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もくじ はじめに 1. 災害時における地域精神保健活動の方針 2 2. 被災した人に起こりうる心身の反応と症状 (1) 被災者の地域における心理的経過 3 (2) 災害時のストレスに対する心身への影響 4 3. 被災者への支援 (1) 初期対応のポイント 7 (2) 基本的な心構え 8 (3) 特別

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災害時こころのケア活動マニュアル

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もくじ

はじめに

1.災害時における地域精神保健活動の方針・・・・・・・・・・・ 2

2.被災した人に起こりうる心身の反応と症状

(1)被災者の地域における心理的経過・・・・・・・・・・・・・ 3

(2)災害時のストレスに対する心身への影響・・・・・・・・・・ 4

3.被災者への支援

(1)初期対応のポイント・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7

(2)基本的な心構え・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8

(3)特別に配慮を必要とする可能性の高い方への支援

①子ども・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12

②妊産婦・乳幼児を抱えた親・・・・・・・・・・・・・・・・13

③高齢者・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15

④身体障がいのある方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16

⑤精神障がいのある方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17

⑥知的障がい・発達障がいのある方・・・・・・・・・・・・・19

⑦日本語が読めない方・話せない方・・・・・・・・・・・・・19

(4)その他

被災時のアルコール問題・・・・・・・・・・・・・・・・・・20

被災時の睡眠問題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21

報道機関(マスコミ)との協力・対応・・・・・・・・・・・・21

4.支援者のメンタルヘルス

(1)支援者におこりうる心身の反応・・・・・・・・・・・・・・・22

(2)支援者のストレス対策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23

資料

1.普及啓発資料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25

2.チェックリスト、書式・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34

3.相談機関、精神科医療機関・・・・・・・・・・・・・・・・・・46

引用・参考文献 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・47

(3)

はじめに

近年の本県における主な災害は、平成 17 年の台風 14 号、平成 18 年の台

風 13 号による竜巻、平成 22 年の口蹄疫、平成 23 年の新燃岳噴火がありま

す。この際、当センターでは、災害時のこころのケア支援として、被災された

方々や支援者のメンタルヘルスに貢献できるよう、保健所・市町村と連携し、

相談事業や技術支援、普及啓発活動を行ってきました。また、近年の国内にお

ける災害では、平成 19 年の新潟中越沖地震、平成23年の東日本大震災で「こ

ころのケアチーム」を派遣しました。今回、これらの経験を踏まえ、災害時に

市町村・保健所等の関係機関の職員が、迅速かつ適切にこころのケアを提供で

きるよう本マニュアルを作成いたしました。

災害は予期されない突然の出来事であるとともに、家屋の破壊や、身体的損

傷、家族の犠牲や生活環境の変化など様々な要因によって住民に多大な心理的

負担を与えます。発災直後は、ライフラインの復旧や医療支援等の対応が求め

られますが、被災者に対しては「こころのケア」の視点で適切な支援を行うこ

とも大切です。

こころのケア活動内容は、災害の種別に関わらず共通の部分が多く、基本的

なポイントについてしっかりと理解しておくことが、様々な自然災害等への適

切な対応につながるものとなりますので、今回は、基本的な項目に絞って作成

しております。また、発災後、関係機関が直ちに使用できるように、普及啓発

のためのリーフレットやチェックリストも掲載しました。なお、本マニュアル

はいつでも活用できるように当センターのホームページにも掲載しております。

本マニュアルが、災害に対する備えとして、平時の準備の場面、また、被災

地での実際の活動場面においての一助となれば幸いです。

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1 災害時における地域精神保健活動の方針

災害時における地域精神保健活動の方針には、 ①被災によって機能しなくなった精神医療の補填、被災者の精神反応への対応 ②一般の援助活動の一環として地域全体(集団)の精神健康を高め、集団としての ストレスと心的トラウマを減少させるための活動 ③個別の精神疾患に対する予防、早期発見、治療のための活動 といったことが示されています。(「災害時の地域精神保健医療活動ロードマップ」: 災害時こころの情報支援センター) その中で精神保健福祉センターは、以下のような役割を担うことが想定されます。 ※実際には災害の規模、災害発生後の時期によって、どのような支援を行うかは 異なってきます。 (1)被災者支援 ①被災者向けメンタルヘルスに関する資料の情報提供 ②健康教育 ③健康相談・巡回訪問等のからの要フォローケースのケアに関する助言 ④必要に応じての個別面接 (2)支援者への支援 ①支援者向けメンタルヘルスに関する資料の情報提供や助言 ②健康教育 ③健康相談票・ストレスチェック票等の資料の情報提供 ④心身両面の疲労度の高い職員へのケアに関する助言 ⑤必要に応じての個別面談 ⑥災害発生後の市町村や保健所における精神保健活動に関する助言 (3)電話相談窓口 ①精神保健福祉センターの電話による相談 ②こころの電話による相談 (4)広報 ①ホームページを活用したメンタルヘルスに関する情報提供 ②ホームページを活用した相談窓口の掲載 (5)その他 (平時における支援) ①保健所や市町村等の関係機関職員への研修

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2 被災した人に起こりうる心身の反応と症状

(1)被災者の地域における心理的経過 災害発生後、被災者の心理状態はおよそ次のような段階を踏んで経過していきま す。時期に応じてニーズも変化していくので、それに合わせながらこころのケア 対策を行っていくことが大切です。 ①茫然自失期(災害発生直後から数日間) ・恐怖体験のためにショックを受け、無感覚・感情の欠如・茫然自失の状態と なります。 ・自分や家族・近隣の人々の命や財産を守るために、危険をかえりみず行動的 となる人もいます。 ②ハネムーン期(災害発生数日後から数週間または数か月間) ・劇的な災害の体験を共有し、くぐり抜けてきたことで、被災者同士が強い連 帯感で結ばれ、積極的な気分になります。 ・一見元気に見える時期が、数日~数週間または数ヶ月続きますが、生活スト レスは増大します。 ③幻滅期(災害発生数週間後~) ・災害後、数週間以降になると混乱が収まりはじめ、被災者の間にも被害や復 旧の格差が出始めます。無力感や疲労感が強くなり、取り残された人は、虚 脱感、怒り、うつ気分などが出現します。飲酒問題も出現します。 ・被災者は自分の生活の再建と個人的な問題の解決に追われるため、地域の連 帯感は失われる場合もあります。 ④再建期 ・復旧が進み、生活の目処がつき始めます。現状を受け入れ、気分が安定し、 将来のことを考えられるようになります。復興から取り残されたり精神的な 支えを失った人には、ストレスの多い生活が続きます。

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(2)災害時のストレスに対する心身への影響 被災した人に起こりうる心身の反応と症状 災害直後の精神的な動揺や心身の症状の多くは、ひどくショックを受けた時に 誰にでも起こりうる正常なストレス反応です。大部分の被災者は家族や友人など の身近な人の援助や自身の対処行動により、ほとんどの場合、時間の経過ととも に改善していきます。その一方で、心理的な外傷(心的トラウマ)が強かったり、 避難生活などの慣れない生活が長期化する(社会環境ストレスにさらされる)と 「こころのケア」が必要な状態となる場合があります。「通常起こりうる反応」と 「こころのケアが必要となる状態」について理解が必要です。 身 体 面 心理・感情面 頭痛、筋肉痛、発汗、めまい、動悸、 血圧上昇、過呼吸、不眠、食欲低下、 吐き気、ふるえ、便秘、下痢、持病の 悪化 など ショック・茫然自失・自責感・悲しみ・ 無力感・不眠・不安・孤立感・焦り・ 怒り・恐怖の揺り戻し など 思 考 面 行動の変化 集中力の低下、決断困難、混乱、無気 力、判断力や決断力の低下 など 怒りの爆発、過活動、ひきこもり、口 数が減る、喫煙や飲酒の増大、薬物乱 用、拒食・過食 など

