現代における音楽科教育の課題と展望
葛 西 英 昭*
(1991年9月13日受理)
Actual Problems and Some Viewpoints of Current Music Education
Hideaki KAsAI
(Received September 13,1991)
1.研究の目的と内容
小学校・中学校の学習指導要領が,平成元年(1989年)3月に改訂され,小学校は平成4年から,
また中学校は,平成5年から全面実施されることになった。移行措置としての準備期間を含めて,
1990年代における学校教育は,この指針をもとにして,大きな期待を担いながら展開される。
ところで今回の改訂では,これまで以上に「個」の特性に注目を向け,一人ひとりの可能性を引 き出して,その成長保証・学力保証への願いを託しているが,ヒューマニズムに基づく教育目的へ
の原点回帰を問う切実なる課題提起がなされたとみることができよう。
音楽科教育の場合,現実に照らして課題追求へのアクセスを求めていくとすれば,学習指導にか かわる環境や教科経営の問題など,さまざまな条件のもとでどのように具体化していくのか,まず は現状認識のための資料を整え,問題点を明らかにしながら,身近なところから授業改善への展望
を拓いていく必要があろう。
そこで,この研究では,1980年代における音楽科教育の動向を,主として「授業」をめぐる視点 から総合的に調査し,その分析によって浮き彫りにされる問題点をつきとめると共に,今後の音楽 科教育推進のための課題へ焦点化し,その解明への方途へつとめて接近を図るものである。
次の三点を下位目標として設定した。
①音楽科教育における教科経営の立場から,教授・学習体制にかかわる環境や条件等の状況を明
らかにして,その問題点を探ること。
② 「音楽の授業」に対する好嫌度及び活動分野別にみる学習体験の程度,あるいは学習内容の受 容や教材履修等に関する実態をとらえつつ,それらに内包される問題の所在をつきとめ,さらに
その意味を考察すること。
③以上を総括して,今後の音楽科カリキュラムの開発・指導法の改善等にかかわる問題提起と,
その解決の方向を探ること。
*茨城大学教育学部音楽科(〒310 茨城県水戸市文京2丁目1−1).
本研究の目的ヘアプローチを図るために,調査内容を五項目に分類し,カテゴリーの構成要素を
吟味して,次のように限定した1)。
(1)調査対象者と属性…a 一出身校に基づいた分類による一
a1…出身校の所在地(市町村の数) a2…出身校の所在地別にみた調査対象者の人数 a3…性別(男子,女子) a4…出身校の学校規模
(2)教授・学習体制にかかわる環境・条件 b…使用教室一 音楽室,自教室,その他 c…教師 一 学級担任,専科,その他 d…高等学校の音楽科履習状況
(3) 「音楽の授業」に対する好嫌度及び活動分野別にみる学習体験の程度
e…学習の好嫌度 f…学習体験の程度
(4)学習内容の受容及び教材履習の状況等
g…歌唱表現 h…器楽表現 i…即興表現 j…鑑賞
(5)望ましい授業への期待…k
2.研究の方法
・調査対象をできるだけ広地域より得るため,全国規模のネットワークによる母集団の設定を意図
した。時間的制約や費用などの点で,調査対象数を500サンプル程度にとどめざるを得なかった。
・調査対象者は,この研究の目的に深い満19歳を原則にした。つまり,1978年の小学校入学時から,
1980年代を小・中・高で過ごしてきた状況追跡に視点を置き,意識調査による資料を得るためであ
る。ちなみに,1977年(昭52年)は,学習指導要領が公示された年であり,移行措置期間を含めて調
査対象者が新しい教育課程のもと,授業を受けてきた実績に重ね合う条件と一致する結果にもなる。調査の経過は,次の手順によった。
・ 調査票の作成と調査の実施
ア 事前調査 … 前述の調査内容をもとにして質問項目を具体化し,調査票を作成した。過去10
年来の学習体験をもとに,ありのままを質問紙に回答する意識調査という特別の条件を考慮して,
ワーディング,回答様式(選択式,自由記述式など)等にはかなり気を配った。
また,調査票作成のあとおよそ100名に事前調査を行い,調査の目的・内容・方法等で予定してい る作業仮説の確認・吟味・修正を行った。
イ 本調査 … 調査対象者が広地域にわたるように意図し,各地の大学の中から次の16大学の調 査依頼をした。 ・北海道教育大学旭川分校 ・秋田大学 ・宮城教育大学 ・千葉大学
・茨城大学 ・東京学芸大学 ・山梨大学 ・洗足学園大学 ・信州大学 ・静岡大学
・大阪芸術大学 ・兵庫教育大学 ・山口大学 ・福岡教育大学 ・熊本短期大学 ・鹿児島大 学等,依頼数が585,回収数が531,回収率が90.1%であった。このなかから調査対象として有効な 票を検討し,502名を調査対象者に決定した。実施時期は,1990年7月〜8月。
葛西:現代における音楽科教育の課題と展望 67
Table 1.出身校(地)に基づいて分類した調査対象の属性
②③④の単位:人
①a1 ②a2 ③a3
ρCa4所在地(実数) 市町村別 男 女 別 学 校 規 模 別
ブロック 市 町 村 市 町
村
男 女 計ア イ ウ
工オ
小 9 14 2 18 14 2 19 7 5 2
1
北 海 道 中
9 15 o 19 15 ● 15 19 34 13 16 31 1
高 13 8 o 26 8 ● 21 9 4 ● o
小 39 14 4
48
14 4 28 21 14 3 ●東 北 中
39 17 ●48
18 ● 30 36 66 22 28 12 31
高
46
