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解析 I ・講義ノート

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Academic year: 2021

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全文

(1)

解析

I

・講義ノート

第5回

(2020

6

16

(

)

配信分

)

(2)

第5回本題

 教科書

§ 5

を一通り読んだ皆さんの中には、

§ 3

の中間値の定理、

ワイエルシュトラスの定理に続き、ここでも、ロルの定理、平均 値の定理と

(

その前後も含めて

)

やや抽象的な記述が続いているの に戸惑っている人もいるのではないでしょうか?

 結論だけ見ると当たり前に見えるこれらの定理たちが、なぜわ ざわざ取り上げるに足る定理なのかと言うと、皆さんもよく知っ ている初等関数のような、実はかなりよい条件をたくさん満たし ている関数とは違って、

§ 3

では「閉区間

[a, b]

で連続」、ここでは

「閉区間

[a, b]

で連続かつ開区間

(a, b)

で微分可能」と言う、たっ

たこれだけの条件しか満たさない

(

或いは実はもっといろいろよ い条件を満たしているのかもしれないけれども、少なくとも現段 階ではそう言う情報は無い

)

関数についても、同じ結論が得られ るからです。

(3)

 一般に、数学における定理や公式には、仮定もしくは条件がつ いていて、それを満たさないものについては、結論が成り立つか どうかは保証されません。つまり、この仮定もしくは条件は取扱 説明書であって、使用にあたっては、これを熟読し、使用してよ いのかどうか確かめてから使わないと、大事故を引き起こす危険 性があるわけです。

 これが数十頁にもなると、とても読む気がしなくなりますが、

だからこそ、専門性の高い特別な事例につき、強い力を発揮する こともあるわけで、それは一概に悪いことではもちろんありま せん。

 ですが、たった一行の説明書なら、確認作業もすぐ終了し、い つでも

(

と言うのは言葉の綾ですが

)

使えると言う利便性がありま すし、他と組み合わせて使える応用範囲も広いわけです。

(4)

 これら四つの定理の主張を、改めてまとめて書いてみると…

 関数

f (x)

は閉区間

[a, b]

で連続で、

f (a) = α, f (b) = β

とする。

中間値の定理

α < β (β < α)

のとき、任意の

γ (α, β )((β, α)) (

中間値

)

に対し、

f (c) = γ

をみたす

c (a, b)

が、少なくとも一つ存在する。

ワイエルシュトラスの

(

最大値最小値の

)

定理

f (c

+

) = max

x[a,b]

f (x) (

最大値

)

f (c

) = min

x[a,b]

f (x) (

最小値

)

をみた

c

+

, c

[a, b]

が、少なくとも一つずつ存在する。

 さらに

f (x)

は開区間

(a, b)

で微分可能とする。

ロルの定理

α = β

のとき、

f

(c) = 0

をみたす

c (a, b)

が、少なくとも一つ存在する。

平均値の定理

f

(c) = β α

b a (

平均値

(

変化率

))

をみたす

c (a, b)

が、少なくとも一つ存 在する。

 ロルの定理は平均値の定理の特別な場合ですが、平均値の定理の証明にはロ ルの定理が必要でした。

(5)

 たとえば、関数

f (x) = x 2 + 1

を閉区間

[ 2, 2]

で考えると、

もちろん連続です。

x 2 0

より

f (x) 1

なので、

x = 0 [ 2, 2]

のとき等号成立

で最大値

f (0) = 1

をとります。

 一方

x 2 4 (x [ 2, 2])

より

f (x) ≥ − 3

なので、

x = ± 2 [ 2, 2]

のとき等号成立で最小値

f ( ± 2) = 3

をとり

ます。

 これらの事実の内、最大値並びに最小値の存在だけなら、具体 的に計算しなくてもわかると言うのが、ワイエルシュトラスの定 理が主張していることです。

(6)

 さらに、この

f (x)

は開区間

( 2, 2)

で微分可能で、導関数は

f (x) = 2x

です。

f (x)

が最大値をとる

x = 0 ( 2, 2)

では、

f (0)= 0

です。こ

れがロルの定理が主張していることです。

 一方

f (x)

が最小値をとる

x = ± 2 ̸∈ ( 2, 2)

では、

f ( ± 2) = 4 ̸ = 0(

複号同順

)

