アメリカ民事訴訟法における「事実上の代表法理」
の生成と展開 : 「多数当事者紛争と判決効」研究
・序説:Taylor判決前史
著者 山中 稚菜
雑誌名 同志社法學
巻 67
号 5
ページ 2261‑2403
発行年 2015‑09‑30
権利 同志社法學會
URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000015617
( )アメリカ民事訴訟法における﹁事実上の代表法理﹂の生成と展開同志社法学 六七巻五号四一五二二六一
ア メ リ カ 民 事 訴 訟 法 に お け る 「 事 実 上 の 代 表 法 理 」 の 生 成 と 展 開
――「多数当事者紛争と判決効」研究・序説:
Taylor
判決前史――山 中 稚 菜
目次第一章 はじめに第二章 アメリカ民事訴訟法における判決効の基本構造︱︱判決効論における事実上の代表法理の位相︱︱ 第一節 序説 第二節 判決効の基本構造(請求遮断効および争点遮断効) 第一款 レス・ジュディカータ(res judicata)ないしは、遮断効 第二款 請求遮断効 第三款 争点遮断効
( )同志社法学 六七巻五号四一六アメリカ民事訴訟法における﹁事実上の代表法理﹂の生成と展開二二六二 第三節 判決効の主観的範囲 第一款 請求遮断効と争点遮断効の主観的範囲(当事者、プリヴィおよび相互性の原則) 第二款 争点遮断効の第三者援用(﹁相互性の原則﹂の廃棄までの歴史も含めて) 第三款 プリヴィ(privy)・プリヴィティ(privity)概念第三章 第二次判決リステイトメントに基づく判決効の主観的範囲 第一節 序説 第二節 判決効に拘束される非当事者の新たな類型化 第一款 第二次判決リステイトメントにおける判決効の主観的範囲 第二款 判決効に拘束される非当事者 第三節 判決効に拘束される非当事者︱︱第二類型・代表の類型︱︱ 第一款 代表の一般原則 第二款 代表の一般原則の例外 第四節 非当事者に対する判決効拡張とデュー・プロセスをめぐる議論の変遷第四章 事実上の代表法理の歴史的展開と基本構造 第一節 序説 第二節 事実上の代表法理の起源 第三節 一九世紀における事実上の代表法理の拡大 第四節 二〇世紀における事実上の代表法理の錯綜 第一款 二〇世紀初期における事実上の代表法理 第二款 二〇世紀中期における事実上の代表法理の拡大 第三款 二〇世紀における事実上の代表法理の現代的発展
( )アメリカ民事訴訟法における﹁事実上の代表法理﹂の生成と展開同志社法学 六七巻五号四一七二二六三 第四款 二〇世紀後期以降における事実上の代表法理の解釈をめぐる議論の混乱第五章 おわりに
第一章 はじめに わが国の民事訴訟法において、判決効の領域は、理論上、重要な位置づけを担ってきた。その判決効の中でも、前訴判決における判断の後訴における通用力としての既判力が、重要な意義を有している )1
(。
一般的に、判決効、とりわけ既判力の主観的範囲は、原則として当事者間に限定されている(民訴法一一五条一項一号 )2
()が、例外的に第三者にも判決効が拡張される場合が規定されている。ただしそれは、民訴法一一五条一項二号ないし四号によって判決効が拡張される場合に限られる )3
(。なぜなら、訴訟追行の機会をもたなかった第三者に対して判決効をむやみに拡張することは、手続保障の要請との関係で大きな問題となるからである。このように、例外的に第三者への判決効の拡張が認められている限り、第三者に判決効が及ぶことの正当化根拠とその範囲に関する規律のあり方を検討することについて、一定の意義が存する )4
(と考えられる。
特に、この局面において生ずる問題の一つとして挙げられるのが、訴訟担当者が受けた判決効が被担当者に及ぶか否かという訴訟担当に関する問題である。法定訴訟担当の場合には、任意的訴訟担当の場合とは異なり、利益帰属主体の意思に基づくことなく、法律の規定により訴訟担当者が当然に訴訟を追行するため、﹁授権﹂が法律上当然に行われるわけではない。この問題に関しては、法の存在が判決効の正当化根拠とも考えられるが、すでに異論も提起されている。つまり、被担当者からの授権がなく、法がなければ本来的には訴訟追行の資格を有しないようにみえる訴訟担当者によ
( )同志社法学 六七巻五号四一八アメリカ民事訴訟法における﹁事実上の代表法理﹂の生成と展開二二六四
る訴訟の判決がいかなる根拠に従って、被担当者に及ぶのかという点については、かねてから疑問が投げかけられてきたのである。
疑問視されてきた場面としては、たとえば、破産管財人と破産者との関係と、債権者代位訴訟における代位債権者と債務者との関係を同一視しうるかという問題がある。後者の場合には、前者の場合とは異なり、担当者と被担当者との間の利害が本来対立する関係にあるため、担当者が被担当者の利害を十分に反映して訴訟追行することを必ずしも期待できないからである )5
(。
