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「主体的・対話的で深い学び」を実現する算数科学習指導( 4 )

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Academic year: 2021

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(1)

「主体的・対話的で深い学び」を実現する算数科学習指導( 4 )

-アクティブ・ラーニングを取り入れた効果的な問題解決型学習を通して-

鈴木 詞雄

1  研究のねらい

 2020 年に施行される新学習指導要領における大きな指針の 1 つは、中央教育審議 会答申に盛り込まれた「主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)」で ある。溝上慎一(2014)が提唱している「アクティブラーニング」や松下佳代(2015)

が提唱している「ディープ・アクティブラーニング」の考え方を基盤にしながらも、

より限定的な形で「主体的・対話的で深い学び」という文言を用いている。では、算 数科の授業における「主体的・対話的で深い学び」とは、どのような授業の中で、ど のように行われるものを指すのであろうか。小学校教員と連携しつつ考えた授業のポ イントと指導案を示す。

 ベースとするのは、子どもが自ら課題ととらえ、自力解決し、集団で考えを練り合 い、よりよい解決にしていく問題解決型授業である。子どもたちは自ら課題を設定し、

解決することで、わかる喜び・できる楽しさをより強く味わうことができる。それが

「主体的・対話的で深い学び」になるには、子どもの気づきや考えを大切にし、子ど もの言葉で授業を創る必要がある。そして小集団交流を取り入れることで、より多く の子どもたちが内化と外化を繰り返すことができ、効果を高めることができる。

 例として、第 2 学年の単元「九九をつくろう」の授業(第 13 時)を提案する。

2  研究の方法

( 1 ) 工夫点と期待する効果

 協同学習の技法である「シンク・ペア・シェア」や「ラウンド・ロビン」、「スリー・

ステップ・インタビュー」を教材に合わせて使い、検証を行う。

 ① 工夫点 1  小集団交流を取り入れた問題解決型学習

   「問題提示→めあての設定→見通し→自力解決→小集団交流→全体共有→まと め」という学習の流れを基本とし、協同学習の技法である「シンク・ペア・シェ ア」を用いる。習熟度別学習も取り入れ、問題解決能力を高める。

 ② 工夫点 2  魅力ある教材

(2)

   算数的活動を必要とする問題や思わず解きたくなる問題などを設定すること で、子どもの意欲を高めると共に、必要感をもたせる。

 ③ 工夫点 3  既習事項を基にした問題提示と解決の見通し

   問題提示の際、既習事項との共通点や相違点を考えさせることで、解決の見通 しが立ち、「主体的な学び」ができる。

 ④ 工夫点 4  自力解決の充実

   子どもたちが自分の考えを自由に表現でき、すぐに共有できるように、 1 枚 のワークシートの上部には九九表、下部にはひみつを記入するスペースを設け、

何枚でも書いてよいこととする。時間を短縮することにより、内化と外化を繰り 返す時間を確保する。

 ⑤ 工夫点 5  習熟度に合わせた小集団交流

   協同学習の技法である「ラウンド・ロビン」の考え方を取り入れ、意図的にグ ループ編成したペア・トリオ・カルテット学習を行う。話し合いの活性化を図る ために、以下のようにコースの実態に合った話し合いを行う。

  ・ぐんぐんコース…ペアの考えを理解して相手に伝える活動(スリー・ステップ・

インタビュー)

  ・すいすいコース… 4 人のグループの中で自分の考えを相手に伝える活動   ・じっくりコース… 3 人グループの中で自分の意見を伝える活動→課題に対し

てグループで取り組む活動

   自分の考えとの共通点や相違点を考えながら意見を交流したり、課題に知恵を 出し合ったりする。

 ⑥ 工夫点 6  子どもの言葉をつなぐ全体共有

   全体共有の場面では、友達の考えを理解し、説明する活動をすることで、友達 に主体的に関わっていくことができるようにする。また、 4 人グループでも 3 人グループでも全員が前を向きやすい座席配置とし、様々な考え方を共有する。

 ⑦ 工夫点 7  教材に合わせた話し合いの視点

   算数科の学習には、オープンエンドのものとクローズエンドのものがある。オープ ンエンドのものは多様性を評価し、クローズエンドのものは一般化と簡潔明瞭を評 価する。今回はオープンエンドであるので、クイズの要素を取り入た発展学習も行う。

