,KBで
は, 米 は換 金 作 物 と して の性 格 をか な り強 く有 して い るので あ る。 この傾
向はKB
がG
に比 L
て クラ ンタ ン川 Lj)よ り下流部に位置
し, よ りよい 水 条 件 のT で , 最 初 か ら商 品作 物 と Lて米 を栽 培 して きた こ と と関係 して い るo 町 に 近 い こ とは 元来KB
に あ -)た 商品
作 物 と して の 水稲 耕 作 を ます ます 助 長 した と言え る。G
に お い ては収 穫 に 際 して近 隣 や 親 族 を雇用
す る こ とがKB
に お け る よ りも多 い 。 この よ うな雇 用 は 必ず しも一 定 の労 働 に 対 して一 定 の 賃 金 を支 払 うとい う性 質 の もので は な く, 手 伝 って くれ た者 に収 穫 の 中か ら心 もち の謝 礼 を L,手
伝 -)た著
は受 け 取 った もみ 米 を 自家 消 費 用 に用
い る とい う相互 扶 助 的 な 要素 を 含んで い る。KB
で は この よ うな 意味 で の 塙主用が 夫 らjtな くな り,労 働 は原 則 と して家 族労 働 に よ って行 な うとい う傾 向が 現 わ れ る と同時 に, 仮 に 雇 用 労 働 に 依 存 す る場 合 , それ は 完全 な 契 約 とな -)て くfJ,:社
家 族 生 活 親 の 世帯 が 屠 住す る家 屋 と子 の世 帯 が 居 住す る家 屋 とが 同一 の鼠 敷 地 に 建 て られ , これ らの 発 展形 態 を 含 ん だ親 族近 隣 集 団が マ レー農民 の 生 清 に と--,で 重要で あ る。Gに お い ては この よ うな親 族 近 隣 が.
3
6
グル ー プ存在 す る。1
グル ー プ平 均2.
8
世帯 を令 み , これ らの環 境 の 中 で 生 活 して い 封 世帯 が 全 世 帯車6
9.
2%
を 占めて
い るoKB
に お い ては2
Oブル - プが 認 め られ ,1
グ ル - プ平均2.3
世 帯 を含 み,5
6.
8%
の世 帯 が この環 境 の 中で く ら して い る。 親 族近 隣 集 団 に 含 まれ ぬ 居住 者 がKB
で 若 干 多 くな って い る こ とに 注 意 す る必 要 か あ る。 夫 婦 を世 帯 構 成 U)中 心 と しつ つ も, 家 族 の 枠 が 強 固で は な く, 未 婚 の子 Cり一 部 を排 出す る こ とが あ る反 面 , 同一 家 屋 内に 二 組 の 夫 婦 を含 まぬ こ とを 原 則 と してそ の他 の付 加 成 員 を容 易 に 受 け 入 れ る傾 向が あ る こ とが, Gに お い て認 め られ て い る。6)KB
とGに お け る世 帯 の家 族構 成 を比 較 す る と表 1の よ うに な り, 欠 如 あ るい は 付 加 の 要素 を と もな わ な い標 準 的 な パ ター ン に 属す る世 帯 の割 合 はG
に お い て53
%
,KB
に お い て5
8%
で あ り,
後 者 の ほ うが や や割 合 が高
いが , そ の差 は謹 少 で あ る。 この よ うに世 帯 の 家 族構 成 の 柔軟 さに 関 しては 両 集 落 に 関 して類 似性 が 認 め られ/る。 付加成 員を考 慮 に 入れ ぬ 場 合, 拡 大 家 族 的 な形 態 を生 み 出す の は Ⅳお よび Vlの ス テ ー ジで あ るれ これ らの ステ ー-ジに 属す る世 帯 の割 合 はG
で は1
2.
3%
,KB
で は2
1.
