• 検索結果がありません。

<原著>A県内訪問看護師の職務満足感とバーンアウトに関する一考察 利用統計を見る

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "<原著>A県内訪問看護師の職務満足感とバーンアウトに関する一考察 利用統計を見る"

Copied!
6
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

A 県内訪問看護師の職務満足感と

バーンアウトに関する一考察

An Approach to Work Satisfaction and Burnout among Visiting Nurses

in A Prefecture in Japan

望月宗一郎

1)

,茂木美奈子

2)

,飯島 純夫

3)

MOCHIZUKI Soichiro, MOGI Minako, IIJIMA Sumio

要 旨

本研究では,訪問看護師の職業性ストレス対処について検討する基礎資料として,A 県内の訪問看護師の 職務満足感とバーンアウトの関連について明らかにすることに加え,共分散構造モデルを用いて職務満足感 に関連する因子を探索することを目的とした。 A 県内の訪問看護ステーションに勤務する訪問看護師 250 人を対象に,無記名自記式質問紙調査を行った。 有効回答数は 199 人(79.6%)であった。その結果,訪問看護師において,職務満足感の低下と訪問看護師の専 門職としての認識不足がバーンアウトを引き起こす要因になると考えられた。また,職務経験や現任教育等 により,専門職としての認識不足を解消することが,職務満足感を高めるために有効であると考えられた。

In order to examine occupational stress measures, we sur veyed visiting nurses to elucidate the association between work satisfaction and burnout. The Structural Equation Model was used to examine factors related to duties and feelings of satisfaction.

The research design was a cross-sectional survey using a self-administered questionnaire. Unsigned questionnaires were distributed to 250 visiting nurses in A Prefecture. The response rate was 199 (79.6%). As a result, the following were clarifi ed. If they were unhappy with work and lacked recognition as visiting specialists, they experienced burnout.

Work experience and ongoing education helps them become more recognized as specialists and raises their work satisfaction.

キーワード 現任教育,職業性ストレス,職務満足,バーンアウト,共分散構造分析 Key Words Ongoing Education, Occupational Stress, Work Satisfaction, Burnout, Structural Equation Model

受理日:2009 年 7 月 22 日

1) 山梨県立大学看護学部地域看護学領域:

Faculty of Nursing, Yamanashi Prefectural University 2) 東海大学医学部付属病院:Tokai University Hospital 3) 山梨大学大学院医学工学総合研究部(健康・生活支援看護学):

Interdisciplinary Graduate School of Medicine and Engineering (Health Department of Health Science and Community-Health Nursing), University of Yamanashi

Ⅰ . 緒言

我が国の医療機関における看護現場では,医療の高度 化や複雑化,患者ニーズの多様化等の影響を受け,医療 チームの主要な役割を果たす看護職の職業性ストレスは 全国的に高まっている1)2)。同様に,在宅における看護 現場においても,訪問看護利用者数の増加3),対象のニー ズや家族形態の多様化,在院日数短縮化等による医療依 存度の高い在宅療養者の増加4),他職種との関係性5) の影響により,訪問看護師にかかるストレスも大きいと 言われている6)∼ 8)。また,これらが要因となって,近 年特に訪問看護師の離職問題が深刻化している。全国の 約 4 割もの事業所が人手不足を理由に訪問看護サービス の提供を断ったことがあると報告されており9),訪問看 護師の人材確保は急務の課題と言える。訪問看護師は, たいてい一人で療養者の自宅に出向き,対象とその家族 との関係性の中で医療行為を行い,ときには生命に関す

(2)

