セラミックス
2016 年 4月26日(火),5月10日(火),17日(火)
工学部 材料工学科 教授 永山 勝久
第 3,4,5 回目
( 2号館 2301教室 )
ニュ-セラミックス(ファインセラミックス)とは
オ-ルドセラミックスとは? 窯業製品:陶磁器,ガラス,セメントなど ・・・無機物系原料を熱加工した“焼き物”の総称 脆くて割れ易いという致命的欠点を有する 天然の無機物原料を焼結 図:マイセン* のティーカップ *マイセン・・・高級食器の代名詞 と言われるドイツの高級食器 ブランドメーカー (特に,ティ-カップが有名)ニュ-セラミックスとは?
原料自体を人工的に合成し、高純度かつ微細・ 均質化した無機化合物(ファインセラミックス)を 精密な製造・加工工程を用いて焼結したもの ①高温でも硬い,②燃えない,③錆びない,④圧力を加えると 電気を通すなどの優れた機能を有する新しい材料の誕生 ※ セラミックス原料 ・・・ ①高純度(: ~99.9%以上) ②粒子径の微細化(:0.2 μm程度) → 粒子径の微細化に伴う表面エネルギ-の増大を利用して 焼結性の向上とセラミックス製品自体の緻密化を促進 cf.ファインセラミックス(Fine Ceramics)=微細 結晶粒セラミックスセラミックスの構造
図:セラミックスの単結晶と多結晶の構造概念図 (通常の材料の単結晶と多結晶構造) 『単結晶体と多結晶体』 について (a)単結晶体・・・ 結晶中の原子配列が連続で、一つの面方位のみ有する結晶 (b)多結晶体・・・ 種々の大きさの結晶粒の集合体で、結晶粒同士の結合界面には 結晶粒界(非整合部分)が形成される( ← 通常の材料) (⇒ ex.半導体Si )『多結晶体の定義』・・・種々の大きさの結晶の集合体で、結晶粒同士の 結合界面には結晶粒界が形成される 『結晶粒界』は異なった方位を有する結晶の結合部分(非整合部)であるため、 非整合界面に起因する格子欠陥や格子ひずみなどが発生し、かつ不純物が 偏析する 『多結晶体の一般的組織構造』 :① 気孔(pore)が存在する ② 不純物を構成主元素とした ガラス相の形成(:焼結部分液相化) ③ 冷却時に形成された微小亀裂 (・・・凝固収縮に伴う結晶粒の 異方性により生じる微小割れ) 『多結晶体中の構造欠陥』 ( ⇒ 結晶粒界,気孔,微小亀裂,ガラス相) ↓ 構造特性(特に,強度特性)を劣化せる ため、高強度セラミックス材料では気孔 を減少させ、結晶粒を微細化させる 図: 多結晶体の微細構造 (セラミックス多結晶体の 微細構造 ・・・『クラシックセラミックス』) (粒界、粒内)
半導体Si:【図1 参照】
Si
・・・精製による高純度化→電気抵抗の増加 99.999%:100kΩ(絶縁体) 半導体Si : 0.01% ( 1万分の1,100ppm ) の不純物ドープにより, 電気抵抗が1Ω以下(10万分の1以下に低下) ・・・不純物ドープ:p型:3価元素添加(Bなど)電子が1個 不足 n型:5価元素添加(Pなど)電子が1個 過剰『単結晶体の代表材料』
(a) アクセプタ(B 3+)とホール(:p型半導体) (b) ドナー(P 5+)と電子(:n型半導体) 図1 不純物半導体のホールと電子 単結晶Si の作製 ( m.p. = 1412℃ ) 通常冷却・・・融点以上からの徐冷→多結晶Si 単結晶Si・・・単結晶を溶融部に接触させ,融体から徐々に引下げる 【CZ法】 ( ⇒ 工業的には直径300mmの単結晶が生産可能) 多結晶体・・・ 結晶粒(grain):粒内の原子配列は一定(整合) 結晶粒界(grain boundary):原子の配列が不整合(エネルギーの高い状態) 粒界・・・電子の運動を妨害する(電子の移動,mobility を低下させる) 半導体・・・ドープした微量元素が粒界に集中し,粒内での効果が発生しないため単結晶化する
図 単結晶製造装置(チョクラルスキ-法)
※ 単結晶製造法 [CZ法:チョクラルスキ-(Czochralski)法]注)
図 MCZ法 * で作製した大口径(直径:300mm)単結晶Si * MCZ(Magnetic field applied CZ)法
:Si融液中の対流を抑制・制御し、融液に磁場を印加させ、 大口径Siを作製する新プロセス技術(信越半導体(株)より) 単結晶の種子結晶を高周波溶解や抵抗加熱法によって加熱・溶融し、 下部に設置されたSi溶融体と接触し、上部に引上げ種子結晶と同じ方位 を有する単結晶を成長(結晶成長)させる ・・・ 『半導体Si製造用装置(~10インチ・ウエハ-作製用 ← 大口径化)』
固体Si(微小単結晶) - 融液Siの接触界面における『結晶成長(Crystal Growth)』
注)1916年にポーランドのチョクラルスキー が発明した金属の単結晶化技術
CZ法による単結晶Siの製造法
CZ法を用いた単結晶Siの引き上げ機構
MCZ (Magnetic field applied CZ)法
:Si中融液中の対流制御を目的に 融液Siに磁場を印加する手法
CZ法を用いた大口径単結晶Siの引き上げ 時の写真 単結晶Si引き上げ用 石英ルツボ CZ法を用いた大口径単結晶Si (現在は、直径300mmまでの 単結晶Si製造が可能) Siウエハー
大口径単結晶SiとSiウエハー
日本は世界第1位の大口径単結晶Siの生産量を有している
現在は、99.999999999%(11N)の超高純度と30cmの直径かつ長さ 約1mの大型単結晶Si製造に成功し、0.5~1mm程度に薄くスライスし、 IC,LSI等の高密度集積回路をSiウエハー上に作製する
