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埋め込みアーチにみる古代ローマ時代のアーチ技術の展開に関する考察 [ PDF

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Academic year: 2021

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23-1 1.4 埋込アーチの類型  踏査の結果、埋込アーチには様々なサイズ、形状の ものが存在し、壁のどこに埋め込まれているかにも 様々なタイプが確認出来た。それらはアーチの下部に 着目して大きく以下の3類型に分けることが出来る。  アーチの下部に開口のような構造的特徴をともなう もの※7(類型1)、アーチが地表近くに埋め込まれ下部 が確認できないもの(類型2)、そして目立った構造(た とえば開口やニッチなど)を伴わないことが確認でき るもの(類型3)である(図2)。 類型1については、構造的な意味※8を推定できる。 古代ローマ人が開口部やそれに類する構造的に弱い部 分の上部にアーチを埋め込んで補強を意図したと考え てよい。ただし、オスティアで確認できる埋込アーチ の断面(13例)(詳細は本稿第3章)をみると、アーチを 構成する煉瓦は壁体を貫通しておらず、あくまでも壁 体の一部として建設されており、構造体として実際の 補強効果については考えにくい。そのため、本稿では 類型2および3について考察を進める。 2 埋込アーチの分布 2.1 各都市での分布の特徴  ポンペイでは図3のように分布し、特徴として(1)遺 跡の西部に多い、(2)街路に面する壁に多い、(3)アー チを構成する材料が多様である、などがあげられる。 また、ポンペイにおける特徴として、アーチの内外の

埋込アーチにみる古代ローマ時代のアーチ技術の展開に関する考察

三宅 諒 1 序 1.1 研究の背景と目的  古代ローマ建築で、煉瓦や建築物の規格化による建 設技術の向上、ローマ式コンクリートとアーチ構造を 組み合わせることによってアーチ技術の応用に成功し た。アーチ構造は、部材間で圧縮力を伝達し合うこと で荷重に対して抵抗するため、当時主流であった石材 の引張力に対する弱さを上手く補った構造体であっ た。実際の遺構には数多くのアーチ、ヴォールト等 を確認することが出来るが、開口等を持たず壁内に 埋め込まれた目的のはっきりしないアーチ(図1)も数 多く観察される。本研究ではこのようなアーチを「埋 込アーチ」と定義し、アーチ 技術発展の歴史の中の位置付 け、都市内での分布やその形 状から改めてその機能、目的 について考察する。 1.2 研究対象  本稿では、都市の全景を残す古代ローマ都市を代表 する遺跡であるポンペイ遺跡、オスティア遺跡の二つ を対象とする。どちらも紀元前7世紀頃に発生したと される都市であるが、滅亡時期や都市の性格には違い が見られる。ポンペイは79年のヴェスヴィオ山噴火 で滅亡し、現在の遺跡の姿はその当時の物である。一 方オスティアは、帝政期に最盛を迎え、その後徐々 に衰退し、5世紀頃に滅亡したとされるため、遺跡は 3~4世紀頃の姿を留めるが、ほとんどの建築物が2世 紀頃に建設された。かなりの時期差を有するが、埋込 アーチを確認できる点において非常に類似している。  本稿では開口、ニッチ※1、ヴォールト天井等を設 けるといった目的を読み取ることが出来るアーチや、 後に開口が塞がれた痕跡を残すアーチは対象外とし、 完全に壁に埋め込まれている物のみを対象とする。 1.3 研究方法  2011年から13年にかけて両遺跡において現地調査 を行い、(a)埋込アーチの分布※2、(b)記録写真※3、(c) サイズ※4、(d)3D点群※5、(e)実測図※6、のデータを収 集した。これらをもとに分析・考察を進める。 図 1 埋込アーチ ( オスティア ) 類型1事例 類型2事例 類型3事例 暗渠(配管)アーチ下部が特殊開口部 地上付近(小型)アーチ下部が未確認地上付近(中・大型) 地上付近(小型)アーチ下部に何も無い地上から浮かせて配置 図 2 埋込アーチの分類 埋込アーチ 漆喰の痕を残す埋込アーチ N 図 3 埋込アーチの分布(ポンペイ)