る状況判断を余儀なくされる場面も少なくない5)6)。訪 問看護師の持つ専門性自体が職業性ストレスを生じやす く,人材不足による業務量の増大と相まって悪循環を引 き起こし,結果的にサービスの質の低下に繋がる可能性 は否めない。 訪問看護師の職場への定着を図るためには,訪問看護 師の労務管理や職場環境整備が必要である10)と言われ ている。そして,訪問看護師の職務意欲を維持・向上さ せることは,離職の低減だけではなく,各職員の知識・ 技術の蓄積を助けサービスの質の向上に繋がるのではな いかと考えられる。訪問看護師の職務満足感の向上には, 業務負担の軽減と職場での研修体制が関連していると報 告されており10),職務内容や職場環境,給与満足,人 間関係が職務満足感と関連している7)9)ことも示されて いる。また,職務満足感とバーンアウトとの関連につい ては病院看護師を対象とした研究11)12)では明らかとなっ ているが,訪問看護師を対象に構造モデルを用いて職務 満足感に関連した要因を探った報告は非常に少ない。ま た,現任教育の観点から訪問看護師を対象とした認定講 習や現任研修との関連について触れている研究もない。 1992 年に老人保健法で老人訪問看護制度が創設され たことをきっかけに,全国における在宅を拠点としたい わゆる訪問看護の法的基盤が構築された。これに先駆け, A 県では 1977 年に地域訪問看護事業検討委員会を設置 し,1985 年には全国で初めて県下全市町村を実施主体 とした訪問看護事業を制度として位置付けた実績がある13)。 以上のことから,本研究では,A 県内の訪問看護師の 職務満足感とバーンアウトの関連について明らかにする とともに,訪問看護師の職務満足感に関連する因子につ いて検討していきたい。

Ⅱ . 目的

本研究は,訪問看護師の職業性ストレス対処について 検討する基礎資料として,A 県内の訪問看護師の職務 満足感とバーンアウトの関連について明らかにすること に加え,訪問看護師の職務満足感に関連する因子を探索 することを目的とした。

Ⅲ . 用語の操作的定義

「職務満足感」: 個人の職務や職務経験の評価から生ずる好 ましく肯定的な感情とする。本研究では尾 崎ら14)が翻訳した「尾崎修正版尺度」のうち, 訪問看護師に適応可能と考えられる 3 下位 項目「職業的地位」「看護師相互の影響」, 「看, 護業務」からなっており,尾崎らの述べる職 務満足感の全体を反映してはいない。 「バーンアウト」: 特定のヒューマン・サービス従事者にしば しば起こる情緒的消耗感と冷淡な態度から なる症候群。意欲が燃えつきてしまうこと。

Ⅳ.対象と方法

A 県内の訪問看護ステーションに勤務する訪問看護師 のうち訪問看護連絡協議会に加入している 250 人全員を 対象に,無記名自記式質問紙調査を行った。訪問看護連 絡協議会が隔月開催する定例会の場を借り,本研究目的 を説明した後,各事業所に勤務する看護師数に合わせて 調査用紙を配布した。回答後の調査用紙は回答者本人が 封を閉じ各ステーションに備え付けた回収ボックスへ投 函することとした。回答用紙の入った回収ボックスは各 訪問看護ステーション所長が厳封状態で次回定例会時に 持参し,著者らがその定例会の場で調査用紙をボックス ごと回収することとした。 調査項目は,基本属性(年齢,職種,役職,勤務形態, 現職場での勤務年数,訪問看護師としての総勤務年数, 看護職としての総勤務年数),居宅介護支援事業兼任の 有無,認定講習受講の有無,認定講習以外の研修の受講 状況,バーンアウト尺度 17 項目,職務満足感に関する 項目とした。バーンアウト尺度は,田尾15)が Maslach

Burnout Inventry(以下 MBI とする)を翻訳した項目を 久保16)が 17 項目にまとめたものを用いた。MBI はわが 国でも多くのヒューマン・サービス従事者のバーンアウ ト測定に用いられ信頼性・妥当性が保証されている。「情 緒的消耗感」,「脱人格化」,「個人的達成感の後退」の 3 下位尺度からなり,その程度を「いつもある」から「ない」 の 5 件法で回答することとした。今回の調査では,訪問 看護師が対象であるため,「患者」という表現を「利用者」 に変更した。職務満足感に関する項目は,Stamps らの 尺度を尾崎ら14)が翻訳した「尾崎修正版尺度」48 項目の うち,訪問看護師に比較的適応可能な 3 下位項目「職業 的地位」,「看護師相互の影響」,「看護業務」に割り当て られた質問項目を用いた。その際「看護業務」に関する項 目のうち複数の質問内容を含んでいると指摘17)されて いる 1 項目を除き,「職業的地位」8 項目,「看護師相互 の影響」7 項目,「看護業務」5 項目の計 20 項目を使用した。 職務満足感に関する項目の選択肢は,「尾崎修正版尺度」 の選択肢に基づき「全くそうだ」から「全くそうではない」 の 7 件法で回答することとした。調査期間は,2008 年 7 月 16 日から 9 月 17 日とし,全ての分析には,統計ソフ ト HALBAU7.0 を使用した。

