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監査公準の体系化について

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(1)

−25クーーー  

監査公準の体系化について  

Ⅰはじめに  

本稿は,さきに,われわれが「監査公準論研究序説−・マクツ・ジ  ャラフ   理論に.おける監査公準の意義に.ついて⊥」と適した前稿において,残して  

l.11  

た問題の展開を目的とするものである。前稿では,マクツ・レヤクフの監   準論が,かれらの監査理論の全体系のなかでどのような位置を占めるもの   るかを検討した。ノかれらは,監査という1つの学問領域は,理論的基礎,  

準,概念,規則および実践的適用の5っの階層的部分によって二形成され,か   公準ほその理論構造において重要な役割りをもっているとされる。また,か  

らほ.,公準の一・般的性質として,第1に.,公準ほ学問の発展に.とって必須の   のであること,第2に.,公準はそれ自体直接に換証することのできない前提   あること,解3に,公準は推論の基礎であること,第4に.,公準  

設の基盤であること、,第5に.,公準ほ学問が将来発展した場合には挑観でき   ものであることなどをあげている。そしてニ,かれらの試案として8つの公準   提示したのである。   

しかしながら,マクツ・ジャブフほ,かれらの8っの公準が,具体的に・ど   ような思考過程を縫て導きだされたのかということについては,はとんど  

らしきものをのべていない。また,かれらは,個々の監査基準をばらばら   挙したのみであってニ,それらのものが相互にどのように関連しているのかと  

うような,体系化の試みを行なっていない。したがって,マクツ・ジャヲ   監査公準が,総合的に・どのような意図の下に.組み立てられているかが明確で   い。そこで,本稿では,マクツ・ジャラフの提出した8っの監査公準降ウ  

(1)『香川大学経済論遣』界36巻第4号所載。   

OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ

(2)

監査公準の体系化紅づいて   ニゑ朗−  

その体系化を試み,同時紅,そこに・隠されているマクツ・ジャラフの監査   匿対する観点を見つけだそうと思うのである。・そ・のために,まず,マク   レヤラフの8っの公準について:,その性格を個別的に規定し,そこからそ   ら全てを統一↓, かつ体系化する手掛りを見つけだすこと紅する。  

ⅠⅠ監査公準の性格の個別的規定  

1)第1公準  

マクツ・ソ辱ラフは,その節1公準を,「財務諸表および財務的資料ほ立証可   臣なものであ卑(Financialstatementandfinancialdataareverifiable).」 

凌現する。  かれらによれば,こでの公準は,監査紅そ・の存在理由(IeaSOnfo董 

【istenCe)ら およぴその対象(very subject of a11diting)を与えるものであ   とされる。それはどに,この公準ほ,監査の基本的前提として\重要なことが   明らかなものである。すなわち,もしも財務的資料が立証できないものである  

いうこと.になれば,監査はもほや存在理由をもたなくなり,同時紅監査すべ  

しご1  

対象を失ってしまうからである。  

つぜに,マクツ・Vヤラフは,「立証可能である(veIifiable)」と.いう言葉   いて注意を要する点に・説明を加えている。この公準は明らかに.重要である  

;,、イ立証できる」という言葉は誤解を招き易いので,これ紅反対する人々が   らわれる。というのほ.,これらの人々は,立証可能であるという表現を全て  の疑惑を無くしてしまうというはどの立証の意味紅静するからである。これに  

寸して,マクツ・ジャラフほ,哲学および確率の理論浸よっても明らかなよう  

,現代には絶対的事実というものほ非常軋少ないのであって,とりわけ監査   がとりあつかわなければならない経営の資料の領域でほ絶対的事実ほ少な  

、。それ故に.,マクツ・レヤラフは,この公準において,「立証可能である」  

いう表現粧.疑惑をもつ人を納得させる必要ほ.ないのであって,ただ,かれら  

「監査可能である(auditable)]という意味を伝えるためK,,「立証可能で  

)RK.MautzandHhA.ShaIaf,The Philosophy ofAuditing,1961,pp.42〜3,   

(3)

第37巻 第2・3号  

−−252−  

ある」という表現を使用しただけであり,財務諸表がどのような意味で立証可   能であり,また監査はどの程度まで立証することができるかに・ついては,別  

(3)  

ところで詳論している。  

この公準は,なによりもまず,・一・時的にでも承認されなければ,監査の議論   を一・歩も進めることのできないものである。マクツ・レヤラフは,この公準に   基づいて二,証拠およびその他の理論を展開する。すなわち,監査人が財務諸表   の信頼性に.ついて1蛮見を表明するに・はその基礎をもたなければならない。一般   に・,ある論理の表明である命題が意味のあるもの,あるいは有用額ものとなる   ためには,その間に立証という1つの行為が必要である。このことは,監査   おいて全く同じようにあてほまるの:であって,財務諸表および会計報告書は  

くの論理的命題を含み,かつそれらが総合せられているものと考え.ねばなら   いので,・その命題が信頼できるもの,換言すれば有意義なものとして承認され   るためにほ,そ二叫らの命題が立証できるものであることを示す手続がとられ   ばならない。経済社会ほ,財務諸表に・おける命題としての表示が利害関係者   意志決定に重要であることを認識し,かつ命題には立証が必要であることを   解して,実践に.利用したのである。もちろん,実践では,財務諸表および財   的資料の立証は,種々の形で行なわれでいる。すなわち,内部監査人が行な   手続および資料の継続的監査も立証セあ′り,独立の監査人が毎年定期的紀行な  