200mmのSiウェーハと 300mmSiウェーハでは、 面積比が300/200=1.5 の2乗(=1.5 2)となり、 ICチップが2.25倍採取可能 図 Siウェーハサイズ(口径)の変遷 (・・・現在は直径300㎜,今後は450㎜) Siウェーハの大手企業 ・・・世界全体に占める日系企業のシェア:60% ①信越半導体、②SUMCO(日,住友・三菱系) ③MEMC(米)、④Siltronic(独)、⑤コバレント マテリアル(日,旧 東芝系)、⑥LG Siltron(韓)
バルク状の球状単結晶Si表面に集積回路
を形成する次世代3次元電子デバイスへ
応用( ⇒ 集積密度の顕著な向上)
次世代3次元デバイス
『半導体(semiconductor)』 の定義
電気を通す『良導体』や電気を通さない『絶縁体』
に対し、それらの
中間的な性質を示す物質
である
電気伝導性を周囲の電場や温度によって敏感に
変化させる性質
は、近年における種々の電子機器に
とって極めて重要であり、電子工学(エレクトロニクス)
で使用される集積回路(IC,LSI,VLSI等)の半導体
デバイス素子は、この半導体の性質を利用している
※
「半導体:semiconductor」
・・・
“semi-” =「半分」
と
“
conductor” =「導体」
から生まれた単語である
p型半導体(positive semiconductor)
・・・4価のSi結晶中に3価のBをドープした時の模式図
(正孔(ホール)の移動によって電荷が運ばれる半導体で、正孔は、 電荷を有する荷電粒子(キャリア)として半導体特性を示す)
n型半導体(negative semiconductor)
・・・4価のSi結晶中に5価のPをドープした時の模式図 (5つの赤い丸がPが有する価電子であり、1つだけ余った e- の
図 金属(a),半導体(b),絶縁体(c)におけるバンドギャップ (禁制帯幅):Eg の模式図 ある種の半導体では比較的容易に電子が伝導帯へと 遷移することで電気伝導性を持つ伝導電子が生じる 金属ではエネルギーバンド内に空準位があり、価電子 がすぐ上の空き準位に移って伝導電子となるため、常に 電気伝導性を示す バンドギャップ(禁制帯幅):Eg = 伝導帯-価電子帯のエネルギー差
『半導体材料』 の種類
1.IV族半導体(単体結晶):Si,Ge など 2.化合物半導体 2.1. Ⅱ-Ⅵ族半導体:ZnSe,CdS,ZnO など 2.2 Ⅲ-Ⅴ族半導体:InSb,GaSb,GaAs,InP,GaN など 2.3 Ⅳ族化合物半導体:SiC,SiGe など 2.4 Ⅰ-Ⅲ-Ⅵ族半導体 :CuInSe2などのカルコパイライト系半導体 3.有機半導体 (Siを使用しない化合物半導体,ABC2型) 『応用例』 ・・・① 各種半導体素子(トランジスタ、ダイオード、LED等) ② 太陽電池( ⇒ p型半導体とn型半導体を p-n接合) 注)『p-n接合(pn-junction)』(※ 第3, 4, 5回目 HP掲載資料 ⑱ 参照) :半導体素子中で、p型とn型半導体が接している部分,p-n接合部 で電子やホール(正孔)が不足するため僅かな電流が流れ(=整流 作用)、ダイオード,トランジスタ等の各種デバイス素子に応用される図 半導体のp-n接合部の構造(模式図) 注)『p-n接合(pn-junction) :p型とn型半導体の接触部分』 :p-n接合部では、電子やホール(正孔)が不足するため、 空乏層が生成し、電子と正孔が互いに拡散し、僅かな電流 が流れ(整流作用,発光現象,光起電力効果などが発生)、 ダイオード,トランジスタ等,各種デバイス素子に応用される (1)p型とn型半導体接合部で電子と正孔が拡散し電流が流れる様子 (2)接合部分に電子と正孔が少ない空乏層が形成され、電子と正孔 をn型およびp型領域 に引き戻そうと する内蔵電場 が生じ、これに よってキャリア (電子と正孔) が動き電流が 流れる (ドリフト電流)
太陽電池用Si(ソーラーパネル)
太陽電池(Solar cell)は、光エネルギー(太陽光)を利用し、 直接電力に変換する自然エネルギーを利用した電力機器 近年の技術革新によって、1W当たり約100円の薄膜型の 安価な製品も実用化され、2010年度から本格的に世界中で 価格競争と新プロセス技術開発が進められている 図 太陽電池用Siソーラーパネルと構造『
III-V族化合物半導体
』 とは何か
:III-V族半導体は、III族元素とV族元素を用いた半導体 である。 2種類以上の元素を組み合わせた半導体を 化合物半導体と呼び、Ⅲ-Ⅴ族化合物半導体 とも呼ばれる 代表的なIII族(13族)元素としてはAl,Ga,Inが用いられ、 V族(15族)元素としてはN,P,As,Sbが使用される この他、B,タリウム(Tl),BiもそのIII-V族化合物半導体を 構成する元素である。 また、V族元素として窒素を用いた GaN,AlN,InN 等を、特に, 『窒化物半導体』 と呼ぶ 半導体Siと比較して、III-V族化合物半導体はその多くが 直接遷移型の半導体であるため、発光ダイオード(LED)や、 レーザーダイオード(LD)をはじめとする発光素子に用いら れる。またSiとはバンドギャップエネルギーが異なっている ため,フォトダイオードといった受光素子(InGaAs)にも用 いられる①集積回路IC(Integrated Circuit) :半導体で構成された電子回路 複数の回路が複数の端子を有する 小型パッケージに封入されている (・・・多数の素子を一つにまとめた 電子部品) ②大規模集積回路LSI
