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斜面住宅地の住環境整備における道空間の改善手法に関する研究−北九州市丸山・大谷地区におけるケーススタディ [ PDF

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47-1

斜面住宅地の住環境整備における道空間の改善手法に関する研究

―北九州市丸山・大谷地区におけるケーススタディ―

佐畑 勇樹 1. 研究の背景と目的  我が国において、密集住宅市街地の住環境の改善は 長年重要な政策課題として位置付けられてきた。今日 その整備手法は、S53 年の住環境整備モデル事業の創 設以降、旧来の全面クリアランス整備から部分改善型 整備へとシフトし、地域の実情に即して公共施設や住 宅の整備などを進めるものとなり、現在は各地で多様 な事業展開が見られる。  なかでも斜面市街地においては脆弱な都市基盤を改 善するため、特に道路整備に重点が置かれている。し かし、道路の新設や二項道路の拡幅などの整備は、地 形による制限、用地買収、高額な事業費などの問題か ら整備の実施が不安定で、斜面市街地の改善を図る主 要手法としては位置付けにくい。このことは、道路整 備に特化し、それにより住宅の改善を図ることの困難 さも意味している。一方、建物附属エレベーターの連 担整備による特殊街路の形成や、既存道の機能を補強 する転回広場の設置等の部分的整備を組み合わせて行 うことも、斜面住宅地の住環境を改善・保全する上で 有効と考えられる。つまり、斜面住宅地の住環境整備 においては、道空間の整備手法は多様かつ柔軟に検討 する必要があり、それらの体系的な運用をいかに図る かが重要となる。  以上のような問題意識に基づき、本研究では斜面住 環境整備事業が H12 年度より実施されている、北九州 市八幡東区丸山・大谷地区を対象とし、道の構成と画 地利用動態との関係から、現在施されている整備手法 の検証を行い、今後の斜面住宅地の改善手法のあり方 について考察することを目的とする。 2. 研究の方法 2-1. 研究対象地区の概要  研究対象地区である丸山・大谷地区は、北九州市、 皿倉山の山裾に位置し、八幡製鉄所の操業以降、工場 労働者の住宅需要を受けて宅地化が進み、高密な斜 面住宅地が形成された。地区面積 24ha、標高 30m ~ 140m、平均勾配は 20 度を超える斜面地に戸建住宅を中 心に H9 年時点で約 900 棟の住宅が集積している。地区 内の道の大半は、狭隘な坂道や階段道となっており、 高齢者等への身体的負担は大きく、福祉サービスの提 供や緊急車両の進入が困難な状況である。また、産業 構造の変化、生活利便性の相対的低下に伴い、住民の 高齢化、人口減少、劣化した空家・空宅地の増加が深 刻な問題となっている。  北九州市では当地区の住環境改善を目的とし、H12 年度から部分改善型の整備事業に着手した。H24 年度 に事業完了が見込まれている。 路面補修 階段補修 手摺補修 路面補修 側溝補修 転回広場 階段補修 手摺補修 路面補修 手摺補修 階段補修 手摺補修 転回広場 転回広場 階段補修 手摺補修 側溝補修 側溝補修 階段補修 手摺補修 路面補修 階段補修 手摺補修 階段補修 手摺補修 路面補修 階段補修 手摺補修 路面補修 階段補修 手摺補修 路面補修 階段補修 手摺補修 手摺補修 手摺補修 路面補修 手摺補修 路面補修 重点整備区域 斜面移動支援システム 生活道路整備箇所 図1.研究対象地区の概況とエリア区分 丸山6 丸山5 丸山4A 丸山4B 大谷2 図2.斜面移動支援システムの概要 山手線 プロムナード 山手線 コミュニティ住宅 EV1号機 コミュニティ住宅 EV1号機 コミュニティ住宅 EV2号機(建設中) コミュニティ住宅 EV3号機(建設中) S=1/5000 表1.生活道路関連整備状況 商業施設、病院等 山手線上側 山手線下側 整備項目 山手線上側 山手線下側 全体 箇所 1 8 9 総延長(m) 5 279 284 箇所 3 8 11 総延長(m) 86 166 252 箇所 6 13 19 総延長(m) 181 544 725 箇所 3 3 総延長(m) 95 95 箇所 3 3 総延長(m) 転回広場 路面補修 階段補修 手摺補修 側溝補修