O
5) 1ガンタン (gantang)- 1英 ガロン 6)拙稿 「東海岸マレ-農民におけ る結婚 と離婚」
F東南アジア研究』10巻3号,1972.12. 490坪 内 :クランタ ンの二つの農 村 表1 世 帯 の 家 族 構 成 K Iう(G) 家 族 構 成 1I ∴ : 二 ∴ ∴ 二 _ 一一∴ r Ⅰ ( Ⅲ ( n] 26( ) ) ヽ1 ノ 2 3 1 4 ( ./t\ ( 1 2 ) ヽノ ヽノ 3 6 9 5
Ⅳ
ミ 5( 0)・ 4 1 Ⅷ 】 8(16); 5(8)⊆ ・し ( ( 3 5 Eid Eid O 1 1 同相U dZq l ヽ ノ ) ヽ ノ 1 7 1 ( ( .t 2 付 加 成 員 TRY, 舶 ¶魔一宿 養 取 親 Eid EiiiP 1 2 ′.\ ( 3 Ei L J 6 ′.\ r: 阿 れH1 2 E i i Z I 4 同 一 p 5 5 id Eid 4 0 1 し'l) T<'jLl 孫 t傍 系親 (1) 3 2(1) 2(5); 7(12) 2 1 (7); 1 2(3) (1) 2(5)≡ (1) i (1)1 計 .8 1(1
4
6
)
47(77) 2( 9) 1(ll) 8(16) 6(10) : 10(7) 注)複婚ケースは夫 を 2回数える こと に よって2世帯 に分 離 した。 2 3(7) 3(1) 4(6
)
12(31)F (2)J
I
I
ら
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Ⅶ
:
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□ □ =[コ =…
二:
I
。
ロを ㌃一
一
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‥
二 。
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㌃
1-
i
詞
口=
□
[コ [コ 男 あ るい は女 町 婚 出 = 結婚 単に独立す る ことを示唆 して い る。 図7は初婚 年齢 の年齢 別分布 の累積 を示 した もので あ るが, Gの女子llお いては よ り若 い年
齢か ら結婚 がは じま り15才に お いて半数 の者が結婚 しおわ って % であ る。 標 準 的 な 家族形態 を とる もcJ)a)みにつ いてみ る と, 拡大家族 の形態 を もつ 世帯 の割 合はG
では6%
で あ るの に対 してKB
では23%
とな -)てい るO-一般 の常識 とは逆 に一 種 の拡大家族化 が町に近 いKB
に おいて認 め られ る の で あ る 。 この理 由の一 部は既 に述べ た家屋 の建 築費 の相違 に求 め られそ うであ る。G
にお いては,M $2
0
0
未満 の家屋 に居住 す る者 が1
6.
4
%
も存在す るO また, ステー ジⅣは未 だ婚 出 し た子 を もたぬ 世帯にお いて,いずれか の子がは じめ て結婚 し 親 と同展す る場合 に現われ るのであ るが, この ステ- ジに属 す る世帯 はKB
のみに存在 し,Gに
甘 み られない O これ らの こ とは,
Gでは結婚 した子が少 な くとも家屋 に関す る限 り簡ー
tIT1
..
t . .A ト r. ーーt //-tt-`lt、 t ..ノ ./♂ ・・・二二 て rL」 〔-「 ●_-{-一一一一・一 / Y、3 .__・-I-ri ll 121314 15 lt,i,7lu,1,jLJO;・12/ 2i ニ4 :'。1 26 27 2ti=i 図 7 年齢別にみた結婚経験* *初婚年齢別にみた結婚経験者の割合の 累精値 (舅・女別結婚経験者-100)東南 アジア研 究 11巷 4号 い るo KBにおいては 半数 の者が結婚 Lbわ るのは16才においてで あ るo Lか
L
,17才で80%, 18才で90%が結婚 してい るとい う状態 に関 しては両集落間に差異はない。男子 の結婚年齢につ いて もGにおいて早 い ス タ- トがム られ るか,2
0
才 を過 ぎると結婚状態にあ る者の割合は逆 に KBにおいて高 くな る。 K Bにお い ては ご く低