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23-2 積み方が異なる例が散見さ れた(図4)。この用法につ いては「修築」の可能性が 指摘できる。  オスティアではポンペイ とは異なる分布の傾向を 見せた(図5)。特徴として(1)ある特定の建物に集中す る、(2)主要道路に面する建築に多い、(3)道路に面す る部分に大きな開口をもつ建物(商店に多い形式)の奥 側の壁に多い、(4)列を成す埋込アーチの分布が見ら れる、(5)一つのアーチを構成する煉瓦の規格が類似 する、が確認された。 2.2 壁厚との関係  オスティアに現存する建築物の多くはハドリアヌ ス、アントニヌス帝政期(2世紀頃)に建設されたもの とされ、この時期は人口爆発等を背景に、建築物の高 層化・規格化が進んだとされ、煉瓦の規格化も進め られた。オスティアに残る壁の多くは壁厚が2pedes※ 9(約592mm)に統一されているが、埋込アーチは壁の 厚みに関係なく分布しており、壁厚の薄い部分にアー チを埋め込んで補強を意図したとは考え難い。 2.3 装飾としての機能の否定—漆喰の痕跡—  ポンペイとオスティアにおいて合計366箇所の埋込 アーチを確認したが、実測の結果、その全てが半円若 しくは分円のアーチになっており、例えば楕円のよう な形状は確認できなかった。ポンペイ、オスティアに 限らず、一般的な古代ローマの建築は表面が漆喰で 仕上げられることが多く(図 6)、結果としてアーチは壁面 上に見えなくなる。実際に漆 喰で覆われていた痕跡を残す 事例がポンペイで18例、オ スティアでは66例確認出来た。それらは遺跡で広く 分布しているため(図3,5)、埋込アーチには装飾とし ての機能は無かったと考えるのが妥当である。 3 埋込アーチの構造 3.1 普通のアーチ架構との比較  先述の通り、埋込アーチ は壁体を貫通していたので は無く、他の煉瓦積みの壁 と同様に芯部にコンクリー トが充填される構成をして いた(図7,8)。これは開口目 的 の ア ー チ ( 図 9 ) で も 同 様 で、両者の断面構成を比較 しても埋込アーチは簡易的 なものではなく、他のアー チと同じ構造をもっている と考えて良く、実際の効果 は別として古代ローマ人が アーチ同様に構造体として 期待していたと考えること は可能である。 3.2 壁の表裏と隣り合う埋込アーチの関係  オスティアでは埋込アーチが列を成す(縦に連なる) 分布を見せる所がある。Caseggiato delle trifore(Ⅰ, Ⅸ,3)(以下trifore)(図10,11,12)や、名称不明の Caseggiato(Ⅴ,Ⅳ,2)(以下caseggiato)(図13,14)、terme di nettuno(II,IV,2)(図15,16)(以下nettuno)等である。  点群モデルよりtriforeの北側立面図(図10:上)およ び部分平面図(図11)を作成した(同様にcaseggiato、 nettunoについても作成したが、説明は割愛する(図 0 5 2010 406080100(m) N 埋込アーチ 漆喰の痕を残す埋込アーチ 図 4 アーチの内外で積み方が異なる (ポンペイ) 図 6 町並み復元図 図 5 埋込アーチの分布(オスティア)

図 10 上:caseggiato delle trifore 北側立面図    下:埋込アーチ拡大図(オスティア:I,IX,3) 

乱石積み 煉瓦積み 図 9 開口目的のアーチ断面(オスティア) 煉瓦 コンクリート 図 8 煉瓦積み壁の断面(オスティア) 図 7 埋込アーチ断面 ( オスティア ) 煉瓦 コンクリート 0 1 2 5 10(m) 0 50 100 200 (cm) 0 50 100 200 (cm) 0 50 100 200 (cm) 0 50 100 200 (cm) 0 50 100 200 (cm) 暗渠(配管) 暗渠(配管) 煉瓦積みの修築

