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保育園の自由遊びにおける運動量測定の意義
―戸外と室内における自由遊びの活動量の比較を通して―
教育学研究科 教科教育専修 体育学分野 06GP203 亀川 真都子
Ⅰ はじめに
1 戸外での自由遊びの効用
筆者は、平成 20 年(2008 年)度までの 40 年間保育士をしてきたが、その在職中「気になる子ども」
に着目し続けることになった。40 年程前に筆者が勤務した新設されたばかりの保育所でも、「気になる 子ども」にたびたび出会った。それは、保育室や保育園から逃げ出そうとする子だったり、乱暴な言動 で周囲とのトラブルが絶えない子どもだったり、あるいは、それらとは反対に、消極的で集団の中で遊 びに夢中になれない子ども達であった。そのような、多くの「気になる子ども」に対して効果的な配慮 や方法を模索してきたが、試行錯誤を重ねるうちに、無理なく、間違いなく、多くの子どもを短期間に 保育効果を上げる方向に向けられる活動と実感できる取り組みを見つけることができた。
それは「戸外での自由遊び」である。集団の中では、トラブルやけんかを多発させる子ども達でも、
戸外での自由遊びではそれらの気になる面が見られなくなり、また、室内では遊びになかなか入り込め ない消極的な子ども達でも、戸外では自分の気に入った遊びを見つけて熱中していった。「戸外」では、
子どもの気になる面が出ない上に、それぞれが遊びに夢中になり、さらに、長期間の取組みの後には運 動面や集団活動の面でも成果が感じられた。子どもの自発性を基本にしながら総合的な育成が可能とな る活動の場としての“環境”として、「戸外」は格別な環境であると筆者は位置付けて、「戸外での自 由遊び」を積極的に活用してきた。筆者は、1999 年に保育実践について発表する機会が与えられた1)
が、その頃から今日まで、内発的動機づけに重きを置いた「自由保育」は「放任」保育になりがち2)、 といった見方・考え方が根強くあると感じてきている。そこで、「第 9 回全国保育士会研究集会」にお いて「自発的な遊びに発展する条件‐観察と歩数調査から見て‐」として報告した。また、そこで議論 されたことに、その後の考察を加え、戸外での自由遊びの効果を実証するものとなった論文を『全面発 達の展開』誌3 )(第 1 巻第 1 号、2011 年・日中現代教育学会)で報告した。
近年、幼児の運動と健康、さらには発育発達との関連について多くの研究が提出されるようになり、
2011年8月には、日本学術会議「健康・生活科学委員会 健康スポーツ科学分科会」が、運動・スポ ーツをする際の留意点として①「子どもの正常な発育発達を促進するよう、最低限度の運動量を確保す る」という提言をしている。このように、幼児期の「運動」は「運動」一般としての問題にとどまらず、
正常な発育発達という最も基本的視点に関わる問題として「最低限度の運動量」ということが問題にさ れるまでに至った4)。
昭和40年(1965年)に制定された『保育所保育指針』(以下、「保育指針」とする)は平成2年(1990 年)に最初の改定が行われた。続いて、平成12年(2000年)、平成20年(2008年)と改定が行われ てきたが、改定までの期間が25年から、10年、8年と次第に短くなってきていることから、子どもを 取り巻く生活環境の変化が子どもの発育発達に急速な変化を起こし、これらに関する保育の課題が大き くなっていることがうかがわれる。平成20年(2008年)に行われた改定では、序章1.改定の経緯の
(2)改定の背景で、依然として(保育の)課題や問題点が多くあり、家庭や地域において人や自然と かかわる経験が少なくなったり、子どもにふさわしい生活時間や生活リズムがつくれないことなど子ど もの生活が変化する一方で、不安や悩みを抱える保護者が増加し、養育力の低下や児童虐待などが指摘 されている、としている5)。また一方で、2004 年に文部科学省が、軽度発達障がいやその周辺の子ども を含むと考えられる、通常教室に在籍している「知的発達に遅れはないものの学習面や行動面の各領域 で著しい困難を示すと担任教師が回答した児童生徒の割合」は、小・中学校の場合では、6.3%程度であ るという調査研究6)が出たが、近年、このような「気になる子ども」が多くなってきており、それに伴 って「気になる子ども」に関連した文献が多数提出されるようになってきている7~11)。また、その内容 も、“気になる”子どもの特徴、“気になる”子どもがいる保育現場の苦慮の実態解明、また、“気に
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なる”保育士に着目する研究など多岐にわたった研究が進められるようになってきている。
このような幼児の最近の変化に対応した調査研究が拡がる中で、先のように戸外遊びを推奨してきた 筆者の考え方や捉え方と全く重なる研究内容が、近年の子どもの体力向上や運動能力に焦点を当てた諸 研究の文献の中で見つけられるようになって来た。たとえば、文部科学省スポーツ・青少年局が平成 19
(2007)~21(2009)年度に全国 21 市町村の幼稚園・保育所とその保護者を対象として「体力向上の基 礎を養うための幼児期における実践活動の在り方に関する調査研究」を実施し、幼児の運動実践の効果 を調べたところ、普段から戸外遊びをよくする幼児ほど運動能力の得点が高く、ものごとをやる気が高 いことが明らかになった研究12)である。
