西松建設技報 VOL.23
一般廃棄物最終処分場建設 に伴 う 速水 シー トの施工
武田 修治 * 野末 徹*
SyujiTakeda Torn Nozue 田中 壮*
So Tanaka l.は じめに
本工事は,一般廃棄物の不燃物 および焼却残液等 を対 象 とした埋立面積8,000m2,埋立容積34,000m3の最終処 分場の建設工事である.本工事の適水工は速水 シ‑ トの 二重張 りが採用 されている.本報告は ,1)速水 シー ト の システムの紹介,2)遮水 シー ト施工時の施工管理上 の問題点について報告 をするものである.
2.
遮水シー トの概要本工事で採用 した速水 シー トの材質は,高密度ポ リエ チ レンシー トを主体 とし,白色のポ リエチレンと黒色の ポ リエチ レンを一体成形 した,厚 さ1.5mmの速水 シー ト である.
その特徴 として ,①引張強度 ・引裂強度 ・貫通強度は, ゴムシー トと比較 して,それぞれ3倍 ・5倍・3倍であり, 伸度 は700%以上である.(診酸 ・アル カ リはもとより油 脂葦 ,有機溶剤 に対 して も高い安定性 を示す.③有害添 加物 を含んでいない等があげられる.
使用用途 と しては ,上記の特性 を活 か し,産業廃棄 物 ・一般廃棄物最終処分場の他 ,一般土木用適水 シー ト, 養殖場 ,調整池 ,貯水池等 多岐に渡って使用 されている.
3.遮水シー トのシステム
遇水 シー トの断面は白色の熟反射層 ,標準層 ,カーボ ンが含 まれている導電層の三層構造 となってお り,各々 0.125mm・1.25mm ・0.125mmの厚 さである.速水 シー トの表面 (白色)に傷がついた場合 ,下地の黒色の標準 層が見 えるので 目視によりシー トの傷 を発見 し易 く.ま た ,電圧 をかけた検査用ブラシにより表面 をなでること で遮水 シー トに0.5mm程度の傷があった場合で も青色の スパークが発生 し、簡単に傷 を発見で きる.
適水 シー トおよび不織布 (t‑10mm)の敷設構造 は, 図‑ 1に示す とお りである.
*東北 (支)河北 (作)
抄鋸
速水シー トt‑1.5m ll
敷設面
図‑ 1 遮水シー ト敷設構造
写責
‑1
ホ ッ トウエッジマシーン写実‑ 2 ガンデルマシーン
遵水 シー トの接合には熱板 自走式溶着法 (ホッ トウエ ッジ) と溶接式融着法 (ガンデル) を使い分けた.原反 付 け (長尺物)にはホッ トウエ ッジ,細部の取合いおよ びホッ トウエ ッジでの施工が困難な箇所にはガンデルに て施工 を行った.
ホ ッ トウエ ッジは,シー ト同士に圧力をかけなが ら温 度管理 された熱板 を挟み込み ,母体 を溶か し溶着するも のである.熟 をかけた状態で圧力をかけるので ,シー ト のずれが無 く安定 した状態で接合できる.接合 スピー ド は概ね90cm/分であ り,熱板の温度 は 日々の気象条件 によって変わるが,概ね420‑430℃であった.ガンデル は特殊 な溶接機 (押出 し溶接機) を用い,シー ト母材 と 同質の高密度ポ リエチ レンシー トの溶接棒 を融著 して一 体化 させ るものである (写真‑1,2参照).
4.施工管理上の問題点
当現場の施工管理上の問題点 と対応 を整理す る.
(1) 掘削 ,下地処理
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抄銀
処分場の形状が,現地形状 を最大限活か した形状であ るため ,掘削の勾配は1:0.8‑1:4.5の間でランダムに 変化す る.掘削の仕上 りがそのままシー トの仕上 り形状 に影響するため,下地処理段階における木の根 ,有害物 の除去が重要である.
