スピント型電界放射陰極アレイを用いた平面撮像管 の駆動方法に関する研究
著者 瀧口 吉郎
発行年 2010‑03‑22
出版者 静岡大学
URL http://doi.org/10.14945/00006368
静 岡大学 博士論文
スピント型電界放射陰極アレイを用いた 平面撮像管の駆動方法に関する研究
2009当 「 12月
大学院 自然科学系教育部 ナノビジョンエ学専攻
瀧 口 吉郎
目次
第
1章
序論1,1
撮像デバイスの歴史・・・・ 口・・・・・・・・・ 00ロ ロ・・・・1.2
研究の背景と目的・・・・・00・
・・・・・・ 口・・・・・・・・1.3
本論文の構成・・・・・D● ●●ロロ00000000・
・・・・・第
2章
高感度平面撮像管の概要 と課題2,1
現状の高感度撮像デバイス・・・・・・・・・・ 口・・・・・・・・2.2
高感度平面撮像管の構造と動作原理・・・・・・・・・・・・・・・2.3
平面撮像管の課題・・・・・・・・ 甲・・・・・・0・ ・・・・・・2.4
まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第
4章
残 像 抑制 のた めの駆動方法4.1
従来撮像管お よび平面撮像管にお ける残像 。・・・・・・・・・・・4,2
残像 の抑制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・00
4.2.1 残留電荷除去駆動の原理・・・・・・・・・・・・・・・・・4.2.2 残留電荷除去駆動の効果・・・・・・・・・・・・・・・・・
4.3
残留電荷除去駆動の応用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4.4
ま とめ・0000・
・・・0・ ・・ D● ●●●●D● o● ●●・・・1
1
5 6
9
9 13 15 16
第
3章
高輝 度被写 体 に よる偽信 号抑 制 のための駆 動方法21
3.1
高輝度被写体によるブルー ミングの発生メカニズム・・・ 口・・・・21
3.1.1 平面撮像管の動作 とブルー ミングの発生・・・・・・・・・・
21
3.1.2 均一な裏面電位上昇 とビーム広が りとの関係・・・・ ・・・・
24
3.1.3 局所的な裏面電位上昇 とビームベンディングとの関係・・・・
28
3.1.4 ブルー ミング量の算出と測定・・・・・0・ ・・・・・・・
D 31
3.2
ブルー ミングの抑制・・・・・・ ・・・ 0・ ・・・・・・・00・
・36
3.2.1 ブルー ミング抑制駆動の原理・・・・・・・・・・・・・・・
36
3.2.2 ブルー ミング抑制駆動の効果・・・・・・・・・・・・・・
0 40
3.3
ま とめ・・・ 口・・・・・・・ ・・・・・・ ロロ・・・・・・・・・45
47
47 54 54 56 59 62第
5章
ス ピン ト型 電 界放射 陰極 ア レイ64
5.1
スピン ト型電界放射陰極ア レイ駆動回路の設計00・
・0・ ・・・・64
5.1.1 駆動方式の比較検討・ 口・・・・・・ ・・・・・・・・・・・
64
5.1.2 画素 トランジスタの設計・・・・・
00・
・・・・・・・・0 74
5.1.3 駆動回路の全体構成・・・・・
00・
0・ ・・・・・・・・・82
5。
2
駆動回路内蔵電界放射陰極ア レイお よび平面撮像管の試作・・・・・83
5.2.1 アクテ ィブマ トリクス駆動回路の平坦化・・ D● ●●●●。・
83
5.2,2 駆動回路 内蔵電界放射陰極ア レイを適用 した平面撮像管の試作
87
5.3
駆動回路内蔵電界放射陰極ア レイおよび平面撮像管の諸特性・・ D●89
5.4
まとめ・・・・
・・・ 0・ ・・・・・・・
0 0 00000
・・・ 口0 94
第
6章
結論謝辞 研究業績
96
8 9 9 9
第 1章 序論
1.1 撮像デバイスの歴史
テ レビジ ョンは、居 なが らに して遠方 の もの を見たい とい う人間の本質 的 な欲求を実 現 してきた。そ のテ レビジ ョンシステムのなかで、画像 の入力装置であ る撮 像デバイ ス については、
1800年
代 の後半か ら具体的 な 目標 として研究 が行 われた。 撮 像デバイス の基本的な機 能 は、2次
元 の画像情報を時 系列 の電気信 号に変換す るこ とで あ り、1884 年 にNipkowが
初 めて機械的走査 によ りこれ を実現 した。 その後、Zworykin、 高柳 らによ り本格 的 な全電子式撮像管であるアイ コノスコープが
1933年
に発表 され たD"。これは、外部光電効果 に よ り蓄積型 ターゲ ッ ト上に形成 した信号電荷 を、電子 ビームの 走査 によ り画像信号 として取 り出す ことを特徴 とす るもので、近代撮像デバ イスの先駆 的役割 を果 た した。アイ コノス コープはそ の後 改良が加 え られ てい くが、感 度 が不十分 で あった こ と、信 号電荷 を読み出す方法 として高速度の ビー ム ランデ ィングを用いてい たため、それ に伴 う
2次
電子 に よる偽信号 が発 生 しやすいな どの欠点を持 つていた。こ れ に対 して、1946年 Roseら
によ り、低速 度 の ビームランデ ィングによる信号電荷の 読み出 し方法 を採用 したイ メー ジオル シ コンが発表 され た 9。 イ メー ジオル シコンは、アイ コノス コー プを大幅 に上回 る感度 と優れ た解像度 を有 してお り、その後
20年
間に わたってテ レビスタジオでの番組制作や 中継 用 に用い られ、本格的なテ レビ時代の幕 を 開 くことに成功 した。前述の撮像 管 はいずれ も光電変換部分 に光電子放出現象 (外部光電効果
)を
利用 した イ メージ型撮像 管であるが、一方 で、光導電膜 を用いて撮像管 を小型軽量化す る試みが 始 ま り、1950年