また、杉原らの研究13)では、保育所・幼稚園における幼児の運動能力の全国調査の結果、「運動指 導を行っていない園の運動能力が最も高く、指導頻度の高い園ほど低いことである。」とし、「園の保 育形態を子ども一人ひとりが自由な活動をする遊び保育中心の園、クラス全員が指導者の決めた同じ活 動をする一斉保育中心の園、両者ほぼ半々の園に分けて運動能力を比較したところ、一斉指導中心の園 が最も運動能力が低かった」と報告している。また、子どもが園で運動する時の運動の種類、運動のや り方、決まりやルール、目標や課題の 4 項目について、「遊び試行得点」を比較したところ、遊び試行 得点の高い群ほど運動能力が高かったことを報告している。これらの事実は、指導者が特定の運動遊び を行わせるという一斉指導ではなく、子どもの興味・関心に基づいた自発的な遊びのかたちで運動経験 をさせる方が発達特性に適合しており、子どもの運動発達にとって自発的な遊びが課業として指導され る「運動遊び」よりはるかに効果的であることを明確に示していると考えられる。
このように、これまでの幼児における運動指導の研究では、自由な遊び中心の保育形態、子どもの興 味・関心に基づいた自発的な遊びが、一般的な子どもに対する体力や運動能力の向上に対して効果的で あることを明らかにしている。筆者が「気になる子ども」に注目し、そのような子どもたちに効果的と 実感して実践し続けてきた心理面に関する効果に対しても、保育者が指導する運動遊びよりも自由遊び 方式の方が幼児にとっては有効であるという仮説が立てられると考える。したがって、自由遊びについ ての研究は重要であると考えた。
2.先行研究の概要
筆者の先行研究は、1997 年度と 1998 年度の 2 年間、3 歳児クラスの子ども達を対象に行った。1年目 は 12 名、2 年目は 20 名について調査を行い、調査はどちらの年度においても、6~1 月の期間における 平常保育時の自由遊びにおける歩数の調査であった。調査回数は、1997 年度は室内ホールで 25 回、園庭 で 5 回、公園で 5 回、計 35 回、また 1998 年度においては室内ホールで 30 回、園庭で 5 回、公園で 5 回、計 40 回であった。調査の内容は、①「室内」「園庭」「公園」での自由遊び 30 分間における万歩 計による歩数測定、②遊びの空間的・時間的発展を捉えるための観察・記録であった。本研究は、歩数 調査に関連した内容に限定するので、②遊びの発展に関する部分は省略して報告することにする。
この歩数の調査からわかったことは、室内での自由遊びの歩数は男女平均で 1100~1200 歩程度であり、
園庭では 1500~1700 歩程度、公園では 1700~1800 歩程度であった。戸外での平均は 1600~1700 歩程度 と、室内の 1.5~1.6 倍も多くなった。自由遊びにおける子どもの歩数について、園庭の自由遊びの歩数 においては男女差が見られない場合があったが、それ以外ではいずれも男子が女子より活動的であるこ とが確認できた。このように歩数の比率でみると、男子では園庭が室内の 1.3 倍~1.4 倍であったが、
女子では 1.5 倍となり、女子の方が園庭でより解放され、より遊びが活発になっていること、また、公 園では、男女とも同程度に歩数が増加することが確認できた。
これらの中で特に注目されたのは、「室内」での歩数に対して「戸外」での歩数が2倍以上多くなる 子ども達であった。これらの子どもたちの生活背景として、“家庭に妹や弟がいる”、あるいは、“家 庭に何か問題がある”、さらには、これらが複合していることが共通に予想された。
さらに注目されたことは、「室内」の歩数に対して「戸外」の歩数が平均値以上に多い子ども達であ り、調査した 32 名の中で弟妹のいる子は 15 名であったが、このうち 13 名がこれに該当した。逆に言え ば、この子たちは室内での遊びが消極的な子ども達であった。
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以上の調査結果から、自由遊びにおける歩数は戸外では室内の 1.5 倍も多くなること、なかでも、“情 緒不安定”な子や“内向的な傾向”の子では「室内」に比べて「戸外」では 2~3 倍近くにも歩数が増加 することが明らかになった。このように、室内での遊びに消極的な傾向が見られる場合には、それらの 子どもの生活の背景として“不安定要素のある家庭状況”や“弟妹”の存在が予想された。
3.本研究の目的
筆者が保育所における「自由遊び」中の子どもの運動量に注目して行った先行研究の結果、戸外と室 内における自由遊びの活発さの違いに注目することによって、一見見落としがちな“気になる子”の存 在が浮き彫りになり、さらに丁寧な保育の取り組みのための手掛かりとなることが示唆された。
先行研究で対象とした 3 歳児は、「友達との関わりが多くなるものの、実際には、同じ遊びをそれぞ れが楽しんでいる平行遊びが多い」とされる。ところが、4 歳児では「自我の意識を持つようになると 共に、各種の不安やつらさといった葛藤を経験し、仲間とのつながりが強くなる中でけんかも増えてく るが、一方、決まりの大切さに気付いて守ろうとするようになる」という発達特性が指摘されている2)。
そこで本研究では、このような発達特性を持ち、“問題”が明確になりやすい「4 歳児」を対象にし て、「戸外と室内における自由遊びの活動量の個人差が心的個人差の有力情報である」という仮説を立 てて研究を進めることとした。また、保育所における戸外と室内の自由遊び中における活動量の違いを、
