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経 営 学 と 意 志 決 定 の 問 題

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(1)

一73一

経 営 学 と 意 志 決 定 の 問 題

山 本 安 次 郎

1序 言 一 問題 の提 起

1組 織 理 論 の 新展 開 決 定 理 論

「10年 とい う歳 月 は 思想 の歴 史 に お い て は長 い期 間 では な いが,最 近 の10 年 は普 通 の10年 で は なか った 。 … …恐 ら く,私 は 本 書 の 主題 と副題 の 中 に 今 日社 会科 学 に お け る最 も流 行 せ る3語 一 『行 動 』 『意志 決定 』 『組 織 』一 を取 入 れ た こ とに お い て あ る種 の 予 言者 的 才 能 を 主 張 して も よい か も しれ な い 。」 これ はサ イ モ ンが1957年 そ の 名著 「管 理 行 動 」 の第2版 を 出す に際 し,1947年 の初 版 以来 の10年 間 を 回顧 して書 い た 「第2版 へ の序 説 」 の 勢

ロ  

頭 を 飾 る一 節 で あ る。 誰 で も知 って い る よ うに,「 組 織 論 や 管 理 論 の伝統 学

(2)

派 を 攻撃 す る こ とは,今 日の経 営学 文 献 に おけ る流 行 であ る」 が,こ の よ う な 「挑 戦 の 重 要 な要 素 は,決 定 が 行 動 に 先 行 す るか ら,行 動 だ け で は な く.

決定 こそ が組 織 的行 動 分 析 に お け る中心 で なけ れ ば な らな い とい う議 論 で あ った 。 バ ー ナ ー ドは そ の著 書 に お い て,意 志 決 定 の過 程 を 『組 織行 動 の 本 質

(3

的過 程』 の 規 定 し,組 織 の 働 きが 互 に 関 連 し合 う階 層 的 な 決 定 の 体 系 に如 何

(4)

に 分 析 せ られ るか を 概 説 した 最 初 の 人 で あ る。」 サ イ モ ンは こ の バ ー ナ ー ド

(1)Simon,H・A・,AdministrativeBehavior,2nded・,1957,P・ix・ こ の 序 説 は 30頁 の 長 文 で,本 書 の 構 造,組 織 理 論 や 行 動 科 学 な ど の 問 題 点 を 解 説 し て い る 。 (2)Koch,EG.,̀̀ThreeApProachestoOrganization,"HarvardBusiness

Review,March‑April,1961,p.36.

(3)Barnard,CI・,TheFunctionsoftheExecutive,1938,P・187・

(4)Di1],W.R.."Adminis七rativeDecision‑Making,"MailickandVanNess

(eds.),Concep七andIssuesinAdministra七iveBehavior,1962,pp.29‑30.

(2)

ゴ ラ

の 「衣 鉢 を 継 ぎ」 これ を 更 に発 展 せ しめ た だけ に,初 版 以来10年 間 に おけ るそ の発 展 の跡 を顧 み,感 慨 を新 し くす るの も理 由の ない こ とで は な い 。 い

ぐ ラ

わ ゆ る バ ー・ナ ー ド ・サ イ モ ソ理 論 は 今 日常 識 とな っ た が,そ の 後 に お け る サ イ モ ソの研 究 業 績 は 顕 著 で あ り,ド イ ツ学 界 へ の影 響 も極 め て大 きい 。

く ラ

ボリ

そ れ 以後 の発 展 は 周 知 の通 りで あ るが,デ ィル は これ を ほ ぼ 次 の よ うに要

くの

約 す る。 この バ ー ナ ー ドや サ イモ ソの 業績 と時 を 同 じ くして,レ ヴ ィ ソや ラ ザ ー ス フ ェル トの如 き行 動 科 学 者 達 が 各 方 面 に お け る意 志 決定 過 程 や グル ー プ ・ダイ ナ ミッ クス や パ ー テ シペ ー シ ョ ソの 問題 を調 査 研 究 した 。 更 に 意志 決 定 へ の 数 学,統 計学 の 応用 研 究 が盛 ん とな っ た。 これ まで の研 究 が 記述 的 で あ るの に対 して この 方 向 は規 範 的 で あ る。 ゲ ー ム理 論,ORや リニ ヤ ー ・

プ ログ ラ ミソグ,統 計 的 決定 理 論 の如 き新計 量 的 方 法 を利 用 す る こ とに よっ て在 庫統 制 生 産 計 画,品 質 管 理 な どに つ い て の決 定 理 論 が 展 開 され るに 至 っ た 。 この よ うな意 志 決 定 の新 方 法 が 電 子 計 算 機 と結 びつ いて 意 志 決 定 に 革

く ぬ

命 を起 しつ つ あ るのは サ イ モ ソが 示 す 通 りで あ る。

2経 営 学 と決 定 理 論 否 定 説 と肯 定説

以上 に述 べ た意 志 決 定 理 論 は 経 営 学 と如 何 な る関 係 に あ るか 。 もち ろ ん, そ の際,意 志 決 定 は 経 営 意 志 決 定 に 限 定 され る こ とは い うまで もな い 。 これ に 対 しては,経 営 学 そ の もの の理 解 の如 何 に よって否 定 説 と肯 定 説,消 極 説 と 積 極 説 が 区 別せ られ る。

先 ず,ア メ リカ経 営 学 に お い て は,い つ か そ の方 法 論 争 を 紹 介 した よ う

(1)パ ー ナ ー ド や サ イ モ ン の 理 論 の 最 初 の 紹 介 と し て 馬 場 敬 治 「経 営 学 と 人 間 組 織 の 問 題 』 昭29,94頁 以 下 参 照 。

(2)馬 場 博 士 は 単 に パ ー ナ ー ド と サ イ モ ン の 組 織 理 論 と 解 さ れ る が,サ イ モ ン は 特 に 組 織 均 衡 理 論 を 指 す も の と す る 。MarchandSimon,Organizations,P・84・

(3)グ ー テ ン ベ ル ク だ け を 見 て も 明 ら か で あ る 。 こ の 点,後 に 述 べ る 。

(4)拙 稿 「組 織 論 の 型 と 経 営 学 的 組 織 論 の 問 題 」 日 本 経 営 学 会 編 「経 営 学 に お け る 組 織 論 の 展 開.役 割.地 位 」 昭38,参 照 。

(5)Dil】,oP・cit・,PP・30‑32・

(6)Simon,H・A・,TheNewScienceofManagementDecision,1960・P・20and

p・21・ 彼 は 第1の 革 命 と 第2の 革 命 を 論 じ て い る 。 こ の 点 後 に 触 れ よ う。

(3)

経営学 と意志決定の問題(山 本) 一75一

(1)

に,伝 統 的 な管 理学 を 主張 す る クー ソ ツは,人 間行 動 学 派 や社 会 体 系 学派 や 決 定 理 論 学派 の ア プ ローチ が 経 営理 解 に不 必 要 では な いが,本 流 や 中核 で な い として 消極 説 を と る。 特 に 決 定理 論 は 意志 決定 とい う鍵 穴 か ら経 営 全 体 を

(2)

見 よ う とす る と批判 して,そ の 中心 的 重 要性 を否 定 す るの であ る。 これ に 対 して,そ の批 判 者 た るサ イ モ ソは,上 述 の と ころか らも想 像 で き る よ うに, む しろ経営 とは 意 志 決定 で あ る と し,意 志 決 定理 論 の経 営 理 論 に おけ る中 心 的 地 位 を主 張 し,こ の30年 間 に おけ る ア メ リカ経 営 学 の発 展 の例 証 と して

ぐ3)

意 志 決 定 の分 析 を あげ るの で あ る。 次 に,ド イ ツ経 営 学 では ど うか,ド イ ツ 経 営 学 は いわ ゆ る経 営 経 済 学 で,問 題 とな らなか った 。 伝 統 的 経 営 経 済 学 で

は 意 志 決 定 は 無 視 され た とい って よい。 しか し,最 近 で は ア メ リカ経 営 学 や 現 代 的 組 織 理 論 の影 響 か ら,新 しい 組 織 理 論 が 研究 され,意 志 決定 理 論 も漸 く問 題 とされ るに 至 った 。 ドイ ツの経 営 経済 学 も諸 種 の近 代 的手 法 特 に 意 志 決 定 理 論 を取 入 れ る こ とに よ って 本格 的 な 経 営 学 に 転 向 しつ つ あ る と見 て よ い 。例 え ば,現 代 ドイ ツ経 営 経済 学 の代 表者 と見 られ る グ ー テ ソベ ル クに否

(4)

定 説 か ら肯 定 説 へ の傾 向 が顕 著 で あ る こ とは 特 に注 目す べ き と ころで あ る。

(5)

最 後 に,わ が 国 の経 営 学 に お い て もほ ぼ 同 様 の こ とが い え るで あ ろ う。

(1)拙 稿 「ア メ リ カ 経 営 学 の 方 法 的 反 省 と 経 営 学 本 質 論 」経 済 論 叢 第94巻 第4号,

第95巻 第2号(昭39.10月,40.2月)参 照 。

(2)1(oontz,H.,̀̀MakingSenseofManagementTheory,"Koon七z(ed.), TowardaUnifiedTheoryofManagement,1964.pp.6‑9.