にWeimerら
に よつて光導電膜 に二硫化 ア ンチモ ン (Sb2S3)を 用いた ビジコンが発 表 された 。.ビ
ジ コンは構造 が簡 単で小型化 には有利であつたが、感度が 十分でな く、光 導電膜の材料お よび構造 に起 因す る残像 が多か ったため、主 としてテ レ シネ用や工業用 として用い られ た。その後 、1963年
にHannら
に よリー酸 化鉛 (PbO) を主成分 とした光導電膜 を用いたプ ランビコンが発明 されD、 ビジコンの欠 点であった 感度 、残像 、暗電流が著 しく改善 された。 そ して、1960年
代 の後半にはテ レビ放送か らイメー ジオル シ コンの王座 を奪 うこととなった。その後 も新 しい光導電膜 の研究は進 め られ、セ レン化 カ ドミウム (CdSe)を用 いたカル ニコン0、 セ レン(Se)、 砒 素 (As)、テルル (Te)を 主材 としたサチ コン リ、ニュー ビコン 0な どが次 々 と国内で開発 された。
この うちアモル ファス
Seを
主成分 とす るサ チ コンは、小型化 して も良好 な解像度が得 られたため、1975年
以降、主 に放送用ハ ンデ ィカメラに用 い られ、様 々な番組制作 に使用 された。
放送用
TVカ
メラ用 の光導電型撮像管の開発の対象は、その後標準TV(国
内では走 査線数525本
のNrSC規
格に対応)か
らHDTV(国
内では走査線数1125本
のハイ ビ ジ ョン規格に対応)に
移行 した。光導電膜に関 しては、当初HDTV用
撮像管には分解 能の高いサチコンが用 い られていたが9、 本撮像管 を用いたHDTVカ
メラによる番組 試作 を進 める際に感 度不足が指摘 された。これは、HDTVカ
メラで標準TV用
カメラと 同等の被写界深度を得 るためには、光学 レンズを2絞
りしばつて用いる必要があること、HDTVで
は映像信号 の周波数帯域 が30MHzと
広いために良好 なS/Nを
得るには撮像 管の基準信号電流を大 きく設定 しなければならない ことに起因 している。これに対 して、1987年
に谷 岡 らは 、新 しい動 作方 式 に基づ く高感度 光 電 変換 膜 で あ るLttP
(High‐gain Avalanche Rushing amorphous Photoconductor)膜 を発表 した10)lD。
HARP撮
像管では、光によつて生成 された電荷 をアバランシェ増倍す ることで高い感 度 を得 ることができ、HDTV用
カメラヘの適用が急速に進んだ1910。 一方電子光学系 では、HDTVカ
メラの小型軽量化 、画面内での画質の均一性 向上、撮像管の駆動電力 の低減 を 目的に、電子 ビームの集東偏向系の見直 しが進んだ。HDTV用
撮像管 には当 初、MM(磁
界集東・磁界偏向)型
集東偏向系が用い られたが910、 コイルを必要 とす るMM型
はカメラの小型軽量化 が困難で、偏向周波数の高いHDTVで
は偏向コイルの 消費電力が大きくな るとい う欠点があつた。1994年
に山岸 らよって発表 されたHDTV
用 2/3イ ンチ
SS tt HARP撮
像管 19では、コイル の不要なSS(電
界集東・電界偏向)型を採用するともに、パターン電極の形状を工夫す ることで、小型低消費電力 と画面内 での画質の均一性 とを両立させ ることに成功 した。 この 比妊
P膜
を適用 したSS型
撮像管は、
HD]師
での番組制作に使用 され、高感度 、高解像度撮像管の発展に大 き く貢 献 した。このよ うに、テ レビジ ョンの開発 当初から撮像管 は放送用カメラの撮像デバイス とし て、標準
TV放
送の発展およびHDTV放
送の立ち上げに貢献 してきたが、一方、固体 デバイスで撮像の機 能 を実現 しよ うとする試みが1960年
代 か ら行われ、1963年
にMorrisonに
より固体撮像デバイスの概念が初めて提案 された 10。 その後、1967年
に Wecklerに より、XYア
ドレス型(MOS型
:Meta1 0xide Semiconductor)の固体撮像 デバイスの原型が発 表 された 1つ。 このデバイスは、半導体内で信号電荷を生成・蓄積 し、水平方向、垂直方 向のMOSト
ランジスタのスイ ッチマ トリクスで画素を選択 し蓄 積 された電荷を読み 出すものであったが、当時の半導体加工技術では、撮像デバイスに 必要 とされる多数の画素配列を実現す るのが困難 であつた。1970年
に、ベル研究所のBOyleと
Smlthに
よりCCDが
発表 され、固体撮像デバイスの開発にはずみがついたB)。CCDは
、半導体内で光電変換 された電荷を、電極に印加 された電圧によ り生成 された ポテンシャル井戸の移動によつて転送 し、出力段のアンプで電圧 に変換 し出力するデバ イスである。その後CCDは
日本のメーカー を主体 として研究開発が進め られ、1980 年代には標準TV放
送でほぼ満足できる解像度が得 られ る40万
画素のものが量産 され るようにな りЮ)〜2)、放送用のみな らず家庭用の ビデオカメラの普及に大きく貢献 した。さらに、その後急速に多画素化が進められ、現在ではハイ ビジ ョン用 として
200万
画 素のもの2'〜20が実用化 されてお り、さらに多画素のもの 2,も発表 されている。―方、前 述 した
xYア
ドレス型 に つ い て は 、CMOS(Complementary Meta1 0xide
Semiconductor)技 術の発達により性能が大幅に向上 し、消費電力が少な く高速で駆動 できる特徴 をいか して、800万
画素級のCMOS撮
像素子な どが開発 されている20。 図 1.1に 各種撮像デバイスの比較写真 (ほぼ同一縮尺)を
示す。(a)ア
イ コノス コープ(b)イ
メー ジオル シヨン (3イ ンチ)(c)HDⅣ