客観的に、又、更により詳細に明らかにするために、従来の万歩計ではなく新しく使われ始めている「3 軸方向加速度センサー」を使用して活動量を測定することにした。
Ⅱ 方法
本研究では、以下の2つの調査を行った。
(1)戸外と室内での“自由遊び”時間帯における子どもの活動量を、「3 軸方向加速度センサー」で 測定する。
(2)子どもの活動量についての測定調査を行なった保育園の保育士を対象に、質問紙により、子ども の活動性に関連する評価を行ってもらう。
1.活動量の調査
(1)調査対象
本研究の対象者は、青森県内の保育園 4 か所に通っている 4 歳児クラスの中で保護者が文書で測定に 同意した 77 名であった。保護者に対しては、この測定の目的、利益・不利益、危険性、データの公表に ついての説明を行い、書面にてこの調査への同意を得た。同意を得た保育園ごとの人数は、A保育園:
24 名(50 名中)、B保育園: 22 名(26 名中)、C保育園: 22 名(25 名中)、D保育園:8 名(8 名 中)であった。しかし、風邪による欠席等があり、実際にすべての測定が完了した園児は、A保育園:
19 名、B保育園:15 名、C保育園:16 名、D保育園:6 名であった。
(2)調査方法
測定にあたっては NPO 法人セルフケア総合研究所が開発した超小型加速度・温度データロガー(3 軸 方向加速度センサー、重量:約 12g)14)を幼児の胸骨中央に装着し、さらに、脱落予防のためラージカ ルテープで補強した。この測定器具は、多くの被験者の加速度センサーの値から活動エネルギー量を計 算で求めるものである。ここでは各被験者の体重差が無視されているので、厳密な活動エネルギー量と は言えないが、同一年齢児の園児であるので、それなりの運動量の指標となり得ると考える。
(3)調査期日と手続き
4
それぞれの保育園での測定は、2011 年 10 月~11 月の同じ曜日の2日間で行った。いずれの園でも、
天候の具合を見ながら、どちらか一方の日で戸外遊び、他方の日では室内遊びをさせもらった。A保育 園では室内遊びの測定日に別の行事を入れざるを得なくなったため、極端に活動量が低くなったので、
本研究では別に扱うことにした。
2. 保育士への質問紙調査
(1)調査対象と方法
調査した子どもの保育園において、調査対象児の保育に関わっている保育士に対して質問紙調査を行 った。
質問紙の内容は、測定した子どもの活動性に関連する生活態度について、①突拍子もない事をするこ とがよくある ②よく動き回る ③力(体力)がある ④運動神経がよい ⑤心が安定している ⑥聞 き分けがよい ⑦活発に活動する、の 7 項目である。回答方法は、当てはまらないから当てはまるまで の 5 件法でおこない、その他に「わからない」という選択肢を用意し、そのいずれかを判定してもらっ た。回答した保育士(評価者)の数は、A保育園 20 名、B保育園、11 名、C保育園 20 名、D保育園 13 名であった。全保育士の回答の平均値を個々の幼児の評価値としようとしたが、全保育士に回答をお願 いしたため、「わからない」という回答も少なくなかった。そこで、「わからない」の回答が7項目中3 項目以上ある保育士は当該幼児と関わりが薄い保育士と判断して、ここでの平均値算出には用いなかっ た。
(2)調査期日と手続き
この調査は、活動量調査が終わったほぼ 1 月後に、勤務する保育園で手渡しして回答を求め、後日回 収した。なお、氏名欄を作ったが、回答欄は空白のままにすることも認め、各園児の特徴があれば自由 記述してもらった。
Ⅲ 結果
1.各保育園の戸外と室内における自由遊びの活動量と保育士評価
(1)A保育園での測定
A保育園での測定日の午前中の日課表は表1、2の通りであった。ここでは、いずれの日も自由遊び の時間帯から 30 分間の測定値を得た。各測定項目の値は表3に示した。なお、表中に表示してあるよう に、今後、戸外遊びの活動量は「戸外活動量」、室内遊びの活動量は「室内活動量」、戸外遊びの活動 量を室内遊びのそれで割った値は「内外比」と表現することにする。また、保育士の評価観点を下の注 に示したが、今後は表3にあるように、1を「突拍子」、2を「動き回り」、3を「体力」、4を「運 動神経」、5を「心の安定」、6を「聞き分け」、7を「活発」と略して用いることとする。
(注) 評価項目
1 突拍子もないことをすることがよくある 2 よく動き回る 3 力(体力)がある
4 運動神経がよい 5 心が安定している 6 聞き分けが良い 7 活発に活動する
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表1 戸外遊びの測定 11 月 4 日(金) 表2 室内遊びの測定 10 月 28 日(金)
7:00 早朝保育 7:00 早朝保育
登園~自由遊び 登園~遊戯室で 自由遊び 5 歳児・4 歳児は各クラスへ 9:30 園庭での食育関連行事の準備見学 10:00 遊戯室にて「体操・体力づくり」 (遊戯室で座って見る)
10:30 園庭で 自由遊び 10:00 園庭で見学 11:20 給食準備 10:30 排泄、手洗い等 ~ 給食 11:15 給食準備
~ 給食
表3 A保育園 自由遊びの活動量とその比較・保育者評価(n=19 評価者 20 名)
性 別
個 別
戸外
