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分光分布を扱う画像処理の可能性 〜離散分光画像処理

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Academic year: 2021

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分光分布を扱う画像処理の可能性

〜離散分光画像処理

キーワード:分光分布、画像処理、画像計測、干渉フィルタ、外観検査

概要

  離散分光画像という、画素が分光強度分布 をもつ画像を提案し、人間の色知覚機能を越 える「より精妙な」画像処理への利用法を検 討しています。通常の外観検査、特に色彩の 微妙な判定を、画像処理の特徴である2次元 的な広がりとして捉えたい場合に対する適 用が考えられます。

解説

【画像処理は画像の入力が重要】

  画像処理技術は、最近では産業、医療、芸 術、娯楽にいたるあらゆる分野で便利な道具 として利用されています。産業における画像 処理では、対象物のデジタル画像をデータ処 理し、何らかの判断を自動的に行わせるので すが、データ処理方法を工夫さえすれば、ど んな問題にでも対処できるわけではありま せん。よく知られているように、画像処理技 術の成否は画像の入力方法に大きく依存し、

必要な情報をいかに良好な状態で画像中に 取り込めるかにかかっています。画像処理技 術に対しては、高速化、高解像度化と、より 高度で精妙な役割への要求が大きくなるば かりです。「人間の目による仕事を機械に」

といったレべルはとっくに越えてしまって いるのが現状です。ここでは人間の色覚機能 に関連して、通常のカメラでは対応できなか った光の分光分布を入力情報として利用す る画像処理への取り組みを紹介します。

【人間の色知覚の模倣ではなく・・・・】

  センサで捉えられる物体からの反射光(色、

材質や形状に関する情報も含む)は、その分 光強度分布で特徴づけられます。通常の光セ ンサの出力値は、入射光の分光強度分布とセ ンサの分光感度分布の波長積分値です。カラ ーカメラの出力するRGB3原色信号も積 分値であり(図1)、入射光の微妙な分光分布

情報は失われ、細かな色の違いなどは識別困 難になります。  人間の色知覚機能の再現を 基本とした従来のカラーカメラによる画像 の入力ではこの点に限界がありました。しか し人間の視覚が介在しない自動化のための 画像処理技術には、必ずしも人間の視覚機能 をまねる必要はありません。

【離散分光画像】

  われわれは現在、画像を撮像する際に干渉 フィルタ(狭帯域バンドパスフィルタ)を複 数枚利用し、データ量の増大を抑制しながら、

分光分布も利用するという「離散分光画像」

を提案しています。分光強度分布情報そのも のを取り込んだ画像を利用すれば、これまで 困難であった画像処理の可能性が開けてき ます。しかしそのような画像は個々の画素の 情報量が大きく、画像1枚あたりのデータ量 が膨大なものとなり、現実的時間内でのデー タ処理が望めません。そこで連続的な分布で はなく、比較的少ない点数の波長における分 光強度分布のサンプリング値を画素値とす ることで、分光分布情報をある程度保存しな がらデータの増大を抑制することが考えら れます。これには、図2のように極めて狭帯 域な複数の分光感度分布をもつセンサが必 要です。波長に関して離散的な分光強度値を 情報としてもつことから離散分光画像と呼 びます。(図3)

われわれは、高感度カメラに図3のような 分光透過率をもつ干渉フィルタを複数枚順 次かぶせることで実際の撮像を行っていま す。干渉フィルタは透過エネルギーが小さい ので通常のカメラは使用できません。複数の 干渉フィルタでの撮像を同時に行うことは 今後の課題です。

(2)

用途

  分光強度分布をなるべく保存しながら データ量の増大を抑制した離散分光画像は、

撮像対象によって干渉フィルタの波長やサ ンプリング点数の最適条件を求める必要が ありますが、うまく利用すれば人間の視覚以 上の色識別など、より精妙な画像処理が可能

になるものと考えています。また現在離散分 光画像の一つの応用として、ロボットナビゲ ーションなどへ利用を考えた「照明光の色温 度に影響されない色物体の追跡」についても 研究を行っており、興味深い結果が得られつ つあります。

担当者   システム技術部 光応用計測グループ  森脇耕介  TEL 0725-52-2611 発行日 平成10年1月29日

図1 RGB出力過程

図2 離散分光値出力過程 図3 離散分光画像のイメージ

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