調味料の商品学的研究――しょう油の品質評価を中
心として―― (第2報)
著者
斎藤 晋一
雑誌名
東北学院大学論集. 経済学
号
79
ページ
93-114
発行年
1979-03-10
URL
http://id.nii.ac.jp/1204/00024256/
調味料の商品学的研究
ーし
ょ
う油の品質評価を中心と
し
て
一
( 第 2 報 )
斎
藤
晋
-目 次 l.
はじめに 2.
田味料一
般 3.
明味料の中でのしょう油の位置づけ ( l ) 品質形成の立場 〔 2 〕 品質評価の立場 (以上第一
報) 4. しょう油の品質構造 ( 1 ) しょう油の種々相 〔 2 〕 品質構造の側面 〔 3 ) しょう油の客観的品質 〔 4 )し
ょう油の主観的品質 〔 5 〕 しょう油の観念的品質 5.し
ょう油の品質形成 〔 l 〕し
ょう油酸造業の概況 〔 2 ) しっう油の実在的品質形成 ( 3 ) しょう油の観念的品質形成 (以上第二報) 6. しょ う 油 の 品 質 開 〔 1 )一
般的評価 (2〕l 物理化学的評価 ( 3 〕 感覚的評価 ( 4 〕 心理学的評価 7.
むすび4
.
しょう油の品質構造
〔1
〕 しょう油の種々相 今 ま で は 単 に 「 し ょ う 油」
とだけ抽象的に述べてきたが,
こ こ で「し
ょ う 油 を ば,
し
ょ う 油 た ら し め る も の」
すなわちし ょう油の品質とは何か-
93-
l(品質構造) を論ずる前に
,
ま ず し ょ う 油 と は一
体何んであるのかを, そ の発生 と歴史などu)に よ り 簡 単 に 触 れ る こ と に す る。
一
般に,
し
ょ う 油 l1t
日本でっ
くられた生粋の調味料であることには間違 い な い よ う で あ る。
しかしながら,し
ょう油はいつの時代からっ
く ら れ た の か と な る と,
その時代は定かではないようである。
一
説 に は,
禅僧覚心 (後の異国寺燈国師) が南宋より径山寺みその製法をも学んで帰国し, 有 田郡岩佐でこのっくり方を伝授し, それが金山寺みその始まりであると言 われ, そ の 時 こ の み そ 総 の 底 に た ま っ た 液 が し ょ う 油 ( 溜 し ょ う 油 ) の 原 型 で あ る と さ れ て い る。
その流れをくむ紀州の湯浅がし ょう油の発祥の地 で あ る と 言 わ れ る 所 似 で あ る か も し れ な い。
その後,
正応年間(l288
年) に こ れ を 商 品 化 し た と も 言 わ れ て い る。
すなゎち, こ れ が「
商 品 と し て のし
ょ う 油」
の 始 ま り で は な い か と 思 わ れ る。
また,し
ょ う 油 を 始 め て 料 理に使用することが記破されている文献は,
室町時代後期(l489年)の『四条流包丁聞書』で,「垂味
lI會」
と「
薄 た れ」
の名で出ている。
しかし,「
書油」
という文字はまだ使われてはいな か っ た よ う で あ る。
その文字が始めて使われたのは安土桃山時代に著わさ れた『易林本節用集』 ( l 5 9 7 年 ) の「
食服」
の項である。
と こ ろ で,
し
ょう油は安土桃山時代になると工業化(家内工業) さ れ る よ う に な り,
江戸時代に入つて か ら 確 立 さ れ る よ う に な っ た。
し か し , 近 代的なし ょう油酸造業(機械化)の第l歩を踏み出したのは明治維新以後 の よ う で あ る。
その後,
し
ょ う 油 の 新 し ぃ形成技術の開発・
研究が行われ 今 日 に至つ て い る。
次 に,
し ょ う 油 の 定 義 を み る と,
青木利三郎編察『内外商品辞範』 (明 治 4 3 年 ) に よ れ ば「
日用必需の調味料にして大豆,小麦,食塩及水を以て 酸 造 し た る 液 体 な り」
と し て い る。
また, 日本農林規格(昭和48年6月4 (1) 大塚滋「
管油文化」
P・28, 梅田勇雄「
告油の歴史と製造法」pp.36~37,, 『食の科学」 N o . 7 , l972。
「
ウーマン』第8書第l0号付録「し
ょうゆの手 帳」 。
2-
94-田味料の商品学的研究 日 農林省告示第l084号)の中で
J
AS受検数量の一
番多い「
こ い く ち」
し
ょ う 油 で は,
「
植物性たん白質及び炭水化物をこうじ菌S
t
:
素 に よ り 分 解し,
はっ酵させ, 及び熱成させたもの, 植物性たん白質の酸分解波をこう じ菌酵素によりはっ酵させ, 及び熱成させたもの又はこれらに植物性たん 白質の酸分解液を混合したものであって,
色沢の根化を抑制しない清種な 塩味を有する液体をいう」
と し て い る。
すなわち, し
ょ う 油 は「
本醸造」
だけではなく,今日では形式技術の発展により「
新式酸造」及び「
ア ミ ノ 酸液混合」
のものも存在している。
と こ ろ で,
「
み そ か ら 派 生 し た し ょ う 油」 ,
「
う ま い み そ さ え あ れ ば ど こ に で も , しょう油の発祥地ができそう」
な ど と い う 言 薬 が あ る よ う に,
みそと同様,
し
ょう油にも原材料及び形成技術などの差違によって,次の よ う にし
ょ う 油 を 分 類la
す る こ と が で き る。
( 1 ) 濃ロし
ょ う 油一一
別名普通しょ う 油 ま た は 関 東 し ょ う 油 と 呼 ば れ る。
主産地は関東地方であったものが, 今日では全国的に生産されてい る。
これはし
ょう油の種類の中でも最も消費量が多く, 煮 物 や 付 け し ょ う 油, さ ら に演け物や価煮などと広く使われている。
また, 淡 ロ し ょ う 油 と 比べ濃度が高く , 味 が ま さ っ て い る と も 言 わ れ て い る。
主要原料としては 大豆 (脱脂大豆), 小麦またはふすま及び食塩である。
( 2 ) 淡口し
ょ う 油一
一
これは兵庫県電野市を中心に製造され,
その需 要は主として京都・
大阪などの関西地方である。
と こ ろ が,
最近では全国 的にかなり普及しっっあ る。
その理由としては,
このしょう油の特質であ る味付けが淡目で, また食料品材料の色を損なわず仕上げるといった,
い わゆる食料品材料の持ち味を生かすことができることではないかと思われ る。
主要原料は丸大豆,小麦,
食塩,及び甘酒である。
( 3 ) 相しょ う 油一一
主産地は愛知・
岐阜・
三重の三県である。
こ れ は アルコール, 醸醇生産物が少いことから香気が低いが,
粘度と査素演度が (2) 福崎幸蔵「天然酸造告油」pp.47~59.
