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氏名 望月

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Academic year: 2021

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(1)

氏 名 望月

モ チ ヅ キ

由紀子

学 位 の 種 類 博士(看護学)

学 位 記 番 号 健博 第 175 号 学位授与の日付 令和元年 9 月 30 日

課程・論文の別 学位規則第4条第2項該当

学 位 論 文 題 名 産業看護職の事業策定の経験の有無と関連する要因

―職場におけるメンタルヘルス対策の一次予防に焦点をあてて-

論 文 審 査 委 員 主査 教授 斉藤 恵美子 委員 教授 織井 優貴子 委員 教授 習田 明裕 委員 教授 西村 ユミ

【論文の内容の要旨】

1 .目的

2017 年の労働安全衛生調査では,現在の仕事や職業生活で強いストレスを感じると回答 した労働者は 58.3 %(有効回答 9,697 人)であり, 2016 年から約 1% 低下したものの半数 を超えている(厚生労働省 , 2017 )。労働者が精神的な健康問題を抱えることによる業務効 率が落ちた状態での勤務は,労働生産性の損失になることが指摘されている(森 , 2011 )。

このような社会的背景から,職場におけるメンタルヘルス対策の重要性が高まっている。

一次予防に取り組むことで,事業場全体の健康リスクが低下すること(金屋ら ,2015 ),労 働生産性が向上することが報告されている(経済産業省 ,2018 )。組織的に労働者の健康の保 持増進を推進していくためには,経営層の方針と共に,産業看護職が中心となり,組織へ働 きかけることが重要であることが示されている(津野 , 尾形 , 古井 , 2018 )。そのため,産業 保健分野で働く保健師及び看護師(以下,産業看護職)が,事業場の健康課題を解決するた めには,組織を対象に事業を策定することが必要であることが報告されている(山田 , 佐

藤 ,2008 )。また,行政機関の保健師の事業策定についての先行研究は散見するが(佐伯 , 和

泉 , 宇座 , 高崎 , 2004; 平野 , 佐伯 ,2009 ),事業策定を経験した産業看護職の特徴や経験の有 無に関連する要因については,ほとんど明らかにされていない。本研究の目的は,職場にお けるメンタルヘルス対策の一次予防に焦点をあてて,産業看護職の事業策定の状況を把握 し,事業策定の経験の有無に関連する要因を明らかにすることとした。

2 .方法

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日本産業衛生学会会員の保健師・看護師 2,722 名を研究対象者として,無記名自記式質問 紙にて,郵送調査を実施した。調査期間は,2017 年 11 月~12 月とした。

研究枠組みとして,目的変数を職場のメンタルヘルス対策の事業策定の経験の有無とし,

説明変数を先行研究(今井ら , 2016 ; 鈴木ら , 2001; 吉岡 , 村嶋 , 2007 )を参考に,職場の特 徴,個人の特徴,日常の実践内容の 3 つの要因と設定した。

職場の特徴として,安全衛生方針の明確化,健康の保持・増進に関する事業場の行動ステ ージ,所属部署の 3 項目を設定した。個人の特徴として,職位, 1 年間の勉強会の参加回数,

日本語版ワーク・エンゲイジメント短縮版( The Japanese version of the Utrecht Work Engagement Scale ; 以下 UWES-J ( Shimazuet al,2008 ),専門職遂行能力尺度(佐伯 , 和

泉 , 宇座 , 高崎 ,2003 )の対人支援能力と組織支援及び管理能力の各得点 5 項目とした。日常

の実践内容として,個別支援のための分析と集団支援のための分析の 2 項目を設定した。

また,事業策定の状況を把握するため,産業看護職の基本的属性,事業策定する必要性の認 識,事業策定における困難の内容,困難を解決する具体的内容,事業策定して改善したこと,

個別支援のための分析,集団支援のための分析,関係部署との意思疎通等の調査項目を設定 した。事業策定の経験の有無による群間比較については,離散変数の場合には,χ

2

検定ま たはフィッシャーの正確確率検定,連続変数の場合には,マンホイットニーの U 検定を実 施した。事業策定の経験の有無に関連する要因の分析については,職場の特徴,個人の特徴,

日常の実践内容の各変数について,単変量のロジスティック回帰分析を行った。次に,各変 数の多重共線性を確認後,統計的に有意差があった変数を強制投入した多変量ロジスティ ック回帰分析を行った。有意水準は 5 %とした。解析には, SPSS Statistics 23 for Windows を使用した。なお,本研究は,平成 29 年度首都大学東京荒川キャンパス研究安全倫理審査 委員会の承認(承認番号 17044 , 2017 年 9 月 20 日承認)を得て実施した。

3 .結果

回収数は, 677 名( 24.9 %)であった。このうち,質問項目の 50 %以上が無回答であっ た調査票と職場におけるメンタルヘルス対策の事業策定の経験の有無の回答が無記入であ った調査票計 12 票を除外し,有効回答数を 665 名( 24.4 %)とした。

1 )職場におけるメンタルヘルス対策の事業策定の状況

職場におけるメンタルヘルス対策の事業策定の経験ありと回答した人は, 418 人( 62.9 %)

であった。職場におけるメンタルヘルス対策の事業策定の経験の有無の群間比較では,職場 の特徴として,経験なし群(以下,なし群)と比較し,経験あり群(以下,あり群)は,健 康の保持増進の事業場の行動ステージが,行動期・維持期( p<.001 ),所属部署が事業場

( p=.017 )である割合が有意に高かった。また,個人の特徴として,なし群と比較し,あり

群は,職位が役職あり( p<.001 )である割合が有意に高かった。日常の実践内容として,な

し群と比較して,あり群は,個別支援のための分析( p=.024 ),ストレスチェックに関する

集団支援のための分析( p<.001 )をいつもしていると回答した人の割合が有意に高かった。

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2 )職場におけるメンタルヘルス対策の事業策定の経験の有無に関連する要因

強制投入法による多変量ロジスティック回帰分析の結果,事業策定の経験の有無と関連す る変数は,健康の保持増進に関する事業場の行動ステージが行動期,維持期であること Odds Ratio (以下, OR ) 1.18 , 95 % Confidence Interval (以下, CI ( 1.00,1.39 ),職位が 高いこと OR=1.53 , 95 % CI ( 1.18, 1.99 ), 1 年間の勉強会の参加回数が多いこと OR=1.07 , 95 % CI ( 1.01, 1.12 ),組織支援及び管理能力が高いこと OR=1.09 , 95 % CI ( 1.05, 1.13 ),

集団支援のための分析( 2 項目)をいつもしていること OR=1.66 , 95 % CI ( 1.10,2.50 )で あった。

4 .考察

職場におけるメンタルヘルス対策の一次予防では,労働者が健康で安心して働く職場環

境を醸成する事業を策定することが重要である。本研究の結果から,少人数職場が多い産業

看護職が事業を策定するために,職場全体の健康増進の取組みや看護職自身の研鑽,働く

人々の健康課題を集団の課題として捉える日常的な実践等の必要性が示唆された。

参照

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