(㎉/h)
室内
(㎉/h)
内外比 体重
(㎏)
保育者評価 突拍子 動き
体力 運動 心の 安定
聞き
分け 活発
回り 神経
男
1 112 22 5.09 17.7 4.42 5.00 3.89 3.38 2.73 1.85 4.62 2 131 68 1.93 18.8 4.46 4.85 4.42 3.91 1.80 1.75 4.58 3 82 32 2.56 15.9 3.00 3.57 3.33 3.08 3.38 3.29 3.43 4 171 58 2.95 15.5 3.18 3.92 3.09 2.82 3.08 2.82 4.00 5 167 37 4.51 16.0 2.92 4.29 4.00 3.36 3.62 3.21 3.86 6 155 75 2.07 19.7 4.86 5.00 4.43 3.77 1.43 1.71 4.64 7 126 45 2.80 20.1 2.86 3.63 3.71 3.38 3.43 3.13 3.71 8 109 58 1.88 16.4 3.21 4.43 3.77 2.83 2.71 2.57 3.86 9 175 56 3.13 18.0 4.21 4.93 4.57 4.31 2.43 2.86 4.57 10 125 47 2.66 16.0 3.00 3.83 3.27 2.80 3.08 3.27 3.27 平均 135 50 2.96 17.4 3.61 4.34 3.85 3.36 2.77 2.65 4.05
女
1 79 28 2.82 15.6 2.77 4.08 3.70 3.33 2.80 3.25 3.69 2 170 30 5.67 20.3 1.86 2.71 3.00 3.57 3.38 3.63 3.00 3 98 25 3.92 17.3 1.82 3.00 3.00 3.00 4.18 4.27 3.40 4 298 16 18.63 17.8 3.50 4.07 3.54 3.46 2.79 2.79 4.00 5 31 58 0.53 18.7 1.75 2.75 3.10 3.20 3.27 4.17 3.42 6 87 40 2.18 19.2 1.86 3.07 3.31 3.20 2.86 4.29 3.50 7 165 69 2.39 16.0 2.43 3.64 3.31 3.00 2.50 3.79 3.43 8 102 24 4.25 17.8 2.08 3.38 3.27 3.09 3.54 3.75 3.17 9 115 13 8.85 18.8 1.82 2.40 3.11 3.22 3.82 4.27 3.36 平均 132 43 4.09 17.7 2.98 3.84 3.58 3.30 2.98 3.16 3.78 男女平均 133 42 4.15 17.7 2.83 3.73 3.52 3.27 3.05 3.31 3.69
6 (2)B保育園での測定
B保育園での測定日の午前中の日課表は表4,5の通りであった。ここでは、いずれの日も自由遊 びの時間帯から 60 分間の測定値を得た。各測定項目の値は表6に示した。
表4 戸外遊びの測定 11 月 2 日(水) 表5 室内遊びの測定 10 月 26 日(水)
7:00 早朝保育 7:00 早朝保育 登園~組別保育(描画・製作遊び) 登園~
9:30 園庭で 自由遊び ホールで 自由遊び
10:40 組別保育(リズム遊び) 10:00 「国際交流会」(英語教師による遊び等)
11:20 給食準備 11:00 室内で自由遊び ~ 給食 11:20 給食準備
~ 給食
<備考>こどもたちの登園時刻にバラつきが <備考>登園し次第、ホールで自由に遊ばせる。
あり、測定時間を確保する配慮から、組別保 ホールでは、平常通り、約 70 人の 3 歳児~
育の時間を二分する措置を取っている。 5 歳児の子ども達が一緒に遊んでいる。
表6 B保育園 自由遊びの活動量とその比較・保育者評価 (n=15 評価者 11 名)
性 別
個 別
戸外
(㎉/h)
室内
(㎉/h) 内外比 体重
(㎏)
保育者評価 突拍子 動き
体力 運動 心の 安定
聞き
分け 活発
回り 神経
男
1 215 147 1.46 21.5 2.67 4.67 4.67 4.60 2.60 2.33 4.50 2 196 249 0.79 16.5 1.75 4.17 3.60 3.60 4.40 4.50 4.50 3 338 163 2.07 17.0 1.00 3.60 3.50 3.40 4.00 4.80 3.40 4 253 140 1.81 18.5 2.00 3.50 3.75 3.80 4.00 4.17 3.83 5 484 257 1.88 17.0 2.67 4.33 4.17 4.50 3.83 4.00 4.67 6 111 119 0.93 14.5 3.75 4.00 4.00 3.67 2.25 2.00 3.67 平均 266 179 1.49 17.5 2.31 4.04 3.95 3.93 3.51 3.63 4.09
女