3  研究の内容

( 1 ) 単元計画

 「研究の方法」で述べた 7 個の工夫点を用いた授業を提案する。単元は、第 2 学 年「九九をつくろう」(教科書『新しい算数 2 下』東京書籍)である。単元計画を載 せておく。

(3)

時 ぐんぐんコース 学 習 内 容すいすいコース じっくりコース 評価規準 1 ○ 6 の段の九九の構

成の仕方を理解す

○アレイ図を用いて、る。

6 ずつ増えること を理解する。

○ 6 の段の九九の構 成の仕方を理解す

○アレイ図を用いて、る。

6 ずつ増えること を理解する。

○ 6 の段の九九の構 成の仕方を理解す

○アレイ図を用いて、る。

6 ずつ増えること を理解する。

乗法について成り 立つ性質やきまり を考え、説明して いる。

2 ○ 6 の段の九九を確 実に唱え、適用す ることができる。

○ 6 の段の九九を確 実に唱え、適用す ることができる。

○ 6 の段の九九を確 実に唱え、適用す ることができる。

九 九 を 確 実 に 唱 え、それを用いて 問題を解決するこ とができる。

3 ○前時と同様。 ○前時と同様。 ○前時と同様。 九 九 を 確 実 に 唱 え、それを用いて 問題を解決するこ とができる。

4 ○ 7 の段の九九の構成 の仕方を理解する。

○ 7 の段の九九の構 成の性質やきまり を見付ける。

○見付けた性質やきま りを他者に紹介する。

○他者の見付けた性 質やきまりを紹介 する。

○ 7 の段の九九の構 成の仕方を理解す

○班で話し合う活動る。

を通してきまりな どを見つける。

○ 7 の段の九九の構 成の仕方を理解す る。

乗法について成り 立つ性質やきまり を考え、説明して いる。

5 ○ 7 の段の九九を確 実に唱え、適用す ることができる。

○ 7 の段の九九を確 実に唱え、適用す ることができる。

○ 7 の段の九九を確 実に唱え、適用す ることができる。

九 九 を 確 実 に 唱 え、それを用いて 問題を解決するこ とができる。

6 ○前時と同様。 ○前時と同様。 ○前時と同様。 九 九 を 確 実 に 唱 え、それを用いて 問題を解決するこ とができる。

7 ○ 8 の段の九九の構成 の仕方を理解する。

○ 8 の段の九九の構 成の性質やきまり を見付ける。

○見付けた性質やきま りを他者に紹介する。

○他者の見付けた性質 やきまりを紹介する。

○ 8 の段の九九の構 成の仕方を理解す

○班で話し合う活動る。

を通してきまりな どを見つける。

○ 8 の段の九九の構 成の仕方を理解す る。

乗法について成り 立つ性質やきまり を考え、説明して いる。

8 ◯ 8 の段の九九を確 実に唱え、適用す ることができる。

◯ 8 の段の九九を確 実に唱え、適用す ることができる。

◯ 8 の段の九九を確 実に唱え、適用す ることができる。

九 九 を 確 実 に 唱 え、それを用いて 問題を解決するこ とができる。

9 ○ 9 の段の九九の構 成の仕方を理解す

○ 9 の段の九九の構る。

成の性質やきまり を見付ける。

○見付けた性質やき まりを他者に紹介

○他者の見付けた性質する。

やきまりを紹介する。

○ 9 の段の九九の構 成の仕方を理解す

○班で話し合う活動る。

を通してきまりな どを見つける。

○ 9 の段の九九の構 成の仕方を理解す る。

乗法について成り 立つ性質やきまり を考え、説明して いる。

10 ○ 9 の段の九九を確 実に唱え、適用す ることができる。

○ 9 の段の九九を確 実に唱え、適用す ることができる。

○ 9 の段の九九を確 実に唱え、適用す ることができる。

九 九 を 確 実 に 唱 え、それを用いて 問題を解決するこ とができる。

(4)