う監査もそうであり,さら紅,連邦歳入局の調査も立証であるというこ.とが   きる。このように.,マクツ・ジャラフでは,この節1公準によって−,監査と  ばれる1つの立証という行為が,「存在せねばならない理由」,および財務諸  

(4) という「行為の対象」をもちうる理由が与えられるのである。   

つぎに,この第1公準は,立証行為のより具体的な内容の理論を展開する   礎である。何故ならば,立証とは,ある命題について人を信頼させる手段で  

り,そのために,立証の手続に.よって,ある命題が正しいか否かに.ついて鱒  

(3)∫∂〜d.,p.43 

(4)∫みよd 

(4)

監査公準の体系化紅ついて二   −・2∂3一  

を与えるものであるので,それ相当の根拠をもつことが要求される。そこに  

,命題を立証する証拠と・か十分な理由,換言すれば十分に有効な証拠資料が   ければならない。そのために立証の手続が展開されるが,これほいわゆる藍   計画の問題であ 

それ匿関連する論理学紅おける認識方法を研究しなければならないとされる。  

の問題からほ,監査人の意見の問題が生じ,・そ・こから立証に・おいて,監査が   きうけることのできる責任の限界の問題がでてくる。なお,マクツ・ジャラ   は,立証の問題は,確率の理論およ.び統計的サンプ.リングの問題に・密接に潤   するものとしている。このように,かれらは,この第1公準に・基づいて,(1)  

拠の理論,(2)立証め手続,(3)監査への確率論の適用。(41監査人の責任の限界  

\51  

設定などが行なわれるというのであるム  

とこで,マクツ・ジャデフの第1公準が,どのような性格Pものとして規定   されるべきかという問題に・移る。われわれほ,この欝1公準を,監査の「目的  

として規定しようと思う。マクツ・ジャラフは,監査をな紅よりもまず   事実として行なわれている監査行為それ自体としてとらえ,その存在理由を説   明する公準として第1公準をもらだしたのであるが,それほ監査行為の目的を  

隠することに他ならない。と・のような理解は,つぎのように図示される。  

監査行為   目   的  

こ.のように,監査行為は,その目的を与えられること紅よって,目的に対す   る手段として.−,そ・の存在理由が明らかに.される。しかし,人ほ,マクツ・シャ  

フの第1公準ほ,監査行為の目的を直接に・表現する形をとって.■いないではな   いかと反論するかもしれないが,われわれほ,第1公準ほ監査行為の目的が何   であるかを明らかに.することを意図しているものと理解する。  

「監査行為」は,当然に,・その「対象」を必要とし,その対象ほ,それに.よ   って彪響をうける「僕卜係者」の存在を伴なう。監査行為の場合,その対象ほ財  

5)J朗d..,pp43′†J4.   

(5)

第37巻 第2・3号  

・−−254− 

務諸表および財務的資料であり,その対象に.は,それを意志決定の資料とし   利用する利害関係者集団が,その関係者として存在する。このような「監査   為..lの「対象」と「関係者」との関係によって,立証行為としての監査が必要   される。すなわち,監査行為の対象ほ,財務諸表であるが,それほ利害関係   にとって−立証されることが必要であり,また財務諸表ほそのような並二託の可能   である論理的な命題の集合であることが明らかに.される。そこにおける立   為とほ,命題の立証紅必要な証拠を集め 

いた総合的な結論が,「監査人の意見」であり,その反映として−「監査人   嘩」が規定されなければならない。このような第1公準を目的公準として規  

し串の咋・,監査行為の対象および関係者に関して監査行為が存在せねばなら   いのは,そこにおいて 監査行為が何らかのj ̄はたらき」を果しつつある放で  

り!そ・の蛛たらきを具体的に示したものが「目的」であるからである。この   うな理解を図示サーれば,第1図のようになるであろう。  

欝1公準=目的公準  

「・「・−−−−−・−・・−…−・−−−−−− 「  

財 務 諸 表  

監 査 人  

l  _.…___叩_.__−_」  

監   査   行   為  

段)  

第1図   

(2)第2公準  

マクツ・シャラフは,第2公準を,「監査人と凝営考との間には,必然的   利害q)衝突はない(No necessary conflict between auditor andmapa琴   menい」と表現する。かれらによれば,この公準の一一腰的合理性は明白で   る。すなわち,経営者の目的は自己が経営する企業の成長および繁栄に・ある   そ・れに対して,監査人の目的ほ,種々の重要な意志決定に必要な財務的資料のイ   

(6)

ー255−−  

監査公準の体系化紅ついて 

蜂匹・?いて,企業の種々の利害関係者紅ある程度の保証を与えることであ  

。したがって,このような経営者の目的と監査人の目的とほお互に矛偏しな   ーものであるとされる。いや,よりむしろ,実際紅ほ経営者も企業紅ついて監査  

笹よって立証された情報を利用できる利害関係者の・T人として,利益をうけ   開嘩軋あるので,そこ・紅利益の共通性すらみられ,監査人と経営者との間紅  

必然的な利害の衝突が存在しないと仮定することが合理的であるとされ  

○  

しかしながら,マクツ・シャラフほ,必然的な利害の衝突が存在しないとい   らとと,短期的な利害の衝突が存在しないということとほ全く別であるとし  

,注忠を与えている。すなわち,経営者と監査人との利害の衝突は短期的に  十分に・予想されることであり,ある特別の状況では,経営者ほ監査人を欺く  

とが企業にとって,あるいほ経営者自身にとって直接的な利益であると判断   るかもしれないとされる。そのような場合の例としてほ′,企業が資金の借入  

ある場合とか,経営者に対して:利益の額に基づく賞与契約がある場合   かがあげられており,そのような場合にほ,財務諸表ほ基本的に経営者の陳   であるので,その適正性の決定が経営者自身の直接的利益に反すると経営者  