4 ● 61 5 ●45
201
● ●小 68 19 ●
98
21 ● 6544
8 2 ●関 東 中
67 21 ● 95 24 o 5168
11942
63 12 2 o高 76 6 ● 112 7 ● 96 18 5 o ●
小
38
12 446
12 4 41 16 21
2東 海
中
39 14 ●48
14 ● 25 37 62 50 9 3 ● ●北 陸
高
40
6 o 56 6 948
10 4 ● ●小 54 18 ● 77 19 ● 36 39 18 3 o
関 西 中
53 18 ● 76 20 ●38 58
9638 46
12 ● ●高 62 8 ● 86 10 ● 71 22 3 ● ●
小 17 7 2 28 7 2 20 9
5
3 ●中 国
中
工8 9 ● 28 9 ● 1324
37 12 13 12 ● ●四 国
高 15 7 ● 30 7 o 33 4 ● o ●
小
37 14 2 67 19 2 45 7 34 2 ●九 州 中
39 13 ● 69 19 ●44 44 88 46
16 24 2 ●高 36 8 o 79 9 ● 68 18 2 ■ ●
小
262
98 14 382 106 14 254 143 86 16 3計 中 264
107 o 383 119 ● 216286 502
223 191 78 8 2高
288
47 ●450
52 ● 382 101 19 魯 ●・ 都や府の中に属する区は,市におきかえてカウントした。町は,都に属する場合の数で集計した。
・④は,出身校の学級規模についての回答をまとめたものである。
次の基準により分類した。
ア:1,000人以上。イ:500人以上,1,000人未満。ウ:100人以上,500人未満。
エ:50人以上,100人未満。才:50人未満。
その後,調査対象者を出身校(地)に基づいて分類し,全国を7ブロックに分けて集計し, Table 1
としてまとめた。なお本調査では,調査の趣旨を理解してもらうためのコメントを添え,事実をで
きるだけ投影するよう強く要請した。
3.調査結果の分析と考察
(1)調査対象者と属性 a
調査対象者の出身校(地)に基づき,その属性を四つの視点から整理してまとめた。(Table 1)
a1は,調査対象者の出身校所在地を市町村別にみて,その実数を表す。ちなみに「市」の実数は,
小・中・高それぞれに全国の「市の総数」の約40%にあたる。
a2は, a lの出身校所在地で学んだ児童・生徒数である。この実数比をFigure 1に示した。
a3は,性別。 a4は,学校規模別に分類したもので,そのカテゴリーは, Table 1の下方に示す アイウ …を用いた。その実数比をまとめたのがFigure 2である。
20 40 60 80 100
小 市(76.1) 町(21。1) 村(2.8)
中 市(76.3) 町(23.7)
高 市(89.6) 町(10.4)
Figure 1.出身校×学校所在地 (a1) 単位:%
20 40 60 80 100
小 ア(5・・6) イ(28・5) ウ(17・1) 弄8:3 中 ア(44・4) イ(38・・) ウ(15・5)弄ll:ll
高 ア(76.1) イ(20.1) ウ(3.8)
Figure 2.出身校×学校規模 (a4) 単位:%
調査対象者である大学生の出身校は,小・中学校の場合,その76%ほどが都市部にあり,学校規
模も全体の半数近くが1,000人以上の大規模校で学んでいたことがわかる。
さらに高校では,その比率が一段と上昇し,都市部に出身校を持つ学生が約90%,大規模校に学 んだ学生76%と,都市部集中の傾向がはっきりと見られる。かつて,1970年代より全国的に推進さ
れた町村合併による小・中学校の統合は,多くの大規模校を生んだ。
その後,児童・生徒の問題行動が学校経営や教科経営の諸問題とともに大きくクローズアップさ
れ,1983年の国会で大規模校の分離促進が議決2)。それに児童・生徒数の自然滅もあって,校内の 「
教室利用にゆとりが生じ,第2音楽室を置く学校も出てきた。
当然,施設の整備と授業の機能面で,改善の歩みもみられるようになってきた。
(2)教授・学習体制にかかわる環境・条件 b 音楽の授業を受けた場所(教室)
小学校の場合を調査対象にした。当初から予測されたことではあるカ㍉低学年は「自分の教室」
高学年へ進むにつれて「音楽教室」を使用するというパターンが,ここにはっきりと確認される
(Table 2参照)。ただ,この資料でも見られるように,低学年から音楽教室を使うケースが増え,
自教室との交互使用(ウ)を含めると,その比率もかなり高くなる。
Table 2.音楽の授業を受けた場所(教室) Nニ491:%
学年
ウ室 小 1 小 2 小 3 小 4 小 5 小 6
ア
22.325.0
34.754.2 84.1
86.9イ 64.1 59.8
44.2 22.33.2 2.8
ウ 13.5 15.5 21.1 23.5 12.7 10.3
ア: 音楽室を使用。イ:自分の教室を使用。ウ:音楽教室と自分の教室を交互に使用。
学校規模(a4)とのクロスで考察するならば学校統合によって生まれた大規模校がその後の
分離促進と児童数減によって教室利用にゆとりが生じたこと。さらに望ましい環境・条件を志向する教科経営への努力があったことなど,1980年代の動向を具体的に見る一つの窓口として,ここに
その状況を把えることができよう。
Table 3. 「授業を受けた場所」と「該当学年」の類型 学年
類型
ウ室 A
Bl B2B3
B4 ClC2 C3