です。端点はロルの定理の守備範囲 外です。

0

x- 6

y

y = −x2+ 1

2 2

3 1

(7)

 今、

f (x)

を考える範囲を閉区間

[ 2, 0]

に狭めても、

f (x)

はも

ちろん連続で、開区間

( 2, 0)

で微分可能です。

x = 2

から

x = 0

までの平均変化率は

f (0) f ( 2)

0 ( 2) = 1 ( 3)

0 ( 2) = 2

ですが、

x = 1 ( 2, 0)

でちょうど

f ( 1) = 2

になります。

 これが平均値の定理の主張していることです。

0 -

x 6

y

y = −x2+ 1

2

3

1

(8)

 代わりに、関数

g (x) = 2 | x | + 1

を閉区間

[ 2, 2]

で考えても、

もちろん連続です。

2 | x | ≥ 0

より

g (x) 1

なので、

x = 0 [ 2, 2]

のとき等号成

立で最大値

g (0) = 1

をとります。

 一方

2 | x | ≤ 4 (x [ 2, 2])

より

g (x) ≥ − 3

なので、

x = ± 2 [ 2, 2]

のとき等号成立で最小値

g ( ± 2) = 3

をとり

ます。

 ここでもやはり、最大値並びに最小値の存在だけなら、具体的 に計算しなくても、ワイエルシュトラスの定理が保証してくれ ます。

(9)

 さらに、この

g (x)

は開区間

( 2, 2)

x = 0

以外では微分可能

で、導関数は

f (x) = 2 (x ( 2, 0)), 2 (x (0, 2))

です。

 しかし、

f (x)

が最大値をとる

x = 0 ( 2, 2)

では、残念なが

ら微分不可能で、

f (0)

は存在しません。微分不可能な点はロルの 定理の守備範囲外です。

0

x- 6

y

y =2|x|+ 1

2 2

A AA

AA

3 A

1 接線ではない!

(10)

 たとえば、地表すれすれからボールを真上に投げ上げたとき、

途中から重力に負けて落ちて来ますが、このときの高さ

y

を時刻

x

に関する関数と考えると、

(

高校の物理でも学んだように

)

2次

関数

y = a(x b) 2 + c

になります。微分可能で、最初と最後が 同じ高さなので、途中で一瞬だけ動きが止まりますが、それは一 番高いところにいる瞬間です

(

ロルの定理

)

地表 -

時刻 6

最高点

(11)

 東京大阪間

(

およそですが

)500km

2.5

時間で走る新幹線は、平

均時速

200km

ですが、発車直後や停車直前は当然ゆっくり走るの

で、逆に時速

200km

より速く走っている時間帯も当然あるわけ です。

 従って、加速または減速する途中で、ちょうど時速

200km

の瞬

間が、この場合

(

仮に途中駅で一切停車しなかったとしても

)

少な

くとも2回はあることが、

f (x) (

位置情報

)

についての平均値の定

理を用いなくても、

f (x) (

速度

)

についての中間値の定理から導か れそうに思えますが、そのためには

f (x)

が連続

(

運転がそこそこ

滑らか

)

であることが前提として必要です。

 この前提が満たされなくても、

f (x)

が存在しさえすれば

(

速度

が計れさえすれば

)

ちょうど時速

200km

の瞬間があることを保障 するのが、平均値の定理と言うわけです。

(12)

 2回あることを示すには、時速

200km

を超えている時間帯で、

時間を区切って適用すれば大丈夫です。

東京 -

時刻 新大阪 6

 微分可能だが導関数は連続でないような関数については、次回 お話します。

(13)

 次に、続いて教科書

§ 5

で扱われている逆関数について、教科 書と被る部分も多いのですが、後の利用に備えて、少し整理して おきましょう。

 合成関数の微分の公式

(f g ) (x) = f (g(x)) = f (g(x))g (x)

に、あらかじめ

x

y

を入れ替えた

x = f (y )

の逆関数

y = f 1 (x)

を、

g(x) = f 1 (x)

として代入すると、

1 = (x) = (f f 1 ) (x) = f (f 1 (x)) = f (f 1 (x))(f 1 ) (x)

より、逆関数の微分の公式

(f 1 ) (x) = 1

f (f 1 (x))

が得られました。

(14)

