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行事と行事食(その1)

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全文

(1)

一101一

新潟県の郷土食に関する研究(第2報)*

行事と行事食(その1)

本間伸夫,渋谷歌子,目黒香代,佐藤恵美子,石原和夫

         (1979年1月16日 受理)

Foods and Meals in Niigata Prefecture (II) 

Year's Regular Functions and Foods Prepared for tha Functions (1)

Nobuo Honma, Utako Shibuya, Kayo Meguro,  Emiko Sato, Kazuo Ishihara

 自然とともに生きる人間の生活には,季節の移り変りとともに,サイクルがあり,リズムがある。

そこには季節ごとの労働があり,信仰があり,生活をスムーズに進行させるための仕事がある。そし て生きる喜びを与えてくれる旬(しゅん)の味がある。これらが年間の数多くの行事を生み,それに は必ずといって良い程特別食(行事食)を伴なっている。

 この各家庭での行事食の一部は歳月とともに,地域の味を代表する郷土食となり,或いは特産的食 べ物に発展した。行事食こそ郷土食の母胎であり,郷土食に関する研究には,その地域における年間 の行事とそれに伴なう行事食についての調査が不可欠と考えられる。本報においては,新潟県下の年 間行事と行事食についての調査のうち,行事についてまとめた結果を報告する。

調 査 方 法

1)調 査t事項

 前報1)の結果と文献2・3・4・5)を参考にして第1表に示した行事を取り上げ,過去および現在に分け て,各行事の実施状況を調査した。

*前報は丈献:)

(2)

一102一      県立新潟女子短期大学研究紀要 第16集 1979

       第1表アンケin卜調査カード

   あなたの家で,表の行事または祭りその他で過去,および現在行われているものに○印をつけて   下さい。

事・祭

1/1〜3 1/7 1/11 1!15 1/17 1/20 1!25,  2/24 1/29 2!1 2/4

午の 日

2/12 2/15

3/3,4/3 3/21頃 4/8,5/8 5/下旬 5/5,6/5

6!15

6/1,7/1 7!7,8/7

月草き月り月講月*分午講会り岸りえ句市日夕

  

@ 

@正論 ん祭 節ま幽開正入佃神雰二はな祭植物識

正七蔵小薮二天いく節初十ねひ彼花田端えき七

過去1現在 事・祭 1過去現在

8/1,9/1

7/13,  8/13 9/15 9/23頃 10/10 10/16, 10/29 10/29 11/20 11/29 12/23 12/25 12/31

日盆見岸きりげ講え講ス日りりりいい式事会︶棚月引すマ 祝祝 祝

はう十彼か神刈え神大ク大春夏秋結出葬法運︵       誕誌らチ送上び迎師財晦祭祭祭婚産動生

*月遅れ正月を含む

2)調査方法

 調査O±,調査カードの郵送による依頼(一般市民本章食物科卒業生),主として聞き込みによる もの(生活改善普及員に依頼したもの)および直接依頼(本学食物科学生)により行なったご

      第2表新潟県の地域区分.        調査時期は昭和53年4〜6月。調査

地域区分 所属市・郡(村)

魚刈長南西中北岩新越 越中 下

糸魚川市,西頚城郡 上越市,新井市,中頸城郡 東頸城郡

十日町市,小千谷市,北,中,南魚沼郡 柏崎市,刈羽郡

長岡市,栃尾市,見附市,三島郡,古志郡 三条市,加茂市,南蒲原郡

村上市,岩船郡(粟島浦村を除く)

新潟市 両津市,佐渡郡 栗島浦村

対象について,職業,地域などの指定 はしなかった。

3)調査地域の区分と調査家族の分布  調査結果をまとめるに当って,全県を 一つの単位としてみることには無理があ るので,前報1)に従って第1図,第2表 に示す如く区分した。また調査家庭の 県内での分布を第1図に示した。全調 査戸数は168戸。

(3)

新潟県の郷土食に関する研究(第2報) 一103一

r

頸ノ西4

中頸 21

 8 0

新潟12

 西蒲9

刈羽

東頸7 長岡

15

岩船

 7

蒲4﹂51︐

中東蒲   22

第1図新潟県の地域区分と鯛査宗庭数

(4)