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47-2 2-2. 事業内容と整備状況  本研究では、事業地区内で土地や建物を市が直接事 業を施す範囲を重点整備区域とし、それ以外の範囲を 存置区域とする。重点整備区域のうち、事業の中核と なるシンボルゾーンでは高低差約 48m の区間をコミュ ニティ賃貸住宅付設のエレベーター 4 基を連絡通路で 繋ぐ 「 斜面移動支援システム 」(図 2)を整備し、入居 者以外の周辺住民にも開放することで、移動支援を図 るとともに、地区全体の活性化や防災性の向上に寄与 する広場、集会所などの整備が進められている。一方、 存置区域については、地区全体に新設道路や既存生活 道路等の整備、階段道への手摺の設置を行うことで生 活利便性・防災性の向上が図られている(表 1)。 2-3. 分析の方法  既往研究3) では H9 年度から H19 年度における存置区 域の世帯・画地利用形態の変容について、住宅・宅地・ 世帯情報を画地単位で統合したデータベースを構築し て分析を行い、存置区域では空家の増加、空宅地の管 理状態の悪化、住宅更新の停滞が進行し、特に山手線 上側の車両進入可能道路に未接道の画地において状況 の悪化が顕著であることを明らかにしている。  しかし、様々な整備メニューを体系的に運用するに は、地区内の道を車両進入の可否のみではなく、担保 する様々な機能の面から多角的に捉え、整備を行う上 での指標とする必要がある。  そこで本研究では、①まず、H9 年度及び H22 年度の 地区内の道について担保する様々な機能と画地との関 係性から道空間として整理する。②さらに全ての整備 が完了している山手線上側について、現地踏査及び住 民へのヒアリングを行い、H22 年度の画地利用状況を 把握し、H9 年度から H22 年度における画地利用と道空 間との関係性を分析する。③最後にこれらを踏まえ、 整備手法の検証を行う。 エリア 大谷2 丸山6 丸山5 丸山4B 丸山4A 全体 調査年度 H19 居住世帯有り 33 66% 空家 2 5 10% 非住居 空宅地 12 H9 69 76% 7 8% 15 16% H19 58 64% 9 10% 24 26% H9 22 71% 6 19% 3 10% H19 20 65% 7 23% 4 13% H22 19 61% 7 23% 5 16% H9 34 79% 2 5% 7 16% H19 31 72% 2 5% 10 23% H9 36 72% 3 6% 11 22% 24% H9 39 80% 6 12% 4 8% H19 34 69% 9 18% 6 12% H9 200 76% 24 9% 40 15% H19 176 67% 32 12% 56 21% 合計 H22 59 65% 8 9% 24 26% 91 31 H22 29 67% 5% 12 28% 43 18% H22 29 58% 9 12 24% 50 H22 29 59% 14 29% 6 12% 49 H22 165 63% 40 15% 59 22% 264 自動車交通機能 H9 接道条件 居住 空家 空宅地 合計 55 5 5 65 85% 8% 8% 100% 106 23 6 135 79% 17% 4% 100% 161 28 11 200 81% 14% 6% 100% H22画地利用状況 接道 未接道 合計 車両進入可能道路 H9 接道条件 居住 空家 空宅地 合計 65 10 5 80 