ア 1−6 2−6 3−6 4−6 5−6 2−6 3−6 4−6
イ 1 1−2 1−3 1−4
ウ 1 1−2 1−3
% 21.5 2.0 7.7 13.8 17.0 1.2 2.O 2.8
類型
ウ室 C4
D1D2 D3 E
F1F2 G
ア 5−6
5−65−6 4−6
イ
1−21−3 1−2 1−3 1−4 1−6
ウ 1−4 3−4
4 31−6 4−6 5−6
% 2.0 5.7 4.0 1.6 2.4 2.0 2.4 1.6
ア: 音楽室を使用。イ:自分の教室を使用。ウ:音楽教室と自分の教室を交互に使用。
* 上記の類型は全体の89.7%,その他が10.3%であった。
Table 3は,1人ひとりの児童が音楽の授業を何年の時にどの教室で受けたのか,そのケースを 分析し類型化してまとめたものである。類型Gの「6年間を自教室∫は,主として50人未満の最小 規模校に見られたケースである。このような学習環境の多様な状況は,学習内容の受容と保証にも 量
蛯ォな影響を及ぼしていると見ることができよう。
c 指導を受けた教師
児童・生徒の授業を担当した教師の動向を,次の分類によって調査し,Table 4にまとめた。
ア:学級担任。イ:音楽専科。ウ:交換授業(他の学級担任)。エ:学級担任と音楽専科の二人。
オ:外部の講師。
Table 4.指導を受けた教師 Nニ502:%
小 学 校
学年
ウ師小 1 小 2 小 3 小 4 小 5 小 6
男
21.5 21.1 24.0 18.3 12.0 11.2
ア 91.2 88.4 72.5
49.8 26.321.9
女
69.7
67.348.6 31.5 14.3 10.8
男
3.2 4.0 13.1
●14.3 20.7 21.1
イ
7.2 8.3 21.1
40.663.7 67.7
女
4.0 4.4 8.0 26.3
43.0 46.6男 0 0
0.8 0.8 4.0 1.6
ウ 0.8 2.4 5.2 7.6 5.6 6.4
女
0.8 2.4 4.9 6.8 1.6 4.8
男
0.8 0.8 0.4 0.8 1.2 1.6
工
0.8 0.8 1.2 2.0 3.6 3.2
女 0 0
0.8 1.2 2.4 1.6
男 0 0 0 0 0 0
オ
0 0 0 00.8 0.8
女 0 0 0 0
0.8 0.8
中・高校 学年
ウ師
中 1 中 2 中 3 高 1 高 2 高 3
男
42.2
40.243.8
68.065.3 61.1
90.7
イ 98.0 98.0 98.0 94.8
93.6
女
55.8 57.8 54.2 26.8 28.3 29.6
男
1.2 1.2 1.2 3.4 4.1 5.6
オ 2.0 2.0 2.0 5.2 6.4 9.3
女
0.8 0.8 0.8 1.8 2.3 3.7
回答人数 各学年:502
256 21088
小学校の場合,表でも明らかなように,下学年における学級担任の指導は,上学年へ進むにつれ てその大勢は,音楽専科の指導へと手渡されていく・そして,それぞれに指導の主体は女性教師に あることがわかる。中学校では,教師の男女比がおよそ均衡を保つが高校では,男性教師が全体
の約70%を占めている。
Table 5は,小学校で音楽の指導を受けた担当教師と担当学年の関連について,上位の5類型を抜 き出し,まとめたものである。全体で51類型と多様であったカ㍉音楽科経営の努力と現実の厳しさ
カ㍉このような状況からも伺い知ることができる。
Table 5.指導を受けた教師(男女比)と担当学年との相関 N=502:%
類
担当の学年
担当ρ教師 (男女別)型
ア(担任) イ(専科) 男のみ 女のみ 男・女共 全体
1
1−2 3−6 6.0 2.0 3.6 11.6
H 1−3 4−6 6.8 3.6 6.8 17.1
皿
1−45−6 10.0 2.9 11.6
24.0w 1−6
●5.2 3.2 8.8 17.1 V
o1−6 3.2 L6 1.2 6.4
その他(46類型) 23.8
d 高校における音楽科の履習について
ここでは,調査対象者502名の高校における「芸術」の履習状況と,音楽科履習を決定するまで
の経過等について述べる。Table 6は,高校の「芸術」で履習した教科の状況である。
Table 6.高校の「芸術」で履習した教科 N;502 Table 7.音楽科履習の条件 N=256
音 楽 美 術 書 道
計項目・内容 実数 %
男 子
人 96 7842 216 全 員 必 修 68
26.6(%)
(44.4) (36.1) (19.5) (100)
人 160 60
66 286 選 択 必 修
188 73.4女 子
(%)(51.2) (27.4) (21.4) (100)
3教科に本務教官が居る場合と非常勤講師等による場合なと学校の事情によ
り履習決定の手順
や条件にも違いがあり,事前に仮説として予測されたことではあるカ㍉地域による本務教官の格差が大きいことを再認識した。
Tabl,7では,全員必修が26.6%で,選択条件なしである。この中には,選択必修を希望する者
が半数近くいた。
つぎの表は,選択必修188名について,希望の可否を調査したものである。
Table 8.「選択必修」における希望の可否 Table 9.「選択必修」における決定の方法
N=188 N=188
項目・内容 実 数 % 項目・内容 実 数 %
調査後学校側が決めた
138 73.4希望通りだった
17392.0 抽選をした 46
24.5希望通りいかなかった
158.0 その他
42.1
先に述べたように,学校の事情を携えての苦慮が調査票のコメ