時 ぐんぐんコース 学 習 内 容すいすいコース じっくりコース 評価規準 11 ○ 1 の段の九九を構

成し、乗法の意味 の理解を確実にす

○ 1 の段の九九の構る。

成の仕方を理解す

○ 1 の段の九九の構る。

成の性質やきまり を見付ける。

○見付けた性質やき まりを他者に紹介

○他者の見付けた性する。

質やきまりを紹介

○九九を、答えの大する。

きい方から唱えた り、途中から唱え たり、交互に唱え たりする活動を通 して、九九の習熟・

定着を図る。

○ 1 の段の九九を構 成し、乗法の意味 の理解を確実にす

○九九を、答えの大る。

きい方から唱えた り、途中から唱え たり、交互に唱え たりする活動を通 して、九九の習熟・

定着を図る。

○ 1 の段の九九を構 成し、乗法の意味 の理解を確実にす

○九九を、答えの大る。

きい方から唱えた り、途中から唱え たり、交互に唱え たりする活動を通 して、九九の習熟・

定着を図る。

乗法について成り 立つ性質やきまり を考え、説明して いる。

12 ○ 2 c m の 3 倍 の 長 さ を 求 め た り、

図を見て基準量の 何倍かを考えたり し、「倍」について の理解を深める。

○ 2 c m の 3 倍 の 長 さ を 求 め た り、

図を見て基準量の 何倍かを考えたり し、「倍」について の理解を深める。

○ 2 c m の 3 倍 の 長 さ を 求 め た り、

図を見て基準量の 何倍かを考えたり し、「倍」について の理解を深める。

図を見て、比較量 が基準量の何倍に なるかを考え、説 明している。

本時13 ○九九表からきまり を見つける活動を 通して、乗数と積 の関係や、乗法の 交換法則について の理解を深める。

○見付けたきまりを 他者に紹介する。

○他者の見付けた性質 やきまりを紹介する。

○九九表からきまり を見つける活動を 通して、乗数と積 の関係や、乗法の 交換法則について の理解を深める。

○班で話し合う活動 を通してきまりな どを見つける。

○九九表からきまり を見つける活動を 通して、乗数と積 の関係や、乗法の 交換法則について の理解を深める。

○ 3 人グループで協 力して問題を解決 している。

各段の九九を構成 するときに用いた 乗 数 と 積 の 関 係 や、乗法の交換法 則を乗法の性質や きまりとしてまと め よ う と し て い る。

14 ○乗法の性質やきま りを用いて、簡単 な場合の 2 位数と 1 位数の乗法の答 えの求め方を理解 する。

○乗法の性質やきま りを用いて、簡単 な場合の 2 位数と 1 位数の乗法の答 えの求め方を理解 する。

○乗法の性質やきま りを用いて、簡単 な場合の 2 位数と 1 位数の乗法の答 えの求め方を理解 する。

乗法について成り 立つ性質やきまり を用いて九九を構 成しようとしてい る。

15 ○乗法九九を総合的 に活用して、問題 を解決することを 通して、九九の理 解を深める。

○解決方法を他者に 説明する。

○他者の解決方法を 説明する。

○乗法九九を総合的 に活用して、問題 を解決することを 通して、九九の理 解を深める。

○乗法九九を総合的 に活用して、問題 を解決することを 通して、九九の理 解を深める。

基本的な学習内容 を 身 に 付 け て い る。

16 ○学習内容を適用し

て問題を解決する。○学習内容を適用し

て問題を解決する。○学習内容を適用し

て問題を解決する。基本的な学習内容 を 身 に 付 け て い る。

17 ○学習内容の定着を 確認し、理解を確 実にする。

○学習内容の定着を 確認し、理解を確 実にする。

○学習内容の定着を 確認し、理解を確 実にする。

基本的な学習内容 を 身 に 付 け て い る。

(5)

( 2 ) 提案授業

 提案する授業は、前述の単元計画の第 13 時である。次ページからそれぞれのコー スのねらいと展開、座席表を載せておく。

A ぐんぐんコース(授業者 中川 真菜美・古重 多鶴子)