(Large Scale Integration) :1970年代に開発されたコンピュータ のメインメモリ用電子部品
③超大規模集積回路:VLSI
(Very Large Scale Integration)
:1980年代に開発され始めた大規模な集積回路 10万~1000万個程度のトランジスタ素子
が集積されたマイクロプロセッサ 『応用例』
:CCDセンサ(Charge Coupled Device Image Sensor)
CMOSセンサ(Complementary Metal Oxide Semiconductor)
・・・デジタルカメラ,
パソコン,携帯電話,デジタル家電,カメラ用
各種電子機器用セラミックス製基板とICパッケージ
(超小型電子回路保護用材料,左:基板、右:パッケージ)
多層セラミック回路基板 (スーパーコンピュータ用)
各種半導体レーザー材料
(LED:L
ight
Emitting Diode,発光ダイオード)
レーザーポインター 青色LED (GaN) 窒化物Ⅲ-Ⅴ族セラミックス化合物半導体LED薄膜の構造 青色LED 2014年度 ノーベル物理学賞 赤崎,天野,中村氏
発光ダイオードLEDの応用例
自動車用ヘッドライト
(2007年5月,トヨタ・ハイブリットカー レクサスLS600hに初めて使用) iPhoneのバックライト
白色LED照明の世界市場
白色LED:1 - 2W 白色電球:60W 2万~6万時間 1000時間 白熱灯に比べて約87%、蛍光灯に比べて約30%消費電力 が削減可(・・・『省エネルギー型次世代照明』) 白色LED:青色LEDと黄色発光体を使ったものが最も普及 ⇒ 青色LEDの発明によりLED照明は実用化 億円光ファイバー用セラミックス材料
石英ガラス(SiO2)製光ファイバーは、1秒間に地球を5周 程度回る速度(秒速約20万km)で大容量のデジタル信号を 高速伝送し、損失量は1kmで数%程度と極めて小さい
レーザー素子用セラミックス材料
1.医療用
・・・歯科口腔内・外科治療用レーザー
①歯肉切開や歯周治療など軟組織用メス
②歯や骨などの硬組織・外科手術用メス
2.情報・家電用
・・・光ディスクCD,DVD,MO等の
記憶データ・情報読み出し用レーザー素子
レーザーマウス,レーザーポインター,
LED
ルビーレーザー (Ruby laser) ルビー:Al2O3 (アルミナ)中の Alを 0.01~0.5%程度、発光原子Crで置換 ネオジムヤグ (Nd:YAG) レーザー エルビウムヤグ (Er:YAG) レーザー YAG:イットリウム・アルミニウム・
ガーネット(Yttrium Aluminum Garnet)
:YとAlの複合酸化物(Y3Al5O12)から 成るガーネット構造の結晶 ルビー(人工宝石) ①医療用、②情報・家電用以外にも、白色,赤色等 発光ダイオードLEDの蛍光体や人工宝石としても多様 (セラミックス固体結晶を用いた固体レーザ-発振素子) サファイア(Sapphire)は純粋なAl2O3)
高温高強度セラミックス材料
- 金属に代わる次世代構造材料 -
1.自動車用材料
①排ガス浄化用セラミックス HC(炭化水素),CO(一酸化炭素), NOx,SOx(窒素,硫黄酸化物) 等 を吸蔵させる触媒用セラミックス担体(吸着フィルター) ②排気ガス測定センサー用 ③スパークプラブ (ガソリン着火素子 ・・・自動車への 最初の応用)放電着火素子⇒
④エンジン用セラミックス
・・・高温・高強度・活性雰囲気 ・冷却不要な高性能エンジン⑤ターボチャージャー
・・・高温・高強度・軽量特性を 有する高性能ターボチャジャー (窒化珪素Si3N4) 『セラミックエンジン』 :エンジン部品(シリンダ、ピストン、ターボチャージャー等) にセラミックを使用することにより性能向上を目指し展開中 ⇒ 今後のさらなる研究開発が急務酸化物系高温超伝導材料
(High-temperature Superconductivity)
1986年にスイスIBM研究所のベルノルツとミューラーによる La-Ba-Cu-O酸化物系 酸化物系高温超電導体 の発見・・・1987年に ノーベル物理学賞受賞 ↓ Y-Ba-Cu-O系 Bi-Sr-Ca-Cu-O系・・・ の発見によるTc増大 ↓ MgB2:2001年1月 青学大 秋光 純 教授により発見 Tc=39Kの金属ホウ化物 ・・・ 金属系の限界23Kを超越 (2001年3月 Natureに発表) MgB2:巨大な電子-フォノン 結合(クーパー・ペア)を有する Tc=39Kの金属系新超電導体超伝導物質発見の推移
①BCS(金属)系(Hg⇒MgB2), ②銅酸化物系(1986年 La-Ba-Cu-O⇒)
① リニアモーターカー
:磁気浮上式リニア(JRマグレ ブ Linear 0系)試験走行として 世界最高の603km/hを記録 JR東海では、現在,開発中 の『磁気浮上式鉄道』のことを 「JRマグレブ(JR-Maglev)」と 呼んでいる。"Maglev"は磁気 浮上式鉄道を意味する ⇒ 『リニア・中央新幹線』 東京(品川)-名古屋間 290km(40分間) 2027年運転開始予定 磁気浮上式リニア(上海トラ ンスラピッド) - 世界最高速の 営業運転(430km/h)走行中 総予算:9兆300億円 2045年に全線開通 :東京-大阪間:1時間7分 (平均時速500kmで走行) 2015年4月21日(月),JR東海発表 :山梨リニア実験線で行った有人走行試験で 世界最速速度,時速603kmを達成② 超電導材料を利用した電力貯蔵システム