Ⅴ . 倫理的配慮

研究の対象者には,研究の趣旨と内容,方法,結果の

(3)

取り扱い,匿名性の保持,中断の保証について,文章で 説明した。調査への協力は自由意志とし,調査用紙の回 答をもって本調査への同意と判断した。また,以上のこ とを本調査対象の勤務する事業所長に口頭で説明し研究 協力の承諾を得た。本研究は「看護研究における倫理指 針(日本看護協会)」に沿って行い,山梨県立大学看護学 部倫理審査委員会の示す倫理指針に基づいて行った。

Ⅵ . 結果

回収数 220 人(88.0%)のうち,有効回答数は 199 人 (79.6%)であった。 1. 対象者の概要 対象者は女性 198 人(99.5%),男性 1 人(0.5%),平均 年齢± SD は 43.6 ± 8.0 歳であった。勤務形態では「常勤」 が 87 人(43.7%)で,「非常勤」が 109 人(54.8%)であった。 現職場の平均勤務年数± SD は 6.7 ± 5.1 年,訪問看護 師としての総経験年数は 7.3 ± 5.3 年,看護職としての 総勤務年数は 18.0 ± 7.5 年であった。居宅介護支援事業 「兼任あり」は 84 人(42.2%),「兼任なし」が 112 人(56.3%) であった。認定講習は「受講済み」が 138 人(69.3%),「受 講なし」が 56 人(28.1%)であった。認定講習以外の研修 を「よく受けている」者は 8 人(4.0%),「時々受けている」 者が 155 人(77.9%)であった。 2.基本属性別にみたバーンアウト得点 基本属性別に見たバーンアウト尺度得点の結果を表 1 に示した。バーンアウト尺度の下位項目うち情緒的消耗 感(最高 25 点)の平均± SD は 13.4 ± 4.4 点,脱人格化(最 高 30 点)の平均± SD は 9.6 ± 3.0 点,個人的達成感の 後退(最高 30 点)の平均± SD は 20.2 ± 4.3 点であった。 また,一般スタッフは管理職と比較して「個人的達成感 の後退」が有意に高く,常勤職員は非常勤職員に比べ「情 緒的消耗感」と「脱人格化」が有意に高かった。認定講習 以外の研修を「受講したことがない」者は,「時々受けて いる」者よりも「個人的達成感の後退」得点が有意に高い ことがわかった。 3. 職務満足感とバーンアウトの相関 次に職務満足感 3 下位項目とバーンアウト 3 下位項目 との関連について表 2 に示した。「職業的地位」は「情緒 的消耗感」(相関係数 r =−0.366),「脱人格化」(r = −0.330),「個人的達成感の後退」(r =−0.463)の全て の下位項目において負の相関が認められた。また,「看 護業務」では「情緒的消耗感」(r =−0.368)と「脱人格化」 (r =−0.250)において,「看護師相互の影響」では弱いな がらも「情緒的消耗感」(r =−0.149)と「脱人格化」(r =−0.170)においてそれぞれ負の相関が認められた。 4. 訪問看護師の職務満足感に関連する変数間の関係 共分散構造分析を用い,職務満足感に関連する規定モ デルを作成した(図 1)。分析を繰り返し行い,最終的に 本モデルを採用した。カイ 2 乗値(自由度)= 3.86(df = 10)で,GFI = 0.965,AGFI = 0.925,CFI = 0.936 であ り,ともに 0.9 を超えているため当てはまりのよいモデ ルであると考えることができた。また,RMSEA = 0.036 であり,0.05 未満の値をとっていることからも本モデル を容認でき,構成概念妥当性は十分に有する結果であっ た。潜在変数を命名するにあたり,調査項目の傾向を見 てみると,職務満足感を調査するために用いた 20 項目 中 8 項目は「自分の仕事をどのように認識しているか」に 関連しており,下位項目の「職業的地位」8 項目中 6 項目 がこれに該当した。尾崎ら14)は「職業的地位」について「技 術の有用性」と説明しており,個人の力量が大きく影響 し得る訪問看護業務の特徴から,組織における昇進とい うよりもむしろ専門職としての力量がこの下位項目に影 響すると予想される。これらのことと観測変数の内容か ら,潜在変数を「訪問看護師の専門職としての認識不足」 と命名した。偏回帰係数は図 1 に示す通りであった。「看 護業務」は「専門職としての認識不足」と負の相関関係に .07 .20 -.39 .27 .27 .05 e5 職業的地位 e4 -.18 -.03 * .70* .90 -.20 -.21 .08 .08 .49 * * 看護業務 看護師相互の影響 看護職としての経験年数 .08 専門職としての認識不足 情緒的消耗感 脱人格化 個人的達成感の後退 e1 e2 e3 変数右上の数字は R2 値,誤差項は略,長方形:観測変数,楕円形:潜 在変数,*p<.05 カイ 2 乗値(自由度)=3.86(df=10),GFI=.965,AGFI=.925,CFI=.936, RMSEA=.036 図 1  訪問看護師の職務満足感に関連する規定モデル 標準化推定値