(7) ミ考える理由があるゼあろう。  

したがって・■,通常の場合紅は,経営孝と監査人との問には必然的な利害の衝   がないことが基本的前提とされなければならないが,特別の場合にほ,かれ   の間に利害の衝突が生じる可能性があるので,監査人はこのような偶発性を  

(8)  

分に認識していなければならない。  

さらに・,マクツ・ジャラフほ,この公準をより一層吟味し,もしもとの公準   放棄した場合紅は,監査に・どういう結果が生じるかを示して,この公準の必   的性格を明らかに・しようとしている。もしも,監査人と経営者の利害が必然   に衝突するものであるとすれは,実際において経営者の監査紅対する協力を  

J∂よ♂‖,p.44 

J∂よd 

ト才み紘,p。.45 

(7)

欝37巻 第2・3号  

−・え別㌻一  

期待するこ・と.はできないので,監査ほ全く不可能になるが,このような事実   無視したとしても,経営者と監査人の利害が必然的に衝突するという前提に  つならば,監査ほ極端紅広範囲に,かつ精細であることが必要になる。それは   何故かといえば,監査人の質問に・対する経営者のどんな解答も信鳳できないこ  

とになり,また経営者の支配 ̄下に:ある従業員の言葉も全く役紅立たなくなる   らである云 さらに・,経営者の管理している記録および文書は信用できないも   になってしまう。そういう状況の下で柑,監査人は,まず発生した取引をさカ  

しだして,そこから記録を作り,かつ会計帳簿な作成した後で,監査しなけ   ばならなくなってしまうが,監査のまえに.そ‥ういう段階の作業を行なうこ  

(9〉  

は,監査人の独立性を失なわせてしまうのである。   

それ放に,極めて稀な場合にほ,両者の間に利害の衝突の可能性があるこ   を認めながらも,−・般的に・ほ経営者と監査人との問に.は,必然的な衝突がない   ことが前提とされなければならない。この公準から,資産の取得,要務の指   および契約などの行為における合理性が,副次的命題として導かれ,また反   のない限り,経営考の誠実性が推定される。このような議論に・おいて,マク  

十レヤラフがこの公準を強調する根拠が,監査の経済性および実行可能性匿  

(10)  

かれていること.に.注意しなければならない。   

このように・,マクツ・ジャラフは,利害の必然的衝突の不存在を前提とす   のであるが,それほさきに・ものべたように衝突の不可能性を前提とするので   ないことに注意されねばならない。監査人は,監査を行なっているときに・は   時も,このような可能性に.注意し,経営者の行為の不合理怯または不正に対   て気をつけていなければならない。このような点から,監査人の不正匿対する  

貴任を決めるために,この前提の明確な表明が必要である。さらに.,マクツ●  

Vヤラフは,この公準は,忠誠(allegiance)の問題に関連するという。す   わち,監査人ほ,一惚誰紅対して届本的紅忠誠心をもつのか,それほ企実の  

(9)′み≠d  

(1功J働■d.   

(8)

監査公準の体系化紅ついて  ー257一  

るのか,株主であるのか,あるいは財務諸表であるのか,さら紅は社   全体匿対しでであるのかなどについての研究が,この公準に関連していると  

(11)  

る。  

れわれは,このマクツ・ジャラフの第2公準を,監査の「環境公準」とし   をの性格を規定する。第1公準のところで説明したように,監査行為は財務   友および財務的資料という対象が与えられて実際の行為が行なわれ卑のであ   が,をれは特定の時間および場所で行なわれるにしても,そこに.は監査の環  

としてもつ一般的性格を規定することができる。これが第2公準の表明する   容であるということができる。そこで,監査の環境に・おける最も重要な要素  

経営者と監査人との関係がとりあげられるのである。  

おいて,一般的に・は,経営者と監査人とは相互に矛盾のない利害をも   ことと利害衝突の偶発的可能性とが認識された結果として,経営者と監査人  

間に・,必然的な利害衝突がないことが,監査の環境の一一・般的性質として前   ざれる。監査行為に・,このような性質の環境が前提されなければならないの  

,監査行為は実施可能でなければならないし,また経済的ででもなければな   なヤ、からである。この意味では,監査行為ほ,実施可能性またほ経済性とい  

目標に.よって.指導されてこいるということができる。この関係は,帝2図のよ   匿図解することができる。  

第2公準=環境公準(人的環境公準)  

り ■ ̄ ̄ ̄【 ̄ ̄− ̄− ̄ ̄■ ̄ ̄− ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄− ̄ ̄− ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 

第2図   

(9)

算37巻 第2・3号   

−−ごうゴー   42  

(3)第占公準   

マクツ・ジャラフほ,その第3公準を,「検証のために提出された財務諸表   およびそ・の他の情報は,共謀およびその他の異常な不正を蒙っていない(T血e  

financialstatements and otherin董0工mation submitted for veIification   are freefromco11usive andotherunusualirregulariti甲)」と表現するo  