注)超電導電力貯蔵システム:SMES
Superconducting Magnetic Energy Storage System 電気抵抗がゼロとなる 超電導状態のコイルに 電気を流し続けることで 電気エネルギーを貯蔵 する装置システム 超電導コイルに 損失ゼロで電流 を流し続けて、 大電力が必要な 時に瞬時に利用 するシステム
生体バイオ関連セラミックス
『生体材料(バイオマテリアル:biomaterial)』
:医学・歯学分野において、主にヒトの生体に移植
することを目的とした材料
(人工関節,口腔内歯科用
インプラント,人工骨,人工血管用材料など)
『生体材料の要件』・・・生体組織との反応がない
(良好な生体組織適合性)
『例)人工骨の主要材料』・・・・
Ca
10(PO
4)
6(OH)
2(水酸化アパタイト:リン酸カリシウム)
※
ステンレス製の骨材とは異なり、徐々に骨組織へ 置換され、骨の再生を促す等の利点を有する整形外科用人工骨材料の構造 (人間の骨の主成分:リン酸カリシウムCa10(PO4)6(OH)2)
Al2O3, ZrO2製人工歯
Al2O3および水酸化アパタイト製
Al2O3, ZrO2セラミックス製 人工関節 水酸化アパタイト製 (リン酸カルシウム系化合物) 各種人工骨補充材料 第3,4,5回目 HP掲載資料 ㊳
燃料電池(fuel cell)
電気化学反応によって電力を取り出す装置
:
-極の水素と+極の空気中酸素等を常温または高温環境 で反応させることにより、継続的に電力を取り出すことがで きる発電装置 ⇒ 水素を補充することで連続的発電が可能『燃料電池の種類』
1 固体高分子形燃料電池 (PEFC) 2 りん酸形燃料電池 (PAFC) 3 溶融炭酸塩形燃料電池 (MCFC) 4 固体酸化物形燃料電池 (SOFC)・・・セラミックス燃料電池 5 アルカリ電解質形燃料電池 (AFC) 6 直接形燃料電池 (DFC) 7 バイオ燃料電池燃料電池
『固体酸化物形燃料電池(SOFC,Solid Oxide Fuel Cell)』
電解質に酸化物イオンの透過性が高い安定化ジルコニア ZrO2 等の『ペロブスカイト酸化物イオン伝導性セラミックス』 を用い、空気極で生成した酸素オンO2-が電解質を透過し、 燃料極で水素と反応させ、電気エネルギーを発生させる 水素だけではなく天然ガスや石炭ガス等も燃料として用い ることが可能で、発電効率も高く、すでに56.1%LHVを達成 し、家庭用・業務用の1kW-10kW級としても開発されている 電極材としては導電性セラミックスを用い、火力発電所の 代替などの用途が期待されている 日本では2009年6月世界最高レベルの63%の発電効率を 達成している 注)LHV(低位発熱量基準):燃料が燃焼した時に発生するエネルギー
愛知万博(2005年開催, 日本国際博覧会) シャトルバス(トヨタ・日野・FCHV) 燃料電池自動車 トヨタ・FCHV ホンダ・FCXクラリティ FCX・・・ホンダ・開発車 FCHV・・・トヨタ・開発車
Fuel Cell Hybrid Vehicle (燃料電池複合型自動車)
原子力関連セラミックス材料
原子力発電所で使用する原子炉の炉心・核燃料UO2
①核燃料(MOx:M=U,Pu・・・),②原子炉・炉心材料,
②核分裂反応制御材料,④中性子遮蔽材料 など
次世代航空機用セラミックス材料
-
次世代航空機機体用複合材料
-
①炭素繊維強化・複合材料・・・C/Cコンポジット
②ガラス繊維強化・複合材料・・・GFRP,
CFRP
・・・民間航空機への複合材料の利用は、1940年に
レーダードーム
※
の
『GFRP:ガラス繊維強化プラス
チック化』
から開始 ⇒ 現在は特に“CFRP”が多用
1975年には、NASAが研究的にB727やB737の
エレベーター(昇降舵)、DC10の尾翼(垂直安定板)
等に複合材を利用し、金属構造に対して約30%の
軽量化に成功
※
レーダードーム:通信用アンテナ保護カバー
この研究成果を量産機に採用したのは、アメリカ・
ボーイング社のB757及びB767のラダー(方向舵)が
最初。 これとほぼ同時にB767のエレベーター、スポ
イラー(主翼上面装備のエアブレーキ)、アウトボード
エルロン(補助翼)、翼胴フェアリング(空気抵抗低減
部品)、前・主脚扉、主・尾翼トレイリングエッジパネル
(安定板)、垂直・水平安定板リブ(骨格)等の2次構造
材料として機体重量の3%程度の『CFRP(炭素繊維
強化プラスチック)』
などのの複合材が使用された
1994年に初飛行に成功した、米国ボーイング社の
B777
には、損傷許容性が重視される1次構造材とし
て、垂直・水平尾翼安定板とフロアービーム(床構造
材)に高靭性CFRPが採用
された
また、エアバス社(欧州,本社フランス)においては、
1988年に就航したA320には、動翼・エンジンナセル
(エンジンカバー)等の2次構造材の他に、世界で初め
て1次構造材として尾翼に
CFRP(炭素繊維強化プラス
チック)
が採用され、その後A330とA340にも全重量の
約12%に複合材料が採用されている
◆ 「航空機用途の今後の動向」
エアバスの次期大型旅客機(A380,ターボエンジン
4機搭載超大型旅客機,2005年4月初飛行)やボーイ
ングの次期旅客機(B787,次世代中型ジェット旅客機,
2009年12月初飛行)では、より広汎に
CFRP
の採用が
計画されており、
航空機機体構造材料へのCFRPの
利用は、益々拡大
する!
