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技術評価方法に関する調査研究 日大生産工 高崎 英邦

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Academic year: 2021

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(1)

技術評価方法に関する調査研究

日大生産工 高崎 英邦 東京都 石島 一司 日大生産工(院)○寺門 直之 1.はじめに

1-1 背景と目的

近年、あらゆる場面で“技術評価”を行うことが 求められている。たとえば、事業等の発注者は最も 適切な技術を有する受注者を選択することが必要で ある。そのため、どの企業がどの程度の技術力を保 有しているかを評価し判断する技術評価の方法は重 要な課題である。

各所で独立的に技術評価方法が開発され運用され ており、それぞれ特徴と独自性はあるが、たとえば 技術評価方法の理念・概念をはじめ、技術評価指標 などの普遍性は乏しくならざるを得ない。

本研究の目的は、以上の背景の下に、既存の技術 評価手法に関する基礎的調査と、それを応用した新 しい方法論としての技術評価指標の選択方法を提案 することにある。

1-2 研究手順

まず、各所で開発運用されている既存の技術評価 方法を調査し、整理分析することからその現状を把 握する。ここでは、技術評価の理念・目的、技術評 価指標について分析する。

次に、方法論として、技術評価指標の選択方法の 定式化を試みる。誰のため、何のための技術評価か を原点に置き、要求事項を収集・整理し、そして体 系化を図る。次いで、先に得られた技術評価指標と、

ここで得られた要求事項体系表を組み合わせた新し い方法論としての技術評価指標選択方法を提案する。

検証として、ここで提案した方法を、近年導入され た新しい入札・契約方式である総合評価落札方式の 技術評価項に適用し、その適合性を検討してみる。

2.既存の技術評価方法の調査分析

1)

2-1 調査分析の方法

土木分野を中心に既存の 37 種類の技術評価方法

を収集した(表-1 参照) 。ただし技術評価の対象が 異なるため、収集した技術評価方法を、個人が持つ 技術の評価を対象としたもの、同様に、組織、事業・

プロジェクト、建設技術・R&D に区分して分析した。

分析の方法は、それぞれの技術評価方法から技術 評価の理念・目的に関するキーワードを抽出し、KJ 法的手法で体系化を図る。次いで、それぞれで採択 されている技術評価指標を抽出し、同様に KJ 法的手 法で上述した 4 対象別に体系化を図った。具体的に は、概念の類似したキーワードをグルーピングして 共通概念のラベルで代表させ、順次大きな概念に組 み上げて体系化を図った。

2-2 技術評価の理念・目的の分析

図-1は、37 種類の技術評価方法のそれぞれが持 つ理念・目的、すなわち何の目的で技術評価を行っ ているのかを集約して整理したものである。特徴的 な傾向として、①技術評価は、個人が持つ技術を測 ることを始め、組織、事業、建設技術などの対象に 分けて多面的に評価していること、②技術を評価す

Research on Method of Technology Assessment

Hidekuni TAKASAKI , Kazushi ISHIJIMA and Naoyuki TERAKADO

表-1 調査した技術評価方法

技術士 1級土木施行管理技士 宅地取引主任者 1級建築士 土木学会認定技術者 経営事項審査 デミング賞

コンサルタント業務指 名競争入札技術審査 基準

有資格者名簿の 作成に際しての 資格審査 一般競争入札 総合評価方式 技術者評価型プ

ロポーザル方式 一般競争入札

(総合評価方式)

総合評価型プロポー ザル方式

総合評価落札方 式の性能等の評 価方法について EVALUATION

PROCEDURE,Lo cal

COMPETITIVE

国土交通省地方整備 局工事成績評定

公共事業の事業 評価(新規事業 採択時評価)

公共事業の事業 評価(再評価)

公共事業の事業評価

(事後評価) 業務成績評定 公共事業評価の

方法に関する解 説(案)

新事業の技術評価手 法(事業性評価)

代替医療の科学 的評価手法の開 発

農薬生態毒性評 価手法

環境技術評価制度(韓 国)

技術評価実施規 定(NEDO)

経済産業省技術 評価指針(プロ ジェクト評価に関 する評価,事前評

建設技術審査証明(建 設技術審査証明協議 会)

建設施工技術評 価指針(試案)