用撮像管 (2/3インチ)(d)HDT√
用CCD(2/3イ
ンチ)図
11
撮像デバイ スの比較1.2
研究 の背景 と目的現在、
HARP撮
像管を適用 した高感度カメラを除いて、ほ とん どの放送用のTVカ
メ ラではCCDが
撮像デバイス として用い られている。HDTV用
2/3インチ (有効撮像領 域の対角長1lmm)の
性能を比較 した場合、厚 さ25pmの HARP膜
を適用 した撮像管(カメラ実装時の感度 :16.5 1ux,F10)で は
CCD(カ
メラ実装時の感度 :2000 1ux,F10) の100倍
以上の高い感度 を得 ることができる2つ。 しか し、一方で以下に示す電子光学 系に関係す る諸課題 を抱えてお り、これ らの抜本的な改善が望まれていた。①
デバイスのサイズが大きく、カメラの小型化が難 しい
②
画面内での画質の均一性 に劣る
③
駆動電力が大 きい
①に関 しては、図 1.1に 示すように、
CCDな
どの固体撮像素子がコンパ ク トな平面 構造なのに対 して、撮像管は全長が約100mmと
大きく、カメラの小型化 を阻む大きな 要因 となってい る。②については、撮像管では、電界または磁界により電子 ビームを偏 向して光電変換膜に蓄積 された信号電荷 を読み出すために、偏向収差の影響 を受け、画 面周辺での解像度の劣化やシェーディング (画面内の位置による出力信号の変動)の
発 生 といった問題 が生 じる。③の駆動電力については、CCDの
約0.5Wに
対 して、撮像管
(SS型 )は
約1.lWと
大きく、その大半 (約85%)が
熱陰極の加熱用 ヒーター電力 である。これ らの諸課題 を解決す るために、
1990年
に小型化 と高画質 とを両立 させ る高感度 平面撮像管の開発が開始 された。高感度平面撮像管は、前述 したHARP膜
と画素単位 に駆動す ることができる電界放射陰極ア レイ (Field Emttter Array:FEA)と を対向、近接 させて配置 した ものである。筆者は、
2000年
か ら本研究開発に加 わ り、基礎実験 用の平面撮像管の開発や、標準TV放
送相 当の解像度を有す る平面撮像管の開発などに 携わつた。これまでの平面撮像管の研究では、前述 した従来の撮像管の課題 の解決への 見通 しが得 られた一方で、以下の課題が依然 として解決 されていなかった。①
高感度撮影時に強い光が入射す ると、その部分がふ くらんで撮影 され るブルー ミ ングと呼ばれ る偽信号が発生する。
②
残像が多い。
③
外部の駆動回路 との接続配線数が多 く、配線長が長い。
①、②は電子 ビームによる信号読み出 しに起因す るもので、従来の撮像管 と同様の課 題である。また、③については、平面撮像管の画素数 を増や して実用化を 目指す際に大 きな問題 となる。本論文は、これ らの課題 を解決す るために平面撮像管における電界放
射 陰極 ア レイの駆動 方法や駆動 回路 に関 してお こなった検討 について、お よびそれ らを もとに標準
TV放
送相 当の解像度 の平面撮像管 を開発 した成果 について纏 めた もので あ る。1.3
本論文の構成本論文 を構成す る各 章の内容 について概説す る。
第
2章
では、現状 の高感度撮像 デバイスについ て述べ るとともに、ス ピン ト型FEA
に
HARP膜
を近接 させ て対向配置 した平面型撮像 管 の基本構造 と動作原理 について述 べ る。 さらに、 これ までの平面撮像管の研究で得 られた結果 と、主 としてFEAの
駆動 に関す る課題 につ い て ま とめる。第
3章
では従来 のHARP撮
像 管や平面撮像 管 において、高感度撮影時 に画面 の一部 に強い光 (ハイ ライ ト)が
入 つた場合 に、高輝度部 がふ くらんで撮影 され るブル ー ミン グ と呼 ばれ る偽信 号 について、その発生メカニズム について論 じる。また、ブル ー ミン グの発生 を抑制す るFEAの
駆動方法お よびその効果 について述べ る。第
4章
では平面撮 像 管の残像 について従来 の撮像管 と比較 して論 じる とともに、残像 の発生 を抑制す るFEAの
駆動方法 お よびその効果 について述べ る。 さらに、本駆動法 を応用 した蛍光灯 な どの光源 による画面のち らつ き (フ リッカ)の
抑制 について も述ベ る。第
5章
では平面撮 像 管の多画素化 を 目指 して、電界放射陰極 ア レイに駆動 回路 を内蔵 す ることを検討 し、その駆動方式 について、アクテ ィブマ トリクス方式 とパ ッシブマ トリクス方式 とを比較 して検討す る。その結果 を基 に試作 した画素数
640X480の
駆 動 回 路 内蔵 ス ピン ト型 FEA、 お よび それ を適用 した平面撮像管の諸特性 について述べ る。第
6章
では、本研 究 を総括 し、得 られた成果 をま とめる とともに、今後 の研 究課題 、 展望 について述べ る。参考文献
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レビ学技報,16,18,pp.31‐ 36(1992).24)森
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山,河野,竹
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第 2章 高 感 度 平 面 撮 像 管の 原理 と課 題
この章 で は、まず現状 の高感度撮像デバイスについて述べた後に、ス ピン ト型
FEA
に
HARP膜
を近接 させ て対 向配置 した平面型撮像管の基本構造 と動作原理 について述 べ る。 さ らに、 これまでの平面撮像管の研究で得 られた結果 と、主としてFEAの
