• 検索結果がありません。

雑誌名 明治学院大学教養教育センター紀要 : カルチュー

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "雑誌名 明治学院大学教養教育センター紀要 : カルチュー"

Copied!
14
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

jの読みの指導を補助する映像教材

著者 中島 さやか

雑誌名 明治学院大学教養教育センター紀要 : カルチュー

ル = The MGU journal of liberal arts studies : Karuchuru

巻 15

ページ 55‑67

発行年 2021‑03‑25

その他のタイトル Dificultades de los principiantes de espanol para la lectura de las consonantes,y un video para facilitar el aprendizaje de la  j

URL http://hdl.handle.net/10723/00004135

(2)

初級スペイン語学習者が感じる子音の読みの難点と j の読みの指導を補助する映像教材

中 島 さやか

1 .はじめに

スペイン語の読みは英語と比べると日本語に近 く,規則を理解すれば初見の単語でも読むことが 可能であるため,日本人には比較的容易であると 言われる。しかし日本の大学のスペイン語教育の 現場では中級レベルに達した学習者にも様々な間 違いが観察されるため,学習者にとって必ずしも 容易ではなく,習得まで一定の指導や訓練を必要 とする学習項目であるといえる。

本研究は,初級の学習者を対象とするスペイン 語の読みの指導を改善することを目的に,1. 初 級学習者がスペイン語の読みに感じる難点,2.

学習者がよく間違える j の読みの学習をサポート するために開発した教材の有用性や問題点,の 2 点について行ったアンケート調査の結果を分析・

考察した調査報告である。

対象となったのは,明治学院大学でスペイン語 を週 2 回 90 分,合計約 5 か月学んだ初級 3 クラ スの学生である。調査は 2020 年 10 月 28 日に行 われ,履修者 75 名中 71 名から回答を得た。

2 .初級学習者が感じるスペイン語の読み の難点

アンケートでは最初に,スペイン語の読みにつ いて学習者がどう思っているのかを聞く一般的な 質問をした。

質問 1:「スペイン語の読みについてどう思い ますか?」の問いに対しては,70% の学習者が「少 し難しい」と回答した。また,14% が「難しい

質問 1 スペイン語の読みについてどう思いますか?

選択肢: 

1.難しいと思う 2.少し難しいと思う 3.あまり難しいと思わない 4.簡単な方だと思う 5.簡単だと思う

全回答者数:71名

1.10名(14%)

2.50名(70%)

3.6名(8%)

4.4名(6%)5.1名(1%)

(3)

と思う」と回答したことから,8 割以上の学習者 が何らかの難しさを感じていることが理解でき る。難しいと思う理由としては,任意の自由記述 で以下のような回答が寄せられた。

「英語やローマ字読みをしてしまう」「英語や ローマ読みと混同する」など英語やローマ字と 異なるところが難しいと回答した学習者 : 41 名

「まだあまり慣れていない」「今までの言語と異な る」など,慣れの問題に言及した学習者:6 名

「巻き舌の r や日本語にない音が難しい」など 発音の問題に言及した学習者:3 名

「j,r,h の読み方を忘れてしまう」「読まない,

脱落する音がある」など,特定の子音の問題に 言及した学習者:1 人

以上のコメントから,多くの学習者がこれまで 学んできた英語やローマ字の読み方と異なる点を 難しいと感じている傾向があることが理解できる。

 

次に,初級で最初に扱う指導項目の一つである 子音の読みの習熟度について,初級学習者に間違 いが目立つ j,g,h,q をとりあげて

(1)

質問をし

た。自己申告方式なので,問題がないと感じてい る学生の習熟度が必ずしも高いとは限らないが,

学習者がこれらの子音について感じる難しさの傾 向を見ることができると考えられた。

 

質問 2:「あなたは以下の綴りが出てくるスペ イン語の読みができると思いますか?」の問いで は,4 つの子音 j,g,h,q のうち, 「g +母音(gue, gui を含む)」と「j +母音」の読み方について「あ まり自信がない」と答える学習者が多い傾向が あった。回答者がスペイン語の学習を始めて既に 5 か月ほど経過していることを考慮すると,g と j は理解,あるいは定着が難しい子音であると考 えられる。そのため,これらの子音の読みを導入 する際には何らかの補足的な指導や演習を行うこ とが望ましいと思われる。

2 .インプットの種類や学習環境について の考察

厳密な比較を行うことはできないが,短期留学 などで実際にスペイン語が使われている環境で学 ぶ機会を得た学習者や,授業数が多くネイティブ

質問 2 あなたは以下の綴りが出てくるスペイン語の読みができると思いますか?

1 2 3 4 5

選択肢: 

1.問題なくできると思う 2.だいたいできると思う 3.あまり自信がない 4.できないことが多いと

思う

5.できないと思う 単位:人

40

20

0

que. qui

ja, je, ji, jo, ju

gue, gui

ga, ge, gi, go, gu

ha, he, hi, ho, hu

(4)

と思う」と回答したことから,8 割以上の学習者 が何らかの難しさを感じていることが理解でき る。難しいと思う理由としては,任意の自由記述 で以下のような回答が寄せられた。

「英語やローマ字読みをしてしまう」「英語や ローマ読みと混同する」など英語やローマ字と 異なるところが難しいと回答した学習者 : 41 名

「まだあまり慣れていない」「今までの言語と異な る」など,慣れの問題に言及した学習者:6 名

「巻き舌の r や日本語にない音が難しい」など 発音の問題に言及した学習者:3 名

「j,r,h の読み方を忘れてしまう」「読まない,

脱落する音がある」など,特定の子音の問題に 言及した学習者:1 人

以上のコメントから,多くの学習者がこれまで 学んできた英語やローマ字の読み方と異なる点を 難しいと感じている傾向があることが理解できる。

 