『食の科学」 N o.
7,
l912。
-
95-
3高いので刺身や米菓, 個煮などの加工食品用となっている
。
主要原料は大 豆(脱脂大豆), 食塩,及び小表粉である。
( 4 ) 甘露しょ う 油一一
別名再仕込しょ う 油 と 呼 ば れ,
山ロ
県を中心に 広島・
島根県などで生産されている。
こ れ は 旨 味 成 分 ( 窒 素 分 , 糖 分 ) と 色沢が濃厚で,
一
般に刺味や始などのかけしょう油として使われている。
主要原料は濃ロし
ょ う 油 と ほ ぼ同 じ で あ る と 考 え て よ い。
( 5 ) 白 しょ う 油一一
これは名古屋地方の特産品であり, 色 は 淡 ロ しょ う 油 よ り も 淡 く , こうじの香りの強い甘い汁で雑煮やよせ鍋などに使われ て い る。
しかし,
これは他のし ょう油と比べ保存期間が短いという欠点が あ る。
主要原料は小麦,大豆,及び食塩である。
( 6 ) その他一一
秋田地方のしょ っ つ る ( 塩 魚 汁 ),
佐渡・
能登のいし
る,
四国のいかなごし ょ う 油,
及び土佐・
鹿児島のせんじなどがある。
こ れらは主要原料が魚類や貝類及び食塩であり,
一
般 に 魚 し ょ う 油 と 呼 ば れ て い る。
また,その他に中国しょ う 油 な ど も あ る。
ところが最近では,
以上の分類では分類することが難しぃ新 商 品 し ょ う 油の出現がみられる。
すなわち, 濃
ロし
ょ う 油 で は あ る が ,「
減 塩 し ょ う 油」
や「
刺味しょ う 油」
などの用途別によるものである。
こ の よ う な しょ う油は,
嗜好の多様化に応えるため今後ますます数多く市場に出回つてく るのではないかと思われる。
〔2
〕 品'
買構造の側面一
般に,
商品は次のような態様を持つものであると考えられるe ( 1 ) 物理的または化学的属性を持つ何かの材料で構成されている。
( 2 ) 特有の構造・
形態を持つているo ( 3 ) 特有の機能を持つ て い る。
( 4 ) 機能が同じでも特有の性能を持つ て い る。
( 5 ) 特有の社会的・
心理的アビ
ールを持つ て い る。
( 6 ) 包装やラぺルなどを持つ て い る。
4-
96-調味料の商品学的研究 当然
,
前述の各種しょ う 油 に お い て も 同 じ こ と が 言 え る。
しかしながら,
商 品 の 品 質 (「
商品をば, そ の 商 品 た ら し め る も の」
) と はいかなるものであるかの間題を究明するには,
把握する視角に応じて相 異なる側面を有する構造として提えることが必要であると共に,
前述の態 様の「
良 さ」
以前の概念として品質を把握しなければならないl3l。
と こ ろ で,
その品質の構造の側面(4)と し て , 特 に近 代 商 品 (「
現代の寡 占企業間に展開されている不完全競争下の市場に あ る も の」
) に お い て は,
従来の実在的品質いわゆる客観的に把握できる質的側面(客観的品 質・
第 1 次 品 質 ) と主観的に把握するほかない質的側面(主観的品質・
第 2次品質) だ け で は な く,
その品質構造に第三の質的側面を加えることに よって初めて完成される。
すなわち, それが観念的に把握される質的側面 (観念的品質・
第 3 次 品 質 ) で あ る。
その理由としては,その商品は,市場調 査を行つて消費者の欲求を知り,
商品化計画によって体現し,広告・
宣伝に よ っ て 欲 求 に う ま く アビ
ー ル す る ご と く 計 画 さ れ た も の で あ るし , ま た , 消費者に対して期待された方が異り, 満足の与え方に通いがあるので, そ れらを実在的側面だけでは到底理解することはできないからである。
そ こ で,
商品の品質構造には以上の3つの側面があると言う星宮教授の 仮 説 に よ り,
し
ょ う 油 の 品 質 (「
し
ょ う 油 を ば, そ の しょ う 油 た ら し め る もの」
) の 構 造 を 考 え て み る こ と に す る。
(3
〕 し ょ う 油 の審観的品質 客観的品質の微細構造l;t
,
「
商品の構成材料の 自然的属性とか商品構 造 ' 形 態 ' 重 量・
容量・
性能・
均斉性或は爽雑物・
有書・
有薄成分などの 欠点その他であって何れも客観的に測定することによって数値的に把握さ l3) 星富啓著「近代商品学入門」
邦光書房,昭和44年,pp.