 ① 本時のねらい

  ・九九表からきまりを見付ける活動を通して、乗数と積の関係や、乗法の交換法 則についての理解を深める。

  ・既習事項を生かし、友達と話し合いながら、課題を解決することができる。

 ② 本時の展開

〇学習活動 ◇指導の留意点

◆学習活動に即した具体的な評価規準

導 入

1 .九九表の空欄を埋め九九の復習をする。

2 .めあてを確認する。 ◇今まで見付けた性質やきまりを想起させる。

展       開

3 .九九表を見て、気付いたことをワークシー トに書き込む。【個人学習】

4 .ペアになり、見付けた九九表の 「ひみつ」

を紹介する。【ペア学習】

5 . 4 人グループになり、ペアの友達が見付け た「ひみつ」を他者に紹介する。【グループ学習】

6 .グループ内の友達が見付けた九九表の「ひ みつ」を紹介する。【全体学習】

・(縦)3 の段は 3 ずつ、 4 の段は 4 ずつ 増える。

・(横)5 をかけたら 5 ずつ、 6 をかけたら 6 ずつ増える。

・(右斜め)中心から左右対称になっている。

・(左斜め)3 , 5 , 7 …と奇数で増えている。

・かけられる数とかける数を入れ替えて計算 しても、 答えは同じになる。 

・ 3 の段+ 4 の段= 7 の段 となる。

7 .全体で九九表の「きまり」をまとめる。

 〇 4 × 8 = 4 × 7 + 4  〇 7 × 8 = 8 × 7

8 .九九表の「きまり」を使って、問題を解く。

【活用】

 〇 3 × 7 = 3 × 6 +□

 〇 5 × 8 = 8 ×□

◇九九表のワークシートを用意する。

◆各段の九九を構成するときに用いた乗数と 積の関係や、乗法の交換法則を乗法の性質 や き ま り と し て ま と め よ う と し て い る。

〔ワークシート・観察〕【関心・意欲・態度】

◇発表の仕方を確認する。

◇話型とハンドサインを活用させる。

◆ペアの友達が見付けたひみつの内容を理解 し、グループの友達にそのひみつを伝える ことができる。〔観察〕【数学的な考え方】

◇かけられる数と同じ数だけ増えることを知 らせる。

◇複数の解答があることを知らせる。

◇乗法の交換法則、分配法則に気付かせる。

◆学習内容を適用して、問題を解決すること ができる。〔ノート〕【知識・理解】

ま と め

9 .本時のまとめを行う。

10.次時の見通しをもつ。 ◇本時の学習内容を確認させる。

めあて九九表のひみつを見つけよう。

(6)

 ③座席表

 

〇全体学習 〇ペア学習 〇グループ学習

B すいすいコース(授業者 秋田 正光)

 ① 本時のねらい

  ・九九表からきまりを見つける活動を通して、乗数と積の関係や、乗法の交換法 則についての理解を深める。

  ・既習事項を生かし、友達と話し合いながら、課題を解決することができる。

 ② 本時の展開

学習活動・予想される児童の反応 ○指導上の留意点●評価

導 入

1 .前時までの学習を振り返る。

2 .めあてを確認する。 〇九九表に書き込む。時間は 3 分。

自力解決・協同解決

3 .九九表の中からひみつを見つけ出す。

C 1 : 8 の段は 8 ずつ増える。

C 2 :9 の段は 4 の段と 5 の段を合わせた 答え。

C 3 :九九表の中には同じ答えがある。

4 .グループの中で見つけたひみつを伝え合 う。

5 .グループで見つかったひみつをみんなの 前で発表する。

C 1 : 1 ,25,49,64,81 は一個しかない。

C 2 : 8 は 4 つも九九表にあるね。

C 3 : 5 の段の一の位は 0 と 5 しかない。

〇今までに見つけたひみつを見つけ出しても 良いこととする。

●各段の九九を構成するときに用いた乗数と 積の関係や、乗法の交換法則を乗法の性質 や き ま り と し て ま と め よ う と し て い る。

〔ワークシート・観察〕【関心・意欲・態度】

● 4 人グループの中で、自分が見付けたひみ つを発表することができている。〔観察〕【思 考・表現】

〇ハンドサインと話型をつかって 4 人グルー プで伝え合う。

〇グループの中から 1 人発表する人を決めて おく。

全 体 解 決

6 .気に入ったひみつを一つノートに書く。

7 .適用問題を解く。 〇自分が書いたものと違うひみつを書かせる。

●学習内容を適用して、問題を解決すること ができる。〔ノート〕【知識・理解】

 ③ 座席表

 「ぐんぐんコース」に準ずる。

めあて 九九表の中からひみつを見つけ出そう。

(7)

