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洋 画 を活 用 した リス ニ ン グ活 動1)
小 林 敏 彦
ABSTRACT
本 稿 は 、 大 学 の 一 般 英 語 の 授 業 に お け る実 践 を 通 じ て構 築 さ れ た 洋 画 を 活 用 し た 英 語 の リス ニ ン グ 活 動 の 手 法 を 紹 介 す る も の で あ る。 映 像 を使 用 し た リ ス ニ ン グ 活 動 は 、 オ ー デ ィ オ テ ー プ を 使 用 し た 場 合 と比 較 し て 、 近 年 普 及 した ク ロ ー ズ ド ・キ ャ プ シ ョ ン ・シ ス テ ム の 恩 恵 に よ り、 そ の提 示 法 も豊 富 で 、 実 に 多 彩 な 活 動 が 可 能 と な っ て い る 。 本 稿 で は 、 ま ず は 、 洋 画 を 活 用 し た リ ス ニ ン グ活 動 の 準 備 段 階 と して 、 作 品 の 選 定 、 提 示 シ ー ン の 選 定 、 提 示 時 間 の 選 定 、 提 示 方 法 の 選 定 に つ い て詳 細 な 説 明 を 行 う。 ま た 、 リ ス ニ ン グ活 動 の 実 践 の 段 階 で は、
さ ま ざ ま な 指 導 法 の 体 系 化 を 試 み 、 全 体 提 示 と部 分 提 示 に大 別 、 リ ス ニ ン グ 活 動 の 本 質 を 内 容 理 解 と音 声 認 識 に 分 け る。 さ ら に、 タ ス ク を 細 分 化 し、リ ス ニ ン グ 活 動 の た め の 言 語 資 料 の提 示 法 に つ い て 解 説 し 、 ハ ン ドア ウ トを例 示 し な が ら授 業 計 画 の 具 体 的 な 方 策 を こ こ に提 案 す
る 。 最 後 に 、 著 者 が 日々 実 践 し て い る翻 訳 や 英 作 文 の 要 素 を 加 え た リ ス ニ ン グ 活 動 の 統 合 モ デ ル を 紹 介 す る 。
1.INTRODUCTION
洋 画 は妥'協な き生 の 英 語 で あ り、 作 品 とい う性 質 上 現 実 の 英 語 と異 な る点 が 多 少 あ る もの の一般 学 習 者 に とっ て は もっ とも身 近 な 英 語 媒 体 の ひ とつ で あ り、 娯 楽 の ひ とつ で あ る。 ま た 、 字 幕 な しで 洋 画 を鑑 賞 で き る こ とが 多 く の 英 語 学 習 者 の 願 望 で あ り、 達 成 目標 で もあ る。 あ らゆ る英 語 媒 体 の 中 で 、 洋 楽 に次 い で 聞 き取 りが 困 難 で あ るが 、 この壁 を乗 り切 れ ばた い て い の 日常 会 話 は理 解 可 能 に な り、 英 語 ニ ュ ー ス や 放 送 の 理 解 も容 易 に感 じ るだ ろ う。
しか し、 リス ニ ン グ は 単 な る語 彙 ・統 語 の知 識 や 耳 の 良 さだ け で はな く、 多 彩 な 要 素 が 結 集 さ れ る技 能 で あ る 。(AppendixI及 びIIを 参 照)
洋 画 で の発 話 行 為 は 、 基 本 的 に母 語 話 者 が 他 の 母 語 話 者 に話 しか け る本 物
の 英 語 で あ り、 フ ォ ー レナ ー ・トー ク2)の 余 地 はな い 。洋 画 は、教 材 テ ー プ に は な い 多 くの オ ー セ ンテ ィ ッ ク な側 面 を持 っ て い る。 音 声 的 に は、 音 の 欠 落 や連 結 、 語 彙 的 に は 、学 校 で は習 わ な い俗 語 や 卑 語 な ど を含 む 日常 語 を コ ン テ クス トと共 に覚 え る に は格 好 の学 習 教 材 で あ る。 洋 画 は、 異 文 化 を紹 介 す るた め の視 覚 教 材 と して 、 特 定 の場 面 の提 示 に よ り学 習 対 象 の紹 介 、比 較 、 裏 付 け、 強 化 な どを可 能 に し て くれ る。
洋 画 活 用 の 意 義 は、 目標 言語 の 母 語 話 者 の発 話 に音 声 的 、語 彙 的 、統 語 的 、 語 用 的 に近 似 した 言 語 材 料 が 学 習 者 に提 示 で き る点 と映 像 が 伴 う こ とで コ ン テ クス トの把 握 が 容 易 に な り理 解 度 が 高 ま る点 で あ る。 前 者 の価 値 は、 オ ー デ ィオ 教 材 で も見 出せ る も ので あ るが 、後 者 は視 覚 教 材 の最 大 の 特 長 で あ る。
学 習 の対 象 とな る言 語 材 料 が 現 実 の もの で あ れ ぼ す べ て よ い とい うわ け で は な く、公 共 の教 室 内 で の授 業 中 に提 示 す る に あ た って は注 意 が 必 要 で あ る。
新 田(1994)は 、 洋 画 の英 語 は 「本 物 の英 語 」 だ が 「現 実 の英 語 」 と は限 らな い とし て6つ の 理 由 を提 示 して い る。 第1に 、 洋 画 に は現 実 の場 面 で 不 必 要 と思 わ れ る よ う な物 語 の 設 定 を含 め観 客 に教 え る説 明 台 詞 が 存 在 す る。 第2 に 、 洋 画 に は上 映 時 間 の 制 限 か ら、 実 社 会 で 存 在 す る「無 駄 な 会 話 」 「要 点 の 見 え な い会 話 」 が な い 。 第3に 、 専 門 用 語 は専 門 的 な匂 い が 残 る程 度 に制 限 し、 後 は す べ て 観 客 が わ か る レベ ル に落 と して い る。 第4に 、 台 詞 は登 場 人 物 の 口 か ら 自然 に 出 た もの で は な く、 物 語 を進 展 させ る よ う に計 算 され て い る。 第5に 、 日常 生 活 で は使 わ な い よ うな 芝 居 が か っ た 台 詞 、 大 げ さ台 詞 に な りが ち で あ る。 第6に 、 俗 語 や 卑 語 が 軽 い 気 持 ち で使 い、 軽 く流 す 場 面 が 半 数 以 上 だ が 、 そ れ は脚 本 家 が考 えた 俳 優 の 反 応 で あ って 実 社 会 で は同 じで あ る とは 限 ら な い。 「本 物 」 と 「現 実 」の 言 葉 の 差 異 につ い て は説 明 され て い な い の で不 明 瞭 で あ るが 、洋 画 の英 語 に人 工 的 な側 面 が あ る こ とは否 め な い 。
しか し、 こ う し た難 点 は あ る にせ よ、 そ れ は洋 画 か ら得 られ る教 育 的 効 用 か ら考 え る と微 々 た る もの で あ り、 使 用 を や め る よ うな根 拠 に は な ら な い。 単 に、 以 上 の 指 摘 の1項 目で もあ て は まる シー ン を使 用 し な け れ ぼ 済 む こ とで あ る。1作 品 に含 まれ る場 面 数 や 台 詞 の量 は 莫 大 で 材 料 に不 足 は な い が 、「現
