産卵鶏における体重推移と産卵性との関係
その他(別言語等)
のタイトル
The relationships of the growth and egg production in egg‑type chickens
著者 三好 俊三, 太田 奈緒, 口田 圭吾, 光本 孝次
雑誌名 帯広畜産大学学術研究報告. 自然科学
巻 19
号 3
ページ 119‑126
発行年 1995‑10‑20
URL http://id.nii.ac.jp/1588/00001925/
119 帯大研報19(]995):119〜126
産卵鶏における体重推移と産卵性との関係
三好 俊三1・太田 奈緒1・U田 圭吾1・光本 孝次2
(受理:1995年5月31日)
Therelationshipsofthegrowthandeggproductioninegg−typeChickens
ShuIIZOMIYOSHIl,NaoOHTAl,KeigoKucHIDAlandTakatsuguM汀SuMOTO2
摘 要
卵質形質に関して長期にわたり選抜された系統において,成熟時体重および産卵率とい った量的生産形質の遺伝的政局の可能性を検討した。用いた鶏群は,卵黄・卵白比に対し,
高(ⅠⅠ系統)および低方向(L系統)へ選抜された白色レグホーン種の24世代目の2系統で ある。同時に,市販の2鶏程を対照とした。
成長形質と産卵形質との関連性を解析するために,初産時体重の大小および産卵率の高 低で,それら平均値を基準としたクラス分けを行ぃ,両クラスについて各系統ごとに成長 の様相を比較した。
初産時体重の大小による分項において,初産日齢は初産時体重の大きい鶏群(A群)が 若干早まる傾向にあり,特に,L系統では約12日と有意に早かった。初卵の卵重および平 均卵童は,A群で大きい傾向を示し,L系統ではその菱が有意であった。L系統の産卵率
は,A群の方が有意に高く推定されたのに対し,他の系統では逆の傾向が認められた。
産卵率の高低による分類において,市販湯では高産卵率の鶴群(B群)の成熟値が小さ い傾向にあったのに対し,L系統では反対の傾向が認められた。初産時体重でもL系統の みが他の系統と異なり,B群で有意に大きかった。
以上の結果から,L系統には体重の変異が認められ,量的生産形質と卵質形質の双方の 遺伝的改良の可能性が示唆された。
キーワード:産卵鶏,体重推移,産卵率,卵構成
■帯広畜産大学畜産管理学科家畜育種増殖学講座 〒D80北海道帯広市 2岩手大学大学院連合農学研究科 〒n2P岩手県盛岡市
1Laborat8ry OfALlima】GeneticsandRepTOductioT・,Departme【lt OfAnimalProductior]and Agri亡ulturalEcor rL(JTnics,ObhiroUnivers恒′OfÅgricultureandVeterirlaryMedicjne,Obihim,IlokkaidoO抑Japan−
2TheUnitedGrad11ateSchoolof^gricultura】ScieIl亡eS,1wateUniverslty.Morioka.IwateO20,Japan.
−1−
120 三好俊三・太田奈緒・∪桐生否・光本孝次
たないこととなる。前述の造成きれた系統は,主に
卵黄・卵白比といった卵構成を主体とした選抜を行 っており,飼料効率や産卵率についてこれまであま
り検討されなかった。
本研究で払飼料効率や生涯卵生塵量に大きく関 与している成熟膵体重および産卵率が,卵構成に対
して長期にわたり選抜された紺に掛ゝでどのよう な特徴を示すかについて調査し,これら系統に対す
る屋的生産形質の遺伝的改良の可能性を市販笥種と 比較しつつ検討することを目的とした。
材料および方法 1ト供試鶏および飼♯管理
本研究に用いた鶏群は,帯広畜産大尊家藩育種学 研究克において,卵構成を変化きせる目的で卵黄・
卵白比に対し商および低方向へ選壊された白色レダ ホーン種の24世代日の2系統である(以下,商およ
び慌系統をそれぞれHおよぴL系統と略す)。また,
緒 言 生産過剰などにより卵価が低迷している現在,採
卵鶏の改良は量的な形質から卵構成を含め,質的な
形質への転換が重要であると考えられている(HussEIN eL山.,1卵3:光本・三好,1993)。また∴MITS肌すOTO a口dMIYOS王1Ⅰ〈19紺)は鶏卵の卵黄・卵白比の高低2 方向への長期間にわたる選抜実験において,この卵
質に関わる形質が遺伝的特徴であることを明らかと した。さらに,三好・光本(199ヰa∫b〉は,市販の13線
種における卵構成あるいは卵貿,また,卵黄の脂質 について調査し,潟種間に顕著な差異があることを 確露するとともに.鶏種の用途に応じた選定が重要 であることを指摘した。
しかしながら,高度に産卵能力に対し改良された 市販鵜唾の育種目標を,現在の景的生産形質から質 的なものへと転換させることで,極端な産卵能力の 低■Fが生じたとすれば,採卵義絶産業として成り立
別 冊州 Ⅷ l棚 測