81% 13% 6% 100% 96 18 6 120 80% 15% 5% 100% 161 28 11 200 81% 14% 6% 100% H22画地利用状況 接道 未接道 合計 収容空間機能 H9 接道条件 居住 空家 空宅地 82 4 8 87% 4% 9% 79 24 3 75% 23% 3% 161 28 11 81% 14% 6% 合計 94 100% 106 100% 200 100% H22画地利用状況 合計 接道 未接道 防災空間機能 H9 接道条件 居住 空家 空宅地 127 16 9 84% 11% 6% 34 12 2 71% 25% 4% 161 28 11 81% 14% 6% 合計 152 100% 48 100% 200 100% H22画地利用状況 接道 未接道 合計 表 3. エリア別画地利用動態 表 4. 機能別画地利用動態 ④各種供給処理施設の埋設 ②転回、サービス活動が可能 主要道路 横道(私道) 横道(私道) 横道(私道) 縦道(階段道) 縦道(階段道) 行止まり 行止まり 空家 空家 駐車場 駐車場 空家 空家 消火栓 ③崩落の危険 ③火災の危険 ①手摺が無く危険 ③緊急車両が進入出来ない ②転回出来ず、車両の使用に制限 ②転回出来ず、車両の使用に制限 ①歩行者交通機能 ②自動車交通機能 ③防災空間機能 ④収容空間機能 図 3. 斜面市街地における道空間構成 自動車交通機能 歩行者交通機能 防災空間機能 収容空間機能 転回の可否 消防車両の進入可否 沿道の空家の有無 指標 機能 交通機能 空間機能 機能区分 〜800 800〜 1000〜 1200〜 1400〜 1600〜 1800〜 ○ ○ ○ × × × 区分 手摺の有無 階段の有無 基点からの距離(m) 幅員 2m の確保 幅員 4m の確保 車両進入の可否 消防水利の確保 ガス管の埋設 上水道の埋設 下水道の埋設 × × × × × × × × × バイク進入可 自動車進入可 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 高機能道の条件 ※1 ※1 道路構造令 ※2 幅員 4m: 都市計画法 ※3 消防水利からの距離(ホース経路長)60m 以内 : 都市計画法 ※4 ※4 勾配 8%以下の階段道ではない道については除外 : 道路構造令 ※2 ※3 表 2. 各機能の指標と高機能道の設定 図 4. 代謝的換算距離の算定式(佐藤らによる) 3% 11% 〜800 800〜1000 1000〜1200 1200〜1400 1400〜1600 1600〜1800 1800〜 100% 85% 86% 68% 59% 52% 71% 67% 5% 10% 10% 84% 56% 28% 16% 37% 32% 37% 32% 53% 4% 21% 21% 21% 11% 8% 20% 22% 13% 35% 80 70 60 50 40 30 20 10 0 画地数 距離 (m) 10% 67%17% 17% 79% 8% 13% 13% 非住居 / 空宅地 空家 居住 H9 H22 H9 H22 H9 H22 H9 H22 H9 H22 H9 H22 H9 H22 図 5. 代謝的換算距離からみた画地分布と画地利用動態 M: 代謝的換算距離 P: 経路距離 ri: 勾配i%での RMR(エネルギー代謝率)※1 r0: 勾配 0%での RMR(エネルギー代謝率)※1 S0: 基準歩行速度(4m/s)※2 S: 各年齢層ごとの歩行速度※2