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実 の 英 語 」 を選 抜 す る確 か な判 断力 が 教 師 に は求 め られ だ ろ う。
吉 成(1997)は 、洋 画 で 使 用 さ れ て い る語 彙 の特 徴 につ い て、40本 の 洋 画 で 使 用 され て い る35万4千 語 を頻 度 分 析 した 結 果 、1000語 か ら2000語 ぐ らい の種 類 の単 語 が 使 用 さ れ て お り、 そ の 約8割 が 中 学 校 で 学 ぶ 単 語(文 部 省 必 修 語 彙600語 に基 本 語 彙400語 を加 え た)で あ る と報 告 し て い る。 ま た 紹 介 さ れ て い る資 料 に よ る と、CNNNewsで は72.3%、 ク リ ン トン大 統 領 就 任 演 説 で は75.6%、TheJapanTimes1面 記 事 全 文 で は61.9%で あ る とい う。
洋 画 は、作 品 の ジ ャ ンル(genre)3)に よ っ て は 、特 定 の分 野 に つ い て の 知 的 好 奇 心 を刺 激 し、 ま た資 料 的 価 値 が あ る娯 楽 の域 を超 え た も の も少 な くは な い。 金 融 を題 材 に した 洋 画 作 品 は、 経 済 や 商 学 を専 攻 して い る学 生 に とっ て 知 的好 奇 心 を 引 き起 こ して くれ る か も知 れ な い し、 難 病 や 医 学 倫 理 を扱 っ た 作 品 は医 学 生 に好 ま し い だ ろ う。 洋 画 の ジ ャ ンル は広 い の で 、 学 習 者 は 自分 が 興 味 あ る分 野 を描 い た作 品 を見 出 せ るだ ろ う し、 娯 楽 性 が あ り、 ス リル 、 驚 き、 恐 怖 、 興 奮 な ど の感 情 を揺 さ ぶ る作 品 が 多 い の で 自分 の 感 性 に あ った 作 品 を選 び長 期 的 、 生 涯 的 な イ ン プ ッ ト媒 体 と して 付 き合 え る とい う特 長 が あ る。 継 続 的 に統 合 的 動 機 づ け(integrativemotivation)が され 学 習 効 果 が 高 め られ る。 また 、 専 攻 分 野 が 一 致 して い な い大 人 数 の ク ラス で は受 講 生 が 皆 興 味 を持 っ て い る分 野 を選 ぶ こ とは 困難 な た め 、 異 な る分 野 の 作 品 を複 数 使 用 す る な ど工 夫 が 必 要 で あ る。
洋 画 を使 用 して授 業 を受 講 した 学 生 な ど に ア ンケ ー トを実 施 す る と、 そ れ まで 洋 画 に興 味 の な か った 学 生 が ビ デ オ を借 りて きて 見 る よ う に な っ た り、
字 幕 を な るべ く見 な い よ うに した り、台 詞 を 注 意 して聞 くよ う に な っ た な ど、
教 室 外 で の 行 動 に影 響 を与 え て い る こ とが わ か る。EFLの 環 境 下 で は、聴 解 力 の 向上 に は授 業 内 の イ ン プ ッ トだ け で は絶 対 的 に 不 足 して い るた め、 学 習 者 の積 極 的 、 意 識 的 イ ン プ ッ トが 不 可 欠 で あ り、 ビデ オ な どで洋 画 を鑑 賞 す る意 義 は大 き い。 授 業 で 刺 激 され た 学 習 者 が 自発 的 に教 室 外 で 目標 言 語 の イ ン プ ッ トを求 め る よ う な状 況 を 生 む こ と は教 育 の 目標 の ひ とつ で あ る。
2.APPROACHTOLISTENINGACTIVITIESTHROUGHFILMS 2‑1.作 品 の 選 定
洋 画 作 品 の 選 定 に あ た っ て は教 材 と して適 正 とい う教 え る側 の視 点 だ け で は な く、 飽 きず に興 味 を持 っ て見 て い られ る作 品 を 学 習 者 の側 の視 点 も入 れ て 選 び 出 す こ とが 大 切 で あ る。
大 学 の一 般 の 英 語 の授 業 で 洋 画 を活 用 す る場 合 、 カ リキ ュ ラ ム の 形 態(通 年 か 半 期 制)に よ っ て作 品 の 選 定 の 仕 方 に違 い が 出 て くる。また 、毎 時 間 同 じ 作 品 を使 用 す るか 、 違 う作 品 を使 用 す る か に よ っ て違 い が 出 る。 同 一 作 品 を 半 期 ま た通 年 で 使 用 す る場 合 は 、 選 定 者 で あ る教 師 の 嗜 好 が 左 右 す る こ と も あ ろ うが 、受 講 生 の 専 門 分 野 と関 連 づ けてESP4)の 性 質 を帯 び た 授 業 に す る に は、専 門 と関連 した ジ ャ ンル の作 品 を選 定 す る こ とが考 え られ る。例 え ば、
経 済 や 商 学 を学 ぶ 学 生 が 全 員 、 また は多 数 を 占 め る ク ラ スで は 、THEWALL STREET5)な どの よ う な金 融 ドラ マ を選 定 す る こ とが 考 え られ 、 医 学 部 の 学 生 が 対 象 の ク ラス で は 、THEELEPHANTMAN(1980)6)やTHECURE7)な
どの 作 品 が使 用 され 得 る。 この よ う な 同一 の 作 品 を長 期 間 使 用 す る利 点 は 、 まず 第1に 、専 門 と の関 連 で 組 織 だ っ た 語 彙 項 目 を学 習 者 に 提 示 で き る こ と。
第2に 、 全 編 を使 用 す る こ とが 可 能 な の で場 面 間 の 関連 が よ くわ か る こ と。
第3に 、 作 品 の 背 景 、 表 現 な どに つ い て よ り丁 寧 な説 明 をす る こ とが で き る 点 で あ る。 しか し な が ら、 難 点 と して 学 習 者 が 飽 きて し ま う可 能 性 もあ る 。 他 方 で 、 毎 回 作 品 を変 え る こ と も可 能 で あ る。 著 者 は通 年 の授 業 で は、30 の作 品 を使 用 して い る。 そ こで注 意 し な けれ ば な らな い の は、 ジ ャ ンル に偏 りが な い よ う に選 定 す る こ とで あ る。Table1は 、平 成12年 度 の小 樽 商 科 大 学 の1年 生 の 英 語 の授 業 で 使 用 した 作 品 の一 覧 で あ る。
Table1か らわ か る よ う に、1〜3はSF、4〜6は 乗 っ取 り、7〜9は 軍 事 、 10〜12は 米 国 保 安 官 、13〜15は テ ロ リス ト、16〜18は ピーu‑、19〜21は 歴 史 上 の人 物 、22〜24は 恋 愛 、25〜27は コメ デ ィ、28〜30は 災 害 と い うよ う
に3週 間 で 同 一 の ジ ャ ンル の作 品 を3点 使 用 した 。 た だ し、 一 般 的 な ジ ャ ン
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TABLElE107Aの シ ラバ ス に 掲 載 さ れ た使 用 作 品 一 覧 1.E.T.