県立新潟女子短期大学研究紀要 第16集 1979

      第3表行  事  実  施  数  と 一104一

775440852115557247551485558965974995330322乞a4αa5︒上αaα49αα乞a上aα生駄aLO︒54L5&9α牝α5︒α4丁乞5凱&&97583732453227946725  3879  3632448645777761

43 R2唐R81633U919261513931431927329%41636314221429171318甜382918以34343334308

1

755725423420156156040365704514436705666641 ㈹%1必−蜘晒−砺加5妙32

2972626486435825800934001008325598788078861 11 1        1  1 °  111      工lI

1

064844312510060264921196913632269826878871¶⊥      −

η1835969535464851484388946033954163961608094器器窺壽雲羅弘豊轟姶肌義淫艦器盤奮籠究9

30 Q6 Q8 Q3 Q1 Q3 P2

@       ︵ll・765555115523145346133273511552535435445541       1

0805351162202577631194786116604086975846622121111 1  11 111  11  1  1111 111111lI323333001210313120002132300211003313 23330

域地 筋畑9曜†数戸査調

月草き月ワ月講月日分午講会り㈲£句市日夕日盆見㈱きりげ墾蔓号りりいい黍会他    ・誘箋轟糊ぜ・す. 霧 開正入日神 わ  二   祭植の    ら夜 し送上 迎師ス晦祭祭祭    動の     の    はな    んぬ さ      び       婚産    十 んつ        午 ん  つ 五 が     り正七蔵小藪二天いく節初十ねひ彼花田端えき七はう十彼か神刈え神大ク大春夏秋結出葬法運そ123456789101112131415161718192021羽%以%2627銘2930313233鈎3536訂銘394041亟

;{; %(c)

%(c)

%(c)

194 51.3 254 50.4 448 50,8

 28 33.3 131 62.4 159 54.1

222 48.1 454 51。5 676

50. 3

 98 46.7 254 60、5 352 55.9

 9344.3  107 51。0  200

47.6

 99∴ 72 47.1 42.9 187  91

63.6  72.2

286 163

56.7 55.4

 362 45.4  639 60.9 1,001 54.2

(a)

(b)

(c)

各地区ごとの実施割合=・実施戸数×100/各地区調査戸数 各行事についての平均実施割合=実施戸数×100/調査戸数合計値 1各地区についての乎均実施割合=実施戸数×100/調査戸数×42 全体についての平均実施割合=実施戸数×100/調査戸数合計値×42

生活改良普及員により調査されたもの。 ※前者以外のもの。 †一般/生改

(5)

新潟県の郷土食に関する研究(第2報) 一105 一一

下         越 合        計

西蒲 中蒲 北蒲 岩船1新潟

佐渡 粟島

 ※ 1  *一般  1     生改

8/1 16/6 8/6 1/6 11/1 64 %(a) 15/5 %㈲17/・ %(a) 96 %b) 72 %(b) 168 %b)

834715401300247023022165601200057563554650 11772220893000054705633482凶− 噌⊥  噌⊥﹁凸       −占96   1占      −占−凸−占 ︵U47・29一2434975056 1占¶よ¶よ     ¶← 7■ハU 398131310630372461003701226124330167123141﹁占   −凸     1  1      1   1 1   111   1     11   1111 6767371054201771570434767−02531536635577733 2459221028・0009212001219910120111054﹁凸      噌⊥   −凸        噌⊥         −占−凸 4ハOPO44凸 00ハU 04AU−占−占ρOQUO6FO−凸 93.8 53.1 46.9 79.7 17.2 37 57.8 21 32.8 1  1.6 26 40.6 30 46.9

8067819802   60PO −凸−凸4 9面

12.5  0

9.4 57.8 90.6 17.2 29.7 75.0  0 34.4 16 25.0 16 25.0 45 70.3 45 70.3 54 84。4

2147811364641282632393334224 3.1

21.9 42.2 10.9 12.5 17.2 56.3 71.9 64,1 43.8 40.6 50.0 60.9 51.6 53.1 34.4 6.3

99163252674035024701噌﹂噌⊥噌⊥−占  噌⊥   櫨⊥−占       −凸9臼  噌⊥−凸 2308905566465145333121  211   11  1 11   11111 555050500599581621880ハU﹃0﹃002 170    1 AUO50PO−凸ワ.只U nUPOOOFO﹁一−凸00︾0り  ー 0550000550 278373752 ﹃0﹃0﹁0震︾鯉0 009臼ρ0ハ0ρ0鱒bハ0 °      5 ﹃O  PO謄0﹃09一〇9臼7・2ρOFOρ081凸 ﹃O  EO貫︾り臼謄09θ7.POρ09臼−占00ワ.5457152136

