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日本教育工学会研究報告集 JSET21-2-B5 児童生徒一人 1 台端末環境に対応した教員養成課程における ICT 活用指導力の検討 Examination of ICT Competency in teacher training course corresponding to Oneto-On

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Academic year: 2022

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児童生徒一人1台端末環境に対応した 教員養成課程における ICT 活用指導力の検討

Examination of ICT Competency in teacher training course corresponding to One- to-One Computing

山本 朋弘* 野上 俊一* 石田靖弘* 小柳 和喜雄** 廣瀬 真琴***

Tomohiro Yamamoto* Shunichi Nogami* Yasuhiro Ishida*

Wakio Oyanagi** Makoto Hirose***

中村学園大学教育学部 * 関西大学総合情報学部 ** 鹿児島大学大学院 ***

Faculty of Education, Nakamura Gakuen University * Faculty of Informatics, Kansai University**

Division of Professional Teacher Education, Kagoshima University ***

<あらまし> 本研究では,児童生徒一人 1 台の情報端末が整備された教室環境を想定し た,教員養成課程の大学生に今後必要となるICT活用指導力に関する指標について検討し た.海外のICTコンピテンシーを参考に検討した結果,教師の学びや新たな技術や方法へ の対応,授業のデザイン等,指標を定期的に更新する視点について整理した.また,授業で のICT活用や校務の情報化について,ICT活用指導力に関する具体的な場面と具体例を示 す必要があるとともに,SNSやAI,VR・AR等の新たなテクノロジーや新たな方法への理 解を加えることが必要であることを提案した.

<キーワード> ICT活用指導力 教員養成 一人1台端末環境 授業研究

1. はじめに

ICTに関連する人材育成や需要は,大きく 変化しており,科学技術イノベーション活動 を担う人材の育成は喫緊の課題である.経済 産業省の調査結果では,既存のシステム等の 開発や保守といった従来型の人材に対する需 要は減少しており,AIやIoT等を用いた技術 やプログラミングによる課題解決にも対応で きる新たな人材が求められている(みずほ情 報総研 2019).

学校現場においても,ICT活用に関する指 導力の育成が求められている.文部科学省

(2018)は,学校現場でのICT環境整備の変 化に対応して,教員のICT活用指導力のチェ ックリストを更新した.ICT活用指導力のチ ェックリストは,AからDの4つの大項目と 16項目のチェック項目で構成している.文部 科学省(2020)のGIGAスクール構想によっ て,一人1台端末環境の活用が期待されてお り,児童生徒のICT活用に関する指導や支援 のために教員の ICT 活用指導力をどのよう に高めていくか検討する必要がある.

教員養成や大学での教職課程においても,

ICT活用指導力の向上に関する取組を踏まえ,

大学生が教員の ICT 活用指導力を確実に身 に付けるための更なる取組の推進が期待され ている.特に,小中学校のICT環境整備の充 実に対応した教員養成等の充実を図る必要が ある.中央教育審議会(2020)では,教職課 程における教員の ICT 活用指導力充実に向 けた取組として,ICT活用指導力のチェック リストを踏まえたカリキュラムマップの作成 や教師向け研修資料を活用した実践的な学修 等を提案している.国が作成した各教科等の 指導における ICT 活用に係る動画コンテン ツを大学等の授業等において活用したり,「教 員のICT活用指導力チェックリスト」等を活 用して,大学での授業科目で資質能力が身に 付けられるのかを自主的に検証したりするな どの更なる取組の推進が求められている.

竹野ほか(2011)は,教員のICT活用指導 力のチェックリストを用いて,教育学部の学 生の実態を把握することを試みた.授業の展 開,評価,校務処理に関する面で低い実態で あることを示した.また,森下ほか(2018)

は,教育実習でICTを活用した授業を実践さ 日 本 教 育 工 学 会 研 究 報 告 集 JSET21-2-B5

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せ,その効果をICT活用指導力のチェックリ ストを用いて測定し,その有効性を明らかに した.北澤ほか(2019)も,ICTを活用した 模擬授業を大学生に実践させて,教員の大学 生の ICT 活用指導力に着目した分析を行っ ている.このように,教員のICT活用指導力 のチェックリストを活用した研究が進んでい る.しかし,これらの先行研究は,文部科学 省(2018)の改訂前のチェックリストを用い た研究であり,その後,チェックリストは改 訂されており,AIやIoT,プログラミング等 の新たな技術や情報化の進展に対応した内容 になっているか今後検討する必要がある.