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悲嘆反応 災害により、大切な人を失った時に人は深刻な喪失体験に見舞われます。そこに生 じる一連の反応が悲嘆反応と称される心理過程です。悲嘆は病気ではありませんが、 その苦痛は著しく、どのように対応したらよいのか支援者でも戸惑うことが少なくあ りません。支援者が遺族を気遣い、深い悲しみにあることを理解しようとし、その苦 しみに向き合う遺族に寄り添い、支援しようとする姿勢が遺族を支えます。 ■悲嘆(Grief)とは:死別に対する自然で正常な情緒的反応。多様な心理的(認 知、社会的行動)、身体的(生理的)な表出を含みます。個人や文化によって異 なります。 ■悲嘆のプロセス ①心の麻痺の段階:呆然自失、死の否認、感情の麻痺、身体反応(吐き気、喉 が詰まる感じ、動悸など) ②切望の段階:憂うつ感・悲哀感、故人を探し求める・追慕・切望 ③混乱と絶望の段階:罪悪感・怒り・非難、死の事実への抵抗、不眠・悪夢、 ひきこもり・孤独感 ④回復の段階:故人がいなくても人生を立ち直せる実感がもてる、生きがい・ 社会的役割の再発見 ■遺族の悲嘆への対応の基本 ①悲しみが正常な反応であることを知ってもらう ②悲しみを無理に抑えたり、また無理に表出させるようなことはしない ③一人ひとりの悲嘆の違いを理解し、その人の対処を尊重する ④無理のない範囲で日常生活を続けられるようにする ⑤現実的な問題(葬儀、家事など)について話し合い、可能な範囲で支援する ⑥故人への想いを横におく時間を少しずつとる ⑦少しずつ生活に楽しみを見いだせるように援助する ⑧故人を尊重する追悼行事や宗教儀礼を大切にする

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災害ストレスとストレス障害 【急性ストレス反応】 自分自身が生死に関わるような被災状況を体験・目撃して、大きなストレスを受け た場合には、体験直後から出現して数時間から2~3日で消失する著しい症状がみ られることがあります。 ※再体験 災害体験に関する不快で苦痛な記憶が、ありありと強い感情を伴ってよみがえっ てくる症状です。睡眠中、悪夢で目が覚めてしまうこともあるので、不眠を訴え る時は注意しながら話を聞きます。何かのきっかけで災害の体験のことを思い出 させられたときの気持ちの動揺や、動悸や冷汗などの身体反応も含まれます。 ※麻痺・回避 災害の体験に関して考えたり話したり、感情がわき起こるのを極力避けようとす ることや、思い出させる場所や物を避けようとする症状です。また一部の記憶を 思い出せないという場合もあります。そのほか、物事全般への希望や意欲がなく なる、集中力がなくなる、感情が麻痺したようで愛情や幸福などの感情を感じに くくなるなどの症状も出てきます。日常生活や仕事に支障をきたす場合もあり、 周囲の理解と支えが必要になります。 ※過覚醒 いつもぴりぴりした感じで緊張が抜けない、怒りっぽくなった、我慢ができなく なった、何事にも必要以上に警戒してしまったりなどの症状で、対人関係の妨げ となることがあります。そのことにより、周囲から孤立してしまい、ますます症 状が悪化してしまうという悪循環に陥ります。周囲の理解が必要です。 【急性ストレス障害(ASD)】 急性ストレス反応は、2~3日で症状は消失しますが、その期間を超えても持続し、 1ヶ月以内の期間に認められた場合、急性ストレス障害(ASD)と呼びます。不 安、恐怖、抑うつ、過度の悲嘆、様々な身体的不調、過活動など多彩な症状が生じ ますが、重度の場合は上記の3徴候(再体験、麻痺・回避、過覚醒)に加えて、自 分が自分でないような感覚を抱く解離症状が生じます。ASDは自然回復の可能性 が高いといわれますが、解離症状がある方は、PTSD発症の可能性が高いとされ ています。早期発見、早期治療が大切ですが、診断は、専門機関で慎重になされる べきでしょう。 【心的外傷後ストレス障害(PTSD)】 急性ストレス障害(ASD)の症状は、短期間(2~3日以上続き、1ヶ月以内に 消失)ですが、これが1ヶ月以上続く場合は、心的外傷後ストレス障害(PTSD) が疑われます。まれに、半年たってから現れる「遅発性」の人もいます。専門家に よる治療を必要とします。

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3 被災者への支援

(1)初期対応のポイント 災害発生直後は、救急救命等の医療活動が優先されますが、同時に被災や避難所 生活に伴うストレスについて対策を講じる必要があります。「こころのケア」と いう視点で初期対応を行うことは、その後の被災者の立ち直りを促進し、また、 被災者が「組織的な支援を受けている」という実感が得られることとなり、大き な安心感を生みます。 ■安全・安心・安眠をできるだけ早く確保しましょう。 安全:比較的安全な場所に被災者を誘導・保護します。 安心:被災者の孤立感を和らげ、援助のネットワークによって“支援者に守られ ている”ということを認識してもらうことが大切です。 安眠:睡眠を確保できる環境を早急に提供します。 ■災害発生から3日目までの対応 ①住民の健康状態の把握と傷病者の応急手当 ②基本的生活必需品の配布、衛生用品の確保 ③医療継続必要度の高い住民の把握と医療確保 ④災害時要援護者への支援(妊産婦・乳幼児・高齢者・障がい者(児)等) ⑤精神的動揺の著しい住民のケア ■サイコロジカルファーストエイド(PFA)について 身体の怪我や病気に対する応急処置の必要性が広く認識されているように、危機 的状況における心理的応急処置についてもその必要性が認められるようになって きました。 その中で、深刻な危機的出来事に見舞われた人に対して行う人道的・支持的かつ 実践的な支援のことを「サイコロジカルファーストエイド(Psychological First Aid:PFA)といいます。PFAに関する詳細は記載いたしませんが、本章では、 PFAの内容も取り入れながら災害時のこころのケアについてまとめています。 PFA とは、重大な危機的出来事にあったばかりで苦しんでいる人びとに対する支 援です。子どもも大人も対象となりますが、危機的な出来事を経験した全ての人 がPFAを必要としたり求めたりしているわけではありません。望んでいない人 に援助を押しつけてはなりませんが、支援を必要とする人には手を差し伸べられ るようにしておきましょう。