い 隼齢におけ る結婚 は阻止 され る よ ')にな ZJ 浴,Gと共 通す る特定 年齢 までに結婚Lhわ んとい う傾 向は維持 され てい る。〕この よ うな傾 向 は後に述べ る学校教育 の普及 とあ る 程度関連す るか もしjt′ない o 結婚 に際 して支払われ る結納金 (belanja)の額は最近1
0
カ隼の結婚 においてG
で は平均M$
2
2
9
,
KBで はM S3
1
9
であ 一つたoG の場合平・均 ;叫又の21%,KBの場脊 平均年収 の16%にあた る。 絶対額 の上抑 エム られ るが実際 の負担率 はKBのほ うが軽い といえ る。 結婚に ともな う儀 礼 もKBにおけ るほ うがGにおけ る よ F)もよ り複雑,豪華 とな るo KBとGにおけ る結婚経験 者の結婚経験 回数 は図 8に示す 通 りであ る。 再婚経験者 の多 い こ とが 目立つ が これは同図に示 された結婚経験 者の離婚 経験 回数 と密接に 関連 してい る。KBに おいて離婚 が よ り少ない ことが認めら
れ f,が と くに 目:窪.つのは何
度 も離婚 を くり返す者がKB
男 子0
20
406
0 8
0 1
0
00
結婚経験 離婚経験0
2
0
男 子弼 R
i
"
"
0回 1 234-女 子2
0
4
0 608
01
0
0
図 8 結婚経験回数および離婚経験回数別にみた結婚経験者 (百分率) 一LI JLl -O J CO 「ノ/ ハ h一 「 0 4 つJL;
il年末
満・IJI.>;; 3
4 5 Ei / とミ 9 10 図 9 結婚か ら離婚 ま での
期
間 ( 累 積 率 )㌔ 坪 内 :クランタ ンの二つの農 村 にお いては著 しく少 ない ことであ る。 離婚 までの婚 姻継続期間に関 しては
図 9
に示す よ うに両 集落 の共 通点は離婚 の8
割 ない し9
割 が結婚後6
, 7年 まで に生 じてい る ことであ る。 しか 男子 KB田 女子 % 70 60 50 40 30 20 10 6CJr ・・ 5'Jj I・-5'j 40 -49 30 -3 9 -2 9 図1
0
G⊂
] 山.1ゝ(J
l ⊂つく:⊃(=
) ∼?∼∼
ruWJゝUl
(エ)u⊃(エ)(.⊂)
年齢階級別にみた結婚経験者における 離婚経験者の割合 鮎 窯∼ t , G においては短期間における離婚発 生の傾向がより著しく 1 年ぐらいのうち に生ずる離婚が全離婚の 4()∼5()% を占め ているが ,KB
ではこの傾向はかなり緩 和されている 。 結婚経験者における離婚 経験者の割合を年齢階級別にみると図 10 のようになり , 40 代男子を除けばすべて の年齢層にわたってKB
のほうが低い割 令を示す 。と くに20
代における離婚経験 者はKB
において著しく少ないことが分 かる C,日
数 青 と 宗 教KB
とG
におけ る就学経験お よび識字率 は図1
1お よび図1
2
に 示す通 りであ る。 Gにお いてはKB
よ りは るかに遅れ て小学 校教育が普及 した ことが分か る。
識字率につ いて も同様 の傾 向が 諮め られ, 中年女子におけ る例外 を除 けばKB
は 削こGよ りも優 位に た ってい る。 15-19才の 年 齢階 級につ い て就学経験 を さ らに詳 しく検討す る と図1
3
の よ うにな る。 この年齢階級 におい 50 100(%) 図1
1
年齢階級別にみた就学経験 てほKB
,
Gともに就学率 がか な り高 くな り, この意味 で両集落 間に 決定 的 な差は存在 しな くな ってい るのであ る 浴,それで も非就学者 の割合 と中学校 進学者 の割合 に注 目す るとき,二つの 集落 におけ る教育に対す る態度 の差 を 明瞭に読み とることがで きる。 就学経 級,識字率 に関す る男女 の差 は二つの 集落 にお いて常 に存在 してい る。 小学 校就学状況,識字率 な どに関す る限 り この よ うな男女較差 は近年 に な るほ ど 減少 して くるのであ るが, レベルをあ げ て中等教育 の受容状態 をみ る と較差東南 アジア研 究 11巻4号 5C) 100(()/(, 図 12 年齢階級別にみた識字率