駆動に関す る課題 についてま とめる。
21
現 状 の 高 感 度 撮 像 デ バ イス代表 的 な高感度撮像デバ イ スを表
21に
示す。 ここに示 している高感度デバイスは、いずれ も光生成電荷 (電子、又は正子し
)を
電圧 に変換す る前 に、デバイ ス内部で何 らか の手段 に よ り電荷 を増倍 しているものである。現在、実用化 されてい る代表的な高感度 撮像デバ イ スには、①電荷転送路 (水平CCD)の
最終段 に設 け られ た増倍 用CCDに
おいて、イ ンパ ク トイオ ン化 (電界 に よ り加 速 された荷電粒 子 が結晶格子 との衝突によ り電子・正孔対 を生成す ること
)を
繰 り返す こ とで、光生成電荷 (電子)を
1,000倍 程 度 に増倍 す る電子増倍型CCD(EMCCD:ElectrOn Multiplying CCD)。
(図 21(a))、②アモル ファスセ レン (a‐
Se)膜
でのアバ ランシェ増倍 (厚さ35μmの
膜で最大電荷増倍率約
1000倍)を
利用 したIIARP撮
像管'(図
21(b))、 ③光を光電面で電 子に変換 し、その電子を数kVの
電圧で加速 して背面照射型CCD衝
突 させ ることで10oo倍
以 上に増倍す る電子打ち込み式CCD(EBCCD:ElectrOn BOmbardment CCD)'(図
21(c))、 ④ 光によって光電面で発生 した電子 をマイ クロチャネルプ レー ト
(McP:
MicrO Channel Plate)で最大
10000倍
に増倍 し、その電子によって発光 させた蛍光面 をCCDで
再 撮す るイ メー ジイ ンテ ンシ フ ァイ アCCD(IICCD:Image lntenslfler CCD)。(図
21(d))な
どが あ る。 広 い意 味 で は 、電子打 ち込 み 式CcDも
イ ンパ ク トイオ ン 化 による増倍 を利用 した高感度撮像デバ イ ス と見なす こ とができ、環在、高感度撮像デ バイスの分野では、イ ンパ ク トイオ ン化やイ ンパ ク トィォ ン化 を連続 して繰 り返 される アバ ランシ ェ増倍 を利用 したデバィスが主流になってい る。現状では、電子打ち込み式CCDや
イ メー ジイ ンテ ンシファイ アCCDで
は非常に高 い電荷増倍度が得 られ る反面、光電面の変換効率が
50%程
度 で光の利 用効率が十分でない、焼 き付 きが生 じるなどの 問題が あ る こ とか ら、イ ンパ ク トイオ ン化 を利用 した電 子増倍型CCDや
、イ ンパク ト イオ ン化 が連続 して繰 り返 され るアバ ランシェ増倍を利用 した 地虹P撮
像管 が注 目さ れ てい る。表
2.1
現状の高感度撮像デバイス デバイスの分類
高感度化 の手段 インパ ク トイオン化
またはアバ ランシェ増倍 その他の増倍 固体撮像
デバイス 電子増倍型
CCD
電子打ち込み式CCD
イメージインテンシファイア
CCD
(真空―固体撮像デバイス) 真空撮像
デバイス
IIARP撮
像 管読出し用
JKl「CCO
(al電子増倍型
CCD O IIARP撮
像管増幅された光
CCD レく―ォブ テイクスプレート
Kcl電子打ち込み式
CCD
③ イメ‐ジインテンシファイアCCD
図
2.1
高感度撮像デバイスの構造マイクロ
"ネ
ルプレート 営光面電子増倍 型
CCDで
は、低電圧 での電子増倍 を可能 とす るため、イ ンパ ク トイオ ン化 の電圧 を 15〜20Vに
抑 えてい る。 そのた め 1回のイ ンパ ク トイォン化 による電子の増 倍率 はわず か に101〜 102倍
であるが、 これ を400回
繰 り返す こ とで、約1000倍
の 電子増倍 を実現 してい る。小型軽量、低消費電力で信頼性 に優れ 、通 常のCCDの
感度を進かに超 える超高感度 を得 ることができるが、一方で、電子の増倍率 にば らつ きがあ る、暗電流 に よるノイ ズ を低減 し増倍率の変動 を少 な くす るために
CCDを
冷却 し温度を一定 に保 つ必要がある、暗部の階調再現 に乏 しく、強い光が入射す る と白詰ま りが生 じるな どの問題 があ り、超 高感度撮影時の画質の改善が課題 となってい る。
これ に対 して、
IIARP撮
像管は、光 開 口率がloo%で
あ る、シ リコンに比べてバ ン ド キャ ップが よ り広 いセ レンを用 いてい るため暗電流が非常に少 ない、入射光によってIIARP膜
内に生成 され た電荷 を低 ノイズで増倍できるな どの特徴 があ り、超高感度 と 高画質 とを両立できる撮像デバイス として高い評価 を得 ている。しか し一方で、撮像管 であるた め、画面全体での画質の均一性 に課題 があ り、カメラの小型・軽量化が難 しい、また、消 費電力が大 きいな どの問題 があ り、これ らの改善が強 く望まれ ている。
IIARP
膜 を適用 した小型固体撮像 デバイスについては、筆者 らは過去 に
H̲4RP膜
をCMOS型
読み出 し回路 の上部 に直接積層、またはィ ンジウムバ ンプを介 して接合 したデバイス等 の研究が行 った ●0。 いずれ も、
HttlP膜
に欠陥が生 じる と、読み出 し回路 に 比任P
膜 に印力日してい る電圧 がかかって しま うために、印加電圧 が低 く増倍率が小 さい
IIARP
膜 (厚さ1■
m以
下)の
適用 に とどま り、実用化 にはつ なが らなかった。これ ら高感度デバイ ス を放送用カメラに適用 して使用 した場合の課題 としては、夜間 の高感度撮影 時に車のヘ ッ ドライ トや街路灯な どのハイ ライ ト(局所 的な強い光
)が
入 射 した際 の画質劣化が挙 げ られ る。ハイ ライ トによ り、画質劣化 が生 じている例を図22に
示 す。H4RP撮