2 0 ~ 2 l。
l4l 星富啓,「
“正続的”商品学体系化の構造」 , f
商品研究」
第 l 9 響 , 第 4 号.
p.
;3o-
97-
5れ る
」
l51 ものである。
すなわち,一
定条件のもとでだれが判断したとして も 同 じ 結 果 に な る と い う 性 質 の も の で あ る。
そ こ で ,し
ょう油の品質構造のうち, 特 に 物 理・
化学的属性である質的 側面を中心にみると,
先で述ぺ た ご と く , し ょ う 油 は 液 体 調 味 料 ( 粉 末 しょ う 油 も あ る こ と に は あ る が ) であることには間通なぃ。 また, 全室素分, 無塩可溶性固形分 ( エ キ ス ),
アルコール分, 色度, 直接通元糖とェ
キス と の 比 , P H , 食 塩 分 , 糖 分 , 及 び レ プ リ ン 酸 分 な ど に よ り 客 観 的 に把握 さ れ て い る。
特 に 日 本 農 林 規 格 ( J A S ) でl,
t
全室素分,無塩可溶性固形分,
アルコール分,色度, 及び直接還元糖とェ
キスとの比の5つをしょ う 油の格付の対象と している。
以上の客観的品質要素のうちし ょ う 油 と し て の 特 質,6'
を み る と ,「
総室 素分」
はし
ょ う 油 の 旨 味 の 指 標 と な り , この量が多いと味が良いと言われ て い る。
「
無塩可性固形分(エキス)」
はし
ょ う 油 濃 度 のi
展さを表わして い る。
「
アルコ
ール分」
は香味に影響を及ば す一
要因であり, また保存料 の役割をも果す性質がある。
「色度
」
は 番 号 に よ っ て 標 示 さ れ,
その数が 小 さ い と 色 が 演 く,
逆に 大 き ぃ と色が淡いし ょ う 油 で あ る。
「
比重」
は ポ ーメ度数で示され,
この値が大きいと中味の1
機いし
ょ う 油 で あ る と い う こ と に な り,
特に食塩, 総室素,
無塩可溶性固形分が影響していることが考 え ら れ る。
「 P H 」
は一
般に5 . 0 前 後 ( 弱 酸 性 ) で あ る。 「
食塩分」
は し ょ う 油 の 塩 辛 さ の 原 因 と な る も の で ,し
ょう油の成分中で一
番多く合まれ て い る。
「
糖分」
はし
ょ う 油 の 甘 味 そ の も の を 示 す も の で は な い が,
こ れ が多量に 含 ま れ て い る 場 合 は 口 当 り の 柔 い も の に な る と 考 え ら れ る。
「レ
プ リ ン 酸 分」
は大豆を加水分解する際,
その中の糖分が分解して生成され る も の で あ る 。 し た が っ て ア ミ ノ 酸 液 を 添 加 し た し ょ う 油 に は レ プ リ ン 酸 量 が 多 く 合 ま れ る こ と に な る。
(5) 星富啓,前掲書,p.
2:
;。 (6) 富城県生活環境部消費流通課, 『牛a.
とu
油についての消費者の商品選択 態度などに関する調査報告書』,昭和52年3月.
pp. l 4 l~
l 4:
;。
6-
98-調味料の商品学的研究 つ ま り
,
以上の客観的品質要素は,
当然各組し ょ う 油 で 異 な る こ と が 考 え ら れ る。
そこで,一
般的な成分値を表一
ll7)に示してみる。
表一
l 各程しょう油の成分値 ポ ー,‘
比a
t l % 1a
l le
l %a
) 書lホ1a
~
a
j.
ー ル l H %)l (%)分 アル'ールl % ) plle
度 Ia
,
,
n
a
ll ,i う1d l上a
) 2247 l 7.
55 l.
55 0.
88 3.
83 2.
l 6 4.
7 l l 2.
6 l 0.
5 演 l-
l し.t''
相 l l:a
) 2275l
l 9.
l 5 l.
l 7 0.
70 5.
45 0.
63 4.
82 7.
38 7.
32 i 9 し .t う1ll 29.
901
l 9.
00 2.
55 l.
05 5.:
l4 0.
06 4.
8 25.
03 l 8.
44 2.
l l 0.
99 5.
2 l l l.
75 l 0.
70 f l し .t う 相 26.
l02 l 7.
20 0.
6 l 4.
30 し i ,-,
つ る 25.
90 3 l.
43 l.
44°
・8'
i
°
0.
23 6.
l 7 l・g 2.
4 〔4
〕 しょう油の主観的品質 主観的品質の微細構造としては,
「
デザイ ンをはじめ柄・
色 ' 味 ' 香 り などの消費者のlI書好, 感 覚 に よ っ て 受 取 ら れ る 如 き も の で あ る。」
'
8l すな わ ち,
前述の客観的品質要素を五感によって把握された諸結果によって得 ら れ る と こ ろ の 質 的 側 面 で あ る。
さ て,
し
ょう油の主観的品質要素であるが, これは液体調味料であるが 故,
色あい, 塩 辛 さ
,
甘 さ , 旨 さ,
味の濃さ, 及 び 香
‘
)などが主要なもの で あ る と 考 え ら れ る。
しかし, し ょ う 油 は 液 体 ( 調 味 料 ) で も あ る の で デ ザインや柄の質的側面l1t こ こ で は 該 当 し な い。
だが, そのし ょ う 油 を 入 れ る た め の 包 装 と な る と 別 で あ る。
と こ ろ で , 各 l 翻i
し
ょう油における主観的品質の特質l9)は,
前 述 の し ょ う 油 の 分 類 の と こ ろ を 参 照 し て い た だ く と し て , こ こ で はしょう油の形成方 法 の 違 い に よ り 述 べ て み た い。
本醸造しょ う 油 は,
「
香 り は す<1れ て い る 力, 呈 味 性 に や や 欠 け る 嫌 い が あ り, 塩 辛 味 が 勝 ち す き'る。 」
ア ミ ノ 酸 液 (7l 福崎幸蔵, 前掲論文, pp.