量三富き合点 弧 ㈹ 紺 ㈹ 500
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t 3¢ 70 130 柑0 253 328 393 16ユ DJy
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F喧・1Changesofbodyw畠ightbyageoftwogroupsclassified by body weightatfirstegg
(Heavygroup:+ Light即OuP: )
2 −
塵卵鶏における体重推移と産卵性との関係 121
各クラス間の平均値の差の検定は,DUlヾCANの多 重検定によった。
結 果
1)初産時体重の大小による分類
各系統の初産時体重の平均値を基準として分類し
たそれぞれのクラスにおける体重の推移を,系統別 にFig.1に示した。H系統には初産時体重の大きい
籍群と小さい鶏群の体重推移に顕著な羞が認められ
なかった。Table.2に峠,成長形質および産卵形質 について,研摩時体重の大小のクラスごとの平均値 を系統別に示した。聯化時体重はⅩ系統を除き,初
産時体重の大きい鶏群が重い傾向にあった。所産前
増体量はすペての系統について初産特休重の大きい
鶏群が有意に高い値を示した。初産後増体量はH系統 を除き,初産時体重の大きい鶏群が高い値を示す傾向 にあった。いずれの系統においてもGompertzモデ
ルから推定されたパラメータには初産時体重の大小
で分類した為群開に顔著な羞臭が認められなかった。
Tablel.Means and standard deviations of body Weightatageoffirsteggandhen−dayeggproduction 比較のため市販鶏種であるⅩ系統およぴJ系統を用
いた。
いずれの系統も同様の飼養方漆をとった。粁化後,
段階的に4種類の飼料を,水とともに不断給餌した。
幼乾期はバタリー式育雑器で,30日齢でのデビ←ク 後,中経期は7〜10乳大雄期は5〜7羽の群飼い
とし,成鶏期では1羽飼いのケージで南東した。
2)分析に用いたデータおよび統計解析 いずれの系統引緑化から70日齢までは過2臥 そ の後は過1回ごとに体重を測定した。照化時体重は 貯化1日齢のものを,初産時体重は産卵記録から初 産U齢に最も近い体重記録を用いた。また,晰ヒか ら初産までの1日あたり増俸星を初産前増体臭.初 産から最終測定日(HおよぴL系統:470口齢,Ⅹお よびJ系統二4¢1日齢)までの1口あたり増体重を初 産後増体量とした。
一方,成長の様相を比較する目的で,個体の体重 記録に(1)式に示した非線形関数であるGompertzモ デルを当てはめ,各パラメータを推定した(秋元,
1991)。
㌫Axg砂(−β×監ゆ(一郎))(1)
ここで,Ytはt日齢における体重の問定値,Aは成 熟値,Bは積分定数,kは成長速度を表すバラメ」
タである。
また,推定されたパラメータから(2)式により最大 成長速度となる日齢(t,)を推定した。
/ま(logβ)用
(2)産卵性に関する形質として,初産日齢,初卵の卵 責,平均卵惑および初産から300日間のへンデイ産卵 率を用いた℃名魔の平均卵重は,初産後,約1拙から 150日経過した時に産卵されたものの卵重とした。
成長形質と蘇卵形撃との関連性を解析するために,
初産時体重の大小および産卵率の高低によって各系
統を2つのクラスに分類し,それぞれのクラスにつ
いて各系統ごとに成長の様相を比較した。分窺の基 準は,各系統の初産時体重の平均値および産卵率の
平均値である(Table.1)。成長形質ならびに産卵形
質に関して初産時体重の大小革よび産卵率の高低を 要因とした一元配置の分散分析を行った占統計解析
はSAS(SASinstitljteinc.,1982)を用いた。また,
H L X J
恥.0†h帥 柑 23 17 1f;
BWFE(g)1524±102 柑28+2021611±柑91700±172 旺P(%)74.畠±12.0 78.1⊥臥9 89.1±5.6 展7.3±8.4 別けE:bodyweightatagepfrirstegg
flEP二hcn−daycggproductionrate 初産日齢は,初産時体重の大きい鶏群が若干早ま る傾向にあった。L系統における初産時体重大小ク ラス問の差は約12口と有意であったのに対し,他の 系統では4日程度であった。初卵の卵重および平均卵 重は,初産時体重の大きい鶏群が高い値を示す傾向
にあり,特に,L系鱒ではそれらの差が有意であっ た(p<0.n5)。また,L系統において,初産暗体重と 初卵の卵笥との間に0.77と比較的高い正の相関が認 められたことからも,卵垂は体重に依存することが 推察された。しかしながら,他の系統では,初犀個 体垂と初卵の卵垂との相関係数が低く推定された(ー=
0.22〜0.33)。また,L系統では初産時体重の大きい
鶏群が有意に高い産卵率を示したのに対し,他の系
統では,有意でないが,初産疇体東の小さい鶏群に
