弁護士の守秘義務と証言拒絶権︵二︶
手 賀 寛
六.英米法における弁護士の秘密保持
1.総論 ︵71︶ 英米法において︑弁護士が職務上知り得た秘密についてその開示を制限する制度ないし原理としては︑以下
のものが挙げられる︒ ︵72︶ A.弁護士が職務上知り得た秘密を訴訟上の開示手続から保護する制度
①弁護士と依頼者の間でなされたコミュニケーションを開示から保護する制度︵弁護士依頼者間の秘匿特
権︶ーアメリカにおける巴8∋o〒○巨Φ昌勺巨邑Φo︒o及びイギリスにおける↑mσq巴︾9己8勺葺已品①
②訴訟準備のためのコミュニケーション・資料を開示から保護する制度ーアメリカにおけるづδ﹃下零昆
已臼淳090叶﹂05及びイギリスにおける巨﹇拓①古ざ⇒写﹃邑Φoq①
B.弁護士の倫理上の義務として︑職務上知り得た秘密を開示しない義務
③ 法曹倫理上の守秘義務ーOo邑巳Φ巨巳巨胃
弁護士の守秘義務と証言拒絶権︵二︶ ︵都法四十九ー二︶ 二四三
二四四
このうち本稿では︑職務上の秘密に関する弁護士の証言拒絶権に対する示唆を得ることを目的として︑①弁
護士依頼者間の秘匿特権に関する検討を中心的に行うこととする︒弁護士依頼者間の秘匿特権は︑英米法の訴
訟手続における弁護士の地位に対する考え方を︑特に依頼者との関係で︑最もよく反映しているものと思われ
るからである︒また︑後述するように︑アメリカにおいてはこの弁護士依頼者間の秘匿特権について︑近年非
常に盛んな議論が行われており︑それは日本法についての示唆を得るにあたって非常に有益であると考えられ
る︒もっとも︑弁護士依頼者間の秘匿特権は訴訟手続上における秘密保護の制度であり︑これを深く理解する
ためには︑弁護士依頼者間の関係をどのように捉えるか︑という視点を欠くことができないから︑以下では︑
まずアメリカ法を対象として︑③法曹倫理上の守秘義務について概観した上で︑①弁護士依頼者間の秘匿特権
について検討を加えることとする︒②訴訟準備のためのコミュニケーション・資料を開示から保護する制度に
関しては︑①③双方の検討の過程で︑必要に応じて触れることとしたい︒その上で︑アメリカ法の母法たるイ
ギリス法についても︑同様に検討を加える︒ ︵73︶2.アメリカ法における法曹倫理上の守秘義務
(一
jアメリカ法における法曹倫理の内容を端的に示すものとして参考になるのが︑アメリカ法曹協会︵﹀日︒亭
95ロ胃﹀°︒°︒oO昌oロ以下ABAと略す︶の制定による法律家職務模範規則︵呂oq巴國巳Φc︒o﹃淳o甘゜︒︒︒﹂o白巴Oo㌣ ︵74︶ Oξ﹇°以下単に﹁模範規則﹂という︶である︒ABAはアメリカ全土の法律家による任意加入団体であり︑
一八七八年の設立以後︑合衆国の司法制度の改善や法制度に関する市民の理解の増進︑法曹の専門性や適格
性及び法曹倫理に関する最高水準の規範の設定等の活動を行っている︒法曹倫理や行為規範に関するモデル
規則の制定作業もこの活動に含まれるものであり︑模範規則は︑一九〇八年の専門職倫理典範︵○碧︒田゜︒9
︵75︶ ︵乃︶ 淳o﹃Φ︒︒︒︒ざ⇒巴曽巨8︶及び一九六九年の専門職責任模範規定︵法o△巴○OOoo﹃厚o甘゜︒°・﹂oロ巴國︒超o⇒°・旨巨蔓︶の ︵77︶ 後を受けて一九八三年に制定され︑その後も幾度かの改正を経ている︒ABAは先述の通り任意加入団体で
あり︑その制定するモデル規則はそれ自体が直接の拘束力を有するわけではないが︑各州がこのモデル規則
を元に法曹倫理規則を制定することが多いため︑アメリカにおける法曹倫理規範のスタンダードとなってい ︵87︶ る︒模範規則も︑ほぼ四〇州においてこの規則をもとに法曹倫理規則が制定されている︒ ︵79︶︵二︶模範規則は︑法律家の法曹倫理上の守秘義務について︑概略次のように規定する︒すなわち︑法律家は︑
依頼者を代理している間︑依頼者の代理に関する情報を漏らしてはならない︒但し︑以下の︵a︶ないし
︵c︶の場合には︑例外として開示が許される︵規則1.6︶︒
︵a︶情報の開示について依頼者がインフォームド・コンセントを与えた場合︒ ︵80︶ ︵b︶代理を遂行するために開示が黙示的に認められる場合︒
