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ヂフテリー経過中に発せる半身不随症の一例

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Academic year: 2021

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(1)

〔畜需蟹撫翻1灘諮〕

ヂフテリー経過中に嚢ぜろ独身

不随症の一例

東京女子馨學勢門墨校小見科教室(主任 磯田仙三郎教授) 東京市立本所病院(院長 村山博士)

荒d井 喜 登 子

アラ ヰ キ ト コ (受付 昭和17年10月30日) 薄 次 1.緒 論 2.症 例 3.丈献並びに考按 4.結‘論 5.参考丈献

1緒 論

ヂフテリーの維野中獲現する麻痺には感染病竃と關係深き個所に於て獲現するものと,経過中に 突然三身不随症を三稜するものとあり。前者に屡するものは末楕淋経性麻痺と考へらるるものにし て,頻度は久松氏は7・3%(274例中20例),多田氏は2%(448例中9例),馬島氏は0.7%(99 4鱒9例)淋氏は2%(833例中17例)脹氏は5・9 %(469例巾28例!・山蔦氏は0・48%・ に遭遇すと云はる。外國に於ては∫ochmannは患者総数め8%, Frledmannは15.5%,瓢住 且henka血pは3%の割合に遭遇すと云はる。流行の性質に依りて養生率に動揺あるも近時ヂフタリ ー一フ早期診断,治療法の進歩に依り梢々幾分減少の感あtp。最も多き嚢現個所は口蓋麻痺にして総 麻痺症例の過牟数を占む,之に次ぎ眼球調節筋麻痺,横隔膜,四肢,喉頭筋の麻痺を見る。 後者に属するものは,中櫃性示申経性麻痺と考へらるるものにして,その護現は稀有にして,百分 率を以って現はすに至らす,唯々稀れに一例報告あるのみなり。本邦に於ては,中野,出口爾氏に 依る二例,加藤氏に依る一例,問島氏に依る一例報告あるを知る。外國に於ては,Mtthlenkamp,

Sevy, Saxl等の報告あるも,斯く甚だ稀ts )e。

最近本所病院に於て從來の末梢憩経性麻痺とは趣を異にし悪性ヂフテリー経過中第17病日に突 然定型的琢る牛身不随症を併獲し,比較的毎期間にして,殆んど治癒に赴きたる一例に遭遇したる を以って経過の概要を鼓に報告し諸家の御高教を仰がんとする次第なり。 2 症 制 患者.曹OO,6歳,男子(孚島入) 一 83 一一

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ゐ 家族歴,特記すべきことなし。 既往歴,麻疹を輕過したる外著患を知らず。 :現病歴i,昭和17年2月26日夕烈悪感を俘ひて,獲熱せ’しも検温は行はぎりき。咽頭痛張く,腹痛を訴へた %アンギーナとして診療さる03月1日ヂフテリ・一一と診籔確定し,ヂフテリー治療血清800⑪輩位の注射を受 け本院に門院牧即せらる。 入院時所見(第4病日) 艦絡中等,断罪良,皮膚伍々蒼白なるもチアノーゼを認めず。盤温38.2℃脈搏108至,整,緊張良,呼吸 29を算す。聲昔噺暖なり,頚部淋巴腺(顎下腺)は爾側共に雀卵大に腫脹し璽痛あYo胸部,腹部及び四肢に 異常を認めず。舌は精々乾燥し白苔を被る。爾側義脚腺は著明に腫脹し友白愈の義膜を附着し義膜は更に軟口蓋 より懸塞垂に及び壊疽性ヂフテリ帥に特有なる口臭あり。嚥下痛を訴へ,食思不振なb,ヂフテリー血清5GOO 壁皿智肝内に逼加注射す。咽頭及び鼻腔よリヂフテリ{菌を培養謹明す。 其の後の輕過 3/K 第6病H 盤濫38.0。C代,脈搏:120至,整,緊張良にして咽頭には義膜尚存准し嚥下痛を訴へ,食思不振なり,レフ レル氏培養基にて咽頭及び鼻腔よyヂフテリー菌多敷を認む。顔面及び足蕎に淳腫輕度に存在す。尿量400, 尿所見彦ま, 上巳重 1014, 蛋白反鷹「戸ξ夢度陽性な)0 5厘 第8口恥 燈温37.0℃代に下降し,川町は盤濫と共に減少せり。咽頭所見輕刑する屯義膜樹輕度に存左し嚥下痛輕快す1 るも爾食思不振あYo尿量200,比:重1016,蛋白反癒中等度陽牲なり0 7雌 第10病日 咽頭義膜潰失せり,頸部淋巴腺の腫脹,墜引目快せη,嚥下痛は訴へぎるも面食怠不振なVo 8/璽 第11病婦 ヂアテリP・菌陽性(咽頭及び鼻腔)尿量100,比:重1⑪24なり0 9/皿 第’12日日 尿量70。肉眼的血尿は不明なるも沈渣にて,上皮細胞(什),白」血球(糾),穎粒駅圓柱(十),赤血球(十),を 詮舅せP,淳押型存す。脈搏は結帯を時に示せη,心書純,胸部濁暑なし,呼吸書正常なり。 11/璽 第 14病日 ヂフテリー菌陰性(以後3日目毎の培養三里にて陰性なの0 13/巫 第 16 曜日 上腹部の甚しき耳痛津訴ふ,食思不振なり,肉眼的血尿を挑泄すo