225337.5

225787.5 787.5

225337.5

675112.5

675

787.5

450675 450787.5 112.5 337.5

225450 225 450337.5 562.5 112.5 0 0

﹃OEOPO

9畠7.9一POハUハ000ρ0り御4 00ρ03一b9一400 83819033526345883030079431652595044524028294 T6K7721513263654U61062931833拠625241671608321438291322617659353755605155444

91 T4 S3窒Q14931635521461060901832716%231669588021437281322597357343653584953434

66 U1 T5 U1 R1 U1 Q3X41462013165063幻53516娼20306553645泌592819342057482949505754544812 91盈0農Uワ■ワ醒ワ■ ハ01凸ヤ鴨磁4384311256632718226987377370859即4190738863381382647277966406◎Qり0り﹁0﹁0 6の0 7747179599812455683787361939942827314り臼00 ワ●ワ●

157 93.5 115 68.5 98 58乙3 135 80.4 52 31.0 110 65.5 54 32,1 15  8,9 76 45.2 98 58.3 34 20.2 19 11.3 26 15.5 110 65.5 153 91.1 45 26.8 85 50.6 122 72.6 12  7.1 67 79.9 43 25.6 46 27.4 134 79.8 111 66.1 146 86.9   7  4.2 38 22.6 96 57.1 56 33.3 32 19.1 56 33.3 79 47.0 130 77.4 105 62.5 63 37。5 85 50.6 103 61.3 115 68.5 103 61.3 107 63.7 91 54.2 16 9.5 103

30.7   27 64.3 130 34.4

196 29.2 128 50.8 324 35.1

176 52,4 115 45.6 291 49.5

  22 52.4 156 61.9 178 60.5

143 31.0   30 71.4 173 34.3

  640 34,6   456 54,3 1,096 40,8

321 51.0   97 46,2 418 49.8

125 42.5   29 69.1 154 45.8

%(d)

%(d)

1,670 41.4 1. 675 55.4 3,345 47.4

(6)

県立新潟女子短期大学研究紀要 第16集 1979

   L

       第4表 行  事

一106一

魚沼1刈羽1長岡1南蒲

321%(a)IS/10 15/5i5/7i4/3 気41%(a)

西馴噸陣頸

0/41g/1212/5

数†

調 4213   0︾POn乙8噌⊥ 乳α&4一& 70612

23277878・5飢B73器U墾9蛉3碧器・髭皿U謁39響釜3・3・舘以8 肛凪a蔦砿器狐α職8a鉱姐m筑鎗α舩鷺脇風0鉱肌鉱%228688593845726868725418 41347598048975487561 3330︒7遵渇︒−乃﹄︒7πJJ謁2

724714201320056117020365704514367715655521

932713100510078155910195703402199725878861 12V51241041352137113510052310911005215109647795756

15

    ヨる  ゐ り    ヨ ム るる  ゐ  ご  ゐ くりむ  ヨコ  る        9496080503︒194         ︑ P0U11210101886014139710081310912059941131461031191212110

9ai鮎讐0詮6︒0瓢幾鷺π巌盤職籠︒3︑鍛321艇9690509375翫7581789

31 Q3 Q2 Q6 P9 P7W0露20527279232319135泌14212211172731291630墾髪鷺

     り6646451027001773660042647107404767276766611456307033101766641962696114609θ﹁凸噌⊥−凸−△ −凸−凸     −凸−占11      1  1    1 371829695762¶10白11← 望ム哨←−1¶←¶よ ¶よ433422000310334013003121400111034424223330

月薯号月講月日分午講会り剤りえ句市日夕日盆講きりげ講︑昆講ス日りりりいい式事会他      く      く

  

    十んつ    午んつ五が        の  はな  んぬさ  び   婚産  開正入日神 わ   二   祭植の    ら夜  し送上 迎師ス晦祭祭祭       動の@ ウ肛朔ん祭岸轟糊月岸引す. 祝祝