(3)Simon.HA.,"ApproachingtheTheoryofManagement,"Koontz(ed.), op.cit.,p.81,

(4)グ ー テ ン ベ ル ク の 著GrundlagenderBe七riebswirtschaftslehreは そ の 書 名 の 故 に,わ が 国 で は 専 ら経 営 の 経 済 分 析 の 面 に 重 点 を お き,生 産 論 や 費 用 理 論 に 特 色 が あ る と 見 ら れ た 。 こ れ に 反 し て 私 は そ の 管 理 論 組 織 論 経 営 形 態 論 を も 評 価 す る の で な け れ ば,グ ー テ ソ ベ ル ク を 真 に 理 解 し た こ と に は な ら な い と 主 張 し て 来 た 。 そ の 正 当 性 は 彼 の 「原 理 」 が 版 を 重 ね る 度 に 組 織 論 が 訂 正 せ ら れ, ア メ リ カ の 新 研 究 が 取 入 れ られ て い る こ と,更 に 新 著Unternehmensftthrun9・

OrganisationundEntscheidun9,1962に よ っ て 証 明 せ ら れ る と 思 う 。 私 の い う

「経 営 学 」 へ の 傾 向 は 明 ら か で あ る 。 ゴ ジ ナ ー ル や ハ ッ ク ス も 同 様 で あ る 。 (5)わ が 国 で も,経 営 経 済 学 派(個 別 資 本 学 派 を も 含 め て)や 経 営 管 理 学 派 は 消 極

的 で あ り,組 織 学 派 や 経 営 学 派 は 積 極 的 で あ る 。 そ れ は 「経 営 学 に お け る 組 織 論 の 展 開.役 割.地 位 」 を テ ー マ と す る 日 本 経 営 学 会 第36回 大 会 に お け る 質 疑 討 論 か ら も 明 ら か で あ っ た 。

(4)

3決 定 理 論 の経 営 学 的 意義 一 経 営 学本 質 論 的反 省

さて,以 上 の よ うに,経 営 学 と意 志 決 定 理 論 との関 係 に つ い ては 消 極 説 と 積 極説,否 定 説 と肯 定 説 とが あ るが,わ れ わ れ は これ を如 何 に 考 えた ら よい で あ ろ うか 。 思 うに,消 極 説 は 決 定 理 論 を過 小 評 価 す る もの で あ り,積 極 説 は過 大 評 価 す る もの で あ る。 そ して か か る対 立 は 「経 営 」 の認 識,し た が っ て 「経 営 学 」 の本 質 の理 解 の対 立 に あ る。 わ れ わ れ は 経 営 学 の本 質 に 照 ら し て,意 志 決定 理 論 の経 営 学 的 意 義 を 問わ ね ば な らな い。単 に 消極 説 や 積 極 説 を 説 くこ とでは な く,更 に深 くそ の根 拠 を 経 営 学 本 質 論 的 に 問 うこ とで なけ れ ば な らな い。 しか し この問 題 は未 だ 何 人 に も提 起 され た こ とさ え もな く, 小 論 で取 扱 うべ く余 りに大 き く根 本 的 で あ り,関 連 す る とこ ろ極 め て広 い。

くり

こ こでは 問題 を限 定 し,か つ て拙i著に て述 べ た経 営 学 本 質 に関 す る私 見 を前 提 しな が ら,意 志 決 定 の 問題 性,経 営 に おけ る意 志 決 定 の重 要性 を考 え,そ

こか らそ の経 営 学 的 意 義 を解 明 して見 たい 。

わ が 国 の経 営 学 的 研 究 の発 展 は 各 国 に お け る と同様 に極 め て 顕 著二な ものが あ る。 しか し,そ れ に よって 今 日経 営 学 の基 礎 は 確 立 され た とい え るで あ ろ

で ラ

うか 。 わ が 国 に お け る経 営 研 究 の 起 源 の 問 題 は 暫 くお い て,1926年(大 正15

β)

年)7月,日 本 経 営 学 会 の創 立 が近 代 的 な 学 問 と して の経 営 学 の確 立 に 画 期 的 な 出来 事 で あ った こ とに 異 論 は なか ろ う。 そ うす る と,本 年 は ま さに 日本 経 営 学 会 創 立40周 年 とい う記 念 す べ き年 に な る。 戦 前 の20年 と戦 後 の20年

とを比 較 しなが ら経 営 学 理 論 の 発 展 の跡 を顧 み る とき,今 昔 の感 に 打 た れ な

(匂

い も の は な い で あ ろ う。 特 に 筆 者 に は そ うで あ る。1926年 とい え ば,筆 (1)拙 著 『経 営学本質論 』昭36,第2版,昭40,『 経 営学 要論」昭39,拙 稿 「経 営

学 の本質」平井 泰太郎編r経 営学 』昭40な ど参照 。

(2)こ れ につい ては,坂 本藤 良 「経 営学史 」昭34,『 日本経 営教育史 序説」昭39な ど参照 。われ われ もいつか研 究 して見 たい。

(3)日 本 経 営 学 会 の創 立 は い つ か 。 平 井 泰 太 郎 編 「経 営学 辞 典 」 に よれ ば,7月 (12頁,53頁)と10月 説(53頁)と が あ る。創立会 議 の 日と創 立大会 の 日との相 違で あろ うか。 村本福 松 「正 しい経 営学 」新 銀行実 務169号 に よれば,7月 説が

と られ てい る。 ここでは一応7月 説に従 う。

(4)村 本福松 「正 しい経 営学 」(新 銀行 実 務169号 以 降連 載)は,わ が 国に おけ る 経 営学研 究の推 移 を,主 と して経 営学会 大会 の報告 を通 して克明 に記 述 してい る。

われ われ は方 法論的見地 か らの学 史的研 究を試 みたい と思 ってい る。

(5)

経 営学 と意志決定 の問題(山 本) 一77一

は 丁 度 小 樽 高 商 の3年 生 で,一 方 で は カ ソ トや リ ッケ ル トを,他 方 で は マ ル クス や レー ニ ソを 学 び,更 に 他 方 で は 当 時 血 気 な お 旺 ん な 室 谷 教 授 か ら商 工

ボの ぐ ラ

経 営 の講 義 を 受け,ま た西 尾 講師 か ら企 業 財政 につ い て特 別 講 義 を聴 いた年 で あ る。 必 ず し も これ が 経 営 学 専 攻 の 直接 の動 機 とい うので は な いが,そ が 間接 的 に機 縁 とな った こ とは 否 定 で き な い。 そ れ は と もか く,今 日まで筆 者 が 経 営 学 の基 礎 理 論 の探 求 を続 け て来 た そ の歩 み が ほ ぼわ が 国 経 営学 の40 年 と合 致 す るのは 奇 縁 で あ る とい わ ざ るを 得 な い 。 しか し,こ の40年 を顧 み て,経 営 学 の基 礎 理 論 に この長年 月 に値 す る発 展 が あ った とい い うるで あ ろ うか 。 サ イ モ ソとは 異 な った意 味 で 感慨 を深 くせ ざ るを 得 な い。 い ま,室 谷 先 生 の定 年 退 職 記 念号 の発 行 を 機 会 に,意 志 決定 問題 の経 営学 的 意 義 の考 察 を通 して経 営学 の本 質 に 関す る 私 見 の一端 を 明 らか に し,も って40年 の昔 経 営学 の手 ほ ど きを 受け た 当 時 を 回想 し,謹 ん で室 谷 先 生 に謝 意 を表 したい