(4)

表 1 基本属性別バーンアウト得点

n= 199 情緒的消耗感(最高 25 点) 脱人格化(最高 30 点) 個人的達成感の後退(最高 30 点)

カテゴリ Mean ± SD p 値 Mean ± SD p 値 Mean ± SD p 値

全体(n=199) 13.4 ± 4.4 - 9.6 ± 3.0 - 20.2 ± 4.3 -年齢(n=197) (n) 25 ∼ 30 歳未満 (8) 14.6 ± 4.4 0.11 10.9 ± 4.2 0.11 22.4 ± 5.5 0.78 30 ∼ 35 歳未満 (17) 15.0 ± 5.9 10.6 ± 3.3 22.4 ± 4.4 35 ∼ 40 歳未満 (37) 13.3 ± 4.3 9.8 ± 3.3 21.0 ± 4.6 40 ∼ 45 歳未満 (46) 14.4 ± 4.7 9.9 ± 3.3 20.0 ± 4.1 45 ∼ 50 歳未満 (44) 12.4 ± 3.9 9.0 ± 2.0 26.2 ± 5.1 50 ∼ 55 歳未満 (27) 12.9 ± 4.1 9.6 ± 2.7 23.1 ± 4.5 55 ∼ 60 歳未満 (11) 12.9 ± 2.6 8.7 ± 1.8 19.5 ± 4.6 60 ∼ 65 歳未満 (5) 10.2 ± 0.8 7.4 ± 1.7 20.0 ± 4.1 65 歳以上 (2) 9.0 ± 0.0 6.0 ± 0.0 20.5 ± 4.9 職種(n=199) 看護師 (184) 13.5 ± 4.4 0.35 9.6 ± 3.0 0.78 20.2 ± 4.3 0.95 准看護師 (15) 12.4 ± 4.0 9.6 ± 3.1 20.1 ± 4.1 役職(n=195) 管理職 (27) 14.2 ± 4.6 0.29 10.4 ± 3.1 0.14 17.7 ± 4.8 p< 0.001*** その他 (168) 13.3 ± 4.3 9.5 ± 3.0 20.7 ± 4.1 勤務形態(n=196) 常勤 (87) 14.2 ± 4.4 0.016* 10.5 ± 3.3 p< 0.001*** 19.5 ± 4.4 0.06 非常勤 (109) 12.7 ± 4.3 9.0 ± 2.5 10.7 ± 4.2 現職場での勤務年数(n=196) 1 年未満 (15) 13.5 ± 5.4 0.57 9.8 ± 3.5 0.20 24.5 ± 4.4 0.30 1 ∼ 3 年未満 (31) 13.3 ± 4.3 10.0 ± 3.1 19.5 ± 4.9 3 ∼ 5 年未満 (23) 13.3 ± 5.0 9.9 ± 2.7 24.4 ± 5.1 5 ∼ 10 年未満 (73) 13.9 ± 4.1 10.0 ± 3.3 20.1 ± 3.8 10 ∼ 15 年未満 (44) 13.3 ± 3.9 9.0 ± 2.2 24.8 ± 5.3 15 ∼ 20 年未満 (6) 10.2 ± 3.2 7.7 ± 1.6 16.1 ± 4.4 20 年以上 (4) 12.3 ± 6.7 7.5 ± 3.0 17.0 ± 2.9 訪問看護師としての総経験年数(n=195) 1 年未満 (16) 13.8 ± 5.9 0.36 10.1 ± 3.4 0.52 23.2 ± 5.3 0.81 1 ∼ 3 年未満 (27) 13.5 ± 4.3 9.7 ± 3.4 20.3 ± 4.8 3 ∼ 5 年未満 (23) 12.9 ± 5.3 10.0 ± 3.1 24.3 ± 5.3 5 ∼ 10 年未満 (64) 14.0 ± 4.1 10.0 ± 3.3 20.5 ± 4.3 10 ∼ 15 年未満 (46) 13.4 ± 4.2 9.0 ± 2.0 23.4 ± 5.1 15 ∼ 20 年未満 (14) 13.4 ± 3.6 9.1 ± 2.3 19.7 ± 4.6 20 年以上 (5) 13.4 ± 2.1 8.6 ± 4.0 20.0 ± 3.0 看護職としての総経験年数(n=194) 5 ∼ 10 年未満 (22) 12.2 ± 4.1 0.03* 9.7 ± 3.1 0.08 21.1 ± 5.6 0.80 10 ∼ 15 年未満 (43) 14.7 ± 5.4 10.6 ± 3.8 21.6 ± 4.3 15 ∼ 20 年未満 (54) 13.9 ± 4.0 9.5 ± 2.6 20.5 ± 3.4 20 年以上 (75) 12.6 ± 3.8 9.1 ± 2.5 22.9 ± 4.0 居宅介護支援事業兼任の有無(n=196) あり (84) 13.9 ± 4.0 0.19 9.7 ± 2.7 0.58 19.6 ± 4.0 0.11 なし (112) 13.0 ± 4.6 9.5 ± 3.2 20.6 ± 4.5 認定講習受講有無(n=194) あり (138) 13.3 ± 4.4 0.47 9.5 ± 3.0 0.53 20.0 ± 4.1 0.27 なし (56) 13.8 ± 4.5 9.8 ± 2.8 20.8 ± 4.9 認定講習以外の研修の受講頻度(n=194) よく受けている (8) 13.0 ± 5.2 0.35 9.6 ± 3.0 0.67 19.3 ± 5.6 0.007** 時々受けている (155) 13.3 ± 4.2 9.5 ± 2.9 19.9 ± 4.1 受けたことがない (31) 14.5 ± 5.3 10.1 ± 3.6 22.5 ± 4.0 t 検定,一元配置分散分析 *p<0.05, **p<0.01, ***p<0.001 各カテゴリにおける n のばらつきは,無回答によるもの

