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マニピュレータの動作を考慮した組立作業プランニ ングに関する研究

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

マニピュレータの動作を考慮した組立作業プランニ ングに関する研究

原, 功

九州大学工学研究科電気工学専攻

https://doi.org/10.11501/3065510

出版情報:Kyushu University, 1992, 博士(工学), 課程博士 バージョン:

権利関係:

(2)
(3)

マニピュレータの動作を考慮した 組立作業プランニングに関する研究

原 功

(4)

日 次

第1章 序

三と》日間 1

1 7

9

緯経シ」

景的成 背目構 の の の 相相補 究究文

1i つ』

丹、u

第2章 組立作業フランニンク

11

2.1 緒 言. • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • 11 2.2 組立作業における作業プランニング . • • • • • • • • • • • • • • • • • • 14 2.3 オブジ、エクト指向による作業環境の記述 . • • • • • • • • • • • • • • • 20 2.4 ANDjORグラフによる作業計画 • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • 24 2.4.1 ANDjORグラフによる作業プランの表現 • • • • • • • • • • • 24

2.4.2 ANDjORグラフの生成 • • • • • • • • • • • • • • • • • • • 27

2.4.3 作業プランの探索. • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • 37

2.5 結 仁コ 45

第3章 マニピュレータの動作経路計画

47

3.1 緒 言 . • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • 47 3.2 Configuratioll空間の解析 • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • 49 3.2.1 2次元Configuration空間 . • • • • • • • • • • • • • • • • • • • 49 3.2.2 球障害物に対する3次元Configuration空間 . • • • • • • • • • 55 3.3 Configuration空間のパラメータ化. • • • • • • • • • • • • • • • • • • • 62 3.3.1 素立体 . • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • 62 3.3.2 Type.1の衝突に対するパラメータ. • • • • • • • • • • • • • • • 62

(5)

3.3.3 Type.2の衝突に対するパラメータ . . 64 3.3.4 他のロボットのConfiguration空間 . 70 3.4 障害物回避計画 . 71 3.4.1 静止障害物に対する経路 . 71 3.4.2 実空間の移動に対するConfiguration空間 . 72 3.4.3 移動体に対する経路計画 . 74 3.5 シミュレーション及び考察 . 78

3.5.1 シミュレーション . 78 3.5.2

3.6 結

考察 78

81

に3

第4 章 ANDjORグラフによる作業計画

82

4.1 緒 言. 82 4.2 マニピュレータの動作を考慮した作業手順の生成 . 84 4.2.1 組立作業計画におけるグラフ探索 . 84 4.2.2 ボ、トムアップ探索による作業計画 . 85 4.3 作業計画システムにおけるContract Netの導入 . 89

4.3.1 Contract Net .... . . . . .. 89 4.3.2 作業計画システムにおけるContract Net . . . .. 89

4.4 結 仁コ . 95

第5 章 結

三ゐ.日間 96

謝 辞

99

参考文献 104

付録-A 105

111

(6)

付録-B 付録-.

c

lV

108 110

(7)

第1章 序 論

1.1

本研究の背景と経緯

今日, ロボットは産業界において広く使用されている. これによって, 生 産性は向上し, 人間を単調で過酷な労働から解放することに成功した. 一 方, 原子力の利用, 海洋開発, 宇宙開発などの分野の発展にともない, そ の適用範囲の拡大, 作業の多様化の要求が高まってきている. しかしなが ら, これらのように人が立入れないような環境における非定型的作業の実 行に対して,従来の産業用ロボットの制御技術は適用できない. そこで, ロ ボットの知能化 高度化に関する研究開発が必要になる. ロボットの知能 化, 高度化には, 大きく2つの方向があると考えられている[1]. ひとつは ロボットそれ自身の動作機能の高度化であり, 精密な位置決めや力制御な どの機構や制御レベルからの各種センサを用いた外界への適用能力の向 上である. もうひとつは ロボットによる人間の思考レベルの代替であり,

各種センサ情報の処理に基づく環境理解, 大局的な命令に応じて実際の詳 細な動作の計画である. これは人工知能の研究に大きく関わり を持つもの である.

現在用いられている産業用ロボットの原型は, 1954年の米国のDevolに よる特許によるものと考えられている[2]. この特許では, マニピュレータ の関節の制御にサーボ機構を用い, 作業教示方法として 人間が実際に直 接動かして動作を教示し 教示された動作を再生するいわゆるティーチン グプレーバッ夕方式を提案している. この考え方は現在でも産業用ロボッ トに広く用いられ 動作制御の基本となっている. ティーチングプレイバッ 夕方式による作業教示で意味のある作業を実施させるためには, 人間がそ

(8)

1.1. 本研究の背景と経緯 2

の動作環境や段取り などをすべて整えなければならない. このため, 作業 内容の変更は困難であり, 外界適応機能を要するような複雑で高度な作業 には適用できない. そこで作業動作をプログラミング言語で記述し計算機 で制御する方法が考えられた. ロボットプログラミングでは三次元空間に おける動作記述, 三次元物体の記述やセンサ情報の利用など固有の問題が 存在する. そのため環境記述や他の装置との協調動作を記述できるような ロボット言語が開発された. これにより 記述された作業プログラムの変更 も容易になり, 基本的な動作プログラムを蓄積し, 他の作業に利用するこ とも可能になった. このようなロボット言語としてAL[3], AML[4]などが有 名である.

ALでは, 作業環境を階層的に接続されたされた直交座標フレームで記 述している. また, 環境中の座標フレームからエンド ・ エフェクタに付け られた座標フレームへの変換行列を用いることで, マニピュレータの動作 をその構造に依存しない形式で記述している. ここで特筆すべき点は, 環 境記述と動作記述が明確に分離したことである. AMLは, 複数の異なるロ ボットプログラミングのインターフェイスをイ乍ることができるようなシス テム環境を与えるように設計された. これにより, ロボットの動作のため の豊富なプリミテイブをもち, ユーザがその特定のニーズにしたがって高 水準のコマンドを作成できるようになっている.

これらのロボ、ツト言語によるロボットプログラミング手法は, 作業命令 がロボットの運動により 記述されるため, ロボット指向型プログラミングま たは動作レベルプログラミングと呼ばれている. このようなロボ、ツト言語 による作業プログラミングでは, ロボットの全体の運動を考慮しながら行 わなければならず, プログラミングに対する負担は少なくない. また, 記 述効率が悪く不必要に長いプログラムになり得る. 組立作業のような環境 中の三次元物体を操作する作業に対する作業プログラムを記述する場合,

ロボットの運動による記述の代わり に, 作業対象物の状態変化や作業の目 標状態による作業教示をすることができれば人間にとって望ましい. これ

(9)

1.1. 本研究の背景と経緯 3

を実現するために, 人工知能における自動プログラムの生成のような作業 プランニングが用いられてきた.