正七蔵小薮二天いく節初十ねひ彼花田端えき七はう十彼か神刈え神大ク大春夏秋結出葬法運そ

12345678910111213141516171819202122盤泌25%272829303132銘%35駈留銘舘如妊覗

302 37.8 547 52,1 849 45.9   66

39.3   77 61.1 143 48。6   83 39.5 150 51.0 233 46.2  78

37.1 225 53.6 303 48.1

  75 35.7   95 45.2 170 40.5 224

48.5 466 52.8 690 51.3   52

61.9 119 56.7 171 58.2 172 45.5 267 53。0 439 49、8

般改1{至筆i

(a)各地区ごとの実施割合==実施戸数×100/各地区調査戸数

(b)各行事についての平均実施割合=実施戸数×100/調査戸数合計値

(c)各地区についての平均実施割合=実施戸数×100/調査戸数×42

(6}全体についての乎均実施割合=実施戸数×100/調査戸数合計値×42

*生活改良普及員により調査されたもの。※前者以外のもの。 †一般/生改

(7)

新潟県の郷土食に関する研究(第2報) 一107一

西剖

8/1

下         越 佐渡 粟島 合        計

北蒲、岩船 新剖 一般※ P  *カ改 1計

i・6/618/61・/61・・/・1641%(a)1・5/51%(a)17/・1%(a)1・61%(b)1・ 72 1%(b)1・6s 1 %(b)

924716100200036001002061400000088573554640 22X716013702920081933130442121219000ワ.−凸−凸1073075156 9一ームー凸−凸   −凸 000 ﹂4︽060ウ一−占   −占 801占盈0ワ置301722410934903    1凸   −凸       −凸−占 9刮PO只UハU42221680010 1凸噌←−占   ームー凸¶ゐ噌⊥ 001占 755302004420177037043376701200−566635457643 224ρ001り臼−占︵U−占ワ■0ハUO戸0ーム    ー 0190121979.01201¶﹂噌ユ0日04 1←−占 4654の4 20

64 Q4 Q6 S2R3191132970231555114101814104336522101916957534030卯30363132214

100 37.5 40.6 65.6   4.7 48.4 14.1   1.6 20.3 45.3 10,9   0   3,1

48.4 85.9   7.8  17.2 64.1   0

28.1  21,9  15.6  67.2  56..3  81.3

−凸2Uワ5ρ04

0δFOO♂−凸0り 噌⊥9紹 ームー占00齪00り40りり自9凹β01占ΩU8ρ04 20ぽ∩δ4ハU9臼ρ0ρ0ΩUO44FO4PO 0039日盛0

3 20 P2R905310132011019061701112017180481251116141142121212100σ−凸 O2U﹁凸4 00﹃OEOハU

1

55505005050050521  61  59 38 FOPOOPOO  O660り  ー 00005500500000055 246258752166654 825816101711088007078575802051276106352460 100 25

62..5

100 12.5 75 12.5   0

12.5 87.5 12.5 12.5   0

100 100

  0   0

87.5   0

87.5 100

62.5 87.5 62.5 100、

  0

25

  0 62.5 12.5 25 87.5 75 12.5   0

75 37.5 62.5 2550 75

 0

95 R5ッ6213381416458325285919儲5181811訂517711122201115837857373652574650354 99 0516566039311254872885812

R6チ6413391416468325488919665181811695380

1.0 11.5 22.9 20.8 11.5 15.6 86.5 81.3 59.4 38.5 37.5 54.2 59.4 47.9 52,1 36,5 4.2

71 S8 S6 U0 P8 S8

P5Q1848175957621939565332120624965318502113躍6265503049495453545012 Qりρ0ハORU9一4U9留 9一ρ09臼 17.8ウ一FOワ. 4969凹00盛00り 9細ρ09臼−凸6δΩUO︾ρ04ρ0β077署ワ● ハ01凸8ρ00δ∩δ﹁Oρ009翻POρ0QUρ09一〇りρ0ρ047●ρOFO0σ75ρ0ΩUO4一bOり0りRU0060nUOσ−占8RUPOOOPO Oリハリ ρ07︒9ハδ07・∩6ΩUO7.ρ00︾PO2﹁凸49創80り只︾ウ6nO−凸−占39一ハU49一−凸001凸0δ4ワ●−占−凸0魔UO 4ワ■ −占   −←     ーム¶←貞り00ワ週ウU6δ89臼%932581109御農UQり00981占ρOnコ00