2.STARWARS 3。INDEPENDENCEDAY
4.AIRFORCEONE 5.EXECUTIVEDECISION 6.UNDERSIEGE2 7.TOPGUN 8.GJ.JANE 9.COURAGEUNDERFIRE 10.THEFUGITIVE
11.US.MARSHALS 12.ERASER 13.DIEHARD2
14.007:TomorrowNeverDie l5.MISSION:IMPOSSIBLE 16.TERMINATOR2 17.BATMAN&ROBIN 18.ROCKEY4 19.JFK
20.THELASTEMPEROR
21.BRAVEHEART 22.GHOST 23.LEON 24.BEAUTY&BEAST 25.BEAN 26.HOMEALONE 27.BABE 28.ARMAGEDDON 29.VOLCANO 30.TWISTER
ル の分 類 法 とし て は 半 分 近 くが ア ク シ ョ ン に分 類 され る もの で あ り、 ドラ マ は少 な い 。 それ は、 選 定 に あ た り受 講 生 の 年 令 を考 えた 結 果 、 活 力 の あ る気 分 が 高 ま る シー ン を 含 ん だ 作 品 を選 定 した た め で あ る。 この よ う に毎 回違 う 作 品 を使 用 す れ ぼ 、同 一 の場 合 と違 っ て 作 品 に飽 き る よ うな こ とは な い 反 面 、 全 編 で は な く部 分 的使 用 に な り、 説 明 等 にお い て も深 みが な くな る懸 念 が あ
る。
2‑2.提 示 シ ー ンの 選 定
作 品 の 選 定 後 は 、 作 品 の どの部 分 を使 用 す る か とい う提 示 シー ン の選 定 作 業 が あ る。 も ち ろ ん 、 これ と は反 対 に あ る特 定 の シー ン を含 ん だ 作 品 を選 定 す る場 合 も あ る。 例 え ば、 仲 直 りす る シ ー ン な どは 多 くの ジ ャ ンル の作 品 に あ る の で ジ ャ ン ル を超 えた 選 定 が で き る 。小 林(1999)は 、洋 画 を使 用 す る場 合 の場 面 選 定 に つ い て 以 下7点 の 基 準 を提 案 して い る。
1)画 像 的 、 言 語 的 に教 育 上 適 切 な シ ー ン 2)盛 り上 が りの あ る 面 白 い シ ー ン 3)聞 き取 りや す い シ ー ン
4)対 話 の 多 い シ ー ン
5)学 習 者 が 将 来 遭 遇 す る 可 能 性 が 高 い シ ー ン 6)頻 度 の 高 い 語 彙 項 目や 構 文 が 使 わ れ て い る シ ー ン
7)教 え た い 、 ま た シ ラバ ス 上 提 示 の 時 期 が 適 切 な 言 語 材 料 が 使 わ れ
て い る シ ー ン
2‑2‑1.画 像 的 、 言 語 的 に教 育 上 適 切 な シ ー ン
極 端 に暴 力 的 ま た は差 別 、 虐 待 、 性 的描 写 、 罵 声 語 、 卑 語 な ど を含 む シ ー ン を避 け るか 、 言 語 上 の 問 題 だ け な らぼ音 声 を カ ッ トす る な どの 考 慮 が 必 要 で あ る。 洋 画 か ら入 るイ ン プ ッ トは画 像 が伴 い 非 常 に印 象 的 で あ るた め、 記 憶 プ ロ セ ス で の記 銘 が 強 く、four‑letterword8)な ど を教 室 外 で面 白半 分 に学 生 が 使 用 す る危 険 が あ る。
2‑2‑2.盛 り上 が りの あ る面 白 い シ ー ン
盛 り上 が る シー ン は 、 深 く印 象 に残 る た め 記 憶 の記 銘 が 深 くな るが 、 そ の 定 義 は作 品 の ジ ャ ン ル に よ っ て異 な る の で注 意 が 必 要 で あ る。 ア ク シ ョ ンな どで は、戦 闘 シ ー ンや 爆 音 が盛 り上 が りの シ ー ン とな るが 台 詞 は少 な く、あ っ て も聞 き取 りに くい。 ドラマ な どで は感 動 的 な シ ー ンで あ り、 静 寂 が 伴 っ た もの で 言 葉 も明確 に聞 こ え るか も知 れ な い。 画 像 と記 憶 の 定 着 を考 慮 す る と や は り記 憶 に残 りや す い 印 象 深 い シー ン で あ り、 か つ リス ニ ン グ の た め に聞
き取 りや す い シー ン が望 ま し い。
2‑2‑3.聞 き取 りや す い シ ー ン
リス ニ ン グ活 動 の た め に洋 画 を使 用 す る場 合 は、 明 確 で 聞 き や す い こ とは 大 切 で あ るが 、 レベ ル に応 じて 時 に はむ し ろ 聞 き取 りが 困難 な シ ー ン を選 ぶ こ と も考 え られ る。 多 くの 教 材 は明 瞭 な発 音 で 学 習 者 の レベ ル を考 慮 した も の で あ るが 、 オ ー セ ン テ ィ ッ ク な教 材 とし て の利 点 を活 か す に は や は り現 実 の言 語 材 料 に近 い も の を提 供 す る こ と も大 切 で あ る。 そ れ に は、 背 景 に爆 音 が あ っ た り、 雑 音 が あ る場 合 だ け で は な く、 感 情 が 昂 っ て発 せ られ た 台 詞 、 怒 鳴 った 台 詞 、 泣 き な が らわ め く台 詞 な ど、 母 語 の 世 界 で体 験 す る あ ら ゆ る 感 情 的 な 発 話 を含 む シ ー ンが 望 ま しい 。
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2‑2‑4.対 話 の 多 い シ ー ン
リ ス ニ ング の 形 態 は、 一 般 に独 話(monologue)と 対 話(dialogue)に 大 別 され る。 前 者 は、 ナ レー シ ョン 、講 義 、 講 演 、 ニ ュ ー ス 、 放 送 な ど一 方 的 に イ ン プ ッ トされ 、 こち らか らの フ ィー ドバ ッ ク の余 地 が 全 くな い シー ン、 後 者 は1名 ま た は 数 名 の 聞 き手 が 存 在 し、 話 者 と聞 き手 の 間 に イ ン タ ー ラ ク
シ ョ ンが あ り、 発 話 の調 整 が 行 わ れ る こ とが あ る。
現 実 の 言 語 使 用 の 場 面 にお い て は 、 独 話 と対 話 の 聞 き取 りの両 方 が あ る の で 、 言 語 材 料 と して は両 方 の形 態 の も の を取 り入 れ る 必 要 が あ る。 しか し、
画 像 と い う洋 画 の 最 大 の利 点 を活 か す に は、 オ ー デ ィオ 教 材 で も済 む比 較 的 視 覚 的 な 教 育 効 果 が 低 い 独 話 よ り も 目線 や 社 会 的 距 離 な ど非 言 語 コ ミュ ニ ケ ー シ ョン上 学 ぶ べ き要 素 の 多 い対 話 を積 極 的 に活 用 す べ きで あ る。
2‑2‑5.学 習 者 が 将 来 遭 遇 す る可 能 性 が 高 い シ ー ン
将 来 学 習 者 が 遭 遇 した り使 用 す る可 能 性 の 高 い 場 面 や機 能 を含 む シー ン を 選 ぶ べ きで あ る 。場 面 的 に は、あ ま りSFや ホ ラー で 見 られ る非 現 実 的 な シ ー ン よ り も、買 い物 、交 渉 、情 報 交 換 、人 間 的 触 れ合 い な ど、現 実 的 な使 用 シ ー ンが 望 ま し い。 映 画 の シ ー ン は多 彩 で あ り、 学 習 者 の ニ ー ズ に応 じた シー ン が ど こか に あ る は ず で あ る。 必 要 な 時 に探 す の で は な く、 普 段 か らメ モ し て お く こ と も大 切 で あ る。 機 能 的 に は 、 質 疑 応 答 、 挨 拶 、 問題 と解 決 、 報 告 と 受 領 、 要 求 と承 認 、 主 張 と同意 ま た は 反 論 、 謝 罪 と許 容 な どの パ タ ー ンの 隣 接 ペ ア を含 む シ ー ンが 望 ま しい 。
2‑2‑6.頻 度 の 高 い語 彙 項 目や 構 文 が 使 わ れ て い る シ ー ン
日常 で よ く使 わ れ る表 現 や構 文 が 提 示 した シ ー ンで 頻 出 す る と学 習 者 は発 話 で使 用 し よ う とす る意 欲 が 湧 くで あ ろ う。 大 学 受 験 等 で学 習 した 型 苦 し い 受 験 英 語 と思 っ て い た 語 彙 や構 文 が 洋 画 の 中 の台 詞 で 確 認 で きた だ け で も学 習 者 は安 心 す る。 また 、 著 者 の 授 業 で は 、 日常 生 活 で の頻 度 の 高 い 表 現 集 を テ キ ス ト9)と して 使 用 して お り、 使 用場 面 と掲 載 語 彙 との 問 に 有 機 的 結 合 が
計 られ る よ うに 工 夫 さ れ て い る。