湧水等により支持地盤が軟弱な場合 ,不等沈下や局部 的な沈下 を招 きシー トに影響 を与 えるため ,掘削作業お よび法面整形作業には細心の注意が必要 となる.法面が 仕上がった後に不織布の敷設 ,速水 シー トの敷設 と作業 が進むので ,単に出来形だけの問題のみならず ,美観上 の問題 も懸念 された.このため ,不織布敷設前に企業先 より形状確認 ・承認 をもらった後に,不織布の敷設およ び適水 シー ト敷設作業 を行 った.
(2) 速水 シー ト敷設
複雑な地形であるため,遮水シー トの加工および速水 シー トの溶着箇所が多 くなる.高密度ポ リエチレンシー トはゴムシー トに比べ硬いため ,掘削勾配がランダムに 変化する場合にはね じれが生 じ易 くなることか ら,しわ が発生す る可能性がある. しか し,当現場では多少の し わの発生はあるものの、美観上は全 く問題無かった.
また,溶着箇所が増 えると,人の手がかかる箇所が多 くなり,ヒューマンエラーなどによる溶着箇所の不良等 , 品質の低下 を招 く原因 となる.当現場では適水 シー トの 全面検査 を目視およびスパ ーク試験 にて行った.スパー ク試験の概要 を写真
‑3
,図‑2
に示す.高電圧 をかけ たブラシでシー ト表面 をなぜた時,
傷があれば導電層に 電流が流れ ,青色のスパークが発生 し,ブザーが知 らせ るしくみである.検査の結果,不良箇所は認められなかった.(3) 保護土 ,搬入路の施工
保護土 (山砂t‑50cm),搬入絡 (C‑40t‑50cm) の施工の際 に,速水 シー トに傷 を付 ける可能性がある.
当現場では,搬入路部分には設計に示 されてはいなかっ た不織布 を敷設 し,その上に保護土 を厚 さ5cm敷設 した 後に砕石 (C‑40)にて搬入路 を施工 した.
施工の手順 としては ,先 に保護土 を上流 より搬入 し, 十分な厚 さを確保 した上で ,それを重機足場 (ゴムキャ
タ使用) とした.下流 までの仮搬入路 を造成 し,保護土 を所定の厚 さに敷設 しなが ら上流に逃げ,搬入路 となる 箇所 は最後に砕石 を敷設 した.重機作業 を極力無 くし, 人力による施工 を行 ったので ,日数は要 したが品質上好 ましい結果 を得た.
搬入路の勾配が18%と急な箇所があるため,搬入路施 工の際および施工終了後の供用開始後に搬入路下の不織 布、避水シー トが運搬車柄の重量によりに引張 られる可 能 性 が あ る. その箇 所 に は土 間 コ ンク リー ト (t=
10cm+ ワイヤーメ ッシュ) を速水 シー ト上 に施工 し, 不織布 ・避水 シー トが引張 られるのを防止 した.
(4) 堤体下浸出水送水パ イプについて
浸出水処理パ イプが堤体下 を横断す る箇所での漏水の 可能性が一番高いと思われたので ,小口止めコンクリ‑
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写真‑ 3 スパーク試験状況
図
一2
スパーク試験概要トを施工 し,速水 シー トで覆 う形 とした.
(5) 固定工について
法肩部分はシー トの余長 ・しわの関係で通 りが悪 くな るので ,シール コンクリー トを打設 した.
5.
施工の結果本工事で使用 した速水 シー トについて,仕上 り状況 , 溶接箇所の確認検査 を充実 させた結果 ,漏水は認め られ ておらず ,仕上 りも良好であった.
高密度ポ リエチ レンシー トであるため,従来のゴムシ ー トと比べ ,表面の しわはあるものの ,強度 ,品質劣化 等 を考慮 した場合の安心感がある.シー トは若干固めで はあるが,取扱いは容易であり,掘削勾配が複雑 に変化 して も,材料のロスも当初の予想 より良好であった.当 現場の形状が箱型 に近い ものであれば,材料のロスはさ
らに少なかったものと思われる.
今回使用 した遮水 シー トについてはその取扱い易 さ, 信頼性 において十分納得のいく製品であった.