と思 う。

意 志 決 定 の理 論 と歴 史

1意 志 決 定 の問 題性

これ まで 人 間 は 例 えば 政 治 的 動 物 とか,社 会的 動 物 とか,道 具 を 作 る動 物 とか,考 え る葦 とか,い ろ い ろ の面 か らさ ま ざ まに把 握 され て来 た。 しか し,

ズ お

こ こ で は 「人 間 は 意 志 決 定 を す る 動 物(Manisadecision‑makinganimal.)」

と い う 点 が 問 題 で あ る 。 ま こ と に,決 定 は 生 命 現 象 と 共 に 古 く,昔 か ら 意 志

(1)ど うや ら経 営 学 会 は 成 立 した が,「 経 営 学 」 は ま だ 事 実 上 は 成 立 し て い な か っ た 。 上 田 貞 次 郎 博 士 は これ を 内 容 的 に 「商 工 経 営 」 と 呼 び,終 始 変 え られ な か っ た 。 同 著 「商 工 経 営 」 昭5参 照 。 一 橋 系 統 ば か りで な く,京 都 帝 大 経 済 学 部 で も 大 正15年4月 の 科 目改 正 に よ っ て 初 め て 「商 工 経 営 学 」 と い う科 目 が 設 け られ

た 。 しか し,専 門 の 担 当 者 は な か っ た 。 そ の 養 成 が 問 題 で あ っ た 。

(2)西 尾 清 一 「企 業 の 財 政 」 大14は,今 日で は 忘 れ られ て い るけ れ ど も.恐 ら く わ が 国 の経 営 財 務 研 究 の 先 駆 と し て 高 い 史 的 価 値 を も つ 大 著 で あ る 。 フ ァ イ ナ ソ ス は 財 政 金 融 一 財 務 と い う よ うに 経 営 構 造 の 発 展 と 共 に 概 念 の 展 開 を と げ て 来 た 。

(3)Bross,1.D.J.,DesignforDecision,1953,P・6・ 邦 訳11頁

(6)

決定 を しな い人 間 は な い。人 間 の行 動 に は 常 に 決定 が 先 行 す る。 しか し,意 志 決定 とは 何 か 。 決定 に は意 識 的,計 画 的 な もの と無 意 識 的,反 射 的 な もの

とが あ る。意 志 決定 とは そ の うち特 に前 者 を 意味 し,そ れ に 基 づ く行 動 こそ 人 間行 動 とい うべ く,そ こか ら行 動 結 果 に 対 す る責 任 も理 解 せ られ るこ と と な る 。 バ ー ナ ー ドも,人 間 行 動 を 原 理 的 に 熟 慮 の 結 果 た る行 動 と無 意 識 的,

自動 的,反 応 的行 動 に 分け,そ の 区 別 の原 理 を意 志 決定 とい う過 程 が 先行 す

(り

るか ど うか に 見 た 。 しか し,彼 は これ に続 け て,決 定 行 為 に もそ れ 自身 自動 的 な 多 くの補 助 的 行 動 が 含 まれ てお りそ の過 程 は行 為 者 に は知 られ な い の が

(2)

常 で あ る と い っ て,無 意 識 的 決 定 の 多 い ご と を も認 め て い る。 しか し,決

(3)

は 単 な る決 断 と してで は な く,合 理 的 な決 定 の過 程 と して 問題 とな るの で あ

(4) る 。

しか しなが ら,決 定 が 行 動 に先 行す る こ とは 余 りに も 自明で 決 定 自身は 問 題 に な らなか っ た。 例 えぽ,経 済 学 にお い ては 「経 済 人 」 は 合 理 的 人 間 で あ り,そ の合理 的行動 には合理 的決定 が前提せ られて,特 に問題 とな らなか っ

(5)(6ノ

た 。 これ に対 し経 営学 に お い ては,「 経 営 人 」 は 同 じ く合 理 的 人 間 で あ って

(1)Barnard,oP・c‑it・,P・185・ 邦 訳199頁

(2)Ibid.,p.185.p.193、Dil1,0p.cit.,pp.32‑33.Simon,op.cit。,Tannenbaum, R,"Mallageria】Decision‑Making,"PorterandApplewhite(eds.),Studies

inOrganizationalBehaviorandMallagement,1964,p.295・ は こ れ を 見 落 し て い る 。 意 志 決 定 の 意 識 性 や 合 理 性 を 問 題 と す る に も,無 意 識 性 や 非 合 理 性 を 考 慮 す る 必 要 が あ る 。 こ の 点,意 志 決 定 の 歴 史 や 形 態 の 考 察 に も 大 切 で あ る 。 (3)言 葉 と し て は 英 語 のdecideはcutoffす な わ ち 切 断 を 意 味 す る 。 独 語 の

Entscheidenも 同 様 で あ る 。 そ れ は 取 捨 選 択 の 決 断 に 外 な ら な い 。 つ ま り,決 の 瞬 間 を 意 味 す る 。 し か し研 究 問 題 と し て は こ れ を 含 む 過 程 が 大 切 で あ る 。 (4)Simon,TheNewScienceofManagelnentDecision,P・1f・ 特 にTannen‑

baum,op・cit・,p・297・ は 意 志 決 定 に つ い て 諸 定 義 が あ げ ら れ て い る 。 (5)Simon,AdministrativeBehavior,p.xxiii.,MarchandSimon,Organiza‑

tiolls,1958,P・137ff・ 特 に 前 者 に お い て,社 会 科 学 は 合 理 性 の 取 扱 い に お い て 精 神 分 裂 症 に か か っ て い る こ と を 指 摘 す る 。 つ ま り,一 方 の 古 典 的 経 済 学 で は 経 済 人 に は 絶 対 的 合 理 性 が 認 め られ,他 方 の 社 会 心 理 学 で は 一 切 の 認 識 を 愛 情 と い う絶 対 的 非 合 理 に 還 元 し よ う と す る か ら で あ る 。 そ こ で サ イ モ ン は 合 理 性 の 有 限 性 を 明 ら か に す る の で あ る 。

(6)20世 紀 のadministrativemanを19世 紀 のeconomicmanに 対 応 さ せ た の は,Urwick,L,ManagementofTomorrow,1933・ の 中 の 「組 織 の 純 粋 理 論 」 に お い て で あ っ た 。 こ れ と は 異 っ た 意 味 でSimon,op・cit・,p.39.andMarch

andSimon,op・cit・,pp・137‑142・ は 用 い て い る 。

(7)

経営学 と意志決定 の問題(山 本) 一79一 も,よ り具 体 的 で あ る か ら,行 動 に 先 行 す る意 志 決 定 も分 析 の 対 象 と な る こ と は な っ た 。 例 え ば,経 営 計 画 論 や 予 算 統 制 論 の 如 きが そ うで あ る 。 しか

し,経 営 者(manager)は 指 示 者(director)や 決 定 者(decision‑maker)で

あ る よ り も実 行 者(executive)で あ り,統 率 者(leader)と 見 られ た 。 そ こ で は 伝 統 的 に 経 営 者 の 活 動 や 職 能 の 分 析 が 中 心 で,意 志 決 定 を 意 志 決 定 と し

くり

て これ を 正 面 か ら取 上 げ る も の で は な か っ た 。 要 す るに,常 に 行 わ れ 常 に 存 在 す る もの 必 ず し も 問 題 性 を もつ とは 限 ら な い 。 疑 問(Frage)と せ られ,

o●

問 題(Problem)と な り,課 題(Aufgabe)に ま で 高 め られ る とは 限 らな い 。 経 営,い な 広 く組 織 に お け る意 志 決 定 が 真 に 意 志 決 定 と し て 自覚 的 に 取 り上 げ られ,問 題 性 を もつ に 至 っ た の は,そ う古 い こ とで は な い 。 漸 く第2次 戦 に 先 だ つ 数 年 来 の こ と で あ る。 パ ー ナ ー ドや サ イ モ ンの 先 駆 的 業 績 や そ れ 以 来 の 発 展 に つ い て は 前 に 示 した 通 りで あ る。 そ れ で は,な ぜ そ の よ うな 時 代 に 意 志 決 定 が 問 題 性 を もつ に 至 っ た か 。 そ の 根 拠 如 何 。 そ の 前 に 決 定 史 を 概 観 して み よ う。