次に,初級で最初に扱う指導項目の一つである 子音の読みの習熟度について,初級学習者に間違 いが目立つ j,g,h,q をとりあげて

(1)

質問をし

た。自己申告方式なので,問題がないと感じてい る学生の習熟度が必ずしも高いとは限らないが,

学習者がこれらの子音について感じる難しさの傾 向を見ることができると考えられた。

 

質問 2:「あなたは以下の綴りが出てくるスペ イン語の読みができると思いますか?」の問いで は,4 つの子音 j,g,h,q のうち, 「g +母音(gue, gui を含む)」と「j +母音」の読み方について「あ まり自信がない」と答える学習者が多い傾向が あった。回答者がスペイン語の学習を始めて既に 5 か月ほど経過していることを考慮すると,g と j は理解,あるいは定着が難しい子音であると考 えられる。そのため,これらの子音の読みを導入 する際には何らかの補足的な指導や演習を行うこ とが望ましいと思われる。

2 .インプットの種類や学習環境について の考察

厳密な比較を行うことはできないが,短期留学 などで実際にスペイン語が使われている環境で学 ぶ機会を得た学習者や,授業数が多くネイティブ

質問 2 あなたは以下の綴りが出てくるスペイン語の読みができると思いますか?

1 2 3 4 5

選択肢: 

1.問題なくできると思う 2.だいたいできると思う 3.あまり自信がない 4.できないことが多いと

思う

5.できないと思う 単位:人

40

20

0

que. qui

ja, je, ji, jo, ju

gue, gui

ga, ge, gi, go, gu

ha, he, hi, ho, hu

教員などからスペイン語を聞く機会の多い専門課 程の学習者と比較すると,第 2 外国語で学ぶ学習 者には読みの間違いが多く観察される傾向にあ る。このことから,規則を当てはめれば読める子 音の読みに関しても,学習環境から来る目標言語 のインプット

(2)

の種類や少なさが影響を与えて いると考えられる。

スペイン語と接する機会が多い環境で読みを習 得する場合,学習者は習った読みの規則をすぐに 応用できなくても,単語やフレーズを意味と音声 を伴う形で少しずつ習得していく過程で,綴りと 読みの規則についても多くの気づきを得る機会が あり,結果として規則を帰納的な方向からも理解 できる可能性が高いと考えらえる。一方,第 2 外 国語のスペイン語教育の場では,学習者は綴りと 読みの規則を学習した後,インプットの量が限ら れている環境の下,音声と意味を伴う目標言語の 具体的な知識が少ない状態で,演繹的に規則を当 てはめて読むことが多いと推測される

(3)

時間数や履修者数など様々な制限のある第 2 外 国語教育の場においてスペイン語が実際に使われ る環境を作ることは必ずしも容易とはいえない が,現在の大学の学習環境では,LMS を使って スマートフォンなどから視聴可能な映像を通じて インプットを増やすことは可能であると考えられ る。そのため本調査では,映像を通じて複数の単 語のインプットを与える方法

(4)

を用いて,学習 者に読みの規則の帰納的な理解を促すことを考え た。ここでの目標は演繹的になりがちな第二外国 語の読み方の指導に,覚えやすい具体例を複数与 えて帰納的な発想を導くプロセス

(5)

を組み込む ことで,覚えにくい子音の読みの指導を,より分 かりやすく印象に残りやすい形で行うことである。

4 .J の読み方の指導を補助する映像教材

本調査では上記の考えに基づき,学習者にとっ て難しい傾向にある子音の 1 つである j と母音の 組み合わせを例にとり,その読みの指導を補助す るための映像教材を開発した

(6)

作成したのは“J de español(スペイン語の J)”

というタイトルの約 3 分の映像である。この映像 は,子音 j とスペイン語の 5 つの母音(a, e, i, o, u)

を組み合わせた音 1 つにつき,4 つの単語が紹介 される構成になっている。各単語がイラストと共 に 2 回ずつ発音され,その後表記が表示される。

この映像教材には以下の特徴がある。

1 . 単語がイラストと音声付きの意味を伴う形 で視覚的・聴覚的に導入される 

2 . 学習者が自分にとって印象に残りやすい,

あるいは覚えやすい単語を選択的に覚えら れるよう,1 つの読みにつき 4 つの単語が 用意されている

3 . 英語やローマ字の干渉を受けにくいよう,

音声を先に聞かせた後で表記が表示される

ここで重要なのは,学習者が自分の印象に残っ た単語を選択的に覚えていけるよう,1 つの読み につき複数の単語が用意されているという点であ る。これには,単語の習得を自然のプロセスに近 づけることを意識した点に加え,覚えやすくして 学習者のストレスを軽減する目的もある。例えば 同程度の数の単語を覚えることを想定した場合,

自分にとって覚えやすいものだけを選択的に覚え

ていくことの心理的な負担は,数は少なくとも導

入された全ての単語を覚えなくてはならない場合

と比べると少ないと考えられる。与えられた選択

(5)

肢の中の単語を複数習得することができれば,そ の材料を使って規則性に関する気づきや発見が得 やすくなることも予想された。

使用した単語とイラストは以下の選択基準に基 づいている

(7)

単語:

1 . 長すぎる単語,日本語母語話者にとって発 音しにくいと考えられる単語は避ける 2 . 日本語の何かの単語に近いなど,音的に覚

えやすい・印象に残りやすいと思われる単 語は優先的に取り入れる

(8)

3 . 具体的でイラストから意味を理解できる単 語を選択する

4 . 英語や日本語のカタカナ語から意味が推測 できそうな単語は優先的に取り入れる

イラスト:

1 . 日本の学生にとってわかりやすいと考えら えるものを使用する

(9)

