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当院における腸腰筋膿瘍 11 例の臨床的検討(2005―2008) ベリタス病院内科

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(1)

当院における腸腰筋膿瘍 11 例の臨床的検討(2005―2008)

ベリタス病院内科

楯 英 毅

(平成 21 年 3 月 19 日受付)

(平成 21 年 9 月 8 日受理)

Key words : iliopsoas abscess, pyogenic spondylitis, elderly, compromised host

化学療法の発達により腸腰筋膿瘍は減少し稀な疾患であると認識されていたが,最近では高齢者を中心に 罹患者数が増加している.2005 年 11 月から 3 年間に当院において腸腰筋膿瘍と診断し,治療を行った 11 例を対象に臨床的検討を行った.平均年齢は 76.5 歳で,これまでの報告に比べ高齢者の占める割合が高く なっていた.疾患の原因としては化膿性脊椎炎など整形外科関連疾患が最も多かった.基礎疾患としては脊 柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアなどの脊椎疾患が最も多く見られた.治療については 11 例中 6 例におい て抗菌薬のみで保存的に治療が可能であった.保存的治療群では確定診断時の膿瘍の平均直径が非保存的治 療群に比べ有意に小さかった.早期発見により膿瘍が小さい段階で治療を開始することが保存的に治療を行 う上で重要である.

〔感染症誌 83:652〜657,2009〕

腸腰筋は後腹壁に存在する筋肉で腸骨筋と大腰筋か ら成る.腸骨筋は腸骨から,大腰筋は腰椎の側部から 起こり 2 つの筋肉は合流して下方に走り鼠径靭帯の下 方を通って大腿骨の小転子に付着する

1)2)

.周囲には脊 椎,虫垂,結腸,小腸,腎,尿管,膵などの臓器が近 接している.これら周辺臓器の炎症が腸腰筋に直接波 及し膿瘍が形成される場合を続発性腸腰筋膿瘍と呼 ぶ.一方,炎症が直接波及するような感染巣を近傍に 認めない場合を原発性腸腰筋膿瘍と呼ぶ

1)

.原発性で は潜在的な感染巣から血行性またはリンパ行性に炎症 が波及し膿瘍が形成されると考えられている

2)

.以前 には胸腰椎の骨結核に由来する場合が多く見られた が,化学療法の発達により結核性は激減し,現在では 高齢者や compromised host(担癌者,糖尿病,ステ ロイド使用者など)の増加に伴い化膿性腸腰筋膿瘍が 増えてきている

3)〜5)

.抗菌薬点滴と外科的切開排膿が 基本的な治療方針であるが

1)2)6)7)

,最近では侵襲を軽減 する目的で CT やエコーガイド下に経皮的ドレナージ を行う方法も広く行われようになり,外科的切開排膿 と同等の治療効果が示されている

8)9)

.さらにドレナー ジを行うことなく抗菌薬点滴のみで保存的に治療が可

能であった症例の報告も増えてきている

4)10)

.以前と 比較すると腸腰筋膿瘍の患者背景,病態,治療方針は 大きく変化してきている.そこで今回当院において過 去 3 年間に治療を行った腸腰筋膿瘍 11 例の患者背景,

病態,治療方針について retrospective に検討を行っ たので報告する.

対象と方法

2005 年 11 月から 2008 年 12 月の 3 年間に当院にお いて腸腰筋膿瘍と診断され治療を行った 11 例を対象 とした.腸腰筋膿瘍の画像的診断には Multidetector- row CT(MDCT)を使用した.

1)年齢・性別,2)誘因,3)基礎疾患,4)臨床症 状,5)原因菌,6)治療,7)予後,に つ い て retro- spective に検討を行った.

患者背景を Table 1.に示す.

1)年齢,性別:全体の平均年齢は 76.5 歳(48〜89 歳)で 80 歳以上が 5 例と全体の 45.4% を占めた.男 女比は 6 : 5 であった.

2)誘因:原発性 3 例,続発性 8 例であった.続発 性の原因としては消化管穿孔(クローン病,盲腸癌)2 例,化膿性脊椎炎 2 例,医原性(腰椎椎体切除術後,

傍脊柱ブロック後)2 例,仙腸関節炎 1 例,外傷性 1 例であった.外傷性の 1 例は大腿骨頸部骨折後に形成

別刷請求先:(〒666―0125)兵庫県川西市新田 1―2―23

ベリタス病院内科 楯 英毅

(2)

Fig. 1 Computed tomography (CT)showing bilateraliliopsoasabscessforcase 9.

