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透析患者の栄養状態とアミノ酸摂取状況の比較検討

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Academic year: 2021

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(1)

奥田 絵美!),富永 史子D, 中川 幸恵1),安田 秦  温信3)

1)札幌社会保険総合病院 2)札幌社会保険総合病院 3)札幌社会保険総合病院

卓二2),松岡 伸一3)

栄養部 内科・腎臓病

 透析患者の栄養障害は生命予後を不良とする因子として重要視されている。栄養障害の要因の1つ として摂取栄養量不足が考えられる。当院の血液透析患者はほぼ必要栄養量を充足することができて いたにも関わらず、栄養状態不良の患者がみられた。そこで今回摂取栄養素についての分析を行った。

その結果、摂取エネルギー量が充足され、さらに理想的な三大栄養素比率(protein fat carbohy−

drate balance;以下PFCバランス)を保てているにも関わらず、栄養状態の改善に明らかな効果が 得られない場合は、アミノ酸欠乏やカルニチン欠乏が関連していると考えられた。

 透析患者はリンの摂取制限があるため、食事のみで十分な必須アミノ酸を摂取することは困難と思 われる。そのため、食事のみで栄養状態が改善されない場合は、栄養補助食品の利用や透析中の IDPN(lntradialytic parenteral nutrition;血液透析中の経静脈的栄養投与)の施行等を検討する必 要があると思われた。

キーワード:栄養障害、アミノ酸、カルニチン

         はじめに

 透析患者の栄養不良状態はタンパクエネルギー栄 養障害(protein energy malnutri七ion;PEM)と 呼ばれ、タンパクやエネルギー欠乏(低下)に伴う 栄養障害の状態と考えられているD。透析患者では 栄養障害の頻度が高く、また、栄養障害は透析患者 の生命予後を不良とするリスクファクターとして重 要視されている2)。栄養障害の要因の1つとして摂 取栄養量不足が考えられる。しかし、食事記録調査 を行った結果、当院の外来透析患者はほぼ必要栄養 量を充足することができていた。これにより、透析 患者の栄養障害は摂取栄養量だけでなく、栄養組成 が関連していると考え、日本腎臓学会腎疾患の食事 療法ガイドラインの理想的なPFCバランス(12〜

15:20〜25:60〜68%)より脂質の比率を上げた食 事を考慮し、栄養指導を継続して行なったところ、

栄養状態の改善がみられた。しかし、中には栄養状 態の改善に効果が得られなかった患者もいたため、

さらに摂取栄養素について分析をした。

         目  的

 透析患者の栄養障害の要因として摂取栄養素が関 連していることが考えられたため、栄養状態の改善 に向けて、アミノ酸摂取状況について分析を行った。

         対  象

 平成18年3月から継続的に栄養指導を行っている、

当院血液透析患者11名(男性7名、女性4名、平均

年齢61.6±9.75歳)を対象とした。

         方  法

1.必要栄養量を30kcal/ドライウェイト(適正体 重;以下Dw)、理想的なPFCバランスを12〜13:

28〜30:55〜60%と設定し、栄養指導を継続的に 行った。

2.指導前後でのDw上昇または変化なしの群(以

(2)

下1群)と低下群(以下2群)に分類し、透析患 者に不足しがちであるカルニチンの構成成分のリ

ジン、メチオニンと分岐鎖アミノ酸(以下 BCAA)との摂取状況について分析をした。

 なお、アミノ酸充足率においては1日の必須ア ミノ酸必要量をタンパク質必要量1g当たりとし て表した、アミノ酸評点パターンを使用し、算出

した。

         結  果

1.指導前後でのエネルギー充足率は121.4±27.9

%から137.3±31.5%と必要栄養i量を充足されて おり、有意な差はなかった。指導後のPFCバラ

 ンスは11.8±2.5:28.6+4.0:59.6±3.3であり、理想

比を保つことができた。指導後のタンパク質摂取 量において1群は1.1±0.6g/Dw、2群は1.0±0.3 g/Dwと有意な差はなかった。

2.1群と2群の指導後のアミノ酸充足率を比較し たところ、1群のバリンの充足率は146.6±86.9

%、ロイシンの充足率は145.2±90.4%、イソロ イシンの充足率は162.8±139.6%と全てのBCAA が充足されていたが、2群ではバリンの充足率は

81.3±51.3%、ロイシンの充足率は81.2±48.4%、

イソロイシンの充足率は70.6±42.7%と全ての BCAAが充足されていなかった。リジンの充足 率において、1群は176.8±135.2%と充足されて

いたが、2群においては72.6±69.7%と充足され ていなかった。メチオニン・シスチンの充足率に おいて、1群は91.5±52.1%、2群は47.0±31.7

%と両群共に充足されていなかった(図1)。指 導前後でのリジンの摂取量において、1群は 1623.4±1123.9mgから1233.2±958.2mgと有意 な差はなかったが、2群は1772.8±841.9mgから 535.5±473.6mgと有意な低下が認められた(P<

0.01)。また、メチオニンの摂取量において、1 群は605.2±409.4mgから454.6±274.2mgと有意

な差はなかったが、2群は600.2±293.2mgから 204.3±157.3mgと有意な低下が認められた(P<

0.01)。(図2)

 指導前後での動物性タンパク質と植物性タンパ ク質の変化率において、動物性タンパク質は1群一 11.8%、2群一35.7%、植物性タンパク質は1群一 1.5%、2群15.5%と2群は1群と比較し、動物 性タンパク質、植物性タンパク質の摂取量の変化 率が共に大きく、動物性たんぱく質から植物性た んぱく質への移行が大きかった。(図3)