2意 志 決 定 の 史 的 概 観

思 うに,意 志 決 定 の 理 論 的 研 究 に は そ の歴 史 的 研 究 が 必 要 で あ る 。 意 志 決 定 の 仕 方 は 文 化 の 函 数 で,そ の 歴 史 は 主 体 性 の 成 立 史 で あ り,文 化 史 と して も極 め て 興 味 深 く,ま た 研 究 に 値 す る も の が あ る 。 しか し,意 志 決 定 と い う よ うな 独 立 の 研 究 は 未 だ 存 在 して い な い 。 私 の 知 る 限 りで は,統 計 的 決 定 理 論 の 立 場 か らで は あ るが,プ ロ ス が 天 地 創 成 の 原 始 時 代 か ら現 代 の 原 子 力 時 代 まで の 意 志 決 定 史 の 概 略(outlineofhistoryofdecisionfromOozeto

OakRidge)を 簡 潔 に 動 物,魔 神,ソ フ ィス ト,科 学 者 の 時 代 と し て 記 述 し

て い る。 立 場 は 異 るが,参 考 とな る点 もあ るの で 以下 要 点 を 紹 介 して見 た い。 先 ず,プ ロスは 決定 の 問題 は 生 命 そ れ 自身 と 同様 に 古 い と見,決 定 者

(1)一 例 と し てKoontzandO'Donnel,PrinciplesofManagement,2nded・,

1959・ を あ げ よ う 。 こ れ は 伝 統 的 な 経 営 管 理 論 の 典 型 を な し て い る 。 (2)こ の 点 に つ い て は,拙 「経 営 学 本 質 論 」16頁 以 下 参 照 。 (3)Bross,op・cit・,pp・6‑17・ 邦 訳,ll‑22頁 参 照 。

(8)

(decision‑maker)の 相 違 は 決 定 に 用 い る決 定 用 具(Decision‑Maker)の 相 違 で あ る こ と に 着 目 し,動 物 的 「デ シ ジ ョ ソ ・メ ー カ ー 」一 決 定 の 自 然 史

と 人 間 的 「デ シ ジ ョ ソ・メ ー カ ー」 決 定 の 文 化 史 とに 区 別 して,そ らの 特 質 を 明 らか に す る の で あ る。 い わ ば,決 定 用 具 た る 「デ シ ジ 。 ソ ・メ ー カ ー 」 史 で あ る。

(1)動 物 的 「デ シ ジ ョ ソ ・メ ー カ ー 」 ど ん な 動 物 も決 定 問 題 に 直 面 す る 。 単 細 胞 有 機 体 で さ え そ うで あ る が,決 定 は 有 機 体 の 動 物 的 機 構 に よ り,化

法 則,物 理 法 則 に よ っ て 自動 的 に 行 わ れ る。 一 般 に 動 物 的 機 構 はabuilt‑in Decision‑Makerを も ち,そ れ は 試 行 錯 誤 と記 憶 に よ っ て 本 能 的 に 作 用 す る が,自 然 的 状 況 の 下 で は 動 物 に と り適 切 で あ り,驚 くほ ど う ま く造 られ て い る 。 もち ろ ん,そ れ に は 長 短 が あ り,哺 乳 類 が 成 功 し た の は そ の 弾 力 性 の あ る 「デ シ ジ 。 ソ ・メ ー カ ー 」 の 長 所 が 短 所 を 補 った か らで あ る 。 人 類 出 現 の 頃 ま で に,こ の 動 物 的 「デ シ ジ 。 ソ ・メ ー カ ー」 は な くな っ て,た だ そ の 痕 跡 が 残 るだ け で あ っ た 。 ま こ と に 人 間 は,動 物 的 に 欠 陥 が あ る か ら こそ, decision‑makinganimalな の で あ る。

(2)人 間 的 「デ シ ジ ョ ソ ・メ ー カ ー 」 人 間 は そ の 不 十 分 な 動 物 的 「デ シ ジ ョ ソ ・メ ー カ ー 」 の 代 りに 人 間 的 「デ シ ジ ョ ソ ・メ ー カ ー」 を 発 展 させ た 。 これ を 発 展 さ せ る の に 必 要 な も の は,言 行 動 様 式 を 伝 え,子 孫 教 育 の 新 方 法 と社 会 集 団 の形 成 で あ っ た 。 こ の 発 展 は,こ ん 度 は,人 間 的 「デ シ ジ 。 ソ ・メ ー カ ー 」 のす ば ら しい 弾 力 性 と結 び つ い て,今 ま で 存 続 す る と こ ろ の 驚 嘆 に 値 す る多 様 な 文 化 を 産 み 出 して 来 た の で あ る 。 こ の 文 化 的 過 程 は 非 常 に 成 功 を 収 め て,人 間 の 文 明 開 化 は 発 展 した が,こ れ らの 文 化 は 文 化 的 決 定 機 構 に は 余 りに も複 雑 す ぎ る決 定 問 題 を もた らす に 至 っ た 。 歴 史 の か か る 段 階 で は,単 純 な 「デ シ ジ ョ ソ ・メ ー カ ー 」で は 不 適 当 と な り,意 志 決 定 を 専 門 とす るprofessionalDecision‑Makerの 階 級 が 現 わ れ,彼 は 自 分 の た め よ りは 他 人 の た め に 決 定 す る 。 専 門 化 の 利 益 は 明 らか で,決 定 の た め の 組 織 と し て 決 定 ピ ラ ミ ッ トが 成 立 す る 。 しか し専 門 化 の 欠 陥 も明 らか で,決

(9)

経営学 と意志 決定 の問題(山 本) 一81一

の 失 敗 や 決 定 に 対 す る 不 満 が 拡 が れ ば,決 定 ピ ラ ミ ヅ ドは 破 壊 さ れ る 。 「記 録 さ れ た 歴 史 の 大 部 分 がspecializedDecision‑Makers王,将 軍,僧

くい

の 年 代 記 で あ る」 の は これ が た め で あ る 。 専 門 家 の 失 敗 や 不 信 は 個 人 的 決 定 を 奨 励 し,自 己 の 意 志 を 自 分 で 決 定 す る の は 個 人 の 特 権 で あ り,責 任 で あ り,権 利 で あ る と考 え させ る に 至 る 。 し か し,こ の よ うな 自 由 そ れ 自 体 は 問 題 を 解 決 す る も の で は な い 。 自 由 選 択 に よ っ て も 個 人 は 破 滅 へ の 道 を 選 ぶ か も知 れ な い か らで あ る。 個 人 に と っ て 合 理 的 な 決 定 原 理 を 学 ぶ こ と が 次 第 に 重 要 と な る が,そ の 決 定 原 理 は 数 世 紀 に わ た っ て 徐 々 に しか も い ろ い ろ な 困 難 を 経 て 発 展 して 来 た もの で あ る 。