かれらほ,この公準の必要性を立証するために,すで紅のぺた2っの公準と同   じように,もしもこの公準を放棄した場合に.は,監査がどういう状腰におか   ることになるかという間をだしている。マタツ・ジャラフの公準の発想法が,  

監査行為に基づいているというのはヵ こういう点からも看取できるのであ   が,それはさでおき,もしも財務諸表に」は異常な不正が含まれていないとい   前提を放棄すれば,監査人ほつぎのような困難な状態におかれるよ.うになる。  

すなわち,監査すべき資料に異常な共謀による不正およびもっとも異常な性   の不正が含まれているとすれぼ,それらを発見す−るために.は,現在必要と考  

られてこいるよりもずっと広範囲にわたる監査計画が必要とされるであろう。  

際にほ,すべてのこのような不正を発見する保証を与えるような監査計画が御  

(12) れるかどうか問題である。   

こ.の公準ほ.,異常なまたほ共謀的不正の摘発に対する監査人の責任の問題   関連する。これについてほ,マタツ・ジャラフは,別の箇所で,議論を虚開  

ているが,その結論ほ.,もしも共謀に.よる不正が非常に.明白であれば,そ一し   そ・のような不正の摘発を目的としない通常の試査によって発見されるべき   であれほ,監査人の監査はそれ庵発見できないはど不完全なものであるこ   許されないとされる。さらに.,このような問題の研究ほ,適正な監査注意  

(1$) 念の研究に・関連するものとされている。   

われわれほ.,マクツ・ジャラフの第3公準を,監査の対象公準として,  

性格を規定する。すなわち,監査行為は,その対象として,財務諸表およ  

∽=心材  

(13)J凝♂.,pp 46〜7.   

(10)

監査公準の体系化紅ついてニ   −ヱ59−  

的資料が与えられる。しかし,そのような対象が単に与え.られただけでは不   分なのであって,そ■こ紅前提とされなければならないのは,・その財務諸表お   よび財務的資料には異常な,あるいは共謀による不正が含まれていないという   ことである。何故ならば,このような前提が与えられることによって,監査行   は実施可能に・なり,あるいほ経済的になるからである。つぎに,監査行為  

,このように性格を規定せられた財務諸表を対象とすることによって−,・・その   映として責任が規定せられ,・その責任を判定する尺度として,適正な監査注   意の概念が導入される。この関係は第3図のように図示される。  

第8公準=対象公準  

ォ釆施朋ヒ性  

、弟匪 済 性  

第3図  

(4)第4公準  

マクツ・ジャラフは,その欝4公準を,「満足的な内部統制組織の存在ほ,  

正の予想を排除する(The existence of asatisfactorysystemofinternal   OntrOleliminates the probability ofirregularities)」と表現する。かれら  

,監査の問題に属するほとんどすべて−の文献が,監査討画の範囲が与えられ   状況の内部統制の程度に依存する一ことを指摘しているが,このような−・般   な考え.方は,ここでいう良好な内部統制組織の存在が不正の予想を排除する   いう前提に基づくものとしている。かれらほ,ここで可能性(possibility)  

いう言葉よりも,むしろ予想(pIObability)という言葉を用いていることに  怠されるぺきであるとしている。何故ならば,不正の可能性を減少すること   できても,それを排除できるかということについてほ疑問であるからであ  

。同じように,排除する(eliminate)という言葉も正確な表現のために選ば   たとされる。また,排除されるのほ,不正■∴それ自体でほなく不正の予想であ   ことが注意されなければならないとされる。何故ならば,良好な内部統制の   

(11)

滞37巻 第2・3号  

…260一 

下でも不正は可能であるけれども,それらほもほや予想されるというもので   ないからである。したがって,逆に・,もしも内部統制が満足的なものでなけ   ば,誤謬とか不正は単なる可能性以上のものと考えられねほならないとさ  

(14)  

る。   

マクツ・レヤララほ,この公準についても,やほりそれを放棄した場合   ほ,監査人は困難な状況に.直面しなければならなくなるこ.とを指摘している   すなわち,もしもこの前提を放棄すれば,誤謬および不正が何時も予想され   状況になるが,そ・れ柁合理的額監査業務を遂行するのが不可儲な状況を意味  

る。そ・のような場合には,不正の摘発を全く放棄するか,あるいは逆に・極轍   精細かつ面倒な監査をするかのどちらかの道を選ばなければならなくなり,  

者の場合でさえ,責任についてこはある程度拒否しなければならないであろう  

(1王,) される。   

マクツ・ジャラフは,この公準を認識することは,監査人に対する内部統  

の重要性および監査人ゐ内部統制紅対する関心の性質を強調するのに・役立つ   いう。そして,この公準に・基づいて,監査人の内部統制軋対する月掛L、,その   討の性質,内部統制が監査に.およぼす影響,監査人の内部統制の改善,あるV   ほ欠陥の指摘,および内部統制組織のおよばない不正に対する責任などの間  

(16)  

が研究されねばならない。   

われわれ,この第4公準を,滞2公準と同じように環境公準の1つとして   その性格を規定すること紅する。ただ,第2公準が,「人的環境公準」であ   のに.対して,第4公準は「組織的環境公準」として,その両者を区別する0   