2‑2‑7.教 え た い、ま た シ ラ バ ス上 提 示 の 時 期 が 適 切 な言 語 材 料 が 使 わ れ て い る シ ー ン
教 材 の 中心 が 洋 画 で は な く、 洋 画 が 補 助 教 材 して 部 分 的 に使 用 さ れ た場 合 もあ る。 例 え ば 、 内 村(1994)は 、 著 書 の 中 で 中学 で 学 習 す る"asAasB"と い うパ タ ー ン に つ い て 、 「ス タ ー ・ウ ォ ー ズ:ジ ェ ダ イ の 復 讐 」 か ら"The EmperorisnotasforgivingasIam"を 紹 介 して い る。 この よ うに、 あ ら ゆ
る文 法 構 造 は現 実 の 使 用 場 面 に非 常 に近 い洋 画 の 台 詞 の 中 に存 在 し、部 分 的 に もそ れ を提 示 す る こ とで 学 習 者 に 強 烈 な 印 象 を映 像 と コ ンテ ス ク と共 に与 え られ る。
2‑3.提 示 時 間 の 選 定
洋 画 作 品1本 の 本 編 の長 さ は お お む ね2時 間 で あ る。 学 習 者 に とっ て2時 間 の 間 に受 け る 目標 言 語 の イ ン プ ッ ト量 は莫 大 で あ り、 字 幕 な しで は理 解 不 能 の 部 分 が 大 半 を閉 め る こ とは明 らか で あ る。作 品 の全 編 は、90分 の 大 学 の 講議 中 に全 編 を見 せ る に は長 過 ぎ る。そ の た め、何 回 か に分 け て 提 示 す るか 、 特 定 の 短 い シ ー ン を見 せ るの 一 般 的 で あ る。 た だ し、 デ ィズ ニ ー制 作 の ア ニ
メ 映 画 の 中 に は90分 を切 る もの が あ り、ぎ り ぎ り1講 義 時 間 に収 ま る作 品 も あ る。
2‑4.提 示 方 法 の 選 定
画 面 に 表 れ る字 幕(英 文 キ ャプ シ ョ ン を含 め て)の 取 り扱 い を基 準 に考 え る と、 以 下9つ の 提 示 方 法 が 考 え られ る。
1)画 像 な し音 声 あ り 2)字 幕 な し画 像 あ り音 声 な し 3)字 幕 な し画 像 あ り音 声 あ り 4)日 本語 字幕 付 き画像 あ り音声 な し
洋 画 を活 用 した リス ニ ング活 動 69 5)日 本語 字幕 付 き画像 あ り音声 あ り
6)英 語字 幕付 き画 像 あ り音 声 な し 7)英 語字 幕付 き画 像 あ り音 声 あ り
8)日 本語 ・英 語字 幕付 き画 像 あ り音 声 あ り 9)キ ー ワー ド字 幕
2‑‑4‑1.画 像 な し音 声 あ り
一 般 に、 画 像 は リス ニ ン グ の手 助 け を して くれ る もの と考 え られ るが 、 同 時 に画 像 に 気 を取 られ 内 容 把 握 が疎 か に な る危 惧 もあ る。近 年 のSFX(特 殊 効 果)を 使 用 し た 洋 画 作 品 な ど は 視 覚 だ け で 十 分 鑑 賞 し た 気 に な っ て し ま
う。 我 々 の五 感 は、 そ れ ぞ れ の瞬 間 に鋭 敏 に な っ て い る もの と鈍 感 に な っ て い る も のが あ る。 ゆ え に 、 シ ー ンの 特 徴 に応 じて 画 像 をカ ッ トした 方 が 適 切 と判 断 で き る場 合 が あ り得 る の で あ る。
聴 覚 に全 神 経 を集 中 さ れ 内 容 理 解 に努 め さ せ るだ け が 、 画 像 を カ ッ トす る 理 由 で は な い 。 後 に述 べ る あ らか じ め リス トア ッ プ した語 彙 項 目 の認 識 の タ ス クで は、 学 習 者 は配 付 され た ハ ン ドア ウ トにチ ェ ック を入 れ る。 この 時 ど う し て も 目 が 画 面 とハ ン ドア ウ トの 間 を慌 た だ し く往 復 し な け れ ば な ら な い 。 実 際 、著 者 の ク ラ ス で は映 像 の 方 に引 き込 まれ て チ ェ ッ ク しな くな る学 生 が 目立 ち 、 学 期 途 中 か ら まず 画 面 な し で音 声 を聞 か せ る方 法 に切 り替 え た
け い い
結 果 、 ほ ぼ全 員 が ハ ン ドア ウ トを見 る よ う に な った 経 緯 が あ る。
2‑4‑2.字 幕 な し画 像 あ り音 声 な し
画 像 を見 せ る一 方 で音 声 を与 え な い の は、 そ の シ ー ンで 話 され て い る内 容 や 発 話 を想 像 させ る場 合 に よ く使 わ れ る。 怒 っ て い る男 が何 を叫 ん で い る の か な ど、学 習 者 の 経 験 と照 ら し合 わ せ 推 測 す る タ ス ク(task)を 行 わ せ る。ま た 、 あ らか じめ リス トア ッ プ した語 彙 項 目 な どが どの部 分 で 誰 が 言 っ て い る の か を推 測 す る タ ス ク も可 能 で あ る。 これ は 口 の 動 きか ら発 話 を読 み 取 る読 唇 術 の よ うな 高 度 な技 術 を要 求 また は期 待 して い る の で はな く、 コ ンテ ク ス
トと発 話 を結 び 付 け られ る よ うに す る練 習 で あ る。
日本 で は 、 映 画 館 で 上 映 され る洋 画 や 市 販 され て い る ビデ オ ソフ トに は例 外 な く 日本 語 の 字 幕 が付 い て い るた め、 教 材 とし て洋 画 を使 用 す る場 合 に厄 介 な存 在 とな る こ とが あ る。 字 幕 に釘 付 け に な っ て し まい 音 声 か ら内 容 を把 握 させ る タ ス クが で きな くな っ て し ま う。 卓 上 に小 型 モ ニ ター が 設 置 され た 教 室 で は画 面 の 下 の 方 に何 らか の覆 い を す る こ とが で き るが 、 ひ とつ の 大 画 面 を全 員 に 見 せ る と こ ろで は そ う はい か な い 。 その た め 、 米 国 で市 販 され て い る 日本 語 字 幕 の な い ビデ オ ソ フ トを現 地 で購 入 す る か イ ン タ ー ネ ッ トで 注 文 し入 手 す る こ とが 考 えれ るが 、他 に デ コー ダ ー を う ま く調 整 す る方 法10)が あ る。
2‑4・‑3.字 幕 な し画 像 あ り音 声 あ り
これ は ま さ に米 国 の映 画 館 で 洋 画 を見 る時 の状 態 で あ る。 の ち に紹 介 す る リス ニ ン グ活 動 で は この状 態 で 提 示 す る こ とが 基 本 とな る。著 者 はゼ ミ11)で 時 折 こ の状 態 の ビ デ オ ソ フ トを全 編 見 せ 、 聞 き取 った 語 彙 項 目 を書 き取 らせ
るタ ス ク を行 うが 、 日本 語 字 幕 の時 と違 い話 の 展 開 が 理 解 で き な くな る者 が 出 て くる。 しか し、 同 時 に字 幕 に釘 付 け さ れ て 、 い か に映 像 を見 落 と して い
るか 実 感 す る者 も少 な くな い 。
全 編 を見 せ る際 の提 示 方 法 と して著 者 が 基 準 と し て い るの は、 学 生 が 何 度 も見 て い る と思 わ れ る人 気 作 品 に つ い て は、 この 字 幕 な し画像 あ り音 声 あ り の提 示 法 と し、 そ の反 対 に あ ま り知 られ て い な い 作 品 は、 日本 語 字 幕 を提 示 す る こ とに して い る。
2‑4‑4.日 本 語 字 幕 付 き画 像 あ り音 声 な し
これ は 日本 語 を字 幕 を見 て どの よ う な英 語 が使 わ れ る か を予 想 して か ら音 声 付 き の画 像 を見 る場 合 に使 え る。 台 詞 ご とに一 時 停 止 し 日本 語 字 幕 をオ リ ジ ナ ル の英 語 台 詞 を再 生 す る和 文 英 訳 の 演 習 が 可 能 で あ る。 た だ し、 字 幕 の 場 合 は、一 般 の和 文 英 訳 に よ う に は行 か ず 、小 林(2000)が 分 析 し た よ う に字 幕 の類 型 は 多 彩 で あ り、正 確 さ よ り明 瞭 性 を追 求 す る性 質 が あ る た め に 適 切
洋 画 を活 用 した リス ニ ング活 動 7ヱ
で あ るか ど うか の 判 断 は、 洋 画 を活 用 した 英 語 教 育 の 実 践 者 の 判 断 に委 ね ら れ る。
2‑‑4‑5.日 本 語 字 幕 付 き画 像 あ り音 声 あ り