2 . 印象に残りやすくするために,愛嬌があっ たり笑いを誘ったりする要素があるイラス トは優先的に取り入れる

3 . 不快感を与えるもの,教育上不適切なもの は使用しない

使用したイラストに複数の構成要素があり,単 語が指している内容がわかりにくい可能性が想定 されるものには,示す対象に矢印を付けて明確に することを試みた。

目への影響に配慮し,映像の背景は白を避けて 濃いグリーンで設定し,音声は初級の学習者に とってわかりやすいよう,ナチュラルスピードの 範囲で少し遅めの速さの録音を使用した

(10)

5 .映像教材の流れ

以下,具体的な映像の流れと使用した単語及び イラストについて記す。

まずタイトルでスペイン語の j について扱う映 像であることが示され⑴,次に説明が表示され⑵,

映像の意味と使用法が学習者に伝えられる。

次に,気づきを得てほしい子音+母音の組み合 わせに学習者の注意が向くよう,音声と共にバウ ンドして表示されるエフェクト

(11)

を使って文字 が表示される⑶。

j+aの例

その後同じ 1 つの読みを含む 4 つの単語がイラ

ストと音声付きで導入される。例えば,ja という

読みであれば,Japón という単語のイラストが表

示され,2 回発音されたのちに表記が表示され

(6)

肢の中の単語を複数習得することができれば,そ の材料を使って規則性に関する気づきや発見が得 やすくなることも予想された。

使用した単語とイラストは以下の選択基準に基 づいている

(7)

単語:

1 . 長すぎる単語,日本語母語話者にとって発 音しにくいと考えられる単語は避ける 2 . 日本語の何かの単語に近いなど,音的に覚

えやすい・印象に残りやすいと思われる単 語は優先的に取り入れる

(8)

3 . 具体的でイラストから意味を理解できる単 語を選択する

4 . 英語や日本語のカタカナ語から意味が推測 できそうな単語は優先的に取り入れる

イラスト:

1 . 日本の学生にとってわかりやすいと考えら えるものを使用する

(9)

2 . 印象に残りやすくするために,愛嬌があっ たり笑いを誘ったりする要素があるイラス トは優先的に取り入れる

3 . 不快感を与えるもの,教育上不適切なもの は使用しない

使用したイラストに複数の構成要素があり,単 語が指している内容がわかりにくい可能性が想定 されるものには,示す対象に矢印を付けて明確に することを試みた。

目への影響に配慮し,映像の背景は白を避けて 濃いグリーンで設定し,音声は初級の学習者に とってわかりやすいよう,ナチュラルスピードの 範囲で少し遅めの速さの録音を使用した

(10)

5 .映像教材の流れ

以下,具体的な映像の流れと使用した単語及び イラストについて記す。

まずタイトルでスペイン語の j について扱う映 像であることが示され⑴,次に説明が表示され⑵,

映像の意味と使用法が学習者に伝えられる。

次に,気づきを得てほしい子音+母音の組み合 わせに学習者の注意が向くよう,音声と共にバウ ンドして表示されるエフェクト

(11)

を使って文字 が表示される⑶。

j+aの例

その後同じ 1 つの読みを含む 4 つの単語がイラ ストと音声付きで導入される。例えば,ja という 読みであれば,Japón という単語のイラストが表 示され,2 回発音されたのちに表記が表示され

る。次に,同じ音を含む別の単語である jamón のイラストが現れ,2 回ずつ発音され表記が表示 される。hija, hojas という別の単語でも同じこと

が繰り返される。表記では,注目してほしいポイ ントである ja の文字の色を赤に設定し,読み方 に関する気づきを促すことを試みた。

1 つの音につき 4 つの単語を紹介する設定にし た理由は,選択方式にして全ての単語を覚えなく てはならないことから学習者が感じる可能性のあ る心理的なストレスをなくすことの他に,単語の

数が多くなると,情報量が増え,映像も長くなり,

学習者の負担が大きくなりすぎる可能性が想定さ れたことによる。

(例)Japón

表 1:映像教材で使用した単語とイラスト

読み 単語 1 単語 2 単語 3 単語 4

ja

Japón(日本) jamón(ハム) hija(娘) hojas(葉)

jo

jota(アルファベットのJ) hijo(息子) ajo (ニンニク) conejo(ウサギ)

ju

jugo(ジュース) Júpiter(木星) juguetes(おもちゃ) videojuego(ビデオゲーム)

ji

ají (唐辛子) cojín(クッション) jirafa(キリン) mejillones(ムール貝)

(7)

本映像を授業で用いるタイミングは,目的に 従って選ぶことが可能である。例えば規則の導入 前に使用する場合は,授業で教員やクラスメート と発見型で規則を考えるための準備材料にするこ とが可能であり,規則の導入後に使用する場合は,

学習した規則が実際にどう使われているかを体験 的に確認することに加え,先に音声を聞かせてど う綴るかをクイズ的に予想させて答え合わせをす るなどの使用法も考えられる。ただし,事前の課 題や復習等,学習のどのタイミングで映像を使う にしても,学習者が必要に合わせて繰り返し見ら れるよう LMS などで自由に視聴可能にしておく ことが望ましいと考えらえる

6 .映像教材に関する学習者アンケートの 結果

アンケート調査では学習者に実際に映像を視聴 してもらい,教材の有用性や使い方などについて 意見を聞いた。

教材の有用性について尋ねた質問 3:「今回見 てもらったビデオは,初めてスペイン語を学習す る人が j の読み方を理解するのに役に立つと思い ますか?」では,93% の学習者が「役に立つと 思う」「どちらかというと役に立つと思う」と回 答した。

次に,この教材で採用した学習方法について尋

読み 単語 1 単語 2 単語 3 単語 4

je

tijeras(ハサミ) jersey(セーター) garaje(ガレージ) maquillaje(化粧)

質問 3 今回見てもらったビデオは,初めてスペイン語を学習する人が J の読み方を理解するのに役に

立つと思いますか?