監査行為は,財務諸表および財務的資料をその対象とするが,その場合鱒   査計画の範囲は,財務諸表および財務的資料がおかれている,あるいはそれ  

/  

を作成することに.対して組織的に影響を与えている内部統制の程度を検討し 

決められねはならない。・それは何奴かといえば,良好な内部統制が存在す  

⁚α ﹂仏︐α ./ .●l ︐−● 入>−ム︶︐β  

r⊥−ノ ▼ノ  

山型 ﹂和明 バⅢ ‖u .り ‖   

(12)

監査公準の体系化紅ついて二   ー26J− ′  

ば,藍査行為の対象について−不正の予想が排除されるからである。したがっ  

,もしもこの前提を放棄すれば,監査行為ほ経済性を失ない,あるいは実施  

前飽な状況に.おいこ.まれることになる。この点で,その他の公準と同じよう  

匿,やはり,監査行為の合理性という目標紅よって指導されて,この公準も導   きだされているということが明らかである。この関係ぬ・,欝4図のように図示  

急ことができる。  

第4公準ご環境公準(組織的環境公準)  

−−−−−−−−一一 }  

算4図  

(5)第5公準  

マクツ・シャラフほ,許5公準を,「一般に.認められた会計原則の継続的適   は由政状態および営業成績の適正表示に結果する(Consistent application  

generallyacceptedprinciplesofaccounting resultsinthe fair prese一   tation of financialposjtionandthe results of operations)」と表現して一い  

監査人ほ.,財務諸表についてそ・の表示の適正性を判断しなけれほならない   ミ,そのために監査人は判断の基準が与えられねばならない。このような判断  

基準として,−一・般に認められた会討原則が考えられる。マクツ・ジャラフ  

,鑑査と会討とほ関連するが別個の領域のものであるとしているが,監査は   計から−」般に.認められた会計原則を借りて,監査において財務諸表ゐ表示の   

J∂去d.,p39 

(13)

第37巻 第2・3弓  

−262−  

適正性を判断する基準として使用すると考える。   

マクツ・ジャラフほ,もしもこの前提を放棄した場合には,監査人は財   表の財政状.態および営業成績の表示の適正性を判断する基準をもたなくなると  

している。そういう状況になれほ,監査人の判断ほ山・般に認められた基準に.  

かれていないので,監査人の意見は全く個人的なものになって.しまって,誰に  

(19)  

対しても価値のないものに.なる。   

ここで注意すべきほ,まえにも指摘しておいたように,   マクツ・シャラフ   は,会計と監査との関連について:独特の思考方法をとっている。そこ.で,あ   まで会計と監査との間に・明確な境界線をひいて.一区別している。したがって, 

くの監査人はまた会計士としても活動 

計原則の発展牲協力するかもしれないが,監査行為と会計行為とほ明確に・区   されなければならない。すなわち,監査人として行動する場合に.ほ,監査人   既成の基準を使鳳するのであって,自分自身で基準を作るのではない。そこで   この公準によらて,監査人の職能と一・般に認められた会計原則との関係が明   に・される。このような関係において,監査人ほ一−・般に.認められた会計原則の  

(20) 徽を十分に理解していなければならない。   

さらに注意すべきほ,マクツ・ジャラフの山般に認められた会計原則紅対   る態度であるが,かれらは−・般に認められた会計原則に対して批判的である   いうこと.である。すなわち,かれらほ.,この公準はど実務界でより大きな留   付で承認されるものはないであろうという。何故ならば,現在,まだ一一腰匿   められた会計原則に.ついての満足的な表明もないし,また現在,原則とよば   ているもののなかにもその適否について一意見の相違のあるものが含まれでい   ので,完全な原則として現在のものを承認することほできない。しかし,ヱ   よう鱒相当の留保付であって:も,一腰に認められた会計原則を考慮に入れな   ればならない。それは,辣′1紅,そ・れが既に現実的に力をもって言いるからで  

(18)∫∂∠d.,p47′〉8 

(1功 j職d.,p48  伽)J儀一d 

(14)

監査公準の体系化について:   ー26β−  

り,第2に,それほ研究が進められるにつれて,より大きな力をもつよう紅な   ると期待されるからであり,第3に,この前提を放棄すれば,監査人にほ適正  

(21)  

の判断の基準がなくなってしまうからである。   

われわれは,マクツ・ジャラフの滞5公準を,「技術公準」として,そ・の性   絡な規定する。監査人の監査行為ほ・,その具体化において技術としてとらえる  

ことができる。このような意味で,監査の技術的手段が問題にされる。すなわ   や,監査人ほその対象たる財務諸表の表示の適正値を判断しなければならない   が,判断を行使する場合把ほ,判断の手段として潤いられるべき基準が必要で  

ある。この基準が監査人の主観的なものではなく,一腰庭・認められた客観的な   ものであることに・よって,関係者は監査人の意見を信頼することができる。し   がって.,もしもこのような判断の基準が存在しないときには,監査人の意見   服客観的なものとして信頼されない。ただし,現在の・仙般に認められた会計原  

則は,監査人の判断の基準として完全に満足的なものではないので留保何で承   されなければならない。この関係は,滞5図のように図示することができ  

第5公準=技術公準(判断的技術公準)  

監 査 行 鱒    妄鮎酢られた1      打 叫 断  

→垣二重亘]  