47~59。
但し, 各組しょう油の成分値は論文中 より筆者が任意に選んだ。
(8) 星富啓,前掲書,p.24。 (9) 田崎能一
,
「
醫 油 と ア ミ ノ 酸 液」 , p ・ 6 5.
『食の科学」 , N o ・ 7.
1972。
-
99-
7混合しょ う 油 は
,
手軽にアミノ酸を使用しているので呈味性にすぐれてい る が,
香 り に 欠 け る 嫌 い が あ る。
また新式醸造しょ う 油 と ア ミ ノ 酸 液 混 合し
ょ う 油 と の ほ ほ'中間的な性質を持 つ て い る と さ れ て い る。
〔5
〕 しょう油の観念的品質 観:
念的品質の徴細構造は,
「
実在する第1次及び第2次品質を覆うVeil
の如きもので,
直観的外面的であり,
心理的に受止められる類のものであ る か ら, B r a n d
やLabelなどを取去るときは忽ち消減する如き質的側面 で あ る」oa
と し て い る。
この点について'
華者は以前「
洗 剤 の 商 品 学 的 研 究」
(loの中で,
市販洗たく洗剤のプランドを伏せたものを使用テストした が,
その時たまたまパネラーの自宅で使用している洗剤と試料洗剤が同じ で あ っ て た も の が あ り,
その二つの評価結果を見比ぺると,
同 じ プ ラ ン ド 洗剤でありながら評価に差違が認められた。
その評価の差こそ観:
念的品質 の差違であることを実証した。
また,
繰返しにはなるが,「
近代商品Jを旧来商品(実在的品質=
客観 的品質十主観的品質) に サービ ス が 加 わ っ た も の で あ る と み る こ と が で きる o そのサービスすなわち
「Marketing
Research
十Product Planning十Merchandising
十Packaging
十Brand Naming
十Labeling
十Advertising
十Layout
十P
〇P
十一
一
」
に よ っ て 観 念 的 品 質 が つ く ら れ る も の と 考 え ら れ る。
正に,
実 在 的 品 質 を 覆 う V e i l の よ う な も の で あ る。
し か し , そ の サービスは心理的に受止められるものであるので,
当然この品質の把握に は消費者心理の究明をも必要とする的。
さて,し
ょう油の観念的品質の場合でも以上のサーピ ス と 同 様 で あ る と 思われる。
し
かし, この点については後述の品質評価の項で実証的に論じ てみたい。
ll
l0
星富啓,
前掲書,p・24。
(u
ll斎藤習l-
,
東北学院大学論集,経済学第69号,昭和50年及び第73号,昭和 52年。
(la
星富啓,
前掲書, p p.
24~
25。 8-
l00-調味料の商品学的研究 そこで, ここでは観念的品質の形成要因の
一
手 段 と な り え る 銘 柄 と 包 装 につ い て 述 べ る こ と に す る。
た だ,
注 意 を 要 す る こ と は こ れ ら か ら 受 け る イ メ ー ジ が 観 念 的 品 質 で あ る と 言 う こ と で あ る。
まず,
し
ょ う 油 の 銘 柄 の う ち 商 標 につ い て だ け 実 態 を み る こ と に す る。
先 の 論 文 ( 第 l 報 ) で 述 べ た ご と く,
し
ょ う 油 の 企 業 数 は 昭 和 5 l 年 度 で 3,200社であり, それに見合つた銘柄数の存在が考えられるが, ここではそ の う ち,
後述する品質評価の項で参考となる宮城県内産の銘柄(地場銘柄 と 言 う ) と中央銘柄のうち富城県内で販売されているものを上げてみるlio
こ と に す る。
︶
ン ク 意 清 岡 さ 士 新 ヨ 印 正玉
上 相 仁 画 森 松 又 大 豐 忠 里 19
世 松 柄 銘 セ ャ 政 富 タ 最 山 鹿 栄 場 ウ ヒ 甲 マ ル マ マ 甲 ル ル 甲 ル 甲 ル の 甲 lg
ョ ジ 甲 甲 ゲ 甲 甲 甲 甲 ジ フ一
一
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一 地 一 9 -l︶
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4 -- 7・
︵
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1 0S
因 一 四 B1︶
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C 4-例 9 一e
9 サ サ ジ ュ ウ :a
i.
甲 谷 風 地 甲 船 ヤ マ 川 マ ル 武 ヤ マ 重 地 甲 栄 ジ 3 ウ キ チ 地 甲 正 ジ カ ミ チ ト セ 地 甲 松Eb
マ ル 吉 マ ル 吉玉
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S
g
g
l 5 0 60
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- 8g
8g
e
g
1 ga
0 富城県生活環境部消費流通課.