選択肢: 

1.役に立つと思う

2.どちらかというと役に立つと思う 3.わからない

4.あまり役に立たないと思う 5.役に立たないと思う 1.53名

(75%)

2.13名

(18%)

3.4名(6%) 4.1名(1%)

*「5.役に立たないと思う」の回答者は 0 名

(8)

本映像を授業で用いるタイミングは,目的に 従って選ぶことが可能である。例えば規則の導入 前に使用する場合は,授業で教員やクラスメート と発見型で規則を考えるための準備材料にするこ とが可能であり,規則の導入後に使用する場合は,

学習した規則が実際にどう使われているかを体験 的に確認することに加え,先に音声を聞かせてど う綴るかをクイズ的に予想させて答え合わせをす るなどの使用法も考えられる。ただし,事前の課 題や復習等,学習のどのタイミングで映像を使う にしても,学習者が必要に合わせて繰り返し見ら れるよう LMS などで自由に視聴可能にしておく ことが望ましいと考えらえる

6 .映像教材に関する学習者アンケートの 結果

アンケート調査では学習者に実際に映像を視聴 してもらい,教材の有用性や使い方などについて 意見を聞いた。

教材の有用性について尋ねた質問 3:「今回見 てもらったビデオは,初めてスペイン語を学習す る人が j の読み方を理解するのに役に立つと思い ますか?」では,93% の学習者が「役に立つと 思う」「どちらかというと役に立つと思う」と回 答した。

次に,この教材で採用した学習方法について尋

読み 単語 1 単語 2 単語 3 単語 4

je

tijeras(ハサミ) jersey(セーター) garaje(ガレージ) maquillaje(化粧)

質問 3 今回見てもらったビデオは,初めてスペイン語を学習する人が J の読み方を理解するのに役に

立つと思いますか?

選択肢: 

1.役に立つと思う

2.どちらかというと役に立つと思う 3.わからない

4.あまり役に立たないと思う 5.役に立たないと思う 1.53名

(75%)

2.13名

(18%)

3.4名(6%) 4.1名(1%)

*「5.役に立たないと思う」の回答者は 0 名

ねた質問 4: 「今回のビデオは,まず一つの音(ja,

jo など)が入っている幾つかの単語を聞き,音の イメージをつかんで授業で読みの学習に結び付け るものです。この方法は自分にとってわかりやす いと思いますか?」に対しては,98% が「わか りやすいと思う」「どちらかというとわかりやす いと思う」と回答した。これらのことから本教材

及び,本教材を使った指導法は「役に立つ」「わ かりやすい」と感じた学習者が大多数であったこ とが理解できる。

次に,複数の例を紹介するという教材の構成に ついて 2 点質問した。

1 つ目の質問 5:「一つの音が入っている複数の

質問 5 一つの音が入っている複数の例が紹介されることについてはどう思いますか?

選択肢: 

1.幾つかあるのはわかりやすいと思う 2.例は幾つもいらないと思う 3.どちらともいえない 4.わからない

1.67名

(94%)

2.4名(6%)

*「わからない」「どちらともいえない」の回答者は 0 名

質問 4 今回のビデオは,まず一つの音(ja,jo など)が入っている幾つかの単語を聞き,音のイメー

ジをつかんで授業で読みの学習に結び付けるものです。この方法は自分にとってわかりやすいと 思いますか?

選択肢: 

1.わかりやすいと思う

2.どちらかというとわかりやすいと思う 3.あまりわかりやすくない

4.わかりにくいと思う 5.どちらともいえない 6.わからない 2.26名

(37%) 1.43名

(61%)

*「4.わかりにくいと思う」「5.どちらともいえない」の回答者は 0 名 3.1名(1%)6.1名(1%)

(9)

例が紹介されることについてはどう思います か?」の問いに対しては,94% の学習者が幾つ かあるのはわかりやすいと回答した。次の質問 6:

「ビデオの一つの読み方の単語数(4 つ)につい てどう思いましたか?」の問いに対しては,87%

の学習者が 4 つでよいと回答している。これらの 結果から 1 つの読みに 4 つ例を用意することは妥 当であったと考えられる。

任意の自由回答欄には以下のようなコメントが よせられた。

肯定的なコメント

「規則性を見つけられる」「他の例にも応用でき る」「一つだけだと難しい」「共通点を見つけ音の イメージをつかみやすい」「規則が理解しやすく 覚えやすい」「1 つの例だけだと他にも共通して いるのか不安になる」「規則を何回も確認できる」

といった,帰納的な方法の利点に言及した学習 者:30 名

 「慣れることができる」「インプットしやす い」「頭に残る」「覚えやすい」「1 つだけだと印

象に残りにくい」「反復出来てその発音に慣れる ことができる」といった,慣れや,記憶の残りや すさに言及した学習者 : 12 名

この他にも,

「実際に使うときに臨機応変に対応できる」「音 声を頭の中に残しておけば後で理解しやすい」 「イ メージがわきやすい」「発音のコツを学べるのと 単語を知ることができる」「例外などがあったら 確認できる」「単語が増やせる」のように利点を 指摘するコメントが寄せられた。

一方,批判的なコメントとしては,

「出会った単語から無意識に法則を覚えるほう が望ましい」「一つの単語にかける時間が長い(2 個でいい)」 「全部覚えられない( 1 個の方が確実)」

など,規則の指導を行わない方法や,より単語を 少なくしてほしいとする意見が寄せられた。

また,規則を教わることや,そのタイミングに ついても質問した。

質問 6 ビデオの一つの読み方の単語数(4 つ)についてどう思いましたか ?