第5図  

(6)第6公準  

マクツ・ジャラフは,そ・の第6公準を,「明確な反証のない場合に・は,被監   企業において過去に真実であると判断されたことほ,将来に.おいても臭実ご   ると判断されるであろう(In the absence of clear evidence to the con・   

(15)

第37巻 第2・3号  

・■一一・264・−  

trary,Whathas held truein the past fdr the enterprlSe underexami・  

nation willhold truein the fut11re)」と表現する。もしもこのような   存在しないとすれは,受取勘定および棚卸資産の評価,固定資産の経済的有用  性および内部統制の十分性などについての表明を,監査人が承認したり,また   ほそれ、を拒否する基礎を失なうようになるという。これほ,会計の継続性また   ほゴー・イング・コンサー・ンの概念であるが,監査により大きな貢献をなすも  

とされる。すなわち,このような前提ほすべての立証業務の実施において監   人を指導し,それ故にまた,それは立証時に.は予測できないような経済的かつ\  

(22) 経営的変動に対する予防になる。   

つぎに,マクツ・ジャラフほ,この公準を具体的に,立証業務に.通用した   きどうなるかということについて.■説明を加え.ている。たとえば,もしも監査   が,継続的にある資産を過大表示し,そして他の項目を過小表示する傾向の   る経営者を発見すれば,監査の実施においてそのことを考慮に入れることが  

′要である。同じように,もしも経営者が,過去において,設備資産の取得   広告費の処理を合理的に行なってごいれば,監査人は将来もそうであることを   定することができる。また,もし 

購入されたのであれば,反証のないかぎり,監査人ほその営業が継続され,  

してその資産が使用されることを予想することができる。さら紅,過去匿,.  

部統制の欠陥が発見され かつ資産が従業員の不正に.よって流用されやすか   た場合にほ,監査人ほ,次期でも同じような種類の不正に注意しなければな   

(23)  

蒔い。   

マクツ・ジャラフは,このような具体例を示すことによって二,この公準を   棄することは,たとえ監査を実施不可能に.しなくても,監査を見込みのない  

のにしてしまうという。さらに.,また,この公準ほ,監査人の責任に思大な芦   界を設点するものとされる。すなわち,監査人の責任の程度ほ,監査人が将  

を予測し,かつ後知恵に基づいて立証業務を行なうという事情に基づいて導  

但辺 ∫∂柑.,pp、48−9  123J∫凝♂.,p49 

(16)

監査公準の体系化紅ついて   ・−265−  

(望4) なければならないものとされる。   

われわれは,この第6公準を,第5公準と同じよう虹技術公準の1つとし   て,その性格を規定する。ただ,第5公準ほ,監査行為における「判断」に・つ   いでの技術的公準であるが,第6公準ほ監査行為に.おける技術的論理に・ついて   の公準として一区別するこ・とにする。すなわち,立証という監査行為に・とって,  

過去の事実またはそれについてこの判定が将来も経緯すると予隠されるという前   は,その技術的論理として当然に必要とされなければならない。このような   前提匿基づいて監査行為が実施されることにより,監査行為に・は実施可能性あ  

るいほ経済性という合理性が与えられ,それは監査人の責任の範囲を合理的に   定する基礎と・なる。これは,欝6図のように・図示することができる。  

欝6公準ご技術公準(論理的技術公準)  

︵論 理 的 前 提︶  

第6図  

(7)第7公準   

マクツ・ジャラフは,その第7公準を,「独立的意見を表明する目的で財務的   資料を監査するときほ.,監査人ほ専ら監査人の資格で行動する(Whenexamin−  

ing董inancialdatafor the purpose ofexpressing anindepend畠ntdplnlOn   thereon,the auditor acts exclusivelyin the capacityof an auditor)」と   表現する。   

マクツ・ジャラフほ,独立会計士ほ非常に各種の方法によって依頼人にサー   諸亜」職d 

(17)

第37巻 算2・3号  

−266−  

ビスを提供することができるが,−・旦監査を開始して監査を行なっでいる  ほ,かれは専ら監査人の資格七行動しなければならないとする。かれらは,′と  

れを弁護士の立場との類似性によって説明している。弁護士が,・一・旦ある依頼   人の弁護をひきうければ,もはやその弁護士ほ.自由勝手に行動できない責任を   負うこと紅なる。たとえば,弁護士ほ,同時に・利害の衝突する2人の依頼人の   弁護をすることほできない。したがって,弁護士ほかれができるだけ有効か   精力的に依頼人を代表すべきであり,またそのこと.を阻害するような利害の衝   突を排除する義務をもってこいる。監査人も,これと同じような責任をもってい   る。よく監査の教科書でほ,独立的会計士が監査をしている間に,依頼人に   供することのできる各種の方法を指摘しているのが見うけられるが,これら   す⊥ビスは第二義的なものとして考えられねばならない。何となれば,も  

も,それが何らかの方法で,監査人と.しての義務を阻害すること.があれば,そ  

(28)  

れらのサーりビスは有害なものであるからである。   

また,この公準は,監査の本質である独立性の問題に関連する。したがっ   て,この公準から,独立性を阻害するおそれのあるものは,重大な注意をもっ   て処理されねばならないということが導かれる。さらに,マクツ・ジャラフ   は,独立性は重要であるけれども,より重要なことがこの公準軋含まれるど   る。それほ,監査人ほ.,かれが直接に.奉仕する依頼人に対してばかりでなく,  

社会紅対しても自己の職糞的地位を認識し,かつそれを強化しなければならな   い責任をもってごいるということである。したがって,何が監査人の社会的磯   能であるのか,そしてどのような貴任がそこから生じてくるかというこ.と匿, 

(27) 監査人は注意しなければならない。   

われわれは,この第7公準を,「主体公準」として性格を規定する。独立会   計士は,職業人として,経営者に非常に多くの種類のサービスを提供しうる鰭  

力をもち,かつそのような多くの機会をもっていることほ事実である。とこ  

(姻Jゐ去■d.,p.39.  