1
02
0
30 40 50 は依 然 と して維持 され てい るこ とが分 か る。 学 校教 育の普 及 は,伝 統 的 な ポ ン ド(
Po
nd
o
k
, 寄宿 宗教塾 ) の教育 的役割 を低 下 させ てい く.7-KB,Gと もに近 くに一 つ の ポ ン ドを もつ が, 現在, 少 年 に と -)てそ の役割 は著 し く少 な くな ってい る。 Gに おけ るポ ン ドは少年 の 代 りに老人 (老女 ) が増 加 して老人 ホ --ム的 な存在 とな 一つてい,7J。 KBのそ れ は老人 の数 も増 加 してい るが, 同時 60 70 80 90 100(o'ol † † † † 非就学 小 学校 中退 小学校 卒業 中学校 入学丁
●
て
非
就
学
小学校中退 小学校
卒
業
図 13 15-19才における就学状況 中学校 入学 に町 の学校 に通 う少年達 Jが寄宿舎 代 りに利 用 Lてい るので, 変 化の程 度 はGのそれ よ りも小 さ い よ うに見 え る。 またKBの ポ ン ドの宗教教 師 (グル)は比 較的高 名で あ -つて,遇 1度の宗教 講 話 に際 しては若 者を含 むか な りの聴衆 を集め てい る。 町 の近 くに居住す る ことは宗教 活動 をあ る意味 で強化す る側面 を も宥してい る。 KBの モス クはGにお け るモ ス クよ りも立 派 であ る し, 断食 月に古土よ りよい 食事が モ ス クで提
供 され るO 断 食明け には7人 の者 がひ と紺 とな -)て犠牲 の家畜 をほふ り, その 肉を分配す るが, この よ う な グル ー プの形成はKBに おい て よ り盛 んで あ るO メ ッカ巡礼者 (- ジ)の数 を と って みて も, 7)ポンドに関 しては拙稿 「クランタンの農村におけるポンド (寄宿宗教塾)」 『東 南 ア ジア研 究』11巻 2号, 1973.9.を参照 された い。 494坪 内 :クランタンの二つの農村
G
におけ る- ジの数は4名 (男1,女 3,2
0
才以上 人 口の1
.
3
%)に過 ぎないのに対 してKB
で は1
4
名 (男9,女 5,2
0
才以 上人 口の7.
1
%)
を数 え る。 しか も この中には2
回巡礼 した者 を2名ノ含んで い るOⅣ
単純生活 の マ レー人 と洗練 された マ レー人 町に近 いむ らにお いてほ町JL)影響 を うけ る ことが著 しくなる ことは当然であ る。 町の影響 を うけ ることは村 落の変化 と Lて捉 え られ るが, ここで大都市か ら村 落に至 る一元的な都部連続 体 を想定す る ことには問題があ るよ うに思われ る。 大都市が伝 統か ら自由な コスモポ リタ ンな 世 界 と して据 え られ るとす るな らば, 村落住民の フ レー ム ・オ ブ ・レフ 7 レンスは この よ うな 性 格 を もつ都 市に関連 して形成 され てい るのではない。 金銭,技術の側面において大都市 の要 素 は町 を経 て村落に 入 りこむ。 他方 これ らの金銭,技 術を使 用で きる村人 は マ レー人 に と -'て 伝統 的に価値 あ る もの と考 え られ る ものを実現 しよ うとす る。 伝統 的な社 会におい てみ た され ず, め ぐまれぬ 部分 と して位 置づけ られ て きた農民(
pe
as
ant
s
)
は, 以前 には到底 望むべ くも なか った伝統 的地方都市 Ul)上流階 層 (象徴的には貴族的階級) の生活構 成 要素 の一 部を,建築 儀 礼,生清様式 な どを通 しで実現 Lよ うとす るので あ る。 しか Lまた 山方 , 大都市 におけ るホ ワイ トカ ラ-(掛 rニ官 吏)の生活が現代社会において魅 力あ る存在 とな りてい る ことは農民 自ら も気 がつい てお り, この傾 和 封町に近づ くほ ど強 くな る。 か く して子供 に対 しては必ず しも伝 統的 な教育 に こだわ らず, 近代 的教 育 との接触 を ます ます強め させ よ うとす る。 しか しなが ら, 高等教育 を うけ た ものは農村に と どまる ことが ほ とん どないので, 実際に村 落に居住す る者に と-つては この社 会は 無縁 の, あ るいはせ いぜ い間接 的な存 在に過 ぎない。 農民に と って 何 が フ レ- ム ・オ ブ・