1 249 149 1.67 13.5 3.00 3.67 3.50 3.60 2.83 2.83 3.50 2 273 199 1.37 17.0 2.20 3.00 3.00 3.00 3.20 3.25 3.20 3 384 285 1.35 18.0 2.33 3.33 4.00 3.75 4.67 4.50 3.83 4 346 141 2.45 16.5 1.75 3.50 4.00 3.75 4.40 4.20 4.00 5 191 173 1.10 21.5 1.40 3.40 3.50 3.75 4.60 4.60 4.00 6 173 117 1.48 14.5 2.20 3.20 3.00 2.67 3.60 3.40 3.60 7 197 120 1.64 18.5 2.80 3.60 3.67 3.33 3.60 3.20 3.80 8 232 76 3.05 14.5 2.20 4.20 4.00 3.80 3.80 3.80 4.20 9 289 127 2.28 18.0 2.67 2.75 2.67 1.67 3.00 3.25 2.75 平均 262 165 1.68 17.2 2.29 3.69 3.69 3.55 3.64 3.65 3.85 男女平均 265 160 1.73 16.9 2.40 3.59 3.63 3.48 3.64 3.61 3.79
7 (3)C保育園での測定
C保育園での測定日の午前中の日課表は表7,8の通りであった。ここでは、いずれの日も自由遊び の時間帯から 60 分間の測定値を得た。各測定項目の値は表9に示した。
表7 戸外遊びの測定 10 月 24 日(月) 表8 室内遊びの測定 10 月 31 日(月)
7:00 早朝保育 7:00 早朝保育
登園~園庭で 自由遊び 登園~ホールで 自由遊び 10:00 組別保育 (散歩) 10:00 組別保育(リズムダンス) 11:20 給食準備 11:20 給食準備
~ 給食 ~ 給食
<備考>クラスの大半の子どもが集まった 8 <備考>9 時 40 分までは、3 歳児~5 歳児の約 時 30 分頃より、測定器を装着した子どもか 70 名が一緒に遊んでいるが、9 時 40 分以降は
ら順次園庭に出て遊ぶ。 4歳児のみが遊ぶ。
表9 C 保育園 自由遊びの活動量とその比較・保育者評価(n=16 評価者 20 名)
性 別
個 別
戸外
(㎉/h)
室内
(㎉/h) 内外比 体重
(㎏)
保育者評価 突拍子 動き
体力 運動 心の 安定
聞き
分け 活発 回り 神経
男
1 319 187 1.71 18.9 4.57 4.86 3.79 3.21 1.85 1.64 3.77 2 211 177 1.19 23.5 4.54 4.46 4.23 2.92 2.46 2.15 3.38 3 384 242 1.59 24.5 2.79 4.21 4.43 4.29 3.50 3.43 4.43 4 375 189 1.98 18.7 1.38 3.07 3.50 3.67 4.64 4.43 4.00 5 404 116 3.48 16.7 2.91 2.15 2.38 2.42 2.23 2.00 2.00 6 213 178 1.20 18.2 1.64 2.21 2.71 2.23 2.67 2.92 2.00 7 240 392 0.61 17.2 4.14 4.50 3.86 4.07 2.62 2.29 4.46 8 258 170 1.52 17.3 4.79 4.71 4.29 4.00 1.64 2.07 4.36 9 241 282 0.85 14.2 3.71 4.08 2.93 3.38 2.31 2.43 4.07 10 186 262 0.71 20.0 4.64 3.79 3.57 2.69 1.43 1.50 3.07 11 255 232 1.10 18.1 4.92 4.85 3.85 2.75 2.17 1.58 3.85 平均 281 221 1.45 18.8 3.64 3.90 3.59 3.24 2.50 2.40 3.58
女
1 316 145 2.18 16.3 1.77 3.50 4.08 3.79 3.64 3.50 4.00 2 202 106 1.91 21.9 1.08 2.92 3.75 3.70 4.54 4.62 4.08 3 376 191 1.97 15.7 1.07 3.14 3.50 4.08 3.71 4.79 4.07 4 272 194 1.40 15.8 1.64 3.50 3.93 4.43 3.64 4.07 4.36 5 161 121 1.33 18.3 1.21 2.92 3.00 2.71 4.36 4.57 3.57 平均 265 151 1.76 17.6 1.36 3.20 3.65 3.74 3.98 4.31 4.02 男女平均 270 197 1.56 17.7 2.66 3.50 3.51 3.39 3.07 3.17 3.70
8 (4)D保育園での測定
D保育園での測定日の午前中の日課表は表 10 、11 の通りであった。ここでは、いずれの日も自由遊 びの時間帯から 60 分間の測定値を得た。各測定項目の値は表 12 に示した。
表 10 戸外遊びの測定 10 月 27 日(木) 表 11 室内遊びの測定 11 月 10 日(木)
7:00 早朝保育 7:00 早朝保育
登園~園庭で 自由遊び 登園~ホールで 自由遊び 10:00 組別保育 10:00 組別保育
11:20 給食準備 11:20 給食準備
~ 給食 ~ 給食
<備考>平常は、登園し次第ホールで自由 <備考>ホールでは、0 歳児から5歳児ま 遊びをしているが、この日は、測定器の での全園児約 70 名が一緒に遊んでいるが、
装着が全員済むまで室内で待機していた。 9 時 40 分以降は、4 歳児のみが遊ぶ。