ントにも見られた。
さらに「選択必修」における決定の方法を分析し,まとめたのがTable 9である。
一応,生徒への希望調査を行ったり,抽選するな拭決定の手続きとしてはそれなりに工夫をし てはいるがすでに前提として編成する器(条件)が決められていて,希望の動向によっては,不
本意ながら希望の満たされない場合も少なからず生じるわけである。与
Table lO.音楽科履習学年の類型と動向 単位:人
高校の履習は,学習指導要領の「35単位類 型 履習学年
男 女 計 時間の授業を1単位とし,芸術について1
1・2・3
3648
84 履習させる単位数は,3単位を下らない」H 1・2 42
84 126と定める規定によって駐るカ㍉Table lO
皿 1
18 2442
の資料では,類型Hが約半数であり,類w 1・3
● 4 4 型1を含めると約82%と大勢を占める。回 答 人 数
96 160256 類型皿は,「進学のため」というコメント
が添えられ,高校における履習についてのリアルな側面も伺い知ることができた。
(3) 「音楽の授業」に対する好嫌度及び活動分野別にみる学習体験の程度
e 学習の好嫌度小・中・高それぞれに,体験してきた音楽の授業についての印象や思い出を呼び起こし,その好
嫌の程度と共にコメントも添えてもらった。
①小学校の場合
Table 11において,その傾向を大きくとらえてみると,4年生を境にして「ウ,どちらともいえ
ない」 「エ,すこし嫌い」 「オ,大嫌い」カ㍉それぞれに増加している。
これをTable 2及びTable 5をクロスして考察してみると,4年生になって経験する環境の変化
(音楽教室で専科担任の指導)が大きく影響しているように思われる。
Table 11.音楽の授業に対する好嫌度
単位:%
小 1 小 2 小 3 小 4 小 5 小 6
男
17.0 14.9 17.0 8.5 12.8 8.5
ア 28.7 28.7 27.9 29.5
31.9 32.2女
31.4
31.930.4 34.3 36.3 36.8
イ 男
25.5 23.4 23.4 25.5 27.7 25.5
女
31.9 30.7
32.8
31.1
33.8 31.932.8 31.5 34.3
33.1
33.8
32.3男 40.4 42.6
38.3 40.4 29.8 27.7
ウ
35」35.1
34.325.5 20.3 17.9.
女 33.8
33.3
33.322.1 18.1 15.7
男
12.8 14.7 21.3 25.5 23.4 27.7
工 女
2.0 4.0 2.0
4.4 2.0
5.6
9.3 12.4
10.3 12.7 12.3
15.1
オ
男
4.3 4.3
0 06.4 6.4
1.6 0.8 0.4 1.2 2.0 2.4
女
1.0
00.5 1.5 1.0 1.5
人 男 203 人 206
210
209 213 211数 女 271
474
273 479
276 486
278
487
280 493
278 489 ア:とても充実していて待ち遠しかった。イ:すこし好きだった。ウ:どちらともいえない。
エ:すこし嫌いだった。オ:大嫌いだった。
Table 12. 「音楽の授業が好きだった」そのわけ 単位:人
そのことを裏づける理由として,
理 由 回答数 Table 13に示した「先生が嫌い,
1
歌うことが好き,合唱が楽しい 134 文句ばかり,きびしい」が目立っ2 授業が楽しい,音楽があふれている 130
て多かったことがあげられよう。
3 先生がやさしい,おもしろい,熱心 121
4 いろいろな楽器で合奏をすること 116
また,女子の「ア 待ち遠しい」
5 得意な教科,ピアノがよくひける
42
と男子の「イ すこし好き」の増その他(26項目)
39 加も注目されるが,ここでは,Table 12に示す5つのコメントが
Table l3. 「音楽の授業が嫌いだった」そのわけ・
@ 単位:人
どの項目にも多く見られた。
理 由 回答数
基本的に「問題は教師の資質に1
先生が嫌い,文句ばかり,きびしい87
焦点化される」ということができ2 授業がつまらない 66 よう。
3 みんなの前で歌のテストが苦痛 41
4 楽器の奏法が苦手
40
次に,小学校6年間における好5 声が出ない,歌が下手
38
嫌の推移を1人ひとり追跡し,そその他(28項目)
27 れらのケースを類型にまとめたの※ Table 12, Table 13は,紙幅の都合上,学年ご
がTable 14である。
との集計を割愛し,全体の延べ人数でまとめた。 134類型という多様なプロセス
を伺い知ることができたのである がTable 11とクロスして考察してみると,「ア 待ち遠しい」「イ 少し好き」が全学年を通し て約60%内外の数値にあるものの,一人ひとりの心情の動きがTable 12,13にあげた「授業の好嫌とその理由」を携え,大きな振幅を持って推移していることが判る。
ただ問題は,「エ すこし嫌い」「オ 大嫌い」のケースを含む推移とその理由である。
ひとつの典型的な例を抽出し,Table l4に類型(W)として掲げてみた。1年から3年までは学
級担任,4年から6年までは専科の指導を受けた男子である。1−3年では,ハーモニカやリコー
ダーの奏法が苦手。4,5年は,やさしく面白い女性の専科。6年では,転校してきた男性の専科 で,「ことあるごとに厳しく叱られ
た」とのコメントがあった。
類型1,Hのように,すべての児
Table 14.「音楽の授業に対する好嫌」と「該当学年」の類型童が充実感を持って6年間を過ごす 子類 型
