本章では、国有財産行政の概要を解説します。
どのような事務を、どのような組織が、どのような法令等に基づいて
行っているかをお示しします。
では、国有財産に関してどのような事務が行
われているかを解説します。事務には管理・処分・総括の三類型があ
ります。第1章でも触れたように、行政財産・普通財産という分類に応じ
た事務が行われます。
では、どのような主体が国有財産行政に
関わっているかを解説します。財務本省・財務(支)局・財務事務所
や、関係する審議会等を紹介します。
では、国有財産行政を規律する法体系を解
説します。財政法・国有財産法・会計法等がそうした法体系を構成して
います。
では、国有財産の所在・価格等を記録した基本的な
台帳である「国有財産台帳」や、価格の決定方法について解説します。
また、国有財産総合情報管理システムについて、概要を解説します。
第2章の読み方
資料ガイド
・・・・・・資料
01~04
・・・・・・資料
05~07
・・・・・・資料
08~09
・・・・・・資料
10~12
① 国有財産行政の事務
② 国有財産行政の関係組織
③ 国有財産行政の法体系
④ 国有財産台帳
第2章 国有財産行政の概要
① 国有財産行政の事務
② 国有財産行政の関係組織
③ 国有財産行政の法体系
④ 国有財産台帳
○ 国有財産行政の事務
国有財産に関する事務には大きく分けて、管理・処分・総括があり
ます。「管理」とは、取得・維持・保存及び運用を行うことをいい、「処
分」とは、売払い・交換・譲与・信託等を行うことをいいます。個々の
管理処分事務は、各省各庁の長が行いますが、国有財産を全体とし
て最も有効に活用するため、管理処分事務の総合調整(「総括」)を
財務大臣が行っています。
○ 全国の財務局等のネットワーク
財務省関係の国有財産の管理処分事務は、全国の財務(支)局・
財務事務所・出張所等において行われています。また、財務局・財
務支局の下に、40の財務事務所が設置されており、これに加えて13
の出張所があります。なお、沖縄県では、内閣府沖縄総合事務局が
財務局の業務を行っています。
○ 国有財産関係審議会
国有財産行政に関する諮問機関として審議会が設置されており、
国有財産に関する重要事項につき、調査審議をいただいております。
○ 国有財産行政の法体系
国有財産法は、国有財産の管理及び処分に関する基本法です。ま
た、売払い・貸付け等に伴う契約の手続については会計法が規定し
ています。
○ 国有財産台帳
各省各庁は、国有財産の分類及び種類に従い、その台帳を備え
ることとされています。所管する国有財産において、取得、所管換、
処分等による変動があった場合、直ちに台帳に記載・記録することと
されています。台帳価格は、原則、取得原価により計上されますが、
時価と著しく乖離する場合を考慮し、毎年度末に価格を見直すことと
しています。
ポイント
◆国有財産の管理及び処分
国有財産に なるとき 国有財産で あるとき 国有財産で なくなるとき管 理
処 分
取得 維持、保存及び運用◆国有財産行政の関係機関
国有財産の総括機関 行政財産の 管理機関 普通財産の 管理処分機関 総合調整 指導・監査◆総括事務と管理処分事務
【総括事務】 法令等の企画・立案、解釈、訓令通達による統一、 協議・通知を受ける、管理及び処分の適正化 財務省 【行政財産の管理事務】 所管する行政財産を適正に管理 (取得、維持、保存、運用) 各省各庁 【普通財産の管理処分事務】 所管する普通財産を適正に管理及び処分 財務省 (一部、 各省各庁) 監督・検査 諮問・答申 財政制度等 審議会 (国有財産分科会) 国有財産 地方審議会 旧軍港市 国有財産処理 審議会 国会 会計検査院 監査機関 執行機関 諮問機関01 国有財産の管理及び処分、総括と関係機関
