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学 位 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 氏 名 矢倉美代

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Academic year: 2021

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((別紙様式第7号)

学 位 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

氏 名 矢倉美代

審 査 委 員

主 査 川向 誠 ◯ 副 査 中川 強 ◯ 副 査 石川 孝博 ◯ 副 査 森嶋伊佐夫 ◯ 副 査 山田 守 ◯

題 目 分裂酵母の有性生殖に関与するzds1およびmoc1遺伝子の解析 審査結果の要旨(2,000字以内)

分裂酵母Schizosaccharomyces pombe は栄養源が豊富に存在するときは細胞分裂により無性的に増殖 するが、栄養源が枯渇すると細胞周期を G1で停止して、接合・胞子形成を行う有性生殖過程へと移行する。

有性生殖過程への移行は cAMP 経路、ストレスシグナル伝達経路、およびフェロモンシグナル伝達経路 により制御されている。cAMP 経路は栄養源、主にグルコースの状態を伝達している。cAMP 経路を解析 する目的で、これまでに栄養源の枯渇なしに有性生殖過程へ移行するsam 変異株や、アデニル酸シクラー ゼ過剰発現による胞子形成不能を抑圧する因子であるmoc1-4 の解析が行われてきた。

まず最初に有性生殖、カルシウム耐性、細胞壁形成に関与するzds1 について調べた。zds1 遺伝子は出 芽酵母のZDS1 および ZDS2 遺伝子と相同性があり、それらは様々な機能を持つことが予想されている。

二倍体ras1 破壊株で Zds1 を過剰発現すると、空ベクター発現時は 0.3%だった胞子形成率が 11.2%

に上昇した。また、同様に Zds1 の C 末端領域を過剰発現すると胞子形成率が全長の Zds1 過剰発現時 に比べ高くなり、21.9%だった。一方、N 末端領域を過剰発現した場合は空ベクターの場合と変らなか った。また、Ras1 の下流の MAP キナーゼカスケードの構成遺伝子の破壊株の胞子形成不能は、Zds1 の 過剰発現で回復できなかった。zds1 遺伝子をさらに解析するため zds1 破壊株を作製したところ、カル シウム感受性を示し、これは Zds1 の C 末端領域により抑制された。また、zds1 破壊株は低温感受性、

定常期における生存率の低下を示した。さらに、zds1 破壊株は細胞形態が丸く、Zymolyase 感受性を 示し、細胞壁が野生株と比較して厚くなっていた。以上のことから、zds1 は細胞壁の形成に必要とされる ことが示唆された。また、Zds1-GFP 融合タンパクの局在を観察したところ、細胞質、隔壁および細胞 表層部であった。また、隔壁の局在には Zds1 の C 末端領域が必要とされた。さらに、Zds1 の C 末端 領域はマルチセプタムや異常な接合子の形成を誘導した。以上の結果より、Zds1 の C 末端領域は機能 ドメインで、N 末端領域は負の調節領域であると示唆された。このように、Zds1 は分裂酵母の有性生殖

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カルシウム耐性、細胞壁の形成、定常期での生存率、および細胞形態といった様々な現象に関与して いることを見いだした。

次に分裂酵母のmoc1 遺伝子の有性生殖への関与について調べた。moc1 遺伝子は sds23 あるいは psp1 としてすでに報告されているものと同一である。psp1 は致死遺伝子として報告されているが、sds23

はそうではない。どちらが本当の表現型であるか確かめるため、まずmoc1 破壊株を作製して表現型を 確認した。moc1 破壊株は接合・胞子形成不能、ストレス感受性、高温および低温感受性、細胞伸長、

そして定常期での生存率の低下という表現型を示した。また、Moc1 は定常期および窒素源枯渇下でリン 酸化することを確かめた。さらに、Moc1 の 333 番目のセリンをアラニンあるいはアスパラギン酸に置 換した変異株を作製し、その表現型を観察した。その結果、S333D 変異株では接合・胞子形成率が野生 株よりも低く、S333A 変異株では高くなり、Moc1 のリン酸化は有性生殖過程への移行に影響を与える ことが示唆された。しかし、ストレス感受性や細胞形態などの表現型には変異の影響はなかった。さら に、Moc1-GFP の局在を観察したところ、有糸分裂により増殖しているときは細胞質と核の両方に局在 するが、接合子では核に集中し、胞子嚢では胞子に局在し、局在変化は cAMP 経路により負に制御されて いた。以上の観察結果より、核に局在した Moc1 は有性生殖を誘導することが示唆された。このように、

moc1/sds23/psp1 は有糸分裂およびストレス応答のみならず、細胞の生存や有性生殖にも重要な役割 を演ずることを示唆した。

以上のように、分裂酵母の有性生殖に関与するzds1 遺伝子と moc1 遺伝子の解析を通し、有性生殖過程 についての知見を深め、新規性のある成果を挙げている。

従って、本研究は学位論文として高い独創性と十分な価値のあるものであると判定する。

参照

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