︵c︶以下の目的のために必要であると法律家が合理的に考える場合︒
︵c11︶合理的に確実な死及び重大な身体障害の防止のため︒
︵c12︶法律家の役務を利用した犯罪または詐欺の防止のため︒
︵c13︶法律家の役務を利用した犯罪または詐欺による他の者の金銭的利益または財産権の重大な侵
害の防止・軽減のため︒
︵c−4︶法律家自らが法律家職務模範規則を遵守する目的で法的助言を得るため︒
︵c−5︶法律家と依頼者の間の紛争または依頼者が関係した行為に基づく法律家に対する刑事告訴・ ︵81︶ 民事請求等において︑自己の請求・答弁を立証するため︒
弁護士の守秘義務と証言拒絶権︵二︶ ︵都法四十九−二︶ 二四五
二四六
︵c16︶他の法律または裁判所の命令を遵守するため︒ ︵82︶ また︑依頼者となり得る者が法律家に開示した情報︵模範規則1.18︵b︶及び同1.9︶や︑かつての
依頼者の代理に関する情報︵模範規則1.9︵c︶︵2︶︶についても︑代理中の依頼者に準ずる内容で守秘
義務を負うことが定められている︒なお︑これらの守秘義務は︑それが法曹倫理上の義務であるが故に︑そ
の違反は懲戒手続開始の原因となるが︑直接に法律家に対する訴訟原因をなすものではなく︑またその違反 ︵鴎︶ をもって法的義務があったとの推定を生ずることもない上︑懲戒処分以外の救済を保障するものでもない︒
もつとも︑この規則は法律家の行動についての標準を設定しているものであるから︑ある法律家がある規則
に違反したことは︑適用されるべき行動基準の違反があったことの証拠になる可能性はある︵模範規則の目
的範囲﹇19﹈及び同﹇20﹈参照︒︶︒
︵三︶この法曹倫理上の守秘義務の根拠について︑模範規則1.6の注釈は次のように解説する︒すなわち︑法
律家が依頼者のインフォームド・コンセントなしに当該代理に関する情報を漏らしてはならないのは︑依頼
者・法律家関係の要である信頼関係の維持に資する基本原理である︒依頼者はこれにより︑自分にとって不
都合な事柄や法的に不利な事柄についても︑十分かつ率直に法律家に開示してコミュニケーションをとり︑ ︵路︶ 法的助言を求めるようになる︒法律家が依頼者を有効に代理し︑また不正な行為をやめるよう助言するため
には︑これら不都合な事実や法的に不利な事実についての情報も︑これを必要とする︒依頼者は︑複雑な法
規制のもとで︑彼らの権利の内容及び何が適法で正しいとされるのかを決定するために法律家を訪れる︒法
律家は︑経験上︑ほとんど全ての当事者が与えられた助言に従うこと︑その結果として法が遵守されること
を知っている︑というものである︒
︵四︶模範規則が掲げる以上のような根拠は︑我が国における法曹倫理上の守秘義務の根拠︵第五章3.︵二︶
参照︶と比較して︑以下のように特徴付けられる︒我が国においては︑法曹倫理としての秘密保持の権利義
務の実質的根拠は︑﹁弁護士は︑本来知り得なかった他人の秘密を︑弁護士として信頼関係ができたために
知ることとなったのであり︑依頼者が保有していた秘密保持の権利を損なわないよう万全の注意を払い︑依
頼者の信頼に応えなければならない義務を負う﹂こと︑﹁依頼者の秘密を守ることは⁝弁護士の職業存立の
基礎をなす﹂ことにあるとされてきた︒これは︑依頼者自身の秘密保持の権利の保障及び弁護士の職業存立
のために︑弁護士に守秘義務を課すことで弁護士依頼者間の信頼関係を保護するものといえよう︒これに対
して模範規則は︑同じく弁護士依頼者間の信頼関係の保護に着目しつつも︑その目的は︑依頼者と弁護士と
の間の率直なコミュニケーションを促進し︑もって弁護士が依頼者を有効に代理または依頼者に有効な助言
を与えることができるようにすることで︑結果として法が遵守される︑という社会的利益にあり︑社会にお
ける法制度の維持及び発展について︑弁護士がより積極的な役割を果たすことを期待しているといえる︒も
ちろん︑我が国の議論においても︑依頼者による秘密の開示が弁護士のよりよい職務遂行にとって必要であ