また、訴訟担当をめぐる議論に関して注目すべき判例とされる最高裁平成六年五月三一日第三小法廷判決(民集四八巻四号一〇六五頁)は、入会団体を原告とする訴訟の判決効を当該入会団体の構成員全員に拡張することを前提に入会団体に原告適格を認めたが、実際、どのような根拠に基づき当該入会団体に原告適格を認め、当該入会団体の構成員に判決効を及ぼす根拠をどのように考えるかという問題については、必ずしも明確ではない。
他にも、従来、住民訴訟や株主代表訴訟(責任追及の訴え)は、訴訟形態が法定訴訟担当と性質決定されれば、民訴法一一五条一項二号により判決効が拡張されることから、類似必要的共同訴訟となるとされてきたが、それらの事件類型において、なぜ他者の訴訟追行の結果である判決効が及ぶことになるのかについては、これまで必ずしも十分に解明されてはこなかったと考えられる。
さらに、近年では、消費者契約法により適格消費者団体自体に差止請求権が帰属するとの前提のもと、消費者団体に差止請求訴訟を許す消費者団体訴訟が導入され、また、ごく最近、一定の消費者団体が集団的損害賠償請求訴訟を提起することを認める立法化もなされた )6
(。このような消費者保護に関する問題、とりわけ、多数当事者紛争に関連する分野においても、損害賠償請求権を団体自体の権利と構成することの困難性から、第三者である団体が訴訟を追行する訴訟
( )アメリカ民事訴訟法における﹁事実上の代表法理﹂の生成と展開同志社法学 六七巻五号四一九二二六五 担当としての問題として論じられてきている )7
(。もっとも、多数当事者紛争に関連する分野をめぐっては、集団的紛争の解決のためのあるべき実体法または訴訟法上の法理を定立していくことの必要性は勿論、判決効の問題と判決効を正当化するための手続過程のあり方だけではなく、訴訟追行権の主体をどのように考えるかという集団的権利保護のための当事者適格論に立ち返った考察も重要な課題となっている )8
(。多数当事者紛争に関連する分野のように一般的に当事者以外の第三者に対する判決効拡張の可能性が議論される場合には、より一層、第三者に判決効が及ぶことの正当化根拠と限界を画す基準の探究が必要不可欠となってくるのであり、その前提として当事者適格をどのように考えるかがクローズアップされるからである。これらの問題からもみてとれるように、他者の訴訟追行結果が、当事者以外の第三者の後訴を遮断する実質的な根拠を考察することには意義があると考えられる。
なお、民訴法一一五条一項四号により、特定物引渡請求において、特定物の所持につき固有の利益を持たず、もっぱら当事者などのために﹁請求の目的物を所持する者﹂に対しては、そもそも手続保障の機会を与える必要がないとして、当事者の受けた判決効が拡張されるとされてきたが、これらの者に対する判決効をどのように考えるか、また、所持者と相手方当事者との間にどのような法律関係を想定するのかという点についても、未だ問題が残る。
そこで、このようなわが国の議論状況において、本稿では、アメリカ法の研究を通じて、わが国における判決効の主観的範囲に関する示唆を得ることを目的としたい。これまで、わが国において、アメリカにおける判決効理論については、すでに多くの先行業績が積み重ねられてきた )9
(。これらにより、異なる歴史的・制度的背景のもと独自に発展を遂げてきたわが国の判決効理論とアメリカの判決効理論の間においても、基本的な考え方の部分では共通するところが少なくないことが明らかにされてきた )₁₀
(。これは、判決効の主観的範囲においても同様のことがいえるように思われる。確かに、アメリカ法では、わが国の判決効の主観的範囲に関するような一般的な規定が存在しないため、これまで、判例法
( )同志社法学 六七巻五号四二〇アメリカ民事訴訟法における﹁事実上の代表法理﹂の生成と展開二二六六
を通じて、判決効に拘束される非当事者(﹁非当事者﹂とは﹁第三者﹂のことであるが、アメリカ法では
“ no np ar ty ”
と表記されることが多いため、アメリカ法に関する記述の部分ではおおむね﹁非当事者﹂と表現する。ただし、﹁争点効の第三者援用﹂等、特定の局面では﹁第三者﹂と表記したい。)の範囲が実質的に画されてきた。しかし、その一方で、元来、アメリカ法には、わが国の民訴法一一五条が規定する当事者と並んで判決効の拘束力を受ける第三者を確定する関係を示す概念として、﹁プリヴィティ(pr iv ity
:当事者的関係)﹂という概念が存在し、これに該当する者は、例外的に、当事者と同様に判決効に拘束されるとされてきた。プリヴィティ概念には種々雑多なものが含まれるとされてきたが、大別すると、ⅰ非当事者が前訴をコントロールした場合、ⅱ非当事者が訴訟当事者によって代表された場合、および、ⅲ非当事者が訴訟後の係争財産上の利益の承継人である場合が存在するとされ、特に、ⅱの代表の類型は、第三者の法定訴訟担当とほとんど共通するとの指摘もある )₁₁(。そこで、アメリカ民事訴訟法における判決効の主観的範囲に関する理論の沿革と諸判例の展開を参考にしつつ、いわば機能的にわが国の民事訴訟法への比較の素材を提供するための基礎的な研究を行いたい。