日本 の 映 画 館 で の 上 映 作 品 や 市 販 ・レ ン タル ビデ オ ソ フ トの も っ と も一 般 的 な形 態 で あ る。 字 幕 は タ ス クの 内容 に よ っ て は邪 魔 もの に な るが 、 同 時 に 全 編 を 見 せ る場 合 に は理 解 の手 助 け とな る もの で あ り、 興 味 を持 続 させ て く れ る もの な の で使 い 方 が 大 切 で あ る。 米 国 で 公 開 され た 作 品 の 全 て が 日本 で ビ デ オ ソ フ トとな り日本 語 字 幕 を付 け られ て い るわ けで は な い の で 、 字 幕 を 入 れ る装 置(キ ャ プ シ ョ ン ・エ ン コ ー ダ ー)を 使 用 して 教 師 が準 備 す る こ と も 考 え られ る。
2‑4‑6.英 語 字 幕 付 き画 像 あ り音 声 な し
学 生 に 不 明 な語 彙 項 目 を辞 書 等 で 事 前 に 調 べ させ 十 分 準 備 して か ら、また 、 台 詞 が実 際 ど の よ う に発 話 さ れ 、ス トレ ス(stress)の 位 置 や イ ン トネ ー シ ョ ン(intonation)を あ らか じめ 予 測 させ て か ら見 せ る場 合 に活 用 で き る。
2‑4‑7.英 語 字 幕 付 き画 像 あ り音 声 あ り
これ は リス ニ ン グ を助 長 させ る手 段 と して 音 声 を 聞 か せ な が ら視 覚 的 に確 認 させ る 時 に使 用 す る形 態 で あ るが 、 ず っ と 目 を字 幕 に釘 付 け に させ 速 読 の 訓 練 を さ せ る こ と も可 能 で あ る。 また 、 不 明 の 語 彙 項 目 を書 き取 らせ た り、
後 述 す る特 定 語 彙 の書 き取 りタ ス ク な どに も活 用 で き る。
2‑4‑8.日 本 語 ・英 語 字 幕 付 き画 像 あ り音 声 あ り
あ る一 定 の タ ス ク の 終 了 後 に 内容 理 解 の確 認 の た め に台 詞 ご と に一 時 停 止 し て解 説 す るの に便 利 で あ る。 と こ ろが 、 全 編 に この提 示 法 を適 用 す る と 日 本 語 と英 語 の 字 幕 で 画 面 の大 半 が 隠 れ て し まい 不 安 感 が つ の る上 、 激 し い 眼 球 疲 労 を起 こす の で 注 意 が 必 要 で あ る。 また 、 日英 語 の比 較 に は格 好 の形 態
で あ り、 言 語 的比 較 に留 ま らず 、 文 化 比 較 に も発 展 し得 る もの で あ る。
2‑4‑‑9.キ ー ワ ー ド字 幕
キ ー ワー ド字 幕 は、 役 者 が発 話 す る 台 詞 を ク ロ ー ズ ド ・キ ャプ シ ョ ンの よ う に一 字 一 句 提 示 す る の で はな く、 そ の シー ンの 要 とな る重 要 語 彙 項 目 を選 抜 して提 示 す る形 態 で あ る。
菊 池(1998)は 、高 校 生 を対 象 に 実験 を行 い 、英 語 音 声 と英 語 字 幕 を 同 時 に 提 示 す る こ とは 、情 報 処 理 上 の 負 担 が大 き い と し、 キ ー ワ ー ドの 提 示 に と ど め る こ とで 、 視 覚 の 軽 減 の分 が 聴 覚 に 向 け られ る と主 張 して い る。 キ ー ワー ドを英 語 音 声 よ り早 め に提 示 す る こ とで 聞 き手 の 内面 に 内容 ス キ ー マ(con‑
tentschema)を 形 成 させ る こ とが で き る とい う。
2‑5.リ ス ニ ン グ活 動 に 求 め ら れ る5原 則
そ れ ぞ れ の タ ス ク を紹 介 す る前 に リス ニ ン グ活 動 を評 価 す る上 で 忘 れ て は い け な いRichards(1987)が 体 系 化 した 基 準 につ い て触 れ た い。同 氏 は 、リス ニ ン グ活 動 の 善 し悪 し を評 価 す るた め の5つ の 基 準 を示 して い る(以 後 本 稿 で は 「Richardsの5原 則 」 と呼 ぶ)。
TABLE2Richardsの5原 則
原則1 原則2 原則3 原則4 原則5
"C
ontentvalidity"(内 容 の 妥 当 性)
"Li
steningcomprehensionormemory"(聴 解 力 な の か 記 憶 力 な の か)
"Purposef
uInessandtransferability"(目 的 と移 転 性)
"T
estingorteaching"(試 験 か 指 導 か)
"A
uthenticity"(本 物 で あ る か)
原 則1は 、 あ る リ ス ニ ン グ 活 動 が 本 当 に"listeningcomprehension"(聴 解 力)の 練 習 に な っ て い る か と い う 基 準 で あ る 。同 氏 は 、従 来 の リ ス ニ ン グ 教 材 に は 、 出 来 具 合 が 聴 解 力 よ り も読 解 力 や 知 能 に 影 響 さ れ る 演 習 が 多 い こ と を 指 摘 し て い る 。
洋 画 を活 用 した リスニ ング活 動 73
原 則2は 、 聴 解 力 そ の も の よ り も長 期 記 憶(10ng・termmemory)に 依 存 す る も の に な っ て は な ら な い と い う 基 準 で あ る 。 悪 い 例 と し て 、 一 定 の 長 さ の 文 章 を 聞 か せ た 後 のTrueorfalse(内 容 真 偽 判 定)形 式 の タ ス ク の 例 を あ げ て 以 下 の よ う に 述 べ て い る 。
Forexample,asetoftrue/falsequestionsfollowingapassageon atapemightindicatehowmuchofthematerialthelearnercan remember,butthiskindofactivityinnowayhelpsthelearner developtheabilitytograspmainideasorextractrelevantdetails.
(P.171)
この 点 に つ い て は、 今 もな お 多 くの教 材 が 改 善 に至 っ て い な い こ とが わ か る。
原 則3は 、 教 室 内 の 活 動 そ の もの が 実 際 の生 活 の 中 に あ りう る リス ニ ン グ の場 面 の 目的 に合 致 した もの で あ る か とい う基 準 で あ る。 例 え ば、 テ レ ビ の ニ ュ ー ス を教 材 に使 用 す る場 合 、 ニ ュ ー ス を聞 く現 実 の世 界 で の 目的 は情 報 の入 手(1isteningforinformationaboutevents)で あ る の に 、 空 欄 穴 埋 め な どの演 習 をす る の は、 本 来 の 活 動 の 目 的 に合 致 して い な い こ と に な る。 今 日 の リス ニ ン グ教 材 の 中 に は 、 この 基 準 を あて は め る と不 合 格 にな る もの が 少 な くな さ そ うで あ る。
原 則4は 、 リス ニ ン グ活 動 が 指 導 で はな く試 験 の よ うに な って し まっ て い な い か とい う基 準 で あ る 。 試 験 の よ う に な ら な い よ う に す る に は、pre‑
listeningactivitiesを 充 実 させ る こ とが 大 切 で あ り、 そ の 手 法 と し て デ ィ ス カ ッ シ ョ ン、 質 疑 応 答 、背 景 知 識(script)を 高 め るた め に シー ンや 登 場 人 物 に 関 す る情 報 が 書 か れ た 短 い段 落 を読 ませ る な どの タ ス ク を奨 励 して い る。
ま た 、 さ らに重 要 な の は 、
Activitieswhichteachratherthantestmayrequiremuchmoreuse ofpre‑1isteningtasksandtaskscompletedasthestudentlistens, thanpost‑listeningtasks.(p.172)
の 一 節 の 後 半 部 分 に あ る よ う に 、 リ ス ニ ン グ を し な が ら完 了 す る"complete whilelisteningtask"(p.174)を 導 入 す べ き で あ る と い う 点 で あ る 。 す な わ ち 、 後 述 す る 内 容 に 関 す る 質 疑 応 答 や 多 義 選 択 な ど の 出 来 具 合 い が 、 記 憶 力 に 依 存 し な い よ う に 、 前 も っ て 提 示 し て か ら 行 う べ き で あ る 。 同 氏 は 、 こ の 点 に つ い て 以 下 の よ う に 明 確 に 解 説 し て い る 。
Byposingthetaskbeforethestudentslistentothetape,the listenersaregivenapurposeforlisteningwhichforcesthemto focusonselectedinformation.'Theycanalsocompareinforma‑