ることは念頭に置かれているが︑模範規則と比較すると︑弁護士に守秘義務を課すことが結果として法の遵
守を促進し公共の利益に資する︑という視点は欠けているように思われる︒そして︑弁護士と依頼者との間
のコミュニケーションを開示から保護することが︑当該弁護士・依頼者について利益となるだけでなく︑社
会的にも法の遵守などの利益を生むのだというこの視点は︑後に検討するように︑弁護士依頼者間の秘匿特
権についても︑これを正当化する論拠とされている︒英米法における弁護士の秘密保持を考えるにあたって
見落としてはならない視点である︒
弁護士の守秘義務と証言拒絶権︵二︶ ︵都法四十九ー二︶ 二四七
二四八
︵五︶模範規則の定める弁護士の守秘義務とその他の法制度との関係についても付言しておきたい︒︵二︶︵c1
6︶において挙げたように︑他の法律または裁判所の命令を遵守するために秘密を開示することは︑法曹倫
理上の守秘義務には違反しない︒すなわち︑法曹倫理上の守秘義務が適用されるのは︑法の強制によって開
示を要求される場合以外の情況においてである︒これに対して︑弁護士依頼者間の秘匿特権や≠ぎ完−印︒合含
Oo9昌Φが機能するのは︑法の強制によって開示を要求される場合である︒
3.アメリカ法における弁護士依頼者間の秘匿特権
(一
j≧8日自10巨Φ昌勺巨邑品Φ
︵1︶︾詳oヨΦ匂10巨Φ巳 勺註Φσ︒①は︑弁護士と依頼者の間でなされた機密性のあるコミュニケーションについ
て︑訴訟手続上開示を強制されることを拒絶する依頼者の権利であり︑英米法の証拠法上認められる秘匿
特権︵㊥昌己Φσ︒Φ︶の一種である︒連邦法は秘匿特権において一般的な規定を置くのみ︵連邦証拠規則第五
〇一条︵末尾の資料一.参照︶︶であるから︑民事訴訟手続における﹀古8日︒㌣○巨Φ巨㊦昌邑①α・Φの法源は︑
連邦においてはコモン・ロー及び州法の規定によることとなるが︑州法においては︑統一証拠規則第五〇 ︵85︶ 二条︵末尾の資料二.参照︶を参考に︑多くの州が﹀﹇8日①﹃−○冨暮勺口邑①σ︒oに関する規定を置いている︒
︵2︶≧8日Φ望10巨Φ昌 勺ユ邑ΦoqΦの定義づけは何種類かあるが︑その中でも伝統的なものとして︑言日o苫に
よる以下の定義が有名である︒ ︵86︶ ﹇≦一〇ヨo﹁Φによる﹀ヰo∋Φ×−O一一Φ三τユ<一一ΦQΦの定義﹈
①何らかの種類の法的助言が求められた場合に︑それが②法的助言を与える専門家に︑その専門家として
の能力に基づく助言を求めたものであるときは︑③当該目的に関連するコミュニケーションのうち︑④機
密性のあるもので︑⑤依頼者によってなされたものは︑当該依頼者の訴訟事件において恒久的に保護され︑
⑥彼自身または法的助言者によって開示されることがない︒ただし︑⑦保護が放棄された場合は例外であ
る︒ ︵87︶ また︑判例での定義としては︑d巨9α乙力古知宮゜・<d巳需q°力庁oo呂9巨Oo目゜事件における写N芦゜・巨判事の
定義が著名である︒
﹇ミ×N碧ω工判事による﹀コoヨΦ×−Ω一Φユτユ<一一ΦQΦの定義﹈
≧9日Φ望10臣昌厚巨Φo︒Φが適用されるのは︑以下の要件を満たす場合に限られる︒
①秘匿特権を有すると主張される者が︑依頼者であるか︑または︑依頼者となろうとしていたこと
②コミュニケーションのなされた相手が︵a︶法廷弁護士ないしその部下であり︑︵b︶当該コミュニ
ケーションに関連して弁護士として行動していること
③当該コミュニケーションが︑弁護士が知らされた事実のうち︑︵a︶彼の依頼者により︵b︶第三者不
在の状況で︑︵C︶︵i︶法についての意見または︵i︶法的サービスまたは︵⁝m︶なんらかの法的手続に
おける支援︑を確保することを主要な目的とし︑かつ︵d︶犯罪ないし不法行為を犯すことを目的とせず
に︑知らされた事実に関するものであること
④依頼者が秘匿特権を︵a︶主張し︑これを︵b︶放棄していないこと
この二つの定義及び統一証拠規則第五〇二条の規定するところを参考としながら︑≧9ヨ︒ぺ占昔旨勺曇−
弁護士の守秘義務と証言拒絶権︵二︶ ︵都法四十九ー二︶ 二四九
二五〇