科学研究費補助 金の審査(日本 学術振興会)

土木学会 技術評価 制度

建設技術の総合 評価システム 建設施工技術の

総合評価手法

建設分野における技 術評価手法の提案

新技術情報シス テム(NETIS)

CORINS(工事実 績情報サービス)

技術評価方法名

(2)

る直接目的は、いずれも技術の向上を図ることにあ ること、③社会的要請に応えることを、技術評価の 一義的目的ではないが二義的としてほとんどの技術 評価方法の目的に挙げており、従来の単に技術を測 るや技術の向上を図る目的から、社会ニーズに対応 してきていることが上げられる。

2-3 技術の評価指標の分析

次章では組織を対象とした技術評価指標選択方法 の提案をするため、ここでは組織を対象とした既存 の方法からの技術評価指標を分析する。

図-2 は、企業や団体が組織として保有する技術を 評価する際の指標を整理したものである。個人と異 なって対象が組織と不定形のため測りがたい側面を 持つこともあるが、結局は①同種・類似工事の実績と その工事成績、および②技術力保有の程度が上げら れている。ここで後者は、定性的かつ相対的評価に ならざるを得ないものも多く、または他の指標に置 き換えた間接評価指標を取らざるを得ないものも多 い。組織が持つ技術を測定することは、総合評価落 札方式の普及など今後ますます増加しかつ重要性を 増してくると思われるので、より適切な技術評価方 法の開発が期待される。

3.方法論としての技術評価指標選択方法の開発 3-1 技術評価指標選択の基本的考え方

2 章の調査分析結果から、既存の技術の評価方法 の特徴が、技術評価の理念・目的、評価指標の側面 から明らかになった。特徴的なのは、それぞれの実 施機関・評価対象によって評価の理念・目的、およ び選択されている技術評価指標が異なっていること である。ここで、もし技術の評価方法定式化の原点 となる共通の原理・原則を設定することができれば、

それを基点に、それぞれの条件に対応するとともに、

普遍的かつ客観性の高い技術評価指標の選択方法を 展開できる可能性がある。

3-2 要求事項充足を原則とした技術評価指標選択 技術評価指標選択方法の開発に当たって、技術評 価は、何のために、誰のために、何を目的に行うか を明確に定義することが重要である。そこで今回は

“要求事項充足”を原則とすることにする。すなわ ち技術評価の主体者は、顧客と自体からの要求事項 を充足するように技術評価指標を選択しなければな らないことになる。これは、顧客満足の概念を拡張 したものといえる。

図‐3 左列は、参考文献

2)

のプロジェクト関係体 と要求事項の整理・体系表の一部を抜粋し、時代変 化を考慮して加筆修正して示したものである。すな わち、住民・国民の要求事項である環境保全や循環 型社会の要求、安全・安心、さらには社会的価値を 充足する必要があり、また、技術評価主体者自体の 要求として、品質・仕様満足、事業費満足、工程満 足、安全確保が上げられており、これらは通常の管 理事項として実施されているものである。

3-3 技術評価指標の選択方法の提案

既存の技術評価方法では、技術評価のためにどの ような指標が選択されているかを 2-3 で整理した。

これらは、現行で使用されている評価指標の全体像 を表していると考えられる。一方、何のための、誰 のための技術評価かを原点においた、すなわち技術 評価に対する要求事項充足の原則を達成するための、

技術評価に求められる要求事項は 3-2(図-3 左列)

で得られた。

-

2 組織を対象とした技術評価指標の分析

-1 技術評価の理念・目的の分析

工事実績 同種・類似工事実績 工事規模、技術的難易度

保有の程度 工事成績 工事成績評価

安全実績、表彰

技術職員 技術職員数

配置技術者の適性

施工能力 施工技術全般

施工計画力 施工管理力 マネジメント力 組織力

リスク評価力 品質マネジメント 環境マネジメント VE提案力 総合的コスト

性能・強度等 関連の技術開発実績 技 術 力 保 有

の程度

業務・経営改革を図る 技術管理 工程管理 省力化、省人化 技術の品質向上を図る 機能・性能

供用性 技術の活用・普及 倫理・CSRを果たす 社会的信頼性 安全・安心

説明責任 情報公開

公平・公正な競争 不祥事の防止 経済発展に寄与する 社会資本の形成 コスト縮減を図る

事業効果 経済性、価格競争 企業・人を育成

資源の活用 耐久性(長寿命化)