作業プランニングは, 初期状態から作業目標状態へ変化させるための 行為の列すなわち作業の手順を導出する作業計画(Task Planning)と一つ の作業操作のための軌道などロボットの運動を導出する動作計画(Motion

Planning)に分けることができる.

作業計画の研究として,初期状態と作業目標状態のみから途中の状態変 化の系列を自動生成する試みがなされた. その例として,GPS[6], STRIPS[7],

NOAH[8)などがある. これらの研究は抽象化された記号論理の世界での推 論による計画メカニズムの研究が主眼であった. そのため, 取り扱われた 作業例は, 積木の世界に限定され,現実の作業としてはあまり意味のない ものであった. また 作業計画を生成するためには膨大な計画空間の探索 を必要とし,現実的な作業の計画を行なうことができなかった.

そこで, より現実的な問題を取り扱うために,作業を組立作業に限定 し,作業プランニングを行なった研究がある. 組立作業では,操作の対象 となる物体問に存在する優先関係や拘束を用いることにより,計画空間を 縮小することができる. このような研究として 組付作業間の優先関係の 集合から, ユーザが複数の質問を答えることで組付作業の列を生成し, そ の作業列に基づいた状態遷移グラフを計画空間として用いた手法[9, 10),

部品操作の優先関係を表現するために部品開の拘束グラフを導出し,それ を計画空間として用いた手法[11) がある. これらの研究で用いられた計画 空間としての状態グラフは重複した組み付けの状態を持つため,その記述 量は不必要に大きかった. それに対し 人工知能の問題分割で用いられる AND/onグラフを部品問の結合関係に適用し, 不必要な状態を取り除き 記述効率の良いグラフ表現を用いた研究[12, 13, 14, 15, 16, 17]がある. し かしそれでもなお,組i立作業において目標物を構成する部品の数が増加す るにつれ,計画探索空間である状態グラフの大きさは急速に増加するとい う問題を含んでいる. そのため, 状態グラフそのものを直接 作業プラン

(10)

1.1 本研究の背景と経緯 4

ナに与えるのは難しい. そこでH0111en1 de Melloらは, 部品聞の拘束状態を 表す関係グラフを用い, 作業操作方向を限定することで状態グラフである AND/ORグラフの自動生成を行なっている[16]. この手法は, 操作方向を限 定しているため, 取り扱う組立作業に制限がある. また, 作業目標全体の 関係グラフを与えなければならないために, ユーザの負担は少なくなかっ た. 筆者は, 部品開の局所的な組み付けを与え, 作業方向を目標状態にお ける部品問の配置及びそれらの結合状態にから部品操作の方向を導出し,

状態グラフであるAND/ORグラフの自動生成を行なった[20,21]. これによ り部品操作の方向の限定をなくし, 扱いうる組立作業の制限を大幅に緩和 した.

一般に高次の作業目標が与えられたとき, 作業プランナはそれを達成 するために必要となるいくつかの副目標群に展開する. さらに, それらの 副目標をまた同じようにさらに下位の目標に展開し, 最終的には, 基本作 用素列に展開する. 実際の作業プランニングにおいて, この展開法は一意 とは限らず, 作用素の効果が相互干渉を生じ, 作用素の効果が破壊された り, 作用素の実行が不可能になったり する事態が生ず る, いわゆる目標状 態の相互干渉あるいはプラン生成の非線形性の問題が起こり得る. 従って,

実際に使用するための作業プランニングは, 動作計画, 作業計画を考慮し,

全工程を通じて行なわなければならない. そのためには 動作計画の実時 間性が要求される.

動作計画において マニピュレータが周囲の物体と衝突することなく動 作する経路を決定するいわゆる障害物回避計画は重要な問題である. 自 由経路探索に対し, その探索空間としてCOllfiguraton空間が多く用いられ てるが, 一般に, 障害物回避動作計画の効率はConfiguration空間地図に依 存する. また, その地図の大きさはロボ、ツトの関節の数に対して指数関数 的に増大するために, その生成には非常に多くの計算と記憶領域を必要 とする. 静止障害物を対象とした衝突回避動作計画を移動障害物に対し て用いるためには, 実時間によるConfiguration空間地図の算出と衝突回避

(11)

1.1 本研究の背景と経緯 5

経路を効率良く探索するための地図が必要である. これに対し, 素立体の Con匂uration空間を用いた並列アルゴリズムを提案し, 高速化を行なった 研究[22],直線に対するConfiguration空間をデータベースに予め記述するこ とにより, Configuration空間地図の算出の高速化を行なった研究[23] がある.

しかしながらこれらの方法は, Configuration空間地図の表記法としてピット マップ形式を用いているため, 依然として多くの記憶領域を必要としてお り実時間における衝突回避経路の探索は難しい.

この問題に対し, 筆者はロボ、ツトの3つの自由度のみを考慮し, Config­

uration空間内の障害領域を幾何モデルを用いてパラメータ化することで,

Configuration空間地図を簡素化とその導出の高速化を行なうことができる ことを示した[24, 25, 26]. また, Configuration空間をパラメータ化すること により, 衝突回避経路の解析的に導出でき, 移動障害物に対する経路計画 が行なうことができた.

組立作業において, 操作すべき部品の数が増加するにつれ,実行すべき 作業の複雑さは増加する. 一方, 単一のマニピュレータで行ないうる作業 には, その作業能力により, 取り扱う部品数, 作業操作に限界がある. し たがって, より広い適用範囲を持つ組立作業プランニングシステムを構築 するためには, 複数台のマニピュレータが同ーの作業環境に存在するよう な状況をも考慮しなければならない. 複数台のマニピュレータが存在する 環境下で作業プランを生成する場合, 作業プランナは, 個々の作業を効率 的に実施するロボットの選択 及び作業の並列性を考慮した作業手順の生 成を行なう必要がある. しかしながら 作業プランニングに関する研究の 多くは, 作業計画と動作計画を分離し, また作業環境が静的であると仮定 し, 作業手順の生成を行なっている. すなわち, 作業手順を生成する場合,

ロボット自身の作業能力やロボットの動作以外の環境の変化などは考慮し ていない. また取り扱われる作業は, 単一のロボットにより実施され, 作 業の連続性, 単調性 一貫性を持つことが仮定されているのが現状である.