(3)文 化 的 「デ シ ジ 。 ソ ・メ ー カ ー 」 の 発 達 上 述 の 如 く,決 定 を 職 業 とす る 専 門 階 級 が 成 立 す るが,文 字 の 発 明 を 媒 介 に これ ら の 専 門 家 は 決 定 の た め の 知 的 「デ シ ジ 。 ソ ・メ ー カ ー 」 を 考 え 出 した 。 これ ま で が 決 定 前 史 とす れ ば,こ の 知 的 「デ シ ジ ョ ソ ・メ ー カ ー」 の 発 達 が 決 定 の 正 史 と もい え る で あ ろ う。 そ れ は ど こ の 国 で で も 「魔 神 」 論 の 形 で 出 発 す る 。 そ れ は 何 千 年 もの 間 決 定 を 支 配 し,今 日 で も予 言 者,占 術 師,祈 薦 師 な どの 用 い る の は 何 れ も これ で あ る 。 次 い で は 古 代 ギ リ シ ャ の 「理 性 」 で あ る 。 そ れ は 超 経 験 的 な 主 観 的 作 用 た る ヌ ー ス で あ っ て,哲 学 者,ソ フ ィス トの 用 い た もの で あ る 。 最 後 に 客 観 的 事 実 に 基 づ く 「科 学 」 が 近 代 的 な もの と して 成 立 した 。 プ ロス は これ ら何 千 年 の 発 展 過 程 に つ い て 興 味 深 い 説 明 を して い る が,そ れ は 結 局 科 学 成 立 史 で あ り,こ こで の 直 接 の 問 題 で は な い か ら省 略 し よ う。 た だ 一 言 附 け 加 え れ ば,「 科 学 」 を 「デ シ ジ ・ ソ ・メ ー カ ー 」 とす る こ と に よ っ て 人 間 が 真 に 主 体 的 に な り う る とい う こ とで あ る 。 もち ろ ん,プ ロス に お け る 「科 学 」 は 統 計 的 決 定 理 論 で あ る が,そ れ は 一 つ の 「デ シ ジ ・ ソ ・メ ー カ ー 」 に す ぎ な い 。 わ れ わ れ の 課 題 は こ の 科 学 的 な 「デ シ ジ ョ ソ ・メ ー カ ー 」 を 用 い る 経 営 決 定 理 論 の 研 究 に 外 な らな い 。 サ イ モ ソが 示 す よ うに,そ れ こそ が わ れ わ れ の 「科 学 」 で あ る。

(1)Ibid・,P・10・ 邦 訳15頁

(10)

乙 意 志 決 定 理 論 の歴 史 的 背 景

如 何 な る時代,何 れ の 社 会 に お い て も,合 理 的 な 意志 決定 の重 要性 は 否定 せ られ ない 。文 化 の 発 展,人 知 の進 歩,科 学 や技 術 の発 達 は 「デ シジ ョソ ・

メ ー カ ー」 の発 展 の 原 因 で あ り結 果 で もあ る。 しか し,個 人 的 決定 の 「デ シ 看

ロ  

ジ ョ ン ・メ ー カ ー」 は 「ピ ラ ミ ッ ド建 設 の 時 代 以 来 」 プ ロス の い う超 越 的 な

「魔 神 」 か 「理 性 」 で あ り,サ イ モ ンの い う 「習 慣 」 や 「判 断,直 観,創 力 」 で あ っ た 。 組 織 的 決 定 に あ っ て は 「組 織 」 そ の も の が 「デ シ ジ ョ ソ ・メ 一 カ ー」 に 外 な らな い 。 組 織 は 分 労 に よ る協 働 体 系 で あ り,そ の よ うな 「デ

(2)

シ ジ ・ ン ・メ ー カ ー 」 な く して は 組 織 は 存 続 し得 な い 。 例 え ば,リ ー ダ ー と レ ッ ド,デ ィ レ ク タ ー と フ ォ ロ ワー,マ ネ ジ ャ ー と オ ペ レー タ ー の 分 化 は 意 志 決 定 の 専 門 化 を 意 味 し,組 織 化 を 意 味 す る 。 組 織 的 行 動 は 「意 志 決 定 過 程

(3)

の複 雑 な網 の 目で あ る。」 産 業 革 命 を 通 して の 大 規 模 経 営 の成 立 は 組織 問 題 を 成 立 せ しめ,科 学 的管 理法 の成 立 を 必然 化 し,経 営活 動 の 「前 」 「過 程 」 お よび 「後 」 に対 応 して そ れ ぞ れ 計 画 一 統制 批判 の管 理 方 式 を 展 開 し

(4)

た が,そ れ は す べ て意 志 決定 を含 み,「 デ シジ ・ン・メー カ ー」 の発 展 を 背 景 とす る とい え る。 しか し,上 述 の如 く,な お 意 志 決 定 は 意 志 決 定 と して 問 題 性 を 自覚 され るに は 至 らなか った 。 意 志 決定 の 重 要 性 が 自覚 せ られ,問 題 性 を もつ に 至 った のは,漸 く第 二 次 大 戦 前 後 の こ とで あ る。 思 うに,意 志 決 定 の 問題 性 の客観 的 基礎 は技 術 革 新 の 時 代そ の もの で あ る。 この 時 代 を反 映 し

て,現 代的超大 規模 経営におけ る意志 決定 の重大性(そ の如 何は経営 の運命

(1)Simon,TheNewScienceofManagementDecision,P・9・

(2)組 織 と 経 営 と の 関 係 を 考 え れ ば,そ の 理 解 の 経 営 学 的 意 義 も 諒 解 さ れ よ う 。 筆 者 も い ろ い ろ 研 究 し た が,パ ー ナ ー ド理 論 が 最 も優 れ て い る と 考 え る に 至 っ た 。 拙 稿 「バ ー ナ ー ド組 織 理 論 の 経 営 学 的 意 義 」彦 根 論 叢 第91号(昭37.10月)参 照 。 (3)Simon,AdministrativeBehavior,P・220・ こ の 点,パ ー ナ ー ド ・サ イ モ ン理 論

の 特 色 で あ り,現 代 組 織 理 論 の 中 心 思 想 と い え よ う 。 組 織 は 単 な るorganization structureやorganizationchartで は な くJorganizationalbehaviorと し て cooperativesystemで あ る 。 組 織 は 単 な る 静 ,単 な る 動 で は な く,静 即 動,動 即 静 と い う弁 証 法 的 存 在 な の で あ る 。

(4)こ の 管 理3要 素 に つ い て は,拙 「増 訂 経 営 管 理 論 」 昭38,95頁,拙 稿 「マ ネ ー ジ メ ン ト と コ ン ト ロ ー ル 」PR第8巻 第9号(昭 和32年9月)参 照 。

(11)

経 営学 と意志 決定 の問題(山 本) 一83一 に 関 わ る)と 困難 性(考 慮 す べ き不 確 実 要 素 の複 雑 性 と広 汎 性)と 迅 速性 の

くユ 

要 求 の増 大 で あ る。 そ して,そ れ らは 結 局 経 営 者 リー ダ ー シ ップの革 新 経 営 革 命 一 の必 要 に帰 着 す る。 か くて,無 条 件 に合 理 的 意 志 決定 の可 能 を 前 提 せ る伝 統 的 な経 済 理 論 や 経 営 管 理 論 の批 判,新 しい 組 織 理 論 一 新 しい 決 定 理 論 の探 求,特 に 電 子 計 算 機 の利用 に よ る新 しい 革 新 創 造 的 決定 方

く ラ

法 へ の 挑 戦 が 相 次 ぐ こ と と な っ た の で あ る。 コ ン ピ ュー タ ー と い う 「デ シ ジ ョ ン ・メ ー カ ー」 の 出 現 は 革 新 時 代 の 集 中 的 表 現 とい え る の で あ る 。 ア メ リ カ の 決 定 理 論 は そ れ を 示 す 。

経 営 と 意 志 決 定

1意 志 決 定 と して の 経 営 一 経 営 概 念 の発 展

「経 営 」 が 何 か は 経 営 学 の対 象 論 の問 題 と して経 営 学 そ の もの の根 本 問 題 で あ る。 と ころが,こ の 「経 営 」 とい う中 心 概 念 が 確 立 せ られ て い ない と こ ろに 経 営学 の 悲劇 が あ る。 思 うに,ド イ ツの 経 営 経済 学 は 経 営 の 客 体 側 た る 経済 面 を 分析 的 に 問題 と し,ア メ リカの 経 営管 理 学 は 経 営 の主 観側 た る管 理 面 を分 析 的 に 問題 とす る。 しか し,経 営 そ の もの こそ 問題 で は な いか 。わ れ

● ● ● ●

わ れ の 「経営 学 的 経 営」 は この主 観 的側 面 と客 観 的 側 面 との主 体 的 統 一 と し

o●

て具 体 的 に把 握 せ られ,本 格 的 な 「経 営 学 」 は ドイ ツの 経営 経済 学 と ア メ リ

(3)

カ の 経 営 管 理 学 と の 統 一 と し て 成 立 つ の で あ る。 そ し て,ア メ リカ 経 営 学 の 経 営 学 史 上 に 占め る 地 位 と意 義 とは,こ の 「経 営 」 の 主 観 的 側 面 た る マ ネ ジ メ ン トの 重 要 性 を 認 識 し研 究 せ る と こ ろ に あ る 。 こ の 点 これ ま で 見 落 さ れ た