前掲e
,
p p . li6~
l82。
-
l 0 l-調味料の商品学的研究 的
a
甲 敬e
0 マ ル 上e
10
a
i
甲 大 正u
l 亀 甲 豊 年e
0
ヤ マ 五e
0
地
甲巴
国 亀 甲 富 城e
0 上 マ ル サ ン 切 電 甲 若 柏・
0 ヤ マ 木 的 ヤ マ カ ノ l9lll ハ マ 国00
電 甲 又 十 切 亀 甲 重 的 電 甲 長 0 0 カ・ネ セ ン (中央能柄〕 (l) キ ッコ
ーマン ( 2 ) ヤ マ サ 1l3) ヒ ゲ タ l 4 ) マ ル キ ン (5l ヒ ガ シ マ ル (6) キ ャプテンクック l7) キ ノェ
ネ 最近はその他にC 0 0 P , A
-
C
〇0 P , エ
ン ド ー な ど の プ ラ イ べ ー ト プ ラ ン ドや更・に ノ ー プ ラ ン ド 商 品 が 販 売 さ れ て い る。
なお,
以上の地場銘柄で「
亀甲0
〇」
がノープランド商品を含めて全体の中で41.8%
を占め一
番多 く, 次 い で「
マル口口」
がl7.3% , 「
ヤマ△△」 がl5.3%
と,
この3つで 全体の74.
4%
を占めているのが特に目立つ。
次に, し
ょう油の包装では,
実在的品質要素である色, 味 , 香 り の 価 値 および状態を保發するための「
消極的包装」oo
か ら,
贈答用や使いやすさ などという販売促進を意図とした色,Design,
大きさなどを加味した「
積 極的包装」
が 考 え ら れ て き て い る。
また, その包装材料としてはガラスび んが主流であるが,
近年プラスチックや紙が使用され, 包装の軽量化・
小 型化へ
の傾向が進められてきている。
5
.
しょう油の品質形成
商品の品質はいかにして生まれたのかを究明していくのが品質形成の間 題 で あ り,
その形成の理論はprocessperspective
に よ っ て 解 さ れ る。
つ まり商品の質的側面のうち,実在的側面である品質は,先で述ぺ た ご と く 生 産技術的あるいは品質管理的手法によって解明され, しかもそれはCost
分 析 的 方 法 を 活 用 す る こ と に よ っ て よ り 明 確 化 す る こ と が で き る。
また, 観 念 的 側 面 は マ ー ケ テ ィ ン グ 的 あ る い は 広 告 心 理 的 方 法 に よ り 解 明 さ れ る。
すなわち,
前述のサービスのprocessを解明することであり,
しかも0
0a
l
l l 星富9
:, 前 掲 書 , p p.
81~
82。
-
l02-調味料
の
商品学的研究 消費者心理の究明をも必要とすることでもある四。
以上の点を踏まえながらし ょう油の品質はいかにして生まれるのか,
特 にわが国のしょう油酸造業の実態を見ながら究明することに したい。
〔1
〕 し ょ う 油 題 造 業の概況 食組庁「
し
ょ う ゆエ
場実態調査結果表』 に よ れ ば,
全国のしょ う油工場 数は昭和40年に4,
44lエ
場であったものが昭和49年には3,298工場となっ て お り,
昭和40~
49年の9年間で,
1,143工場も少くなっているのが目立 つ。
この原因としては業界内における企業の合同,
協業化,
及び転業廃業 などの集約化が行われてきたことが考えられる。
また,
業界内における昭和49年の規模別出荷量aeでは次のごとくになっ て い るo 生産規模(ie
) l~
180 l 8 l~
540 5 4 l~
900 90l~
1,800 1,80l~5,400 5,40l以上エ
場 数 ( % ) 2,7,0l1l ( 8 2.
0 ) 3 7 3 ( 1 l.
3 ) 96 (2.
9) 63 ( l.
9) 24 (0.7) 26 ( 0.
8) 出荷量( ke
,
%) 138,144(1l.
0 ) 1 l l , l 9 6 (8.5) l1;6.
353 (5.3) 79,l27 (6.3) 10l.
l:
1l3 (8.
0) 「65,462 ( 6 0 7 ) (計) 3,298(l00.0) l , 261.
40 5 ( l 0 0 . 0 ) 生産規機が l 8 0kC以下の小規校工場は,
エ
場全体の中で82.0%
を占め一
番 多 く な っ て い る が,
逆に出荷量では全体のl1.0%
と l 割 程 度 を 占 め る に す ぎな い。
それに比ぺ5,40lkC以上の大規模工場数は全体の0.
8
%
で あ る に も かかわらず,出荷量では全体のうち6割を占めているのが目立つ。
すなわ ち,
以 上 の デ ー タ に よ り,
し
ょう油酸造業界においては,
大手企業によるa
0 星富啓,前掲書,p.36。 (l 0 食 組 庁 , 『しょうゆ工場実態調査結果表(昭和49年l月~ l2月)」
よ り 作 成。
なお, パ ーセントの数字は小数第二位を四捨五入して求めた。
以後のパ ーセントの計算においても全てこの方法による。
-
l03-
11調味料の商品学的研究 生産中集度がなされ
,
正
に「
二極集中型」
の市場構造を示していることに な る。
なお,
参考のため業界内におけるしょう油の銘柄とその出荷量のシ:,
ア を表一
2'
n
に示す。
表一2
しょう油のi
a
柄別シェ
ア (単位:ke
, %)_
昭和5l年推定 (企業数3,200) 能 相 出 荷 量 シ ェ ア l 位 2 3 4 5 6 7 8 9 l0 l0位計 キ ッコー マ ン ヤ マ サ ヒ ガ シ マ ル ヒ ク' 夕 マ ル キ ン イ チ ビ キ キ ノ 工 ネ ワ ダ ヵ ン キ ッコーショウ フ ジ ジ ン 377.
600 99.
300 弱.
900 36,600 25,400 22,000 l7,200 l 5.
000 l 3.
700 l2,400 675,l00 的.
7 8.
l 4.
5 3.0 2.
l l.
8 l.
4 l.
2 l.
l l.
0 54.
9 総 生 産 量 l,230,076 l00.