このような制限は, 動作計画には非常に多くの時間を必要とするため, 実

(12)

1.1. 本研究の背景と経緯 6

時間で作業プランを生成することができないことに起因していた.

本研究では, 作業計画において高速な動作計画を行なうことで, 作業を 実行するマニピュレータの動作計画を考慮した評価を用い, より現実的な 作業プランニングを行ないうる組立作業ロボットシステムの実現すること が主テーマである.

(13)

1.2. 本研究の目的 7

1.2 本研究の目的

従来のプログラミング言語によるロボ、ツトへの作業教示は動作レベルで 記述されたものがほとんどであり, 作業教示を行なうものの負担は少なく なかった. そのため, 作業プランナを用い作業レベルで記述された作業命 令をより低レベルの複数の作業命令に展開する試みがなされていた.

多くの作業プランナは, 単一のロボ、ツトによる作業を仮定し, 動作計画 と作業計画を個別に行なっていた. 動作計画と作業計画を個別に行なうた め, 生成された作業プランを実際に適用する場合作用素の効果が相互干渉 を生じ, 作用素の効果が破壊されたり, 作用素の実行が不可能になったり する事態が生じる可能性があった. また, ロボットの能力により, 取り扱う ことのできる作業には限界が存在した. これらの問題点は, 動作計画行な うために非常に多くに計算量と探索空間を必要とし, 実時間の動作計画が できなかったこと またこれにより 動作計画, 作業計画を考慮した, いわ

ゆる全工程を通じた作業プランニングを行なえなかったことに起因する.

本研究の目的は, 効率的な動作計画を行なうことで, ロボット自身の拘 束条件や動作計画を考慮した作業プランニングを行ない, より広い適用範 囲を持つ組立作業ロボットシステムを実現することである.

この目的を実現するためには, 実時間性を持つ動作計画と, 作業計画 探索空間の縮小を行なう必要がある. また, 複数台のマニピュレータが存 在する作業空間を取り扱うことができる作業プランナを構成する必要が ある.

これらの問題を解決するため 以下に示す手法を提案, 開発する.

-動作初期状態と目標状態が与えられた時, 環境中の物体と衝突するこ となく動作できる経路を高速に生成するための経路探索空間の表現

-部品問の接続 優先関係を記述したグラフの自動生成とマニピュレー タの動作計画の結果を評価とした作業プラン生成の手法

(14)

1.2 本研究の目的 8

-複数台ロボットが存在する作業環境下における作業の並列性による作 業分割や効率的な作業を実行させるためのマニピュレータの選択を行 なうためのシステム構成

(15)

1.3 本論文の構成 9

1.3

本論文の構成

本論文は第1章序論, 第2章組立作業プランニング, 第3章マニピュレー タの動作経路計画, 第4章AND/ORグラフによる作業計画, 第5章結論か

ら構成される. 以下に各章の概要を述べる.

第2章では,組立作業における作業プランナの構成について述べる. ま た オブジ、エクト指向の概念を用い た作業知識, 作業環境の構築法を示す.

組立作業プランニング における計画 探索空間の記述について述べ, 作業 環境の記述と組立作業におけるAND/ORグラフについて述べる. AND/OR グラフは 可能な す べての手順をグラフで 表現したものであり, そのノード は部品の組み付け 作業に対応している. 組立作業の手)1債はこのグラフを探 索することに 生成することができる. しかしな がら, AND/ORグラフは部 品の数に応じてその複雑さを増す ため, 一般に このAND/ORグラフを生 成するのは困難である. ここでは, 組立作業を2つの部品の部分組付作業

(Su

bassen1bly)の連続と考え, それぞれ の部品の意味,部品関係からAND/OR グラフ導出することができることを示す.

第3章では, マニピュレータの動作計画 について述べる. 6自由度のマ ニピュレータがさまざまな 環境内で 物体と衝突することなく目標位置に到 達する動作経路の計画 は 6次元空間の探索問題となる. 一般に, その探 索の効率は探索空間の大き さとその表現法に依存している. ここでは, 3

次元空間内の衝突回避動作を主となる3つの関節に限定し 障害となる物 体を複数の球で近似することにより探索空間の記述の簡素化する手法を提 案し, その構築法について述べる. Configl1ration空間を幾何モデルで記述 することで 経路探索空間をパラメータ化でき, 空間の生成が高速に できる こと, またこれにより より 実時間に近い移動障害物に対 する障害物回避 経路生成が可能に なることを示す.

第4章では, 作業プラン生成のため のAND/ORグラフの探索法について 述べる. より現実的で, 作業を実行できる作業プランの生成を行なうため

(16)

1.3. 本論文の構成 10

には, 動作計画, 作業計画を考慮し, 全工程を通じて作業プランの生成を 行なわなければならない. そのために, ANDjORグラフの探索に対し, 動 作経路を探索の評価としたボトムアップ探索を行なった. これにより, 環境 の変化に対して柔軟な作業プランの生成が行えることを示す. さらに, 部 品とロボットをエージェントとし, その聞に契約ネット(Contract Nct)を用 い複数台のロボットプランニングの構成法を示し, 作業に対するロボット の選択が行なえることを示す.

第5章では結論として本論文で得られた結果を総括する.

(17)

第2章 組立作業フランニング

2.1 緒 日

従来, ロボット特に産業用ロボットにおける作業教示には, ティーチン グプレイバッ夕方式が使用されていた. この作業教示法はガイデイングと もいわれ, ユーザが直接ロボットに作業を行なわせることによって動作を 教示し, その動作を反復再生することで作業を行なう方法である. しかし ながら, ロボ、ツトの適用範囲の拡大, 作業内容の多様化にともない, ロボッ トプログラミング言語による作業教示が行なわれるようになった. 高レベ ルのプログラミング言語は, 人間-ロボット聞のコミュニケーションを可能 にする.

