論文内容要旨
論文題名
Evaluation of second-generation HIFU systems for less-invasive fetal therapy in TRAP sequence.
(TRAP シーケンスにおける低侵襲胎児治療に対する第二世代 HIFU システ ムの評価)
掲載雑誌名
The Showa University Journal of Medical Sciences Vol.29 No.3 2017 年 掲載予定
専攻名 医学研究科 外科系産婦人科学 瀬尾晃平
背景: Twin-reversed arterial perfusion sequence(TRAPs)の胎児治 療において、数々の低侵襲な治療法の検討が行われてきているが、いずれ の方法も子宮穿刺を要するため、出血、破水、感染のリスクが予後を左右 しているのが現状である。High-intensity focused ultrasound (HIFU) は低侵襲治療法として、近年様々な領域で使用され始めている。HIFU を 胎児治療に応用する最大のメリットは子宮穿刺を要しないことである。
我々は 2013 年世界で初めて HIFU による TRAPs 治療に成功した。しかし、
成功を通して更に安全、高精度に胎児治療を行うための問題点が見えてき た。
目的:本検討はヒトにおける TRAPs に対する胎児治療としての、問題点を 解決すべく改良を行った、第 2 世代 HIFU システムの有用性の評価を目的 とした。
方法:HIFU トランスデューサーの中央に超音波探触子を配置したデバイ スと、Sonachil®脱気冷却循環装置とシリコン製エコーカバーによるシス テム、3 フェーズシーケンシャル照射パターン(トリガー波、加熱用連続
波、B モード可視化用の休止期間)、これらにより第二世代 HIFU システ ムは構成された。妊娠 14 週の TRAPs の 2 症例を対象に本検討は行われた。
照射時任意のタイミング(照射前、後、1 時間後、3 時間後、翌朝)で、
超音波検査による照射部位の血流測定により血流遮断を評価した。また、
高精度サーモカメラで照射後(直後、30 秒後、60 秒後)の腹壁皮膚温の 測定を行った。
結果:症例1においては、血流の減弱に成功したが、血流遮断には至らな かった。無心体児の脊椎が母体腹側にあったため、有効な照射が困難であ ったことが原因と考えられた。症例2においては、照射後血流遮断に成功 したものの、翌日血流の再開通を認めた。標的までの焦点距離が近く、熱 感の訴えにより当初予定していた照射回数を完遂できなかったことが原 因と考えられた。症例1は発赤のみの1度熱傷、症例2は2度熱傷を来し たが、保存的治療で後遺症なく軽快した。2症例ともに、母児共に重篤な 有害事象を来すことはなく、後日ラジオ波焼灼にて血流遮断、その後それ ぞれ健児を得た。
結論:第二世代 HIFU システムへの改良に伴い、照射時の可動域制限の減 少による調節性の向上や、照射時のリアルタイムな観察による安全性の担 保、総超音波出力の低減化による標的以外への副障害の減少などの3つの 利点を認めた。しかし一方、副作用のひとつである熱傷や熱感の訴えによ り治療中断を余儀なくされることがあった。これは今後優先的に解決され るべき問題点であることが判明した。本治療法は今後の胎児治療にとって 有用な手法であることが示唆された。