像 管 では、暗い部分 に撮影条件 を合 わせても明 るい部分での階調 が 自然 に圧 縮 されてい るものの、ハイ ライ トの部分 (街灯や ろ うそ く)が
ふ くらんで撮影 され るブル ー ミング現 象 が現れ てい る。 イメージイ ンテ ンシファイ ア
CCDで
は、HARP撮
像 管 よ りもブル ー ミング現象が大 きくなってい る。電子像倍型CCDに
ついて は、同一条件 の撮影 では ないが、輝度が高い部分の信号 が飽和 してい るのがわかる。高 感度 カメ ラの実用性 を向上 させ るためには、感度を高めるだけでな く、この よ うなハイライ トに対す る画質劣化 を抑制す ることも重要な課題の一つ となる。
(a)HARP撮
像管カメラ(b)HCCDカ
メラ(C)EMCCDカ
メ ラ図
22
ハイ ライ ト入射時の撮像例22
高 感度平面撮像 管の構造 と動作原理前述 した よ うに、従来 の
IIARP撮
像管 は優れた高感 度特性 を持 つ が、画質の均―性 に課題 が あ り、またカ メ ラの小型・軽量化 、低消費電力化 に対応す るのが難 しい とい う 問題 が あ った。 これ らの解決 に向けて、平面撮像管の開発 を進 めてい る。平面撮 像 管の構成 を従 来 の撮像管 と比較 して、図
23に
示す。図 23(a)に 示す よ うに、平面撮像 管では、電圧 を印加す るこ とで電子 を放射す る微小な陰極 を平面上に多数並ベ たア レイ に、陰極 か ら放射 された電子 を
HARP膜
側 に引 き出す メ ッシュ電極 と、IIARP
膜 とを近接 させて対 向配 置 してい る。図 231b)に 示す よ うに、従来の
IIARP撮
像管 で は入射 光 に よってHJtP膜
内に生成 ・増倍・ 蓄積 され た電荷 (正孔)を
、熱陰極 か ら 放射 され た 1本の電子 ビー ムで走査す ることで、時系列 の映像信号を得 ているのに対 し て、平 面型 撮像管では、図 23(a)に 示す よ うに、陰極 ア レイの各画素 (電子放射制御 が 可能 な最 小要素)か
ら、順 次、放射 した電子で対向す る]LRP膜
の電荷 を読み出す こ とで、時 系列 の映像信 号 を得 ることが で きる。平面撮 像管では、陰極 ア レイの画素 を次々にスイ ッチ ング して走査 を行 うことで電子 ビームの偏 向が不要 とな るため、大幅 な小型化が可能 になる とともに原理的に偏向収差 が存在 しない。また、任意 の数お よび位 置の画素か らの電子 ビームを放射す ることが可 能であ るた め、並列走査や ランダム走査 を行 うことができる。
陰極 ア レイ には、加熱 を必要 とせず に電圧印加だけで電子放射が得 られ、かつア レイ 化 が可能 で画素の微細・ 高集積化 が見込 め る電界放射陰極 ア レイ
(FEA)を
選定 した。電界 に よる電子放射現象 は
1897年
にR W W00dに
よって発見 され つ、近年では平面 デ ィス プ レイヘの適用 を 目的に、ポイ ン ト99、 ライ ン10およびエ リアn,からの電子放 射 が可能 な電界放射陰極(FE)ま
たは FEA、 モ リブデ ン等の高融点金属2)、 シ リコンB'、 カー ボ ンナ ノチ ュー ブH)を陰極材料 として用いた
FEA等
が提案 され 、開発 が進 め られ てい る。平面撮像管では放射電流密度や応用実績 の観点か ら、主 として図 23(a) に示す構 造 のFEを
採用 してい る。この
FEは
、1976年
にC A Spindtら
によつて初 めて報 告 され た もので、本論文ではこの陰極をスピン ト型FE、 ア レイ化 した ものをス ビン ト型FEAと
呼ぶ。 ス ピン ト型FEは
絶縁物 を挟 んで近接配置 され た 円錐状の陰極(先端 の 曲率半径数十
nm)と
それ を取 り囲むゲー ト電極 とか ら構成 され、電極間に電 圧 を印加 す る と陰極先端 に電界が集 中 し、電界強度が109Wm程
度 に達す る と、電子 が 放射 され る。平面撮像 管 に適用 され るス ピン ト型FDヽ は、基本的 には直交す る陰極配 線 とゲー ト電極配線 の交差部分 (画素)に
上記スピン ト型FEを
形 成 した ものであ る。通常、よ り多 くの安定 した放射電流 を得 るために、各画素 には複数のス ピン ト型
FEを
配置 してい る。また、ス ピン ト型
FEで
は放射 され る電子 の広が りが大 きいため1'(最
大発散角 20〜30° )、 画素 サイズに見合 う解像度 を得 るた めにはこの電 子広が りの抑制 が重要 にな る。ガラス
透明電極 ッシュ電極
放 射電子
HARP膜
印 加 電 圧
(a)平
面撮像管の構成 (左 :断 面図右 :鳥敵図)
(bl 従来の撮像管の構成 (断面図)
図
23
平面撮像管の構成光 早
ス ピ ン ト型FE
HARP膜印加 電 圧
23
平 面撮像管の課 題筆者 らはこれまでに、図
24に
示す ような構造の128×96画
素10、 および256X192
画素l‐lの基礎実験用の平面撮像管の試作を行い、その原理検証 を行ってきた。試作管 では、内側に段差を設 けた薄いガラス リングを用いてメッシュ電極を支持 し、その リン グの両端 に 鵬ヽRP膜
を形成 したガラス基板、FEA基
板をそれぞれ、インジウムおょび フリッ トガラスで、接続・真空シール を行つている。平面撮像管内の排気は、FEA基
板に設けた貫通孔 とツト気管を通 して行われ、最終的に加熱溶融す ることで真空封上が完 了す る。 このような構造によって、
HARP膜
・メッシュ電極・FEAの
近接配置、お よび高い管内真空度の維持 を可能に している。試作 した平面撮像管の外観を、従来の撮像 管 と比較 して図
25に
示す。試作管の厚 さは10mmで
従来の撮像管 (約10omm)と