三好俊三・東田斉確・口田束帯・光本孝次
122
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Fig.2Chang8S O†bodyweight by ageoftw(】grOUPSCIassifiedbyhenLdayegg prDducth)n
(Highg「oup:− Li帥tgroup:・−−−−−▼う
養いて\産卵率が高かった。これらのことは,L系統
が成長形質と産卵形質との関連について他の系統と 異なる特徴を持つ、ことを示唆している。
2)産卵率の高低による分類
名系統の産卵率Ⅵ平均値を基準として分類したそ れぞれのクラスの体重の推移を,系統別にFig.2に
示した。法た,成長形質および産卵形敷こおけ′る平 均値をTable3に示した。初産時体重の大小による 分類の場合と同様に,H系統には産卵率の高低によ
っで分類された鶏群聞の体重の推移に顕著な差異が 認められなかったb X系統およ甲J系統では産卵率
が商い鶏群の体重が,初産後小さい値で推移する傾 向に養っ烏のに対し,l一系統では,逆の傾向が認め
られた。初産時体重ではL系統のみが他の系統と異 なり,産卵率の轟い港群が有意に大きかった。Gomper・
tzモデルでの成熟値(パラメータA)においても同 様の傭向が認められた。初産前増体量は,Hおよぴ L系統において産卵率の高い鶏群が若干大きい値を
示した。初産後増体量では,L系統の産卵率の高い 鶏群が有意に大きな値を示したのに対し,他の系統
では産卵率の低い鶏群が人きな値を示す傾向にあっ
た。一方,最大僧体量となる日齢軋Ⅰノ系統で有意 に産卵率の高い鶏群が遅く,その善は約3日であっ た。しかしながら,他の系統では有意でないが,そ の避の傾向を示した。
初卵の卵垂は,H系統において産卵率の高低による 差異が認められなかったが,L系統では産卵率の高い 鶏群が大きい傾向菅示し,Ⅹ系統およぴJ系統では 産卵率が催し−鶏群で大きい傾向を示した。平均卵畳は,
L系統を除き産卵率の低い鶏群,すなわち体重の大 きい総評が電い傾向にあった。一般的に,体重と卵
垂との関係は正の表型および遺伝相関関係にあると
されている(田名部,1971)。Ⅰ.系統以外の系統にお ける今回の結果は,これらの相関関係に符合したも のであった。初産日齢には,産卵率の高低によって
分現した鶏群間に一定の差異が認められなかった。
123
産卵鶏における体重推移と産卵性との関係
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124 三好俊三・太田票瀾・ロ田重苦一光本孝次
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莞賀︻ 十重帯
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贈t 一人N≠憎.替
慨.皿丑∵感 心ぷ=是∴虎ト.ヨ1.茫H ¢.N¶缶.汽 把N.G州営.N 鉾.¢≠−酵.門 整/蕊薫
屑這¶箪革 等d対席.仇栗︼ ¶宗ヨ 憎.門+−.鍔
むt 朋.朗+飢.等
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議︼ ≠認讐
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啓
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竃ぎ連坐旨
竃︶出h巨白
︵的︶Fぎ巧
こ・ヒー﹂こご/
寧思↑
t25
産卵鶏における体重推移と産卵性との附イ系
は,卵白♂)比率を多くする遠掛こよって、卵塞が増加 し,それに伴う体牽町噌加によって他の系統とは反 対に,体重が比較的大きく,、産卵率の良いものが自 然選抜されたと推察きれる。さらに,L系統におい ては,体畳にかなりの変異が存在するため,H系統 に比べ,さらなる選抜の口J能性があると考えられる。
一方,本研究で認めら弟たように、産卵率と体重 の関連性の強さから,産卵に対する最適体重の存在 が推察′され,その値をどのように定めるかについて は,今後の大きな課題となることが予想される。例 えば,同じ産卵率,同じ卵亀岡じ卯構成であれば,
飼料効率の密から,体重はより軽いことが望まれ 体重に変異が存在するなら,軽い方向へ嘩選抜が好
ましいことに登ろう宣いずれにしても,本研究で調 査しなかった飼料効率を考慮して.体重と産卵能力と の関係は今後とも1・分に検討されなければならない。
謝 辞
本研究の一部は財団綾人旗影会の研究助成金によ り遂行されました。ここに付記し謝者を表します。
また,本研究に対し,デナタの収熱感理等に当 たり,多太の助力をいただいた帯広畜産大掌家畜育 種増碓学講座♂〕鈴木三義助教授,鰍川泰代妓ならび に学生諸君に深く感謝します。
文 献
秋元博一(1991)ロードアイランドレッド弟の体重錠)
成長解析.苛産の研究,45:94g952.1991.