0 l]刊経済通信社調 〔2
〕 しょう油の実在的品質 し ょ う 油 の 種 類 の う ち 統 計 上 は っ き り し て い るl
、良ロ
,
淡口,
i
留,
再仕入, 及び白しょ う 油一
以後しょ う 油 と 単 に 言 う 場 合 は 全 て こ れ ら の 5 つ を 指 す一
の製造工程を図一
l uに示す。
以上の製造工程図で明らかのように,
し
ょう油の質的側面のうち客観的 及び主観的側面を持 つ て い る と こ ろ の 実 在 的 品 質 が 形 成 さ れ て い る こ と が 理 解 で き よ う。
すなわち,
実在的品質は生産過程において形成されると言 え る。
しかも,
各種しょ う 油 の「
独特な品質の形成に独特な生産プロセスan
日刊経済通信社 『酒類食品産業の生産・
販売シェア」
a
0
福崎幸蔵,前掲論文,pp・47~59。 l 2-
l04-調味料の商品学的研究 図一1 各酒しょう油の製造工程 1
.
1確t
口しょう油製造工程 の 行 な わ れ て い る か 否 か は こ れ ら の 費用分析よ り」a
9 なお一
層明らかにす る こ と が で き る。 例 え ば , 表 一 3eo
の ご と くi
1疑 口 し ょ う 油 の う ち 新 式 釀 造 しょ う 油 で あ り な が ら , そ れ を 費 用 分 析 す る こ と に よ り 独 特 の 生 産 プ ロ セ ス が 行 な わ れ て い る こ と が 理 解 で き る。
と こ ろ で , 以 上 の よ う な 製 造 工 程 に よ り 形 成 さ れ る 各 種 し ょ う 油 の 生 産 割 合 を み る と 表 一 4l2i)の ご と く に な る。
す な わ ち, 濃 ロ し ょ う 油 は し ょ う 油 全 体 の 中 で 8 割 強 を 占 め一
番 多 く 生 産 さ れ て い る こ と が 分 る。
次いで淡a
l1l 星宮啓, 前 掲 書 , p . 3 9 。e
0 梅 田 , 渋 谷 , 福 崎 , 芳 賀 , 「新式二号(埼玉方式)の標準仕込法」,, p p . 3 ~ 4 , 『笛油と技術』,第384号,昭和38年。
l210
食組庁,前掲書より作成。-
105-
13調味料の商品学的研究 2
.
淡ロしょう油製造工程 l 4 3.
溜しょう油製造工程 T -l.
illi.
l-
106 -l.llll」f , fjl構'
l-
l・;_
l T-
N l.1%調味料の商品学的研究 4
.
再仕入しょう油製造工程 1ll. 「、
しt う油製選.I.'f'li :1l成-
-
:1
'
ll ;,
e-
,
l・,
l
画
,‘ll'll,')・一
S l llロ
( l l . 0%
),
溜 ( 2 . 5%
),
白 ( 0 . 5 %),
再 仕 込 ( 0 . 2%
) の 順 に な っ て い る。
また,
製造方法に つ い て み る と,
本醸造しょ う 油 が 全 体 の 約 6 割 を占めている。
この結果,
先 で 述 べ た よ う に 濃ロし
ょ う 油 の う ち 本 酸 造 し ょ う 油 が一
番 多 く 作 ら れ 使 用 さ れ て い る こ と に な る。
また,
生 産 さ れ た し ょ う 油 は 液 体 で あ る の で,
当然輸送や販売する際に は 何 か の 容 器 ( 包 装 ) に 諾 め な け れ ば な ら な い。
そ こ で,
その実態をみる-
107-
l 5調味料の商品学的研究 表
一3
新式二号(l電
玉方式)の原価計算a
' 込 型 式 新式2号(iS玉方式) 直 分 解 波 B 型 改 良 仕 込,
=
原材使用!目t
原科経贊llIl) 原科使用址 原科経費a'
I) 原 科 lli 価 脱 脂 大 豆 小 麦 建 食 fE 1llt
母 塩 破 ソ-
ダ 成 組 楚 直 分 解 味 液 (一
等 味 液 ) l.
000kg 300o :2100・
496oa
oo。
S08°
29ll ° 3.
7石分 0 44.
933 l0,400 4,600 7,440 800 7,620 7,2S0 278 0 200kg 800' 0 368o 0 0 0 7.
4石分 2.
5,60」ll 9,000 28,000 0 5.
500 0 0 0 555 90,l00 (「8,477) l.
685 (37.
5kg) 2.
(180(60 kg) 690(30 kg) l 5 , 0 0 0 ( l t on) 4 0 0 ( l 0 0 g ) l 5 , 0 0 0 ( l lon) 2 5 , 0 0 0 ( l ton) 75 ( l 石 分 ) 2 , 5 0 0 ( l 持) (2.
l 0 0 ) ( l 的 ) 原 料 賀 合 計 83,32l l33.
975(l22,352) 生 成 石 数 総 空 素 生成Gl・l/N平均 溶 解 利 用 率 利 用 率 23.!0石 l.
5,
l % l.00% 8l.
5 % 76.
6 % 28.
5石 (28.
5・ti) l.
45% ( l . 4 5 %) l.
3 1 % ( 0.
85) 87.9% (87.
9 %) 原 科 賀 ( 石 当 り ) 製造総費(石当り) 製造原価(石当り) 3.
607 960 4.
567 4.
700(4.
293) 8ll4( 874) 5.
574(5.
l67) 表一
4 各種しょう油の生産量 (出荷量)の
割合(昭和49年) ( 単 位:
ke
)要
1
出荷ft ら う す < ち た ま り さ ぃ し こみ し ろ , 合 計 % 出術n
t
% 出荷llt
1 % 出荷!it
% 出荷i,
t
% 出荷量l
% 本m
造 65l,650、
'
a a、
71ll.