① 国有財産行政の事務
○ 国有財産の「管理」とは、取得、維持、保存及び運用を行うことをいい、「処分」とは、売払い、交換、譲与、信託
等を行うことをいいます。
○ 国有財産には、管理処分事務・総合調整事務(総括事務)を行う執行機関の他、監査機関、諮問機関が存在し
ます。
○ 行政財産の管理事務は各省各庁、普通財産の管理処分事務は財務省(特別会計所属の普通財産など一部に
ついては各省各庁)が行い、国有財産の総括事務は財務省が行います。
・各省各庁の長が管理 ・国家公務員宿舎のうち合同宿舎・・・財務大臣 ・重要文化財、重要有形民俗文化財等 ・・・文部科学大臣 ・空港・・・国土交通大臣 ・統一的に管理する必要のある財産 ・・・財務大臣が指定する各省各庁の長 ・河川、道路、港湾等・・・国土交通大臣 ・土地改良財産、漁港施設 ・・・農林水産大臣 ・国営公園・・・国土交通大臣 ・国民公園・・・環境大臣 ・皇居、御所等 ・・・内閣総理大臣(宮内庁) 公用財産 公共用財産 皇室用財産 ・国有林野 ・・・農林水産大臣(林野庁) 森林経営用財産 行政財産は、各省各庁の長が管理(法第5条・5条の2) ○○省 △△省 □□省 一つの庁舎を二以上の各省各庁が 使用する場合で統一的に管理する 必要があるもの ⇒財務大臣が管理者を指定 ○○省 △△省が使用 ○○省が使用 財務大臣が指定
○ 国有財産の「管理」とは、国有財産の取得、維持、保存及び貸付け等の運用を行うことをいい、「処分」とは、
売払い、交換、譲与、信託等を行うことをいいます。こうした管理及び処分については、行政財産と普通財産と
では取扱いが異なっています。
◆行政財産の管理機関
02 国有財産の管理及び処分(1)
国有財産法第5条は、「各省各庁の長は、その所管に属する行政財産を管理しなければならない。」と規定し、行政財産の管理機関を 定めています。なお、ここでいう「各省各庁の長」とは、衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、各省大臣、最高裁判所長官及び会計 検査院長を指します。① 国有財産行政の事務
◆普通財産の管理処分機関
国有財産法第6条は、「普通財産は、財務大臣が管理し、又は処分しなければならない。」とし、普通財産の管理処分機関を「財務大 臣」と規定しています。 行政財産は「管理」のみで「処分」が行えないのに対し、普通財産は「管理」のほか「処分」を行うことができます(法第18条、20条)。 また、普通財産は財務大臣が管理及び処分することから、原則として、各省各庁の長が行政財産の用途を廃止することによって普 通財産となったもの等については、財務大臣に引き継がなければなりません(法第8条)。 普通財産は、原則財務大臣が管理及び処分(法第6条) 財務省◆事務の委任
各省各庁の長は、所管する国有財産に関する 事務の一部を下部組織の長、又は地方公共団体 に行わせることができます。 また、財務省は、国有財産の総括に関する事 務の一部を全国の財務局等に行わせています (法第9条)。 国有財産の引継ぎ(法第8条) □□省 財務省 行政財産としての用途を廃止 □□省■■事務所 財務大臣が普通財産として管理 財務大臣へ 引継ぎ 事務の委任 事務の委任 △△省 ○○局 □□県庁 〇〇財務局 ××財務局03 国有財産の管理及び処分(2)
各省各庁 財務省① 国有財産行政の事務
総合調整
財務省○ 個々の国有財産の管理処分事務は、各省各庁の長が行いますが、国有財産を全体として最も有効に活用す
るためには、個々の管理処分事務について総合調整(=総括)を行う必要があります。