11ussEllヾS.九Ⅰ.,R.H.HARユユS飢1d D.M.JAN玩Y
(1993)Effect()f纏針即tlleyOユktoalbumenratio i、nC壬1i℃keneggs.抽ult.Sci.,72ニ594−597.
山IIT§u凡1C11、0′Ⅰ、、andS」ⅥIYt)SHl(19関)Re紬顧極細 tu diver雛Ilt Selec【ion foナhigllalld】α〃yOユk−
albtlmem rati〔)and relaxa士iol10f selec土i¢nin White Leghorn.Prpc.6th htem CQngr・Qf SAl∃RAO.TokyoII,畠93−8弧
光本孝次,三好駿三(1993)市販籍卵の発別化の可能 性.者産の研究,47:972−974.
三好俊三,光應孝次(1994a)市販無様における卵構成 および卵質の差果.家禽会誌,31:2即299.
三好俊二,光本孝次(1994b)市販鶉頓における卵蕎脂 質の差異.家禽会誌,昆1:345353.
考 察 本研究におけるすべての分析は,体重記鮮の実測 値(初産障体私産卵前増体基,産卵後増体蚤)と雷 G珊叩e托Zモデルかち推定したパラメータという2つ の観点から行った。GQmpertZモデルでの成熟体吏と 産卵形質との相関関係は,初産碑体重と産卵形質と の相関とほぼ同様の傾向を示したが,両者射ヒ醸し た場乱GoITlpかtzモデ肌こおける相関係数が,許l:
低い傾向にあった。また,G即11pertZモデルの他のパ ラメータた産卵形賢とび)相関も高くほなかった。成 長記録び〕ような時系列ヂ」夕を非線形モヂ/レに当て
はめ,そβ)パラメータ壕推定することは,データを スムーズ化きせる利点はある。しかしながら,わず かな測定値で成表を予測できるものを除き.多くの
柳窪凰 さ、ちに計算上の複雑な作業を必螢とするモ デル化は,産業的にはその利用が難しいと考えられ
る。特に,幾のような個体としての価値よりも鶏群 としてのそれに専点が置かれる家畜では,モデルの
利用価値がさらに少なくなると思われる。本研究に おける結果は.実測値のみで,仁軌こ産卵形質と成
長形質と打開怖が把握できることを示唆するもので あった。特に,膵化から初産までの体重データと産
卵形質との関連性が強いこと(Table.3),さらに,
糾産疇体重ほ,はぼ成熟偵ヒみなすことができるこ と(Fig_lFig.2)も明らかとなった。
初産璃体登の二机、,産卵率の高低の分類において,
市販鶉は高度に産卵能力に対し改良されたことが明 確に認められた。また,Il系統は両方法の分掛こお
いて魚群間に体重推移♂嘩異が認められなかった。
このことから,H系統¢)特質として休まの変異が他 の系統に比較し少ないことが考えられる。つまり,
卵黄の比率を大きける選抜の相関反応に.よって体 重が軽くなり,系統として安定したと考えられる
(Table.=㌧Lかし,一般的には体重の軽い題の産 卵は良いとされてし、るが(四番弧1971),H系統で の300口闇の平均産卵率は74.8′%と,他掟比較し顕著
に低くナ産卵能ノノを保持する体重の限界を超えた可 能性が示唆きれた。一方,L系統はすぺての分析を
通じて,他の系統と異なった傾向を示した占特に,
庫卵率に関して頗着であり,他の系統とは反対に体
重∂)重い鶏群が高産卵率であった(′lつab】e.2)。これ
1雲泌