本稿において、アメリカ法における判決効の主観的範囲に関する法領域について取り上げたのは、近時、判例法理の大きな転換がみられるからであり、そのような理論的変遷をたどることは、判決効の主観的範囲に関するわが国の議論における実質的な根拠を探究する契機となると考えられるからである。本稿では、特に、アメリカの判決効の主観的範囲に関する法領域に変化を与えることとなった二〇〇八年の
T ay lo r
事件連邦最高裁判所判決 )₁₂(において争点の中心となった﹁事実上の代表法理(
vir tu al re pr es en ta tio n do ct rin e
)﹂に注目したい。当該法理は、端的に言えば、非当事者が前訴において前訴当事者によって﹁事実上代表されていた﹂とされる場合に、非当事者を前訴判決に拘束し、非当事者による後訴を遮断するものである。事実上の代表法理には、必ずしも明確な定義がなく、当該法理を用いる際の要件も( )アメリカ民事訴訟法における﹁事実上の代表法理﹂の生成と展開同志社法学 六七巻五号四二一二二六七 各裁判所によって異なることから、正確な全体像を描くことは困難であると評価されることも少なくない )₁₃
(。しかし、﹁事実上の代表法理﹂が明示的な選任を念頭に置いておらず、またその法理自体明文の規定がなく、特にクラス・アクションのようにデュー・プロセスの保障について定めた明文規定も存在しない以上、前訴当事者と非当事者との間にどのような関係がある場合に、非当事者が前訴当事者によって﹁事実上代表されていた﹂とされるのか、つまり、事実上の代表法理による後訴の遮断効がどのような根拠と基準によって正当化され、ことに、判決効に拘束される非当事者のデュー・プロセスの保障がどのような要件で充たされるのかという点を明らかにすることは、アメリカにおける非当事者に対する判決効の拡張の範囲と限界を知る上でも必要不可欠な作業であり )₁₄
(、わが国における第三者に判決効が及ぶことの正当化根拠と判決効の限界を画す実質的な基準を探究する際の比較法研究としても、有意義であると思う。
そこで、本稿では、事実上の代表法理がどのように生成され、どのように用いられてきたのかについて、
T ay lo r
事件連邦最高裁判所判決に至るまでの歴史的展開を通して明らかにし、当該法理の基本構造を探究することに焦点を当てることとする。そのため、まず、第二章において、判決効論における事実上の代表法理の位置づけを知るために、アメリカ民事訴訟法における判決効の主観的範囲の基本構造を概観した上で、第三章において、第二次判決リステイトメントに規定された判決効の主観的範囲を紹介する。そして、これまでの議論を前提に、第四章において、﹁事実上の代表法理﹂の歴史的展開と基本構造を明らかにする。本稿を通して、アメリカにおける非当事者に対する判決効の拡張の範囲と限界、また、わが国において第三者に判決効を及ぼすための正当化根拠と判決効の限界を画す基準を探究する際の新たな視点を抽出できればと考える )₁₅(。
( )同志社法学 六七巻五号四二二アメリカ民事訴訟法における﹁事実上の代表法理﹂の生成と展開二二六八
第二章 アメリカ民事訴訟法における判決効の基本構造――判決効論における事実上の代表法理の位相――
第一節 序説 ここでは、まず、アメリカ民事訴訟法における判決効の基本構造を明らかにしたい。しかし、この作業は、あくまで判決効論における事実上の代表法理の位置づけを知るための前提作業であるため、判決効に関する詳細な内容に立ち入った作業というよりもむしろ、判決効の基本的な構造を概観することに重点を置く。そこで、第二節においては、アメリカ民事訴訟法における判決効(請求遮断効および争点遮断効)の基本構造を一瞥する。その上で、第三節においては、アメリカ民事訴訟法における判決効の主観的範囲として、請求遮断効と争点遮断効の主観的範囲の相違、相互性の原則を廃棄することとなった争点遮断効の第三者援用をめぐる議論、および、プリヴィ・プリヴィティ概念について概観する。
第二節 判決効の基本構造(請求遮断効および争点遮断効)第一款 レス・ジュディカータ(
res judicata
)ないしは、遮断効 伝統的なアメリカ法によると、全ての者は﹁法廷で審理を受ける機会(da y in c ou rt
)﹂を保障されているとされる。しかし、ひとたび事件が終局判決に達すると、この保障には終止符が打たれなければならない。これがレス・ジュディカータの法理の核心であるといわれてきた。そのため、アメリカ民事訴訟法では、伝統的に、前訴における判断が後訴裁判所を法律上拘束する効力を示すものと
( )アメリカ民事訴訟法における﹁事実上の代表法理﹂の生成と展開同志社法学 六七巻五号四二三二二六九 して、レス・ジュディカータという用語が使われてきた )₁₆