(CFRP)
(CFRP積層構造)
H-IIAロケットとCFRP(炭素繊維強化プラスチック) 黒い部分(中間部)・・・全面CFRPサンドイッチ構造 白い部分(上部)・・・人工衛星搭載部(炭素繊維複合材料) 白い部分(下部)・・・固体ロケットブースターケース(CFRP)
技術水準・経済性ともに世界のトップレベル
日本の主力大型ロケット・H-IIA
スペースシャトル
STS-120におけるディスカバリー号の発射スペースシャトル(Space
Shuttle)は、アメリカ合衆国
のNASAが宇宙輸送システ
ム(
S
pace
T
ransportation
S
ystem,
STS
)の一環とし
て有人宇宙飛行のために
使用している宇宙船である。
初飛行は1981年、2回目
の飛行は1982年で、総計
135回の発射が行われた後、
2011年6月(5年前)に退役
スペースシャトル機体用セラミックス製耐熱タイル
:
高純度シリカ製タイル ⇒ 全体で3万枚が使用
(
SiO
2,99.7%ガラス=アモルファス繊維製タイル)
スペースシャトルが地球に帰還する際、 大気との摩擦により1万度を超える場合も あるため、超高温から機体を保護するため 機体表面に耐熱シリカSiO2製タイルを使用月面基地
(2006年12月にアメリカ航空宇宙局
NASAが発表した月面基地の建設構想図)
2020年までに建設開始、2024年頃には長期滞在を予定 米国 2020年~:建設開始, 2024年~:長期滞在を予定
物質創製科学
現状の材料のプロセスと既存核生成機構 ○ 材料(物質)の製造(現状の材料プロセス) (ex. 金属合金,半導体,無機,有機(含 医薬品)材料) 結晶成長(Crystal Growth) 気相プロセス(ex. 半導体,薄膜材料など)液相プロセス(ex. 単結晶材料のMelt Growth)
核生成(Nucleation)
※ 核生成理論の推移
1926年:Volmer, Weber (Z. Phys. Chem, 119 (1926) 277. 1950年:D. Turnbull (J. Chem. Phys., 18 (1950)198.
:全ての材料の結晶成長の前駆段階としての 統一的現象および理論 (※ 固相法の場合は,界面 growth が支配) 『既存・核生成理論(・・・核生成機構)』 1. 均一核生成(Homogeneous Necleation) ・・・理想状態下で生じる本来の核生成現象 2. 不均一核生成(Heterogeneous Necleation) ・・・通常の材料製造・作製時における核生成現象 (ex. 基板上への薄膜作製,液相からの結晶作製(←溶融・凝固)
既存核生成理論 ΔG(T, r) : 核生成に伴う系の自由エネルギー変化 r : 核の半径 σLS : 固-液間における界面エネルギー ΔGv : 温度 T における単位面積当たりの固液間における 自由エネルギーの差 θ : 異種固相上に形成された凝固相(結晶化する液相) のなす角・・・異種固相(不均一核生成サイト)と液相 (核生成する凝固相)との接触角(濡れ角) 均一核生成 ・・・ 不均一核生成・・・ 核生成に対 する駆動力 表面自由エ ネルギー項 体積自由エ ネルギー項
θ: 異種固相上に形成された凝固相(結晶化する液相)のなす角
・・・異種固相(不均一核生成サイト)と液相(核生成する凝固相) との接触角(濡れ角)
既存「核生成理論」(Nucleation Theory) 均一核生成,不均一核生成 ともに; 安定(平衡)結晶の成長のみを仮定した統一的理論 21世紀の材料科学(物質科学:Materials Science) における新たな展開 1. 従来の安定平衡物質(製造,材料物性)の延長でよいか? 2. 既存概念にない新たな構造と物性を発現する ⇒ 『新物質創製(≡非平衡相,非平衡物質)の探索』 (・・・宇宙環境を利用した材料科学実験の目的) 既存核生成理論に変わる 新たな『非平衡相の核生成理論』構築の必要性
日本政府における科学技術の重点4分野 (2002年度に制定・発表,現在も継続中) 1. ライフサイエンス(生命科学) 2. IT(Information Technology:情報・通信技術)※ 3. 環境 4. ナノテクノロジー・材料 (1)次世代情報通信システム用 ナノデバイス・材料 (2)基礎技術:ナノレベルでの計測・評価・加工など (3)革新的な物性・機能を有する物質(材料)開発 ※ 日本政府のナノテクノロジー分野に対する研究費 :558億円(2001年度 当初予算総額) ※ IT(Information Technology):『情報・通信技術』 ↓
ICT(Information and Communication Technology)
:『情報・通信技術』 ← 情報・通信技術の総称
1.ナノテクノロジーの概要
1 nm = 1/10 億 m = 1/100万 mm ( = 10
-9m )
1μm(10-6 m) 100 nm(10-7 m) LSIの最小素子寸法 10 nm(10-8 m) ウィルス、カーボンナノチューブ 1 nm(10-9 m) タンパク質分子,DNA二重らせん径 1Å(オングストローム,=10-10 m) 水素原子の直径 ナノ領域『ナノ・テクノロジー』の21世紀における応用分野 ①IT,②医療・バイオ,③環境・エネルギー ◎『新材料の創製(ex.ナノ結晶・ナノ粒子,ナノ粒子分散・析出・複合)』 カーボンナノチューブ ・・・0.5~10 nmの直径と1μm程度の長さの中空円筒構造を有する炭素の結晶 (→ 1991年、NECシステムデバイス基礎研究本部 飯島澄男 主席研究員に よって発見) 【特徴】 ①立体構造の違いにより、半導体/金属の両方の性質をとる → 『究極の集積度を有する新たな半導体の創製』 ②金属をはるかに超える高い電気伝導特性