︵88︶δo︒︒の具体的内容について︑注意すべき点をいくつか指摘しておこう︒
A.︾叶9弓①冒10巨︒昌 淳﹂邑①oq︒は︑依頼者が弁護士に対して法的な助言を求める目的でなされたコミュニ
ケーションをその保護の対象とする︒法的な助言を求めてなされたのでないコミュニケーションは﹀け8﹃ ︵89︶⇒田10目Φ巳寄巨①o︒Φによる保護の対象とはならない︒依頼者が法的な助言を求める意思を有しているこ
と︑及び︑依頼者が助言を求めている相手を弁護士だと信じていることが︑裁判所が勺昌邑⑱σ︒Φの存否を
判断する際の大きな要素となる︒
B.弁護士と依頼者間でなされたコミュニケーションが保護の対象となる︒壽日o苫の定義は︑コミュニ
ケーションが﹁依頼者によってなされた﹂ことを要求するが︑これは依頼者以外の者とのコミュニケーシ
ョンを保護の対象から除く趣旨であり︑弁護士から依頼者に対してなされたコミュニケーションを勺巨己− ︵90︶冨σ︒Φの対象から除く趣旨ではない︒また︑統一証拠規則は︑さらに進めて︑弁護士の代理人または依頼者
の代理人との間でなされたコミュニケーションのほか︑依頼者の複数の代理人間でなされたコミュニケー
ションや︑同一の依頼者を代理する複数の弁護士の間でなされたコミュニケーションについて︑明示的に
﹀け8日①﹃占巨o昌℃昌己①o︒Φの保護対象とする︵第五〇二条︵b︶︶︒
C.﹀古8目Φぺ占巨o曇印巨oo︒Φによる保護の対象となる依頼者とは︑弁護士に対して法的な助言を求める者
をいう︒弁護士との契約締結の有無や弁護料支払の有無にかかわらず︑弁護士に対して法的な助言を求め
る者であれば︑勺臣己︒oq︒による保護の対象となる︒弁護士が依頼者の代理を終えた後にさらなるコミュニ
ケーションがなされても︑もはやそのコミュニケーションは㊦5邑︒σ︒Φによる保護の対象とはならないが︑
代理の継続中に弁護士依頼者間でなされたコミュニケーションについては︑代理の終了後も淳巨Φo︒①に
︵91︶ よる保護が及ぶ︒また︑依頼者の死亡後ないし法人の清算後も︑厚﹂邑︒o︒Φによる保護は存続する︒
D.コミュニケーションには︑言語によらないものも含まれる︒例えば︑依頼者が弁護士に対して傷跡を見
せる行為も︑それが法的助言を求める目的で機密性をもってなされていたのであれば︑﹀§日①冒ー○巨Φ昌
㊥昌己oσ︒Φの保護を受けるコミュニケーションとなる︒もつとも︑単に傷跡が表に出ていたために弁護士が
これを観察したに過ぎない場合には︑依頼者によるコミュニケーションがなされている訳ではないので︑
㊥巨己Φo︒︒の保護は及ばない︒
E.﹀・8日Φ望占冨暮写巨︒°︒①が保護するのは弁護士依頼者間のコミュニケーションであり︑コミュニケー ︵92︶ ションに含まれる︑またはその前提となる事実や情報ではない︒従って︑コミュニケーションの前提とな
る事実について依頼者が尋問を受ける場合には︑﹀叶8日Φ望占冨昌 勺昌己①o︒︒はこれに及ばず︑依頼者は証
言を拒絶できない︒依頼者は︑﹁弁護士にこの事実を伝えましたか?﹂という尋問を拒絶することはでき
ても︑﹁この事実を知っていますか?﹂あるいは﹁この事実は存在しますか?﹂という尋問を拒絶するこ
とはできないのである︒また同様に︑依頼者がその保有する︵勺臣邑︒o︒Φの対象とならない︶文書を弁護士
に提出したからといってその文書が﹀古8日o﹃ー○陪昌勺昌邑Φo︒Φによる保護を受けるわけではないが︑弁護
士とのコミュニケーションの結果として作成された文書は︑勺臣邑①oq︒により保護される︒すなわち︑当事
者は>d8日Φ望10巨Φ曇勺邑己①oqΦを利用して本来なら開示されるべき事実や資料を訴訟上秘匿することはで
きないことになる︒
F.機密性を有するコミュニケーションのみが写巨Φoq①による保護の対象となる︒依頼者が当該コミュニ
ケーションの機密性を意図していない場合には︑その情報は四巨Φo︒①による保護なしでも弁護士に対し
弁護士の守秘義務と証言拒絶権︵二︶ ︵都法四十九−二︶ 二五一
二五二