         考  察

 透析患者はリン制限があるため、必然的に必須ア ミノ酸の摂取量は少ない。更に、血液透析では多量 のアミノ酸(1回5〜10g)が除去される3)といわ れており、必須アミノ酸の不足状態に陥る可能性が

(o/o)

200

150

iOO

50

o

1群(n=5)

バリン   ロイシン  イソロイシン

(%)

200

150

100

2群(n=6)

50

o

81.3±51.3 81.2±48.4

リジン メチオニン+シスチン    バリン   ロイシン

図1 指導後の食事中のアミノ酸充足率

70.6±42.7 72.6±69.7

47.0±31.7

イソロイシン  リジン メチオニン+シスチン

(3)

  r ns 1

(mg)1623・4±1123・9

リジン摂取量

tsoo

10co

500

o

1233.2±958,2

指導前   指導後 1群(n=5)

(mg)

1500

1000

500

o

田鼠細

(m匡)

7eo

600

500

400

535.5±473,6 i 300

 T

200

100

メチオニン摂取量

F ns@1

鷺欝i徽ボ

図2 指導前後のリジン、メチオニン摂取量

(mg)

フDO

600

500

40e

300

200

100

o

r P〈o.ol@]

6002±293.2

204.3±157.3

指導前   指導後  2群(n=6)

(o/o)

20 15 10 5 0

−5

−10

−15

−20

−25

−30

−35

−40

動物性タンパク質

…綴…

一IL8

(o/o)

20 15 10 5 0

−5

−10

−15

−20

−25

−30

−35

−40

植物性タンパク質

窒壕鼈

一1.5

  +15.5

.圏.

         一35.7

1群(n=5)    2群(n=6)         1群(n=5)

  図3 指導前後での動物性タンパク質・植物性タンパク質の変化率

2群(n=6)

高い。すなわち、透析排液中にアミノ酸が喪失する ため、筋肉中で異化が生じ、栄養障害に陥ることが 考えられる。1群、2機務に同様な指導を行ったに も関わらず、必須アミノ酸の摂取量に差が生じたこ とから、良好な栄養状態の維持のためには、アミノ 酸スコアの高い良質のたんぱく質をとることが重要 である4)と再認識された。

 また、透析患者では、透析による除去と食事制限 からカルニチン不足が十分予想されるため、カルニ チンの補充療法が再認識されている。カルニチンは 長鎖脂肪酸をミトコンドリア内へ搬入する役割があ

り、主に筋肉細胞、その他の細胞でのエネルギー源 になる5)。指導前後で2群では1群と比較し、カル ニチンの構成成分のリジンとメチオニンの摂取量が 有意に低下していた。これにより、食事由来のカル ニチン量が低下し、脂肪酸がエネルギー化されず、

低栄養に陥る可能性があることが示唆された。エネ ルギーの確保ができており、理想的なPFCバラン スを保てているにも関わらず、栄養状態の改善に明 らかな効果が得られない場合は、アミノ酸欠乏やカ ルニチン欠乏が関連していると考えられるため、ア

ミノ酸組成を考慮した指導も加えて行う必要がある

(4)

と思われた。

         結  語

 透析患者の栄養障害の1っの要因として、アミノ 酸欠乏、カルニチン欠乏が考えられた。

 透析患者はリン制限があるため、食事のみで十分な 必須アミノ酸を摂取することは困難と思われる。その ため、今回得られた結果から作成した、当院独自の透 析患者の栄養管理手順(図4)に基づいた指導を行 い、食事のみで栄養状態が改善されない場合は、栄養 補助食品の利用や透析中のIDPN(lntradialytic parenteral nutrition;血液透析中の経静脈的栄養 投与)の施行等を検討する必要がある。

         参考文献

1)松永智仁:食事管理と関係する合併症一栄養不  良一、透析患者の食事指導、透析ケア2007冬季

 t曽干i」70−73

2)武田英二他:最近の栄養評価における理論と技  術およびその問題点.鰍木透析 20(2):7−13、

  2004

3)廣重欣也他:栄養評価法および治療一栄養補充  療法一.臨月木透析 22(13):93−97、2006

4)奥村万寿美:透析食の実際.透析患者と食事管  王里:231−232

5)堀江正宣、楳村春絵:透析室の栄養のハナシ20一  食事を制限した分はサプリメントで補うべきな   の?,透析ケア 13(1):48−49、2007

咀⇒

1◇餌瀟颪源詞

摂取エネルギーの把握を

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iかつ理翻なPFCバランスi!

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1 1 xef

ステップ3・B カルニチン補充

アミノ酸補充

図4 当院独自の透析患者の栄養管理手順

(5)

Correlation between amino aeid intake and nutritional

       status in hemodialysis patients

Emi OKUDA i , Fumiko TOMINAGA i , Yukie NAKAGAWA i , Takuji  YASUDA 2

       Shinichi MATUOKA 3 , Yoshinobu HATA 3

1 ) Department of Nutrition, Sapporo Social lnsurance General Hospita1 2 ) Department of Nephro!ogy, Sapporo Social lnsurance General Hospita1 3 ) Sapporo Social lnsurance General Hospital

   Malnutrition in hemodialysis patients is considered to be a life−threatening, critical factor.

Al七hou.gh one of main causes of malnutrition is less clorie intake, we experienced many m.alnutri−

tion patients in spite of sufficient calory intake.

   In this study, an analysis of protein, fat, and carbohydrate (PFC) balance was performed,

which disclosed less intake of amino acid and carnitine is related to malnutrition of these pa−

tients.

   It seems difficult to take sufficient amino acid orally in dialysis patients because of phospho−

rus restriction. lntradialytic parenterat nutrition (IDPN) would be necessary to improve such mal−nutrition.

参照

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