M=P×r

r

0i

+1.2

+1.2

×

S

S

0 ※1:RMR の算定式

ri=3.113e4.614i i: 勾配(%)ri: 勾配i%での RMR

※2: 各年齢階級の歩行速度 5〜9 10〜14 15〜49 50〜64 65〜74 75〜 3.39 4 3.40 2.82 2.51 2.17 歩行速度 (m/s) 年齢階級 本研究では高齢者の身体的負担を想定し、65〜74 歳における 歩行速度を用いた。 3. 道空間と画地利用の関係性 3-1. 道空間の構成  道の持つ機能は大別して交通機能と空間機能からな る。交通機能には、通行機能、アクセス機能、滞留機 能があり、幹線道路のような上位の道路では円滑で安 全な通行機能が、生活道路や狭隘道路のような下位の 道路ではアクセス機能、滞留機能が重視される。一方、

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47-3 空間機能には、防災空間、環境空間、収容空間、景観 形成空間、市街地形成の機能があるが、これは公共空 間が限られた密集斜面市街地において不足しがちな機 能である。5)6)7)8)本研究ではこのうち、歩行者交通機 能、自動車交通機能、防災空間機能、収容空間機能の 4 つの機能について、地区内の道の段階構成を把握し、 路線ごとに各機能の充実度を評価した(表 2)。  特に、歩行者交通機能の評価にあたっては、道の性 状に即した、歩行者の身体的負担を算出した。  地区内に商店等は無く、買物や通院は地区外へ出な ければならない。丸山・大谷地区に隣接する中央町は 生活利便施設が集積するとともに、バス路線の結節点 でもあることから、地区住民の外出行動における目的 地、或いは経由地となっている。1)そこで、地区と中 央町との境界部に位置するバス停を基点とし、そこか ら各地点への最短経路及び最短距離を求めた。  算出には佐藤ら4) の提案した代謝的換算距離を用い た(図 4)。代謝的換算距離とは坂道歩行時に消費する 代謝エネルギーを指標とし、傾斜の負荷と高齢による 身体能力の低下を考慮したもので、佐藤らの研究によ ると従来の直線距離や経路距離に比べ、歩行者の行動 をより的確に説明出来る可能性が示されている。  分析に当たり、山手線上側について、基盤条件や住 宅の集合状態の違いから町会範囲を基本として 5 つに エリアに区分する。 3-2. 画地利用の経年変化  現地踏査及び住民へのヒアリングにより、H22 年度 における画地利用状況を把握した(表 3)。  H9 年度から H19 年度、H22 年度にかけての変化をみ ると重点整備区域に隣接する丸山 5 以外の全エリアで、 居住世帯のある画地が大幅に減少しており、丸山 4A、 丸谷 4B では 6 割を下回っている。また、周辺の住環境 に悪影響を及ぼす空家も増加しており、丸山 4A では全 画地の 3 割近くが空家となっている。  H9 年度に居住世帯の有った画地を対象として、画地 利用動態を各機能ごとにまとめたものを表 4 に、歩行 者の身体的負担からみた画地の分布と、画地利用の変 化をまとめたものを表 5 に示す。居住世帯の減少は、 既往研究で指摘されていた車両進入可能道路に未接道 の画地よりも、新たに設定した歩行者交通機能、防災 空間機能、収容空間機能の各機能が不足している画地 で顕著で、より強い関連性があることが分かる。 4. 整備手法の検証 4-1. 斜面移動支援システム  シンボルゾーンに整備される斜面移動支援システム は、未完成であるものの既に着工しており、完成すれ ば山手線上側の道空間に大きな影響を及ぼす。そのた め、システムが完全に機能した場合の各エリアへの最 短距離及び最短経路を導き出し、斜面移動支援システ ムの利用範囲を予測した(図 6)。丸山 6、丸山 5、丸 山 4B では、斜面移動利用システムを利用することで歩 行者の負担を軽減出来ると予測される。一方、大谷 2、 丸山 4A ではエリアの大部分で、最短経路に変化はない。 山手線上側全体でその効果をみると、代謝的換算距離 にして約 200m 程度、最短距離が短縮している(図 7)。 4-2. エリア別整備状況 1) 大谷 2  重点整備区域から遠く、斜面移動支援システムの利 用範囲外であることが予測される。しかし、車両進入 可能道路が充実していることから、転回広場の整備や 駐車場の発生により、転回可能な範囲が拡大し、自動 車交通機能が向上している(図 8)。住民に対して行っ たヒアリングでも、タクシーの利用範囲が広がったと いう声が聞かれた。 2) 丸山 6  斜面移動支援システムにより、歩行によるアクセス 性の向上が予測される。手摺や階段の補修などの生活 道路関連の整備も組み合わせられ、歩行者交通機能の 向上が図られている(図 9)。また、山手線へのアクセ スは中央の階段道のみであり、地区内の画地は線状に 分布している。このことから整備対象をしぼることが 出来るため、効率的な整備が可能である。 整備後 斜面移動支援システムの利用範囲 丸山4A 丸山4B 丸山5 丸山6 大谷2 整備前 丸山4A 丸山4B 丸山5 丸山6 大谷2 整備前 整備後 図 7. 画地分布の変化予測 図 6. 最短経路の変化予測 最短経路 斜面移動支援システム 〜800 〜1000 〜1200 〜1400 〜1600 1800 1800〜 80 70 60 50 40 30 20 10 0 画地数 距離 12% 12% 2% 15% 19% 19% 9% 4% 7% 18% 18% 16% 22% 27% 基点 基点