ロボ、ツト言語(robot language)は, その記述形式により動作レベル言語 (lTIotion levella時uage), 対象レベル言語(object levellanguage), 作業レベル言 語(task level langllage)に分けることができる. 動作レベル言語によって記述 される作業手順は, 対象物の定位, マニピュレータの移動先の計算, 移動,

グリッパの駆動 …のようになる. ここで記述される命令は, 主としてロ ボット(マニピユレータ)の手先の移動の命令である. すなわち, ロボットの 単位動作のレベルによる作業教示である. 対象レベル言語は, 動作レベル 言語よりも上位に位置し作業の教示は部品を指定された位置・姿勢に移動 することを記述するのではなく, 部品のある面の向きや軸が組立状態で満 たすべき状態を記述するすることであり ロボットが達成すべき状態、の変 化として記述する. 作業レベル言語はもっとも高レベルの言語であり, 作

業目標そのものを記述し, 一つのまとまった作業のレベルに対応する.

既存のロボット言語のほとんどは動作レベル言語の範時にはいる. その ため, 対象レベル言語や作業レベル言語のような, より高レベルのロボツ

(18)

2.1. 緒 白 12

ト言語をを構成するためには, 作業手順を決定する作業計画やロボットの 詳細な動作を自動生成するための動作計画を行なつ能力いわゆるプランニ ングが必要不可欠である.

プランニングとは, 作業環境条件やロボットの可能な動作などが既知で あるという前提のもとで, 目的とする作業を完遂するために必要なすべて の作業手順を生成することであり, 作業対象物に関する知識や作業工程に 関する知識を利用し, 作業レベルで記述された作業命令をより低レベルの

複数の作業命令に展開することである.

プランニングを行なうプログラムは, 作業プランナと呼ばれる. 作業プ ランナは, 一般に, 作業環境(状態)や対象物の物理的情報を含んだ環境モ

デル, 作業をより低レベルに分解する問題分割器, 及び問題分割のために 必要な知識ベースから構成される. 作業プランナは, 作業対象の組付け状 態を記述した状態空間を構成し, その空間内で探索を行なって作業プラン を生成する. より一般的な作業プランナを構成するには, 状態空間を構成 する環境の記述をより詳細にしなければならない, また, 問題分割のため のために用いられる作業工程に関する知識もより多くのものが必要であ る. したがって すべての問題を解決するような作業プランナを構成する には膨大な状態空間と環境の記述が必要になり, 現実的に問題を解くこと に不可能となる. そのため, 実施する作業に応じて作業知識, 状態の記述 をある程度の限定し, 探索のための状態空間の記述を縮小しなければなら ない.

本研究では, ロボットがその作業でもっともよく使われる組立作業に関 し, より現実的な作業プランを生成する作業プランナを実現することを目 的としている.

本章では, 組立作業における作業プランナの構成について述べる. ま ず, 組立作業における作業プランナを構成するために必要な各構成要素に ついて明らかにする. そして 作業プランナにおける知識表現, 環境の記 述法について述べ 作業手順を生成するための探索空間記述とその探索法

(19)

2.1. 緒 にコ 13

について述べる.

(20)

2.2 組立作業における作業プランニング 14

2.2 組立作業における作業プランニング

ロボットにおける作業プランニングは, 現在まで人工知能の分野で問題 解決の例題として取り扱われてきた. このような研究としては, 手段一目標 解析(llleans-ends analysis)を用いた一般問題解決器(GPS)やSTRIPSなどが有 名である. これらのプランナは, 一つの汎用推論エンジンを持ち, 世界の 初期状態, 世界を変化させるさまざまな行為, 目標集合を必須入力として いる. これらのプランナは大きな多様性を持つ世界の中でロボットの問題 を解くことができ, かなりの一般性を持っているが, 作業をシンボリツクに 解いているため, 実際の作業を行うに必要な詳細なロボットの動作を規定 しない. また, いくつかの致命的な欠点が含まれている. その一つが, 問 題となる作業空間内で, 対象物に関する状態の記述が対象物の数に対して 急激に増大し, 探索空間は膨大になるすなわち組合せの爆発(combinational

explosion)が起こることである. またその他に, 初期状態と最終状態が与え られでも, それを解決する解が存在しない場合, 探索の終りを検出するこ とができないといったアルゴリズムの停止問題(halting problem), 一つの作

業に対して, その作業で変化した事象はもちろんであるが, 変化しない事 象をもを陽に記述しなければならないというフレーム問題(frame probleln) などがある.

作業プランニングは概念のうえで3つのフェーズに分けることができる.

すなわち, 世界モデリング, タスク指示, そしてプログ ラムへの統合であ る. これらの3つのフェーズは完全に独立ではなく計算上お互いに関連して いる. 前述したような一般的な作業プランナを用いて作業レベルのロボッ ト言語を実現するには, Fig.2.1に示されたようなアーキテクチァを構成し なければならない. この作業プランナでは, 作業指示はタスク分解プログ ラム(task decomposer)によって一連の副作業に分解され, 初期状態, 最終状

態, 把握位置, オペランド 諸々の指示, およびアタッチメントの関係とい うような情報が抽出される. その後副作業は, 必要とするロボットプログ

(21)

2.2. 組立作業における作業プランニング 15

作業の指定

バモデル)

作業の分解器

EEE--EEE4・vaE-EEE-E4,v

|知識l�

副作業の計画器

ロボットプログラム

Fig.2.1: Task Planner

(22)

2.2 組立作業における作業プランニング 16

ラムを生成するプランナを通過する.

組立作業において, 一般に構成部品がバラバラの状態を初期状態とし,

正しく組付けられた状態を目標状態(目標物が完成した状態)としている.

そのため, タスク分解プログラムによって生成される最終状態は, 作業環 境と目標状態との関係を記述しなければならない. すなわち, タスク分解 プログラムは?最終状態、における目標物のその作業環境内における状態(目 標物の位置?姿勢)を導出する必要がある. しかしながら?最終状態におい てその目標物がとり得る姿勢及びその位置は無限に存在し, 位置に決定す るのは容易ではない.

また, 一般問題解決器は与えられた最終状態を達成する可能な手順(予 め定義された作業行為の列)の生成しようとするために, 生成されたプラ ンの効率(実行時間や行為の難易度などによる評価値)はタスク分解プログ ラムによって生成された最終状態、(目標物の姿勢, 位置を記述したもの)に 大きく依存する. したがって, 一般問題解決器を用いた作業プランナによ る作業効率の良い作業手順の生成には, 非常に大きな計画探索空間を必要 とする.