比較 して、管長を約 1/10に 短縮す ることができた。 これ らの試作平面撮像管では、主 と して以下について確認することができた。
・
長時間、安定 して画像を出力できること。
・
従来の撮像管 と同様 に、
HARP膜
に由来する高感度特性が得 られ ること。・
従来の撮像管では困難であった画面内での均―な画質 と管長 の大幅な短縮 との両立 が可能であること。
・
メ ッシュ電極に高い電圧を印加す ること (128×
96画
素)や
、適切な磁界を印カロす ること(256×192画
素)で
、ス ピン ト型FEか
ら放射 され る電子 ビームの広が りを 抑制 し、画素数に相 当する解像度が得 られること。一方で、画素数を増や して平面撮像管を実用化に結びつけるためには、次のよ うな課 題があることがわかった。
① 画素の微細化に対応 できるような、十分な放射電流の確保、電子 ビームの広が りの 抑制が必要である。
②
FEAの
駆動を外部 に設 けた駆動回路により行つているため、画素数の増加 とともにFEA基
板からの配線接続が困難 になる (図 26)。③ 画素数 の増加に伴 う駆動スピー ドの増加、配線幅の減少に対 して、外部からの駆動 が困難 になることが懸念 され る。
④
FEAに
欠陥 (例えばゲー ト電極 と陰極 との絶縁不良)が
生 じた場合、映像信号では 縦・横 のライン状欠陥 とな り、大幅に画質が劣化す る。⑤ 高感度撮影時のハイ ライ ト入射に対するブルー ミング現象等の画質劣化が従来の撮 像管 と同様に生 じる。
これ らの課題の うち、①については
FEの
微細化および電子 ビーム集束系の課題であ るが、②か ら⑤については、FEAの
駆動方法や駆動回路の改善により解決 を図ること ができる。例えば、②および③については、FEAを
形成す る基板上に駆動回路を内蔵 す ることで、撮像管外部か ら入力す る信号の数を大幅に削減することができるとともに、配線長を短縮す ることができるため高速駆動に有利になる。また、④については、図 23(a)に示 した平面撮像管の構成では、ゲー ト電極 と陰極 との絶縁不良が生 じると、絶 縁不良の画素を含むゲー ト電極配線 と陰極配線に正常な電圧がかからな くなるためで
ある。 これに対 しては、画素 ごとに電子放射 を
ON/OFFす
る トランジスタを設けるこ とで、ゲー ト電極 と陰極 との絶縁不良が生 じた場合でも、映像信号 としてはライン状で はなく点状の欠陥にとどめることができ、画像処理回路による欠陥の補正が容易になる と考えられ る。⑤については、FEAで
は、前述 したように、複数の画素か ら同時に電 子を放射す ることが可能であ り、また電子 ビームの偏向を伴わないことか ら柔軟な駆動 が可能である。 これを利用 して、映像信号を読み出す時間外に 臥RP膜
に蓄積 された 余剰な電荷を処理することで、ハイライ ト入射に対する偽信号を抑制できる可能性がある。
このように、
FEAの
新たな駆動回路や駆動方法を検討す ることで、これまでの平面 撮像管における課題の多 くについて、解消 もしくは改善す ることが可能であると考えら オtる。23
ま とめ現状の高感度撮像デバイスの中では、画質面で
LttP撮
像管が有望であ り、さらに 電界放射陰極ア レイによる信号の読み出 しを行 う平面撮像管では、従来のHARP撮
像 管で課題であつた画面内の画質の均一性の確保 と撮像管の小型化の両立に対 して有望 であることを示 した。また、平面撮像管に新たな
FEA駆
動回路を適用す ることや、駆動方法を改善するこ とで、平面撮像管の多画素化 に伴 う課題の解消や、従来の超高感度撮像デバイスで問題 となつていたハイライ ト入射時の偽信号抑制の可能性があるとの見通 しを得た。インジウム
フ リッ トガラス
HARPfiF ガ ラス基 板
図
24
平面撮像管 の構造(a)平
面撮像管 (128×96画
素)(b)従
来の撮像管図
25
平面撮像管 と従来の撮像管の外観陰極配 線 (128本)
陰極配線 (256本)
FEA駆動 回路 (水平走査)
ゲー ト配 (96本)
ゲー ト配線 FEA駆動回路 (192本
) (垂
直走査)(a)128× 96画素 平面撮像管
(b)256×
192画素 平面撮像管図
26
平面撮像管の配線(a)FEAの
欠陥無 し(b)FEAの
欠陥有 り×192画素)
図
27
撮像例 (256参考文献
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第 3章 高 輝度 被 写 体 に よる偽 信 号 抑 制 の た め の駆動方 法
従来の
HJRP撮
像管や 平面撮像管では、高感度撮影 時 に画面の一部 に強い光 (ハイ ライ ト)が
入 る と、その部 分 がふ くらんで撮影 され るブル ー ミングと呼ばれ る偽信号が 発 生す る。本章では、ブルー ミングの発生 メカニズムにつ いて論 じるとともに、ブルーミングの発 生 を抑制す る
FEAの
駆動方法お よびその効果 について述べ る。31
高 輝 度 被 写 体 に よ る ブル ー ミング の 発 生 メ カ ニ ズ ム311
平面撮像管の動作 とブルー ミングの発生平面撮像 管 では、
HARP膜
に光が入射 す る と膜 内に入 射 光量に応 じた電子・ 正孔対 が生成 され る。この うち、正孔 は膜に印加 された強い電界 に よ リアバランシェ増倍 され 、 膜 の電子 ビー ム走査側 (以後 、裏面 と呼ぶ)に
蓄積 され る。 この とき、FEAの
各画素に対向す る
HARP膜
の裏 面電位 Иは次式で表 され る。ここで、
0は
IIIARP膜 裏面の1画素に相 当す る領域に蓄積 された正孔の電荷量、αはIIARP膜
の1画
素に相当す る領域の静電容量、み はス ピン ト型FEの
陰極電位である。一方、スピン ト型
FEAの