細s
l
、
u l6・ol9l
ah
736s
2,96ls
105.
900s
新 式 題 造 343,
133s
43.
l8ls
l3.
406 2.
l l lx
l.
細s
1.
782s
402.
m
;s
アミ'
m
選合 86,
,473 1lS
lト、 22.
546K
s
206s
l.
283、
l・l a1
1、
112.
6l9;
、
i
合 計 l.
国.
:
B6K
!40.
26lS
:
3l.
536x
6.
0216s
6.
026s
l.
26l.
405 100 16-
l 0 8-調味料の商品学的研究 表
一
5 しょう油の容器別生産量(出荷量) の割合 昭和49年 ( 単 位: %) 区 分 出 荷 量 % 特 33239 2.
6 缶 l83,380 l4.
5 び ん 2 」ll 32A.
248 25.
7 l.
8 1ll 385.
603 30.
6 そ の 他 8.
302 0.
7 ポ リ 容 器 l 」ll l62.
753 l 2.
9 そ の 他 68.
689 5.
4 そ の 他 95.
l 9 l 7.
5 合 計 l.
261,405l
l00.
0 表一6
販売先別出荷量 (昭和49年) ( 単 位:
ke
) 区 分 出 荷 量 % 間 屋 'il86.
620 62.4 小 売 IE
l82.
l14 l4.
4 生t
a
スー パ ー プライベートプランド 2 l.
l l 5 l.
7 自 社 プ ラ ン ド l2,515 l・0 展t
a
4 l.
987 3.
3 加 工 用(含む案務用) l07.
l29 8.
5一
般消費者(直 売) 77.
開 6.
2 そ の 他 3 l.
93l 2.
5 合 計 l.
26l.
405 100.
0 と,
表一
5 m
の ご と くびん容器が全体の約6割を占め主流をなしており,
次いでポリ容器,
缶 と な っ て い る。
しかし,
江戸・
明治時代に主流であっ た と こ ろ の 構 は 2.
6%
と少くなっているのが目立つ。
l2
a
食組庁,
前掲書より作成。
-
109 -1 7〔
3
〕 しょう油の観念的品質形成 生産過程で形成されたし ょ う 油 ( 実 在 的 品 質 ) は,
自家消費分のしょ う 油を除いては全て販売されなければならない。
では,
そのしょ う 油 は一
体 ど こへ
販 売 さ れ て い る の か を 『 し ょ う ゆ 工 場 実 感 調 査 結 果 表 』 に よ り み て み る と,
昭和49年では表一
6 の ご と く,
一
般消費者へ
直接に販売されるし ょ う 油 は 6 . 2%
で,
残りは卸売・
小売などの流通を経て最終的に一
般消費 者 の 手 に 渡 る よ う で あ る。
特に問屋と小売店へ
の販売が全体の中で8割強 を占めている。
次 に,
そ の 流 通 経 路 は ど の よ う に な っ て い る の か と い う 点 については,
各しょ う 油 メ ー カ ー で 異 な っ て い る と 考 え ら れ る。
そ こ で,
後述のしょう油の品質評価の項と関係のある宮城県を例に上 げ て み る と 図-
2 m の ご と く に な り,
中 央 銘 柄 ( 大 手 メ ー カ ー ) と地場銘柄とにおいて 図一2
しょう油の流通経路 l20 宮城県生活環境部消費流通課,前掲書,p.
1 2 l。
18-
1 l 0-調味料の商品学的研究 多 少 異 な っ て い る よ う で あ る
。
また,
前 述 の ご と く し ょ う 油 醸 造 業 界 で は 企 業 の 集 約 化 を 進 め て い る が,
まだその企業数は多く都道府県各地でしょう油が作られていると言う のが現状である。
そこで,
調味料の消費パターンで述ぺ た よ う に,
し
ょ う 油醸造でも地域的特質があると考えられる。
例えば,
図一
3的の ご と く 各 地方を「
移出型県」 , 「
移入型消費県」 ,
「
自給自足型県」
の三つのタイ ブ に 分 け る こ と が で き る。
また,
宮城県の移出移入先をみたのが表一
7
因 で あ り,
宮城県は「
自給自足型県」
で あ る こ と が 理 解 で き よ う。
なお,
こ の点についての詳細な研究報告m
が出ているので参照されたい。
。,
i
電
f ' ' '.
・-
タ
図一
3 しょう油の都道府県別出荷入荷量 (解ll5l年) ・.
f ・.
l 、,・タ
・.
f ' ''.
・ ;'事-
'・
と こ ろ で , 以上の流通過程ではしょ う油の物流を中心に述
ぺ た が,
その 流通過程にあるし ょ う 油 ( 実 在 的 側 面 ) に 関 す る 質 的 情 報 を 刺 激 と し て み る な ら ば,
それは「
感覚器官を通じて認知構造 (知覚されてその意味を把 切 日本日油協会, 全国告油工業協同組合連合会資料(昭和5l年) ょり作成。
因 日本営油協会,全国替油工業協同組合連合会資料(昭和5l年)より作成。
的 見 日 洋 子 , 片岡寛,「
商品としての當油一品名別留油の出荷における地 域特性一
」 , p p ・ l~28.
『商品研究」 , 第 2 8 書 , 第 1・
2 号,
l971r
。
-
1 1 l-
19表
一
7 富城集におけるしょう油の出荷入荷量(昭和5l年) 出 荷 先 出 荷 量 % 北 海 道 育 ;森 岩 手 秋 国 山 形 福a
的 玉 東 京 28 78 l.
259 5 67 489 4 39 0・l 0.
4 6.
4 0.
0 0.
3 2.
5 0.
0 0.
2 (計) (l,969) ( l 0.
0) 宮域(県内) l7,698 9 0 0 合 計 l9,667 l00.