tiontheyhearwithinformationtheyobtainedfromtheirpre‑
1isteninggroupdiscussions.(P.174)
同 様 に 、Ur(1984)もpre‑listeningactivitiesの 重 要 性 を 以 下 の よ う に 述 べ て い る 。
Hearddiscoursewhichcorrespondscloselytowhatthelistener expectsandneedstohearisfarmorelikelytobeaccurately perceivedandunderstoodthanthatwhichisunexpected,irrelevant orunhelpfu1.Thusitwouldseemagoodideawhenpresentinga listeningpassageinclasstogivethestudentssomeinformation aboutthecontent,situationandspeaker(s)beforetheyactually startlistening.(P.4)
この 点 、実 用 英 語 検 定(STEP)、TOEFLやTOEICな どの リス ニ ン グ問 題 の 多 くは 旧態 依 然 と して お り、post‑listeningの 段 階 で 導 入 され て い る。波 及 効 果 とし て 、 受 験 準 備 を進 め る学 習 者 は、 依 然 とし て記 憶 力 に依 存 した 練 習
を積 ま ざ る を得 な い状 況 に あ る。
原 則5は 、 イ ン プ ッ トされ る 目標 言 語 が 自然 な デ ィ ス コー ス に どれ くら い 近 い か とい う基 準 で あ る。 これ に つ い てRichards(1987)は 以 下 の よ う に主
張 して い る。
Whilemuchauthenticdiscoursemaybetoodisfluentordifficultto understandwithoutcontextualsuport,materialsshouldaimfor
洋 画 を活 用 した リス ニ ン グ活 動 75 relativeauthenticityiftheyaretopreparelistenersforreallisten‑
ing.(p.172)
こ の 点 、 洋 画 を 教 材 に 選 ぶ こ と は 利 に か な っ て い る と 思 わ れ る 。 前 に も述 べ た 洋 画 の 英 語 は 本 物 で あ っ て も現 実 と は 限 ら な い と い う 指 摘 に っ い て も、
こ の 一 節 で"relativeauthenticity"と 述 べ て い る こ と か ら も 認 容 で き る も の と 考 え ら れ る 。
同 氏 は 以 上 の 点 を 踏 ま え た モ デ ル を 提 示 し て い る が 、 簡 潔 に ま と め る と Table3に あ る 手 順 と な る(以 下 を 「Richardsの リ ス ニ ン グ モ デ ル 」と 呼 ぶ)。
TABLE3Richards'ListeningModel STEPl
STEP2 STEP3 STEP4 STEP5 STEP6 STEP7
内容 の大 筋 を問 う2、3の 質 問 を リス ニ ング活 動 前 に 口頭 で提 示 す る。
1度 テ ー プ を聞 かせ なが ら、質 問 の答 えを用 意 させ 、解 答 す る。
よ く細 部 の情 報 を問 う質 問 を 多義 選 択 式 で提 示 す る。
再 度 テ ー プ を聞 か せ なが ら質 問 の解 答 をさせ 、 解 答 す る。
今 度 は 、 内容 真偽 判 定 の 問題 を い くつ か提 示 す る。
再 度 テ ー プ を聞 かせ なが ら質 問 の解 答 をさせ 、 解 答 す る。
最 後 に語 彙 に関 す る解 説 を詳 し く行 う。
以 下 、 本 原 稿 で はRichardsの5原 則 、 特 に 前 出 の"completewhilelisten‑
ingtask"を 踏 ま え た 洋 画 を 活 用 し た リ ス ニ ン グ 活 動 を 紹 介 し て い く。
3.DESIGNFORHSTENINGACTIVITIESTHROUGHFILMS
洋 画 を活 用 した リス ニ ン グ 活 動 を体 系 化 す る と以 下 のFigure1の よ う に な る。
3‑1.全 体 提 示(wholepresentation)
一 切 の 指 示 な く2時 間 程 度 た だ 黙 っ て 作 品 全 編 を鑑 賞 さ せ るだ けで もあ る 程 度 の 学 習 の効 果 は期 待 で き るか も知 れ な い が 、 そ れ は学 習 者 の 個 人 的 な 時 間 に で も可 能 で あ る。 教 室 とい う指 導 者 や 他 の学 習 者 が 存 在 し交 流 で き る利
FIGURE1洋 画 を活 用 した リス ニ ン グ 活 動 の 体 系
一 く作品評価く 醤 舞価
全体 提示
音声認識
演一 く 難 描写
無作為 聞 き取 り
提示
特定語句 聞 き取 り
内…<灘 判定
一くlll
機能別く 嘉婁語
一 く1 ,
部分提示
音声認識
無作為聞 き取 り 特定語句聞 き取 り
リス ト語句 の認 識 特定語句 に対 す る身体反応 空欄穴埋 め書 き取 り 相違箇所 の修正 語彙演習 と空欄穴 埋め 聞 き取 り語句 の選択 英文 の書 き取 り
点 を 活 か す に は 、 な ん ら か の タ ス ク を 学 習 者 に 課 す こ と が 大 切 で あ る 。 目 的 に 応 じ て 内 容 理 解(comprehension)の た め の タ ス ク と音 声 認 識(auralper‑
ception)の た め の タ ス ク に 二 分 さ れ る 。
洋 画 を活 用 した リスニ ング活 動 77
3‑1‑1.内 容 理 解(comprehension)
内容 理 解 は リス ニ ン グ活 動 の 中 心 で あ り、 た だ 単 に空 欄 穴 埋 め式 の 聞 き取 りな どの 音 声 認 識 に終 始 して い る と、 学 習 者 は 言語 の 記 号 だ けの 認 識 ぼ か り 気 に し、 記 号 に よっ て エ ン コー ドさ れ た情 報 を デ コー ド し理 解 す る プ ロ セ ス が 疎 か に な る。 後 述 す る音 声 認 識 は あ くまで の 内容 理 解 の た め の プ ロ セ ス で あ り、 そ れ 自体 が 学 習 の 目 的 で は な い 。 内 容 を理 解 す る タ ス ク は、 作 品批 評
と演 習 中 心 の タ イ プ に分 け られ る。
3‑1‑1‑1.作 品 評 価 タ ス ク(evaluationtasks) 3‑1‑1‑1‑1.総 合 評 価(holisticevaluation)
全 般 的 な 作 品 の 善 し 悪 し を 自 由 に 論 じ る 質 的 な 評 価 で あ る 。 全 体 評 価 は 、 日 本 語 ま た は 英 語 で ペ ア ・ワ ー ク ま た は グ ル ー プ ・ワ ー ク で 論 じ さ せ た り、
感 想 文 や 批 評 文 を 書 か せ る な ど のpost‑viewingactivitiesで 行 う こ と が で き る 。
自 由 に 論 じ さ せ る と 言 っ て も 、 学 期 開 始 時 に は 、 あ る 程 度 の 指 示 を 与 え 、 タ ス ク の 内 容 を 明 確 に す る 必 要 が あ る 。 そ の 場 合 は 、Figure2に あ る よ う な 質 問 を 事 前 に 伝 え た り、ハ ン ド ア ウ ト に 記 し て 配 布 す る こ とが で き る 。 ま た 、 う ま く 書 け た 文 章 を コ ピ ー し 授 業 で 配 付 し 他 の 学 生 の 参 考 に さ せ る の も よ い 。 さ ら に 、イ ン タ ー ネ ッ ト上 の 映 画 資 料 サ イ ト(u.s.imdb.com/)で 公 開 さ れ て い る 英 語 母 語 話 者 の 作 品 コ メ ン トな ど を 授 業 中 に 提 示 し 、 批 評 文 の 特 徴 な ど を 教 え る こ と も可 能 だ 。
FIGURE2総 合 評 価 の た め の 質 問 シ ー ト 1)Whatdoyoulikeaboutthisfilm?
2)Whatdoyoudislikeaboutthisfilm?
3)Whichsceneimpressedyoumostandleast?
4)Ifyouhadachancetoactinthisfilm,whichrolewouldyotlliketoplay?
5)Ifyoucouldchoosecastfreely,whowouldyouliketouseinthefilm?
6)Ifyouwerethedirector,howwouldyouimprovethisfilm?
7)Whatdoyoulearnfromthisfilm?