この国有財産の「総括」は、財務大臣が行っています。
04 国有財産の総括
実地監査
取得調整
財産の管理状況や
使用状況を監査
財産の効率的
な使用を促進
■■省 X号館 建 替 道路等 (公共用財産) 跡地売却 有効活用 (取得等の協議) ◆国有財産の総括に関する具体的な事務 ○ 国有財産制度の整備 ⇒ 関係法令の企画・立案 等 ○ 管理及び処分事務の統一 ⇒ 各省各庁からの協議 等 ○ 財産状況の明確化 ⇒ 各省各庁から報告される増減現在額のとりまとめ 等 ○ 管理及び処分の調整 ⇒ 庁舎等使用調整計画の策定 庁舎等取得等調整計画の策定 実地監査 等 ■■省 Y号館使用調整
××省庁舎 〇〇省庁舎 未利用地の創出 借受の解消財産取得等の
必要性を審査
… ××省庁舎 ■■省 Z号館 建 替 未利用地の創出 借受の解消 移 転 ■■省 Z号館 3章03 (P21) 参照 参照 (P21)3章04 参照 (P30)4章01① 国有財産行政の事務
主計局 主税局 関税局 理財局 国際局 大臣官房 国有財産企画課 ・国有部局の総合調整 ・法制度、組織体制の整備等 国有財産調整課 ・行政財産の管理及び調整等 国有財産業務課 ・普通財産の管理及び処分等 財務局・財務支局 管財部 総務部 理財部 財務事務所 管財総括各課 ・管財部の事務運営全般 ・各省各庁所管財産の協議実務等 審理課 ・個別事案の審理関係 実務等 【本省内部部局・外局】 総務課 管財課 理財課 【地方支分部局】 財務課 (国債関係部局) (財政投融資関係部局) 国税庁 国庫課 管理課 総務課 出張所 出張所 統括国有財産管理官 ・普通財産の管理及び処分 実務等 統括国有財産監査官 ・監査関係実務等 その他 政府出資室 ・出資財産の管理 ・政府保有株式の管理 及び処分等 国有財産有効活用室 ・国有財産の有効活用に 関する調整等 国有財産監査室 ・国有財産の監査等 国有財産審理室 ・個別事案の審理等 国有財産情報室 ・国有財産台帳の整備 ・情報提供関連等
05 国有財産関係組織の概要
財務省 国税局 税関 統括国有財産管理官② 国有財産行政の関係組織
○ 財務省関係の国有財産の管理処分事務は、全国の財務(支)局・財務事務所・出張所において行われ
ています。
○ 財務局は、財務省の地方支分部局としてブロック単位で設置されており、現在9財務局(北海道、東北、
関東、北陸、東海、近畿、中国、四国、九州)及び1財務支局(福岡)があります。
○ また、財務局・財務支局の下に、40の財務事務所が設置されており、これに加えて、管財業務等を実施
している13の出張所が設置されています。
なお、沖縄県では、内閣府沖縄総合事務局が財務局の業務を行っています。
06 全国の財務(支)局・財務事務所等のネットワーク
・ ・ ◎ ○旭川 ・北見 札幌 ○帯広 ○釧路 ・ 小樽 ○函館 ○ 青森 ○ 盛岡 ○ 秋田 ○ 山形 ◎ 仙台 ○ 福島 ○ 新潟 ○ 水戸 ・ 筑波 ○ 千葉 ○ 東京 ・ 立川 ○ 宇都宮 ○ 横浜 横須賀 ◎ さいたま ○ 前橋 ○ 甲府 ○ 長野 ○ 富山 ◎ 金沢 ・ 沼津 ○ 福井 ○ 岐阜 ◎名古屋 ○ 静岡 ○ 津 ○ 大津 ○ 京都 ・ 舞鶴 ◎ 大阪 ○ 奈良 ○ 和歌山 ○ 神戸 倉敷・ ○ 岡山 ・呉 ◎ 広島 ○ 鳥取 ○ 松江 ○ 山口 ・下関 ◎ 高松 ○ 徳島 ○ 高知 ○ 松山 福岡小倉・ ○ 佐賀 ・ ・ 佐世保 ○ 長崎 ○ 大分 ○ 宮崎 ◎ 熊本 ○鹿児島 名瀬 □那覇(沖縄総合事務局財務部) □石垣(八重山財務出張所) □ 宮古島(宮古財務出張所) 沖縄総合事務局財務部 ◎ ◎ 財務局等 (10箇所) ○ 財務事務所(40箇所) ・ 出 張 所 (13箇所)② 国有財産行政の関係組織