C じっくりコース(授業者 片山 祐貴)

 ① 本時のねらい

  ・九九表からきまりを見つける活動を通して、乗数と積の関係や、乗法の交換法 則についての理解を深める。

  ・既習事項を生かし、友達と話し合いながら、課題を解決することができる。

 ② 本時の展開

学習活動・予想される児童の反応 ○指導上の留意点●評価

導入

1 .前時までの学習を振り返る。

2 .めあてを確認する。 〇九九表に書き込む。時間は 3 分。

自力解決・協同解決

3 .九九表の中からひみつを見付け出す。

C 1 : 8 の段は 8 ずつ増える。

C 2 :9 の段は 4 の段と 5 の段を合わせた 答え。

C 3 :九九表の中には同じ答えがある。

4 .見付けたひみつを伝え合う。

5 .新しいひみつを三人で見付け出す。

C 1 : 1 ,25,49,64,81 は一個しかない。

C 2 : 8 は 4 つも九九表にあるね。

C 3 : 5 の段の一の位は 0 と 5 しかない。

〇今までに見つけたひみつを見つけ出しても 良いこととする。

●各段の九九を構成するときに用いた乗数と 積の関係や、乗法の交換法則を乗法の性質 や き ま り と し て ま と め よ う と し て い る。

〔ワークシート・観察〕【関心・意欲・態度】

〇ハンドサインと話型をつかって 3 人グルー プで伝え合う。

●三人で協力して話し合いながら問題を解く ことができている。〔観察・ワークシート〕【思 考・表現】

全体 解決

6 .見付けたひみつをみんなの前で発表する。

7 .気に入ったひみつを一つノート書く。

8 .適用問題をとく。

〇自分が書いたものと違うひみつを書かせる。

〇今までのひみつを使って解ける問題を解か せる。

●学習内容を適用して、問題を解決すること ができる。〔ノート〕【知識・理解】

 ③ 座席表(グループ時)

黒板

めあて 九九表の中からひみつを見つけ出そう。

(8)

4  考察

( 1 ) 成果

 具体的なデータは掲載できないが、以下の 7 個の工夫点は概ね期待する効果を生 む可能性があることが分かった。

 ① 工夫点 1  小集団交流を取り入れた問題解決型学習

   「問題提示→めあての設定→見通し→自力解決→小集団交流→全体共有→まと め」という学習の流れを基本とし、協同学習の技法である「シンク・ペア・シェ ア」を使った。習熟度別学習も取り入れることで、問題解決能力を高めると共に

「主体的・対話的で深い学び」を実現する可能性がある。

 ② 工夫点 2  魅力ある教材

   算数的活動を必要とする問題や思わず解きたくなる問題などを設定すること で、子どもの意欲を高めると共に、必要感をもたせることができた。

 ③ 工夫点 3  既習事項を基にした問題提示と解決の見通し

   問題提示の際、既習事項との共通点や相違点を考えさせることで、解決の見通 しが立ち、「主体的な学び」ができた。

 ④ 工夫点 4  自力解決の充実

   子どもたちが自分の考えを自由に表現でき、すぐに共有できるように、 1 枚 のワークシートの上部には九九表、下部にはひみつを記入するスペースを設け、

何枚でも書いてよいこととした。時間を短縮することにより、内化と外化を繰り 返す時間を確保することができた。

 ⑤ 工夫点 5  習熟度に合わせた小集団交流

   協同学習の技法である「ラウンド・ロビン」の考え方を取り入れ、意図的にグ ループ編成したペア・トリオ・カルテット学習を行った。

   ・ぐんぐんコースの「ペアの考えを理解して相手に伝える活動(スリー・ステッ プ・インタビュー)」は、できる児童とできない児童がいた。

   ・すいすいコースの「 4 人のグループの中で自分の考えを相手に伝える活動」

は、ほとんどの児童が行っていた。

   ・じっくりコースの「 3 人グループの中で自分の意見を伝える活動」は、ほ とんどの児童が行うことができた。また、「課題に対してグループで取り組 む活動」は、全員の児童が頭を付き合わせて熱心に取り組んでいた。