(1)た だ 一 つ,長 期 巨 大 投 資 の 問 題 を 考 え る だ け で,こ の こ と は 理 解 さ れ る 。 経 営 学 も 例 え ばSpencer,M・H・andSiegelman,L・,ManagerialEconomics・

DecisionMakingandForwαraPlanning,1959・ の 如 く 不 確 実 性 の 下 に お け る 決 定 を 問 題 と せ ざ る を 得 な い の で あ る 。

(2)Simon,TheNewScienceofManagementDecision,P・20・andp・21・ が 意 志 決 定 に お け る 第1次 革 命 と 第2次 革 命 と を 論 じ て い る こ と.上 に も 触 れ た と こ

ろ で あ る 。 こ の 点 次 節 で 問 題 と し た い 。 (3)拙 「経 営 学 本 質 論 」 『経 営 学 要 論 」 参 照 。

(12)

ロ う

と ころ で あ るが,そ れ だ け に 特 に 重 要 と思 わ れ る 。 わ れ わ れ は む し ろ これ を 行 為 的 に 経 営 の 主 体 的 契 機 と して 把 握 せ ね ぽ な ら な い 。 こ の 点 か らす れ ば, 組 織 理 論 や 意 志 決 定 理 論 は 正 に 経 営 の 主 体 的 契 機 と して,経 営 理 解 の 鍵 を な す 。 マ ネ ジ メ ソ トが 経 営 の 中 心 的 役 割 を な す だ け で は な く,時 に は 経 営 そ の

もの と さ え 見 られ る こ と も理 解 され るで あ ろ う。

さ て,経 営 は 動 的 に は マ ネ ジ メ ソ ト と考 え られ る が,そ の マ ネ ジ メ ソ ト自 身 い ろ い ろ な 意 味 を も っ て い る。 最 初 マ ネ ジ メ ソ トはexecutivefunction

す な わ ち 文 字 通 り実 行 職 能 を 意 味 し た 。 そ のexecutivefunctionも 経 営 規 模 の 発 展 に つ れ てmanagementfunctionとoperativefunctionと に 分 化 し,テ イ ラ ー 以 来 マ ネ ジ メ ソ トは 作 業 に 対 す る管 理 す な わ ち 作 業 員 に 仕 事 を させ る 職 能 を 意 味 す る こ と と な っ た 。 今 日exeCutiveがmanagerと 同 義 に

ダ ラ

用 い られ る の は これ が た め で あ る 。 こ の よ うに して マ ネ ジ メ ソ トの 中 心 は コ ソ トロ ー ル で あ り,コ ソ トロ ー ル と マ ネ ジ メ ソ トは 同 義 語 と され る場 合 が 多

(3)

い 。 しか し,単 な る主 観 的 な コ ソ トロ ー ル で は な く客 観 的 コ ソ トロ ー ル で な け れ ば な らず,コ ソ トロ ー ル に は プ ラ ンニ ソ グ の 先 行 が 要 求 され,い わ ゆ る 予 算 的 統 制 が 成 立 す る。 しか し,計 画 に せ よ統 制 に せ よ,そ れ に は 意 志 決 定 が 先 行 し,そ の 合 理 的 決 定 が 問 題 で あ る こ と 上 述 の 如 くで あ る 。 この よ う に,マ ネ ジ メ ン トな い し 経 営 は,実 行 か ら管 理 へ,管 理 か ら計 画 へ,計 画 か

ら決 定 へ とい うふ うに,時 代 と共 に 重 点 を か え て 来 た 。 と こ ろ で,経 営 は 組 織 行 動 と して 見 れ ば,バ ー ナ ー ドや サ イ モ ソの い う通 り意 志 決 定 過 程 の 体 系 で あ り,経 営 従 業 員 は す べ てdecisi・n‑makersで あ り,pr・blem‑s・lversで

(4)̀5)

あ る 。 管 理 者 はcommunicationcenterと い わ れ る が,そ の 前 に 専 門 的 な decision‑makerな い しdecision‑makingcenterで な け れ ぽ な ら な い 。 か

(1)拙 稿 「経 営 学 の 本 質 」 平 井 泰 太 郎 編r経 営 学 」44頁 以 下 参 照 。

(2)管 理 概 念 に つ い て は,KoontzandO'Donne1,0p・cit・ 拙 著 「増 訂 経 営 管 理 論 』 昭38参 照 。

(3)拙 稿 「マ ネ ジ メ ソ ト と コ ソ ト ロ ー ル 」PR第8巻 第9号(昭32.9月)参 照 。 (4)MarchandSimon,Organizations,p.6ff.

(5)Barnard,op.cit.,p.178.

(13)

経営学 と意志決定 の問題(山 本) 一85一 考 え れ ぽ,サ イ モ ンが 意 志 決 定 を経 営 と同義 語 と解 す る とい う主 張 も一応 う

くり

なづ け る。 ま こ とに 経 営 とは 意 志 決定 に外 な らない 。 「経 営 者 の最 も大 切 な 技 術 の一一つ は意 志 決定 のそ れ で あ り,そ れ は 経 営 者 のあ らゆ る職 能 の遂 行 に

  ラ

滲透 して い る。」 そ れ 故,意 志 決 定 の中 心 た る経 営 老 の決 定 能 力 を 開発 し増 進 す る必 要 の あ る こ とは い うまで もなか ろ う。 しか し,意 志 決 定 に も種 々の 形 態 が あ る。経 営 上 の意 味 も決 定 の難 易 も異 な る。 どの よ うな意 志 決定 が 真

に 経 営 と同義 語 と解 され るか 。

2意 志 決定 の形 態 一 意 志 決定 革 命

(1)意 志 決 定 過 程 の分 析 意 志 決 定 は 文 字 通 り選 択 の決 断,決 意 の瞬 間 が 考 え られ るが,理 論 の 問題 と しては そ の よ うな決 断 に 至 る過 程 が 重 要 な こ と 上 述 の如 くで あ る。 と ころで,そ の意 志 決 定 過 程 は 精 粗 い ろい ろに 分 析 され

ゆ 

る 。 サ イ モ ンは これ を 情 報,計 画,選 択 の3局 面 に,タ ネ ソバ ウ ムは 行 動 案

の 認 知,定 義,評 価 の3局 面 に,サ イ ヤ ー ト と マ ー チ は 目 的,期 待,選 択,

くの く の

解 釈 の4局 面 に,デ イル は 問題,研 究,選 択,解 釈,評 価 の5局 面 に 分 析 し て い る。分 析 の仕 方 は 異 るが 説 明 の 内客 は ほ ぼ 同一 と見 て よい 。 サ イ モ ンは 局 面 間 の 関連 につ い て い う。 「一 般 に情 報 活 動 は 計 画活 動 に先 だ つ 。 計 画活 動 は 選 択活 動 に先 だ つ 。 しか し局 面 の循 環 は こ こで 述 べ た順序 よ りは 遙 か に 複 雑 で あ る。 特 定 の決 定 を なす に 当 っては,各 局面 は そ れ 自身複 雑 な決 定 過 程 で あ る。 例 え ば,計 画 局面 は 新 しい情 報 活 動 を呼 び起 す か も知 れ な い 。 ど

の段 階 にお け る問題 も従属 問題 を 産 む 。今 度 は そ れ がそ の情 報,計 画,選 の 局面 を もつ 。 以下 同様 で あ る。 … …そ れ に も拘 らず,3大 局 面 は組 織 の決

くア 

定 過 程 が 開顕 す るに つれ て 明瞭 に 識別 し うる もの で あ る。」

(1)Simon,theNewScienceofManagementDecision,P・1。

(2)Tannenbaum・oP・cit・,P・296・

(3)Simon,ibid.,p.2f.

(4)Tannenbaum,op.cit.,p.298f.