表 12 D保育園 自由遊びの活動量とその比較・保育者評価 (n=6 評価者 13 名)
性 別
個 別
戸外
(㎉/h)
室内
(㎉/h)
内外 比
体重
(㎏)
保育士評価 突拍
子
動き 体力 運動 心の 安定
聞き
分け 活発
回り 神経
男
1 418 166 2.52 19.0 4.17 4.33 3.33 3.50 2.50 2.50 3.83 2 292 213 1.37 17.4 2.50 3.83 3.50 4.00 4.00 4.33 3.83 3 300 234 1.28 18.0 2.33 4.17 3.60 4.00 4.17 4.00 4.00 4 330 168 1.96 18.6 4.67 4.83 4.67 4.17 2.83 2.33 4.50 平均 335 195 1.78 18.3 3.42 4.29 3.78 3.92 3.38 3.29 4.04 女 1 243 107 2.27 13.2 4.50 4.17 3.00 3.00 2.60 2.33 3.50 2 297 138 2.15 19.4 2.67 3.17 2.83 2.50 3.50 3.67 3.00 平均 270 123 2.21 16.3 3.58 3.67 2.92 2.75 3.05 3.00 3.25 男女平均 316 175 1.91 17.7 3.46 4.11 3.53 3.58 3.28 3.21 3.82
2.測定値全体の概要
(1)園ごと・測定項目毎の平均の要約表
園毎の各評価項目の平均値と標準偏差を表 13 に、活動量等については表 14 に示した。
表 13 園毎の各評価項目別の平均値・標準偏差 園名
1.突拍子 2.動き回り 3.体力 4.運動神経 5.心の安定 6.聞き分け 7.活発 平
均 標準 偏差
平 均
標準 偏差
平 均
標準 偏差
平 均
標準 偏差
平 均
標準
偏差 平均 標準
偏差 平均 標準 偏差 B 2.29 0.68 3.66 0.52 3.67 0.51 3.53 0.70 3.65 0.74 3.66 0.85 3.83 0.52 C 2.93 1.52 3.68 0.89 3.61 0.59 3.40 0.70 2.96 1.05 3.00 1.20 3.72 0.77 D 3.47 1.08 4.08 0.55 3.49 0.65 3.53 0.66 3.27 0.73 3.19 0.91 3.78 0.50 全
グループ 2.76 1.22 3.74 0.71 3.62 0.56 3.47 0.68 3.29 0.92 3.30 1.04 3.77 0.62
9
(2)全測定値の全体像と男女差
表3を見ると、A保育園の室内活動量が極端に少なかった。これは、この日の昼に食育関係の行事が 園庭で行われることになり、ホールでの自由遊びの時間帯に、窓から見える園庭での状況を見学した子 どもがいたためである。そこで、A保育園を除いて全体の傾向を見ることにした(表 15)。
表 15 を見ると、戸外活動量は平均で 250kcal/h 以上あり、室内活動量も 150kcal/h 以上であり、内外 比は平均で 1.5 を超していることがわかる。また、評価の平均値は、ほぼ3点から4点の間に収まって いた。
表 15 3保育園全体の測定値(n=37)
項目 平均 最小値 最大値 標準偏差
戸外活動量(㎉/h) 276 111 484 82.2
室内活動量(㎉/h) 180 76 392 64.0
内外比 1.67 0.61 3.48 0.63
体重(㎏) 17.8 13.2 24.5 2.60
1.突拍子もないことをすることがよくある 2.76 1.00 4.92 1.22
2.よく動き回る 3.74 2.15 4.86 0.71
3.力(体力)がある 3.70 2.38 5.00 0.57
4.運動神経がよい 3.55 2.00 5.00 0.73
5.心が安定している 3.29 1.43 4.67 0.92
6.聞きわけがよい 3.30 1.50 4.80 1.04
7.活発に活動する 3.77 2.00 4.67 0.62
男女差を見るために男女別の平均値を計算し、t検定を行ったところ、表 16 から分かるように、有意 な男女差が見られた項目は「室内活動量」と、保育士の評価のうちの「1.突拍子もないことをすること がよくある」「2.よく動き回る」「5.心が安定している」そして「6.聞き分けがよい」の4項目であっ た。
表 14 園毎の自由遊びの活動量とその内外比較、体重
園名
戸外活動量 室内活動量 内外比 体重(㎏)
平均
(㎉/h)
標準 偏差
平均
(㎉/h)
標準
偏差 平均 標準偏差 平均 標準偏差 B 262 95 164 59 1.69 0.60 17.1 2.36 C 276 77 199 72 1.55 0.69 18.5 2.83 D 313 58 171 47 1.93 0.50 17.6 2.27 全グループ 276 82 180 64 1.67 0.63 17.8 2.57
10
表 16 各測定項目の男女差のt検定
項目 平均 ケース数 標準偏差 t-値 df 男 女 男 女 男 女 有意差