Left:Multiple abscesswith ring enhancementin both iliopsoasmuscles. Right:CoronalCT showing the vertebraldegeneration close to ilioposasabscess

Table 1 Iliopsoasabscesspatientprofiles

Prognosis Pathogen

(specimen) Period

(days)※ ※ Therapy

Diameter (cm)※ Symptoms

and signs Underlying

disease Cause ofabscess

Gender Age Case

Recovery Negative

(abscess) 10

Surgery 4.3

Fever,Lumbago, Psoasposition None

Secondary (trauma) Male

61 1

Recovery Negative

(abscess) 27

Antibiotic 2.9

Fever,Lumbago, Psoasposition DiabetesMillitus

(DM) Primary

Male 76 2

Recovery Notexamined

28 Antibiotic 5.1

Fver,Lumbago, Psoasposition Lumbarspinalcanal

stenosis Secondary

(sacroiliitis) Female

79 3

Recovery MRSA

(abscess,blood) 108

Surgery 5.2

Fever,Septiccoma DM Lumbarspinal

canalstenosis Secondary

(postoperative) Female

78 4

Recovery Notexamined

14 Antibiotic 0.5

Fever,Lumbago Lumbarspinalcanal

stenosis Primary

Male 88 5

Recovery Notexamined

23 Antibiotic 2.2

Fever,Lumbago Lumbardisc

herniation Secondary

(afterepiduralblock) Male

71 6

Recovery E.coli

(blood) 46

Antibiotic 2

Fever,Lumbago Cerebralinfarction,

DM,Lumbarspinal canalstenosis Primary

Female 88 7

Recovery E.coli

(blood) 45

Antibiotic 1.9

Fever,Lumbago Cerebralinfarction,

DM,Lumbarspinal canalstenosis Secondary pyogenic

spondylitis Female

81 8

Recovery Negative

(abscess) 3

Surgery 3.6

Fever,Lumbago, Hypogastricpain Crohn disease

Secondary ileal perforation Male

48 9

Death from cancer Bacteroides

(abscess) 36

Drainage 8

Fever Cecalcancer,

Cerebralinfarction Secondary cecal

perforation Female

89 10

Recovery E.coli

(abscess,blood) 89

Surgery 2.4

Fever,Lumbago, Psoasposition Lumbarspinalcanal

stenosis secondary pyogenic spondylitis Male

83 11

※ Maximum abscessdiameter

※※ Treatmentwith antibioticdrip

された血腫に感染を起こし,それが腸腰筋に波及し膿 瘍を形成したものであった.領域別では整形関連疾患

(化膿性脊椎炎,医原性,仙腸関節炎,外傷)が 8 例 中 6 例と全体の 75% を占めた.

3)基礎疾患:脊椎疾患(脊柱管狭窄症,腰椎椎間 板 ヘ ル ニ ア)7 例(63.6%),糖 尿 病 4 例(36.3%),

脳梗塞 3 例(27.2%),盲腸癌 1 例,クロー ン 病 1 例 であった(重複あり).特に脊椎疾患を持つ症例では,

7 例中 4 例において MDCT での冠状断像で腸腰筋膿 瘍に近接する椎体や椎間板に強い変形が認められた

(Fig. 1).

4)臨床症状:初診段階で腸腰筋膿瘍の三主徴(発

熱+腰痛+psoas position)すべてがそろっていたの は 11 例中 4 例(36.3%)であった.発熱,腰痛 の み を示したのは 5 例(45.4%),その他発熱のみ,敗血 症性ショックによる意識障害がそれぞれ 1 例ずつで あった.