選択肢: 

1.もっと単語があった方がわかりやすい と思う

2.この数でいいと思う

3.もっと少なくてもいいと思う 4.その他

5.わからない 1.2名(3%)

2.62名

(87%)

(10%)3.7名

*「4.その他」「5.わからない」の回答者は 0 名

(10)

例が紹介されることについてはどう思います か?」の問いに対しては,94% の学習者が幾つ かあるのはわかりやすいと回答した。次の質問 6:

「ビデオの一つの読み方の単語数(4 つ)につい てどう思いましたか?」の問いに対しては,87%

の学習者が 4 つでよいと回答している。これらの 結果から 1 つの読みに 4 つ例を用意することは妥 当であったと考えられる。

任意の自由回答欄には以下のようなコメントが よせられた。

肯定的なコメント

「規則性を見つけられる」「他の例にも応用でき る」「一つだけだと難しい」「共通点を見つけ音の イメージをつかみやすい」「規則が理解しやすく 覚えやすい」「1 つの例だけだと他にも共通して いるのか不安になる」「規則を何回も確認できる」

といった,帰納的な方法の利点に言及した学習 者:30 名

 「慣れることができる」「インプットしやす い」「頭に残る」「覚えやすい」「1 つだけだと印

象に残りにくい」「反復出来てその発音に慣れる ことができる」といった,慣れや,記憶の残りや すさに言及した学習者 : 12 名

この他にも,

「実際に使うときに臨機応変に対応できる」「音 声を頭の中に残しておけば後で理解しやすい」 「イ メージがわきやすい」「発音のコツを学べるのと 単語を知ることができる」「例外などがあったら 確認できる」「単語が増やせる」のように利点を 指摘するコメントが寄せられた。

一方,批判的なコメントとしては,

「出会った単語から無意識に法則を覚えるほう が望ましい」「一つの単語にかける時間が長い(2 個でいい)」 「全部覚えられない( 1 個の方が確実)」

など,規則の指導を行わない方法や,より単語を 少なくしてほしいとする意見が寄せられた。

また,規則を教わることや,そのタイミングに ついても質問した。

質問 6 ビデオの一つの読み方の単語数(4 つ)についてどう思いましたか ?

選択肢: 

1.もっと単語があった方がわかりやすい と思う

2.この数でいいと思う

3.もっと少なくてもいいと思う 4.その他

5.わからない 1.2名(3%)

2.62名

(87%)

(10%)3.7名

*「4.その他」「5.わからない」の回答者は 0 名

質問 7:「スペイン語の読み方の学習方法とし て,どれがわかりやすいと思いますか?」の問い に対しては,選択肢 1 の「最初に読み方の規則を 教わってその規則を単語に当てはめて読む方法」

を選んだ学習者が最も多かった。このことから,

規則の紹介後に映像を使用した学習をしたいと感 じる学習者が多いと推察される。

また,同じ質問 7 で,選択肢 1「最初に読み方 の規則を教わってその規則を単語に当てはめて読 む方法」と選択肢 2「最初に幾つか単語と音声を 頭に入れてから規則を学ぶ方法」を選んだ学習者 は合計約 83% に達したことから,多くの学習者 は規則を教わりたいと考える傾向にあることが理 解できる。しかし一方で選択肢 3 の「規則は学ば

質問 7 スペイン語の読み方の学習方法として,どれがわかりやすいと思いますか?自分にとってわか

りやすいものを選んでください。

選択肢: 

1.最初に読み方の規則を教わってその規 則を単語に当てはめて読む方法 (例:

que は 「ケ」と読みます、と習ってか ら単語を読むなど)

2.最初に幾つか単語と音声を頭に入れて から規則を学ぶ方法

3.規則は学ばずに、単語と発音から少し ずつパターンで学んでいく方法 4.別の方法

5.わからない 1.48名

(68%)

2.11名

(15%)

(11%)3.8名

5.4名(6%)

*「4.別の方法」の回答者は 0 名

質問 8 ビデオでテキストを出すタイミングについてどう思いますか?自分にとってわかりやすいと思

うものを選んでください。

選択肢: 

1.最初にテキストを出して後で音声を 聞く

2.最初に音声をきいて次にテキストを 見る

3.テキストを見るのと音声を聞くのを 同時に行う

4.どれでもいい 5.わからない 1.20名

(28%)

2.25名

(35%)

4.6名(9%)

3.18名

(25%)

5.2名(3%)

(11)

64 ずに,単語と発音から少しずつパターンで学んで いく方法」を選んだ学習者も 11% と一定数いる ことから,教員はこうした学習者の学びのスタイ ルの多様性を考慮し,規則を導入する際にも「規 則は少しずつ慣れていけば自然に理解できるよう になる」と最初に規則を習得することが唯一の学 習方法ではないと説明するなど,帰納的な方法を 好む学習者にも配慮した指導を行うことが望まし いと考えられる。

 

一般的に表記を指導のどのタイミングで見せる のを良しとするかは,学習の目的や学習者の好み によって見解が異なるが,今回開発した映像では,

学習者が英語やローマ字の読みの知識から受ける 干渉をなるべく受けないよう音声を先に聞かせる 形式にした。この点について行った質問 8:「ビ デオでテキストを出すタイミングについてどう思 いますか?」では,学習者の意見が分かれ,この 調査でも統計的に意味を持つ結果を得ることはで きなかった。

最後に,どのような教材を使ってスペイン語の 読みを学習したいかを質問した。

質問 9:「あなたはスペイン語の読み方を学習 する上で,どのような教材を使うと理解しやすい と思いますか。」の問いに対し,約 80% の学習者 が映像を含む様々な教材を組み合わせて使う方法 を選択した。このことから,学習者の多くはスペ イン語の読みに関して,様々な種類のインプット を得るタイプの学習をしたいと考えていることが 推察できる。また,映像教材を単独で使用したい と答えた学習者はいなかったことから,映像教材 は,教科書等を使った学習をサポートする補助的 な機能を果たす教材として捉えられていると考え られる。

自由記述によるその他のコメント

他にも,自由記述で示唆に富む様々な意見が寄 せられた。以下,調査内容に関連するコメントを 抜粋して記述する。

質問 9 あなたはスペイン語の読み方を学習する上で,どのような教材を使うと理解しやすいと思いま

すか ?