環境保全を図る 生活環境

自然環境 美観

技 術 の 向 上 を図る

社 会 的 要 請 に応える 技 術 を 評 価 する(技術を 測る)

個人の持つ技術を評価する 組織の持つ技術を評価する 事業・プロジェクトの持つ技術を評価する 建設技術・R&Dの持つ技術を評価する

(3)

ここでは、技術評価指標を選択する際の論理性を 確保するために、すなわち普遍性、客観性を担保で きるように以下の手順で技術評価指標を選択する方 法を考える。

Step 1 技術評価主体者による技術評価の理念・目 的の明確化

Step 2 特定された理念・目的に対応する、すなわ ち技術評価に求められる要求事項の抽出

(図‐3 左列の適用)

Step 3 抽出された要求事項に対応する技術評価指 標の選択(図‐2 の適用)

以上の手順で適切な技術評価指標を選択するには、

図‐3 左列と図‐2 の関係性を予め準備しておかね ばならない。その方法としてここでは、一般化され た要求事項(図‐3 左列)と一般化された技術評価 指標(図‐2)を両軸とする技術評価指標選択マトリ ックスを作成する。そして両軸間の関係性、すなわ ち重み付けの方法として、ここでは複数の有識者に 両軸の交点の関係性の程度を評価してもらい、それ らを総合して重みを決定する。こうして得られた、

指標を選択するための技術評価指標選択マトリック スを図‐3 に示す。

3-4 技術評価指標選択方法の総合評価落札方式への 適用

本項では、提案した方法を総合評価落札方式に適 用し、同法が採用している技術評価指標(同法では技 術評価項目と称している)と対照してみる。

総合評価落札方式の背景は品確法であり、基本理 念が第三条に明記してある。この条文を要求事項に 置き換え、図‐3 の中の要求事項に対応させ、それ に対応した技術評価指標を特定化し選択する(図‐4 参照) 。なお同表には、品確法第十一条(競争参加者 の技術的能力の審査)に示されている技術評価指標、

および総合評価落札方式の技術評価項目と合わせて 対比できるよう表示してある。

品確法第三条第 1 項は、公共工事の品質確保が基 本理念として掲げられており、ここでの品質とはか なり広い概念で考えられているようである。そして 第 2 項以下には、品質確保するための施策ないし手 段が規定されている。図-4 左列ではこれらも含めて 転記したが、ただし技術以外のことは除外してある。

これらの基本理念のキーワードに対応する要求事項 を中列に示したが、図-3 で包含的に◎○を付けたた め、結果として選択した技術評価指標が多くなった 感は否めない。また、同じ技術評価指標が各所で見 出されることが分かる。しかし要求事項が異なって いるため、技術評価指標の用語が同じであってもそ の細目は異なると考えられ、まずは同異語として見 なしておくべきであろう。

以上、品確法を充足することを原点に 3-3 で提案 した技術評価指標選択法を適用した結果、図-4 の中 列に示す技術評価指標が選択された。同図最右列は、

同じく品確法を基にしている総合評価落札方式にお ける評価項目を、本法で得られた技術評価指標に対 応させたものである。なお一部に用語的に、また意 味的に合致していないように見えるものがあるが、

総合評価落札方式では評価項目の内訳として細目が 示されており、ここではその細目と対応させて評価 項目を指定したことによる。

その結果、一部を除いて本法で要求された技術評 価指標すべてを、総合評価落札方式の評価項目のい ずれかがカバーしていることが分かった。したがっ て本研究で提案した方法、すなわち品確法を原点に、

技術に関する要求事項を充足する技術評価指標すべ てを総合評価落札方式の評価項目は充当しているた め、総合評価落札方式の評価項目はある意味では検 図-3 組織が持つ技術の評価指標選択マトリックス