組l立作業では, より速く多くのものを組み立てることを要求される. す なわち, 作業プランナを構成する場合には, いかに作業効率の良い作業手 順を生成するかということが重要になる. したがって, 一般問題解決器を 用いたような作業プランナは?組立作業においては適当ではない. これは,

作業を作業環境における操作対象 (構成部品)の状態を変化させる操作の 列としてとらえている点に起因している. 組立作業は, 操作対象の相対的 な状態(配置)を与えられた目標状態に変化させることである. したがって,

組み付けの作業手順を導出する場合には, 探索する状態空間における状態 の記述は, 各操作対象の相対的な位置, 姿勢の記述で十分である. これに よって, 目標状態が一意に規定でき, 作業プランナ全体の探索空間を縮イ することができる. したがって, 効率の良い作業手順の生成が行なうこと ができる.

(23)

2.2. 組立作業における作業プランニング 17

Bourjault [9] は, 組み付け作業聞の優先関係の集合から組み付け作業の 列を生成する手法を提案している. その優先関係はユーザが組み付け作 業に対する質問を逐次答えることで生成され, この質問は組み付け作業の 数に対し指数関数的に増加していた. そのため, 複雑な組立作業に対する ユーザの負担は大きなものだった. Fazioら[10]は, 作業目標物を構成する 部品(操作対象)聞の連結をグラフで記述し?そのグラフをどう切断するか を求めることで組立グラフを生成していた. しかしながら ここで用いら れているBourjaltの組立グラフは, 目標状態をルートとした, 2進木であり,

同じ状態(特に初期状態)を表すノードを複数持つため, 不必要に探索空間 は大きくなっていた.

Wolter [11]は, 作業対象の部品問の拘束状態を記述した拘束グラフを提 案した. このグラフは部品聞に平行移動による衝突が存在するかどうかを 導出し, 副組付け作業問の優先関係を表現したものであった. また, 柔軟 な組み付け列(作業プラン)はそのグラフを解くことによって生成すること ができることを示している.

Homen1 de Melloら[12, 13, 14, 15, 16, 17]は, すべての組立プランを部分的 に組付けられた状態をノードとしてもつAND/ORグラフを提案し, 探索空 間の縮小をはかつている. そのグラフは, 作業目標状態の組付を与え, 一

方向の分解作業に対し可能な分解をすべて行なうことで生成されている.

また, 組立プランはヒューリスティック探索を用いて行われ そのヒューリ スティックスとして組み付け作業の自由度と作業の並列性を考慮した実行 時間を用いている.

これらの手法のほとんどが, プラン生成のための探索空間と作業環境 が独立に記述し, 比較的柔軟な組立作業プランの生成を行なっている. し かしながら, 探索状態空間内の個々の状態には, 作業環境による拘束, ロ ボットによる制約条件が欠如している. そのため, 現実的な作業プランと のギャップは, 依然として小さくない.

作業プランの効率は, 作業プランナの持つ作業知識表現, 探索空間及び

(24)

2.2. 組立作業における作業プランニング 18

その探索法に依存している. したがって, 組立作業における作業プランナ を構成する場合,

.作業環境の記述

作業環境内におけるロボットや操作対象物, およびその他障害となる ものの位置姿勢 各対象物接続関係などの表現.

-作業対象物のモデリング

操作対象物の物理的, 幾何学的な記述.

・作業動作(行為)の記述とその知識表現

計画を実行する行為者によって引き起こされる世界の変化である行為 の中でプリミテイブ行為(最も基本となる行為)の抽出とその表現法.

.各作業知識の管理

作業行為を実行する条件, 作業対象物(目標状態)の記述とそれらの知 識の管理.

.計画探索空間の記述

作業プランを生成するために用いられる状態探索空間の表現.

-探索方法

前向き探索か後向き探索かまたは双方向探索であるかといった空間探 索の方法及びその探索に使用される評価値の問題

をどうおこなうかを考える必要がある.

効率の良い知識表現, および計画探索空間は効 率の良い作業プランを 与える. しかしながら 効率の良い作業プランを生成するための知識を作 業プランナに与えることは, ユーザにとって大きな負担となる.

本章では, 作業プランナの構成に対し, 各部品に関してオブジ、エクト指 向の概念を用いることで ユーザにとって理解しやすい知識表現を行ない,

部品開および部品とHOLE聞の位置関係を調べることで組付け操作を規定

(25)

2.2. 組立作業における作業プランニング 19

し, 局所的な作業知識を用い, 部品モデル間の干渉を調べることで計画探 索空間の自動生成することができることを示す.

(26)

2.3. オブジェクト指向による作業環境の記述 20

2.3

オブジェクト指向による作業環境の記述

作業プランナは,作業レベルの作業命令をマニピュレータの動作レベル の作業命令にに変換するものである. この変換を実行するために,作業プ ランナは, 操作されようとしている対象物,作業環境,作業を実行してい

るロボット,環境の初期状態、及び望まれる最終状態の記述を持たなければ ならない. 作業プランナの出力は,作業が指定された初期状態で実行され たときに,望まれるような最終状態に到達するようなロボット プ ログラム である.

一般に,作業プランニング には3つのフェーズが存在する. すなわちモ デリング,作業の指示,及びマニピュレータプログラムの統合である. 実際 に作業を行ない得るような作業プランニング を行なうためには,その作業 プランナのモデルは 以下のような情報を含まなければならない.

(1) 作業環境内ですべての対象物及びロボットの記述 (2) すべての対象物の物理的記述

(3)すべてのリンク的結合の運動学的記述 (4)ロボット 及びセンサの特性の記述

また,作業状態モデルは世界モデル内のすべての対象物及びリンク的結合 の構造を含んでいなければならない. これらの情報の中で,作業手)11買の生 成では,(1)及び(2)が主に用いられる. また,(3)および(4)は,実行するロ ボットの詳細な動作制御のために用いられる.

組立作業は,環境内の対象物(部品)を操作することで目標達成する.

環境内に存在する対象物は物理的には, 同ーの特性を持つが,ハンドリン グ するために必要な情報(把握点など)やその形状は,その対象物に固有 のものである. そのため,対象物の特徴点やハンドリング のための知識な どの記述は個別に行なうほうが自然である. また, 組立作業において, 各

(27)

2.3 オブジェクト指向による作業環境の記述 21

部品は作業目標に関して特別な意味を持つことが多い. そのため, 組み付 ける行為(作業素)は, 各部品に対して固有に持ち得る. そこで, 各対 象 物を1つの能動的な情報処理システ ムと考え, オブジ、エクトという枠組を 各部品に対し定義することにより, 各対 象物を記述する. これによって?対 象レベルによる作業記述が可能になる. このような記述方法はオブジ、エク ト指向と呼ばれ, 一般的には次のょっな能力を持つ.