(。レス・ジュディカータは、わが国でいう既判力の法理を指す狭義の意味で用いられることもあったが、しばしば、わが国でいう争点効 )₁₇
(に類する効力をも含めた広義の既判力を示す用語としても使われてきた。しかし、実際のところ、既判力と争点効に類する効力の法理は異なる。両者とも、判決の後訴に対する拘束力にかかわるものではあるが、前者は前後両訴の訴訟原因(
ca us e of a ct io n
)が同一の場合に作用するのに対し、後者はこれが異なる場合に作用するからである )₁₈(。そのため、レス・ジュディカータという用語をめぐっては、混乱が生じていた )₁₉
(。また、争点効に類する効力の法理に関する用語としては、従前コラテラル・エストッペル(
co lla te ra l e st op pe l
)という用語も広く使われていたが、コラテラル・エストッペルの用語としての不適切さが指摘されることも少なくなかった )₂₀(。
そこで、用語として様々な問題を抱えたレス・ジュディカータに対して、新しい風を吹き込む有力な学説が唱えられた。これは、従来、広義の既判力を示す用語として使われてきたレス・ジュディカータを遮断効(排除効:
pr ec lu sio n
)という用語で表現した上で )₂₁(、同一の訴訟原因について生じる判決効を請求遮断効(
cla im p re clu sio n
) )₂₂(と定義し、異なる訴訟原因について生じる判決効を争点遮断効(
iss ue p re clu sio n
) )₂₃(と定義することによって両者の区別を明確にするものであった )₂₄
(。これらの定義は、連邦最高裁判所においても用いられ )₂₅
(、さらに、一九八二年にアメリカ法律協会(
A m er ic an L aw In st itu te
)によって公刊された第二次判決リステイトメントにおいても、中心的な概念として採用されることとなった )₂₆(。第二次判決リステイトメントは、これまでのアメリカ国内の判例・学説を集大成し、レス・ジュディカータに関する様々な論点について一定の統一的解決を図ったのであったものであり、法源としての拘束力はないものの、当事者や裁判所に対する影響力は決して小さくないとされている )₂₇
(。以下では、主として連邦裁判所で適用されるルールに焦点をあて、遮断効の法理の本質的要素である請求遮断効と争点遮断効についてみていきたい )₂₈
(。
( )同志社法学 六七巻五号四二四アメリカ民事訴訟法における﹁事実上の代表法理﹂の生成と展開二二七〇
第二款 請求遮断効 (一) 請求遮断効 伝統的に、レス・ジュディカータと呼ばれてきた請求遮断効は、本案判決がなされた場合に、請求(
cla im
)につき生じるものである。請求遮断効は、前訴と同一の請求に基づく後訴を当事者が提起することを禁止する効果を有し、単一の訴訟原因が分割されることを防止する機能を有する )₂₉(。
請求遮断効の効果の現れ方は、原告勝訴の場合と被告勝訴の場合で異なっているとされ、伝統的に、﹁混同(
m er ge r
)と遮断(ba r
)の法理﹂として知られていた )₃₀(。つまり、原告勝訴の場合に生じる請求遮断効は混同と呼ばれ、被告勝訴の場合に生じる請求遮断効は遮断と呼ばれたのである。この請求遮断効の効果の現れ方の相違は、第二次判決リステイトメントにおいても引き継がれることとなった )₃₁
(。
原告勝訴の場合に生じる混同の一般原則に関しては、第二次判決リステイトメント一八条に規定され、判決が原告勝訴判決である場合、原告の請求は当該判決に混同され、これにより、前訴原告は前訴と同一の請求についてより有利な判決を求めて再び訴えを提起することを禁止され、前訴被告もまた当該判決を争うことを禁止される )₃₂
(。混同が生ずるのは、原告が勝訴した場合というよりも、厳密にいえば、原告が前訴で請求をなすべきであったのに請求をしなかった場合である。このことからも分かるように混同の主たる目的は、裁判所および当事者に対して効率性の確保を要請するところにあるとされている )₃₃
(。
これに対して、被告勝訴の場合に生じる遮断の一般原則に関しては、第二次判決リステイトメント一九条に規定され、判決が被告勝訴判決である場合、原告の請求は当該判決によって遮断され、これにより、前訴原告は前訴と同一の請求について勝訴判決を求めて再び訴えを提起することを禁止される )₃₄
(。遮断の主たる目的は、被告に対する公平、健全な司
( )アメリカ民事訴訟法における﹁事実上の代表法理﹂の生成と展開同志社法学 六七巻五号四二五二二七一 法運営を維持するための終局性の確保および矛盾判決の回避にあると考えられている )₃₅
(。いずれの場合も、前訴原告は、前訴と同一の請求に関する全ての攻撃防御方法の提出が禁止され、前訴において実際に提出した事項のみならず、前訴において提出することのできた事項を提出することも禁止される )₃₆
(。