て開示されると考えられるからである︒判例上機密性が否定された事案としては︑第三者の存在するとこ ︵93︶ ろでなされたコミュニケーション︵公共の場で大声でなされた会話︶や︑文書について︑被用者が雇用期 ︵M︶ 間中に日常的に見直すことのできるファイルに保管されていた場合などがあげられる︒
G.﹀﹇8日Φ望占目①昌㊥邑己Φσ︒Φは︑依頼者が有する権利である︒かつては弁護士の権利として認められてい ︵95︶ たが︑現在では︑弁護士の権利ではなく依頼者の権利であることで争いはない︒依頼者と一定の関係にあ
る者︵統一証拠規則第五〇二条︵c︶参照︶及び弁護士も呼巨︒oq︒による保護を主張することはできる
が︑権利自体は依頼者に帰属する︒依頼者が訴訟当事者でない場合には︑訴訟当事者は︵別途主張が許さ
れる場合を除いて︶零巨Φo︒Φを主張することはできず︑仮に誤って勺昌邑︒o︒︒が認められなかったとして ︵96︶ も︑当事者がこれに対して異議を申立てることはできない︒また︑依頼者の権利であるから︑これを放棄
することは依頼者の自由である︒
H.﹀計8日Φ司占目︒9㊥註Φσ︒oは︑依頼者が犯罪もしくは詐欺を犯すことを目的として法律家の助言を求め
た場合︑その他=疋の場合には︑例外として認められない︵統一証拠規則第五〇二条︵d︶参照︶︒
︵3︶﹀詳o日Φ㌣○巨o昌勺菖Φo︒Φの内容は以上の通りであるが︑これを踏まえて︑以下では︑巴9日Φ望10陪巳 ︵97︶ 勺巳己品Φが認められる根拠について︑歴史的観点も踏まえて検討してみたい︒
弁護士依頼者間でなされた機密性あるコミュニケーションは訴訟手続において強制的には開示されない
という弁護士依頼者間の秘匿特権は︑各種の機密性あるコミュニケーションに認められている秘匿特権の ︵%︶ 中でも︑歴史的にみてもっとも古くから認められてきたものである︒イングランドでは既にエリザベス一
︵99︶ ︵㎜︶ 世の治下において︑弁護士依頼者間の秘匿特権が争いなく認められていた︒陪審審理において証人の証言
が一般的な証明手段となったのが一五〇〇年代の初めであり︑また証人に一般的に証言が強制されるよう
になったのがエリザベス治世の初期であることから︑恐らくそれ以前には秘匿特権は存在し得なかったで
あろうこと︑従って︑弁護士依頼者間の秘匿特権は︑証言の強制という新しい権利が生まれたまさにその ︵101︶当初から自然な例外として存在していたことが︑壽日o苫により指摘されている︒
そもそも既にローマ法において︑弁護士の依頼者に対する忠義ゆえ︑依頼者の事件において弁護士が証 ︵201︶人となることはできない︑との考え方が存在していた︒この考え方が影響を与えたのか否かは定かではな
いが︑エリザベス治下における弁護士依頼者間の秘匿特権も︑その根拠は︑依頼者の不安に対処すると言 ︵301︶うよりも︑バリスター及び弁護士の誓約及び名誉︵夢oo讐ゴ呂巳ゴo⇒o﹃︶を守ることに眼目があった︒だ
が︑一七〇〇年代に至ると︑司法制度において真実発見を重視する気運が高まり︑秘匿特権の根拠を弁護
士の誓約及び名誉に求める考え方はその支持を失った︒秘密保護についての自発的な誓約により司法によ
る真実の探索を妨げることはできないこと︑また︑法の強制がある場合には︑誓約を破って秘密を開示し ︵1︶ても道徳に反するとの誹りを受けることはないと考えられたのである︒
弁護士依頼者間の秘匿特権の根拠を弁護士の誓約に求める立場が支持を失った結果︑これに代わってそ
の根拠と考えられるようになったのが︑弁護士依頼者間の秘匿特権を認めることが︑真実発見を犠牲にし
てもそれ以上の利益を司法制度にもたらす︑という功利主義的な正当化であった︒この秘匿特権の功利主
義的な正当化は︑コモン・ロー諸国において︑現在に至っても弁護士依頼者間の秘匿特権の実質的根拠と
︵501︶して考えられており︑その内容は次の通りである︒すなわち︑複雑な法制度のもと︑社会の構成員が法に
従って自己の問題に対処し︑また自己の紛争を解決するためには︑熟練した法律家の補助を必要とする︒
弁護士の守秘義務と証言拒絶権︵二︶ ︵都法四十九ー二︶ 二五三