戸外活動量(㎉/h) 286.8 262.6 21 16 91.0 69.5 0.886 35 NS 室内活動量(㎉/h) 204.0 149.3 21 16 64.3 50.1 2.809 35 P<0.01 内外比 1.52 1.85 21 16 0.7 0.5 -1.597 35 NS 体重(㎏) 18.3 17.0 21 16 2.5 2.6 1.567 35 NS 1.突拍子 3.22 2.16 21 16 1.3 0.9 2.865 35 P<0.01 2.動き回り 4.02 3.37 21 16 0.8 0.4 3.019 35 P<0.01 3.体力 3.79 3.57 21 16 0.6 0.5 1.186 35 NS 4.運動神経 3.63 3.45 21 16 0.8 0.7 0.745 35 NS 5.心の安定 2.96 3.73 21 16 1.0 0.6 -2.76 35 P<0.01 6.聞き分け 2.92 3.79 21 16 1.1 0.7 -2.703 35 P<0.05 7.活発 3.82 3.72 21 16 0.7 0.4 0.474 35 NS
(3)戸外と室内における自由遊びでの活動量と各評価項目間との相関係数
各活動量やそれらの内外比、そして体重と、評価項目間の相関係数を表 17 に示した。この表から、有 意な相関が認められたのは、「室内活動量」と「評価項目」の “運動神経”と“活動性大”との間、及 び体力と体重の間においてのみであった。また、戸外と室内の活動量間には有意な相関が見られなかっ た。
表 17 各活動量等と評価項目との相関係数
項目 戸外
活動量
室内 活動量
内外
比 体重 突拍
子 動き
回り 体力 運動
神経 心の 安定
聞き
分け 活発 落着 なさ
活動 性大 戸外活動量
(㎉/h) 1.00 0.15 *
0.48 0.04 0.08 0.13 0.13 0.25 0.03 0.00 0.16 -0.02 0.20 室内活動量
(㎉/h) 0.15 1.00 *
-0.53 0.09 0.15 0.23 0.21 *
0.28 -0.04 -0.08 0.25 -0.10 * 0.27
内外比 * 0.48
*
-0.53 1.00 -0.01 0.01 -0.06 -0.11 -0.05 0.00 0.00 -0.04 -0.01 -0.07
体重(㎏) 0.04 0.09 -0.01 1.00 0.01 0.01 *
0.27 0.12 0.03 0.01 0.05 0.01 0.16
※:P<0.05
Ⅳ 調査結果からの考察
1.活動量調査
調査対象者の全体像をみると、「戸外活動量」では男児 287 ㎉/h、女児 263 ㎉/h であり、また、「室 内活動量」では男児 204 ㎉/h、女児 149 ㎉/h であり、表 16 から分かるように、いずれも、男児が女児 より活動的であった。これらは、以前の報告と一致する1)。また、活動量の内外比をみると、男児では 戸外が室内の 1.52 倍であったが、女児では 1.85 倍であり、男女込みの内外比は 1.67 であった。
室内活動量では男女差があったものの、内外比では有意ではなかった。これは、有意差がないものの 戸外活動量においても女子の方が少なかったことによる。一方、万歩計で計測した先行研究では、公園 での調査も行っていた。公園においては男女同程度の比率であったが、男児では園庭が室内の 1.35 倍で あったのに対し、女児では 1.5 倍であったので、慣れ親しんだ野外である園庭では、女児の方が男児よ
11
りも相対的により活発であり、より多人数の調査を行えば、有意差が認められるかも知れない。つまり、
女児は室内との比率から見れば戸外でより活動的になる傾向があると言えるかも知れない。あるいは、
以前に筆者が対象としたのは 3 歳児であったが、今回の対象は 4 歳児であり、これらの結果はそれぞれ の年齢による特徴の違いを表しているとも考えられる。
今回の調査でも、室内と戸外における活動量の比較からみれば、園庭において女児がより活動的にな っていることがわかった。しかし、内外の比率の男女差をみると、その差は先行研究では 0.15、本研究 では 0.33 であり、倍近くに開いている。ここで注目されるのは、室内活動量の平均値は、男児はほぼ 200kcal/h であり、女児はほぼ 150Kcal/h であったので、女児は男児のほぼ 75%の活動量しかなかった ことになる。これらの差が、サンプル誤差からくるものなのか、それとも”問題“がより深刻化してい るのか、あるいは、測定した保育園のある地域の差等なのかは、今後の調査が必要であるが、興味深く 感じられる差であった。また、戸外と室内の活動量間には有意な相関は見られなかった。
これは、室内では活発であっても、戸外でも活発だとは言えないということを意味する。この戸外と 室内における活動量のギャップの大きさである内外比に注目してみると、戸外と室内における活動量の 内外比が-1σから-1.5σに相当する 1.0 を下回ったのは、本研究では、合計 37 名(男児:21 名、女児:
16 名)中、男児 5 名であった。また、先行研究の 3 歳児の調査では、全体の内外比平均値が 1.5 程度で あるのに対して 1.0 を下回っていたのは、2 年度分合計で、34 名(男児:14 名、女児:20 名)中の男児 2 名であった。これらから、「戸外活動量」が「室内活動量」に比例して大きくならないのは、男児に のみ見られる特徴であることが分かった。全体的に男女とも戸外でより活動的になる一方で、男児の中 にのみ、戸外で室内よりも落ち着いた活動量になるという子どもが男児全体の 2 割前後いるということ は、性差に関連した男児の特徴と見て良いのかもしれない。そうすると、この事実は、男児に対しての 理解や男児を指導する時に配慮すべき事項となるかも知れない。