(1)各々のオブジ、エクトは情報を貯える能力

(2)各々のオブジ、エクトは情報を処理する能力 (3)各々のオブジ、エクトは通信する能力

(4)各々のオブジ、エクトは新しい情報を生成する能力

これらの4つの能力は種々の問題解決に必要なものであり, それぞれ次の ような意味を持つ. (1)は, 各オブジェクトにおける個別変数(インスタン ス変数)を指し, 各対 象物に関する記述を追加登録することが容易に行な えること, すなわち学習能力を意味する. (2)は, 処理能力をl箇所に集中 させず,各オブジェクトに情報処理能力を付加すること, すなわちシステ ムの分散処理能力を意味している. (3)は, 知識を独立した専門領域に分割 し, 協調処理を行なうことができることを意味する. (4)は, 問題解決の処 理中に発生し得る新しい情報や新しい解法を記述することを意味する.

作業目標を構成する部品をオブジ、エクトとし, 同じ性質を持つオブジェ クトを階層的に記述することで, 組立作業を計画, 実行するための知識を 局所的に管理することができる. したがって,作業実施に必要な知識を,作 業環境や他の部品との関係などの全体的なつながりをあまり意識せず に記 述することができ 作業知識を記述に対するユーザの負担を軽減すること ができる.

ここでは, 部品オブジ、エクトを ド リ ングの観点 か ら分類し, tt部品 のクラス"を構成する. この部品クラスは, それに属する部品に必要な構

(28)

2.3. オブジェクト指向による作業環境の記述 22

成点や操作手続きなどの 知識をまとめたものであり, 部品のテンプレート を形づくるものである. 以下にここで用いた, 各オブジェクトの構成, 特 徴についで述べる.

(1)個別部品モデル

個々の具体的部品のモデルはその部品のクラスを「ひな型jとして生 成される. この個別の部品をオブジ、エクト指向におけるインスタンス として表現する. 作業空間に存在する特定の部品のモデルはインスタ ンス変数に必要な教示データを設定しインスタンスを作成すること で表す. また, 各部品の特徴点の記述は, 各部品に設定された局所座

標系に関する変換行列で表す.

(2)部品の属性と操作手続き

クラスが持つ部品の操作に必要となる構成点や寸法などの属性は,

個々の部品ごとに異なるので変数として記述する必要がある. そこで,

それぞれの属性を、 そのクラスのインスタンス変数に対応させる. ま た, このクラス に属する部品の操作に必要 な手続きは, このクラス の固有の手続きとして記述する必要がある. これらの手続きを, オブ ジェクトのインスタンス・ メソッドとして記述する.

(3) 部品クラスの階層化

部品クラスは その部品を利用するための操作知識に基づいた階層化 を行なう. すなわち 上位のクラスほどさまざまな部品に共通するハ ンドリングに関する 知識を持ち, 下位のくらすほどより個別な操作知 識が記述される. これにより 上位クラスの持つ属性や手続きは, 下位 のクラスでも利用できる. すなわち 知識は上位クラスから下位クラス へと継承される. これにより重複的な記述が避けられることになる.

(4)結合状態の管理

(29)

2.3 オブジェクト指向による作業環境の記述 23

各部品の結合状態は, 方向性のあるリンクによって表現する. 組み付 けられる部品をリンクの始点とし, 各リンクの管理はLINKという オ ブジェクトにより行なう. 対象の局所座標系の位置は, このリンクを たどることで求められる .

(5)環境の記述

ロボ、ツト言語を用いて作業命令を与える場合, ユーザが与える作業命 令は処理系に入力され, 内部処理に適した形式に変換される. すなわ ち, 上位レベルの動作記述が, プリミテイブレベルの動作命令列へと 展開される. このとき, 作業の進展によって変化する環境を矛盾なく 表現するために, 処理系はその内部に環境モデルを持ち, 各作業動作 をシミュレートすることができなければならない . また, 環境内にお ける物体の位置関係を正確に把握しておく必要がある. したがって,

ロボ、ツト言語のレベルが高くなればなるほど, 環境モデルに収納すべ きデータは増大し 管理システムは複雑なものになる. そこで, 対象 物それ自体に固有の特徴を, 基準座標系に直接つながったデータから 分離し, 各対象物オブジェクトに直接蓄積・管理させる. これにより 作業に必要な情報の集積化を行なう ことができる. したがってここで は, 環境モデルのオブジェクトは, 作業環境内でのグローバルな対象 物の位置と姿勢のみを管理するものとし, それぞれの対象物の特徴点 に関しては, 対応する部品オブジ、エクトがそれぞれ管理するものとす る. 環境を記述するのため, 基準となる座標系WORLDオブジェクト を定義し, 各部品及びロボットの位置, 姿勢をこの座標系に関する座 標変換で表す.

(30)

2.4. AND/ORグラフによる作業計画 24

2.4

ANDjORグラフによる作業計画

2.4.1 ANDjORグラフによる作業プランの表現

剤l立作業プランは, 部品がバラバラの状態(初期状態)から正しく組み付 けられた状態(目標状態)まで,部品の配置を変化させるオペレータの列で ある. 組立作業において組み付けの状態(または単に状態)は,部品の配置 によって与えることができ,組立作業プランはその状態の列と見ることも できる. また, 部品の配置は部品開の相対的な位置を決めることで記述で きる.

組立作業の初期状態ではどの部品の組も相対位置は決定されていない,

したがって, 組立作業プランは初期状態で空である. また,組立作業におけ る目標状態は, 各部品の相対位置がすべて決定された状態であり, 各部品 はそれぞれ固有の相対位置をもっ. したがって,組み付けの状態は, 各部 品の相対位置を記述する代わり に, 相対位置が決まった部品の集合によっ て記述することもできる. また,組み付け状態における部分集合は,それ ぞれすでに組み付けられた部分組立に対応し, 初期状態における状態の記 述は, その組立作業全体に必要な部品と同数の部分集合によって記述され る. また,剤l立作業素は2つのゑ11み付け状態聞の遷移手続きであり, 具体 的には部品問の相対位置を決定する手続きといえる.