○
委員は、民間の学識経験者で構成され、任期は
2年。
○
各財務局においてなされている個々の国有地の管理・処分に際し、地域的な特殊性、特別性等を考えな
がら、地元の意見を十分反映させる観点から、各財務局に設置されている。
○
各財務局長の諮問に応じて、国有財産の管理・処分について、調査審議を行うほか、意見を述べること
ができる。
○
委員は、民間の学識経験者で構成され、任期は
2年。
○
国有財産地方審議会や旧軍港市国有財産処理審議会に諮る財産の管理・処分の調査審議以外で、国有財
産の管理及び処分に関する基本方針や重要事項の調査審議などを行う。そのほか、国有財産法で定められ
た信託や、国の庁舎等の使用調整等に関する特別措置法に定められた庁舎等の使用調整に関する計画につ
いても審議している。
07 国有財産関係審議会
○ 国有財産に関する調査審議を行うため、財務本省に財政制度等審議会国有財産分科会が、各財務局及び沖
縄総合事務局に国有財産地方審議会が設置されています。また、旧軍用財産に関する調査審議を行う旧軍港
市国有財産処理審議会が関東財務局に設置されています。
財政制度等審議会国有財産分科会(財務本省)
国有財産地方審議会(財務局等)
○
委員は、旧軍港市の所在する府県知事や民間の学識経験者などで構成され、任期は
3年。
○
旧軍港都市(横須賀市、呉市、佐世保市、舞鶴市)に所在する旧軍用財産の管理処分の調査審議などを
行う。
旧軍港市国有財産処理審議会(関東財務局)
② 国有財産行政の関係組織
財政法(昭和22年) 国の予算その他財政管理の基本に関する事項を定めたもの。 国の財産については、適正な対価の徴求及び効率的な運用を規定。 第9条 国の財産は、法律に基く場合を除く外、これを交換し その他支払手段として使用し、又は適正な対価なくしてこれ を譲渡し若しくは貸し付けてはならない。 2 国の財産は、常に良好の状態においてこれを管理し、その 所有の目的に応じて、最も効率的に、これを運用しなければ ならない。
国有財産法(昭和23年)
国有財産の管理及び処分について基本的な事項を
定めたもの。
国有財産特別措置法(昭和27年)
国の庁舎等の使用調整等に関する
特別措置法(昭和32年)
国家公務員宿舎法(昭和24年)
<財務省所管以外の法律> 道路法(昭和27年)、河川法(昭和39年)等○ 国有財産法は、国有財産の管理及び処分に関する基本法であり、財政法の下において国の財政管理作用に
関する法体系の一部を構成しています。
○ また、財産の種類・性質や社会情勢の変化に応じて国有財産行政を円滑に運営するため、国有財産法には
多数の特別法や特別規定が存在しています。
普通財産について、無償貸付等の拡大、交換 できる場合の拡大等の特例を定めたもの。 庁舎等の使用調整、特定国有財産整備計画の 手続等について定めたもの。 国家公務員宿舎の設置、維持及び管理等につ いて定めたもの。 道路、河川等の公物ごとに、その機能管理に ついて定めたもの。【特別法や特別規定の存在する法律の例】
会計法(昭和22年) 国の会計に関する契約に関する手続等を定めたもの。 国有財産について、売払い・貸付け等に伴う契約の手続は、 会計法に基づき行われる。08 国有財産に関する法体系
③ 国有財産行政の法体系
参照 データ集08(P64)○国有財産の範囲は、土地、建物等の不動産、不動産従物、有価証券等である(第2条)。 ○国有財産は、行政財産と普通財産に大別される(第3条)。 ○国有財産の総括とは、国有財産の適正な方法による管理及び処分を行うため、①制度の整備、②管理及び処分事務の統一、 ③財産の増減、現在額及び現状の把握、④その他必要な調整を行うものである(第4条)。