③巨大磁気抵抗(GMR:Giant Magneto Resistive effect)
・・・ 磁場により物質の電気抵抗が大きく変化する特性
⇒ 2007年度 ノーベル物理学賞受賞(ex.磁気ヘッドに応用)
富士通研究所(FUJITSU)ホームーページより http://jp.fujitsu.com/group/labs/ フラーレンC60(1985年,クロート博士により発見 ) と カーボンナノチューブ(炭素の中空・円筒状物質) ・・・導電性、半導体、燃料電池、軌道エレーベーター など無限の可能性を有する) 1991年に、日本の飯島 澄男博士(当時,NEC 筑波研究所。現在,NEC 特別主席研究員、 産業技術総合研究所 ナノチューブ応用研究センターセンター長、 名城大学大学院理工学研究科教授) が発見 http://www.org-chem.org/yuuki/yuuki.html 有機化学美術館 ホームページより 髪の毛 20~40μm
1.グラファイト(黒鉛)
2.ダイヤモンド 3.フラーレン(C60)
『スカイツリーの先は宇宙へ』
東京スカイツリーを施工した大林組が、2050年に
軌道エレベーター(「宇宙エレベーター」)構想を発表
宇宙エレベーター:全長約9万6000km
静止衛星軌道(高度約3万6000Km)を挟んで2本の
カーボン・ナノチューブ製ケーブル
で地上と宇宙を結ぶ
米国航空宇宙局(NASA)のB・C・エドワーズ博士らに
よる計画を基礎理論とし、建設会社の技術を利用・建設
ケーブルの「最初の1本」をロケットで宇宙に送り、軌道上か ら上下に向かって伸ばす ⇒ 1本は地球に,1本は宇宙に 地球側に垂らしたカーノンナノチューブ製ケーブルの末端を 地上と結びつけた後、建材を運んで完成させる 人が滞在する施設は、ユニット化した部屋を蜂の巣状に 接合させて大型化する方法で造り、人間が宇宙空間に出て 作業する手間を極力省いた『エレベーターに乗って地上と宇宙を往復』 こんな夢のように壮大な構想を、ゼネコンの 大林組が2012年4月20日に,2050年に実現 させると発表した。 鋼鉄の20倍以上の強度を持つ炭素繊維 「カーボンナノチューブ」のケーブルを伝い、 30人乗りのかごが、高度3万6000キロの ターミナル駅まで1週間かけて向かう計画 「宇宙エレベーター」はSF小説に描かれて きたが、1990年代にカーボンナノチューブが 発見され、同社は建設可能と判断した。 NASAなども研究を進めている。 今回のエレベーターのケーブルの全長は、 月までの約4分の1にあたる9万6000kmで、 根元を地上の発着場に固定する。 ターミナル駅には実験施設や居住スペース を整備し、かごは時速200kmで片道7.5日かけて宇宙と地とを往復 ターミナル駅周辺で太陽光発電(パネル)を行い、地上に送電する
イオン結合
と
共有結合
『セラミックスの結合様式』 (1)イオン結合・・・ (2)共有結合 ・・・ 陰イオンと陽イオン間での静電気力(ク-ロン力), すなわち,正と負の電荷(を有する2つのイオン)が 電気的引力によって生じる結合様式 隣接原子が互いに電子を出し合って、安定スピン 結合状態(↑↓) を形成し、スピンを共有することに よって生じる結合様式[配位結合(隣接原子間での 最外核電子間の交換結合・・・半導体Siの結合様式 ] イオン結合性結晶・・・酸化物系セラミックス 共有結合性結晶 ・・・非酸化物系セラミックス(半金属-非金属:Si3N4,BN, SiC ,金属-非金属:AlN,TiC,TiB2など)
共有結合力 > イオン結合力 ∴ 『共有結合性結晶 』は焼結性が困難(←粒同士の反応性に欠ける) なため、 通常,焼結性向上を目的として焼結助剤を添加したり、ある いは、高温・高圧下での焼結法(ホットプレス,HIP法など)が行われる 【定義】 ※半金属-半金属 ※金属-半金属 価電子 ⇒
材料の性質を規定する 化学結合 [ 物性を規定する基礎的因子 ] 化学結合 ① 金属結合 ② イオン結合 ③ 共有結合 ④ ファンデル・ワールス結合 ( 気体 分子間結合 ) (4つの形式) セラミックスの結合様式 融点 電気伝導性 透明度 水溶性 イオン結合 高い 比較的良い 透明 可溶 共有結合 高い 悪い 普通は透明 難溶 金属結合 比較的高い 極めて良い 不透明 普通は不溶 分子結合 低い 悪い 透明 ― 金属光沢 表1 化学結合の種類と主な特徴 ◎化学結合= 材料の性質(物性)を支配 材料 現象論的特徴 (1)金属 ①金属光沢を示す,②電気,熱の良導体 ③塑性加工が可能(展延性に富む) (2)無機 ①絶縁性に富む,②断熱性が大 (セラミックス) ③塑性加工が困難(脆性) (3)高分子 ①絶縁性,断熱性が大 (繊維,プラスチック) ②加工が容易 【金属結合】 【イオン結合,共有結合】 【共有結合,分子間結合】 ex.Al2O3 融点:2072℃ ex.Al 融点:660℃ ex.Si 融点:1410℃