ア イ ウ
工オ 人数 %
ことは不可能としても,とりわけ音 1 ■1−6
● ● o 6113.2
H 1−6
o ● ● ●58 12.6
楽科教育における教師論と教科経営
皿
● ●1−6
● o 275.9
については,今後とも,心して追求lV
● ●1.2 3−6
● 132.8
すべき重要課題であることを再確認V
●4−6 1−3
● ● 112.4
(w)
5 4 ●1−3
61 0.2
しておきたい。 その他(128類型) 290
62.9合 計 461 100 ア:とても充実して待ち遠しかった。
イ:すこし好きだった。 ウ:どちらともいえない。
エ:すこし嫌いだった。 オ:大嫌いだった。
② 中学校・高等学校の場合
Table 15.音楽の授業に対する好嫌度
単位:%
中 1 中 2 中 3 高 1 高 2 高 3
男
6.4 8.5 12.8 33.3
37.535.7
ア 18.7 19.1 21.1 26.2 28.7
28.8女
21.6 21.6 23.0 25.2 27.5
27.8男
25.5 29.8 27.7 22.2
25.021.4
イ 28.7 27.5
26.3 33.1 34.5
37.5女
23.9 27.0 26.0 34.6
35.8 40.0男 23.4
19.1 19.1 ll.1 12.5 14.3
ウ 25.1 25.5 23.5 23.4 21.3 18.3
女
20.7 27.0
24.525.2
22.518.9
男
40.7
34.036.2
27.812.5 21.4
工 女
23.5 26.7
23.5
25.525.0 27.1
12.6 14.5
11.7 11.8
11.0 12.5
男
4.3 8.5 4.3 5.6 12.5 7.1
オ 0.8 2.4 2.0 2.8 3.7 2.9
女 0
1.0 1.5 2.4 2.5 2.2
人 男 198 201
203
91 75 34数 女 267
465
273 474
280 483
151
242
123 198
46 80
ア:とても充実していて待ち遠しかった。イ:すこし好きだった。ウ:どちらともいえない。
エ:すこし嫌いだった。オ:大嫌いだった。
上の調査結果から,いくつかの特徴が浮き彫りにされたように思われる。
「ア とても充実して待ち遠しかった」の比率が中学女子で小学校(Table 11)を大きく下まわ
り高校ですこしの上昇があっても,
ほぼ横這いであること。 「音楽の授業が好きだった」そのわけ
それに対して高校男子の比率が
Table l6.(中学校) 単位:人
小,中学校に比べて著しく上昇し
理 由
回答数
ている点であり,高校女子を大き 1
先生が好き(明るい,面白い,熱〔♪,温かい) 93く上まわったことがあげられる。
2歌が楽しい,合唱の充実感
813
音楽が得意,どの活動も好き
62高校教師の70%内外が男性であ 4
リコーダー,ギターの演奏が好き 43
り(Table 4),青年期の心1青にフィ
5 グループの活動が楽しい
28ットする教師との温いコミニュケ
その他(18項目) 39一ションが背景にあること(Table
16及び17),また,大方の生徒が自 Table 17.(高等学校) 単位:人
ら選択して履習した教科であるこ 理 由 回答数
と(Table 6)など,いくつかの要 1 先生が好き(面白い,専門的,熱ひ) 68
因が重なって,学習活動の充実感 2歌唱表現の内容充実
513
鑑賞が楽しい(映像によるオペラほか) 43 を促進しているように推察される。
4音楽が得意,どの活動も好き
39次に,重要な問題としてクロー
5 グループでアンサンブル
31ズアップされるのは,中学校の男 その他(16項目) 27
女ともどもに「エ すこし嫌い」「オ 大嫌い」の爆発的な数字である。
「音楽の授業が嫌いだった」そのわけ 1980年代に入って,ますますエ Table 18.(中学校) スカレートしていつた生徒指導
単位:人
理 由 回答数 の問題は,いじめや校内暴力,
1 先生が嫌い(叱る,文句多い,いいかげん)
108 その他非行など,目にあまる社2
雰囲気わるい(うるさい,歌わない)
67 会問題となったカ㍉音楽の学習3
歌が苦手,歌ばかり 48
4
理論が多く表現活動が少ない
32 指導が成立しない事例を巷に数5
みんなの前で歌・笛のテスト
30 多く見聞し,胸を痛めたことでその他(17項目) 36
もあった。1983年度をピークに
校内暴力等の波は退潮傾向にあ
Table 19.(高等学校) 単位:人 るが3>,いずれにしても,前述 理 由 回答数
の爆発的な数字は,そのような1
先生が嫌い(きびしい,口うるさい,指導力なし) 74 環境を背景にした事情とは無関2
聴音,ソルフェージュが苦手 42
係ということは出来ないであろ3
鑑賞が多く表現の学習が少ない
39、
4
楽典・音楽史など理論多くむずかしい
35っ。そのことを裏づけるコメン
5
みんなの前で実技のテスト
31 トがTable 18及び19に激しいその他(17項目)
30 口調で寄せられた。
中・高ともに,第1位の「先生が嫌い」
Table 20.学習経験の程度(小学校) N=502:%を挙げたコメントの中で多く見られた
小1 小2 小3 小4 小5
小6 文言には,さらに次のようなものがあ 歌ア 50.6
54.6 51.855.0
61.0 60.2イ 14.7 12.4 15.5 14.3 10.0 10.0
った。「説教ばかり,しらけ,たいく
唱ウ 16.4 16.7 19.9 21.5 23.5