各画素からは、陰極配線およびゲー ト電極配線 に印加する 電圧を切 り替えることで、順次、電子 ビームが放射 され る。この電子 ビームは、スピン ト型FEAの
動作電圧に比べて格段に高い電圧が印加 されたメッシュ電極 によつて引き 出 された後、対向するIIARP膜
に到達する。最終的にFEAか
ら放射 された電子 とIIIARP 膜 に蓄積 された正孔が結合す る際に外部回路に流れる電流 を出力 として順次、取 り出す ことで、時系列の映像信号が得 られる。 このとき、IIARP膜
の裏面電位%は
蓄積 され た正孔がすべて読み出されれば、スピン ト型FEの
陰極電位4に
リセ ッ トされ、その 後、蓄積 され る電荷に比例 して、再び%は
上昇する。通常
HARP膜
の裏面電位 はメッシュ電極の電位 よ りも格段に低 く、メッシュ電極を 通過 した電子は減速 し、比饉P膜
裏面に到達す る直前の電子の垂直方向の速度は非常 に小 さくなる。従つて、局所的に光が入射 しその部分の裏面電位が上昇す ると、HARP
膜近傍で電子 ビームは裏面電位が高い方向へ曲げられ る (以後、ビームベ ンデ ィングと 呼ぶ)。 図
31に
1画素相 当の領域に光が入射 した場合の模式図を示す。同図(a)に示す よ うに、入射光量が少ない場合、周辺画素で ビームベンデ ィングは生 じるものの、光入(31)
十4 Q G一 4
射画素 までは到達 しな いため、ブル ー ミングは発生 しない。入射 光 が強 くなった場合(ハ イ ライ トに相当)、
HARP膜
裏面 に多量 の正孔が蓄積 され、裏面電位 が大 きく上昇す る。その結 果 、同図lb)に示す よ うに、周 辺画素 の ビー ムベ ンデ ィングが大 きくな り、光入 射部 の電 荷 を読み 出す ために、被 写体 がふ くらんで撮影 され るブル ー ミングが発生す る。
図
32に
、ハイ ライ トが入射 した ときに発生 したブルー ミング発 生 の様子 を示す。同図 では、ハ イ ライ トが動 いた場合 に尾 をひいた よ うに撮影 され るコメ ッ トテール も生 じて いるのが わかる。)rt.tZtN
メッシュ電極
一
走査
(al入射光 量 が少ない場合
一
走査
6)ハ
イライ ト入射時工 4 ::4
図
31
ブルー ミング発生の概念図),v-->C
コメットテール
ブルーミング
(a)ハイ ライ ト入射 な し
(b)ハ
イ ライ ト入射時図
32
ハイ ライ ト入射時の撮像例312
均―な裏面電位上昇と電子 ビームの広が りとの関係前述 したブルー ミングの発生メカニズムを明 らかにするには、裏面電位の上昇が どの よ うに電子 ビームの軌道に影響を及ぼすのかを明 らかにする必要がある。ここでは、ま ず
IIARP膜
の裏面電位が全体で均―に上昇 した場合の影響について検討する。平面撮像管で採用 しているスピン ト型
FEAで
は、FEか
ら放射 され る電子 ビームが 最大30° 程度の大きな発散角を持つために、画素数相当の解像度 を実現するには、こ れ を集束す る必要がある。筆者 らは これまでに、円筒型 と円盤形の2つ
の永久磁石 を組 み合わせた磁界集東系を256×192画
素、画素サイズ50■m× 50Fmの
平面撮像管に適 用 して、画素数に相 当す る解像度が得 られることを示 した 。②。本章では、以後 この試 作平面撮像管を例に、ブルー ミングの発生メカニズムの検討を行 う。検討 を行つた平面 撮像管の仕様を表31の
仕様1に
示す。この試作平面撮像管では、厚 さ251mの
II̲ARP膜
(a:約
531× 10もF)を
適用 してお り、陰極電位 路がOVの
とき100%の
映像信号 に相 当す る裏面電位 は7t=67と
なる。まず、図
33に
示す単純化 したモデルで、IIARP膜
の裏面電位 が均一に上昇 した場合 に、電子 ビームの広が りに及ぼす影響について検討す る。このモデルでは、以下を仮定している。
① ゲー ト電極、メ ッシュ電極、IIIARP膜 裏面を平行平板 とす る
② ゲー ト電極、メ ッシュ電極、
HARP膜
裏面の電位を 琢 ‰ 、%と
する。③ ゲー ト電圧の 1/2乗 に比例 した初速度%ateの電子が、グー ト電極上の
1点
(陰極に 相 当)か
ら発散角 θで放射 され る。① 各電極 と垂直な方向に、均一な磁界
Fを
印加す る。電子の初速度しα.θ はヽ電子の電荷量 を θ、質量を コ として、以下のよ うに表 され る。
(32)
また、
yt≧ちでは放射された電子は発散角によらず■証 P膜 に至
1達するが、埓くちで
は発散角 が以下に示 すら こχ以下の電子 のみが 比虹
P膜
に到達す る。ら α
=J21√
09
上記の条件では、電子の水平方向の運動は円運動 とな り、
HARP膜
裏面での電子の中 心か らのずれ,は
以下のように示 され る。γ′α=θ
=J専 吾
D=2r卜
j■(号1")│ (34)叫 一
r=mツ ′α″ Siηθ θ
θ3
ω = ′ὰ′ S:ηθ =
r
.一 B 認一れ
(35)
(36)
/
′
︲ ヽ ヽ
″
′ ι
Ъ
√
/
′
︲ ヽ ヽ
玲̲んsれ2θ v%roSθ
)+イ マ
:ι7nt7n―
%
レh‑7r(37) ここで、rは電子 の 円運動 の半径、ωは角速度 とな る。 また、ι′a、 ιm=は それぞれ ゲ ー ト電極 とメッシュ電極 、お よびメ ッシュ電極 と]皿
RP膜
裏面 との距離で、■0は 電子 がIIARP膜
裏面 に到 達す るまでの時間である。 これ らの式 を使 つて数値計算 を行 い、電子 ビー ムの広が り (半径)と磁束密 度 の関係 を求 めた。計算においては、磁束密度以 外は表
31に
示す値 を用 い、発散角0<θ
≦30°の分布 を持つ電子 ビームがHARP膜
裏 面に到 達 した ときの,の
最大値 を電 子 ビームの広 が りと した。計算結果 を図34に