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PFAには、例えば次のようなことが含まれます。 ・実際に役立つケアや支援を提供する、ただし押しつけない ・生きていく上での基本的ニーズ(食料・水・情報など)を満たす手助けをする ・話を聞く、ただし話すことを無理強いしない ・安心させ、心を落ち着けるように手助けする ・その人が情報やサービス、社会的支援を得るための手助けをする ・PFAは専門家にしかできないものではない ・専門家が行うカウンセリングとは異なる ・PFAは「心理的デブリーフィング」とは異なり、必ずしもつらい出来事につ いての詳しい話し合いを含まない (2)基本的な心構え ①災害後早期のこころのケア活動は、より生活再建に即した実践的な性質のもの とします。「何が必要とされているか」を常に考え、ご本人の心理状態に気遣い ながら生活面の支援を最優先にします。 ②災害や支援に関する情報提供や、生活再建のための行政機関の紹介等、直接役 立つ情報や相談できる場所(相談窓口)があることを伝えましょう。混乱した状 況では、一度にすべてを説明することが困難な場合もありますので、相談支援窓 口などを明記した資料などを渡すだけとなる場合もあります。 ③被災者に見られる反応の多くは「異常な状況に対する正常な反応」ですので、 予想される心身の反応や対処法を説明しましょう。 ④「皆が大変だから」などと援助を求めなかったり、自分がこころのケアが必 要とは思わない人もいます。会話を交わしながら様子をみたり、あいさつなど して声をかけてみたり、生活相談や健康相談といった形でアプローチしてみる とよいでしょう。ただし、押しつけがましくならないように「お手伝いできる ことはありませんか?」という態度が必要です。 心理的デブリーフィングについて 大災害等を経験した方を集めたグループディスカッションなどで被災の状 況等について感情表出を促すことをいいますが、これは有効性がないと言わ れており推奨されていません。無理に聞き出すことはしないようにしましょ う。現在の PFA は心理的デブリーフィングに代わるものです。

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⑤災害後のこころのケア活動は、「こちらから出向いて支援を提供すること」に 重点を置きます。また、自ら避難所、仮設住宅等の場に赴いて、被災者の生の声 を聞き取り、現場のニーズを把握するとともに、支援を必要としている被災者を 把握する必要があります。 ⑥その人のやり方、自分で工夫していること、大事にしていることを認めます。 他の被災者を助けたり、自分にも何かできるという感覚が、回復には重要です。 また、本人の意向を尊重し、本人のペースを守りながらどういう支援が必要か 一緒に考えましょう。 ⑦対応には、周囲の組織や他職種との連携を図り、問題を抱えている人を孤立 させないようにすることが大切です。 ■実際の話の聴き方・対応のポイント ①できるかぎり落ち着いて話せる環境を準備する プライバシーにも配慮し可能な限り落ち着いて話せる環境を整えます。座っても らったり、しゃがむなど視線が同じ高さになるように心がけます。 ②静かに耳を傾ける・穏やかな態度で接する 無理に話を聞きだそうとせず、じっくり耳を傾けます。落ち着いた態度で、穏や かでゆっくりとしたやや低めの口調で語りかけます。わかりやすい言葉を使い、 略語や専門用語は使わないようにしましょう。 ③相手のペースに合わせる できるだけ話しをさえぎらず、相手のペースで話しを聞くことが大事です。自責 的になっている人には「あなたが悪いのではない」ということを伝えましょう。 また、混乱の中で充分に気持ちを伝えられない人には、タイミングを見計らって、 「こういうことですか?」など確認を行ったりすることも必要になります。 ■怒りやクレームへの対応 被災後の幻滅期には、多くの人が怒りや不満を感じ、感情を八つ当たり的に表出さ れることがあります。 ①怒っている人、クレームを持ち込む人は、支援者を責めているわけではないので す。支援者は、深呼吸し心を落ち着けて対応します。 ②議論や反論は避け、落ち着いた場所に移動し、座ってもらうなどクールダウンで きるようにすることが大切です。感情のコントロールを失っている場合は、話を中 断することも必要です。 ③個別に話を聞く態勢を整えて、「どうしましたか?」と語りかけ、非難や否定を せず、感情を受け止めます。

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④怒りを受け止めた後に、何が問題なのか、具体的に困っていること等を聴きます。 状況が確認できたら、解決の方法を探るのですが、このときは「あなたはどう考え るのですか?」と意見をたずねます。ルールを作ることで解決することもあれば、 現状では不可能なこともあることを伝えます。 ⑤個人で抱え込まずチームで話題を共有し、解決策を探しましょう。 ■深い悲しみや罪悪感への対応 泣くことは、大切なもの、人を失ったことへの自然な反応であり、悲しみを抑える必 要はありません。「自分に非があったのではないか」、「自分だけが助かった」等、 罪の意識を抱く人や、自分を責めてさらに絶望感を募らせてしまう人もいます。 ①あえて言葉をかける必要はなく、相談者に寄り添うことです。ゆっくり話を聴く ことが大切です。 ②求められない限りアドバイスはしないことです。わからないことは正直に「わか らない」と言っても差しつかえありません。 ③相談者の感情に巻き込まれすぎないよう一定の距離を保ちましょう。 ■平静に見える人への対応 感情の出し方には個人差があります。平然と落ち着いているように見えても「ショ ックが大きいため感情が麻痺」したような状態の人もいます。また、悲しみを表に 出さない人もいます。丈夫そうに見える人でも、折りに触れあいさつをしたり、ね ぎらいの言葉をかけ続けるなどして気にかけてください。 ■避けたい言葉がけや不適切な対応 被災者を励ますつもりの言葉がけであっても不適切な表現をしてしまうと、相手を 傷つけたり、怒りを招いたりすることもあります。 ※安易な励まし、なぐさめ 「頑張ってください。」 「あなたが元気にならないと亡くなった人が悲しみますよ。」 ※比較すること 「もっと大変な人もいます。」、「このくらいの被害で済んでよかったですね。」 「命があったんだからよかったと思って。」

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※根拠のない保障 「こんなことがあったのだから将来はきっといいことがありますよ。」 「時期が来れば忘れることができます。」 ※被災者や遺族は皆同じだという言動や対応 「みんなも同じ気持ちですよ。」 ※一方的な考えや意見の押しつけ ※被災者が皆、精神的なケアが必要であると決めつけた対応 ※無理に感情を吐き出させようとする働きかけ ■専門家への紹介が必要なとき ※精神科疾患の治療が中断している場合 ※災害前からの精神疾患の症状が悪化している場合 ※安全・安心な環境に生活拠点を移してもなお不眠が持続している場合 ※パニック発作(動悸、発汗、震え、息苦しさ、胸痛等の激しい症状が突然起こる こと)や、重い解離症状(健忘・自分が自分でないような感じ)、幻覚・妄想等 があるとき ※「死にたい」という言動や考えが目立つとき ※重症の抑うつ、不安状態があるとき ※恐怖体験が突然よみがえる感じ(フラッシュバック)や、生々しい悪夢が頻発す るとき ※心的外傷後のストレス症状が顕著で、生活に大きな影響を与えているとき ※大量の服薬、過度のアルコール摂取や、自暴自棄な行動がみられるとき (専門家に紹介する際のポイント) ・本人に対し、どういった点が心配なのか、専門家に紹介する理由を正しく伝え る。 ・紹介先がどんな専門家であるのか具体的に説明し、選択肢がいくつかある場合 は、それを提示しして選択してもらう。 ・支援体制や状況等にもよるが、本人の代わりに予約したり、同伴ができるこ とや、紹介後も支援を続けることを伝える。