0 ( 単 位:
ke
) 入 l野 先 人 荷 量 % 岩 手 秋 田 山 形 福a
茨 木 続 木 群 .場 千 葉 兵 庫 番 川 l.
003 8 l96 494 l82 5 l38 6.
5l4 97 l 2 3.
8 0.
0 0.
7 l.
9 0.
7 0・0 0.
5 24.
7 0.
4 0.
0 (1tt
) (8.
649 ) (32.
8 ) 富域(県内) l7,698 67.
2 合 計 26.
引7 l00.
0 握 す る 過 程 に お け る pattern) に結びつけて受止められる」
aa
l と 考えられ る。
すなわち,
し ょ う 油 ( 実 在 的 品 質 ) が 心 情 的 映 像 と し て 写 し 出 さ れ る こ と に な る。
と こ ろ が,
し
ょう油の質的情報の伝達時に「
計画された巧炒 な操作を施こされる場合には」n,
本来生ずぺきし ょう油の心情的映像から 乖 離 す る こ と が 考 え ら れ る。
こ の よ う な 乖 離 さ れ た 映 像 の 形 成 こ そ,
し
ょう油の観念的品質形成である。
し
たがって, その観念的品質は広告, 宣 伝,
口コ
ミ な ど に よ っ て 形 成 さ れ る と 考 え ら れ る。
しかし, それは前述の サービスが適切に実行されて始めて形成されるものである。
なお,
先のし ょう油の品質構造で,その観念的品質の例としてしょう油の包装を取上げ たが,以上の説明でも分かるように「
消極的包装」
よ り は「
積極的包装」
の方がより観念、的品質が形成されやすいと言うことであり,
包装が即観念 的 品 質 で あ る と 言 う こ と で は な い の で 注 意 さ れ た い。
さ て,
し
ょう油の観念的品質は広告・
宣伝,
口コ
ミ な ど に よ り 形 成 さ れ る と し た が,
実際しょう油の流通過程における費用のうち営業費用に含ま れる広告費はどの程度使われているのか大手メーカーにおける広告費につ 切 星富啓,前掲l!;,
P.
42。
破l 星富l書 前掲番,p・42。
20-
1 l 2-調味料の商品学的研究 表
一
8 しょう油の広告l
l ( 単 位:
百万円) 年 度 売上高 売上高利 益 営集費 広書費 広告費 商i
広告責 當 商l キッコーマンe
油 S5l.
l ~ l 2 S52.
l ~ l 2 l03.
7l8 l l 3.
336 32.
786 37.
4 l 0 28,9l7 33.
647 4,3,l6 4,873 4.
2 4.
3 l 5.
0 l4.
5 丸 金 資 油 S5l.
4-
52. 3 S52.
4 ~ 5 t 3 4.
52l 4,538 l.
327 l.
4l3 l.
l72 l.
3 l l l32 l79 2.
9 3.9 l l.
3 l 3.
7 l 3.
3 l 7.
0 4.
7 l.
9 サ ン ビ シ S5l.
4-
・52.
3 S52.
4~S3'3 l , 9 l 5 l,982 799 843 l20 37 622 696 2 li
l58 83l
4.
3 l l 8l
6.
0 豊 資 油 S 30l2~5l.ll S5l.
l2~52.
l l S5l.
l-
l2 654 l,053 l 0 3 l.
5 0.
3 ヒ ク'タ開由 l0,l94 3.
l46 3.
0l7 2.
765 9l 0.
9l
3.
3 イ チ ビ キ S5l.
l ~ l 2 8.
400 2.
489 l8,l 2.
2 7.
4 いて表わしたものが表一
8国で あ る。
と こ ろ で , 中 小 メ ー カ ー に お い て も 大手メーカーと真正面力・
ら 対 抗 し て い く 方 策 の l つ と し て「
一
一
従来のも の,
新しぃ
ものでも, 変化のはげしぃ食生活にマツチ す る こ と を,
新しぃ ゼネレ ーションの消費者に従更えっ
け ね ば な ら ぬ。
そのためマスコ ミを利用 するが, しょう油の売上高を7100t
意 円 と し て , そ の 約 3%,20億円の特別
経費を,
し
ょう油そのものの宣伝に使用できるよう態勢を要l備する必要あ る」
a
'
と し て お り,
正に観念的品質の必要性を唱えている。
国 キ ッコーマン性油, 丸金田油, サンビシ, 豊書油は大識省印刷局発行「
有 価証券報告書総覧」
に よ る。
また.
ヒゲタ留油, イチビキは広告動向研究会 編「広告主動向(l977年版)』.
ア ド・
レポー ト・
センタ一
刊 , p p・ 8 8~
9 l に よ る。
なお, 各メーカーにおける売上高に占めるし ょう油の割合は次のよ うになっている。
l l ) キ ッコーマン番油一
6 4.:
;% ( S . 5-
.
l~ 5
2. 1-
) (2) 丸 金 田 油一
9-
.
9 % ( S . 5 2 . 4~
5 3 8 ) (3) サ ン ビ シ一
9li.
9 % (S . 5-
.
4 ~ 5 3.
3) l4) 豐 管 油 一 2:;.
1 % ( S . 5 l . l-
~ 5:2.
1 l ) (5) ヒ ゲ タ 留 油 一 9 l.
0 % ( S.
5 l.
1 ~ 5 l.
l 2 ) (6) イ チビ
キ 一 5 l . 9 % ( S.
5 l . l ~ 5 l . l 2 )e
0 『食品工業」,光l株書院.
4 上.
1963.
P.
53。全国密油工業協同組合連 合会の「書油業界安定施;it
の大綱」を解説しており,そのうちのlつである。
-
l 1 3-
2 l調味料の商品学的研究 以上述ぺてきたように