しかし、今日、裁判所では、原告の前訴における勝訴または敗訴にかかわらず、﹁請求遮断効﹂という表現を用いるのが一般的となっているようである )₃₇
(。したがって、請求遮断効が生じるためには、三つの技術的な要件を充たす必要があるとされる。まず、①前訴が﹁本案に関する﹂有効かつ終局的な判決によって終結していること )₃₈
(、②後訴が前訴と同一の﹁請求﹂を対象とすること、③原告が後訴で遮断されることになる新たな資料を前訴の段階で提出し得たこと )₃₉
(、である。さらに、これらに加えて、わずかな例外を除き、後訴当事者が前訴当事者と同じであることも要求されるようである )₄₀
(。以下では、請求遮断効が生じるために最も重要とされる②の要件について敷衍することとする。
(二) 請求の範囲(請求の同一性) 請求遮断効は、﹁請求﹂が同一の場合に生じることから、どのような場合に前訴と後訴における﹁請求﹂が同一とされるか、つまり、﹁請求﹂の範囲が問題となる。
伝統的に、アメリカでは、コモン・ローとエクイティの区別および訴訟方式の下で、﹁訴訟原因﹂が決定され、請求遮断効の客観的範囲が画されてきた )₄₁
(。しかし、一八四八年のフィールド法典 )₄₂
(を契機に、コモン・ローとエクイティの区別および訴訟方式が廃止されたことにより、﹁訴訟原因﹂の概念が混乱し明確性を欠くこととなったため、﹁訴訟原因﹂の範囲をどのように定めるかという問題が大きな争点となった )₄₃
(。そこで、一九三八年のアメリカ連邦民事訴訟規則では、﹁訴訟原因﹂を﹁請求﹂という表現に変更し )₄₄
(、さらに﹁訴訟原因﹂に関する伝統的な学説に代わって )₄₅
(、もっぱら審判の
( )同志社法学 六七巻五号四二六アメリカ民事訴訟法における﹁事実上の代表法理﹂の生成と展開二二七二
便宜という視点から効率的に処理するために﹁事件(
tr an sa ct io n
)﹂あるいは、﹁一連の関連事件(se rie s o f c on ne ct ed tr an sa ct io n
)﹂から生じる請求を請求遮断効の客観的範囲を画する訴訟物とする見解、すなわち、裁判所の自由裁量にゆだねる機能的かつプラグマティックな見解に立つ学説が有力に唱えられるようになった )₄₆(。この見解は、第二次判決リステイトメントにも採用された。
しかし、これによって﹁請求﹂の範囲をめぐる問題が全て解決されたというわけではなかった。というのも、請求遮断効は、単に前訴と同一の後訴が再び提起されることを妨げるだけでなく、仮に後訴が新たな法律上の主張や新たな法的救済手段を含むものであっても、それらが前訴で提出し得た場合または提出すべきであった場合には、このような後訴も同様に妨げる機能を有するからである )₄₇
(。そのため、請求遮断効との関係で用いられる﹁請求﹂という用語は、一般的な意味で用いられる﹁請求﹂と異なる意味を有することになるのである。つまり、一般的な意味で用いられる﹁請求﹂は、過失不法行為や債務不履行といった特定の法的救済を求めうる権利の意味で使われる一方、請求遮断効との関係で用いられる﹁請求﹂は、一つの訴訟で同時に提出されるべき相互に関連する法律上の主張、事実上の主張、および法的救済手段のすべてを包含する意味で使われているからである )₄₈
(。そのため、原告が一個の訴訟に何を包含しなければならないのかという請求の範囲に関する問題は、﹁事件﹂的アプローチを採用した今日において一つの重要な論点となっているのである )₄₉
(。
もっとも、本稿では、判決効の主観的範囲を研究対象としているため、判決効の客観的範囲の問題である請求の範囲に関しては、第二次判決リステイトメントに基づいて簡単に触れておくに留めることにしたい。﹁請求﹂の範囲に関しては、第二次判決リステイトメント二四条 )₅₀
(に規定されている。まず、一項において、﹁訴訟において言い渡された有効かつ終局的な判決が混同または遮断の法理に従って原告の請求を消滅させた場合(一八条、一九条参照)、消滅する請
( )アメリカ民事訴訟法における﹁事実上の代表法理﹂の生成と展開同志社法学 六七巻五号四二七二二七三 求は、訴訟の原因となった事件の全部ないし一部、または一連の関連事件に関して原告が被告に対して救済を求めうるあらゆる権利を含む﹂と規定している )₅₁
(。つまり、請求遮断効は前訴と同一の事件またはこれと一連の関連性を有する事件に関して生じた権利に及ぶとしているため、前訴と後訴で損害の性質を異にする場合、請求を基礎づける事実や法的観点を異にする場合、あるいは、求めうる救済方法を異にする場合であっても、後訴が前訴と同一の事件またはこれと一連の関連性を有する事件に関して生じた権利に基づくものである場合には、原則として請求の同一性が認められることになる )₅₂
(。
次に、二項において、﹁どのような事実の集合が﹃事件﹄を構成し、どのような集合が﹃一連﹄を構成するかは、プラグマティックに決定されなければならない﹂とした上で、関連する諸事実の判断要素として、ⅰ当該事実が、時間、空間、発生原因(