二五四
法律家がこの依頼者を補助する役割を果たすには︑依頼者の置かれた状況についての事実を可能な限り十
分に知る必要がある︒そして依頼者は︑自分が反対している限り弁護士が法廷において秘密を明らかにす
るよう強制されることがない︑と確信しているのでなければ︑弁護士に対して事実を十分に知らせること
ができないと考えられる︒結果として︑一部の事実が裁判所の前に提示されなくなるという司法にとって
の欠損が生じても︑弁護士に対して事実が率直に開示されることによって司法にもたらされる利益︵依頼
者個人の利益ではなく︶の方が大きくなる︑というものである︒
さらに︑後述するような︵本章3.︵二︶参照︶近年の﹀﹇8弓Φぺ占已昌 勺巨己︒oq︒に関する議論の高ま
りの結果として︑巴8目Φ匂占巨Φ昌勺昆①σ︒Φの存在意義︑すなわち﹀﹇8ヨΦ尾10巨Φ日℃菖︒σ︒︒によりもたら
される社会的利益について︑さらに掘り下げた指摘がなされている︒ABAの目゜︒汁呵08Φo⇒夢Φ巴9∋塁 ︵061︶占冨曇写巨Φo︒Φによる報告書は︑﹀古8日︒〒○巨Φ昌勺≧︒oq︒の存在により︑以下のような便益が生じてい
ると指摘している︒
①﹀口゜日Φ¶○冨曇勺昆Φo︒︒は︑弁護士依頼者関係を育てる︒
複雑な法制度の下で人々が法的問題に対応するには十分に情報を与えられた弁護士の代理を受ける必
要があるが︑弁護士が依頼者の利益を侵害する恐れがあると思われれば十分な情報開示はなされないの
で︑弁護士依頼者関係の形成を促す必要がある︒勺巨Φo︒①により秘密保護を保障することで︑弁護士依
頼者関係の形成が促進される︒
②舞9日︒寸自Φ昌㊥口己Φ゜︒Φは︑依頼者の率直性を促す︒
㊦臣邑ooq︒を認めることで︑依頼者は弁護士との間で率直かつ十分なコミュニケーションをとることが
できるようになる︒その結果として︑例えば︑依頼者が弁護士に率直に事実を伝えていれば避けられた
であろう不利益が生じるのを避けることができる︒また︑依頼者が率直に情報を弁護士に開示すること
で︑弁護士が有効な助言をなすことができるようになる︒さらに︑友好的でない第三者に情報が開示さ
れる恐れがあるとなれば︑そもそも人は弁護士に相談することをしなくなるであろう︒勺巨己゜o︒°を認め
て依頼者の率直性を確保することで︑依頼者は弁護士の助言を得て法律問題に対応することができるよ
うになるのである︒
③巴9日Φ寸○巨︒昌厚巨Φo︒①によって︑法の自発的な遵守が促進される︒
弁護士に自由に相談できるようになることで︑依頼者は︑法の遵守を促進するために弁護士を利用す
ることができる︒勺巨ooqΦが認められる結果︑弁護士が依頼人に対して︑依頼者が負っている法律上の
義務を説明し︑遵守するように促すことが容易になるためである︵このため︑依頼者から弁護士に対す
るコミュニケーションだけでなく︑弁護士から依頼者に対するコミュニケーションについても︑淳巨︒oqΦ
の対象とされなければならない︶︒特に企業については︑複雑な法的問題に対処することとなるので︑
その自主規制能力及び自主的な法遵守能力を高める意義は大きい︒勺巨邑oσ︒Φを与えコミュニケーション
を促すことにより︑法の遵守が促され司法制度の効率的な運営が可能となるのである︒さらには︑淳ヨ
冨oqoの存在により︑﹁弁護士は助言をなすに際して︑単に法律のみならず︑モラル︑経済的要素︑社会
的要素︑政治的要素など︑依頼人の置かれた状況に関係しうる様々な要素を参照でき﹂︵純・これによつ
て弁護士はカウンセラーとしての役割を果たすことができ︑社会に大きな利益がもたらされるのである︒
④≧8日Φ¶○巨︒昌勺昌邑①σ・Φは︑法制度の効率化を促す︒
弁護士の守秘義務と証言拒絶権︵二︶ ︵都法四十九ー二︶ 二五五
二五六
依頼者が弁護士に十分な情報を開示することで︑弁護士は適切な助言をなすことができるようになり︑
不正な解決がなされたり︑見込みのない訴訟が提起されるようなことがなくなり︑依頼者も不要な費用
を負担せずにすむ︒また︑十分な情報のもと︑問題に対して訴訟に至らずとも早期に対処できるように