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(3)特別に配慮を必要とする可能性の高い方への支援 どんな人でも困難に対処する力を持っています。その人自身の力と工夫によって 困難に対処できるような支援に心がけましょう。 ① 子ども 子どもは、状況の理解と受容に時間がかかり、災害から受ける心の影響は大人よ り大きいと言われています。また、信頼している大人がそばにいないと、不安や心 細さ等のさまざまなつらい思いをします。災害時は、大人自身も被災の後始末に追 われたり、ストレスを抱えたりして子どもの様子に十分配慮することが困難になり ます。子どもは自分の身に起きていること、それに伴う感情等を表現する力がまだ 十分ではないために、こころや体の症状や行動上の問題など様々な反応を示します ので、普段以上に目を配ることが必要になります。 気になる症状・状態 対応の留意点 乳 幼 児 よく泣く、わずかな物音で起き る、おねしょ、夜泣き、指しゃ ぶり、ささいなことに怯える、 保護者につきまとう、あまり遊 ばなくなる、悲惨な出来事に関 係 す る 遊 び を 繰 り 返 し た り す る、赤ちゃんがえり(退行) など ・温かさと安全を保つ。 ・大きな音や混乱から遠ざける。 ・寄り添ったり抱きしめたりする。 ・できる限り規則的な食事と睡眠のリズムを保つ。 ・穏やかでやわらかい声で話す。 ・子どもの遊び場や遊具を確保する ・赤ちゃん返りは責めずにつきあい見守る。 小 学 生 自分が悪いことをしたと思いこ む、新たな不安を感じるように なる、孤独を感じる、反抗的・ 攻撃的になる、集中力の低下、 表情が乏しくぼんやりする、集 団への不適応 など ・悪い事がおきたのはあなたのせいではないと話す。 ・いつもより気にかけ、子どもとの時間を増やす。 ・できるだけいつもどおりの生活習慣や時間を守る。 ・話を強要する必要はないが子どもが話したがるな らばどんな話でも耳を傾け、気持ちを受け止める。 ・何が起きたのかという質問には簡潔に答え、怖が らせるような詳しい話をしない。 ・一見落ち着いているような子どもでも、安心でき るような配慮とコミュニケーションを欠かさない。 ・今後の生活のことで情報があればわかりやすく説 明し子どもがなるべく安心できるようにする。 ・子どもが遊べる空間や時間を確保する。

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中 学 生 以 上 何も感じない、孤立を感じる、 不機嫌な表情、無愛想、危険な 行為や反抗的な態度を示すなど ・時間を作って向き合う。 ・普段の日課がこなせるように手助けする。 ・何が起きたのか事実を伝え、説明する。 ・悲しむことを認める。強くあることを求めない。 ・価値判断をせずに子どもの考えや恐れに耳を傾け る。 ・明確なルールや目標を設定する。 ・何かの役割を具体的に依頼することは大事だが、 必要以上に責任を持たせたりということは避ける。 ・言葉かけは大人に対する時と同じ気遣いで対応す る。 ・思春期の子どもの場合は、干渉されない一人の時 間が持てるようにする。 そ の 他 アレルギー症状の悪化、頭痛、 腹痛、便秘、下痢、吐き気、不 眠、食欲低下 などがみられる ※以下のような場合は、専門家に相談しましょう。 ・睡眠の問題が2~3週間続いている場合、まとわりつきが少なくならない場合、恐れ や不安がさらにひどくなる場合、食事がまったくのどを通らない、身体症状が著しい場 合 など ② 妊産婦・乳幼児を抱えた親 平常時でも、妊娠・出産後はホルモンのバランスの変化や身体的な疲労などにより 抑うつ状態に陥りやすくなります。被災によるストレスによって妊産婦には心身の不 調が起こりやすくなります。災害時の適切な支援のために妊産婦の心身の特性を知っ ておくことも必要です。 「再体験遊び」について 幼児や小学生では、「地震ごっこ」「救出ごっこ」などの遊びがはやることがあります。これ は、子どもが非日常的な出来事を理解し、現実に起こったこととして受け止め、回復してい くための過程なので、むりやりに禁止する必要はありません。 ただし、次の場合は、大人が介入してさりげなく他の遊びに誘導することがよいでしょう。 介入が困難、あるいは長時間続くようであれば児童支援の専門家に相談しましょう。 (介入が必要な場合) *遊びなのに子どもが緊張した表情をしている *しつこいくらいに繰り返される *けがなどの危険性が高い *恐がる子どももいたり、他の子どもへの影響が大きい

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(妊産婦の主な特徴) 主な特性 妊 婦 ・つわりや倦怠感など妊婦特有の症状がありますが、妊娠期全般を通じて症状の現 れ方や心身の状態には大きな個人差が見られます。 ・ホルモンバランスの変化に加え、体形の変化、出産への不安、家庭内での役割変 化などにより、感情の起伏が激しくなることがあります。 ・妊娠初期(~15 週)は、体形変化もなく周囲に妊娠していることがわかりにく い上、妊娠による心身の変化への違和感や流産の不安を抱えることがあります。 ・妊娠後期(28 週~)では、急激におなかが大きくなり身動きがとりにくくなっ たり、不眠、妊娠高血圧症候群や貧血、便秘や頻尿、静脈瘤など体調の変化が起 こりやすく、早産の心配や分娩への不安が高まることがあります。 産 婦 ・産後のホルモンバランスが変化し、心身ともに不安定な時期であり、マタニティ ーブルーズや産後うつ病が出現することがあります。 ・自分自身の体が回復しない状況の中、生まれたばかりの子どもの慣れない育児で 身体的にも精神的にも負担がかかりやすい状態です。 災害時の妊産婦への対応については、以下のような点に留意しましょう。 ■妊婦は、胎児への影響や無事に生まれてくるか、流産や、安全に分娩できるか などさまざまな不安を抱えることになるため、安全な分娩や胎児の安否が確認で きる健診体制の確保など、保健医療ケアの継続が重要となります。 ■必要な物資を確保し、衛生環境や生活環境を整えることが安心につながります。 ■育児不安を解消するための子育て支援を継続的に行っていきます。母子の状態 は相互に影響を及ぼすため、夫や家族などの理解や心理的なサポートの確保など、 長期的な視点での支援が必要です。 ■睡眠障害や産後うつ病が疑われる場合は、速やかに医療につなげることが優先 されます。 ・乳幼児を抱えた親への支援では、オムツやミルクなどの確保が早急に必要となりま す。また、保護者が安心して養育ができる環境(例えば、防寒・避暑、衛生が保たれ る場所、授乳室の確保、子どもが泣いても大丈夫な場所など)を整えることも必要で す。やるべきことが多く、親だけでは対処が困難となることもあります。周囲から支 援し、社会資源が利用できるようにすることも必要になります。また、被災した子ど もにあらわれる反応を知ってもらうことも大切です。 マタニティーブルー:出産後の急激なホルモンバランスの変化などにより一時的に 情緒不安定になります。出産後2日~2週間ぐらいに起こり、10 日ほどで自然に 治ります。 産後うつ病:出産後 1~2 週間から数ヶ月くらいに起こり、気分の落ち込み、興味 や喜びの喪失、食欲低下、不眠、疲れやすさ、気力や思考力・集中力の減退などの 症状が2週間以上続きます。