レフ ァ レ 洗 練 &'旅 ソス とな るか を簡単に 図式化す ると図1
4
の よ う にな るか も しれない 。 単純か つ粗野 な生 活構造 か ら洗練 され た複雑 な様式 を もつ生活構造へ の 変化 だけに注 目すれば この変化 は, マ レー的 な ものを さ らに拡大 してい くとい うイ メ- ジを う かび あが らせ る。 す なわ ち ここでは近代化に応 じて伝統化 が 同時に進行す る とい う小鬼 奇妙 な 知識人 コスモホ リ/jン鮒
f 洲 者 棚那 図1
4
マレ一路民生活の志向方向 並存 が見 られ るので あ る。 頁 に マ レー的な もu)とは何か を議論す るとき, マ レ-的な ものの モデル と され る0)は伝統 的 地方都市上流階級 ,I)特性 なのであ って, 一般 の農民 は マ レ・-的要素 を完備す るにはあ ま りに も 菟 Lく,単純かつ粗野 な生清 を送 って きた。 この よ うな農民を文化 的に 「未 完の状 態」 と して 捉 え る こと も「
汀能であ るが, む しろ単純 な形 を本 質 とす る一つの完成体 と認 め ることのほ うが東南 アジア研究 11巻4号 重要で あ る よ うに思われ る。 マ レー人におけ る きわめ て高 い離婚傾 向が発現 して きたのほ, こ の よ うな単純 な生活状態 におけ る農民間におい てであ る。 クアラル ンプール市 内の Kampong Bahru とよばれ る マ レー人 膚住地区の一区画 と, クア ラル ンプール近郊 Kuang におけ る水稲お よび ゴムタ ッピ ングを生業 とす る農村 との比較研究 を行 な った Provencherは,都市 的環境 におけ る家 主層の生酒 内容お よび行為様式 /JIl, マ レ-的 な文化 との関係にお いて最 も洗練 され た セ ッ トを構 成 してい ることを明 らかに してい る.R' この場合,Kampong Bahruは コスモポ リタ ンな性格 を強 く有す る官 吏や 知識人 の展住地区 と は異 な った存在であ ることに注意す る必要があ る。Kampong Bahru で認め られた特性 は町に 近いむ らの 中に も認め られ るので あ って, マ レ-農民 の変化 の方 向を暗 示す るよ うであ る。 町に近 い ことに よ-)てマ レー的な生活が よ り強調 され る方法には二通 り考 え られ る。 従来 の 収 入では実現 され なか った ものを増 加 した収 入 を さい て実現 しLにうとす る際 u)配分方法に関 L て,収入増 加率 以上が投 入 され る場合 と収 入増 加率 以下 が投 入 され る場 合とであ る。 既に示 し て きた デ ー タの中か らは家屋建築費に対す る配 分は前者 に, 結納金に対す る配分は後者に分類 され よ う0両者 が逆 に な -)てい るな らば, 町に近 い マ L,-一人 の社会に おけ る儀 礼化 が過度に強 調 され てい ることを疑 い もな く論 じ得 るが 事実 はそ うで は ないo 家庭 は健全な生活 の ための基 礎 で あ って,Gにおけ る一部の家屋 は熱帯 的環境下 といえ ども雨露 を しの ぐに必ず しも十分 と は言 えない程 度であ る。 K Bにおいて家屋に投 入 され る金額 は必ず しも過度 とは言 えない よ う に思われ る。 か くして, クラ ンタ ンの農村におけ る生活 の変化 は内にい くつか の対 立要素 をは らみつつ も,概 して平穏無事 に進 んでい る よ うに思われ る。
8)RonaldProvencher,TLL,0Malay Worlds'・Interactionin Urban and RuralSettings,Berkeley: CenterforSouthandSoutheastAsiaStudies,UniversityofCalifornia,1971.