なり︑この点でも依頼者及び司法制度の双方にとって不要なコストが生じない︒
⑤巴8∋①司占目Φ昌勺昌邑︒σ・Φは︑憲法上の権利保障を強化する︒
合衆国憲法修正第六条の定める刑事被告人の弁護人依頼権は︑弁護人による﹁効果的な﹂補助を保障
するものと回されているが︑≧8日Φ寸○巨Φ昌 勺菖Φo︒①は︑弁護人が効果的な補助をなすことを確実に
する︒修正第六条はそれ自体が巴9∋︒㌣○巨Φ罫㊥S㊦o︒oの憲法上の根拠ではないが︑刑事被告人につ
いて﹀§日o笥10巨①日㊥Soo︒Φが否定された場合には︑弁護人の効果的な補助の妨げとなりうることに
ついては︑裁判所も認識している︒
︵4︶以上のように︑巨﹇8日o㌣○巨Φ自㊥≧Φo︒oの根拠については︑制度上この㊥曇Φo︒oを認めることにより
様々な便益が生まれるのだという功利主義的な観点からの正当化がなされている︒依頼者が弁護士に十分
に情報を開示するようになることで様々な便益が生まれる︑という説明は︑確かに説得的である︒だが︑
勺菖Φσ︒①を功利主義的に正当化しようとするこの立場は︑必ずしも全面的に受け入れられているわけでは
なく︑疑問を呈する論者も多い︒例えば﹄2Φ目じ︒Φ⇒日塞は︑正当な主張を行う潔白な当事者にとっては︑ ︵081︶ 勺置品︒は必要のないものであり︑犯罪を犯した者に助けを与えるべきではないとする︒このような二分
論はいささか単純に過ぎると思われるが︑㊦曇︒σ︒︒により真実発見が妨げられる場合があることは確かで
あろう︒また蚕o苫も︑勺菖Φo︒①を認めることの利点とされるものは全て間接的な︑推測に基づくも
︵091︶ のに過ぎないのに対し︑勺ユ己Φo︒Φを認めることにより発生する障害は︑単純かつ具体的である︑とする︒
確かに︑勺口邑①o︒︒の存在により正当化根拠として主張されているような利益が生まれているとの実証は︑
非常に困難である︒プライバシー保護をもって勺巨邑︒o︒︒の付随的な正当化根拠としようと試みる見解も
︵011︶ あるが︑これによって勺鼠己ΦoqΦのどの要素がどう変化するのかが具体的でないこともあって︑判例はこ ︵m︶ の立場を支持してはいないようである︒結局︑現在のところ︑これら写巨Φoq①を認めることへの批判や
勺≧Φ゜︒︒の正当化根拠についての代案は十分な支持を得ることができておらず︑﹀叶8日︒望10冨暮㊦民邑Φoa︒ ︵211︶ は功利主義的な観点から正当化できるとする立場が支配的である︒
︵5︶この功利主義的な正当化根拠との関係で︑法人に対する≧8日Φ¶○巨Φ巳淳巨Φo︒°の保護についても検
︵311︶ 討しておこう︒かつてはこの点に争いがあった︒一九六二年︑曽合自けロ自52°︒⇒甘P<旨Φ註o碧09>︒︒︒・9
︵411︶ 9昌o⇒事件において︑裁判所は︑法人には﹀け8日Φ望10巨︒暮 ㊥民己︒oqΦの保護は及ばないとしたのである︒
この判断は控訴審において覆され︑それ以後も︑法人にも﹀§昌塁10冨昌㊥昌己Φo︒Φが及ぶこと自体は認
められているのであるが︑困難な問題が残っている︒依頼者とのコミュニケーションを保護することによ
り依頼者の率直性を確保し︑弁護士が十分な情報に基づく助言をなすことを可能にする︑という≧8日゜望
10冨巳勺菖Φoa①の正当化根拠は︑弁護士に対し情報を開示する者と弁護士が助言を与える者が同一であ
ることをその前提としているが︑法人については情報を開示する者と弁護士の助言を受ける者が異なるこ
とも多くなるため︑どちらに重点をおいて保護の対象を決定すべきか︑という問題である︒この点につい
ては︑当初の裁判例は前者を重視して法人のあらゆる役員及び被用者からのコミュニケーションが勺ユ己 ︵511︶ ︵m︶ 一①σqoの対象となるものとしたが︑9ロ昆勺巨豊①■巨①ぐ箒゜︒旨讐o已゜︒o日①︒日○Oo唇事件において︑裁判
弁護士の守秘義務と証言拒絶権︵二︶ ︵都法四十九ー二︶ 二五七
二五八
所は﹁コントロール・グループ﹂基準を採用し︑法人が弁護士の助言を得て行うあらゆる行為の決定に際
して実質的な役割を果たす者によりなされたコミュニケーションのみに制限されるとした︒この﹁コント