選択肢: 

1.イラストや写真・音声に加えて、ビデ オと、教科書やプリントなどの文字と 組み合わせる方法

2.ビデオではなく、音声と教科書やプリ ントなどの文字と組み合わせる方法 3.音は聞かずに規則の説明を聞き、その

後教科書やプリントなどの単語に自分 で規則を当てはめて確認していく方法 4.ビデオのみで学習して行く方法 5.1~4以外

6.わからない 1.56名

(79%)

2.13名

(18%)

3.1名(1%)

5.1名(1%)

*「4.ビデオのみで学習して行く方法」の回答者は 0 名

(12)

64 ずに,単語と発音から少しずつパターンで学んで いく方法」を選んだ学習者も 11% と一定数いる ことから,教員はこうした学習者の学びのスタイ ルの多様性を考慮し,規則を導入する際にも「規 則は少しずつ慣れていけば自然に理解できるよう になる」と最初に規則を習得することが唯一の学 習方法ではないと説明するなど,帰納的な方法を 好む学習者にも配慮した指導を行うことが望まし いと考えられる。

 

一般的に表記を指導のどのタイミングで見せる のを良しとするかは,学習の目的や学習者の好み によって見解が異なるが,今回開発した映像では,

学習者が英語やローマ字の読みの知識から受ける 干渉をなるべく受けないよう音声を先に聞かせる 形式にした。この点について行った質問 8:「ビ デオでテキストを出すタイミングについてどう思 いますか?」では,学習者の意見が分かれ,この 調査でも統計的に意味を持つ結果を得ることはで きなかった。

最後に,どのような教材を使ってスペイン語の 読みを学習したいかを質問した。

質問 9:「あなたはスペイン語の読み方を学習 する上で,どのような教材を使うと理解しやすい と思いますか。」の問いに対し,約 80% の学習者 が映像を含む様々な教材を組み合わせて使う方法 を選択した。このことから,学習者の多くはスペ イン語の読みに関して,様々な種類のインプット を得るタイプの学習をしたいと考えていることが 推察できる。また,映像教材を単独で使用したい と答えた学習者はいなかったことから,映像教材 は,教科書等を使った学習をサポートする補助的 な機能を果たす教材として捉えられていると考え られる。

自由記述によるその他のコメント

他にも,自由記述で示唆に富む様々な意見が寄 せられた。以下,調査内容に関連するコメントを 抜粋して記述する。

質問 9 あなたはスペイン語の読み方を学習する上で,どのような教材を使うと理解しやすいと思いま

すか ?

選択肢: 

1.イラストや写真・音声に加えて、ビデ オと、教科書やプリントなどの文字と 組み合わせる方法

2.ビデオではなく、音声と教科書やプリ ントなどの文字と組み合わせる方法 3.音は聞かずに規則の説明を聞き、その

後教科書やプリントなどの単語に自分 で規則を当てはめて確認していく方法 4.ビデオのみで学習して行く方法 5.1~4以外

6.わからない 1.56名

(79%)

2.13名

(18%)

3.1名(1%)

5.1名(1%)

*「4.ビデオのみで学習して行く方法」の回答者は 0 名

65 発音に言及したコメント:

「ビデオで発音を学べるのは良い」「簡単に発音 が学べる」「ゆっくりで単語の量も多すぎず混乱 しなかった」「発音が頭に残るビデオだった」「単 語間の間隔で発音を練習出来ていい」

イラストやイメージ・映像の使用に言及したコ メント:

「イラストを見て単語の表し方が分かり,語彙 力を伸ばすことにもつなげられると感じた」「イ ラストがあってイメージしやすかった」「音声だ けの課題よりも取り組みやすい」「ビデオで見る と分かりやすかった」「イラストを出すことで日 本語ではなくイメージで覚えることが出来るので 良いと思った」「イラストがあるので印象に残り やすい」「楽しくイメージが掴める」「スペイン語 を話せるようになるには単語の読み方を知る必要 があるが,ビデオでの説明はイメージに残りやす いので分かりやすかった」「ビデオがとてもわか りやすく,最初に音が出ることで単語の想像が出 来る」「ビデオは分かりやすかった」「ビデオのス ペイン語の勉強方法で他の単語の読み方も勉強し たいと思った」「動画の印象が頭に残り記憶にも 残りやすい」「ビデオを見た後に規則を学べれば 知識が定着すると思った」

複数の感覚を使うメリットについて言及したコ メント:

「スペルと音声で目からも耳からも情報が入っ てきて覚えやすい」「音声が入ることで目だけで はなく耳でも学習が出来る」

その他:

「先に音声を聞いてから文字を見ると一度自分 で考えられるので良い」「音声を聞いてから規則

を習ったほうが理解しやすい」「例が示されるの が分かりやすく,定着するのも早そうな気がした」

「音声だけ流れるとスペルを自分で考えてから答 えを見ることができるので良い方法だと思った」

「音声だけが流れて頭の中で想像する表記と実際 の表記が違うという可能性があると思った」「j を 英語読みしてしまうので学習できてよかった」 「ja を再確認出来て良かった」「読み方を理解しきれ ていないことを実感した」「ajo など日本語で他の 単語に聞こえるような言葉は自然と耳に入ってき た」

批判的なコメントや映像・指導法に関する提案 もよせられた。

音声や表記に関するコメント:

「先に単語を見てから音声を聞いてくり返す方 法が一番わかりやすい」「テキストは最初に出し てくれたほうが理解しやすい」「1 回目の音声を 流して,テキストを出して,もう 1 回流すのが良 い」「1 回目の音声の後にテキストを出して,2 回 目はテキストを見ながら音声を聞く方がいい」 「カ タカナ表記も欲しい」「もう少し長く単語の表記 を見れると助かる」