したがって,組立作業プランは,組み付け状態、をノードとし,作業素を オペレータとした有向グラフとして表すことができる. 例えば, Fig.2.2の ような組立作業を考える. これは, HOl1sillg, Covcr, Shaft, Annatl1reの4つ*の 部品からなる組立作業であり,組付け作業は, 2つの部品の結合作業によっ て行なわれるとすると, この作業に対する可能な組み付け状態の推移は,

Fig.2.3tに示されたように6通り 考えられる. これらの状態の推移は2つの 部品(または部分組み付け)聞の結合作業によって行なわれる. すなわち,2

事ここでBoltは, 結合作業のための作業素の一部として考えられるため操作(構成)部 品としては考えない.

f凶rjlの番号はFig.2.4に記述されたオペレータに対応している.

(31)

AND/ORグラフによる作業計画 25 2.4.

BOLT

E』R HU T A M R A

SHAFT

HOUSING

Fig.2.2: An example of assen1bling a motor

つの部品が同時に存在すると作業素が適用され状態推移が起こる. 部分組 み付けまたは部品をノード, それらのノードから構成される部分組み付け (状態推移)を有向リンクとすると , 組立作業における状態空間はANDjOR グラフで表現することができる. ここで ANDリンクは2つのノードを結

合させるための作業素を表している.

ANDjORグラフは、与えられた目標状態(目標構成物)に対するすべての 組み付け状態を表現したものであり, そのノードは 可能な組み付けと同 数である. したがって このグラフの中で初期状態を表すノードから根節 点(トップノード)までの移動経路を探索することで作業手順を生成するこ

(32)

2.4.

AND/ORグラフによる作業計画

26

...、

,.... . . . . . . . . . . . . . . .

一一一'炉:-

C"):

. -

: If・

. .

・・・・・..

圃… …日川出……固函… …岡山円幽… …凪函… N.N・自民ち弓。』円三252ぉ285こ0888Z∞ω【ハコ∞∞。仏一円.N.自民 …門剛山崩

函同;→;凪m__間同;→;同;

: 函 回; ; "1""'" 出

...、

ー一一....

C\I:

L....l三TT1o...

…円岡山…

…固回… …岡山門間… …円州川山……函函… 円閣…

一 比

…円幽

……円剛山…

…岡山幽……門閏…

…日川山 ……田川山

門閣……

円閏…

…円幽…

…阿国

…岡山円幽……岡山門凶……函固……函固…

...、

同…

(33)

2.4. ANDjORグラフによる作業計画 27

とが できる. また,可能な 状態を過不足なく最小の状態記述で表 現できる ため,さまざまな 状況に対する動作列を高効率で知的ロボットに生成させ ることが可能 となる. Fig.2.4にADND/ORグラフの簡単な例を示す. 具体 的には, それぞれ のノードは 部分組立に対応し, その状態を構成する部品 の名前を内部状態に 持つオブジェクトによって記述されている.

AND弧は組立作業素に対応し、 それぞれのAND弧へのノードは分解作 用に よって生成された副組み付けの結果に対応している. AND/ORグラフ のノードは可能な 部分組み付け状態と同数であるため,同じ 作業に対する 状態遷移グラフより も少ない ノードを持つ.

2.4.2 ANDjORグラフの生成

AND/OIlグラフは可能なすべて のプランを有向グラフを用いて 表 現し たものである. これは, 作業手}II真生成のための状態空間であり, 組立作業 を行なうために必要な 知識といえる. AND/ORグラフにおいて, 各ノード は 目標状態へ組み立てて 行く過程に現れる中間状態(副組付け作業) であ る. AND弧は 2つの中問状態を結合するためのオペレータを表している.

また, OR枝は, ある副組付け状態を達成する方法を表している. し たがっ て,AND/ORグラフ内に現 れるAND弧で初期状態から目標状態 ま で結ばれ た木は, その目標状態を達成するための作業手}I債を表す. AND/ORグラフ は可能な 組み付け状態 をノードとするため に, その大きさ及びその複雑さ は, 部品の数に応じて増加する. そのため, AND/ORグラフそれ自身を直 接作業の知識 として 教示すること は, ユーザにとって非常に負担がかかる.

限ら れた知識から, 作業目標に対するAND/ORグラフを生成すること は, 作業教示 を行なう作業者にとって非常に望ましい . 本節では,組立作 業をl組の部品の組み付けの連続と仮定し, 各部品に作業に対する局所的 な 作業知識から, AND/ORグラフの生成 を試みる.

今,組l立作業の目標状態(goal-αsse'mbly)が与えられ た時, その目標物に 対するAND/ORグラフは,可能な分解操作を探索すること で導出すること

(34)

2.4. ANDjORグラフによる作業計画 28

。仁r=aコ

Fig.2.4: An AND /OR graph representation for assembling a sirnple lTIotor

(35)

2.4. ANDjORグラフによる作業計画 29

ができる. Fig.2.5にそのアルゴリズムを示す.

AIgorithm Genelαte-ANDjOR-Grαph

このアルゴリズムは, 与えられた目標物の幾何モデルを用いて, その目 標物を2つに分解することを繰り返し行なうことで,ANDjORグラフの生 成を行なう. OPEN変数は,組付けの状態を記述しておくリストであり,各 要素は部品の組み付けを表すオブジ、エクトで(COMPONENTと呼ぶ)ある.

組付け状態を表すオブジ、エクトは, その内部状態として, 構成部品開の接 続グラフと, 親の組付け状態にするための作業素とその対象状態(部品)の 記述を持つ. OPEN の各要素の組付け状態を表すオブジェクトSにおける 構成部品の接続関係からを2つの部分組み付け状態(子組付け)に分割する.

この2つの部分に分離可能かどうかは,操作部品の, 各部品の組付け状態 から導出される作業素を実行した場合の掃引領域と, もう一方の部分組み 付けとの干渉チェックを行なうことで求められる. 分離可能であれば, そ れらの分解した2つの状態をOPENに記述し, そして, OPENリストが NIL になるまで繰り返す. 子組み付け状態に対するオブジェクトが存在しない 場合, 新たに部品クラスのインスタンスとして生成する.

生成されたANDjORグラフは明示的には記述せず, COMPONENTと対 象部品オブジ、エクト(PART)を含むモデリング空間を計画探索空間とする.