28 58 120 10 51 39 31 129 100 142

  4

29 72 41 39 145 143 107 67 85 101 111 99 104 85 16

845652383498595754042585543943232796119965鰍姐姐π凪肌皿−︒瓦55144664訂1634716302318765984217姐以1423868563395060665861509

  92 27.4   18 42.91

110 29.1

174 25.9 122 48.4 296 32,0

144 42,9 124 49.2 268 45.6

  19 45.2 131 52.O L50 51.0

124 26,8   27 64.3 151 30.0

553 29.9 422 50,2 975 36,3

233 37.0   89 42.4 322 38.3

128 43.5   26 61.9 154 45,8

%(d)

%(d)

%(d)

1,440 35.7 1,550 51.3 2.990 42,4

(8)

一108一 県立新潟女子短期大学研究紀要 第16集 1979

       結 果 お よ び 考 察

 調査結果を第3,4表に示した。第1表に示した行事の他の行事として記入のあったものをまとめ て第5表に示した。また一部で誕生祝いを加えて調査したので,その結果を第6表に示した。

 行事を行なう月日に6いてぽ新属旧暦中暦とあるのく・,調査カードに示した期日と異なる時 に行なう(或いは行なった)という指摘がいくつかあった。また同一行事でありながら別の名称であ るもの,他の行事が加わったと考えられるものなどがあった。これらは文献2・3,4・5)を参考にしてまと め,第5表に示した。      一

第5表 その他の行事,期日の変化など

に}その他の行事*

亀τ

田休み節句(不定), 菊の節句(期日?) いもの節句(期日?)

出の神(2/10), 別院の祭り(6!24), つつが虫供養(7/8), 虫送り(7/19),

棚払い(7/20), 観音様(8/10)

地蔵様(7/23・24),針供養(12/8),大黒様(12/9)

あぜぬり(5/上)

{2}行事名の変化,期日の変化など*

七草→七日正月,ねはん会→寺だんご,だんごまき,天神講→天神祭,藪入り

(1/17の他に8/15,1/17→1/16), うら盆(8/13→9/1)

初午→からこだんご,蔵開き→からこだんご,刈上げ(10/29→10/25),えびす 講(11/20→12/20),うら盆(8/13→8/27)

神送り→田の神,神迎え→山の神, 田植え…代かき始め,はつさく朔日→かざ祭 り,くつわ朔日(2/1→3/1), うら盆(8/13→8/30), 刈上げ(10/29→11/3),

えびす講(11/20→12/5),大師講(12/23→12/5)

蔵開き→帳祝い,かせぎ始め,小正月→とうらえい,えびす講→えびす様,ねは ん会→おしゃか様,小正月(1/15→2/15), 二十日正月(1/20→2/20), 藪入り

(1/17→1/16), ねはん会(2/15→3/15), えびす講(11/20→2/20)

少正月→やく年神参り,蔵開き(1/11→1/2), えびす講(11/20→10/5),

え(11/29→11/28)

多各事項について1〜2・3件。

(9)

新潟県の郷土食に関する研究(第2報) 一109一

 その他,七五三,誕生祝いなどが行事として考えられるが,誕生祝いについては同時に一部の家庭 で調査したので第6表に示した。      

第6表誕生祝実施数とその割合

調戸

在.

査数

繊現在1計

上越{襲藝 ︑16 1 舞4 ︑塁6

1 1 1 1 1

沼羽岡蒲

魚刈長南 越

 中 00δワ●0δ

1

−占−占 9劃噌⊥ 8232 AU9一FOQ︾1

蒲蒲蒲船潟

 東西中北岩新

  越  下 −凸ρ0ハ0ハ01凸 −占41 −占41凸QU −占FOPO6δ

渡 1 51 1 ・1 21 3

島1 ・1 t 1 ・・1 1

70 nδ4  3 19

27.1

38 54.3

60 85.7

1)過去と現在の比較

 行事の総数は第7表で比較したとおりであり,現在は10%強程減少している。この場合生活改善普 及員に依頼して得られたデータ(以下生改)とその他(以下一般) を比較すると,前者では現在にお        いても行事が行われている割合が高い。生改は   第7表行事実施数について過去と現在の比較