一方で,海外では学校の情報化の進展に伴 い教員の ICT 活用指導力の指標は改訂され ている.米国では,ISTE(2016)が教員のス タンダードを策定し,その指導力向上を推進 している.NETS for Teachersとして公開さ れており,現時点ではNETS for Educators となり,学校の情報化の変化に対応させてい る.

また,UNESCO(2008)は,2008年に教 員のICTコンピテンシーを公開し,2011年 に改定している(UNESCO 2011).UNESCO が策定したICT CFTは,2018年に改訂され,

ISTE 同様に学校の情報化の現状に対応させ て改訂が進んでいる.教員のICT活用指導力 に関する規準は,学校の情報化の現状に対応 させて改訂していくことが求められる.

国内では,小柳(2016)が新たな学びに向 けた教員に必要な資質能力として,海外の指 標を ICT コンピテンシーとして取り上げて いる.しかし,海外の各団体がその後改訂し ており,改訂された指標をさらに分析する必 要がある.

そこで,本研究では,国内で今後普及する 一人1台端末環境に対応した ICT 活用指導 力の育成を進める上で,教員養成課程の大学 生に必要な ICT コンピテンシー習得を支援 する必要性を踏まえ,文部科学省が策定した ICT活用指導力のチェックリストや,ISTEや UNESCOが公開しているICTコンピテンシ ーに基づいて,指標に関連する内容を検討す る.

2. 研究の目的と方法

本研究では,教員のICT活用指導力に着目 して,教員養成系大学の大学生が身につける ICT活用指導力の指標に関連する内容を検討 することを目的とする.そこで,国レベルで 公開している教員の ICT 活用指導力チェッ クリストと,国際的な研究指標と比較検討し て,教員レベルの規準に関する経緯とその内 容を分析し,それらを参考にして,教員養成 課程の大学生の ICT 活用指導力の現状を把 握する.国際的な研究指標では,ISTE と

UNESCO の改訂された指標を用いることと

した.

3. 結果

3.1. ICT 活用指導力のチェックリスト 文部科学省のICT活用指導力は,2007年 に「教員のICT活用指導力のチェックリスト」

として,小学校版と中学校・高等学校版の2 種類が公開された(文部科学省 2018).それ 以後,全国調査の項目として継続的に活用さ れた.その後,ICT機器の進展や授業改善の 観点への対応が必要であるとの指摘を受け,

2016 年に現行のチェックリストに改訂され た.これまでの全国調査の継続性にも留意し つつ,これからの教育にふさわしい指標とな るよう,調査項目の見直しが行われた.

表1は,文部科学省のICT活用指導力のチ ェックリストは,AからDの4つの大項目と 16項目のチェック項目の内容である.Aから Dの大項目は,教師がICTを活用する場面を 分類して,その場面ごとに必要となる能力を 取り上げている.

表1 教員の ICT 活用指導力チェックリス ト(文部科学省 )

A教材研究・指導の準備・評価などに ICT を活用する能力

A-1 教育効果を上げるために,コンピュ ータやインターネットなどの利用場面 を計画して活用する.

A-2 授業で使う教材や校務分掌に必要な 資料などを集めたり,保護者・地域との 連携に必要な情報を発信したりするた めにインターネットなどを活用する.

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A-3 授業に必要なプリントや提示資料,

学級経営や校務分掌に必要な文書や資 料などを作成するために,ワープロソ フト,表計算ソフトやプレゼンテーシ ョンソフトなどを活用する.

A-4 学習状況を把握するために児童生徒 の作品・レポート・ワークシートなどを コンピュータなどを活用して記録・整 理し,評価に活用する.

B授業中に ICT を活用して指導する能力 B-1 児童生徒の興味・関心を高めたり,

課題を明確につかませたり,学習内容 を的確にまとめさせたりするために,

コンピュータや提示装置などを活用 して資料などを効果的に提示する.

B-2 児童生徒に互いの意見・考え方・作 品などを共有させたり,比較検討さ せたりするために,コンピュータや 提示装置などを活用して児童生徒の 意見などを効果的に提示する.

B-3 知識の定着や技能の習熟をねらいと して,学習用ソフトウェアなどを活用 して,繰り返し学習する課題や児童生 徒一人一人の理解・習熟の程度に応じ た課題などに取り組ませる.