(1) 金属結合 <・・・金属の特徴の起源> 【定義】: 原子の最外殻の価電子が原子核(陽子=正電荷)の拘束を離れ [ ・・・『金属原子の自由電子放出に伴う陽イオン化』 ]、自由電子 と して,結晶全体の金属陽イオン (原子) に共有されて,これを媒介 として原子(=“ 陽イオン ”)どうしを結合する化学結合様式 ① 自由電子・・・熱や電気の伝導媒体 ③ 自由電子・・・金属陽イオン間における結合に自由度を寄与 <結合の手が無数存在するために破壊は生じにくい> ② 自由電子・・・光により励起 【光(=電磁波) のエネルギーにより遷移】 金属は熱や電気の良導体 金属特有の光沢 ( 金属光沢 ) 『金属の特徴』 自由電子に依存 = 金属の塑性変形 ( 展延特性 ) + + + + + + + + + + + + 自由電子 金属陽イオン 金属結晶 の概念図
(2)無機材料 【半金属B,Si,C・・・,酸化物,窒化物,ホウ化物,塩化物】 の結合形式 “セラミックス” (単一元素) ◎ 「イオン結合」 ⇒陽(+)イオンと陰(-)イオン間の電気的引力に起因 代表例):NaCl = Na+ - Cl- (静電引力 = クーロン力) [ 定義 ] する化学結合様式 ◎ 「共有結合」 2つの 結合形式 11Na:1s22s22p6 3s1 e- 17Cl:1s22s22p63s2 3p5 [Ne] [Ar] ※ ○ イオン間に働く力 1) 陽イオン-陰イオン : 引力 ( ← 異種イオン間 ) 2) 陽イオン-陽イオン : 斥力 ( 反発力 ) 3) 陰イオン-陰イオン : 斥力 ( 反発力 ) ◎3つのクーロン力・・・ 同種イオン間 イオン性結晶 ・・・ 全体として引力が斥力よりも大きくなる : +,- イオン間のクーロン引力 ( 静電引力 ) により,結晶を形成する ( 図1,図2参照) 結晶を構成 (引力=斥力)
0 100 -100 -200 2 4 6 8 10 12 ∞ -e2/r 結合力=引力 弱い (両イオン間の 距離が遠い) クーロン引力: 2 2 r e F ポテンシャルエネルギー : r e F r 2 0 e : 電荷 r : イオン間距離 Naのイオン化 ポテンシャル Clの電子 親和力 ( イオン間距離 ) NaCl結晶のイオン間距離 最適距離 引力≧斥力 ポ テ ン シャルエ ネルギー kcal/ mo l イオン間距離が極端に近くな ると,両原子(両イオン) が 有する電子と原子核の陽電 荷間におけるクーロン引力が 増大し,ポテンシャルエネル ギーは急激に増大する (核外電子全て) 図1 Na+とCl-との クーロン引力によるポテンシャルエネルギー ポ テ ン シャ ルエ ネルギー 図2 イオン間距離と 引力 ,斥力 の関係 (- 引力と斥力の平衡関係 -) 引力 斥力 陽イオン,陰イオンがくっついている 陽イオン,陰イオンの電子雲が重なり合う 陽イオン,陰イオンが離れている (同種イオン間のポテンシャルエネルギー) r (:イオン間距離) 引力と斥力の 合成 ポテンシャル エネルギー ・最も安定な位置 = イオン間距離 合成ポテンシャルエネルギーの 極小値 = “イオン間距離” ・・・ 引力と斥力の最適距離 (安定) ・斥力+ 引力の最小値=
イオン結合の特徴(:熱伝導機構) ( 高熱伝導性セラミックスと非熱伝導性セラミックス ) ◎イオン結合性結晶(セラミックス) の熱伝導機構 熱伝導媒体 ・・・ 『フォノン(phonon)』 ○結晶中で規則配列する原子を “格子” と考え,格子位置での 原子の振動エネルギーを 「フォノン」 と定義 ( フォノン ・・・ “格子の振動” をエネルギーを持った 粒子 と仮定) = “振動子” 『量子』 熱伝導機構 ・・・ 「 アインシュタイン・モデル(バネ・モデル)」 (図3 参照) ① 物体の端面(片側)を 加熱 ② 加熱面での原子振動の増大 (軽元素ほど大きい) ③ 隣接正負イオン間でのイオン結合を介して,格子振動が伝播 ( ⇒ フォノンの伝播) ・・・ “ 格子振動による伝播 ” ◎ 軽元素ほど格子振動は大きく、その伝播は容易 熱伝導率 : Al2O3 (約20W/m・K,Al原子量 : 27 ) ZrO2 (約 4W/m・K Zr原子量 : 91 ) 5分の1 cf. 金属材料 自由電子が 熱の伝導体 原子量 ←3分の1
端面 加 熱 端面 加 熱 バネ バネ 軽元素 ・・・ 格子振動は大 熱伝導は容易 重元素 ・・・ 格子振動は小 (a) (b) 図3 熱伝導のモデル (アインシュタイン・モデル) : 結晶の左端から右端への加熱に伴う格子振動による熱伝導現象の説明 <熱伝導率 : 小> (a) 軽元素 (振動大,高熱伝導性) , (b) 重元素 (振動小) 『アインシュタイン・モデル(イオン結合性結晶の熱伝導機構)』
共有結合 (最も強固な化学結合) ◎ 共有結合 ・・・ 1つの原子が所有する孤立電子 (不対電子) と,周囲の隣接原子 が有する孤立電子との間で,スピンの向きを逆にして安定な電子 対を形成することによって生じる化学結合形成 隣接原子間で [定義] 半導体, 非酸化物系 セラミックスの 結合様式 ・窒化物 ・ホウ化物 ・炭化物 Si Si Si Si Si Si Si Si Si Si Si Si 安定な電子対(+,-のスピン の結合) = = N S N S ス ピ ン 電子 磁気 双極子 Si4+ : 4価 周囲に4個のSi原子 電子を共有する 図2 Si結晶の共有結合 反平行スピン = (安定な電子対) 平行スピン = (不安定電子対) 異極結合 安定 ←電子雲どうしの結合 電子雲どうし の反発 = 安定結合 = 「共有結合」 同極結合 不安定(反発) 図 反平行(a),平行(b)スピン間における2原子(電子)間の電子密度分布 (a) (b)