行事突施総数

去i 現    在

漏生

般†? 1,670(100)*

P,675(100)

R,345(100)

1,440(8a 2)

P,550(9Z 5)

Q,990(894)

* ()内,過去を100とした指数。

†本文,表3参照。

主として農村部での調査であるのに対して,一.一.一 般ではかなり都市部の家庭を含んでいるので,

都市部での年中行事離れが起?ている事を示す ものと考えられる。

 第3,4表から,地域についてみると,上越 と粟島は過去と現在の実施割合に大差ないが,

他地域ではかなり減少している。特に佐渡と中 越一長岡地区の減少が顕著である。

 各行窮について過去と現在を比較すると栄枯盛衰が認められ興味深い。年中行事でない結婚祝い・

出産祝い,葬式,法事の全合計が428(指数100)から415(96・7)と減少が僅かであるのに対して・

年中行事の全合計は2,917(100)から2,575(88・3)と減少が著しい。

 年中行事の過去かち現在への変化を順位でもって,第8表に示した。実施割合が増加する行華・変

(10)

一110一 県立新潟女子短期犬学研究紀要 第16集 1979

化の少ない行事,減少する行事に分けることができる。全体の減少の中で増加するものは少ないが,

正月,クリスマス,大晦日,春祭り,夏祭りが増加している。特にクリスマスは平均実施割合は47.0

%から86. 3%へと,その増加率が高い。この他一部調査した誕生祝いの結果(第6表)をみると,

5&6%から訂4%と平均実施割合が著しく増加している。前記の増加すう行事はマろマミに取り上げ られる機会の多いも6D G子供が関与する割合の高いものに多い。

 これに対して,減少する行事は数多いが,減少率の高いものは,藪入り,天神講,いんのこ正月,

くつわ朔日,十二講,ねはん会,きんぬぎ朔月,かがし引きであり,特にいんのこ正月とかがし引き は絶滅に瀕している。これら減少の著しい行事は近接過去においても概して実施割合の低いものであ って,現在においては急速に忘られ去れようとしているものと解される。

 増減の変化の少ないものの中で,実施割合の高いものは,小正月,節分,ひな祭り,彼岸(春・

秋),端午の節句,うら盆十五夜月見などであって,これらは人々の生活にある程度定着している ものと考えられる。

第8表各行事実施割合について過去と現在の比較(年中行事について)

lil−撃戟│il:mr!!!=

ののの幼のののののののの幻ののののののの濫竃鱗儒⑫設竃匿侮㈲㈹@¢鳳偶鵬月岸ス日岸盆月句りり見分月り草きげりえ日彼晦彼ら正醐祭祭鯉祭開上祭植醐のりの 牛 五+   楓正春ク大秋う小端雛春十節二秋七蔵刈夏田き      一

→=←昌 → 歩昌=一5昌=昌

のDののののの①のDのののののDの①の幻竃鶴総綴麗価繧麗濫濫麗月岸岸月日盆同句草見月りりき分げえりス日      5    朔  節 月正       マ朔彼彼正ぎら晦の夜日祭祭開上箕スわ のの ぬ       午 五+        リっ    ん正春秋小きう大端七十二雛春蔵節刈田秋クく      ︸       ︸

1234567891011蛇1314151617181920

      *平均実施割合(%) 過去と現在との差が,<5:r≧5:過去よりみて増        加↑,減少↓,≧10:増加↑↑,減少↓↓。

各行事を地域ごとに検討するどいくつかの注目すべき変化が認められる。粟島は水田農作業関連の 行事,田植え,かがし引き,刈上げのいずれもが行われなくなっている。これは新潟地震(1964)に

より水田を失ったためと考えられる。逆に運動会が0から75%へと実施割合が増加しているb

(11)

新潟県の郷土食に関する研究(第2報) 一11ヱー

 上越一西頸では,端午の節句とクリスマスが0から75%,ひな祭ウが25%から75%へと増加してい る。特に端午の節句についての変化の事情に興味が持たれる。

 佐渡は行事の減少が特に著しく,いくつかは極端な減少を示している。特に正月の簡素化が甚だし く,正月関連行事合計が95(指数100)から50(52.6)と激減している。