No.1 No.2 No.3 No.4 No.5

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23-3 13~16))。この建築物では、12ヶ所の埋込アーチを確 認でき、縦に列を成す位置関係を確認できる。拡大図 (図10:下)に示すようにNo.1では配管の痕跡を確認す ることが出来るが、その上部にはアーチが埋め込まれ ていない。No.2とNo.3では埋込アーチの直下の部分 (基礎に当たる部分)には暗渠・修築の痕は見られない (類型3)。No.4では積み方、材料の違い※10から修築の 痕跡であることを指摘できる(類型1)。No.5では、埋 込アーチの下部に配管の痕跡を確認出来た(類型1)。  図12は1枚の壁の裏表に埋め込まれたアーチ、隣 り合う壁に埋め込まれたアーチの計4つのアーチ(図 14,16については8枚)を重ね合わせたものである。1 枚の壁に埋め込まれた裏表のアーチは、精度の違いは 有るが、概形はほぼ一致する。壁表面も非常に滑らか で※11、埋込アーチの周辺の煉瓦も非常に綺麗に削ら れ積まれていることからも、このアーチは完成した壁 を抉って後から埋め込まれたものではなく、壁と同時 に建設されたものと言える。煉瓦を積み型枠を形成 し、コンクリートを充填するという建設手順を考慮す ると、型枠建設の段階での一時的な補強であった可能 性はあるが、アーチの配置や規模を考えると古代ロー マ人がそれを目的としたとは考え難い。  一方、隣あう壁に埋め込まれたアーチどうしでは埋 込アーチの中心軸はほぼ一致するものの、埋め込まれ た高さ方向にズレが生じている。また、図11中の壁 面B,C,Dでは、埋込アーチ の上から直交する壁が建設 されている。アーチの埋め 込まれている壁と直交する 壁の取り合い部では、そこ でアーチが途切れている様子は無く、交差部の内部ま で建設されていると推測できる(図17)。交差部分とい う施工上難しい箇所にも関わらずアーチが埋め込まれ ていること、隣り合うアーチの中心軸にズレが少ない ことから、アーチを埋め込む平面上の位置を重要視し たと考えられる。triforeの事例では埋め込みアーチの 上部は、壁面ABの壁(図10)にはアーチ上部に開口を 多く配置しているのに対して、壁面CDの壁では開口 はほとんど見られない。上部構造が異なる壁にも関わ らず中心軸をそろえてアーチを配置したのは、やはり 埋込アーチの下部(地下構造)を直線状に配慮し、配置 する場所を計画したと考えるのが妥当である。 3.3 小結  埋込アーチと壁体を同時に建設する際に、埋込アー チの平面上の位置への固執したのは、地下に直線状 に配された構造体、つまり暗渠のような地下構造を 配慮したと考えると、類型2のようにアーチの下部を 確認出来ていなかったものの中にもこの下部に暗渠 (排水管等)を有する可能性を指摘できるものが存在す る。しかし、triforeの事例(図10-No.1)が存在するよ うに、埋込アーチと配管等の地下構造は必ずしもセッ トで用いられる訳では無く、このアーチがローマ人に とって暗渠を建設する際に必ずしも必要な構造であっ た訳では無いことも同時に示している。オスティアで 確認した埋込アーチには壁面の上方に(地上から浮か せて)配置されているものも存在し、下部構造への配 慮という単一の目的では説明できない。 4 埋込アーチの構成部材 4.1 オスティア(ローマ帝政期)での煉瓦規格  オスティアに現存するのは2世紀頃の建築が多いた め、その多くが煉瓦積みの壁※12で構成される。  壁を建設する煉瓦と、屋根を作る煉瓦はそれぞれ異 なる規格のものが用いられていたとされており、煉瓦 積みの壁を建設するために用いられた代表的な煉瓦の 規格は2/3pedes、1.5pedes、2pedesの正方形煉瓦を 三角形に割ったとされ、壁表面には三角形の斜辺の面 が顕れていた※13。また、屋根に用いられる煉瓦は地 域によっても規格が異なるとされる(図18)。 4.2 埋込アーチに用いられている煉瓦  表(次頁)はオスティアで確認出来た全ての埋込 図 11 trifore 部分平面図 図 12 裏表・隣のアーチ(trifore) 図 17 直交壁との取り合い(trifore) 図 18 帝政期に用いられた煉瓦規格とオスティアで見られる屋根煉瓦規格 ー壁面 A …壁面 B ー壁面 C …壁面 D 0 12 4 10 埋め込みアーチ 壁面 A 壁面 B 壁面 C 壁面 D 0 1 5(m) N 図 13 caseggiato 部分平面図 図 15 nettuno 部分平面図 図 14 裏表・隣のアーチ(caseggiato) 図 16 裏表・隣のアーチ(nettuno) 壁面 A 壁面 B 壁面 C 壁面 D 壁面 E 壁面 F 壁面 G 壁面 H 壁面 A 壁面 B 壁面 C 壁面 D 壁面 E 壁面 F 壁面 G 壁面 H 埋め込みアーチ 0 1 2 5(m) N 壁面 A 壁面 B 壁面 C 壁面 D 壁面 E 壁面 F 壁面 G 壁面 H 埋め込みアーチ 壁面 A 壁面 B 壁面 C 壁面 D 壁面 E 壁面 F 壁面 G 壁面 H N 01 2 5(m) bessale 2/3pedes (197mm) 1.5pedes (444mm) 2pedes (592mm) sequipedales 煉瓦積み (opus testaceum) の煉瓦 屋根の煉瓦(オスティア) bipedales 720 600 570 530 480 450 410 405 278 197 314 140