5)原因菌:11 例中 8 例に対し細菌学的検査を行っ

た.8 例中 5 例で膿瘍または血液から原因菌が同定さ

れた.Escherichia coli (E.coli)3 例,Methicillin-resistant

Staphylococcus aureus (MRSA)1 例,Bacteroides fragilis

1 例が検出された.E.coli が検出されたのは原発性か

ら 1 例,続発性から 2 例であった.MRSA は腰椎椎

体切除術後の膿瘍および血液から,Bacteroides fragilis

(3)

Table 2 Iliopsoasabscess-Comparison by therapy Surgery/drainage p

(n= 5) Antibiotic

(n= 6) Therapy

> 0.05 ※ 71.8±16.9 (48― 89)

80.5±6.7 (71― 88) Age distribution (years)

= 0.0446 ※ 4.7±2.1 (2.4― 8.0)

2.4±1.5 (0.5― 5.1) Maximum abscessdiameter(cm)

> 0.05 ※ . 49.2±47.1 (3― 108)

30.5±12.6 (14- 46) Treatmentwith antibioticdrip (days)

Valuesare mean±SD (range)

※ Mann-Whitney’ sU test

は盲腸癌穿孔による膿瘍から検出された.

6)治療:抗菌薬による保存的治療のみで治癒した 症例が 11 例中 6 例(54.6%)で,観血的処置を行っ た症例が 5 例であった.観血的処置を行った症例のな かで,2 例は大腿骨頸部骨折後に形成された血腫の感 染およびクローン病による回腸穿孔があり,直ちに外 科的処置を行った.残りの 3 例は抗菌薬による保存的 治療で効果が得られなかったため,経皮的ドレナージ を行った.このうち 2 例ではドレナージの効果が不十 分であり,外科的切開排膿を要した.膿瘍の最大径は 保存的治療群では平均 2.4cm(0.5〜5.1cm),非保存的 治療群では 4.7cm(2.4〜8.0cm)であった.また抗菌 薬の点滴治療を行った期間は平均 40.0 日であった.保 存的治療群では 31.2 日(14〜46 日),非保存的治療群 では 46.8 日(3〜108 日)であった(Table 2).

7)予後:11 例中 10 例(90.9%)で治癒した.死亡 の 1 例は 89 歳の盲腸癌患者で,経皮的ドレナージに より腸腰筋膿瘍は改善傾向にあったが,治療経過中に 癌が原因で死亡した.

化学療法の発達により結核性,非結核性ともに減少 し腸腰筋膿瘍は稀な疾患であると認識されていたが

1)

, 最近では罹患者数が増加し,平均年齢も高くなってい るとの報告が増えてきている

3)4)

.山本らが 1990 年〜

1994 年に集計した 82 例の報告

3)

を見ると,平均年齢 は 48.4 歳であった.また 2008 年に鹿江らが行った報 告

4)

では平均年齢は 69 歳であった.今回の成績では平 均年齢が 76.5 歳とこれまでの報告に比べさらに高く なっている.また山本らの報告

3)

では 80 歳以上の高齢 者は 82 例中 4 例(4.9%)であったが,今回の成績で は 11 例中 5 例(45.4%)を 80 歳以上が占めており,

以前に比べると腸腰筋膿瘍罹患者の高齢化傾向が認め られる.これは高齢者人口の増加がその一因であると 考えられる.また高齢者は合併症による免疫能の低下 もあり,年齢そのものが腸腰筋膿瘍に対する重要な危 険因子であると考えられている

2)

腸腰筋膿瘍の原因としては,整形外科関連疾患が もっとも多かった.そのなかで化膿性脊椎炎が原因と 考えられる腸腰筋膿瘍が 2 例認められた.これまでは 化膿性脊椎炎が原因になることは稀であると考えられ

ていたが

11)

,最近では化膿性脊椎炎が原因と考えられ る腸腰筋膿瘍の報告例が増えてきている

12)〜15)

.特に compromised host では化膿性脊椎炎が椎体内にとど まらず腸腰筋に波及し膿瘍を形成しやすい

14)

.化膿性 脊椎炎は抗菌薬に対しよく反応する疾患であるが,腸 腰筋膿瘍を合併すると半数以上で観血的治療が必要に なるため

13)

,特に高齢者や compromised host では,原 因不明の発熱の原因として化膿性脊椎炎を念頭に置 き,腸腰筋膿瘍を合併する前に治療を開始することが 重要である.また医原性の腸腰筋膿瘍が 2 例に認めら れたが,脊椎疾患に対する処置に合併した腸腰筋膿瘍 の報告

16)

が他にも認められる.今後高齢者の増加に伴 い脊椎疾患に対する手術,処置の頻度が増すことも予 想され,その合併症としての医原性腸腰筋膿瘍の発生 には一層の注意を要する.

