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5.不動産市場モデルの予測力に関する研究

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Academic year: 2021

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[平成14年度土地関係研究者育成支援事業 研究報告書概要]

不動産市場モデルの予測力に関する研究

(財)日本不動産研究所 研究部 宋 杰 明海大学不動産学部

教授 川口 有一郎

近年、土地・不動産市場は、利用価値に応じて価格が決

まる、つまり、土地・不動産も「資産」としての収益還元 で評価されるような市場へと変化した。政府もこの市場の パラダイム変化に、市場のインフラ整備、不動産の証券化、

不動産鑑定基準の改正などの積極的に推進策を進めてきた。

本研究では、不動産の収益を計るための最も基礎となる 市場賃料・価格および、不動産キャッシュフローの数値予 測手法を体系的に整理し、精度の高い予測手法を開発、提 案することをめざし、土地・不動産政策の意思決定への情 報支援、行政における迅速かつ的確な立案と実施に寄与す る。

研究報告の構成として、(1)東京の不動産市場の時系列 特性の分析、(2)不動産市場の予測可能性、(3)市場モ デル予測精度、(4)合成予測によるパフォーマンス向上、

(5)個別不動産のキャッシュフローの数値予測の方法の 五つの部分になっている。

本研究は主に、以下のような成果を挙げた。不動産市場 の予測パフォーマンスを改善する方法として複数の予測を 合成するForecast Combinationの有効性について明らかに した。また、こうした市場のマクロ予測をミクロな不動産 評価(DCF法)に適用する方法についても具体的な提案を行 った。

特に、オフィスの市場賃料(募集賃料の市場平均)の予 測に焦点を当て次の成果を得た。

A。 東京のオフィス市場と住宅市場の時系列的な特性を明 らかにした。

B。 不動産市場の情報効率性について検定し、不動産市場 が相対的に予測可能性が高いことを示した。

C。 実用的な予測モデルパフォーマンスを検証した。

住友生命研究所構造モデル(SSKK モデル)、

DiPasquale and Wheaton1996 モデル(DP ストック フローモデル)、および多変量自己回帰モデル(オフィ スVAR モデル)の予測パフォーマンスを評価した。不動 産市場の指標を用いた市場のマクロ予測に限らず、他の 商品や資産などの予測において、単純なARIMA モデルが、

より複雑な予測モデルをアウトパフォームすることが 知られている。本研究においても、例えば、東京のオフ ィス賃料に限ってみれば、ARIMA は他のモデルをアウト パフォームしている。

しかし、不動産の賃料や価格の予測は、将来の期待 値とその予測誤差をより合理的に見積もって、不動産の 収益還元価値の推定に利用したり、あるいは投資判断に 活用することにその主眼がある。特に、不動産投資のリ スク分析には、単一変数のARIMA モデルによる予測では、

不十分であり、VAR などの複数の要因を考慮した分析が 必要である。

D。 不動産市場の予測パフォーマンスを改善する方法とし て複数の予測を合成するForecast Combinationの有効性 について検討した

単独ではARIMA モデルにアウトパフォームされたと しても、合成予測モデルであれば逆にARIMA をアウトパ フォームできることを示した。合成予測を用いることで、

VAR や構造モデルの分析的多様性を確保しつつ、予測誤 差を小さくできる可能性を示した。

E。 不動産市場マクロ予測をミクロDCF 法に活用する方法 を示した新しいDCF 法の提案を行った。

今後の課題として、本研究で作成した方法を、土地政策

(公示地価の評価など)や実際の不動産投資分析に適用し て、より実用的な方法へと改良するなど、残された課題も 多い。

参照

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