組立作業は, 局所的に見ると2つの対象物を接続させることである. ま た, 2つの部品開の配置を決定することということができる. この配置は,

通常, 面と面の接続関係で記述され, 組付け作業素は,Pick-and-Plce操作a で記述される. しかしながら, 組立作業において, 部品問の組付け作業と して,Peg-in-Hole作業のような部品上ある穴(HOLE)への挿入作業などは非 常に多く見られる. また,挿入作業と平面聞の接続作業では明らかにその 操作, 作業の難易度は異なる. そこで, 部品開の組付け作業の基本作業素 を, Fig.2.6に示された操作部品とHOLEの関係(対象物とHOLEとの位置関 係や接続関係 ),HOLEの形状を表すTabelを参照することで導出する. この

(36)

2.4. ANDjORグラフによる作業計画

procedure Generate-ANDjOR-Graph(goal-assernbly);

begin

OPEN←goal-assembly;

until empty( OP EN) do begin

S←pop(OPEN);

if {Sは分解可能)

for { 5を構成する部品pそれぞれに対して} do if { 5 -pは連結している} then

if {pはSから分離可能} then begin

{ Sからpを分離し, 5 - pを状態として記述}

push(S -p, OP EN);

end;

else begin

55←{5からpを分離した状態5-p}

for {SSを構成する部品群spそれぞれに対して} do if {p + spはSから分離可能} then

begin

30

{ Sからp十spを分離し, S - (p + sp)を状態として記述}

pωh(S - (p + sp), OP EN);

end;

end;

end

end;

end{ Generαte-A N D j 0 R-Graph}

Fig.2.5: A lnain algorithm to genarate the AND jOR graph

(37)

2.4. ANDjORグラフによる作業計画 31

図において, 横方向に記述されているPLACE, TUBE,CUP,C LOSED は組み 付け状態におけるHOLEの状態に付けられた名前であり, 縦方向のINSIDE,

INTO,ONは部品とHOLEとの配置を表している. また, 表中に記述された 数字は, HOLEと部品聞の状態を表す状態値である. それぞれの状態値は,

各状態をHOLEの名前及びHOLEと部品聞の関係を表す数字の組みによっ て表わしたものである. 例えば, TUBEのHOLEに INTOの状態、で部品が 挿入されている時, TUBEを表す 1 ,部品聞の関係INTOを表す2によって,

その状態値を21と記述する.

それぞれの状態を達成するための作業素をFig.2.7に示さた Tableを用い る. 基本作業素として, Fig.2.6のそれぞれの配置に応じてPLACE-INSIDE

PLACE-INTO, PLACE-ONの3つを考える. また, Fig.2.7において, 表中 の横方向はFig.2.6と同様にHOLEの名前であり, 縦方向はFig.2.6の縦方向 に記述されたHOLEと部品との配置に対応する 部品操作(作業素)である.

また, 左の表は各作業素に対する操作方向を領域と矢印で示したものであ る. この表を用いて, 1つの組み付け作業に対する操作方向を決定する.

すなわち, 部品開の接続関係として接続した平面, 及びHOLEによって決 まる操作方向の積をとることで, 部品問の組み付けを決定する.

Fig.2.2 で示された組立作業では, A ND/ORグラフは次のよう に生成さ れる.

まず, それぞれの部品に関して分解作業を行なう. 例えば, Fig.2.8で示 されたような分解操作に対して, すべての部品が組み付けられている状 態(a)から仁とHSAとに分解操作を行なう. ここでCは Coverを表し, HSA はHousingと Shaft及び Armatureが組み付けられた状態を表している. c

とHSAの2つの部品問の関係は, Fig.2.6より21tと103となり, Fig.2.7から 作業操作はPLACE-INTO とPLACE-ONが選ばれる. ここでは, 作業に対 し, PLACE-INSIDE> PLACE-INTO> PLACE-ONなる優先順位を設けている

tこれは ShaftのHOLEとCoverの位置関係による.

Sこれは, HousÌllgとCoverの位置関係による.

(38)

32

3H吋内向ロωωEB凶H〈ト的

ANDjORグラフによる作業計画

「一一ー一一一一 10

z o

21 22

l髄1 1璽1

|盟|

32

園j

33

国耳目

2.4

CLOSED CUP

TUBE PLANE

Name of HOLE

Fig.2.6: The relation between HOLE and parts

(39)

33

AND/ORグラフによる作業計画

2.4.

zol凶U〈J仏 自oaE邑oh一宮む回目〈 。トXHl凶U〈」仏

h輔1

凶凸HmZ】l凶U〈JR凶

nHHHHHHHH川川川川川HHUa-'EESE-EBB-品・・・

TUBE CUP PLANE

NameofHOLE

Fig.2.7: Asselnbly Operation

(40)

2.4. ANDjORグラフによる作業計画 34

ので, 適用作業素はPIACE-INTOとなる. また, 操作方向はPLACE-INTO,

PLACE-ONの操作方向の積集合をとり, Fig.2.8に示された矢印の方向にな る. その操作 操作方向によってC を分解し, 図中の影で示された掃引領 域CSweepが得られる(b). 次にCSweepとHSAとの干渉を調べ(c), 干渉が見つ からないのでグラフ(d) が得られる. ここで, HSAを表す状態ノードが存 在しないので, 新たにCOMPONENTオブジ、エクトのインスタンスとして生 成する.

また, Fig.2.9のよう な分解に対して,目標状態、(a)からAを分解する場合 を考える. 図中のAは A rmatureを表し, 前述の例と同様に掃引領域ASwe を求める(b川). この場合, ASwe

る仁SHとの間に干j渉歩が存在する. そこで, 分解操作を行なった部品Aと干 渉があった部品と組にして, 分解操作を行なう. この例では,CAとHSへの 分解を試みる(c). CAはCoverとAnnatureの剤lであり, HS はHousingとShaft の組である. この分解操作において, 上述の処理と同様に行ない, 図中の 影で示された掃引領域が求められる. この掃引領域とHS との干渉を調べ ることにより 前述の例と同様に組み付け作業素PLACOE-INTOとその操 作方向 が導出され, グラフ(e)が得られる. 以下同様にすべての部品に対

し繰り返し行ない. グラフの生成を行なう.

ここまで, 目標組み付け状態が与えられた時のAND/ORグラフの生成 法について述べた. このアルゴリズムは, 部品問の接続関係の記述によっ てグラフ 生成を行なう. したがって, 作業目標状態 を与える時, すべての 部品開の接続関係を記述しなければならない. 部品数の増加にともなって,

この接続関係の記述の複雑さは大きく増加する. そこで, 部分組み付けに 関する知識を与え, それらの知識を基にして, 一旦, 目標状態を構成する ことで接続関係を導出を行ない, 作業目標状態を与える.

ここで与える部分組み付けに関する知識とは,各部品の対して, その部 品を組み付ける部品(Base) とその部品に組付けられる部品(Piece)の組, 及

び部分組付けのための作業素である.

参照

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