25.0つ,ひいき,いじめ,炉やみ,暗い,
表 工 ● ● o ● ● o最悪,不熱心,ワンパターン,たより 現 オ 18.3 16.3 12.8 9.2 5.5 4.8
器
ア 16.3
20.729.9 36.3
45.8 47.0ない,自分勝手」など,音楽の授業に ノ
饗 イ
18.7 19.5 17.5 15.1 12.4 12.4
対する好嫌の差は,あまりにも対照的
よ ウ 36.7
35.9 37.8 37.8 36.7 35.9裏 工
6.4 5.2 2.4 2.0 0.8 0.7
であり深刻である。 現
オ 21.9 18.7 12.4 8.8 4.3 4.0
現実を直視しながらも,みんなで課
即
ア 1.2 L2 1.2 1.2 2.0 2.4
題解決へ向い,惜しみない努力を積み 昊
イ 5.2 5.2 7.6 7.2 3.2 3.2 現 ウ 1.6 1.6 4.0 8.4 9.6 5.2 重ねることが切に期待される。
画工 63.7
64.1 62.2 60.6
67.3 73.7作 オ 28.3
27.9 25.022.6 17.9 15.5
f 学習活動の分野別にみた体験の程度 鑑ア
イ3.6 3.6 4.8 6.8 12.4 11.6 10.0 10.4 11.2 10.8 10.8 10.4
小・中・高の各学年において,どの
ウ 34.3
34.7 42.654.2
62.5 65.7ような活動をどの程度学習したのか,
賞 工16.7 16.7 12.7 9.2 4.0 3.2
オ 35.4
34.628.7 19.0 10.3 9.1
その程度を調査してまとめたのが,
sable 20とTable 21である。 ア:非常に多く学習した。イ:どちらともいえない。
小学校の下学年では「オ よくわか ウ:すこしは学習した。エ:全然学習したことがない。
らない・回答なし」が多く見られた。 オ:よくわからない・回答なし。
このような内容の質問により,幼い
Table 21,学習体験の程度(中・高校) N=502:%時期に遡って想起することは,当然, 中1 中2 中3 高1 高2 高3
戸惑うことも多く曖昧な回答を予測す 歌ア 59.4 60.2 57.0 68.3
64.867.9
イ
11.5 11.2 12.0 10.2 12.1 15.2
るところでもあり,潜在的に蓄えられ 唱表
ウ 27.1
27」 29.521.0
21.816.1
ている本質を投影しかねる想いもある
現
工 ● ● ● ● ● ●がいま意識にあるそのままを率直に オ 2.0 1.5 1.5 0.5 1.3 0.8 回答してもらうよう依頼した。 器 ア 31.9 33.5 30.7 27.2 30.4 33.0
イ
12.0 11.2 ]0.4 15.2 17.0 17.9
学習体験の度合いは,当然のことな 楽表
ウ 46.1
43.4 45.034.6 31.0 24.1
がら歌唱表現が活動の中心にあり,わ現
工8.0 9.2 10.8 21.5 20.4 23.2
けても中・高校における合唱活動の旺
オ 2.1 2.7 3.1 1.5 1.2 1.8
即
ア
2.0 2.0 3.2 11.6 11.7 12.1
盛な状況は,Table 16,17の資料によ
嚢
イ 6.4 6.0 7.2 5.5 5.6 6.5 っても伺うことができる。 學 ウ 15.5 19.5 20.7 22.7 25.9 24.3
器楽表現では,小学校の場合,高学 創 工61.8 60.2 57.4 53.6 5L9 52.3
年へ進むにつれてその体験も高まり,
作
オ
14.3 12.3 11.5 6.6 4.9 4.8
ア 25.5 25.5
26.7 45.9 48.846.7
使用する楽器の種類や演奏形態も多様 鑑 イ
9.2 9.2 10.0 9.2 9.6 12.4
である。 ウ 59.4 60.6 59.2
37.834.9 3L4
中・高校では,リコーダーを中心と
賞 工3.2 2.4 2.1 4.9 5.4 7.6
オ 2.7 2.3 2.0 2.2 1.2 1.9
したアンサンブルが大勢を占めている。
人 数 各学年 :502 256 210
88次は,即興表現・創作であるが「エ
全然学習したことがない」「オ よく ア:非常に多く学習した。イ:どちらともいえない。
わからない」を合わせると,小学校の ウ:すこしは学習した。エ:全然学習したことがない。
場合90%内外の数字となり,中・高校 オ:よくわからない・回答なし。
でも70%近くの数値になった。
即興表現は,1947年の第一次学習指導要領(試案)以後について振り返ってみても,現在にいた るまで創造的表現と共に,教科や学年の目標・内容等に掲げられ,つねに重視されてきた活動であ る。特に,1977年(昭52)公示の学習指導要領では,表現領域の教育内容に,全学年を通して即興
■ ■ ● ● ● ● ●
表現が位置づけられたことは,記憶に新しいところでもある。
表現領域の中で歌唱や器楽は,活動の形としてはっきり回答に応じたとしても,即興表現の場合 それらの活動ほどに具体的な形として「あの活動」と特定するのには,多分に戸惑いがあったよう にも思われる。小学校では,リズム伴奏の工夫,中・高校では8小節程度の記譜創作が目立って多
く見られた。
鑑賞は,高校が活発で「ア 非常に多く学習した」が50%近くを占めた。小学校では特に,低学
年の設備・環境の条件整備に注目して,鑑賞指導の充実を計ることが要請される。
(4)学習内容の受容及び教材履習の状況
g 歌唱表現まずはじめに,全国共通教材の履習状況を,4つのカテゴリーによる仕分けをもとに,Table 22