B-4 グループで話し合って考えをまとめ たり,協働してレポート・資料・作品 などを制作したりするなどの学習の 際に,コンピュータやソフトウェアな どを効果的に活用させる.

C児童生徒の ICT 活用を指導する能力 C-1 学習活動に必要な,コンピュータな

どの基本的な操作技能(文字入力やフ ァイル操作など)を児童生徒が身に付 けることができるように指導する.

C-2 児童生徒がコンピュータやインター ネットなどを活用して,情報を収集し たり,目的に応じた情報や信頼できる 情報を選択したりできるように指導す る.

C-3 児童生徒がワープロソフト・表計算 ソフト・プレゼンテーションソフトな どを活用して,調べたことや自分の考 えを整理したり,文章・表・グラフ・図 などに分かりやすくまとめたりするこ

とができるように指導する.

C-4 児童生徒が互いの考えを交換し共有 して話合いなどができるように,コン ピュータやソフトウェアなどを活用す ることを指導する.

D情報活用の基盤となる知識や態度につ いて指導する能力

D-1 児童生徒が情報社会への参画にあた って自らの行動に責任を持ち,相手の ことを考え,自他の権利を尊重して,ル ールやマナーを守って情報を集めたり 発信したりできるように指導する.

D-2 児童生徒がインターネットなどを利 用する際に,反社会的な行為や違法な 行為,ネット犯罪などの危険を適切に 回避したり,健康面に留意して適切に 利用したりできるように指導する.

D-3 児童生徒が情報セキュリティの基本 的な知識を身に付け,パスワードを適 切に設定・管理するなど,コンピュータ やインターネットを安全に利用できる ように指導する.

D-4 児童生徒がコンピュータやインター ネットの便利さに気付き,学習に活用 したり,その仕組みを理解したりしよ うとする意欲が育まれるように指導す る.

3.2. ISTE for Educators

ISTEは,これまでに学習者向け(NETS for Students:NETS-S)と,教員向け(NETS for Teachers:NETS-T),管理職向け(NETS for Administrators:NETS-A)等の基準を公開 している.2008年には,NETS for Teachers を公開し,2017年に,NETS for Educators

(NETS-E)として改訂している.

表2は,ISTE for Educatorsの内容である.

1.学習者,2.リーダー,3.市民,4.コラ ボレーター,5.デザイナー,6.ファシリテ ーター,7.アナリストの7つの役割を項目と して設定している.

3.3. UNESCO の ICT コンピテンシー

UNESCOのICTコンピテンシーについて は,小柳(2016)を参考にしながら,その後

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表2 ISTE for Educators 1.学習者(Learner)

教師は,他の教師と一緒に学び,テクノ ロジーを活用して学習者の学習活動を支 援し,自ら授業改善に継続的に取り組む.

2.リーダー(Leader)

学習者のエンパワーメントを支援し,学 習活動を活性化するためのリーダーシッ プを発揮する.

3.市民(Citizen)

生徒がデジタルの世界に積極的に貢献 し,責任を持って参加するように促す.

4.コラボレーター(Collaborator)

同僚や学習者と協力して,リソースとア イディアを共有し,問題解決に取り組む.

5.デザイナー(Designer)

教師は,学習者の実態に対応して,学習 者中心の真正の活動と環境を設計する.

6.ファシリテーター(Facilitator)

学習者の規準達成をサポートするテク ノロジーを使用して学習を促進する.

7.アナリスト(Analyst)

データを理解して活用し,学習者が学習 目標を達成するのを支援する.

改訂された第3版であるICT CFT Version3 を対象として分析した. UNESCOの ICT コンピテンシーは,3段階のステップを設定 して,授業展開の実態や段階に対応して記述 している.小柳(2016)は,UNESCO(2011)

の第2版について,「技術リテラシー:学校の カリキュラムにテクノロジ・スキルを組み込 み,学習者が新しい技術を用いることができ るようにする」「知識の深化:技術を複合的で 現実的な問題解決に用いる学習者の知識,能 力を鍛える」「知識の創造:新しい知識を生み 出し,またその知識から利益を得ていく学習 者の能力を培う」という3つの実践の展開枠 を示した.