or ig in
)または動機と関連するか否か、ⅱ当該事実が適当な(co nv en ie nt
)事実審理の単位を構成するか否か、ⅲ当該事実を事実審理の単位として取り扱うことが当事者の期待や取引上の理解または慣行に合致するか否か、という考慮に重点を置くべきであると規定している。このように、﹁事件﹂的アプローチは、請求を事件と捉えることにより、実体法上の権利を基準とする伝統的なアプローチよりも請求の範囲を拡大することによって )₅₃(、結果的に、請求遮断効の範囲を飛躍的に拡大させることとなった )₅₄
(。
第三款 争点遮断効 (一) 争点遮断効 争点遮断効は、本案判決がなされた場合に、争点(
iss ue
)につき生じるものである。争点遮断効は、前訴で既に審理されたが認められなかった争点、つまり、前訴と同一の争点について当事者が再び審理を求めることを禁止する効果( )同志社法学 六七巻五号四二八アメリカ民事訴訟法における﹁事実上の代表法理﹂の生成と展開二二七四
を有し、前訴と同一の争点が非効率的に再び審理されることを防止する機能を有する )₅₅
(。そのため、争点遮断効の主たる目的は訴訟経済であるとされる )₅₆
(。さらに、争点遮断効は、前訴と後訴の請求が異なる場合に争点遮断効を生じさせる付随的禁反言(
co lla te ra l e st op pe l
)と、前訴と後訴の請求が同一ではあるが、請求遮断効が生じない場合に争点遮断効を生じさせる直接的禁反言(dir ec t e st op pe l
)とに細分化される )₅₇(。後者の働きに注目して、争点遮断効は、請求遮断効を補完すると表現されることもある )₅₈
(。争点遮断効の一般原則に関しては、第二次判決リステイトメント二七条に規定され、前訴において実際に審理・判断の対象となった事実上または法律上の争点について、当該争点に関する判断が前訴判決にとって不可欠の判断である場合に、当該争点について再び争うことが禁止される )₅₉
(。
以上から争点遮断効が生じるための要件としては、①前訴が原則として有効かつ終局的な判決により終了していること )₆₀
(、②後訴の争点と前訴の争点が共通していること、③当該争点が前訴において実際に審理されかつ実際に判断されたこと )₆₁
(、④当該争点の判断が前訴判決にとって必要不可欠であること )₆₂
(、とされる )₆₃
(。ここでは、争点遮断効を生じさせる上で最も重要とされる②の要件に焦点を当て敷衍したい。
(二) 争点の範囲(争点の同一性) 争点遮断効は、﹁争点﹂が同一である場合に生ずることから、﹁争点﹂の範囲が問題となる。﹁争点﹂の範囲の画定は、二七条を適用する上での難問の一つであるといわれている )₆₄
(。
今日では、﹁争点﹂の範囲に関する判断に際しても、請求遮断効における請求の範囲に関する判断と同様に、実質的な﹁事件﹂的アプローチが採用されている。その上で、第二次判決リステイトメントは、﹁争点﹂の範囲を考える際に、訴訟当事者の﹁法廷で審理を受ける機会﹂を保障すること、および本質的に同一の紛争の蒸し返しを防止すること、と
( )アメリカ民事訴訟法における﹁事実上の代表法理﹂の生成と展開同志社法学 六七巻五号四二九二二七五 いう二つの利益を考慮しなければならないとしている )₆₅
(。前訴と後訴において訴訟物が異なる場合に、﹁争点﹂の同一性を判断するために考慮されるべき要素としては、前訴と後訴における証拠や主張の実質的な重複の有無、後訴における新たな証拠や主張と前訴における適用法との関連の有無、前訴のプリトライアルやディスカヴァリに後訴の提出事項まで包含させることの期待可能性の有無、前訴と後訴における請求相互の関連の程度などが挙げられる )₆₆
(。また、現在、争点遮断効の対象は、法律問題に関する争点のみならず、事実に関する争点も含まれるとされている )₆₇
(。
他方、第二次判決リステイトメント二八条は、争点遮断効を生じさせる四つの要件が充たされた場合であったとしても、いくつかの場面に限っては、遮断効を生じさせないとする争点遮断効の一般原則に対する例外について類型的に規定している )₆₈
(。そのため、争点遮断効の適用要件は、原則として極めて客観的なものとして定式化されつつも、適用除外事由を類型化し、広く例外を認めることによって、弾力的に用いられているのである。
第三節 判決効の主観的範囲第一款 請求遮断効と争点遮断効の主観的範囲(当事者、プリヴィおよび相互性の原則) 請求遮断効や争点遮断効の要件は、これまでみてきたように明確に区別されている。では、請求遮断効と争点遮断効の主観的範囲における相違はどのようになっているのだろうか。アメリカでは、伝統的に、判決は当該訴訟の﹁当事者﹂にのみ拘束力を有し、それ以外の非当事者に対して何らの拘束力も有しないことを一般法則(判決効の相対性の法則)としてきた )₆₉