V E

環境保全・循環型社会

ミチゲーション ゼロエミッション LCA 生態系維持 環境保全

安全・安心

ユニバーサルデザイン

社会的価値

歴史・文化資産保全 事業評価 コスト縮減 長寿命 豊かさ

品質・仕様満足

品質監理

事業費満足

コスト縮減 資産管理

工程満足

使用目標

安全満足

無事故・無災害 環境保全・循環型社会

ゼロエミッション LCA 生態系維持 環境保全

◎:関連性の強いもの    〇:関連性があるもの    無印:関連性がないか、小さいもの

技術力保有の程度 工事実績保有の程度

技術の評価指標

技術評価主体者から見た 技術に関する要求事項

(4)

証されたといえるし、またここで提案した方法の合 理性がある程度検証されたとも言える。

以上から、技術評価を施行する主体者が技術評価 の理念・目的を明確に定義すれば、それを予め客観 的に定めた顧客・自体からの要求事項に変換し、次い で、これも客観性の高い技術評価指標選択マトリッ クスを使って技術評価指標を誘導するという一連の 作業が、方法論的に論理性を持って定式化できるこ とになる。

4.研究成果のまとめ

多くの場面で“技術評価”の重要性が高まってい る。本論文では技術評価に関する基礎的調査・研究 の一環として、現行の技術評価方法の調査分析を行 ない、その結果と要求事項充足の原則に基づいた新 しい方法論として、組織が持つ技術を評価する場合 の技術評価指標の選択方法を提案した。得られた調 査・研究成果を以下に総括する。

(ⅰ)技術評価を行う理念・目的やそこで採用され ている技術評価指標は、技術評価の実施機 関・評価対象によって異なる。

(ⅱ)技術評価指標を選択するひとつの方法として 既存の技術評価方法の調査結果と“顧客およ び自体の要求事項充足の原則”に基づいた新 しい方法論を提案した。その方法を品確法に

基づいた総合評価落札方式に適用した結果、

ここで提案した方法は同方式の技術評価項目 をほぼ導き出すことができた。よって、方法 論として客観性・論理性のある技術評価指標 選択法であることから、現行の技術評価法の 改善および今後の開発時に寄与できると考え られる。

今後の課題として、①土木以外の他分野の技術評 価方法も収集分析し、より広義に技術評価方法を把 握し、より広域かつ精細に技術評価指標等を理解す ること、また、②顧客および自体からの要求事項の 集約化・整理の精度を高めること、が上げられる。

謝辞:本報告は、土木学会建設マネジメント委員会 技術評価法研究小委員会(小委員長:高崎英邦)で議 論された一部をまとめたものであり、委員各位のご 協力に感謝いたします。

参考文献

1) 技術評価法研究小委員会:技術評価手法の事例調 査報告書、土木学会建設マネジメント委員会、平成 17 年度

2) 高崎英邦、佐橋義仁、石井信明:進化する建設マ ネジメント、(株)建設図書、pp.25~28、2002 年 10 月 図

-4

技術評価指標選択方法を総合評価方式に適用した場合の事例研究

公共工事の 環境保全・ 技術開発力 企業の施工能力

品質(広義)確保    循環型社会 マネジメント力 施工計画

VE提案力 VE提案とその施工計画

安心・安全 技術開発力 企業の施工能力

VE提案力 VE提案とその施工計画

社会的価値 技術開発力 企業の施工能力

VE提案力 VE提案とその施工計画

価格と 品質・仕様満足 工事成績 企業の施工能力

品質(広義)の評価 技術職員 配置予定技術者の能力

技術開発力 企業の施工能力

施工能力 企業の施工能力

工事全般の施工計画

マネジメント力 施工計画

事業費満足 施工能力 企業の施工能力

工事全般の施工計画 VE提案力 VE提案とその施工計画

工程満足 工事成績 企業の施工能力

技術職員 企業の施工能力

施工能力 企業の施工能力

工事全般の施工計画

マネジメント力 施工計画

安全確保 工事成績 企業の施工能力

技術職員 企業の施工能力

施工能力 企業の施工能力

工事全般の施工計画

マネジメント力 施工計画

適切な技術と工夫

  ・効率性 工程満足 既出 既出

  ・安全性 安全確保 既出 既出

  ・環境 環境保全 既出 既出

地域精通度、地域貢献度

(ゴシック太字:特に関連が強いもの)

対応する総合評価方 式の評価指標(項目) 品確法の基本理

念(第3条)

技術に関する要求事 項(図-6引用)

技術評価指標の抽 出(図-6引用)

参照

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