2)行事と地域性

 第3,4表に示した各小地域の行事実施数から,小地域ごとの平均実施割合を求めて,各年閣行事 の実施状況を県内各地域で比較した。即ち,年闘行事の県内分布について以下考察,検討した。しか

し全調査戸数が168と大変少ないので,予備的検討に止めた。この点,次報の特別食の県内分布との 関連,不足データの補充,文献についての考察などを加えて今後詳細な検討を予定している。

 年間行事のうち,過去,現在を問わず県下ほぼ均一に高い割合で実施されているのは,正凡 七 草,小正月,二十H正月,節分,彼岸(春秋),ひな祭り,うら盆,クリスマス,大晦日,春祭りお

よび夏祭りである。

 行事の実施に地域性がかなり明確で,かつ県下を大きく二分するのは,藪入り,ねはん会,花祭り である。これらは第2図に示す如く分布し,藪入り,花祭りを祝う習慣は下越および佐渡は明らかに

團 圃

第2図 蔽入り,花祭り,ねはん会の分布

(12)

一112一 県立新潟女子短期大学研究紀要 弟16集 1979

少なく,その擁界線は中下越を分けるところに存在する。ねはん会は上越一西頸で著しく亮く,他地 域では低い。この西頸地区は他の行事についてもかなり異なった点が多い。

 それ程明確ではないが,ほぼ二分すると考えられるものが,神送りとえびす講である。神送りは上 越が少なく,えびす講は下越が少なく,その他の地域が多くなっている。

 一部に傾向の乱れが認められるものの,きんぬぎ朔日とはっさく朔日は第4図に示す如くであり,

特に佐渡では少ない。

えびす講

第3図 神送リ,えびす講の分布

はっさく±

 朔日

團 圃

第4図 きんぬぎ朔日.はっさく朔日の分布

 その他,端午の節句,十五夜月見は上越地方で少ない傾向がある。

 県内をいくつかの地域に明らかに区分できるものとしては,蔵閉き,七夕があり,両者とも中,下 越および佐渡に少ない。七夕は特に中越,佐渡で少ない(第5図)。

 特定の地域で集中的に行なわれる行事としては,中越一刈羽を中心とした地域でのえんま市があ ろ。十二講ば中越一魚沼を中心として行われている。いんのこ正月は現在絶減に瀕しているが,かつ ては中越を中心としてかなり行われていた事が認められる(第6図)。

 天神講と大師講はほぼ全県的に広く行われているが,地域的の傾向は朔陥1でない。同様なことが,

<つわ朔日,二月正月,初午についても云える。

(13)

新潟県の郷土食に関する研究(第2報) 一113一

第5図蔵開き.七夕の分布

園 圃

第6図 えんま市,十二講,いんのこ正月の分布

 かがし引き,刈上げは農作業に直結する行事であるが,ともに特定の地域的傾向が認められない。

刈上げは現在でもかなり高い劉合で行われているが,かがし引きは絶減しようとしている。この場合 は,どの地域で行われているというより,どの地域で維持されているかということになるのであろ

う。神迎え,いんのこ正月など著しく減少しつつある行事も同様である。

 以上の結果を総合して,年間行事の実施状況から新潟県を地域区分することを試みて,予備的であ るが,第7図の地域区分を得・た。

 A(上越)……第2表の一ヒ越地方全域がそのまま該当するA1(西頸)とA2(中頸1寮頸)に分 けるが,A2中の束頸は遷移地帯として中越一魚沼(B1)と共逓するところがある。越後地方を二 分する様な場合には,その境界がB2とC1とを分けるところに集まるので, AとB(中越)は共通 する点も多いが,Aは多くの特徴を有している。 AはBを介して,新潟を中心とした下越(C),い わゆる蒲原地方とは,行市の突施の点においてもかなりの隔たりが認めら「}しる。

 Aに多い行小は,全県的にほぼ均一で多いもの(正月,七草,小正月,ニート日正月,節分,春秋の 彼岸,ひな祭り,1)ら盆,クリスマス,大晦1],春祭り,秋祭り)を除いて・五1装開き,蔽入り,花祭 り,七夕,刈上げである。ねはん会,えびす講は他地域に比して割合に多い。他地区に」七して少蹴い

(14)