共有結合の特徴 : 特定の原子・原子間 での強い結合力であるため、方向によって 結合力は異なる(・・・異方性が大きい結合力) 共有結合>イオン結合,金属結合 【 共有結合性結晶の特徴 】 : ① 融点が高い ② 硬度が大きい ③ 高強度 ④ 原子間結合に異方性があるため,特定面で割れる ⑤ 拡散係数が小さい(・・・物質中の原子移動が困難) 【 代表的な共有結合性物質 】 ・・・ Ⅳ族元素 : C,Si,Ge,Sn 原子配列 : ダイヤモンド構造 [ : 図4 参照 ] ・・・一つの原子の周囲に4つの原子が存在し,正四面体を形成 中心の原子と四面体頂点の各原子が互いに4個の外核電子を出し合って, かつ,スピンが逆向きの電子対を形成 = 『sp3混成軌道』 [ :図5 参照 ] 図4 ダイヤモンド構造 sp sp2 sp3 sp3d sp3d2 sp3d3 配位数 2 3 4 5 6 7 図5 sp3 混成軌道 (配位数と幾何学的な原子結合状態)
ダイヤモンド構造
と
グラファイト(黒鉛)構造
(炭素C の
第1形態
と
第2形態
の構造)
sp3混成軌道を形成 (最も安定な電子対を形成) C原子同士がsp2混成軌道を形成 正六角形の平面構造,六方晶構造 (・・・層と層の間(面間)は 弱いファンデルワールス結合)( :Ⅲ族原子位置, :Ⅴ族原子位置 ) 半導体物質 ← (共有結合性物質の代表) ◎半導体の推移 共有結合性結晶 ・最初のトランジスタ : Ge(Ⅳ族元素) : Ge4+ ・現在の半導体 : Si(Ⅳ族元素) : Si4+
・今後の半導体 : GaSb, GaAs,InSb, InP, GaN (Ⅲ‐Ⅴ族化合物半導体) Ga,In ・・・ 3族元素 As,P,N・・・ 5族元素 平均の原子価 : 4価 ⇒ Ge,Siと同様 GaSb, GaAs,・・・ 立方硫化亜鉛 ZnS 構造(閃亜鉛鉱型) <4面体構造を4つ有する> InSb, InP・・・ (四面体構造を構成要素にもつ,立方晶型結晶) = ダイヤモンド結晶に類似 共有結合性結晶 四面体構造 が構成要素 “4配位構造” 図6 立方硫化亜鉛構造 (・・・Ga,In) (・・・Sb,As,P) 注)GaN(窒化物系 化合物半導体) :ウルツ鉱構造 格子定数 a軸 3.18 Å c軸 5.17 Å
単位胞中にsp3混成軌道
(正四面体構造)が4つ存在
『ニューセラミックスの概要』
『ニュ-セラミックス』・・・金属,プラスチックスに次ぐ第3の工業素材 歴史的背景:伝統的セラミックスからニュ-セラミックスへの変革[:図1.1参照] ① 伝統的セラミックス・・・『セラミックスの石器時代』 :石器(:地球が作った天然のセラミックス)→土器(:火の発見(~800万年前)に 起因して人間が人工的に作った最初のセラミックス) → 陶磁器( 窯業製品、珪酸塩工業製品 ) ② ニュ-セラミックス(ファインセラミックス)・・・『ニュ-石器時代(現代社会)』 ① と ② の決定的相異点 [:表1.1参照] ・・・伝統的セラミックス・・・天然原料, ニュ-セラミックス・・・人工原料 『ニュ-セラミックスの概念的定義』 精製,精密に調整された化学組成かつ微細均一粒子からなる人工原料を 使って、高度に制御された成形法及び焼結法による焼成品 新しい機能を有する次世代高機能材料(構造的特性,機能的特性)に発展伝統的 ニュー セラミックス セラミックス 原 料 天然 天然 人工 熱処理 (焼成) 加 工 (製品化) 石 器 人工 人工 人工 人工 天然 天然 表1.1 ニュ-セラミックスとオールドセラミックスの比較 図1.1 伝統的セラミックスから ニュ-セラミックスへの変革
『セラミックス』 の学術的定義 ・・・ 『非金属無機固体材料』[:表1.2参照] 【元素の分類】:(1)金属性元素 (ex.Al,Zr,Ti,Pb など) (2)半金属性元素(ex.B,C,Si など) (3)非金属性元素(ex.O,N,F,S,Cl など) 『非金属無機固体材料の定義と分類』 :①半金属性元素により構成される物質 (ex.ダイヤモンド,半導体Si,カ-ボン繊維,炭化ケイ素SiC, フラーレンC60, カーボンナノチューブ など) ②半金属性元素と金属元素及び 半金属元素と非金属性元素間の化合物
(ex.シリカSiO2,炭化チタンTiC,窒化ケイ素Si3N4,
窒化ホウ素BN など)
③金属性元素と非金属性元素間の化合物[:表1.3参照]
(ex.アルミナAl2O3,ジルコニアZrO2,
呼 称 材 料 原子間結合 金 属 金 属 金属結合 プラスチック 非金属・有 機物 共有結合 ファンデルワールス結 合 イオン結合 共有結合 セラミックス 非金属・無 機物・固体 表1.2 金属,プラスチックス,セラミックスの比較 表1.3 金属とセラミックスの物性比較例 物性 融点 電気比抵抗 材料 [℃] [Ω cm] アルミニウム Al アルミナ Al2O3 金属 セラミックス 660 2,030 モース硬度 1014以上 2.8×10-8 3以下 9 合