• 検索結果がありません。

3  量子ドット超格子を用いた太陽電池研究の進展

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "3  量子ドット超格子を用いた太陽電池研究の進展"

Copied!
1
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

科 学 技 術 動 向 2006 年 10 月号

6 Science & Technology Trends October 2006 7

  エネルギー分野  TOPICS Energy

 現在主流のシリコン半導体によるシングル接合太陽電池の理論限界効率(26 〜 28%)を克服する新 たな方式として筑波大学岡田助教授らは、InAs/InGaAlAs 系材料を用いた量子ドット超格子構造の太 陽電池セル作製に成功した。岡田助教授らは、InP 基板の格子定数より大きい量子ドット層と小さい中 間層を交互に積層させることで、自己組織化する際の残留ひずみの蓄積を抑制し、量子ドット層が 30 層積層した超格子構造の作製を実現した。今後、層構造の最適化や高密度化が図られ、シングル接合太 陽電池に対する優位性や実用性が検討される予定である。

 筑波大学岡田至崇助教授らは、InAs/InGaAlAs 系材料を用いた量子ドット超格子構造の太陽電池 セルを作製し、2006 年6月に成果を報告した。

 現在、実用化している太陽電池用半導体材料は、

厚さ 200 〜 350μm の単結晶または多結晶シリコン が主流であるが、いずれも一組の pn 接合構造をと ることから、シングル接合太陽電池と呼ばれてい る。シングル接合太陽電池では、透過損失や電子

‐電子散乱等による熱エネルギー損失が原理的に大 きく、理論限界効率は 26 〜 28%の範囲にとどまる

(図表1)。この理論限界を克服する新たな方式と して、半導体量子ドット超格子を太陽電池に用い る研究が進展している。

 量子ドットとは寸法が電子のド・ブロイ波長程 度(約 10 ナノメートル)の半導体ナノ結晶のこと であり、基板結晶上にエピタキシャル成長する方 法で作製される。量子ドットを三次元的に高密度 で均一性良く周期配列した量子ドット超格子構造 とし、p 層と n 層の中間層(i 層)に挟み込んだ構 造の太陽電池は、理論限界効率が 63%にまで達す ると見積もられている。シングル接合太陽電池と 比較してエネルギー変換効率が大きく向上する理 由としては、

① 量子サイズ効果とマルチバンド形成により、吸 収可能な太陽光スペクトル帯域が増加する(透 過損失の低減)

② 量子ドット間の電子的結合によるトンネル効果 により、高速でキャリアを引き抜くことで、熱 エネルギー損失を抑制する(短波長損失の低減)

と説明されている。また、従来と比較して薄膜化 できることから、コスト面、資源量節約の面でも 期待されている。

 しかし、これまでの作製法では、量子ドット層 周辺の残留ひずみが積層数とともに増大し、十分 な膜厚の量子ドット超格子の作製が困難であった。

岡田助教授らは、基板の格子定数より大きい量子 ドット層と小さい中間層を交互に積層することで、

量子ドットが自己組織化する際の残留ひずみの蓄

積を抑制する効果を応用した。作製した試料では、

量子ドット層が 30 層積層した状態においても、ド ット群の成長方向への整列性が保持されており、

全量子ドットが 10

12

個に達する高品質な三次元量 子ドット超格子構造を実現した(図表2)。また、

太陽電池セル構造に適用して、長波長領域の量子 効率が増大していることも確認した。まだシング ル接合太陽電池をしのぐ効率は検証できていない が、今後、層構造の最適化、量子ドットサイズ均 一性改善および高密度化により、シングル接合太 陽電池に対する優位性や実用性について検討され る予定である。

参考   岡田、「自己組織化量子ドット超格子と高効率 太陽電池への応用」、日本結晶成長学会誌 、Vol  33、No. 2(2006)

トピックス 3

 量子ドット超格子を用いた太陽電池研究の進展

図表2 量子ドット超格子太陽電池の断面構造および写真

提供:筑波大学 岡田 至崇 助教授 図表1 シングル接合太陽電池におけるエネルギー損失

科学技術動向研究センターにて作成

参照

関連したドキュメント

3He の超流動は非 s 波 (P 波ー 3 重項)である。この非等方ペアリングを理解する

今日のお話の本題, 「マウスの遺伝子を操作する」です。まず,外から遺伝子を入れると

再生可能エネルギーの中でも、最も普及し今後も普及し続けるのが太陽電池であ る。太陽電池は多々の種類があるが、有機系太陽電池に分類される色素増感太陽 電池( Dye-sensitized

紀陽インターネット FB へのログイン時の認証方式としてご導入いただいている「電子証明書」の新規

同研究グループは以前に、電位依存性カリウムチャネル Kv4.2 をコードする KCND2 遺伝子の 分断変異 10) を、側頭葉てんかんの患者から同定し報告しています

電子式の検知機を用い て、配管等から漏れるフ ロンを検知する方法。検 知機の精度によるが、他

当所6号機は、平成 24 年2月に電気事業法にもとづき「保安規程 *1 電気事業用 電気工作物(原子力発電工作物) 」の第

2号機シールドプラグ下部の原子炉ウェル内の状況、線量等を確認するため、西側の原子炉キャビティ差圧調整ライン ※