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③ 高齢者 高齢者は、加齢に伴う心身の諸症状もあり、環境変化に慣れにくく心身の調子を崩し やすいです。加えて、被災によって長年積み重ねてきたものを失い、住み慣れた場所を 離れるということは、高齢者にとって大きな負担となります。 ■災害時に高齢者に起こりやすい変化 ■災害時の高齢者への対応 【高齢者うつ病について】 不安や焦燥感が強く表れ、落ち着きがなくなったりすることがあります。うつ病が原 因で、ぼんやりして簡単な質問に答えられないなどの物忘れの症状がみられることがあ ります。物忘れの自覚があるのが高齢者のうつ病で、認知症との鑑別が重要です。治療 法が異なるので早期発見・早期治療が大切です。 【認知症高齢者について】 災害後、症状が悪化しやすいのでできるだけ落ち着ける環境づくりをし、生活での困 難な点について解消しましょう。症状の悪化があれば専門医療へつなぎましょう。 【高齢者せん妄について】 災害後は、強度のストレス、睡眠不足、環境の急激な変化などから高齢者は“せん妄” が出現しやすく、不眠症や認知症と勘違いされることも多いので注意が必要です。せん 妄は、強い不眠、不穏、興奮などが主な特徴ですが、記憶力の低下や見当識障害(時間 や場所などがわからない)など認知症に似た症状が目立つこともあります。穏やかな態 度で接し、安全を確保します。必要に応じ専門医療につなげます。 ・日付や季節、場所などがわかりにくくなる。 ・失った人や物、場所に強くこだわり、現実を受け入れるのが難しくなる。 ・新しい環境になじめず、孤立感を抱いたり、被害的になったりして周囲とうまく接 することが難しくなる。 ・先が見えない絶望感などから周囲からの援助を拒む場合がある。 ・先の生活の不安から支援物資や不要なものまでもため込んでしまい不衛生になる。 →その他、不眠や気分の落ち込み、食欲不振などが見られる場合も多く、また、一時 的な認知症様症状もみられることもあります。 ・何に困っているのか、高齢者が表現することに耳を傾け、それに対して適切な情報を 提供し、できる限り余計な不安を取り除く。 ・環境調整や睡眠の確保、医療の確保など現実的に必要な支援を行う。 ・睡眠導入剤などを処方されている方には、ふらつきや転倒などに注意する。 ・こまめに声かけをして孤立感をいだかせない。 ・ぼんやりしている時間が長くならないよう、雑談や軽い運動、散歩などに誘う。 ・災害前の人間関係を保てるように、以前からの顔見知りとの交流の機会を大事にする。 ・生活の知恵や強みなどを尊重し、無理のない役割をお願いする。 など

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④ 身体障がいのある方 身体障がいのある方に対しては、必要な医療的ケアや介助、医薬品、介護必需品の 確保など、現実的な支援とそれらに関する情報を提供することが特に大切になります。 支援にあたっては、直接のコミュニケーションが困難でない限り、介助者でなく本人 に向けて話しかけ、要望を確認して支援することが大切です。生活上必要なサポート を気兼ねなく安心して得られることが、こころのケアにつながっていきます。 【視覚障がいがある方】 ・視覚による理解が難しいため、置かれた状況がわからず瞬時に行動をとることが難 しかったり、周りの状況に合わせた避難等が難しい場合が多いです。 ・話す前に支援者の名を名乗り、本人の視力や身体の状態を聞きそれにあった支援を 行います。情報は、具体的にわかりやすい表現で伝えます。 ・誘導介助の際には支援者が前に立ち肘の上をつかんでもらい、ご本人に合わせて歩 きます。 【聴覚障がいがある方】 ・補聴器を使用している方もいますが、コミュニケーション手段は、まず本人の希望 を聞きベストな方法で、手話や筆談等を用います。手話通訳者等の支援者との連携が 必要になってくる場合もあります。 ・災害発生を知らない可能性もあるので、手話や筆談による災害情報の伝達が必要で す。掲示板、FAX、Eメール、文字放送テレビなども有効活用します。 【言語障がいがある方】 ・発声によって自分の状況等を伝えることが困難であることが多いため、手話や筆談 等のコミュニケーション手段が必要になります。 【歩行障がいがある方(移動に困難を抱えている方)】 ・肢体不自由の方だけでなく、平衡機能や中枢神経系の働きによる姿勢や動きを調整 する機能の障がいから、四肢体幹に異常がなくても転倒したり、よろめく等の歩行障 がいが生じている方もいます。 ・車イスなどの移動用具を使用する必要がある方もいます。通路などに障害物を極力 置かない、バリアフリーを図るなど移動しやすい配慮が必要です。 【内部障がいがある方】 ・心臓ペースメーカーを埋め込んでいる方や、人工透析をしている方、人工肛門や膀 胱瘻がある方、経管栄養の方、人工呼吸器装着や在宅酸素療法をしている方等ですが、 環境の変化等から体調を崩す場合もあり、常に配慮を要します。 ・医療機関や医療物資を早期に確保し、不安感を除くことが大切です。

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⑤ 精神障がいのある方 災害時の状況変化に対して混乱しやすくなり、激しく動揺する場合があり、不安・ 不穏になりやすいことから適切な治療と服薬を継続する必要があります。被災により、 治療の中断(服薬の中断)による症状の悪化が心配されます。必要な薬が手元にある か、身体的・精神的な症状の変化はあるかなどを聞き取り、医療の必要性をなるべく 早く把握します。その上で、主治医と連絡をとる、精神科医のいる医療チームに相談 する、臨時で設置されている診療所を紹介するなど、医療につなげることが大切です。 また、情報を集める・調べるといったことが苦手な方もいますので医療情報だけで なく避難場所や物資の入手方法、ライフラインの復旧状況といった生活情報の提供も 必要になります。大勢の人が集まる環境が大きなストレスとなることもあり、避難所 ではなく自宅で過ごされている方も想定されます。自宅で過ごされている方に対して、 安心できる居場所の提供や情報が発信できる体制の確保、不安等を相談できる場の提 供も必要になります。 (主な精神疾患) 【統合失調症】 ・100 人に1人がかかるといわれる頻度の高い疾患です。 ・幻覚・妄想などの症状の他、生活上や行動面の障がい・意欲の低下などが現れます。 ・服薬の中断や被災のストレス、生活環境の変化といった影響により症状が悪化する こともありますが、早期の対応により症状を改善・軽症化することができます。 ・災害時の不安から、大きな声をだしたり、落ち着きなく動き回るような行動が見ら れる場合には、騒ぎ立てずに静かな場所に誘導します。しばらくそばに付き添い、 安全な場所であることを伝える等して不安を取り除くことが大切です。 ・対応する際には、ゆっくり・はっきり・簡潔な言葉で伝えます。何度も同じ質問を 繰り返す場合もありますが、指摘はせずに同じようにわかりやすく伝えます。 ・服薬の確認をした上で、継続的に服薬ができるよう配慮をし、薬の残量がない場合 や症状悪化している場合には速やかに医療受診につなげましょう。 【うつ病】 ・一生のうちに 15%程度の人がかかると言われている頻度の高い疾患です。 ・抑うつ気分(憂うつ・気が重い)、思考力低下、意欲低下、自分が無価値と感じる、 死にたい気持ちになる、イライラする、焦燥感がある、などの症状が現れます。被 災による高いストレスの影響で、再発や新たに発症するケースがあることも想定し ておく必要があります。 ・静かな場所で、寄り添う気持ちで対応します。不安な気持ちや無力感を受け止め、 安易な声かけや、過剰な励ましは避けます。現在できていること、前向きに取り組 もうとしていることについて認め、支持的な対応ができるとよいと思われます。服 薬や睡眠の状況について確認し、状況に応じて速やかに医療受診につなげましょう。