 さて、三角関数は一般に一対一ではないので、一対一になるよ うに定義域を

x =























sin y (y [ π 2 , π 2 ]) cos y (y [0, π]) tan y (y ( π 2 , π 2 )) cot y(:= tan 1 y ) (y (0, π))

のように制限して、

y =























Sin 1 x (x [ 1, 1]) Cos 1 x (x [ 1, 1]) Tan 1 x (x R)

Cot 1 x (x R)

により逆三角関数を定義しました

(

教科書

53

55

頁参照

)

(15)

0

x- 6

y

y = Sin1x

1 1

π2

π 2

y = Cos1x π

0

x- 6

y

y = Tan1x

π2

π 2

π y = Cot1x

(16)

 一方、それぞれの定義域の範囲では、

(sin y) = cos y =

1 sin 2 y (cos y) = sin y =

1 cos 2 y (tan y) = cos 1

2

y = 1 + tan 2 y

(cot y) = sin 1

2

y = 1 cot 2 y

なので、逆関数の微分の公式から、

(Sin 1 x) = 1

1 sin

2

(Sin

1

x) = 1

1 x

2

(x ( 1, 1)) (Cos 1 x) = 1

1 cos

2

(Cos

1

x) = 1 1 x

2

(x ( 1, 1)) (Tan 1 x) = 1

1+tan

2

(Tan

1

x) = 1+x 1

2

(Cot 1 x) = 1

1 cot

2

(Cot

1

x) = 1+x 1

2

が得られます

(

教科書

57

頁の問

)

(17)

 一方、双曲線関数

(

教科書

41,45

頁参照

)

x = cosh y

は一対一

ではないので、一対一になるように定義域を

x =























sinh y(:= e

y

2 e

y

) (y R)

cosh y(:= e

y

+e 2

y

) (y [0, + )) tanh y(:= e e

yy

+e e

yy

) (y R)

coth y(:= e e

yy

+e e

yy

) (y ( −∞ , 0) (0, + ))

のように制限して、

y =























sinh 1 x (x R)

Cosh 1 x (x [1, + )) tanh 1 x (x ( 1, 1))

coth 1 x (x ( −∞ , 1) (1, + ))

により逆双曲線関数を定義します。

(18)

0 - x 6

y

y = sinh1x

1

y = Cosh1x

0

x- 6

y

y = tanh1x

1 1

y = coth1x

(19)

 一方

cosh 2 y sinh 2 y = 1

より、それぞれの定義域の範囲では、

(sinh y) = cosh y =

sinh 2 y + 1 (cosh y) = sinh y =

cosh 2 y 1 (tanh y) = 1

cosh

2

y = 1 tanh 2 y (coth y) = sinh 1

2

y = 1 coth 2 y

なので、逆関数の微分の公式から、

(sinh 1 x) = 1

sinh

2

(sinh

1

x)+1 = 1

x

2

+1

(Cosh 1 x) = 1

cosh

2

(Cosh

1

x) 1 = 1

x

2

1 (x (1, + )) (tanh 1 x) = 1

1 tanh

2

(tanh

1

x) = 1 1 x

2

(coth 1 x) = 1

1 coth

2

(coth

1

x) = 1 1 x

2

が得られます。

(20)

 以上で得られた導関数を列挙すると、

1

1 x

2

(x ( 1, 1)) 1 1 x

2

(x ( 1, 1))

1

1+x

2

(x R) 1+x 1

2

(x R)

1

x

2

+1 (x R) 1

x

2

1 (x (1, + ))

1

1 x

2

(x ( 1, 1)) 1 1 x

2

(x ( −∞ , 1) (1, + ))

となり、基本的な有理関数、無理関数が並びます。

 これらは、この講義でも後で扱う積分の内、特に置換積分にお いて、大変重要な役割を果たします。

 逆双曲線関数

sinh 1 x, Cosh 1 x, tanh 1 x, coth 1 x

を具体的

に求め

( log

を用いて表し

)

、それらを微分することで、今回求め た微分の公式を、確かめてみましょう。

(21)

第4回練習課題の解答

x ̸ = 0

のとき、

g (x) = (x 2 ) sin 1

x + x 2

sin 1 x

= 2x sin 1

x + x 2

1

x 2 cos 1 x

= 2x sin 1

x cos 1

x

参照

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