(。なぜなら、何人も公正な裁判所の審理なしに権利を奪われないというデュー・プロセスの要請によって、﹁法廷で審理を受ける機会﹂をもたない非当事者は、判決に拘束されないため、判決を有利に援用することもできないと考えられていたためである。このように、前訴の判決効を後訴において有利に援用することができる者の範囲は判決
( )同志社法学 六七巻五号四三〇アメリカ民事訴訟法における﹁事実上の代表法理﹂の生成と展開二二七六
効に不利に拘束される者の範囲と一致しなければならないというアメリカ独自の原則は、﹁相互性の原則(
m ut ua lit y ru le
)﹂と呼ばれる )₇₀(。相互性の原則の根拠は、一種の基本的公正の要請およびデュー・プロセスの要請に基づくとされ、さらに、アメリカ法では、判決効の相対性の法則の一つの帰結として相互性の原則が存在するとされてきた )₇₁
(。
しかし、多くの判例では、訴訟当事者ではないが、その者の利益が訴訟で実際に代表され、保護されたような非当事者を当事者と同様に扱い、判決にそれらの者を拘束させるという例外を認めてきた。これらの者を判決に拘束したとしても、アメリカの司法手続が掲げるフェアプレイ(
fa ir pla y
)と実質的正義の観念に背くことにはならないと考えられたためである )₇₂(。当事者と同様に判決に拘束されるこれらの非当事者に対して、一九四二年に公刊された第一次判決リステイトメントは、﹁プリヴィ(当事者的関係人)﹂という名称を与えた )₇₃
(。後で詳しくみるところであるが、当時のアメリカは、わが国と同様、当事者以外の者に対する判決効拡張については一般的に慎重であったため、第一次判決リステイトメントで規定されたプリヴィは、厳格なものであった。これを受け、相互性の原則は、判決効を援用できる者を﹁当事者およびプリヴィ﹂に限るとすることによって、これまで﹁当事者﹂のみに限るとしていた厳格な原則に一部修正を加えるかたちとなった。そのため、判決効の主観的範囲は、請求遮断効や争点遮断効を問わず、﹁当事者およびプリヴィ﹂に限られ、これらの者を超えて非当事者に不利な拘束力を及ぼすことはないことが原則とされた )₇₄
(。その結果、相互性の原則は、請求遮断効および争点遮断効を比較的狭い範囲に制限するものとなった )₇₅
(。
しかし、前訴と後訴の当事者が同一である場合(遮断効を主張する当事者は同一)と前訴と後訴の当事者が異なる場合(遮断効を受ける当事者は同一)が想定される争点遮断効について、その主観的範囲を考える際に、相互性の原則を常に意識しなければならないとなると、特に、前訴と後訴の当事者が異なる場合には相互性の原則の硬直性が問題となる場面が出てきた )₇₆
(。なぜなら、相互性の原則を厳格に適用することにより、前訴で十分に審理された争点を再び費用と
( )アメリカ民事訴訟法における﹁事実上の代表法理﹂の生成と展開同志社法学 六七巻五号四三一二二七七 時間をかけて審理しなおすことになるような不都合な場合が生じたり、また、その一方で、当事者でもプリヴィでもない第三者に対して争点遮断効を適用しても不公正とはならないような場合が出てきたためである。こうした不経済かつ非効率な相互性の原則の有用性に対して、疑問を呈する判例や学説も少なくなかった )₇₇
(。
このような問題を受け、多くの判例では、相互性の原則の例外を認めることにより、相対性の法則を緩和して、判決の効果を当事者でもプリヴィでもない第三者に広く認めようとする動きが見受けられるようになってきた )₇₈
(。ここで留意すべきは、プリヴィとの関係では、請求遮断効の主観的範囲と争点遮断効の主観的範囲の両者が問題となるが、当事者でもプリヴィでもない第三者への判決効の拡張との関係では、専ら争点遮断効の主観的範囲についてのみ問題になるという点である )₇₉
(。なぜなら、請求遮断効の主観的範囲は、当事者とプリヴィに限られるとされ、理論上、請求遮断効を有利に援用しうる者の範囲と不利に拘束される者の範囲はほとんど変わらないと解されるためである )₈₀
(。このように考えられるのも、プリヴィには、判決効が有利にも不利にも及ぶとされることが大きく関係すると思われる。これに対して、争点遮断効の主観的範囲は、理論上、プリヴィの範囲をはるかに超えうるものと考えられている。このような相違が生じる理由としては、請求は当事者が変われば同一でなくなるため前訴当事者を超えて第三者に請求遮断効が拡張されることはないが、争点は当事者が変わっても同一でありうるため前訴当事者を超えて争点遮断効が当事者でもプリヴィでもない第三者に拡張されうると考えられているからである )₈₁
(。
他方、判例のなかには、判決効を当事者でもプリヴィでもない第三者に及ぼす際に、相互性の原則の例外を認める方法をなんら用いることなく、プリヴィティ概念自体を拡大することによって、相互性の原則そのものを回避するものも数多くみられた )₈₂
(。裁判所としては、このように、プリヴィティ概念に本来期待される以上の役割を与えるように操作する方が相互性の原則に反することにもならず、相互性の原則の例外といった煩わしい問題を考える必要からも解放され