14価第17病日

早朝起床と共に附添の母親に依妙て,顔面の不整封稻及び左側上下股の麻痺に氣付かる,されど それ迄に痙攣獲作は之を認めざりき。 當時の所見 左側に於て鼻唇溝は淺く口角梢々低下し,舌尖憾左側に傾斜す。瞳孔は左右同大にして樹光反慮 著明にして調蔀機能,共同偏硯は認めす,左側上下肢は共に無力歌態にして,随意運動全く不能な 一84一

(3)

19ユ 9,知毘過緻症を認む,軟口蓋及びロ蓋帆に著縫なし,左右共腹壁反射全く浩失し,提睾筋反射左 右共消失し,膝蓋灘反射,アヒレス腱反射充進し,二頭三頭簿筋反射充進す,ケルニツヒ及びバビ ン界キー氏症歌なく,足捺搦陽性なり。.心濁音界右側は胸骨右縁,左側は左乳線外二横指にありて 心尖三二もこれに一致す,心音に雑音を聞かす,その他胸腹部には異常なし,血塵左側最高80最 低 60,右側最高 85 最イ氏 75 なり◎ 三三心働岡に於て,Pは各誘導に於て分裂するも振肥せS’, P3陰性なり,S−Tの学位は認め す,T、, T,は扁平, T、陰性, PQ,.QT間隔には異常を認めす, SL及びR、「 蛯ノして帥ち心筋 障碍及び右心室肥大の像を呈す。 噛三三髄液所見,初回125,水様透明,細胞数7,ノンネアペルト氏反慮i陰性なり。尿量!50にし て排便なし0

16/皿第19病日

並L駆左側最高80最低50,右側最高90最低50なり。三下心働圖は略々第17病日と同様な像 を呈す。尿は蛋白(H)エスバッハ20%,沈渣は顯粒状圓柱(什)上皮細胞(十)白血球(替)赤 .血球(軒)なり。

18三三21病日

言語は殆んど障碍なし,丁丁:搦同割なり,血璽1左側最:高95最低60,右側最高95最低60な鮎 竜町回働圓に於てT波は各誘導共に陰性となりそめ他は前同と略々同様なり。

20/皿第23病日

丁丁筋反射陽性となり腹壁反射も陽性となる食思昌々可なり,尿所見は蛋白反恋陽性(1%),沈渣 は上皮細胞(什),顯粒状圓柱(什),白dilig:(什),赤血球(十).にして次第に快方に向ふ,電氣心働 圖は前同と三々同様なり。