一114一 県立新潟女子短期大学訂}1究紀要 節16集 1979

西頸

中頸

    o

刈羽  C

新潟

魚沼

   A2

第ア図 年間行事よりみた新潟県の地域区分

岩船

北蒲

中東蒲

  B

(15)

新潟県の郷土食に関する研究(第2報) 一・一 115一

のは,十五夜月見;神送り,神迎えである。

 A1……A地区共通の特徴の他に,ねはん会,天神講た例をみる如く,かなりA2と異なる点があ る。調査戸数が少ないので推察の域を出ないが富山県の影響を受けているのでほなかろうか。

 A2……共通の特徴の他に,かがし引きが比較的良く保存されており,えんま市が刈羽と共通して いる。東頸は十二講においてB1(魚沼)と共通している。−

 B(中越)……中越地方全域。B1(魚沼)と刈羽,長岡,南…蒲を合わせたB2に分け筍。 BはA とCの中間にあって,A, Cの遷移地帯となる他, B独得の特徴も少なくない。

 Bで比較的多く実施されている行事は,全県的にほぼ均一で多いものを除いて,藪入り,花祭り,

きんぬぎ朔日,はっさく朔日,十五夜月見,刈上げである。神送り,神迎え,えびす講,大師講など は他地域に比して割合に多い。またいんのこ正月は過去ではかなり行われていたが絶滅寸前である。

他地域に比して著しく少ないのは七夕である。

 B1……かなり特徴ある地域であって,共通の事項以外では, B 2に比して天神講が少なく,逆に 初午,はっさく朔日が多い。十二講は本地域を中心として行われている。

 B2……B地区共通の事項以外では,刈羽のえんま市,南蒲の神送り,神迎えが注目される。

 C(下越)……第2表の下越地方全域に粟島を加えた地域。C1(西,中東,北i蒲)とC2 (岩t 船,粟島)に分ける。

 Cで比較的多く実施されている行事は,全県的にほぼ均一で多いものを除いて,端午の節句,七 夕,十五夜月見である。藪入り,花祭り,えびす講,神送りは他地域に比して少ない。

 C1……実施割合の低い地域であって,新潟市という比較的大規模な都市の影響が考えられる。新 潟地区は特に行事割合が低い。C1は北蒲を介してC2と接しているが,北蒲が遷移地帯であること は,くつわ朔日,初午,きんぬぎ朔日,はっさく朔日,刈上げに認められる。

 C2∴…実施割合の高い地域である。第2表では粟島を島喚ということで別地域としたが,行事か らみると岩船とほとんど共通である。

 C地区共通の事項を除いて,蔵開き,ひな祭り,きんぬぎ朔日,はっさく朔日・七夕・大師講が多 い。本地域で,特に粟島においてひな祭りと七夕が極めて実施割合が高いことに注目される。C1に 比して低くなる行事はほとんどない。

 D(佐渡)……佐渡地域そのまま。越後側とはかなりの相違が認められる。藪入り・天神講・花祭 り,きんぬぎ朔日,七夕,はっさく朔日が少なぐ,逆に節分,十五夜月見,えびす講,大師講が多 い。文化的歴史が越後とかなり異なった地域であるので,更に深い検討が必要と思われる。

と  め

 前報に引き続き,行事と行事食について全県的調査を行った結果のうち,行事についてまとめ・そ の地域性について若干の考察を加え,行事からみた新潟県の地域区分を試みた・また行琳の変遷も検 討し,いくっかの行事が絶滅に瀕している事を認めた。

(16)

一r  116一 県立新潟女子短期大学研究紀要 第16集 1979

 本報告では蒐集したデータをそのまま表示し,考察は最少限に止めた。今後更に不充分な点を補な い,諸文献を参考にして検討,考察を加える予定である。

 稿を終るに当り,アンケート調査に御回答を寄せられた方々,本調査研究に御支援と御協力を頂い た新潟県農林部専門技術員室および各地区の生活改善普及員に深謝致します。

1) 渋谷,本間,佐藤,石原:県立新潟女子短大研究紀要,No. 15,127(1978)

2)鈴木業三:圓本年中行事辞典,角川轡店,東京(1977)

3) 山口賢俊:日本の民俗「新潟」,第一法規出版,東京(1972)

4)新潟県大百科事典,新潟日報社,新潟(1977)

5)新潟県民百科事典,野島出版,三条(1977)

参照

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