Title
高性能林業機械の効果的運用法の検討( 内容の要旨 )
Author(s)
松村, 哲也
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(農学) 甲第233号
Issue Date
2001-09-13
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/2574
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。氏 名(本(国)籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番、号 学位授与年月 日 学位授与の、要件 研究科及び専攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目 審 査 委 員 会 松 村 哲 也 (広島県) 博士(農学) 農博甲第233号 平成13年9月13日 学位規則第4条第1項該当 連合農学研究科 生物舞境科学専攻 信州大学 高性能林業機械の効果的運用法の検討 主査 信州大学 教 授 新 田 副査 信州大学 講 師 井 上 副査 静岡大学 教 授 古 谷 副査 岐阜大学 教 授 戸 松 三 裕 郎 修 論 文 の 内 容 の 要 旨 ハーベスタやプロセッサをはじめとする高性能林業機械を取り巻く社会的環境は,導入 初期と現在とでは大きく変化している。森林に対する期待が,木材の生産から国土や生活 環境の保全向上といっ考公益的機能へと変遷した.ことや,林業労働者の高齢化などがその 例として挙げられる。 このように当初とは異なる状況の中で,高性能林業機械による機械化を次世代に向けた 林業基盤技術のひとつとして位置付けた場合,現状における高性能林莱機械の能力の正確 な評価が重要な課題となる。これまで,こうした評価にあたっては理想状態もしくはある 特定の作業事例に串ける最高性能や生産性などの分析がなされる事が多く,また,方針と して機械導入によってもたらされるメリットの追求が中心に据えられていたと言えよう。 しかしながら,とりわけ林業を取り巻く諸々の環境が厳しさを増している現在では,導 入に伴って発生した悪効果や,機械の故障,維持管理費用など,普段表面化しにくいリス クやコスト,デメリットも含めた実際の運用状況を明らかにする必要がある。 そこで本研究では,作業現場の実地調査,林業事業体に対する聞き取りやアンケ「ト調 査などの手法を用いながら高性能林業機械化の現況調査を進め,メリットだけでなくデメ リットも含めた実晦の姿を明らかにし車上で,機械を効果的に運用する方策について考察 をおこなった。 はじめに,全国の林業事業体における高性能林業機械の導入履歴を追跡し,地域的特長 や導入機種の構成を調査した。これにより,高性能機械化の比率が最も高いのは北海道地 域であることが確認され,また,中国四国地方ではグラップルローダおよびグラップルソ
ーの装備率が高く,従来型機械による大型機械化が進展した現状にあり,今後はこれらの 機械がプロセッサなどの高性能械械に取って代わられることが予想されるなどの結果を得 た。そして,機能の異なる機種を複数組み合わせて用いる作業システム構成としては,調 査対象の422事業体のうち高性感林業機械を1機種のみ導入している事業体が最も多.く 全体の約54%を占め,次いで2機種を導入している事琴体が約31%などとなり,高性 能林業機械をほぼ全種類組み合わせていると考えられる5桟種以上を導入した事業体は約 1.4%,6社に限られ,高性能林業機械のみで構成草れた作業システムの構築は未だ進んで いない現状が明らかになった。 続いて,高性能林業機械の使用の実態と,機械の導入によってやたらされた効果につい て,オペレ一夕研修受講中の初心者,すでに業務に就いているオペレ丁夕,機械を導入し た事業体の経営担当者の,それぞれ立場の異なる3者に対して,聞き取りおよびアンケー ト調査を実施した。寄せられた回答からは普段表面化しにくい現場の声を集めることがで き,■機械の導入が新規就労者対策に効果的であることや,不意の故障に対する備蓄金額, 故障頻発個所など高性能林業機械の運用にともなう不具合の事例に関する情報を集めるこ とができた。 この間き取りおよびアンケート調査によって得られた知見を基に,宮崎県林業労働機械 化センター所管のリース向けプロセッサ13台について,機械導入時から記録された詳細な 補修履歴を追跡し,機械の運用にともなって発生した補修作業の内容・補修発生動機・費 用を分析した。これにより平常の機械維持に必要な費用および故障や破損など不意に発生 した不具合の補修費用を明らかにすることができた。そして,高度な技術を必要としない 軽微な補修が多く発生していることに着目し,こうした軽微な補修作業をユーザー自身が 実施することによる機械運用にともなって発生する費用の抑制効果について考察した。 一方,既存の機械に対して軽微な改良を施すことで,機械の持つ機能を増加向上させ得 ることの事例として,機械の外装カラーデザインを採りあげた。個人の色覚特性によって は械械の視認性が低下し,色彩による災害防止機能が十分に発揮できない現状のデザイン に対して,白色による綾取りなど無彩色による境界域を追加することで,視認性の確保, 安全性能の向上,色覚バリアフリー化が成し遂げられることを示した。 これらの調査結果および得られた知見を基に,高性能林業機械化を進める際のリスクマ ネージメントの必要性にフいて考察し,失敗を避ける具体的な方策として,機械の不具合 や,それに対する対処策,改善事例など,ユーザーが互いに経験を交換できる情報共有ゐ 場の創設,伐倒などの主たる用途以外の場面にも転用できる機械の選択および開発の促進, そしてカラーデザインの変更など既存の機械の改良促進を提言するに至った。 審 ′査 結 果 の 要 旨 平成13年8月1日、信州大学農学部において審査員全員出席のもとに公開発 表が行われ、1時間にわたる発表と30分間の質疑応答が行われた。