示 す。100%の
映像信 号 に相 当す る7F=6yで
は、 ビ̲ム
広が りは約12 4pmで
画素サ イ ズ と比較 して十分小 さく、良好に集束 されているのがわか る。また、7・=127(約 200%
の映像信 号 に相 当
)以
下においては、磁束密度B=012Tで
電子 ビー ムの広 が りは最 小 値 とな るが (集束点)、 その時の広 が りは 比妊P膜
の裏 面電位 Иが大 き くなるほ ど、大 き くなるのがわか る。 これ は、式(33)か らわか るよ うに、 Иが大 きくなるほど発散 角の大 きな電子がIIIARP膜に到達 し、その結果、球 面収 差に起因す る
HARP膜
裏 面 で の電子 ビームの最小錯乱 円が大きくな るためである。これは、映像信号 レベルが大 き く なってい くと解像度 が低 下す ることを意味 している。次に、塩
=3007お
よび‰=600ソ
とした場合の裏面電位 と電子 ビームの広が りと の関係 を図35に
示す。いずれも、磁界強度は4=67で
電子 ビームの広が りが最小 に なるよ うに設定 している。メッシュ電極電圧および磁界強度を増 した場合、ビームの広 が り、すなわち解像度低 下を小 さくす ることが見込めるが、各電極間の耐電圧の確保や 磁石の設計などの制限により、これ らを著 しく大きく設定することは困難である。v- -vs sinz o - ,llh -v s sinz el
表
3.1
平面撮像管の仕様撮像エ リア 画素サイズ 陰極形成エ リア
陰極一メッシュ電極 間の距離 メッシュ電極一
HARP膜
間の距離 磁界強度 (標準値)HARP膜
の厚 さ水平 ×垂直 水平 ×垂直 (Illm)
水平 ×垂直
(p)
水平 ×垂直
(pD
(Im)
図
3.3
磁界集束のモデル200
0 0 0 5 0 5
︵Eュ
︶
︵邸
+
︶ひ 築 恒 く︱
■
010
図
34
012 0■4 016 018
磁 界 強度 B(T)
磁界強度 とビーム広が りの関係
200
Vm=300ヽ Vg=50Ⅵ B=012T Vm=600Ⅵ Vg=50Ⅵ B=0164T
0 0 0 5 0 5
︵E 3
︵中 十
︶ヽ 婆 撻 く︱
■
0 50 100 150 200 250 裏面電位 Vt(V)
図
35
裏面電位 とビーム広が りの関係ヽ ヽ `
.
ヽ
` ヽ
ヽ
ヽ
―
Vt=・
V
― ― ―Vt=6V‐―――‐vt=12V ― ・ ‐vt=50V
――・・Vt=200V Vm=300Ⅵ Vg=50V
313
局所的な裏面電位上昇とビームベンデ ィングとの関係局所的な裏面電位上昇による 比妊
P膜
近傍で発生する横方向の電界により、 どの程 度電子 ビームが曲げ られるか (ビームベンデ ィング量)を
数値計算により求めた。計算 に際 しては、図36に
示すモデル を用い、以下 を仮定 した。①
比証
P膜
に1画
素幅(50pm)の
直線状の光が入射 し,か
つ蓄積 される電荷の横方 向への広が りは無いもの とし、光入射部の裏面電位が Иに上昇 したとす る。②
IIARP膜
裏面,メ ッシュ電極,ス ピン ト型冷陰極のゲー ト電極 を平行平板 とみなす。③
ゲー ト電圧の
12乗
に比例 した初速度乃αεθの電子が、ゲー ト電極上の1点
(陰極 に相当)か
ら発散角 θで放射 される。上記の条件で電子の軌道を計算 し、光入射部に どれだけ離れた位置から放射 される電 子が光入射部に到達す るかを求め、その最大値 をビームベ ンディング量 とした。ここで の計算結果は、電子の初速を前項の計算 と同一 に しているので、前項で述べた面電位上 昇により発散角の大 きな電子が 地岨ぽ 膜に到達す る効果 も含んだ結果 となる。0=0° と
した場合 と、0≦ θ≦30°とした場合の、光入射部の裏面電位 とビームベンデ ィング量 との関係 を図
37に
示す。θ=0°と比較 して0≦ θ≦30°では、ベンディング量が大きく なっているが、HARP膜
近傍での横方向の電界 により電子が光入射部に引き寄せ られ る効果の他に、前述 したような面電位上昇によ り発散角の大きな電子がIIARP膜
に到 達す る効果が現れているため と考 えられる。100%の
映像信号に相 当す るyt=6yに
おけるビームベンデ ィング量 (0≦ 0≦ 30°
)は
約 13■m程
度 と画素サイズと比較 して小 さく、通常の光量では画質に大きな影響を及ぼ さない と考えられ る。しか し、ハイ ライ トが入射により裏面電位が50V程
度まで上昇す ると、ビームベ ンディング量は1画
素(50pm)以
上 とな り、画質劣化を引き起 こす可能性がある。次にメッシュ電極電圧を変化 させ、磁界を集束点になるように した場合について計算 を行 つた。図
38に
示すように、メッシュ電極電圧 を300Vか
ら600Vへ
と高めること で、ビームベンデ ィングをある程度抑制することができる。これは、メッシュ電極の電 位 を高 くした場合、前述 したように ビームの広が りが抑制 され るとともに、メ ッシュ電 極 とHARP膜
との間での電子の垂直方向の速度が大きくな り、蓄積電荷による水平方 向の電界の影響 を受 けにくくなるためである。ov vr ov
200
-
0s6r<30o 0=O"
Vm=300Ⅵ VL=50Ⅵ B=012T
・5︒
・0︒
5︒
?L︶嘲ヽハヽトハてく⁚■
0 100 200 300 裏面電位 Vt(V)
図
37
ビームベ ンディング量 と裏面嘔位の関係…
Vg{'V
図
3.6
ピームベンディング量算出に用いたモデル・5︒
・0︒
5︒
︐ ュ
︶ 嘲ヽ ハ︑ ト てハ く︱ コ
Vm=300、 Vg・50Ⅵ B=012T Vm=600Ⅵ Vg=50Ⅵ B=0164T
50μm幅の光を入射
′
loo 200
裏 面 電位 Vt(V)
図