映像の速さや時間についてのコメント:

「テキストが出ている時間をもう少し長くした 方が良いと思った」「切り替えを速くしても問題 ないと思う」「全体的にテンポが遅いと感じた」

イラストや訳に関するコメント:

「絵に日本語訳も欲しい」「日本語訳があるとい

い」「にんにく人間みたいなイラストがよく分か

らなかった」

(13)

指導法について提案したコメント:

「書きながら覚える機会を増やしたら良い」「耳 で聞いてから書いてみるという方法も覚えやすい とは思う,単語のスペルを確認することが重要だ と思う」「教科書を見ながら音声を聞き,ディク テーションなどの耳を使った勉強の方がわかりや すい」 「リズムに乗って発音するのもいい(例えば,

フォニックスのようなもの)」「長い文章のほうが いい」

結論と今後の課題

本調査の結果から,アンケートに回答した学習 者の 8 割以上はスペイン語の読みに関して何らか の難しさを感じており,子音については g と j に その傾向が強いことが理解できた。

本研究で提案した映像を通じて複数の単語を導 入する j の読みの指導法は,「規則が理解しやす い」「覚えやすい」「イメージがわきやすい」等,

学習者から様々な肯定的な意見が寄せられ,また 9 割以上の学習者から「役に立つ」 「わかりやすい」

との回答が得られたことから,有効な指導方法と なり得ると考えられる。ただし,多くの学習者が 映像を教科書やプリントなど他の教材と組み合わ せて使用したいと考えていることから,本教材は 単独で用いるのではなく他の教材と併用する形で 使用することが望ましいと思われる。

また,本映像教材は全体的にはわかりやすいと 学習者に受け止められたものの,映像内で使用し た個別のイラストや表記を表示するタイミングな どの細部については,よりわかりやすく,学習効 率を上げるために改善・検討すべき点があること も明らかになった。

今後の課題としては,同種の指導方法が j 以外 の他の子音の読みや,特定の子音のみに起因しな

いスペイン語の読みの問題についても有効である か,また,本研究で提案した指導法が長期的な記 憶につながるのなどを検証していくことがあげら れる。

最後に,今回の調査では学習者から映像教材に 関してのみならず,書く練習を取り入れる等,指 導法一般についての提案もよせられたことから,

学習効果を上げるためには,教材のわかりやすさ だけではなく,定着を促すための様々な演習を教 材使用と並行して行うことが重要であると改めて 確認することができた。

( 1 )  教員側から観察される学習者の読みの問題は,特 定の子音の読み方の間違いの他にも,単語自体か英 語的な読み方になる,日本語的な読み方になる,強 く発音するところがわからない,など一様ではない。

特定の子音と母音の組み合わせについても,読みの 間違いが他の単語よりも頻繁に観察される単語もあ るので,子音以外の要素も大きく関連していると考 えられる。しかし本調査は授業で最初に学習する子 音の読み方の指導をわかりやすくすることを目的と しているので,調査項目を読みの間違いが多く観察 される 4 つの子音のみに限定した。

( 2 ) 本稿ではインプットとは村井野(2006),和泉

(2009)(2016)の定義に基づき,「文脈の中で意味 の伝達を目的として使われる目標言語のサンプル」

をとらえている。

( 3 ) スペイン語教育では,第 2 外国語の時間的な制約 に加えて,教員や学習者が教科書以外に簡単に使え る映像などのわかりやすい補助的な教材が英語と比 べて少ないことも影響を与えていると考えられる。

( 4 ) 現在イラストや映像の使用は外国語教育で一般的 になっているが,本研究は視覚教材を用いることの メリットに言及したKrashen(1992)や国立国語研 究所(1995)の古典的な提案を出発点とし,各イラ ストの持つわかりやすさや笑いを誘う要素などにも 配慮している。

( 5 ) 本稿は,学習者の母語と習得言語の間にある近似 的要素を考慮し,演繹的な学習形態を保ちつつも,

気づきを促進する文法教育に言及した藤田(2011)

の提案や,主に初等教育の英語教育について体験型 で帰納的な習得の重要性を述べた吉田(2017)の提 案からもヒントを得ている。

(14)

指導法について提案したコメント:

「書きながら覚える機会を増やしたら良い」「耳 で聞いてから書いてみるという方法も覚えやすい とは思う,単語のスペルを確認することが重要だ と思う」「教科書を見ながら音声を聞き,ディク テーションなどの耳を使った勉強の方がわかりや すい」 「リズムに乗って発音するのもいい(例えば,

フォニックスのようなもの)」「長い文章のほうが いい」

結論と今後の課題

本調査の結果から,アンケートに回答した学習 者の 8 割以上はスペイン語の読みに関して何らか の難しさを感じており,子音については g と j に その傾向が強いことが理解できた。

本研究で提案した映像を通じて複数の単語を導 入する j の読みの指導法は,「規則が理解しやす い」「覚えやすい」「イメージがわきやすい」等,

学習者から様々な肯定的な意見が寄せられ,また 9 割以上の学習者から「役に立つ」 「わかりやすい」

との回答が得られたことから,有効な指導方法と なり得ると考えられる。ただし,多くの学習者が 映像を教科書やプリントなど他の教材と組み合わ せて使用したいと考えていることから,本教材は 単独で用いるのではなく他の教材と併用する形で 使用することが望ましいと思われる。

また,本映像教材は全体的にはわかりやすいと 学習者に受け止められたものの,映像内で使用し た個別のイラストや表記を表示するタイミングな どの細部については,よりわかりやすく,学習効 率を上げるために改善・検討すべき点があること も明らかになった。