(5)

あり,「看護師相互の影響」はあまり関連がなかった。ま た「専門職としての認識不足」は「情緒的消耗感」と「脱人 格化」を比較的よく説明していた。「看護職としての経験 年数」は「職業的地位」を有意に説明していた。

Ⅶ . 考察

1. 対象者の概要 今回の調査対象となった訪問看護師は 30 歳代から 40 歳代の女性が多く,看護職としての経験年数と訪問看護 師としての経験年数に差があることは,訪問看護師を対 象とした他の調査結果とも一致していた5)10)。4 割以上 もの訪問看護師が居宅介護支援事業と兼任していたこと については,介護保険制度の普及と併せ,居宅介護支援 事業所を併設している事業所が多いことが理由の一つと 考えられる。臨床看護経験の有無にかかわらず,研修を 積極的に受講している者が多かったことについては,医 療的立場からの判断力や的確な技術,コミュニケーショ ン力といった専門性を学ぶ必要があることを自覚してい ると考えられた。 2. 訪問看護師の専門性とバーンアウト バーンアウトについて,一般スタッフのほうが管理職 に比べて「個人的達成感の後退」が有意に高いことは,病 院看護師を対象とした先行研究14)と一致した。認定講 習以外の研修を受けたことがない者のほうが研修を受講 している者に比べ「個人的達成感の後退」が有意に高く, 訪問看護師を対象とした先行研究8)と同様の結果を得ら れた。専門職として必要な研修を受け,確かな技術と知 識を習得することがバーンアウトの予防に繋がると示唆 された。常勤職員は非常勤職員に比べ「情緒的消耗感」と 「脱人格化」の 2 項目が有意に高く,常勤職員のほうが バーンアウトの可能性を秘めていることが明らかとな り,先行研究8)とは異なる結果となった。これは,常勤 職員の受ける職業性ストレスが強いことが関連している と思われるが,調査時期の違いのほか,訪問看護ステー ションは特にその地域特性に合わせた活動を展開してい ることが予想され,設置主体の規模や経営状況,常勤職 員の割合など,多くの因子が交絡し合っていると考えら れるため,一概に述べることはできない。また,A 県 の特徴として看護協会が運営している訪問看護ステー ションが多い18)ことも影響していると考えられた。看 護協会立では民間の訪問看護ステーションに比べ処遇困 難ケースを取り扱う機会が多いと言われている19) 3. 職務満足感とバーンアウトの関連 職務満足感の 3 下位項目とバーンアウト 3 下位項目に おいて,負の相関が多く認められたことについて,病棟 看護師を対象とした研究11)でも「職業的地位」,「看護師 相互の影響」とバーンアウト得点の間に関連があること が明らかとなっており,訪問看護師でも同様の結果が得 られた。「職業的地位」と「個人的達成感の後退」で比較的 強い相関が認められたことについて,「職業的地位」とい うのは仕事への誇りややりがいを示す要素であること 11) に対し,「個人的達成感」は今の仕事に心から喜びを感 じ,我を忘れるほど仕事に熱中し,看護師という仕事に 対する誇りや責任感が基調になっていること14)から, この 2 項目に共通の要素が含まれていることが示唆され た。