23k貿i第26病日

尿所見蛋白反慮0.5%,細胞撒減少,1憾≧は左右側の差なく最:高100,最:低60なの。 29/皿: 第 32 病日 夜中に上肢:を動かせりと附添ふ母親は云べり。 30/Ili. 第 33 断勾日 尿中蛋白反慮陰性となり、,以後引練き陰性なり,電氣心働圖は前同と略々同様ゐ像を呈す。 9/N第as.二日 下肢の随意運動可能,電氣心働圖に於て三々前同と同様にしてP波の分裂は術認むるも陰性は潰 失す,T3樹陰性なるもT,, T2は梢々高まれρ。 11/.N 第45三日 上肢の階意運動可能なり。

19/A7第53二日

辛うじて歩行可能となり,左側破行すと。 一85一

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20/IV第54病日

血墜は量高90最低60なり。電氣心三岡は前回と三々同様。 ’22/IV第57病日 歩行し得るも左側多少肢行す,握力躬し,左側上下肢の腱反暫充進す。 治療法としては前配の如くヂフテリー治療lfiL清を使用せし外,尿中に蛋白を誰明したる闇は腎臓

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(5)

画面笹を與へ,食思不振の際は5%葡萄糖溶液200∼300ccを,心臓衰弱に面しては,ウアバニ. ン,アンナカ,ビタカンフル等を毎日使用す,麻痺に録しては第36病日以後毎日Faradisasion を10分間宛行へり。

3文回避びに考按

丈献を案ずるにRollestonは「隔心不随は元來血管に灘乱す。心内膜炎よ)起れる心臓血栓のため生ずる謄 姓栓塞の結果なり」と蓮べ,Joch皿annは腹子動脈に於ける栓塞の例を報告し此の患者に於て心臓に障碍を認 め血栓形威に依る栓塞なるべしと述べらる,MUhlenkalnpは中i毒牲ヂフテリー経過二二15病目目に右側牛身 不随症を來し,翌16三日に死亡し,直ちに解割せるに左ジルビ{氏窩動脈に栓塞を謹明せりと述ぶ。Savyは 7歳の患者に於て痙攣,護熱を以って右側牛身不隣症と失語症とを惹起せる一例を報告し,又Saxlは8歳の小 児に於て略々同様の輕過を取れる一例を述べ,ジルビー氏窩動脈の栓塞にて,しばしば腎臓栓塞を惹起すと報告 す○我が國に於て鋤口藤氏は鼻ヂフテリーに罹患せしと推測せらるる頃よ”登然苦痛症歌なく依って何等の治療 を受けず日常と墾Pなき生活を拒めるため後麻痺護病後は趣めて急:激なる経過を野州,僅か襲病二日間にして死 亡せる一例を報皆し,温血に依るか」血管栓塞に依るか明らかならぎる四病竈は恐らく左側内嚢附近ならんと蓮べ らる。・矢島氏は14歳の女子にして嬢疸・性ヂブテリー謎過中即身不随症を惹起し治癒せる一例を報告す。又川島 氏は9年の男子にして咽頭ヂフテリ{獲病後二週間にして,胸内苦悶,呼吸困難,冷汗撃を訴へ,間もなく突如 言語障碍,右牛身不随症を慧起せる一三を報告しヂフテリー毒索に依b心臓辮膜障碍を冒し血栓を甲州しその結 果農せる謄栓塞な塑と述べらる。中野,出ロ爾氏は3年の男手にしで,痙攣と解熱,關節痛を以って孚身不随症 を惹起せる治癒例及び5年の女子にして第12病月に二身不随症を即せる治癒例を報告せYo以上の諸氏の報皆 eSるicヂ・テリ吻輕過囎勝る暢不織の三生機四二獅確囎と則ヂ・テ.リ噛或はそあ毒素に 依る神輕系の特殊なる症釈に昨ずして輕過中に起払る心臓衰躬の爲に心臓内に血栓を形成し,その遊離ICより脾 臓,腎臓に於ける栓塞を見るが如く,臓栓塞を形成し雫身不随症を偶下するものと考へらる。 本症例は前記諸家の報告と類似の黒占多し,邸ち6才の男子にして悪寒稜熱を以?て獲病し,咽頭 痛及び腹痛を伴ひ咽頭は三三扁桃腺から軟口蓋,懸塞垂に及ぶ次白色義膜を認め口臭甚し,雨側顎 下腺腫脹し塵痛甚しく典型的なる三三性「ヂフテリー」なり6「ヂフテリー」治療血清総量120001 霊位使用により咽頭所見漸次輕快し艦温脈搏共に漸次下降せるも第エ3病日脈搏稽々不整となり, 緊張云々不良にして,尿量の激減を來し,顔面及び足脊に二度の浮腫を認めたり,尿は黄色澗濁し 蛋白陽性,焼塩,上皮細胞,血球(赤,白)を認む,第15病日には腹部の激痛を訴へ肉眼的血 尿を排尿す。第17病日突如左側素謡運動麻痺を惹起せるも痙攣,意識洞二等は全く認めす,」血駆 及び謄脊髄液所見より見るも臓膜炎,謄炎,臓出血,尿毒症に依る麻痺は総て除外し得らるxもの なtp。その原因(獲生機轄)は,.電回心一帯に依り心筋障碍は明らかにして,即ち壊疸性ヂフテリ ーの経過中心臓衰弱に依1),心臓内に血栓を形成し次で獲生したる臓栓塞に依るものかとも考へら る◎同時に腹部に激痛を訴へ尿量激減し,肉眼的血尿を排出せることは一部血栓の腎臓栓塞と考へ られ臓栓塞を立腰するに甚だ意昧あることと云はざるべからす。三論後は良好なり。 一一