基礎疾患としては脊椎疾患(脊柱管狭窄症,腰椎椎 間板ヘルニア)の合併が最も多く 63.6% を占めた.鹿 江らも腸腰筋膿瘍患者では脊椎病変の合併が 9 例中 8 例(88.9%)と高い頻度で認められたことを報告して いる

4)

.MDCT での冠状断像で観察すると脊椎疾患を 持つ 7 例中 4 例において,腸腰筋膿瘍に近接する椎体 や椎間板に強い変形を認め,骨棘や突出した椎間板が 腸腰筋を圧排している像が認められる(Fig. 1).本 来腸腰筋は筋鞘に覆われているため感染には抵抗性を 示すが,外力により筋が挫滅すると感染が起こりやす くなる

1)3)

.筋肉の挫滅はたとえ顕微鏡レベルのもので あっても感染を受けやすくなると考えられており

1)

,腸 腰筋起始部の変形した椎体や椎間板が腸腰筋に微細な 挫滅を生じさせることが膿瘍形成に関与している可能 性も推測される.糖尿病の合併がこれに次いで 36.3%

を占めた.これまでの報告でも基礎疾患としては糖尿 病が最も多く 17〜33% の割合を示しているが

3)9)10)

,今 回の成績もほぼ同様の割合であった.また脳梗塞の合 併が 3 例あり,うち 2 例では糖尿病も合併していた.

脊椎疾患,糖尿病,脳梗塞は加齢とともに罹患率が高 くなるため,高齢者人口の増加により腸腰筋膿瘍が今 後増加していく可能性が考えられる.

臨床症状については,三主徴を示したのは 36.4%

であった.これまでの報告でも三主徴を示した割合は

17〜30% であった

6)10)

.特に psoas position は遅発性

(4)

Fig. 2 CT showing leftiliopsoasabscessforcase 5.

Left:Smallabscess5mm in diametershown by MDCT.

Right:Coronalview clearly showing the abscesssmallcompared to transected view.

の局所症状であるため

3)

,初診段階で三主徴がそろう 頻度は低い.これに対し発熱,腰痛の 2 症状を示した 患者は 82% を占めた.発熱,腰痛は高齢者では一般 的に認められる症状ではあるが,早期発見のためには この段階で腸腰筋膿瘍を鑑別疾患に挙げ,CT による 検査を検討する必要がある.

原因菌については,今回の報告で最も多く検出され

たのは E.coli であった.E.coli が検出された 3 例のう

ち 2 例は化膿性脊椎炎が誘因の腸腰筋膿瘍であった.

化膿性脊椎炎における原因菌は Staphylococcus 属など のグラム陽性菌が多いとされているが

14)15)

,今回の 2 例のように,高齢者や compromised host では腸管内 常在菌による内因性感染が発生しやすくなるため,特 に高齢者の化膿性脊椎炎ではグラム陰性桿菌が原因菌 になることがある

17)

.そのため高齢者の化膿性脊椎炎 に由来する腸腰筋膿瘍ではこれまでに比べグラム陰性 桿菌が原因菌となる可能性は高いと考えられてい る

17)

.また原発性の 1 例からも E.coli が検出された.こ れまでの報告によると原発性では Staphylococcus 属が 71%〜88% と大半を占めており

1)2)

,臀部の打撲など の外傷からの血行性感染に由来するものと考えられて きた.しかし原発性の場合でもグラム陰性桿菌が検出 される例もあり

3)10)

,特に高齢者や担癌者では腸管粘 膜の免疫力が低下し bacterial translocation による感 染源不明の敗血症がその原因になる可能性が考えられ ている

18)

.以上のことから腸腰筋膿瘍の経験的治療を 考える際,特に高齢者や compromised host では原発 性であってもグラム陽性菌のみならずグラム陰性桿菌 に対してもスペクトラムを持つ抗菌薬の選択を考慮す る必要がある.また膿瘍の細菌学的検査は,観血的処 置を行った 5 例では,全て施行したが,保存的治療群 では膿瘍穿刺により検体を採取したのは 1 例のみで あった.特に保存的治療群において膿瘍の細菌学的検

査が少なかった理由として,膿瘍が小さく技術的に穿 刺が困難であったことが挙げられる.しかし保存的治 療を確実に行っていくためには,抗生剤の適正な選択 は必須であり,そのためにも可能な限り抗菌薬投与前 に膿瘍の穿刺を行うか,あるいはそれが困難であれば 少なくとも血液培養を行い,原因菌を同定するように 努めるべきであると考える.