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【その他】 ・神経症性障害や身体表現性障害(不安障害、パニック障害、強迫性障害)の方など、 ストレスの影響を受けやすいために、不穏・不安定さが出現する場合があります。 ・不安な気持ちに寄り添い、傾聴し、安心感を与える関わりをします。できる限り静 かな刺激の少ない場所で対応しましょう。 ・双極性感情障害の方についても、災害に関連するストレスに反応して症状が強く出 る方もいますので、支援が必要です。 (その他の疾患) 【てんかん】 ・突然意識を失って反応がなくなるなどの「てんかん発作」を繰り返し起こします。 発作の長さは1秒以下のこともあれば数分のこともあり、自然に症状が始まること が特徴です。疲労や不安が増大する災害時には、発作のリスクが高まるので注意を 必要とします。発作そのものが致命的になることはめったにないので、まずは支援 者が落ち着いて対応することが大切です。 ・てんかん発作のある方はいつ発作が起こるかわからないことへの不安や緊張の中で 生活しています。服薬の有無や、薬の残量、睡眠の状況などについて確認し、安心 して過ごせるように配慮をします。 ◆てんかん発作の際の対応のポイント 発作の際に気をつけること 発作の際にしてはいけないこと ・気分を落ち着かせ冷静な対応をし、騒ぎ 立てないようにする。 ・火、水、高い場所、機械のそばなどの危 険物から遠ざけ、周囲の安全を確保す る。 ・衣服の襟元、ベルトを緩める。メガネ、 ヘアピン等の装着物に気をつける。 ・気道を確保し、窒息や舌をかむことを防 ぐ。嘔吐物による窒息を防ぐため、嘔吐 物をふき取り、意識が回復するまで静か に見守る。 (公益財団法人日本てんかん協会 HP)

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⑥ 知的障がい・発達障がいのある方 緊急事態の認識が不十分なため、環境の変化に対応できず混乱したり、自分の置かれ ている状況を上手に説明できない方もいます。避難誘導の際には、家族など本人が安心 できる方と協力し誘導する等、気持ちを落ち着かせるための配慮が必要です。また、場 合によっては刺激から遠ざけるような配慮(静かな個室で一定時間過ごしていただく) なども必要です。ご家族は、障がいのある本人には避難所生活は難しいと考え、避難 所への合流をためらうことも珍しくありません。安心できる居場所の提供や情報が発 信できる体制の確保、不安等を相談できる場の提供も必要になります。 【知的障がい者への対応の留意点】 ・家族等と協力して支援する。 ・わかりやすく表現し穏やかな口調で、個別に繰り返し説明する。 ・説明がわかっているか確認しながら先に進める。 ・できるだけ災害以前と同じような生活ができるように配慮する。 ・急に興奮したり、気分が沈んだり、パニックになるなどの情緒的反応を起こした場 合は刺激から遠ざけ、落ち着くまでゆっくり待つ。 【発達障がい者への対応の留意点】 ・言葉を聞いて理解することが難しい方が多く、絵や図、文字のような視覚刺激があ ると現状を理解しやすいので工夫する。 ・集団に入ることが苦手な方が多いので、個別のスペースを作る工夫をする。 ・生活上のこだわりやパターン化した行動をとる方もいるので、その行動様式を尊重 する。 ・パニック、興奮を起こした時は静かなところで気持ちが落ち着くまで待つ。 ・指示は、簡単・明瞭に伝える。 ・時計など見せて、待ってもらう時間等を具体的に伝える。 ⑦ 日本語が読めない方・話せない方 母国語が通じない状況で災害に遭うのは大変不安なものです。状況についての正し い情報が伝わりにくく孤立感を抱きやすいため、通訳等の助けを得ながらのサポート が必要です。また、その国によって習慣が違うことへの配慮を要します。 ・できるだけわかりやすく日本語を使用し、ルビ(ふりがな)をつけたチラシやパ ンフレット等も準備しましょう。 ・外国語によるラジオ放送や、外国語が話せるボランティアの巡回状況を伝え、で きるだけ情報が入手しやすい環境を作りましょう。 ・避難所、仮設住宅における基本的な生活ルール(ゴミ出しや共有電話の使い方等) は、できるだけ早急に伝え、トラブルの原因となることを避けましょう。

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(4)その他 被災時のアルコール問題 飲酒は、気持ちを和らげ、ストレス緩和の一手段となっています。一方で、ス トレスによって飲酒量が増え、また、飲酒がもとで心身を害したり、対人トラブ ル等さまざまな問題に発展することもあります。被災地では、被災のストレスで 徐々に飲酒量が増えることがあり注意が必要です。 ■ 不眠と飲酒 被災によるストレスで寝つきが悪くなったり、中途覚醒してしまうことは誰に でも起こりうる正常な反応です。「寝付けない」、「目が覚める」と飲酒を繰 り返したりすると、日中の倦怠感等につながり生活に影響を及ぼします。慢性 的な不眠に関しては専門的な医療につなげましょう。 ■ アルコール依存症 アルコール依存症は、大量のお酒を長期にわたって飲み続けることで、お酒 がないといられなくなる(自分ではコントロールできない)病気で、誰もが依 存症になる危険があります。ご本人は依存症を認めたがらない傾向にあり、飲 酒量が増加することで、病気が慢性化、悪化していきます。 アルコール依存症の離脱:飲酒が継続している限りアルコール依存症はなかな か顕在化しません。しかし、被災によりアルコールの供給が断たれ、飲まない 状態でいると、離脱症状として顕在化することがあります。 (症状)発汗、動悸、震え、イライラ感、不安、抑うつ、焦り、不眠、幻覚、 意識障害 等 (時期)早ければ断酒後7時間頃より始まり、2~4日後にピークを迎え、通常 は1週間で回復する。 ■ 飲酒と自殺 また、アルコール依存症者はうつ病を併発していることもあり自殺との関連 を強めています。さらに、単なる「飲み過ぎ」でも、うつ状態を引き起こし、 自殺の危険を高めます。困難な問題を抱えている方がつらい気持ちをアルコー ルで紛らわそうとしたりすることは自暴自棄な考えに陥りやすいといわれてい ます。「追い詰められたときには、飲みながらものを考えない。」ということ が大切です。 ■ 避難所での飲酒 避難生活が長くなると、避難所等で「酒盛り」が開かれる心配も出てきます。 前述したように、飲酒は気持ちを和らげたりする半面、飲酒がもとで心身を害 したり、対人トラブルを招いたりするので、「酒盛り」は原則禁止のルール化 が必要です。あわせて、アルコール飲料の持ち込み禁止、支援物資の中にも入 れないことをルール化することも必要です。 こういった被災時のアルコール問題については、早期に避難所等において周知 を行うことが大切です。

(23)

被災時の睡眠問題 災害後、睡眠障害は多くの人に起こります。夜も警戒心が解けないため入眠が困難 になったり夜中に頻繁に目を覚ましたりします。生活ストレスや生活の変化に対する 不安も入眠障害を引き起こします。睡眠の乱れは、気分・集中力・決断力に大きく影 響しケガの危険性を増大させます。2週間以上不眠が持続する場合は専門医への受診 を勧めましょう。 ■不眠症状への対応 ・毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きる。 ・アルコールを減らす。 ・午後や夜にカフェイン入りの飲み物をとらないようにする。 ・運動を習慣づける。ただしあまり就寝時間と近くならないようにする。 ・就寝時間の前には穏やかな音楽を聞いたり、瞑想したりするなど何分かリラック スできることをすすめる。 ・昼寝は30分までとし午後4時以降は昼寝をしない。 ・眠れなくてよいので静かに横になり休養をとる。 ・不安で夜がつらいといった訴えが強い時は、医師の指導のもとに適切な薬剤を服 用することを考慮する。 報道機関(マスコミ)との協力・対応 ① 報道による情報援助の意義 迅速、公正な報道が行われることは、災害の事実関係の情報のみならず、援助に 関する情報をも提供する上で非常に有益です。また、報道によって被災地域がその 他の地域、住民と結びついているように感じられることは、一種の治療的ネットワ ークを形成し、トラウマからの立ち直りを助けます。 ② 取材活動による二次被害の防止 取材活動における予告のないフラッシュの使用、多数の取材者によるインタビュ ーや詳細な聞きとり、自宅・避難所生活の撮影等は、被災者の被害体験を再現させ たり疲弊させたりすることがあることを取材側へ伝えて、理解を求め二次的被害が 生じないように協力を依頼します。 ③ 情報提供の際の留意点 災害時には、報道の肯定的な意義を認識し、必要な情報は積極的に開示する とともに、前記したように特定の被災者に取材活動が集中したり、本人の意思が確 認できない状態での取材が過剰とならないように理解を求める必要があります。ま た、報道への対応は、災害対策本部等の基本的に援助の現場ではない部署で一元化 するのが望ましいです。また、情報は「いつの時点のもので情報源は何か」という ことを明示して提供します。あいまいな発言は誤解や憶測を生み、現場に混乱を引 き起こすことになりかねません。発言した情報は、時系列に整理し保管しておきま しょう。