(26)J∂柑.,pり49・  

肝 一撒−♂.,pp−49′−50,   

(18)

監査公準の体系化紅ついて:   ・−267−  

,、監査行為は,独立会計士の1?の兼務として行なわれているが,その場合  

,独立会計士は監査人は特別の地位紅つくことになり,この立場を表現した   ものが独立性である0ところが,監査人の独立性は,逆に,独立会計士が行な  

、うる業務の範囲を規制する。このことを要約すれば,監査行為ほ独立会計士   の業務の一分野でありながら,他の業務を排除する可能性をもら,こ・れは監査  

人の主体的地位の独立性から生じるのである0  

つぎに,この公準は,監査人の責任の問題に関連する。監査行為が要求する   体的地位の独立性は,監査人の責任が単に依頼人である経営者に対して了だけ   あるのでほなくてニ,監査ほ社会に・対しても重要な役割をも?ているので,監査  

は社会に・対しても責任をもつぺきことを明らかにするふ何故ならば,監査人   の襲任が単に経営者に対してだけであるとするならば,経営者紅対して独立で   あるということはあまり重要でないからである。ここで,監査人ほ2つの相手  

対して,夫々の責任の系列をもっていること紅なる。すなわち,監査人ほ.,  

頼人の財務諸表を対象として監査行為を行なうが,それは社会に対する役割   のために行なわれているので,基本的責任は社会に対するものと考えられねば  

らない。それとほ別に;監査人は独立会計士として依頼人に.各種のサ川「−ビス   を提供するととが■できたが,これは監査行為に対して第二義的なものと考えな  

ればならないので,もしそ・の業務が監査人の基本的責任を阻害サーるような場   算7公準=主体公車  

(監 査 行為)  

\   

(基本的責任)    依  

(サ・一ビス行為)   頼  

(第二次的責任)   人  

第7図  

(19)

算37巻 第2・3  号  

ー・・26β一−  

合には,その業務ほ排除されなければならないのである。このような公準の   解ほ,第7区Ⅰのように二.図示できる。  

(8)第8公準   

マクツ・ジャラフは,その最後の公準を,「独立監査人の職業的地位は,そ   にネ目応する職業的義務を課す(The professionalstatus of theindepende  

l=さ)  

auditorimposes commensurate professionalobligations)」と表現する。   

監査人は,長い間,職業的地位を要求してきたが,それ紅ついての社会的   識が高まるに」つれて,監査人はより多くの貴任をひきうけるようになり,こ  

ことは監査基準に相当反映されている。マクツ・ジャラフは,この公準に.は,  

あまり反対はないが,・それ闇.他の公準のよう軋明確に表現されて.いないか,  

たは検討の対象とされて:いないためであるとする。この公準ほ重要な役割を   つものであり,第7公準とともに・,社会,依頼人,および同僚に二対する着任   決定する基礎となり,適正な職業的地位,個人的利益よりも奉仕の優先,お  

(29)  

び職業的能率の基準などは,この公準から展開されるとされる。   

われわれほ.,この公準を,第7公準と同じように,「主体公準」として性   を規定する。そこにおける両者の区別ほ.,第7公準が監査人の監査行為にお   る地位についての主体公準であるの紅対して,第8公準ほ監査人の職巣的地   に・ついての主体公準である。すなわち,両者ほ非常に.類似するように思われ   が,第7公準が,個々の監査人の監査行為に必要な地位の特殊性から主体の   任を規定しているが,それに・対して第8公準は,そ・のような個々の監査人の  

位ではなく,全体としての監査人の職業的地位を問題にするのであって,そ   職業的地位に対する社会的認識が,職業に木目応する責任を課すのである。孝  

では,監査行為紅直接関連する主体がとりあげられているのではなく,そめ  

うな主体の集合体としての職菜がとりあげられているが卜職業に対する社会  

認識は,責任として,個々の主体によって担当される監査行為に影響を与   る。この意味では環境公準としての性格ももつといえる。この公準は,解8   

(28)∫∂よ−d.,p,39.  

朗)j≠ほ.,p.50.   