W7一

(6)

4 結

本症例は6才の男モにして,壌疽性デフテリー・の恢復期に血尿を認め次で牛身不随症を獲現し, 電氣心働圖に依りて,心筋障碍を認めたるも,幸に麻痺は殆んど治癒せる例にして獲生機縛は心筋 障碍に依夢心臓内に悪1栓を形成し次で腎臓及び謄に栓塞を惹起せるためならんと考ふ。 摺筆するにあたり御指導と御校閲を賜はりし本駈病院長村山蓮三先生,副院長郷ロサ逓先生叢びに磯田教授に .謹みて謝意を表す。 参 考 文 1) 久松業顧郵: 日本田面病學會雑誌 13巻(昭覇13年) 2) 張前妻…fj:見科羅誌 44答1號. 3) 出心知: 日本傳魚膠抗血雑誌 13巻(昭和13年) 4) 口塞春男:.日本群山前職會雑誌 13審 (9盈 1・p 13年) 5)麟光一:日本傳染病打々雑誌 11魯(昭和12年) 6)加蓬種一=臨床小見科雑誌 第10年第4號(昭和11年) 7) 鶴箋Lサチヨ: 臨1床ズ『、児科雑誌 第i4年簾9號(昭禾015年) 8)矢島巖二成馨會臨床 第5巻 9) 中野董綴,出口刈雛:東京市立紺染病院業績愚慮(箪1「司)(昭和10年3月) 、10)大盛祐之助:Elektrokardiogramの臨床(昭和10年) 11) 橋本寛敏: 臨床蓬馨學講…座 119 12)内藤壽七郎:幽幽雑誌46巻10號(昭和15年)

19) Levy Maurici et Sedourdy:Ref 2bl Kinderheilk.3151931年 14) Saxl Otto: Ref 2bl Kinderheilk. 25. 421 1930 ili1

15) Friedrnann:Handbueh der lnfek 1 Bad lefekLLions krankh.

16) Jochmann; lnfeksionskrankheiten, 2te Auflage ,17) Hamburger; Diphtherie kurzgefasstes.Handbueh

ユ8) Rolleston :Bkt. med’Jouer 1.5501934年

:19)Mtth畳emkamp :K:1. Wochenschrif七Nr.401934年

参照

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