としてまとめた。
共通教材が指導要領に位置づけられ
Table 22.歌唱共通教材の履習状況(小学校)N=502:%
てから30余年を経た。当初の目的及び
曲 名 ア イ ウ
工教育内容等を踏まえつつ,その間すべ
小
かたつむり 23.9 43.03.2 29.9
ての児童・生徒に指導がもたらされるひの ま る 22.7
44.69.6 23.1 よう,どの教科書にも必ず配されてき 1 つ き 14.3 35.1 13.5 37.1
た。小・中学校で学習指導を受けて以小
さくらさくら
45.8 39.41.2 13.6
来,かなりの時間を経た現在,学生の
春が来た
53.833.5 1.2 11.5
意識にあるその状況を探ってみた。
2ゆ き
22.3 47.07.2 23.5
事前調査で,実音を用いての比較を
小 春の小川
65.329.1 0.0 5.6
行ったが大きな差がなかったこと, 富 士 山 34.3
37.1 12.4 1.2 加えて質問紙による条件等もあって,
3 う さ ぎ17.5 37.1 11.2
34.2曲名提示による回答方式で実施した。 小 さくらさくら
47.0 33.52.8 16.7
実音を用いれば「エ よくわからな
も み じ 66.5 24.7 2.4 6.4
い・回答なし」で,もっと違った数字 4 と ん び 37.0 30.712.0 20.3
になったであろうが,学習体験の動向小
子守う た8.0 36.7 19.5
35.8 を概観する趣旨において,今回は断念冬 景 色 20.3 31.9 15.1
32.75 スキーの歌
21.9 39.4 16.8
21.9した。
小 おぼろ月夜 61.0
27.5 4.0 7.5
授業目標との関連により,教材取扱かりがわたる 19.1 26.7 24.3
29.9いの意味や程度にいろいろなケースが 6
ふる さ と
60.630.3 2.8 6.3
あると思うので一概には言えないが
「ア とても丁寧に学習した印象深い (中学校)Nニ502:%
曲」の回答に視点を置いてみた時,その
中 荒城の月
60.2 32.37.2 0.3
度合いの差の大きさに注目させられる。 砂 山
23.9 36.323.9 15.9 ここで「ウ 全然学習したことのな 1 赤とんぼ
48.2 35.99.6 6.3
い曲である」 「エ よくわからない・ 中
浜辺の歌
52.629.1 13.1 5.2
回答なし」に視点をあててみると,小 夏の思い出 61.8 28.2
6.0 4.O 学校では1年の「つき」3年の「うさぎ」
2早 春 賦
33.9 30.722.7 12.7 5年の「子守うた」 「冬景色」6年の 中
や しの実 43.025.1
21.910.0
「かりがわたる」などが50%内外の数
3 花 50.2 25.911.2 12.7
字を示し,取り扱われていない様子が伺える。2年の「春が来た」3年の「春の ア:とてもていねいに学習した印象深い曲である。
小川」「富士山」4年の「もみじ」6年 イ:学習した思い出はあるがあまり印象深くはない。
の「おぼろ月夜」「ふるさと」など,古 ウ:全然学習したことのない曲である。
くから親しまれている文部省唱歌が エ:よくわからない・回答なし。
かなりの高率で取り扱われ,一人ひと
りに浸透していることがわかる。 * 小学校1・2年は,昭和43年告示の学習指導要領に
中学校では,小学校ほどではないが よるため,2年,4年の「さくらさくら」は重複して
1年の「砂山」2年の「早春賦」3年の いる。
「やしの実」など,30〜40%ほどに取り扱われていない向きもあるがここでも1年の「荒城の月」
「赤とんぼ」2年の「夏の思い出」3年の「花」など,多くの人々に愛唱されている曲の履習が高率
を示していることを伺うことができる。
次に共通教材を除き,学習した歌 Table 23.心に残っている歌唱曲・器楽曲
唱曲の中で現在,心の中に残ってい小学校下学年 N=286:人 (共通教材を除く)
る曲を5曲以内リストアップして, 歌 唱 曲 器 楽 曲
小・中・高それぞれに上位から5曲1
こ ぎ つ ね 37かっこう(リコーダー)
31をTable 23に掲げた。
2とんぼのめがね
34きらきらぼし 28
小学校上学年及び中学校では,回 3きらきらぼし
34 山の音楽家 21答者及び曲目総数が多く,教科書以 4
手のひらを太陽に 28 かえるのうた(ハーモニカ)
20外からの選曲も加えて,かなりバラ
5
ぞ う さ ん 26こ ぎ つ ね
16エティに富んだ資料となった。 回答曲目総数 91曲 回答曲目総数 42曲
小・中・高を通して,全体にリズ
小学校上学年 N=322:人
ミカルなもの,ビートの効いた曲が 歌 唱 曲 器 楽 曲 比較的多く挙げられていた。また, 1 グリーングリーン 68
コンドルは飛んでいく48
高校の上位には,独唱曲が多く見ら 2気球にのってどこまでも
51 エーデルワイス(リコーダー) 37 れた。 3小さな木の実 49
ア マ リ リ ス 31 上記の諸点については,時宣的に 4ド ナ ド ナ 48 大脱走マーチ
28行われた二つの調査研究4)とクロス
5 翼を下さい46
グ11ンス11一ブス(リコーダー) 23して考察しても,その結果はほぼ同 回答曲目総数 131曲 回答曲目総数 112曲
じ傾向を示した。 中学校 N=368:人
共通教材,教科書に挙げられてい
歌 唱 曲 器 楽 曲
る歌唱教材,そして自由な選択教材1
大 地 讃 頒98 イエスタデイ
33な拭その履習状況を,Table 12.