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23-4 アーチを厚み(埋込アーチを構成する煉瓦の長手に相 当する)順に並べたものであるが、様々なスパンの アーチが存在する中で、アーチの厚みは1.5pedesと 2pedes付近の2点に集中している。これは他の壁に用 いられる煉瓦とは明らかに異なる規格のものである が、製造時の分割する前の正方形の煉瓦と同じサイズ であり、大量生産し易いサイズであると言える。  オスティアで確認できるアーチの煉瓦は、架構とし て用いられるアーチ、埋込アーチを問わず、楔形を示 しているものも存在するが、その多くは長方形の形の ままのものを使用し、コンクリートによる目地を調節 することによってアーチ型を形成しているものが大多 数である(図19)。対してポンペイのアーチでは、楔形 のブロックを多用し、目地の調整に頼らない形成方法 を採っている。アーチを形作るためにブロックを整形 していたことがはっきりと確認出来る(図20)。 4.3 小結  オスティアに見られる煉瓦の長手が2つの規格に集 中することや、煉瓦積みの壁に用いられたとされる煉 瓦と明らかにサイズが異なることからも、古代ローマ 人は埋込アーチ用の煉瓦に独自の規格を採用し、大量 生産を計画していたと考えられる。アーチに用いられ る煉瓦には、楔形にするといった手間をかけず、成形 するのが易しい目地の調節でアーチを形作っていたこ とおり、建設が容易になったことで、多くの埋込アー チが施されるようになり、帝政期の頃には広く一般的 に用いられたと考えられる。 5 埋込アーチという技法(まとめ)  古代ローマ人はアーチ技術を展開してヴォールトや ドームを発展させたが、その歴史の中でアーチの力学 的特性を経験的に理解した上で、壁に埋め込むという 技法を早い時期(前2世紀頃若しくはそれ以前)から生 み出した※14。埋込アーチの中には将来の暗渠修築を 見越した構造体(所謂現代の支保工のような役割)や壁 体の補強(開口部等)を目的にした構造体として建設さ れたと考えられる事例が見られたが、壁への埋め込み 方からは古代ローマ人が期待していた効果が実際に発 揮されていたのかどうかは疑わしい。  アーチを埋め込む位置にこだわりを見せた事例が存 在する一方で、この技法が遺跡の中で偏在して分布し ていたことや、埋込アーチの下部の構造とセットで用 いられていない事例が存在するように、古代ローマ人 にとっても必須の構造体では無かったかのように思わ せる部分もある。大量生産された煉瓦を用いているも のの、他のアーチと同じ構成をしていることと、埋め 込む際に周辺の煉瓦を削り取るという大変な手間をか けていることからも明らかに古代ローマ人が埋め込み アーチに構造体として何らかの役割を期待していると 考えられる。大規模なアーチ構造が考案され普及しは じめる後1世紀よりもかなり先行して用いられる埋込 アーチの技法は、長い時間を経て古代ローマ人にとっ ては経験的に挿入されることが一般化、あるいは慣習 化したのであろう。その際、その本来の機能や目的に ついては意識が次第に希薄になっていったのではない だろうか。アーチを埋め込む際にサイズや形状を規定 する条件が少なかったために、遺跡内での偏在や、多 様な形状を採るということになったのかもしれない。 【参考文献】