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4 支援者のメンタルヘルス

被災者のケアにあたる支援者は、自身が被災者であることも多く、また外部から入 った支援者についても、災害体験を被災者から聴く過程や悲惨な状況を目撃すること で精神的打撃を受け、こころや体に様々なストレス反応がでることがあります。 また、人手が足りない、情報がうまく得られない、被災者からやり場のない怒りを ぶつけられるといったこともストレスの原因となります。支援者自身も被害を受けて いることを自覚し、ストレスによって生じ得る心身などの反応を知っておくことで自 身のストレスに気づき早期に対応することに役立ちます。 (1)支援者におこりうる心身の反応 過酷な状況においても、人はその環境に適応する能力を持っています。しかし、 大惨事の場合、そのストレスは甚大です。そのため、本来の適応能力では対処しき れないまでの衝撃を受けることがあります。 ・惨事ストレスは「異常事態に対する正常な反応」で誰にでも起こりうる。 ・反応が出た場合でも、多くの場合は一時的で、次第に収まり完全に回復する。 ・しかし、一部の場合は、その影響が長引く場合もありえる。 ・ストレスを受けた際の心身の反応を理解する必要がある。 ・反応が長引く場合には、なるべく早く周囲に相談するのが望ましい。 心の変化 ・気分の高ぶり、イライラ、怒り、憤り ・不安 ・無念さ、無力感、自分を責める ・憂うつになる、現実感がなくなる ・時間の感覚がなくなる ・繰り返し思い出してしまう ・感情が麻痺する ・仕事が手につかなくなる 体の変化 行動への影響 業務への影響 ・不眠、悪夢 ・動悸 ・立ちくらみ ・発汗 ・呼吸困難 ・消化器症状 ・音に過剰に驚く ・飲酒量が増える ・タバコが増える ・危険を顧みなくなる ・他人と関わりたくなくなる ・業務に過度に没頭する ・思考力の低下 ・集中力の低下 ・作業能率の低下 ・事故や失敗の増加

(25)

(2)支援者のストレス対策 支援者の燃えつきをふせぐために、活動前・活動中・活動後の各期に考慮すべき ことについて紹介します。 支援活動前 ・自分自身の健康状態の確認 ・家庭、職場のサポート体制の確認 ・不在に備え、家庭や仕事での自分の役割や責任についての準備 支援活動中 過酷な状況においては、休憩など健康を保つための工夫に対し、罪悪感を抱く可能性も ありますが、支援者自身が体調を崩さないことが大切です。 【生活スペースを維持すること】 ■十分な睡眠をとりましょう 睡眠時間の確保は非常に重要です。業務により削られることのないようにしなければな りません。不眠が続く場合は身近な方(同僚や上司など)に相談し、アルコール等に頼 らず、早めに医療機関を受診しましょう。 ■十分な食事、水分をとりましょう お互いに声をかけて、意識して休憩や食事をとりましょう。 食欲がないときや時間がないときには、少量に分けて食べましょう。 水分補給にも気をつけてください。 ■カフェイン(コーヒーなど)のとり過ぎは気分に悪影響を与えるので注意しましょう ■アルコール・タバコのとり過ぎに注意しましょう 【自分の心身の反応に気づくこと】 ■自分の心身の状況に注意を向けましょう ■心身の反応が出ている場合は、休憩・気分転換を心がけましょう ■休憩にあたっての注意 「自分だけ休んでいられない」と罪悪感が生じることは自然なことです。しかし、支 援者自身が調子を崩すと、その影響がかえって周囲に及びます。同僚とともに休憩を とるのもひとつの方法です。 【気分転換の工夫】 ■少し体を動かすと、体の緊張がほぐれ、血行がよくなります。深呼吸をしたり、体を 伸ばしたり、意識して少し体を動かしてみましょう。 落ち着きを取り戻す・・・深呼吸、目を閉じる、瞑想 体をほぐす ・・・ストレッチ、散歩、体操、運動 リラックスする ・・・音楽を聴く、入浴 ※日頃から行っている習慣やストレス解消法があれば取り入れる工夫をしてみましょう。

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【一人でため込まないこと】 ■家族、友人などに積極的に連絡しましょう 支援活動に没頭せず、生活感・現実感を取り戻すことも必要です。 ■職員同士でお互いのことを気遣いましょう なるべくこまめに声を掛け合うこと、お互いの頑張りを労うことは大切です。 自分自身でこころの変化に気がつかないこともあるので、お互いの体調に気を配りま しょう。 ■体験や感情を共有しましょう 自分の体験を話し、感情をため込まないようにしましょう。 可能であれば、職員が集まって、その日体験したことや感じた事を話す機会を持ちま しょう。その際は、他人を批判しないことや、自分の仕事をほめる、同僚と評価し合 う等お互いを労い合う事を心がけましょう。 ※電話相談、健康相談やカウンセリングなどを活用する方法もあります。 【ペアを組んでの活動】 原則としてペアでの活動が基本です。ペアに際しては、被災者支援の経験の有無や土地 勘の有無などにも配慮するとよいでしょう。また、心身の不調に気づきにくいため、常 にお互いの様子をチェックし、休憩時など声をかけ合ってください。 支援活動後 支援が終わって本来の生活に戻ったとき、日常生活に戻るための時間が必要です。しば らくは、日常生活に戻ることを最優先にする必要がありますので、十分な睡眠・食事・休 養をとりましょう。また、支援者同士で連絡を取り合い、活動を振り返る機会を持つなど もよいと思われます。体調が心配な時は、相談機関の利用を検討してください。 ※組織としても、特に上司の立場にある者が、支援者自身のメンタルヘルスの維持の 重要性について正しい認識をし、支援者同士の十分な話し合いの時間を確保する、交 代で休息を計画的にとるように配慮するなど、対策をとっておくことが必要です。 ※「バーンアウト(燃えつき症候群)」について 支援に懸命になるあまり、こころや体が多少つらくても無理をして頑張ってしまう ことがあります。我慢して頑張り続けると、こころのバランスを崩してしまいます。 この状態をバーンアウト(燃えつき症候群)と言います。燃えつきてしまう前に、上 述のように自分の心身の状態にも目を向けて、休養やストレス解消に心がけましょう。 一人で背負いこまずに、チームで相談して支援したり、支援者同士でお互いのことを 気遣うことも大切です。 燃えつきを防ぐ三原則 相棒をつくる、自分の限界を知る、ペースを守る