2 モ ル ダ ウ 57コンドルは飛んでいく
3113及び16.17あるいはTable 20,21
3 マ イ ウ ェ イ 31大脱走マーチ
26とクロスして考察してみると,歌唱
4気球にのってどこまでも 30
禁じられた遊び 21 表現における学習体験と共に,内容 5 筑 後 川 28 モ ル ダ ウ 19 の受容についても,大勢としてかな回答曲目総数 164曲 回答曲目総数 64曲
りの成長をしるした10年間だったと 高等学校 N=196:人
いうことができよう。 歌 唱 曲 器 楽 曲
1
Caro mio ben38 コンドルは飛んでいく
21 h 器楽表現 2 Ich liebe dicL 34シチリアーナ
18 学習した器楽曲の中から,心の中 3 野ばら s28
禁じられた遊び 16 に残っている曲を3曲以内あげても 4 帰れソレントへ 27ロンド(H.パーセル曲)
15らい,小・中・高それぞれに,上位
5あの素晴らしい愛をもう渡
25 グリーンスリーブス 15から5曲をTable 23に掲げた。 回答曲目総数 96曲 回答曲目総数 41曲
全体に歌唱教材との関連で扱っているケースが多く見られたが,小学
Table 24.授業で経験した楽器とその程度(小学校)
N=468:%
低(1,2年) 中(3,4年) 高(5,6年)
◎ ○
×
◎ ○×
◎ ○×
ハーモニカ 42.7
32.325.0 10.0 19.9 70.1 4.3 8.3
87.4鍵盤ハーモニカ 32.1
28.039.9 22.0
38.0 40.015.4 36.1
48.5笛(ソプラノ) ● ■ ■
53.4
27.818.8 72.6
26.31.1
木琴,鉄琴 1.7 12.8 85.5 1.5
25.073.5 4.7 39.1 56.2
打 楽 器 14.7
48.936.4 3.2
30.666.2 1.5
22.476.1
(中・高等学校)
N=468:% N=212:%
校上学年や中・高校へ進むにつれ
中学(1,2,3年) 高校(1,2年)
て純器楽曲が増し,特に中・高校 ◎ ○
×
◎ ○X
では,リコーダーを主体にしたア 笛(ソプラノ)17.5
31.650.9 7.9
20.671.5
ンサンブルが大勢を占めた。 笛(アルト)
48.3 25.2 26.5 28.6 29.4 42.0Table 24は,音楽の授業で経験 ギ タ ー 2.6 4.5
92.915.9
22.2 61.9した楽器について,その程度を調 ◎…非常に多く経験した。○…経験あり。
査したものであるが先に述べた ×…全然経験なし。
リコーダ演奏については,旋律楽
器使用の主体におかれる,小学校中学年からのリコーダー導入及びそれ以後の使用状況によっても
裏づけられよう。調査から考察される点を二,三あげてみる。
・ 小学校低学年では,大方,歌唱表現のリズム伴奏という形で,打楽器の導入がなされる。
しかし,種類が多くまた使用頻度の多い割にその経験の程度は低く,「全然経験なし」は36%強 もあった。またTable 24でも判るように,その経験の度合いは次第に減り,中・高校にいたっては 平均して2%にも満たない状況を示した。
時間数の少い大学の講義・演習で,打楽器を初めて手にする学生に戸惑うことも多かったカ㍉あ らためてその動向をリアルな事例として把握することができた。なお,小・中・高12年間を通して
一度も経験したことのない学生が32%強を記録したのは,大きな驚きであった。
。 旋律楽器では,小学校低学年がハーモニカあるいは鍵盤ハーモニカを主たる楽器とし,約3分 の2の学生がどちらかの楽器を経験しているが 3年のリコーダー導入と共にハーモニカは激減,
鍵盤ハーモニカの使用密度も後退する。ただ鍵盤ハーモニカについては,経験の多少はあっても,
6年間の継続経験者が常に50%を越えた。演奏形態は,リード系の楽器とリコーダーを主体とした
合奏及びリコーダーアンサンブルが多く見られた。
しかし,中・高校におけるリード系の楽器使用は平均3%程度で,高校では1%強であった。
時間数の削減もあって期待できそうもないが高校で高率を示したギターの学習を,中学の段階 から是非とり入れたいものである。そのような希望者も多かっただけに,今後の改善点のひとつと
して考慮すべきことであろう。その場合,たとえば中学2,3年の選択を有効に活用すればその
・ 具体化も身近なものにすることができよう。カリキュラムにおける教育内容の焦点化と運用の弾力 化も,今後に残された課題として,心にしっかりと留めておく必要があろう。