246 (62) 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
ソン ヤ セイ孫野青(昭和34
博士(医学) 乙第1309号平成4年9月18日
学位規則第4条第2項該当(博土の学位論文提出者)
Elevated serum interleukin・61evels in patients with acute hepatitis (急性肝炎における血清IL・6値) (主査)教授 小幡 裕 (副査)教授 内山 竹彦,細田 瑳i一論 文 内 容 の 要 旨
目的 急性肝炎の発症には免疫反応が重要な役割を担って いると考えられているがその詳細は不明である.本研 究は,この急性の肝細胞障害における免疫反応を解析 する目的で,B細胞活性化を初めとして多彩な生物学 的特性を持つInterleukin 6(IL・6)と急性肝炎の重症 度との関連を検討した. 方法1.対象は急性肝炎6例(A型,B型,非A非B型
各2例),重症型急性肝炎4例(A型,B型各2例),劇症肝炎3例(非A非B型1例,薬剤性2例),急性
肝不全を伴った悪性リンパ腫2例であり,それぞれの 血清中IL6値を測定し,健常者21例の値と比較検討し た. 2.血清IL6値の測定は,未治療時に採血し,一80℃ に保存後,モノクローナル抗体を用いた酵素抗体法で 測定した. 3.統計学的解析は,各疾患群の平均値と標準偏差を 用いて,Student’s t-testによりp値が0.05以下を有意 差ありと判定した. 結果 1.各疾患群における血清IL-6値:健常コントロー ル(52pg/ml)に比べ,急性肝炎群16.5±14.6pg/ml, 重症急性肝炎群26.3±19.Opg/ml,劇症肝炎群(急性肝 不全を合併した悪性リンパ腫を含む)は490.2±261.4 pg/mlといずれの患者群でも有意に(pく0.01)に上昇 し,また肝炎の重症度に比例しIL-6値の上昇が認めら れた. 2.肝細胞障害の原因ウイルス等による差は特に認 められなかった. 3.これらの患者群におけるIL6値はプロトロンビ ン時間%(PTT)値との間に逆相関が認められた. 4.3例の重症肝炎患者で経時的にIL-6値を測定し た結果,血清IL-6値の上昇は,肝炎の治癒に伴い正常 値へ復帰した. 考察および結論 急性肝炎の発症に免疫反応が重要な役割を担ってい ることはすでに報告されている.IL-6の生物学的特性 に関してはすでにいくつかの報告があるが,急性肝細 胞障害時におけるIL-6の検討は今回の研究結果が初 めてであり,今回の結果はIL-6が急性肝炎で上昇し, またこのIL・6値は肝炎の重症度と密接に関連してい るという事を示している.IL・6は肝炎ウイルス特異的 キラーT細胞の機能を増強させるという事実もあり, 今回の研究の結果から,急性肝炎における肝細胞障害 の発現にIL-6を中心とした免疫反応が重要な役割を 示している事が考えられる.さらに今回の結果は血中 IL-6値の測定が,急性肝不全の早期診断にきわめて有 用であるという事も示している. 一880一247