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資料

1.普及啓発資料

・災害状況、活動場面、対象にあわせて、配付資料の内容を工夫してください。 ・配付資料の下段には、必要に応じて相談先・連絡先を記載してご利用ください。 様式 No. リーフレット名 対 象 1 被災されたみなさまへ ~こころと体の変化について~ 被災者 2 被災されたみなさまへ ~飲酒量、増えていませんか~ 被災者 3 避難所にいるみなさまへ ~定期的に受診していましたか?薬は足りていますか?~ 避難所にいる被災者 4 被災されたお子さんをお持ちのご家族へ ~災害と子どものこころ~ 保護者 5 高齢者を見守る方へ ~高齢者の反応と対応~ 家族、支援者 6 支援活動に携わっている方へ ~支援者や周囲の人々が気をつけること~ 支援者、周囲の人々 【その他】 「ほっと安心手帳」内閣府作成 (内閣府ホームページ掲載) ・災害を経験した方、家族や友人を支える方向けのこころのケアの手帳です。災害発生からの経過期 間別に第1弾から第3弾まであります。一部、英語版もあります。 第1弾:災害発生直後~半年、第2弾:災害発生半年後~、第3弾:災害発生1年後~

(28)

様式1 被災されたみなさまへ

災害などの大きな出来事のあとには、私たちのこころと体には、様々な変化が起こります。

●食欲がない、吐き気、胃腸の調子が悪い、じっとしていても胸がどきどきしたり、眠れな

い、どうして自分がこんな目にあわなくてはならないのかとの怒りがこみ上げてくる、悲

しみ、自分がとても無力に感じる、ぼんやりする など

【ストレスを乗り越えやすくするために】

 で き る だ け 体 を 休 め ま し ょ う 。

や ら な け れ ば な ら な い こ と が た く さ ん あ っ て 、 体 も こ こ ろ も 疲 れ て き ま す 。

疲 れ を 感 じ た ら 短 時 間 で も 横 に な る よ う に し ま し ょ う 。

 食 事 や 水 分 を 十 分 に と り ま し ょ う 。

食 べ 物 が 口 に 合 わ な か っ た り 、普 段 と 違 う 生 活 の た め に 食 事 が 不 規 則 に な り

が ち で す 。特 に 高 齢 者 と 子 ど も さ ん の 場 合 は 、脱 水 を 防 ぐ た め に も こ ま め に

水 分 を 補 給 し ま し ょ う 。

 カ フ ェ イ ン( コ ー ヒ ー 、紅 茶 、緑 茶 な ど )や 、ア ル コ ー ル 、タ バ コ の 摂 り す

ぎ は 、 不 安 や 不 眠 を 悪 化 さ せ る こ と が あ る の で 注 意 が 必 要 で す 。

 と き ど き 体 を 動 か し て リ ラ ッ ク ス し ま し ょ う 。

緊 張 が ほ ぐ れ 、血 行 が よ く な り ま す 。少 し 歩 い た り 、深 呼 吸 や ス ト レ ッ チ を

こ こ ろ が け ま し ょ う 。

 不 安 を 1 人 で 抱 え 込 ま ず に 安 心 で き る 人 と 話 し ま し ょ う 。

被 災 後 に は 誰 で も 心 配 事 が 増 え た り 不 安 に な っ た り す る も の で す 。1 人 で 抱

え 込 ま ず 、安 心 で き る 人( 家 族 や 友 人 、ご 近 所 の 人 、支 援 者 な ど )と 話 を し

て み ま せ ん か 。 話 す こ と で 気 持 ち が 少 し 楽 に な る と 思 い ま す 。

こころと体の変化について心配があるときは、お近くの医療機関や保健所・市町村の保健

師などへご相談ください。

ご相談は・・

このような変化は、誰にでも起こる正常な反応です。多くは、時間の経過とともに次第

に軽減していきます。回復の早さは人それぞれ違います。あせらないで自分のペースを

大事にしましょう。

(29)

様式2 被災されたみなさまへ

災害によるストレスや不眠を解消するために飲酒量が増えることがあります。

適量を超えてしまうと、様々な問題が生じやすくなります。

お酒の飲み方チェック ~こんなことはありませんか?~

1.あなたは今までに、自分の飲酒量を減らさなければいけないと感じたことがありますか?

(はい・いいえ)

2.あなたは今までに、周囲の人に自分の飲酒について批判されて困ったことがありますか?

(はい・いいえ)

3.あなたは今までに、自分の飲酒についてよくないと感じたり、罪悪感をもったことがあり

ますか? (はい・いいえ)

4.あなたは今までに、朝酒や迎え酒を飲んだことがありますか? (はい・いいえ)

「アルコール依存症自己チェック(CAGE)」

※2項目以上当てはまるのであれば、たとえきちんと仕事ができていたとしても、ま

た、健康診断で肝臓の機能が正常だといわれていたとしても、アルコールの飲み方は

問題があります。まずは、飲酒を控えましょう。そして医師や保健師等にご相談くだ

さい。

災害時には、飲酒に注意が必要です。アルコールで問題は解決しません。

 アルコールで不眠は解決しません。眠りが浅くなり疲れがとれにくくなります。

 アルコール依存症ではなくても、多すぎる飲酒で、うつ状態になったり、考えの幅が

狭くなり、自殺の危険性が高まります。

 災害前から飲酒問題のあった方は、災害後に飲酒問題が悪化することがあります。

★避難所では、飲酒禁止やアルコール飲料の持ち込み禁止に御協力をお願いします。

ご相談は・・

適度な飲酒は、生活を豊かにしますが、一度アルコール依存症になると、独力(自力)

での断酒はほとんど期待できず、解決には多くの時間と労力を要します。

(30)

様式3 避難所にいるみなさまへ

たとえば

・ 医師からもらった、普段飲んでいる薬を持って来られなかった

・ いつも定期的に病院に行っているけど、症状が悪くなるのではと心配

・ 医師から、生活で気をつけなければいけないことを指示されている

 急に薬をやめると、症状が悪化することがあります。自己判断せずに、

医療関係者や保健師、避難所の行政職員などにご相談ください。

 別室などで、服薬・自己注射などが必要な方はお申し出ください。

(例)

高血圧の薬、糖尿病の薬、インシュリン注射、てんかんの薬、

精神科の薬、人工透析、在宅酸素療法、人工ぼうこう、人工肛門

ご相談は・・

(31)

様式4(両面) 被災されたお子さんをお持ちのご家族へ

大きな災害の後は、こころや体の不調が現れやすくなります。特にお子さんの場合は、ここ

ろの不安が様々な行動となって現れることがあります。一旦落ち着いたようにみえても、災害

関連のニュースを見たり、災害が起きた日が近づいてきたりすると、ぶり返したように見える

こともあります。

災害を経験したお子さんがこのような反応を示すことは正常なことですので、裏に書

いてある対応をとりながら様子をみましょう。ただし、長引いたり、心配な場合には、

相談機関にご相談ください。

行動の変化

赤ちゃん返り(おもらし、指しゃぶり)

、甘えが強くなる、親のそばから離れ

たがらない、そわそわして落ち着きがない、反抗的になったり乱暴になったり

する、災害を連想させるような遊びをする、一人になることや知らない場所・

暗い場所や狭い場所を怖がる

こころの変化

イライラして機嫌が悪い、小さい物音にびっくりする、突然興奮したりパニッ

ク状態になる、泣いたり落ち込んだり感情が不安定になる、表情が乏しくなっ

たり、感情がなくなったかのように見える

体の変化

食欲がなくなったり食べ過ぎたりする、寝付きが悪くなったり何度も目覚めた

りする、悪い夢を見たり夜泣きをする

参照

Outline

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