これまでは腸腰筋膿瘍により死亡に至る最も重要な 要因はドレナージの遅れであるとされてきた.そのた めできるだけ早期にドレナージを行うことが推奨され てきた

2)6)

.これに対し今回の報告では 54.6% で保存 的に治療することができた.最近の報告でも 33%〜

50% で保存的に治療することに成功している

10)12)

.こ れは抗菌スペクトラムが広く,強い抗菌作用を持ち,

組織移行性が良好な抗菌薬の出現が大きな要因である と考える.さらに MDCT の登場により以前に比べ診 断能が著しく向上したことがもう一つの要因と考え る.従来の single slice CT では 10mm スライスで画 像を構築していたが,MDCT では 5mm スライスと より細かいスライスで画像を構築することができる.

そのため膿瘍を小さな段階で見つけることが可能に なってきた.自験例でも 5mm の大きさの段階で膿瘍 を見つけることができた(Fig. 2).また保存的治療 群では非保存的治療群に比べ腸腰筋膿瘍の最大径が有 意に小さいことが示された(Table 2).このことから 保存的治療を成功させるためには膿瘍がより小さい段 階で診断をつけ治療を開始することが重要であり,そ のために MDCT は有用な検査法であると考える.

治療期間については,抗菌薬の投与期間は全体で平

均 40.0 日であった.これまでの報告では平均 25.6〜55

日で

4)9)12)

,それらと比較してもほぼ同等であった.保

存的治療群と非保存的治療群では,Table 2に示すと

おり,有意差はないが非保存的治療群のほうで治療期

(5)

間が長くなる傾向を示した.観血的処置を要した症例 では膿瘍が大きく,より重症であったことがその原因 であると考える.治療期間を短縮するためにはドレ ナージを行うことが推奨されており

6)7)

,膿瘍径が大き く(2.4cm 以上),抗菌薬での治療に反応が悪いと判 断した場合には,抗菌薬のみでの治療に固執せず,早 期に観血的処置に移行することが重要である.これに より膿瘍径の大きな重症例であっても膿瘍径の小さな 軽症例と同程度に治療期間を短縮させることができる ようになる可能性がある.

予後については適切な治療がなされれば比較的良好 であるが,高齢者の予後は必ずしも良好でないと言わ れている

3)

.今回の成績でも 80 歳以上の高齢者が半数 近くを占めていたにもかかわらず治癒率は 90.9% と,

これまでの報告と同等の値を示した

3)

.さらに Table 2で示されたように非保存的治療群に比べ,保存的治 療群のほうが平均年齢は高い傾向にある.これは高齢 者であっても早期発見により保存的治療で治癒する可 能性があることを示唆するものである.高齢者や com- promised host の場合には,発熱や腰痛の訴えのみで 他に熱源がはっきりしない場合にも腸腰筋膿瘍を鑑別 疾患の 1 つとして念頭におき,CT による画像診断を 早めに行い,十分小さなうちに膿瘍を発見することが,

予後の改善のみならず手術や処置などの侵襲を回避 し,より負担の少ない治療を可能にするものと期待さ れる.

なお,本論文の要旨は第 83 回日本感染症学会総会(2009 年 4 月 24 日,東京)で発表した.

文 献

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(6)

Clinical Study of Iliopsoas Abscess in 11cases from 2005 to 2008 Hideki TATE

Department of Internal Medicine, Veritas Hospital

Iliopsoas abscess, a rare disease, has shown a recent alarming increase in the number of patients, espe- cially among older people. This clinical study of iliopsoas abscess in 11 cases seen from 2005 to 2008, showed the average age of patients to be 76 years-higher than the average. Causes were often orthopedic diseases such as pyogenic spondylitis. The four most commonly recognized underlying diseases were spinal, includ- ing lumbar spinal canal stenosis and lumbar disc herniation. Antibiotic induced a cure in only 6 of 11 cases.

In this conservatively treated group, average abscess diameter was significantly smaller than in the non

conservatively treated group. Conservative treatment thus requires that such abscess be detected as early

as possible.

Tabl e 1 I l i ops oas abs c es s pat i ent pr of i l es
Tabl e 2 I l i ops oas abs c es s - Compar i s on  by  t her apy Sur ger y/dr ai nage p

参照

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