   自分の考えとの共通点や相違点を考えながら意見を交流したり、課題に知恵を 出し合ったりすることで、「主体的・対話的で深い学び」が実現する可能性がある。

 ⑥ 工夫点 6  子どもの言葉をつなぐ全体共有

   全体共有の場面では、友達の考えを理解し、説明する活動をすることで、友達 に主体的に関わっていくことができるようになった。また、 4 人グループでも

(9)

3 人グループでも全員が前を向きやすい座席配置とし、様々な考え方を共有す ることで、「主体的・対話的で深い学び」を実現する可能性がある。

 ⑦ 工夫点 7  教材に合わせた話し合いの視点

   今回の教材はオープンエンドであるため、多様性を評価した。クイズの要素を 取り入れた発展学習を行うことで、「主体的・対話的で深い学び」を実現する可 能性がある。

( 2 ) 課題

 ・この授業の緻密なデータ収集と分析をすることにより、より多くの成果と課題を 残すことができると考える。

 ・協同学習の他の技法である「特派員」などを教材に合わせて使うことで、大きな 効果を発揮する可能性がある。検証を行う必要がある。

引用・参考文献

中央教育審議会教育課程部会(2016).『中央教育審議会答申』.文部科学省 HP 溝上慎一(2014).『アクティブラーニングと教授学習パラダイムの転換』.東信堂 松下佳代(2015).『ディープ・アクティブラーニング』.勁草書房

杉江修治(2011).『協同学習入門:基本の理解と 51 の工夫』.ナカニシヤ出版 エリザベス=バークレイ他著・安永悟訳(2009).『協同学習の技法大学教育の手引き』.

ナカニシヤ出版

藤井斉亮、他 40 名(2011).『新しい算数』.東京書籍

志水廣(2016).『 2 つの「しかけ」でうまくいく!算数授業のアクティブ・ラーニ ング』.明治図書

志水廣、鈴木詞雄、算数・数学授業力アップ研究会(2011).『志水メソッドを生かし た算数・数学の授業プラン』.fornext

鈴木詞雄(2017).「「主体的・対話的で深い学び」を実現する算数科学習指導( 1 )

-アクティブ・ラーニングを取り入れた効果的な問題解決型学習を通して-」.『教 育学論集 68』. 創価大学教育学部・教職大学院

鈴木詞雄(2017).「「主体的・対話的で深い学び」を実現する算数科学習指導( 2 )

-アクティブ・ラーニングを取り入れた効果的な問題解決型学習を通して-」.『教 育学論集 69』. 創価大学教育学部・教職大学院

鈴木詞雄(2019).「「主体的・対話的で深い学び」を実現する算数科学習指導( 3 )

-アクティブ・ラーニングを取り入れた効果的な問題解決型学習を通して-」.『教 育学論集 71』. 創価大学教育学部・教職大学院

(10)

研究協力者

八王子市立川口小学校 校  長 高木  宏 八王子市立川口小学校 教  諭 中川 真菜美 八王子市立川口小学校 主任教諭 古重 多鶴子 八王子市立川口小学校 講  師 秋田 正光 福生市立第六小学校  教  諭 片山 祐貴

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Study Guidance in Elementary Mathematics Aimed for Realizing “Self-directed, Interactive, and Deep Learning”( 4 ):

Through an Effective Problem-based Learning Strategy Integrating Active Learning

Norio SUZUKI

 One of the main principles presented in the new government curriculum guideline coming into effect in 2020 is “self-directed, interactive, and deep learning,” which also is illustrated in the report submitted by the Central Education Council. The author, by receiving support from elementary school teachers, conceptualized an instructional strategy which enables “self- directed, interactive, and deep learning” in elementary mathematics. The author proposed total seven strategic points for pupils’ achieving “self-directed, interactive, and deep learning” In addition, the author exemplified a second grade class math lesson plan dealing with the area of

“Let’s make a multiplication table”.

(12)

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