(5)CyertandMarch,"ABehavioralTheoryofOrganizationalObjectives,'t

Haire(ed・),ModernOrganizationTheory,1959,P・78・ 邦 訳103‑4頁

(6)Dill,oP・cit・,P・34ff・Drucker,ThePrac七iceofManagementも 様 。

(7)Simon,ibid・,P・3・

(14)

(2)意 志 決定 の形 態 意 志 決 定 の形 態 は どの よ うに も区 別せ られ る。先 ず 意 志 決 定 の対 象 た る問 題 そ の ものか ら 区 別 され る。 ゴー ド ソは この 見地 か

o●

(1)

ら詳 細 な形 態 分類 を試 み た 。 しか し,も っ と重 要 な こ とは,問 題 の性 質 で あ

ろ う。 そ れ は 決 定,決 定 者,決 定 技 術,プ ロ ス の い わ ゆ る 「デ シ ジ ョ ソ ・メ ー カ ー 」 の 性 質 を 規 定 す るか らで あ る 。 サ イ モ ソは この 見 地 か ら次 表 の よ う

(2)

な形態分類 を試み る。

意 志 決 定 形 態 の 分 類

プ ロ グ ラ ム 化 し う る も の:

日常 的,反 復 的 決 定

組織 は これを処理 す るため に特別 な処理手続 が作 られ

プ ログ ラム化 しえない もの:

一度切 りで不定形 な新規 の 政策 決定

一般 的問題解 決方法 で処理注1)

され る

1.習

2.事 務 処理慣例:

標準 的処理手続 3.組 織構 造:

共 通 の期 待 下 位 目標 の体系 情 報網 の規定

1.判 断,直 観,創 造 力

ル ド ル オ プ サ ム

2.目

3.経 営 者 の 選 択 と 訓 練

1.OR:

数 学 的 分 析 モ デ ル

コ ン ピ ュ ー タ ー ・ シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 2.EDP

注2)

発 見 的 問 題 解 決 技 術 これ は 次 の も の に 応 用 さ れ る

a)人 間 の 決 定 者 の 訓 練 b)発 見 的 な コ ソ ピ ュ ー タ ー ・プ ロ グ ラ ム の 構i

注1)specialproblem‑solvingに 対 し てgeneralprob】em‑solving・

注2)heuristicprob]em‑solvingtechnique・

サ イ モ ソ は 両 極 的 に 対 立 す る2つ の 決 定 形 態 一 プ ロ グ ラ ム 化 し う る も の

(programmeddecision)と し え な い も の(non‑programmeddecision)

(1)Gordon,RA・,BusinessLeadershipintheLargeCorporation,1945,

PP・53‑55・ 邦 訳,58‑60ペ ジ 。

(2)Simon,ibid・,P・8・

(15)

経 営学 と意志決 定 の問題(山 本) 一87一 に 区 別 す る。決 定 が反 復 的,日 常 的 で あ る程 度 に お いて,ま た これ を取 扱 う

の に標 準 手続 で 十 分 で あ り,新 規 な取 扱 を要 しな い 程 度 に お い て,決 定 は プ ログ ラ ム的 で あ る。 何 故 プ ロ グ ラ ム的 決 定 が反 復 的 で あ り,反 対 の 場 合 は

o● ●oo●

反 対 で あ るか は,特 定 の 問題 が繰 返 し起 るな らば,そ の解 決 には 処理 規 定 を 利 用 し うるか らで あ る。 そ の例 は 経 営 には 極 め て多 い 。

次 に,決 定 が初 め て の もの,予 め構 造 の判 っ て い な い もの,重 大 な もの で あ る程 度 に お い て,そ の決 定 は 非 プ ログ ラ ム的 で あ る。 前 に 起 っ た こ とが な

い か ら,或 いは そ の正 確 な性 質 や構 造 が 掴 み 難 いか 複 雑 で あ るか ら,更 に 或 い は 重 大 で 慎 重 な取 扱 い に値 す るか ら,そ の問 題 を取 扱 うき ま った 方 法 が な

(1)

い の で あ る 。 ア イ ゼ ソ ハ ワ ー のD‑Daydecisionは 非 プ ロ グ ラ ム 的 決 定 の 好 例 で あ る 。 も ち ろ ん,こ の 非 プ ロ グ ラ ム 的 な も の も 反 復 す る に つ れ て 次 第 に プ ロ グ ラ ム 化 し う る こ と は 注 意 を 要 し ま い 。 そ れ は フ ォ ー マ ル と イ ソ フ ォ ー マ ル の 関 係 に 似 て い る 。

こ の サ イ モ ソ の2分 類 に 対 し て ゴ ア は 反 復 的 決 定(rou七inedecision),適

応 的 決 定(adaptivedecision),革 新 的 決 定(innovatiyedecision)の3分

く  

を 主 張 す る。 確 か に,現 在 を 中 心 に 問 題 を 見 れ ば,ゴ アは 正 しい で あ ろ う。

しか しサ イ モ ソの 決 定 革 命 論 を 聞 け ば,一 応 サ イ モ ソ説 も承 認 さ れ よ う。

(3)決 定 革 命 わ れ わ れ は 意 志 決 定 の 歴 史 を 「デ シ ジ ョ ン ・メ ー カ ー 」 の 歴 史 と し て 見 た 。 そ れ は 非 科 学 的,前 科 学 的 方 法 か ら科 学 的 方 法 へ の 発 展 で あ っ た 。 そ の 点,サ イ モ ンの 上 述 の 分 類 も プ ロ ス と 同 様 と い え る 。 彼 は 伝 統 的 方 法 と現 代 的 方 法 とに 分 け る が,そ れ は 「デ シ ジ ョ ソ・メ ー カ ー」の 発 展 に 注 目す る も の で あ る 。 彼 は い う。 「伝 統 的 方 法 は 少 く と も ピ ラ ミ ッ ド建 設 時

くヨ 

代 以来,人 間組 織 に お い て 広 く理 解せ られ 応 用せ られ て 来 た もの で あ る。」

(1)説 明 す る ま で も な く,こ れ は 第2次 世 界 大 戦 に お け る 米 軍 の 欧 洲 大 陸 へ の 上 陸 作 戦 開 始 日 の 決 定 で あ る 。

(2)Gore,w・J・,"Decision‑MakingResearch,"MailickandvanNess,oP・

cit・,PP・55‑58・

(3)Simon,ibid.,p.9.

(16)

伝 統 的 方 法 に 属す る もの は プ ロ グ ラ ム的 決 定 につ い て は,習 慣,標 準執 務 規 程,組 織 構 造 な どが,非 プ ログ ラ ム的 決定 につ い ては,判 断,直 観,創 造 力

くユラ

ブ ロ ス の 人 間 的 「デ シ ジ ョ ン ・メ ー カ ー 」 な どが あ げ られ る 。 こ の 伝 統 的 方 法 に 対 す る現 代 的 方 法 が 現 わ れ,決 定 革 命 が 問 題 と な る に 至 っ た 。 先 ず,プ ロ グ ラ ム 的 決 定 の 現 代 の 新 技 術 と し て は 周 知 の 通 り(1)ORな し管 理 科 学,② リニ ヤ ー ・プ ロ グ ラ ミ ン グ,ダ イ ナ ミ ッ ク ・プ ロ グ ラ ミ ン グ, ゲ ー ム の 理 論,確 率 理 論 な ど の 数 学 的 用 具,(3)特 に コ ソ ピ ュー タ ーが これ で あ る 。 こ の コ ソ ピ ュ ー タ ー の 利 用 の 高 度 化 か ら決 定 革 命 が 現 わ れ る。 コ ン ピ ュ ー タ ー は(1)日 常 反 復 的 決 定 と事 務 処 理 と に 高 度 の オ ー トメ化 を 可 能 に し,(2)ミ ドル ・マ ネ ジ メ ソ ト ・デ シ ジ ・ ソにORの 諸 手 法 を 応 用 せ しめ,

数 学 的 処 理 能 力 を 増 し,シ ミ ェ レ ー シ ・ ソ技 術 を 確 立 させ る こ と に よ っ て プ ロ グ ラ ム的 決 定 の 領 域 を 拡 大 し,(4)更 に(1)と(2)と を 結 合 し,ミ ドル 。 マ ネ ジ メ ソ ト決 定 の オ ー トメ化 を 可 能 な ら しめ つ つ あ る 。 「こ れ ら4つ の 発 展 の 結 合 か ら,高 度 に 機 械 化 され た 方 法 で,プ ロ グ ラ ム的 経 営 決 定 を 作 り出 すdata‑processingfactoryの 新 光 景 が 現 出 しつ つ あ る。 ・ 恰 もphysical processingfactoryが そ の製 品 を 次 第 に 高 度 化 す る 機 械 化 方 法 で 製 造 す る の