1.JEAN-PIERRE ADAM (TRANSLATED BY ANTHONY MATHEWS)/

   ROMAN BUILDING MATERIALS AND TECHNIQUES/B.T.BATSFORD LTD/ 1994 2.JANET DELAINE/STRUCTURAL EXPERIMENTATION/

   WORLD ARCHAEOLOGY VOL.21 ISSUE3 PAGES407-424/1990 3.WILLIAM L. MACDONALD/

   THE ARCHITECTURE OF ROMAN EMPIRE 1 AN INTRODUCTION STUDY/1965 4.RUSSELL MEIGGS/ROMAN OSTIA/OXFORD AT THE CLARENDON PRESS/1973 5. A CURA DI G. CALZA [ET AL/SCAVI DI OSTIA: TOPOGRAFÍA GENERALE/    LIBRERIA DELLO STATO/1953

6.堀 賀貴/ポンペイにおける道路排水計画に関する考察(1)/    日本建築学会計画系論文集第74巻 第642号 1895-1904/2009 7.堀 賀貴/ポンペイにおける道路排水計画に関する考察(2)/    日本建築学会計画系論文集第77巻 第671号 165-172/2012 8.川口衛/建築構造のしくみ 力の流れとかたち/彰国社/1990 9.CALRO PAVOLINI/OSTIA/1983 10.M.サルバドリー/建築の構造/鹿島出版会/1968 11.西田雅嗣編/ヨーロッパ建築史/昭和堂/1998 12.建築学教育研究会編/建築にはたらく力のしくみ//2008 13.サルバトーレ・ナッポ 横関裕子訳/ポンペイ 完全復元2000年前の古代都市/    株式会社ニュートンプレイス/1999 14.浅香 正/ローマと地中海世界の展開/晃洋書房/2001 15.槇谷 榮次/ドームの不思議 コンクリート造・組積造編/鹿島出版社/2007 【図版出典】 図1,2,3,4,5,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20 : 筆者作成 図6 : 参考文献(1)より引用 表 : 筆者作成 【注釈】 ※1)壁面を凹型にくりぬいて造られる棚 ※2)両遺跡の全域について、目視をもとに作成。ただし、一部地区について進入禁 止、未発掘等の理由から埋込アーチの有無を確認できなかった場所が存在する。 ※3)確認したアーチ全てに対して、スケールバーと供に正面からアーチの形状を記録 した。ただし、中にはこれらの条件下で撮影できなかったものが存在する。 ※4)手計りでアーチのサイズを計測した。計測項目はスパン、ライズ、厚み、壁厚、 埋込深さ、地表からアーチ下端までの高さ、上端までの高さの7項目である。コンベ による計測が不可能なものが存在したが、これらについてはCADで記録写真を用いて スケールバーとの比例関係から、サイズを概算しているため、誤差を含んでいる。 ※5)3Dレーザースキャニング技術を用いて3D点群モデルを作成した。 ※6)取得した点群を正投影することで作成した現状平面図、現状立面図。 ※7)これまでに埋込アーチの下に開口部と排水管を持つ事例を確認できた。 ※8)アダムは配管上部の埋込アーチを将来の修築を見越した構造と指摘している。 ※9)古代ローマ時代に用いられた長さの単位。1pes=296mm (pedesはpesの複数形) ※10)アーチの直下は煉瓦を用いた基礎であり、他の部分は石材が用いられている。 ※11)取得した点群データの座標を用いて確認した。 ※12)B.C.2c頃から使用が始まり、大量生産化に伴い帝政期には一般的に使われた。 ※13)オスティアでは様々な煉瓦工場から煉瓦が持ち込まれたとされ、全てが規格通 りの煉瓦が用いられていた訳ではない。 ※14)スタビア浴場(B.C.200頃建設)(ポンペイ)に見られる。 図 19 オスティアのアーチ 図 20 ポンペイのアーチ 2pedes=592mm 1.5pedes=444mm 0 200 400 600 アーチの厚み(mm) 表 アーチの厚み(煉瓦の長手長さ)

図 10 上:caseggiato delle trifore 北側立面図    下:埋込アーチ拡大図(オスティア:I,IX,3) 乱石積み煉瓦積み 図 9 開口目的のアーチ断面(オスティア)煉瓦コンクリート図 8 煉瓦積み壁の断面(オスティア)図 7 埋込アーチ断面 ( オスティア )煉瓦コンクリート012510(m) 0 50 100 200 (cm)050100200 (cm)050100200 (cm)050100200 (cm)050100200 (cm)暗渠(配管)暗渠(配管)煉瓦積みの修築

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