職務満足感の低下はバーンアウトの前兆・兆候であ ると考えられ14),因果関係を構築しているように思わ れた。職務満足感が高いことは看護業務に対する肯定的 感情が高いと考えられ,肯定的感情は業務への前向きさ やモチベーションの維持に繋がる。逆に,仕事に対する 喜びや達成感,充実感が低下し,職務満足感が低下する ことがバーンアウトに繋がるという一連のプロセスが, 訪問看護師にも当てはまることが示唆された。 4. 訪問看護師の職務満足感に関連する変数間の関係 潜在変数を「訪問看護師の専門職としての認識不足」と したのは,観測変数の「看護業務」と負の相関関係にある こと,「情緒的消耗感」と「脱人格化」を比較的よく説明し ていることなどから,訪問看護師の看護専門職としての 表 2 職務満足感とバーンアウトの相関 n=199 職業的地位 看護業務 看護師相互の影響 カテゴリ r 値 p値 r 値 p値 r 値 p値 情緒的消耗感 −0.366 p<0.001*** −0.368 p<0.001*** −0.149 0.035* 脱人格化 −0.330 p<0.001*** −0.250 p<0.001*** −0.170 0.016* 個人的達成感の後退 −0.463 p<0.001*** −0.116 0.101 −0.123 0.084 Spearman の順位相関係数 *p<0.05, ***p<0.001

(6)

認 識 不 足 が 想 定 さ れ る か ら で あ る。Maslach ら20), Leiter21),Gaines ら22)が述べているとおり,情緒的消耗 感をバーンアウトの核としており,脱人格化や個人的達 成感の後退が生じる前にくいとめることの重要性を指摘 した。また,このモデルによって,管理職のほうが「個 人的達成感の後退」が有意に低いことや研修を積極的に 受講している者のほうが「情緒的消耗感」が低く,職務満 足感が高いことも十分に説明がつく。これらのことから, 労務管理上の配慮のほか,臨床経験の浅い訪問看護師に 対する教育や研修システムの構築が必要であると思われ た。在宅療養者に対し質の高い訪問看護を提供するため にも,職場環境の見直しや現任教育の励行23)等,訪問 看護師の離職対策について真剣に取り組んでいかなけれ ばならないことが示唆された。

Ⅷ . 結論

1.  訪問看護師は,職務満足感の低下と訪問看護師の専 門職としての認識不足が,バーンアウトを引き起こ す要因になると考えられた。 2.  職務経験や現任教育等,訪問看護師の専門職として の認識を高める機会を持つことが,職務満足感を高 めるために有効であると考えられた。

Ⅸ.本研究の限界

本研究では A 県内に限定した調査であり,地域特性 が結果に反映されることが予測される。また,本研究デ ザインからは正確な因果関係を探るには不十分であり, 今後もコホート研究の実施を含め更なる検討を行う必要 性があると考えられる。