(20)

監査公準の体系化について.   ー269・−・  

ように図示することができる。  

第8公準=主体公準   

第8図  

ⅠⅠⅠ監査公準の体系   

これまで,マクツ・ジャラフの8っの公準の性格を規定してきたが,・それは   ウシ・㌢ヤクフの監査公準の体系化匹ついて手掛りをえるためである。何故   ちば,体系化は一一・般にどのような観点から体系化を行なうかという観点の決   を必要とするからである。ところで,マクツ・ジャラフの監査公準に・ついて  

, 

個々の監査公準の性格の規定において指摘しておいたように,はとんギサ   ての監査公準について,監査行為の観点が基礎に.なっていると見られるの  

監査公準の体系化の観点を監査行為とするのが適当であろう。  

お,ここで注意しておかなければならないのは,マクツ・ジャラフほ,表   にほだしていないが,明らかにその背後に.ある前提を隠しているということ   ある。それは一応,イ抽象的前提」ともよぷことができるが,監査行為の合   性−−・それは通常の場合に.は,実施可能性と経済性との両方を含むものであ  

ーの前提である。この前提は,マタツ・ジャヤフが,8つの監査公準を導   だすとき,必らずその道具として凪いられている。それほ監査行為の技術肘   療ともいうぺきものであるが,この「 ̄隠された抽象的前提」によって,マク  

・ジャデフの「表現された具体的前提」が成り立つのである。これは,第9   のような関係として図示することができる。   

(21)

‖‖=  =  

−27〃w−   第37巻 第2・3号  

抽象的前提  

隠された   表現された具体的前提  

8っの公準   

:>  

監査行為の合理 

性  

‡   第9図  

そこで,監査行為が監査公準の体系化の観点として選ばれるが,この監査行   為紅ほ,まず何らかの目的を与えられなければならない。もしも目的が与えら   れなければ,監査行為の合理性自体を考える余地の全くないような無意味な   のにしでしまうであろう。そこで,監査行為が意味のあるものとして偏在す   ために・は,ある一…定の目的が与えられなければならない。つぎに.,監査行為に   ある特定の目的が与えられると,監査行為の「対象」,「主体」および「技術」  

はその目的紅よって規定されることが必要になり,そのことに.よって監査行   の合理性が確保されるのである。このような監査の本質の理解の仕方陀二つい  

(30)  

は,すで紅別稿で展開を試あたところである。さらに,このような対象,茸  

「 ● ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  

l  

■ ̄ ̄ ̄ ̄ 

1  

1  

E  

﹂  一−︐−︐l1111−   llt−−■−■t ﹂  

罪10図  

β唖 拙碍「監査の本質の理解について」,『香川大学経済論劉館36巻第5号。   

OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ

(22)

監査公準の体系化に.ついて   −27ユー  

よび技術をもった監査行為ほ,何もない真空中で行なわれるのではなくて,  

的な時間および空間を与えられてはじめて現実化する。これは,監査行為   環境として,当然に監査行為に影響せ与える力をもっている0このような総   的な関係は,第10図のように図示サーることができる。  

このような理解に基づいて,マクツ・ジャラフの8っの公準を整理すれば,  

ぎのようになる。   

監査公準の体系   目的公準一帯1公準   対象公準・−一帯3公準  

主体公準(鮎㌍琵会葦二葉昌宏葦   技術公準(蓋監会葦=業≡至芸  

環境公準(金窟晶賂葦二葉霊宝藁  

ⅠⅤ むすび  

これまでに.おいて,マクツ・ジャヲフの監査公準に・ついて,個別的にその性   を規定し,かつそれらに基づいて全体としての体系化を試みた。最後に,・そ   らでみることができた特徴について若干のべてみよう。  

まず,第1に.,体系としては,撃査行為に関連する「■目的」,「対象」,「主  

」,「技術」およびそれらの「環埠」などに関する公準を含んでいるとするこ   とができるので,一・応,監査行為の観点からみて公準の体系に必要なすべての   要素を網羅するものといえ.る。   

第2に,マクツ・シ㌧ケラフがこれらの公準を導きだすときの態度についてで   あるが,かれらは,きわめて現代の典型的な監査をその思考の対象として考え   ているといえる。すなわち,大規模の,したがって内部統制組織が当然に二間題   にされるような企業での監査を考えている。   

第3ほ,これまでにも再三強調してきたところであるが,マクツ・ジャラフ   

(23)

欝37巻 第2・3号  

−272−  

ほ,公準を導きだすときに,主たる観点として監査行為に重点をおいている   とである。その結果として,マクツ・ジャラフでほ,監査行為に.関する技術〔  

な論理を中心に.して議論が展開されるように.なっている。また,そ・のこ.とは,  

かれらが監査と会計とを全く別個の領域のものとして考える原因にもなってし   ると.思われる。  

′  第4に,まえにものぺたように.監査行為の観点の重視は,監査行為の実施や  

能性とか経済性などの監査行為の合理性を,その隠された前提としてもってV   るように思われる。もしも,そ・れをも1つの公準として表現すると.とにな   ほ,8っの表現された公準との関係が問題紅なる。公準は,もはや,その前   をもつことができないという一般的性質からすれば,両者の間紅上.下関係を   めるこ.とは論ヨ望的に二.困難である。′マクツ・ジャラフでほ,こ.のような隠され   前提ほ,尊濫公準を導きだす手段として∴使用されて:いるだけで,公準として   現するまでのものではないとされているのであろう。   

監査のようなそれはど理論化が進んでいない学問の領域に・おいてこは,どの   うな公準が必要であり,その完全な公準のリストほどのようなもので参る   か,あるいはどういうものは公準としての地位を与え.られないものであるか  

どの問題に,明確な解明を与えることは相当に困難である。より内容に深く   った積極的な研究が必要であろう。その場合に.,マクツ・ジャラフの公準締  

1っの手放りになるであろう。本稿では,マクツ・ジャラフに.よって,全く   のされていなかった,監査公準の体系と,かれらの公準を導くために.とられ   観点の明確化について,1つの試論を展開した。   

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