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《巻 頭 言》
科学分析支援センター設立 30 周年に思うこと
理学部長 中林 誠一郎
埼玉大学科学分析支援センターが設置以来30年を迎えられたとのこと,心よりお祝い申し上げます.
私こと,埼玉大学に着任して 15 年になりますが,これより 2 倍も長い歳月ということになります.そこには 様々な創造と奮闘の歴史があったことでしょう.そのお蔭で現在,科学分析支援センターは,埼玉大学の サイエンスにおいて欠くことのできない重要な役割を担っており,私が学部長を務めております理学部で は,5つの学科のうち4つの学科が科学分析支援センターの機器や施設を利用し,学生の教育と教員の 優れた研究成果に結びついております.ここに至るまでの,科学分析支援センターの皆様のご努力に,
慎んで敬意を表したいと思います.
我々自然科学に携わる研究者には,大型分析機器や特殊な設備・施設を用いることが必要であること が多く,そのような機器・設備等が身近にあることが理想的であります.このことは研究の進度を大きく左 右する要因となります.大型分析機器や実験設備は導入コストがたいへん高額になりますので,個人の 研究者レヴェルで導入することは簡単にはできません.よって教育・研究のために導入された機器・設備 は学内の多くの人に開放され,有効に使っていただくのが良いということになります.この共同利用の考 えは,今や常識的になっており,文部科学省も推奨しているものですが,私が驚いたのは,40年近くも昔 に,この埼玉大学では学部学科の垣根を越えて機器を共同利用していたという事実が存在したことです.
学部学科にはそれぞれ独特の文化があるため,実現は容易ではなく,時間をかけた慎重な議論がなさ れたものと推察しております.そのノウハウが,30 年前の分析センターの設置に生かされ,やがてアイソト ープ実験施設,動物飼育室などを取り込み,現在では埼玉大学のサイエンスに関わる機器分析,生命 科学,廃棄物の処理・薬品管理などの多くの業務を担う科学分析支援センターとして結実したようです.
30 年という節目の年である現在,若手研究者の育成や大学における科学教育・研究の遂行において 厳しい時代を迎えようとしています.この時代の荒波に翻弄されることなく,我々は常に良質の教育・研究 を行い,自然科学を発信し続けなければなりません.改めて科学分析支援センターの力強い「支援」をい ただけるように,今一層のソフト,ハードの充実を願っております.
科学分析支援センターのように共同利用機器や施設を維持管理・運用する部局を,英語で“shared
core”と呼ぶそうです.これからも埼玉大学のサイエンスの“core”として,ますます発展されますことをお祈
り申し上げます.