今後の課題としては,同種の指導方法が j 以外 の他の子音の読みや,特定の子音のみに起因しな

いスペイン語の読みの問題についても有効である か,また,本研究で提案した指導法が長期的な記 憶につながるのなどを検証していくことがあげら れる。

最後に,今回の調査では学習者から映像教材に 関してのみならず,書く練習を取り入れる等,指 導法一般についての提案もよせられたことから,

学習効果を上げるためには,教材のわかりやすさ だけではなく,定着を促すための様々な演習を教 材使用と並行して行うことが重要であると改めて 確認することができた。

( 1 )  教員側から観察される学習者の読みの問題は,特 定の子音の読み方の間違いの他にも,単語自体か英 語的な読み方になる,日本語的な読み方になる,強 く発音するところがわからない,など一様ではない。

特定の子音と母音の組み合わせについても,読みの 間違いが他の単語よりも頻繁に観察される単語もあ るので,子音以外の要素も大きく関連していると考 えられる。しかし本調査は授業で最初に学習する子 音の読み方の指導をわかりやすくすることを目的と しているので,調査項目を読みの間違いが多く観察 される 4 つの子音のみに限定した。

( 2 ) 本稿ではインプットとは村井野(2006),和泉

(2009)(2016)の定義に基づき,「文脈の中で意味 の伝達を目的として使われる目標言語のサンプル」

をとらえている。

( 3 ) スペイン語教育では,第 2 外国語の時間的な制約 に加えて,教員や学習者が教科書以外に簡単に使え る映像などのわかりやすい補助的な教材が英語と比 べて少ないことも影響を与えていると考えられる。

( 4 ) 現在イラストや映像の使用は外国語教育で一般的 になっているが,本研究は視覚教材を用いることの メリットに言及したKrashen(1992)や国立国語研 究所(1995)の古典的な提案を出発点とし,各イラ ストの持つわかりやすさや笑いを誘う要素などにも 配慮している。

( 5 ) 本稿は,学習者の母語と習得言語の間にある近似 的要素を考慮し,演繹的な学習形態を保ちつつも,

気づきを促進する文法教育に言及した藤田(2011)

の提案や,主に初等教育の英語教育について体験型 で帰納的な習得の重要性を述べた吉田(2017)の提 案からもヒントを得ている。

( 6 ) この映像教材は現在 h t t p s : / / y o u t u . b e / PYETTIT6F7s で公開されている。(2020年11月20 日現在)

( 7 ) 筆者は拙稿(2018)において第2外国語教育のイ ンプット用映像教材に関して注意点をまとめたが、

本稿でも時間や表記など幾つかの点が考慮されてい る。

( 8 ) jiが含まれる単語でこれらの条件を満たすものは 少ないので,日本では使用頻度がそれほど高くない と思われるmejillonesが選択された。

( 9 ) イラストは一般に広く普及していて学習者にも親 しみがあると思われる「いらすとや」と「イラスト AC」の無料イラスト素材を使用した。

(10)  明治学院大学で初級スペイン語を担当するネイ ティブスピーカーのBernardo Astigueta氏に録音を お願いした。

(11)  Microsoft社PowerPointのアニメーションのバウ ンドのエフェクトを用いた。

参考文献

Krashen, S. D. The input hypothesis : Issues and implications, Torrance, CA: Laredo Pub. Co, 1992 和泉伸一 . 『「フォーカス・オン・フォーム」を取り入れ

た新しい英語教育』東京 : 大修館書店,2009.

和泉伸一 . 『第 2 言語習得と母語習得から「言葉の学び」

を考える : より良い英語学習と英語教育へのヒン ト』,東京,アルク,2016.

国立国語研究所 . 『視聴覚教育の基礎』. 東京 : 大蔵省印 刷局,1995.

中島さやか . 「初級学習者向けスペイン語「hay」のイン プット用映像教材と授業における使用例」『カル チュール』,13(1),明治学院大学教養教育セン ター,2019,101-112.

廣森友人 . 『英語学習のメカニズム : 第二言語習得研究に もとづく効果的な勉強法』東京 : 大修館書店,2015.

藤田直也「演繹的文法指導の問題点と文法理解を向上さ せる方法論」『近畿大学英語研究会紀要』(7),近畿 大学英語研究会,2011,73-84.

渡部良典,池田真,和泉伸一 . 『CLIL(内容言語統合型 学習) : 上智大学外国語教育の新たなる挑戦 . 第 1 巻,原理と方法』. 東京 : 上智大学出版,2011.

村野井仁 . 『第二言語習得研究から見た効果的な英語学 習法・指導法』. 東京 : 大修館書店 , 2006.

吉田研作,「外国語活動の成果を大切にしつつ帰納的に 知識及び技能を与えていく」『総合教育技術』,72

(8),東京 : 小学館 2017,30-33

吉田研作,「英語 小学校からの帰納的な学びの「後倒し」

が結果的に入試にも対応できる力をつける」『総合 教育技術』,72(9),東京 : 小学館 2017,57-59

参照

関連したドキュメント

仏像に対する知識は、これまでの学校教育では必

大学教員養成プログラム(PFFP)に関する動向として、名古屋大学では、高等教育研究センターの

実習と共に教材教具論のような実践的分野の重要性は高い。教材開発という実践的な形で、教員養

学識経験者 品川 明 (しながわ あきら) 学習院女子大学 環境教育センター 教授 学識経験者 柳井 重人 (やない しげと) 千葉大学大学院

 英語の関学の伝統を継承するのが「子どもと英 語」です。初等教育における英語教育に対応でき

・ 教育、文化、コミュニケーション、など、具体的に形のない、容易に形骸化する対 策ではなく、⑤のように、システム的に機械的に防止できる設備が必要。.. 質問 質問内容

学側からより、たくさんの情報 提供してほしいなあと感じて います。講議 まま に関して、うるさ すぎる学生、講議 まま

具体的な取組の 状況とその効果 に対する評価.