謝辞

本調査にご協力くださいました訪問看護師の皆様方に は,心より感謝を申し上げます。 引用文献 1) 渡辺孝子,重久加代子,他(2007)看護師のストレスと業務の専 門性との関連.看護管理,17(10):871-876. 2) 山田達治,小竹友子,他(2006)看護師のストレスとストレス軽 減の取り組み.臨床看護,32(1):29-33. 3) 厚生労働省(2006)介護サービス施設・事業所調査結果の概況. 大臣官房統計情報部,東京. 4) 財団法人厚生統計協会(2006)図説 統計でわかる介護保険. 3-15. 5) 松井妙子, 岡田進一(2003)大阪府内の訪問看護職の burnout に 関連する要因−利用者とのコミュニケーション技術と職務環境 を中心に−.日本在宅ケア学会誌,7(1):40-48. 6) 小林裕美,乗越千枝(2006)訪問看護のストレスに関する研究− 訪問看護に伴う負担と精神健康状態(GHQ)および主尾一貫感 覚(SOC)との関連について−.保健の科学,48(5):391-397. 7) 吉岡久美,生野繋子(2006)訪問看護ステーションに勤務する訪 問看護師の職務満足.日本看護福祉学会誌,11(2):11-19. 8) 梅原麻美子,古瀬みどり,松浪容子(2007)A 県内の訪問看師の 処遇・職務環境とバーンアウトとの関連.北日本看護学会誌, 9 (2):27-33. 9) 全国訪問看護事業協会(2006)新たな訪問看護ステーションの事 業展開の検討.老人保健健康増進等事業. 10)冨岡小百合,石澤恵,他(2007)訪問看護師の職務満足に関連す る要因.日本在宅ケア学会誌,11(1):43-51. 11)川本利恵子,川辺圭子,他(2006)ナースにおけるバーンアウト (Burnout)と職務満足.臨床看護,32(1):91-96. 12)中村美保(2006)中高年看護師の職業性ストレスに関する関連要 因の分析 職業性ストレス・職務満足度・バーンアウト・年代 との関連.看護・保健科学研究誌,7(1):83-92. 13)望月弘子,宮崎和加子(2008)あなたも地域看護のフロントラン ナー −挑み続ける保健師から.日本看護協会出版会,東京, 119-120. 14)尾崎フサ子,忠政敏子(1988)看護婦の職務満足質問用紙の研究 − Stamps らの質問用紙の日本での応用−.大阪府立看護短大 紀要,10(1):17-24. 15)田尾雅夫,久保真人(1997)バーンアウトの理論と実際−心理学 的アプローチ−.誠信書房,東京. 16)久保真人(2004)バーンアウトの心理学−燃え尽き症候群とは. サイエンス社,東京. 17)中川典子,林千冬(2004)日本における看護職者に関する職務満 足度研究の成果と課題−過去 15 年間の Stamps- 尾崎翻訳修正 版尺度を用いた研究の文献レビュー−.日本看護管理学会雑誌, 8 (1):43-58. 18)山梨県訪問看護ステーション連絡協議会(2008)山梨県訪問看護 ステーション連絡協議会創立 10 周年記念誌.山梨. 19)中野康子(2008)訪問看護師の勤務継続と職務満足との関係. UH CNAS, RINCPC Bulletin ,15:43-57.

20)Maslach C, Jacson SE (1981) The measurement of experienced burnout. Journal of Occupational Behaviour, 2:99-113. 21)Leiter MP (1989) Conceptual implications of two models of

b u r n o u t : A r e s p o n s e t o G o l e m b i e u s k i . G r o u p a n d Organization Studies, 14(2):15-22.

22)Gaines J, Jermier JM (1983) Emotional exhaustion in high stress organization. Academy of Management Journal, 26(4): 567-586.

23)望月宗一郎,山岸春江,飯島純夫(2007)新任保健師への現任教 育に対する市町村保健師の認識.山梨大学看護学会誌,5(2): 19-24.

表 1 基本属性別バーンアウト得点

参照

関連したドキュメント

が前スライドの (i)-(iii) を満たすとする.このとき,以下の3つの公理を 満たす整数を に対する degree ( 次数 ) といい, と書く..

「A 生活を支えるための感染対策」とその下の「チェックテスト」が一つのセットになってい ます。まず、「

点から見たときに、 債務者に、 複数債権者の有する債権額を考慮することなく弁済することを可能にしているものとしては、

貸借若しくは贈与に関する取引(第四項に規定するものを除く。)(以下「役務取引等」という。)が何らの

の 立病院との連携が必要で、 立病院のケース ー ーに訪問看護の を らせ、利用者の をしてもらえるよう 報活動をする。 の ・看護 ・ケア

では,訪問看護認定看護師が在宅ケアの推進・質の高い看護の実践に対して,どのような活動

この国民の保護に関する業務計画(以下「この計画」という。

第二の,当該職員の雇用および勤務条件が十分に保障されること,に関わって