と 同 様 で あ る。 将 来 の オ ー トメ化 工 場 は,そ の 傍 らの ナ ー トメ化 事 務 所 で な

 の

され る プ ロ グ ラ ム的 意 志 決 定 を 基 礎 に 運 営 せ られ る で あ ろ う」

以 上 が 第1の 決 定 革 命,つ ま りプ ロ グ ラ ム 的 決 定 に お け る 革 命 で あ る 。 そ れ で は,第2の 革 命,つ ま り非 プPグ ラ ム的 決 定 の 革 命 は ど うか 。 「過 去10

数 年 間 に 出 現 し た プ ロ グ ラ ム的 決 定 技 術 が 重 大 だ と し て も,ま た これ ま で の 非 プ ロ グ ラ ム的 領 域 を プ ロ グ ラ ム的 領 域 に 還 元 す る 進 歩 が 偉 大 で あ ろ う と も,そ れ は な お 経 営 意 志 決 定 活 動 の 大 部 分 に は 手 を 触 れ な い ま ま で あ る。 ミ

ドル ・マ ネ ジ メ ン トや ト ップ ・マ ネ ジ メ ソ トで 取 扱 わ ね ば な らな い 問 題 の 大 部 分 は 数 学 的 取 扱 い は 出 来 な い し,恐 ら く今 後 もそ うで あ ろ う。 しか し,そ

(1)Simon,ibid・,pp・6‑7・ は こ れ を 人 間 のgenera】capacity,generalproblem‑

solvingequipmentと 名 づ け て い る 。

(2)Simon,ibid.,p、20.

(17)

経営学 と意志決定の問題(山 本) 一89一 で 話 しは 終 るの で は な い。 非 プ ログ ラ ム的 決 定 の過 程 は や が て 現 に プ ログ ラ

ム的 決 定 を変 形 しつ つ あ る革 命 と同 様 に根 本 的 な革 命 を 蒙 るで あ ろ う と信 ず る十 分 な理 由が あ る。人 間 の 問題 解 決 の性 質 に つ い て の 基礎 的 発 見 が な され て 来 た 。 これ らの発 見 は な お基 礎 的 研 究 の段階 に あ るが,経 営 へ の応 用 の 最 初 の可 能性 が現 わ れ初 め て い る。 わ れ わ れは この第2の 革 命 が 第1の 革 命 に

ロ  

10年 か ら20年 お くれ て 起 る こ とを 期 待 し て よ い で あ ろ う。」

3革 新 的 決 定 と し て の 経 営

経 営 が 決 定 過 程 で あ り,経 営 者 が 決 定 者 で あ る こ とは 明 らか で あ るが,経 営 は 今 日で は 単 な る 決 定 過 程 で は な く革 新 的 決 定 の 過 程 で 幽 り,経 営 者 は 革 新 者 で な け れ ば な ら な い 。 サ イ モ ン もexecutiveasdecisionmakerか

  

decisionmakerasinnovatorと い う認 識 へ 進 ま ざ る を 得 な い の で あ る 。 わ れ わ れ は サ イ モ ソに 従 い 決 定 過 程 を情 報,計 画,選 択 の3局 面 に 分 け た 。 経 営 者 な い し管 理 者 の 注 意 や 努 力 が この3局 面 に 如 何 に 配 分 さ れ る か は 組 織

(3)

上 の 地 位 や 性 格 に よ りい ろ い ろ 異 な る こ とは 周 知 の 通 りで あ る。 客 観 的 な 経 営 環 境 の 如 何 に よ り問 題 自 体 の 相 違 に よ り異 な る の も当 然 で あ る 。

しか し一 般 的 に い っ て 経 営 決 定 の 中 心 が,計 画 活 動 で あ り,そ れ も プ ロ グ ラ ム的 よ りは 非 プ ロ グ ラ ム 的,中 で も創 造 的,革 新 的 な もの で あ る こ と は 特 に 説 明 を 要 し まい 。 サ イ モ ソは 統 計 的 数 学 的 決 定 方 法 の 限 界 を 明 らか に し な が ら も,コ ン ピ ュー タ ー の 利 用 が 非 プ ロ グ ラ ム化 決 定 を プ ロ グ ラ ム化 し う る 可 能 性 を 強 調 して,と か く楽 観 説 に 傾 く。 しか し,真 に 経 営 意 志 決 定 と い う に ふ さわ しい 領 域 は,プ ロ グ ラ ム化 領 域 の 拡 大 に も拘 らず な お 無 限 に 残 る 非

(1)Ibid・,p・21・ の 中 心 が 上 のheuristicproblem‑solvingtechniqueで る 。

p.35ff.

(2)Simon,'̀TheDecisionMakerasInnova七 〇r,"MailickandVanNess,op・

cit.,p.66ff.

(3)Davis,RC・,TheFundamen七alsofTopManagement,1951,P・16Lは

をmanagerial七imespansと し て 示 し,Simon,ibid・,p‑1.は 七imebudgets

し,Dubin,R・,̀̀BusinessBehaviorBehaviorallyViewed,"ArgyrisetaL,

Socia】ScienceApProachestoBusinessBehavior・1962,P・30・ はtimescale

ofdecisionと し て 取 上 て い る 。

(18)

プ ロ グ ラ ム化 領 域 で あ り,不 確 実 の 世 界 で あ り,そ れ で あ れ ば こそ 却 っ て innovativedecisionの 必 要 と な る領 域 で あ る。 彼 の事 実 的 前 提 の 外 に 価 値

くり

的前 提 こそ が 重 要 とな る。情 報,計 画,選 択 は そ れ が どの よ うに 精 密化 され よ うと も,そ れ に は 更 に価 値 や 目的 が先 行 せ ね ば な らず,し か もそ の革 新 と 創 造 とが 大切 で あ る こ と,現 に わ れわ れ の 日々経験 す る と ころで あ る。 要 す

るに,経 営 に とって 大 切 な もの は,新 奇,例 外,稀 有 な もの,構 造 が知 られ ず 計 画化 し難 い もの,つ ま り未 知 不 確 実 な も ので あ る。 方 法 の語 源 は既 存 の 道,与 え られ た 道 を 行 く こ とで は な く,自 ら道 を作 って進 む こ とを意 味 して

じ ラ

い る。 方 法 の方 法 た るは新 しい道,新 しい 問題 の発 見 で あ る。r問 題 解 決 の

方 法 は 諸 代 案 の 研 究 の み な らず,問 題 そ の も の の 研 究 を も意 味 す る 。」 私 は 方 法 を 思 うと き,道 可 道 非 常 道 と い う老 子 の 言 葉 を 思 い 出 さ ざ る を 得 な い 。 そ れ は 正 に 方 法 の 真 髄 を 示 して い る。 そ れ は 不 確 定 性 を 背 景 とす る イ ノ ヴ

ェー シ ・ ン に 外 な らな い 。 わ れ わ れ は こ こ に 来 て 初 め てdecision‑makin9 をmanagingと 同 義 語 とす べ し とい う サ イ モ ン の 主 張 を 承 認 し うる の で あ

る。

IV結 言 一 意 志 決 定 理 論 の経 営学 的 意i義

1経 営 学 本 質 の反 省

わ れ わ れ は,意 志 決 定 理 論 の 経営 学 に 対す る意 義 に 関 し否 定 説 と肯 定 説, 消 極 説 と積 極 説 とが対 立す る こ とを 見,こ れ を 経営 学 の本 質 に 照 らして如 何 に 考 うべ きか とい う問題 を提 起 して,意 志 決 定 の歴 史性 や 経 営 決 定 の意 義 に つ い て概 観 した 。 そ れ で は,一 体 これ を ど う考 えた ら よい か 。

先 ず,意 志 決 定 理 論 の経営 学 的意 義 に つ い て の対 立 は そ の意 識 す る と否 と に拘 らず 経営 学 そ の もの の理 解 の対 立 に あ る。 そ してそ れ は 今 日経 営 学 理 論

(1)Simo11,Adminis七ratjveBehavior,p.45ff.

(2)拙 著 「経 営 学 本 質 論 」24,243頁 参 照 。

(3)Simon,"TheDecisionMakerasInnovatorノ'oP・cit・,P・67・

参照

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