ところで、保育士の活動度の評価では、ほとんどが 3 点台であり、本研究の調査対象児は、平均的、
またはそれよりも若干動きの大きい園児が多い集団と言えるだろう。ただし、活動量と評価の間には正 の相関係数が期待されたが、表 17 に示したように、有意な相関係数は得られなかった。本研究でいく つかの評価観点を用意したのは、「活動的かどうか」という質問で評価を求めた場合は、むやみやたら と動く園児に対して「はい」という評価を与えないのではないかという危惧からであった。
これらの項目に対してどのような観点から評価しているのかを確認するために、この7項目に関して 探索的因子分析を行ったところ、表 18 にあるように、2因子が抽出され、評価保育者 37 名でも、A保 育園の分を入れた 56 名で行ってもほぼ同じ結果であった。第 1 因子は、“突拍子のない事をすることが よくある”、“心が安定している”、“聞き分けがよい”、の3項目よりなるので、「落着度因子」と 命名した。また、第2因子は“力(体力)がある”、“運動神経がよい”、“活発に活動する”、の3項 目よりなるので、「活動性因子」と命名した。
そこで、表に下に記したように各々の3項目を足して、「落着度得点」と「活動性得点」とを算出し た。ただし、一番目の項目は逆項目として処理してから足し合わせた。そして、男女別に平均値を算出 し、それによって2群に分けて有意差検定をした。その結果が表 19 と 20 であるが、それでも、有意差 は認められなかった。したがって、保育士の幼児に対する活動度の評価は実際の活動量を推定する目安 にはならないことがわかった。
ただし、各評価項目について、室内と屋外で相関係数を比較すると、その多くで室内との相関係数の 方が高いことがわかる。また、「室内活動量」と「評価項目」の“運動神経”と“活動性大” との間に 有意な相関係数が得られた。このことから、「戸外」より「室内」の方において、子どもの活動の特徴 がよく観察されているとも言えるだろう。これは逆から捉えると、保育士は戸外活動もよりよく把握す るべきであるという提言も可能となる。子どもの活動性の把握と物理的な活動量との関係はより深い考 察が必要なのかも知れない。
12
表 18 評価の因子分析(右はA保育園も入れた他人数での分析結果)
項目
因子負荷量 (基準化バリマックス 法 ) 因子負荷量 (基準化バリマックス 法 ) 抽出法: 主軸因子(n=37) 抽出法: 主軸因子(n=56)
第 1 因子 第 2 因子 第 1 因子 第2因子
1.突拍子 -0.938 0.129 -0.934 0.215
2.動き回り -0.556 0.753 -0.598 0.711
3.体力 -0.051 0.812 -0.218 0.864
4.運動神経 0.210 0.850 0.171 0.848
5.心の安定 0.927 0.161 0.894 0.060
6.聞き分け 0.969 0.010 0.972 -0.014
7.活発 0.121 0.937 -0.037 0.932
説明済 3.047 2.879 3.051 2.891
寄与率 0.435 0.411 0.436 0.413
第 1 因子(落着度因子):6-「突拍子」+「心の安定」+「聞き分け」
第 2 因子(活動性因子):「体力」+「運動神経」+「活発」
表 19 落着度因子得点を平均値で上下に分けた場合の平均値の差(男女別)
平均
t-値 df p
標準偏差 F-値 p
項目 落ち着き 落ち着き 男
n=15
女
n=22 分散 分散
なし あり
戸外活動量(㎉/h) 258.3 295.2 -1.382 35 0.176 75.0 87.3 1.355 0.528 室内活動量(㎉/h) 177.6 183.1 -0.260 35 0.797 71.8 56.5 1.617 0.328 内外比 1.626 1.706 -0.382 35 0.705 0.708 0.546 1.679 0.291 体重(㎏) 17.6 18.0 -0.537 35 0.595 2.7 2.5 1.225 0.68
表20 活動度因子得点を平均で上下に分けた場合の平均値の差(男女別) 項目
平均
t-値 df p
標準偏差 F-値 p
活動量小 活動量大 男 女
分散 分散
n=15 n=22
戸外活動量(㎉/h) 268.1 282 -0.5 35 0.621 77.8 86.4 1.234 0.697
室内活動量(㎉/h) 171.5 186.4 -0.69 35 0.495 54.2 70.5 1.692 0.314 内外比 1.714 1.632 0.387 35 0.701 0.742 0.552 1.808 0.214 体重(㎏) 17.7 17.8 -0.09 35 0.927 2.5 2.6 1.086 0.895
3.個別事例の研究
1)2 標準偏差以上の値に注目して
全体的な分析では、仮説で立てた「気になる子ども」の活動量に関する有益な情報は得られなかった。
そこで、次に、極端な測定値が得られた幼児について、個別に検討することにした。室内、あるいは戸外 での自由遊びの活動量、また、内外比が、平均値から2標準偏差値以上離れている子どもを抜き出して、
どういう子どもなのかを検討するために、保育士へのインタビューによって情報を得た。その情報を保 育士評価と併せて検討し述べることにする。平均値からのずれは、在籍する園の平均値と標準偏差値に 由来する値とした。