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47-4 謝辞) 本研究にあたり、丸山・大谷地区の皆様、及び大谷地区丸山・大谷開発事務所の方々に多大なご協力を 頂きました。記して深謝致します。 参考文献) 1)斜面住宅地における高齢者の居住環境整備に関する研究   志賀勉ほか 1994 年日本建築学会大会学術講演梗概集 2)丸山大谷地区斜面地住環境整備事業計画策定業務委託報告書   (株)醇建築まちづくり研究所 1999 〜 2008 3)住環境整備事業における存置区域の居住変動と住宅更新の特性に関する研究   山口佑一郎 平成 19 年度九州大学卒業論文 4)地形による負荷と年齢による身体能力の変化を勘案した歩行換算距離の検討   佐藤栄治ほか 2006 5)狭隘道路とまちづくり〜防災と生活と環境の総合化をめざして〜  高見沢邦明・小林重敬 1996 6)狭隘道路と生活道路の整備方策   井上隆 2001 7)道路構造令の解説と運用   日本道路協会 2004 8)震災に強い都市づくり・地区まちづくりの手引き   都市防災実務ハンドブック編集委員会 2005 図 8. 大谷 2(自動車交通機能) 図 9. 丸山 6(歩行者交通機能) 図 10. 丸山 4B( 自動車交通機能) 図 11. 丸山 4A( 防災空間機能) 車両進入 可否 幅員 4m の 確保 転回の 可否 ○ × ○ × × 車 バ 消防車両の 進入可否 空家の 有無 ○ × ○ × 車両進入 可否 幅員 4m の 確保 転回の 可否 ○ × ○ × × 車 バ 転回広場の整備 駐車場の発生 転回広場の整備 駐車場の発生 空家の集積 転回広場 駐車場 空家 高機能道に 未接道 転回広場 駐車場 空家 高機能道に 未接道 消防水利 空家 高機能道に 未接道 H9 H9 H9 H22 H22 H9 H22 H22 幅員 2m の確保 階段の 有無 ○ × ○ × 基点からの 距離 〜800 〜1200 1200〜 手摺の無い箇所 (階段道 / 勾配 8%以上) 空家 基点からの距離が 1200m 以上 10 15 5 0 〜1000 〜1200 〜1400 〜1600 〜1800 1800〜 整備前 整備後 距離 画地数 画地分布の変化予測 3) 丸山 5  重点整備区域に隣接し、事業による波及効果を最も 期待出来る位置にある。新設道路や転回広場、駐車場 の整備による自動車交通機能の向上、さらに斜面移動 支援システムによる歩行者交通機能の向上が予測され、 基点までの最短経路が最大で約 350m(代謝的換算距離) 短縮されている。 4) 丸山 4B  エリア内の全域にわたり、斜面移動支援システムの 効果が及ぶことが予測される。しかし、標高の高い画 地においては、歩行によるアクセスは依然負担が大き い。そのため大谷 2 と同様に、転回広場の整備が行われ、 自動車交通機能の向上が図られている(図 10)。歩行 者交通機能の向上と自動車交通機能の向上を組み合わ せた整備が行われている。 5) 丸山 4A  斜面移動支援システムの効果は期待出来ないものの、 歩行によるアクセス性は他のエリアに比べ良い。しか し、幅員が狭く消防水利の行き届いていない密集した 街区に、空家が集中して発生している(図 11)。住民 に対して行ったヒアリングでは、自宅に隣接する空家 が劣化により崩壊するなど、防災上の不安が聞かれた。 生活道路関連の整備は側溝補修が 1 路線行われたに止 まっている。 4-3. 道空間整備に関する考察  斜面移動支援システムを整備の軸とし、階段補修や 手摺補修など生活道路関連の整備を組み合わせること で、歩行者交通機能の向上が図られている一方、斜面 移動支援システムの効果が薄いエリアに関しては、転 回広場が整備されるなど、自動車交通機能の向上が図 られており、地域の実状に即した弾力的な整備が施さ れていると評価出来る。しかし、そのいずれも選択出 来ない場合には、具体的な整備をみることは出来ず、 空家が集積し、住環境の悪化が進行している。 5. まとめ  以上より本研究では以下のことが明らかになった。 1) 自動車進入可能道路が充実しているエリアについて は、車両の使用を前提とした整備が可能で、転回広場 等を設けることで生活利便性が大幅に向上する。 2)空家の発生は防災性の低い画地に集中しており、空 家の発生がさらなる防災性の低下を招く状態にある。 3)地区内の道空間において、交通機能については概ね 地域の実状に即した整備が行われている一方で、空間 機能に着目した整備は限定的であり、防災性の向上な どを目指した整備手法の確立が必要である。

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