UNESCO(2018)の第3版であるICT CFT

Version3の3ステップを表3に示す.この

Step1からStep3の3段階は,教師の教職経 験や授業での ICT 活用経験によって分けら れる.CFTのVersion2からVersion3では,

Step1 が , 技 術 リ テ ラ シ ー (Technology

Literacy) か ら知 識の獲得(Knowledge Acquisition)に変更されている.この「知識 の獲得」は,基本的なデジタルリテラシーと 授業等に関連するカリキュラムや教育方法に 関する基礎知識であると考えられる.

表4では,UNESCO ICT CFTの6つの要 素を示す.ICT CFTは,この教師の専門的実 践の6つの側面に従って編成された18のコ ンピテンシーで構成されている.

3つの段階と6つの要素をマトリクスに整 理したのが,図1となる(UNESCO 2018). さらに,UNESCO(2018)では,CFT Version3において,教員養成カリキュラムの 目 標 ( CURRICULAR GOALS FOR TEACHER TRAINING)と,教員のコンピテ

表3 UNESCO ICT CFTのStep1の変更 2011 Step1 技術リテラシー

Technology Literacy Step2 知識の深化

Knowledge Deepening Step3 知識の創造

Knowledge Creation 2018 Step1 知識の獲得

Knowledge Acquisition Step2 知識の深化

Knowledge Deepening Step3 知識の創造

Knowledge Creation

表4 UNESCO ICT CFTの6つの要素 1. 教育政策でのICT利用の理解

( Understanding ICT in Education Policy)

2. カリキュラムと評価に関する理解

(Curriculum and Assessment)

3. 教育方法

(Pedagogy)

4. 基本的ICTスキル

(Application of Digital Skills)

5. 推進体制と連携

(Organization and Administration)

6. 専門性を高める教師の学び

(Teacher Professional Learning)

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図1 UNESCOのCFTのマトリクス ※UNESCO(2018)から引用

ンシー(TEACHER COMPETENCY),教員 の目標(OBJECTIVES),そして,それらの 具体例(EXAMPLE ACTIVITIES)を示した.

具体例(EXAMPLE ACTIVITIES)では,「専 門の検索エンジンと一般的な検索エンジンの 両方を使用して OER(Open Educational Resources)を検索し,オープンリソースを選 択して特定のカリキュラム基準を指導する.」 として,OERを取り上げている.また,ポー トフォリオ,ピア評価,形成的評価,ジャー ナルの振り返りなど,ICTを用いた学習評価 の具体的な方法を提示している.また,ワー プロやプレゼンテーション等のソフトウェア の使用方法だけでなく,VRや AR等の有効 活用に関する記述が見られた.AIの活用につ いては,ドリル等の個別学習での記録管理や,

障害者のために AI によって可能になる支援 技術等が取り上げられている.情報機器や周 辺機器等のハードウェアの基本的な操作だけ でなく,ユーザー補助機能についても記述さ れていた.

さらに,さまざまなコミュニケーションや コラボレーションを想定して,SNS(ソーシ ャルネットワーキングサービス)を活用して,

教師や保護者等との連携を深めることが取り 上げられていた.家庭学習の支援,オンライ ン学習環境等,教室や学校の外での学習をサ ポートすることが取り上げられていた.

3.4. 比較結果

日本の教員の ICT 活用指導力チェックリ ストと,ISTE とUNESCO の指標や内容の 共通性とを比較した.その結果,これらの共 通性と,日本のチェックリストの差異点とし て確認されたのは,以下の4点である.

まず,ISTE とUNESCO の指標には共通 して,教師の学びに関する視点が採用されて いること.また,両者ともに,新たな技術の 台頭を想定し,それに対応する指標や内容と なっていること.そして,授業のデザインに かかる指標や内容を含んでいることが確認さ れた.さらに,UNESCOのCFTのように,

段階と観点に対応させた具体例が示されてい ること.

4. 考察

4.1. 教師の学びに関する視点

ISTE の NETS-E では,「学習者としての 教師」,UNESCOのCFTでは,「専門性を高 める教師の学び」を観点として取り上げてい る.これは,ICT活用やその授業実践を学び 続ける教師としての位置づけであり,教員養 成課程の大学生にも必要な内容と考えられる.