3‑1‑1‑1‑2.項 目別 評 価(itemizedevaluation)
項 目別 評 価 は 、 あ らか じめ評 価 の基 準 とな る項 目 を知 らせ て お き、 鑑 賞 中 や 鑑 賞 後 に完 成 させ る量 的評 価 の形 態 で あ る。Figure3は 著 者 が 実 際 に大 学 の授 業 で使 用 して い る洋 画 評 価 シ ー トで あ る。全 体 で10の 項 目か らな り、各 項 目 の 内 容 に同 意 す る か 否 か を度 合 い に応 じ て1か ら10ま で の ス ケ ー ル で 選 ん で も ら う。 慣 れ な い うち は何 を基 準 に選 べ ば よい の か戸 惑 う もの だ が 、 何 本 と鑑 賞 を重 ね て い く うち に既 に見 た 作 品 の評 価 との比 較 を通 じ て判 断 の 精 度 が 高 ま っ て い くも の と考 え られ る。 これ らの項 目 は細 分 化 され て い るが 作 品 を見 る時 に単 に 受 動 的 に 流 され る の で は な く、積 極 的 な 姿 勢 で 鑑 賞 す る 習 慣 が 身 に付 く こ とで 集 中力(concentration)が 高 ま りの 結 果 と して 情 報 の 取 り こぼ しが 減 り内 容 理 解 が 高 ま る もの と期 待 さ れ る。
3‑1‑1‑2.演 習 中 心 タ ス ク(exercise‑basedtasks)
鑑 賞 中 ま た は 鑑 賞 後 に 形 態 で あ り、 タ ス ク の 内 容 と 目 的 に よ り作 品 の 聞 き 方 も変 わ っ て く る 。 こ こ で は 以 下2つ の タ ス ク を 紹 介 す る が 、 他 に も さ ま ざ
ま な 手 法 が あ る は ず で あ る 。
3‑1‑1‑2‑1.内 容 に関 す る質 疑 応 答(Q&A)
事 前 に話 の 筋(plot)や 展 開 に 関 す る質 問事 項 を シ ー トに ま とめ配 布 し、全 編 の 鑑 賞 後 に答 え合 わ せ す る 方 法 で あ る 。 質 問 は あ くまで も内容 理 解 や 話 の 展 開 の把 握 だ けで 解 答 可 能 な もの にす べ きで あ る。 言語 に依 存 せ ず と も画 像 か ら一 目瞭 然 で あ っ た り、 一 般 知 識 か ら容 易 に推 測 で き る もの は 不 適 切 で あ る。 また 、長 期 記 憶 に依 存 しな い よ う に鑑 賞 中 に解 答 す る よ う指 示 す る こ と が 大 切 で あ る。 さ らに 、2時 間 の 作 品 の一 部 に解 答 や ヒ ン トが 集 中 し な い よ
う に注 意 す べ きで あ る。
質 問 内容 は、作 品 に よ っ て さ ま ざ まで あ るが 、5WIHの 方 式 の もの が 中心 とな る だ ろ う。 ま た 、 多 義 選 択 形 式 に す る こ と も可 能 で あ る。Figure4は GHOSTを 全 編 見 せ た 時 に配 布 可 能 な タ ス ク シー トで あ る。
洋 画 を活用 した リス ニ ン グ活動
FIGURE3洋 画 作 品 評 価 シ ー ト
79
Howwoulayouevαluαte
TITLE:
DIRECTER:
CAST:
thismovie?
(year: )
PRODUCTION:
YOURNAME
123
1:Asawhole,thismovieisexcellent.
4567
(1.D。
89
)DEP:E/C/L/M/TYear:F/S/J/S
10
←stronglydisagree▲
2:Thismovieislively.
123456
stronglyagree→
78910 3:Thismovieisfun.
12345 6 7 8 9 10
4:Thismovieiswellorganized.
1234567 8 9 10
5:Thismovieisinformative.
12345'67 8 9 10
6:Thismovieisboring.
123456 7 8 9 10
7:ThismovieistooIong.
123456 7 8 9 10
8:Thismovieistoocomplicated.
1234567 8 9 10
9:Iwouldliketoseethismovieagain.
12345678 9 10
10:Iwouldliketomeettheactorsandactresses.
12345678910
COMMENT
Catchwords&Phrases!
FIGURE4洋 画GHOSTの 内 容 に 関 す る質 問 シ ー ト 1)Whowaskilled?
a)Carolb)Samc)Mollyd)Odamei 2)Wherewashekilled?
a)intheaUeyb)inthesubwayc)intheelevatord)intheroom 3)Whenwashekilled?
a)inthemorningb)atnoonc)atduskd)atnight 4)Howwashekilled?
a)stabbedb)shotc)chokedd)hit 5)Whatwasthenameofthekiller?
a)OdameiBrownb)CarolLopesc)WilliamClarkd)BillRobinson 6)Whywashekilled?
a)forhonorb)forrevengec)formoneyd)fornoreason
これ らの 質 問 は、す べ てSamの 殺 害 に 関 す る質 問 で あ り、殺 害 現 場 が 作 品 の 開始 時 に あ るの で 、 時 間 的 に作 品 の 一 部 に解 答 や ヒ ン トが 集 中 して い る よ う に 思 わ れ るが 、殺 害 現 場 の シー ンで確 認 で き るの は1)、2)、3)、4)の み で あ り、5)と6)は 作 品 の 後 半 を見 て 初 め て解 答 で き る もの で あ る。 こ の よ うに複 数 の質 問 を並 べ る場 合 は、 質 問 の性 質 や 言 語 的 特 徴 に基 づ い て 羅 列 す る の で は な く時 間 順 に解 答 可 能 な配 置 にす べ きで あ る。
以 上 の 質 問 の答 え は、上 映 後 に す ぐ与 え ず 、まず はペ ア ワー ク ま た は グ ル ー プ ワ ー クで 確 認 させ て か ら誰 か を指 名 して ク ラ ス 全 体 の前 で 答 え させ る。 こ の際 、 ク ラ ス の レベ ル に応 じて す べ て英 語 で 行 っ た り、 部 分 的 に英 語 で 行 う こ と も考 え られ る。
また 、 正 解 を よ り効 果 的 に 確 認 す るた め に、 答 え とな る シー ン を時 間 順 に 編 集 した テ ー プ をあ らか じめ 用 意 して お き手 際 よ く提 示 す る と よ い。 巻 き戻 し再 生 の 作 業 は時 間 を浪 費 す るだ け で は な く、 授 業 の 流 れ を狂 わ せ る こ と も あ る の で 、 この種 の 準 備 は万 端 に しな くて は な らな い 。
洋 画 を活 用 した リス ニ ン グ活 動 81
3‑1‑1‑2‑2.登 場 人 物 を 描 写 す る(describingcharacters)
こ れ は 著 者 が ゼ ミ で12ANGRYMEN(1957)の 全 編 を 鑑 賞 さ せ た 時 に 与 え た タ ス ク で あ る 。Figure5に あ る著 者 手 書 き の ハ ン ドア ウ ト を 配 付 し た 。 こ れ と 同 時 に 人 物 を 記 述 す る に 用 い ら れ る 形 容 詞 の リ ス ト12)(AppendixIV 参 照)も 配 布 し 、 そ こか ら登 場 人 物 に 合 っ た 形 容 詞 を 無 制 限 に 選 出 し て も ら
う 。 こ れ を 週1回 の ゼ ミ で 毎 回 行 え ば 、 リ ス トの 中 の か な りの 項 目 が 学 習 で き、 発 信 語 彙 へ と 発 展 す る こ とが 期 待 さ れ る 。
3‑1‑2.音 声 認 識(auralperception)
内容 理 解 と違 い 、 音 声 認 識 タ ス ク の 主 た る 目 的 は、 特 定 の音 、 音 の連 結 、 イ ン トネ ー シ ョ ンな どを特 定 す る練 習 をす る もの で あ り、 視 覚 的 な ヒ ン トや 文 脈 の ヒ ン トは排 除 さ れ る か 最 小 限 に抑 え られ る も ので あ る。(Ur,1984)ま た 、 あ くま で も音 声 認 識 の能 力 を問 う もの で あ っ て 語 彙 知 識 を問 う もの に な