( )同志社法学 六七巻五号四三二アメリカ民事訴訟法における﹁事実上の代表法理﹂の生成と展開二二七八
るため、都合が良かったのかもしれない。実際、相互性の原則は、プリヴィティ概念を拡大することによって実質的に廃棄することが可能であったのではないかという指摘もなされていたが、相互性の原則の廃棄が遅れた理由としては、プリヴィティ概念自体の拡大によって、レス・ジュディカータを弾力的に運用することができたことが大きな理由であろうともいわれている )₈₃
(。
以下では、まず、当事者でもプリヴィでもない第三者への判決効の拡張との関係において専ら問題となる争点遮断効の主観的範囲が、どのように判決効の第三者援用を拡大し、また、どのように相互性の原則が廃棄されるに至ったのかについて判例を通じて簡単に概観する。
第二款 争点遮断効の第三者援用(「相互性の原則」の廃棄までの歴史も含めて) アメリカの判決効論の領域の中で、最も著しい発展を遂げたのが、争点遮断効の第三者援用の問題であり、この分野に関する文献は数多い )₈₄
(。これまでみてきた通り、相互性の原則の有用性に対する疑問の高まりとともに、相互性の原則に対する例外の範囲は、多くの判例の蓄積により拡大されてきた )₈₅
(。
一九四二年の
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判決 )₈₆(において、カルフォルニア州の最高裁判所は、争点遮断効の防御的利用(
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)の事例に関して、第三者への有利拡張の場合における主観的範囲の問題を不利拡張の場合とは切り離し、第三者にとって不利な援用の場合にはその者のデュー・プロセスを考慮する必要があるけれども、第三者にとって有利に援用しうる場合には、このような要請が働かないことを理由に挙げ、直截に相互性の原則を廃棄することを明らかにした )₈₇(。そして、既に﹁法廷で審理を受ける機会﹂を得た者に、単にその相手を代えただけで同じ争点の蒸し返しを許すことは不公正であるとして、前訴において非当事者であった被告が、前訴当事者であった原告に対して争点遮断効を援用する
( )アメリカ民事訴訟法における﹁事実上の代表法理﹂の生成と展開同志社法学 六七巻五号四三三二二七九 ことを認めた。さらに、
B er nh ar d
判決は、争点遮断効の援用を認めるか否かにつき、①前訴判決により判断されたものと同じ争点が繰り返し判断対象とされ、②本案の終局判決がなされており、③相手方当事者が前訴において当事者もしくはプリヴィであったこと、という三点を基準として挙げ、この基準は、﹁バーンハード・ドクトリン﹂と呼ばれることとなった。その後、B er nh ar d
判決に関しては、様々な議論がなされたが )₈₈(、次第に、連邦裁判所の下級審判例や州裁判所における判例などにも支持されるようになってきた。
それから約三〇年後の
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判決 )₈₉(において、連邦最高裁判所も﹁バーンハード・ドクトリン﹂を承認し、争点遮断効の防御的利用の事例に関して、相互性の原則を廃棄することを表明した )₉₀
(。
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判決は、争点遮断効の防御的利用の場合に相互性の原則を廃棄するための一般的な基準をいくつか挙げていたため )₉₁(、
B lo nd er
判決が出た後は、当該判決が挙げた基準に合致すれば、一般的に、争点遮断効の防御的利用の事例に関しても相互性の原則を廃棄するような動きがアメリカ全土において広まった。しかし、
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判決のように、同一原告が別の被告に対して同様の請求を行う場合には、前訴の原告敗訴判決の争点遮断効を援用する防御的利用が問題となるが、他方、同一被告に対して別の原告が同様の請求を行う場合には、前訴の被告敗訴判決の争点遮断効を援用する攻撃的利用(of fe ns iv e us e
)が問題となる。前者の場合と後者の場合とでは、状況に差異が生じるため、相互性の原則を否定する﹁バーンハード・ドクトリン﹂の適用範囲が前者の場合のみを対象とするのか、それとも後者の場合まで含むのかが大きな問題となった。なぜなら、攻撃的利用の場合まで含むとなると、かえって訴訟経済に反する可能性や被告にとって不公正な結果が生じる可能性が懸念されたからである )₉₂(。しかし、連邦裁判所における下級審判例や州裁判所における判例においても、攻撃的利用というだけでは争点遮断効の援用を否定しないものが多くみられるようになってきた )₉₃
(。