また,ISTEのNETS-Eでは,「学習者」や

「コラボレーター」といった,協働しながら 学ぶ教師といった内容が見られた.UNESCO のCFTでも,「専門性を高める」具体例の表 記では,話し合うといった形式で表現されて おり,他者と協働しながら,授業でのICT活 用を考えていくことがあげられている.教員 養成課程の大学生においても,他の学生と協 働しながら,授業でのICT活用を考えること ができることを指標として取り上げることが 考えられる.

4.2. 新たな技術への対応

ISTE,UNESCOともに,新たなテクノロ ジーを想定して,指標や具体例等を示してい る.OERといった,今後活用が期待される教 材コンテンツに関する内容が盛り込まれてい る.また,AIやVR,AR,SNS等の有効活 用が具体的に示されていた.教員養成課程の 大学生は,これらの新たなテクノロジーを日 常生活でも利用しており,積極的に授業での

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活用に取り入れていくことが今後期待される.

例えば,SNSによる保護者等の関係者とのコ ミュニケーションを学ばせるなど,従来のコ ミュニケーションツールだけでなく,将来に わたって変化することを想定した内容が必要 であると考えられる.

4.3. 授業をデザインする視点

ISTEのNETS-Eでは,デザイナーやファ シリテータとしての役割があげられている.

これは,従来の授業を設計する考え方ではな く,授業をデザインする考え方に基づく内容 であると考えられる.吉崎(2008)は,授業 設計は授業デザインの⼀部を構成するものと し,授業デザインは⼀連の⼿続きの⼀段階で はなく,授業改善・創造モデルの中核に位置 づけられるとしている.一人1台端末の学習 環境においては,児童生徒の実態や願い・思 いを把握して,学習者を中心にしたICT活用 をデザインできるよう,大学生に考えさせる ことが必要であると考えられる.例えば,杉 江(2011)は,子供同士の学び合いや教師と 子供の関わりについて,協同学習のさまざま な形態を通して紹介している.これらの協働 的な学びとICT活用を関連づけながら,大学 生が ICT 活用を考えている場の設定も考え られる.

さらに,UNESCOのCFTでは,家庭学習 の支援やオンライン学習での学習環境も取り 上げられている.従来の教室だけでの端末活 用やその学習活動に限定せず,一人1台端末 を家庭に持ち帰ること,家庭学習と授業をつ なぐことや,オンライン学習での有効活用を 大学生に考えさせることが求められる.

4.4. 具体例による明確化

UNESCOのCFTでは,段階と観点に対応 させて,その具体例を明らかにしている.そ の具体例では,活用する機器やソフトウェア,

コンテンツが具体的に示されており,教師が めざす内容をわかりやすく解釈できると考え られる.

教員養成課程の大学生に必要となる ICT コンピテンシーにおいても,教員のICT活用 指導力チェック項目に対応させた具体例を下

位目標として設定することが必要であると考 える.この具体例及び下位目標の検討につい ては,今後の課題として検討を進めることと する.また,教員のICT活用指導力と情報基 礎教育等で身につける ICT スキルとをどの ように関連づけるのかを検討する必要がある.

文部科学省(2018)の教員のICT活用指導 力のチェックリストは自己チェックできるこ とを想定しているが,ISTE やUNESCO が 公開している ICT コンピテンシーはカリキ ュラムや研修プログラムのデザインに関係し ていることを考えると,大学生のICTコンピ テンシーの活用意図を明確にして,どの段階 やどの授業科目で育成するかなど,その運用 についても検討を進める必要がある.

5. まとめ

本研究では,児童生徒一人1台の情報端末 が整備された教室環境を想定した,教員養成 課程の大学生に今後必要となる ICT 活用指 導力に関する指標について検討した.文部科 学省が策定した ICT 活用指導力のチェック リストや,ISTE やUNESCO が公開してい る国外の ICT コンピテンシーを参考に検討 した.その結果,教師の学びや新たな技術や 方法への対応,授業のデザイン等,指標を更 新する視点に基づいた指標作成が必要である ことが示された.

また,授業でのICT活用や校務の情報化に ついて,ICT活用指導力の具体的な場面や具 体例を示す必要があるとともに,SNSやAI,

VR・AR等の新たなテクノロジーや新たな方

法への理解を加えることが必要であることを 明らかにした.

今後は,授業でのICT活用や校務の情報化 について,ICT活用指導力の具体的な場面や 具体例を検討するとともに,関連するICTス キルを下位項目として整理する予定である.

参考文献

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参照

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