らな い よ う に対 象 と な る語 彙 項 目 の選 定 は極 力 既 習 の 平 易 な も の とす べ きで あ る。 認 識 を確 認 し記 録 す る方 法 に よっ て 、 無 作 為 聞 き取 り と指 定 語 句 聞 き 取 りの た め の タ ス クの2つ の タ イ プ に分 類 で き る。
3‑1‑2‑1.無 作 為 聞 き取 り(unlimitedlistening)
認 識 で き た語 彙 項 目 を全 て 書 き取 らせ る タ ス ク で あ る。 また 、 書 き取 っ た もの に対 し て何 らか の フ ィー ドバ ック を与 え る べ きで あ る が 、 す べ て の 学 生 に対 して個 別 化 した フ ィ ー ドバ ッ ク を与 え る は 困難 な た め、 ペ ア ワー ク や グ ル ー プ ワー ク で 出 来 具 合 い を お 互 い に確 認 させ る 時 間 を必 ず 取 る よ う に した い 。 そ の 際 で き る だ け同 じレベ ル の 学 生 同 士 が 一 緒 に な る よ う にす る こ とが 理 想 で あ る。 レベ ル が 分 か らな い 場 合 は 、 学 期 の始 め 頃 に1度 書 き取 っ た も の を提 出 させ 、 そ れ を診 断 テ ス ト と して活 用 し 出来 具 合 い に応 じて ク ラ ス 全 体 を数 グ ル ー プ に分 け る方 法 も あ る。
他 の フ ィー ドバ ッ ク の与 え 方 は、 何 人 か の 学 生 に板 書 して も ら う方 法 で あ るが 、た くさ ん 書 き取 っ て い る学 生 と そ うで な い 学 生 との差 が 大 き過 ぎ る と、
FIGURE512ANGRYMENの 人 物 表 現 用 シ ー ト
の 〆 鰯
︑しン
総
闘
;竃{
甥
〈ス し斥!く
喬
④
略願鳶
の需 地
駐
@
⑨
欝2鰯
⑰
轡傭樹 司盆.揚
落 胆 す る学 生 が 出 て くる の で 、 そ の タ イ ミ ン グ の判 断 が 重 要 で あ る。
上 級 者 にす べ て の語 句 を書 き取 りを課 せ ば、 切 りな い ほ ど書 き取 れ て し ま う の で 、 セ ン テ ン ス単 位 で 認 識 で きた もの だ け を書 き取 る な どの よ り高 度 な
洋 画 を活 用 した リスニ ング活 動 83
指 示 を 出 す とよ い。 著 者 は時 折 ゼ ミで この 手 法 を取 り入 れ て い るが 、 半 年 、 1年 と過 ぎ る ご とに着 実 に書 き取 っ て い る項 目が 増 えて い る こ とが わ か る。
3‑1‑2‑2.指 定 語 句 の 聞 き取 り(focusedlistening)
無 作 為 で はな く特 定 の 種 類 の語 彙 項 目 をあ ら か じめ 指 定 して か ら書 き取 ら せ る方 法 で あ る。2時 間 の 問 に イ ン プ ッ トされ る言 語 資 料 は膨 大 で あ るが 、 聞 き取 りの対 象 を限 定 す る こ とで 集 中 力 が維 持 さ れ る と考 え られ る。 ま た 、 この 方 法 で も実 際 は2時 間 ず っ と神 経 を集 中 す る こ と は無 理 で あ り、 著 者 が ゼ ミで 行 っ て きた 経 験 か ら は、30分 〜1時 間後 に は 多 くの 学 生 が 書 き取 りを や め て し ま うの で 、後 述 す る5〜10分 位 の部 分 提 示 で行 う方 が 適 切 で あ る場 合 もあ る。
リス ニ ン グ で は、 連 続 して 聞 こ えて くる音 声 を意 味 あ る単 位 に 心 の 中 で分 け る"segmentation"(Richards,1987:162)が 意 識 、 無 意 識 の うち の 行 わ れ て い る。一 端 心 的 なsegmentationさ れ た個 々 の 部 分 は 、語 彙 的 、統 語 的 ラベ ル 化 の い ず れ か が 、 また は両 方 が ほ ぼ 同 時 に行 わ れ る 。 個 々 の要 素 の 語 彙 的 ラベ ル 化(1exicallabeling)だ け で は、 お お よ そ の メ ッセ ー ジ は 理 解 で き て も正 確 さ に欠 け る。 個 々 の 要 素 の統 語 的 ラベ ル 化(structurallabeling)だ け で は構 造 が わ か るだ け で意 味 は不 明 で あ る。 個 々 の 要 素 は 、 そ の語 彙 的 な意 味 と他 の語 との 統 語 関 係 が 同 時 に理 解 さ れ る こ とで 記 号 解 読 作 業 が 完 了 す る。 指 定 語 句 の 聞 き取 り作 業 は そ の プ ロセ ス を促 進 す る一 助 に な る と考 え ら れ 、以 下3つ の レベ ル に分 け られ る 。
第1は 、 特 定 の 品 詞 を聞 き取 らせ る方 法 で あ る。 動 詞 、 形 容 詞 、 副 詞 、 冠 詞 な どが 考 え られ る。 品 詞 の ラベ ル化 は、 文 の 中 で の そ れ ぞ れ の機 能 を特 定
し正 確 にセ ン テ ンス の 意 味 を理 解 す るた め に不 可 欠 な プ ロ セ ス で あ る。
第2は 、特 定 の 機 能 を持 つ語 彙 項 目 を聞 き取 らせ る方 法 で あ る。「主 語 」「動 詞 」 「目 的語 」 「補 語 」 な ど を聞 き な が ら ラベ ル化 す る こ とで 文 構 造 と意 味 を 理 解 で き る よ うに な る。
第3は 、 特 定 の ジ ャ ン ル の 語 彙 項 目 を聞 き取 らせ る方 法 で あ る。 数 字 や 曜
日、 動 物 の 名 前 な ど の ジ ャ ンル を指 定 して 行 う方 法 で あ る。 ジ ャ ンル 別 の 聞 き取 りは、 現 実 の 目標 言 語 使 用 の 際 に必 要 な時 が あ る。 例 え ば 、 米 国 の グ レ イハ ウ ン ドバ ス の バ ス デ ィー ポ で は、 乗 り場 の変 更 な どの放 送 が か か る こ と が あ るが 、 そ の よ う な場 合 数 字 は聞 き漏 らせ な い情 報 で あ る。 同様 に、 リー デ ィ ング で は、 薬 の 注 意 書 きな どは量 を正 確 に か つ 即 座 に知 る必 要 が あ る。
す な わ ち 、 タ ー ゲ ッ ト とす べ き情 報(targetinformation)と 周 辺 の 情 報 (peripherralinformation)の 聞 き分 け が必 要 な わ け だ が 、 この タ ス ク に よ っ て そ の 訓 練 が で き る も の と考 え られ る。 あ らゆ る ジ ャ ンル の 中 で 数 字 が も っ と も顕 著(salient)で あ り、実 用 性 も高 い が 、他 に人 物 名 や 職 業 、場 所 を 表 す 語 句 、 頭 字 語 な ど を聞 き取 らせ る こ と もで き る。
著 者 の 授 業 で は、 品 詞 と組 み 合 わ せ 、 数 字 、 動 詞 、 形 容 詞 、 そ の他 を 聞 き 取 らせ る こ とが 多 い 。 そ の他 の 部 分 は 内 容 に応 じて 毎 回変 わ る。 ク ラ ス 全 体 で 同 じ品 詞 を扱 う方 法 とグ ル ー プ に分 けて 行 う方 法 が あ る。 著 者 の ク ラ ス で は、 洋 画 に限 らず 時 事 英 語 の 授 業 で も2、3分 の ニ ュー ス を聞 か せ て 、 数 名 の グ ル ー プ を ク ラス の 中 に い くつ も作 って 共 同作 業 させ 、 氏 名 と共 に グ ル ー プ全 体 で ま とめ て あ げ た もの を紙 に書 か せ 提 出 させ て い る。2、3度 聞 か せ イ ンタ ー バ ル ご と に各 グ ル ー プ 内 で相 談 させ た後 で グル ー プ の 代 表 に板 書 さ せ る こ とで 、 他 グ ル ー プ との 比 較 が で き る。 最 後 に も う1度 ビ デ オ を 見 せ な が ら確 認 させ る。
3‑2.部 分 提 示(partialpresentation)
部 分 提 示 と は、 特 定 の シー ン を短 期 間 提 示 す る方 法 で あ るが 、 提 示 時 間 を 制 限 し授 業 時 間 内 に収 ま る とい う授 業 マ ネ ー ジ メ ン ト上 の事 情 よ り も学 習 者 が集 中 で き る長 さ を考 慮 した もの で あ る。 タ ス クの 性 質 、作 品 の特 徴 や 学 習 の レベ ル に よ って 長 さ は さ ま ざ まで あ るが 、 著 者 は1分 程 度 の 長 さ が 適 切 で あ る と考 え る。
部 分 提 示 に よ り、 同 じ シー ン を2、3度 繰 り返 し提 示 す る こ とが可 能 に な る。 それ に よ って 学 習 者 の 理 解 度 が 高 め られ る もの と考 え られ る。 全 体 提 示