ロール・グループ﹂基準は広く支持されていたのであるが︑連邦最高裁は一九八一年︑ご宮o﹁500°<d巳需巳 ︵711︶ o︒け巴霧事件の判決において︑﹁コントロール・グループ﹂基準は法的助言をなすに当たって弁護士が十分
に情報を得る必要があることを看過しているとしてこれを排除し︑①企業に対する法的助言を得る明確な
目的を持ってコミュニケーションがなされ︑②それがコミュニケーションをとった被用者の特定の企業組
織上の義務に関するものであり︑③企業それ自身の中でも機密として扱われている場合に︑その情報は秘 ︵811︶ 匿特権の対象となるとした︒もっとも︑d巳巳5判決に対しては現在でも批判も強く︑いくつかの州は︑ごマ ︵911︶ ︺95判決の後も﹁コントロール・グループ﹂基準を採用し続けている︒
︵6︶ここで改めて着目しておきたいのが︑≧8日Φ匂占巨Φ昌 勺註品︒の功利主義的な正当化根拠が︑既にみ
た︵本章2.︵三︶から︵四︶参照︶法曹倫理上の守秘義務の根拠と共通するという点である︒両者はと
もに︑依頼者と弁護士との間の率直なコミュニケーションを促進し︑もって弁護士が依頼者を有効に代理
または依頼者に有効な助言を与えることができるようにすることで︑結果として法が遵守される︑という
見解にたって︑弁護士依頼者間のコミュニケーションを秘匿することに社会的価値を見いだしており︑そ
の結果として︑弁護士にこれを秘匿する義務を課し︵法曹倫理上の守秘義務︶︑また訴訟手続においても
これを強制的に開示されない権利を依頼者に認める︵﹀●けO日Oペー○巨05﹇勺﹃宣一①oqO︶のである︒この両者は︑
一貫した視点に基づいているといえるし︑また法曹の行為規範として法曹倫理上の守秘義務が存在してい
ることにより︑≧9日Φ司占臣自㊥菖Φσ︒Φの存在が支えられていると評価することができよう︒
もっとも︑法曹倫理上の守秘義務と︑﹀﹇8日Φ¶○巨Φ昌 勺弓已oσαΦとは︑その範囲が全く同一となるもの
ではない︒法曹倫理規範は︑ABAをはじめとした法律家自身の立法活動によるものであるが故に︑判例 ︵皿︶ 及び制定法による㊦昌邑ooαΦの範囲と比べて︑拡張的なものになりがちである︒例えば︑勺認己oo︒oが訴訟
その他の手続において開示を強制される場面でのみ機能するのに対し︑法曹倫理上の守秘義務はそのよう
な限定を受けず︑弁護士が依頼者を代理する全ての局面に及ぶほか︑勺昌邑︒oq①の対象となるのは弁護士依
頼者間のコミュニケーションに限られるのに対し︑法曹倫理上の守秘義務はその情報源を問わず代理に関 ︵121︶ する全ての情報に妥当し︑依頼者とのコミュニケーションに限定されない︒
また︑﹀古8日①¶○巨Φ昌勺SΦσ︒Φは法曹倫理上の守秘義務とその根拠とする理念を共通にするものでは
あるが︑日本法において証言拒絶権の根拠が実体法上の秘密保持義務であるとされるのとは異なり︑﹀け8〒
⇒Φ司占巨Φ昌㊥巨Φo︒Φの根拠が法曹倫理上の守秘義務に求められているわけではない点には注意する必要
がある︒法曹倫理上の守秘義務は弁護士に課せられた義務であるのに対し︑﹀§日Φぺー○臣昌㊦弓已Φo︒°は
依頼者の権利として構成されており︑依頼者自身も︵当然ながら︶強制的に秘密を開示されることを拒み
うるのであって︑そこには︑実体法上の守秘義務の存在が前提とされてはいない︒だが︑根本となる視点
は︑法曹倫理上の守秘義務と≧8日︒ぺ占臣昌勺呂已Φo︒Φの両者に共通しているといえる︒
︵7︶以上のように弁護士の秘匿特権に関するアメリヵの制度を検討してきた結果︑弁護士依頼者間のコミユ
ニケーションを訴訟上の強制的な開示手続から保護することで︑司法制度自体に対して︵真実発見がある
程度犠牲となることを甘受するだけの価値のある︶利益が生まれる︑として秘匿を認める姿勢を観察する
ことができた︒この姿勢は︑弁護士が︑依頼者の側に立ちながらも︑その職務を行うことにより単に依頼
弁護士の守秘義務と証言拒絶権︵二︶ ︵都法四十九−二︶ 二五九
二六〇
者の利益にとどまらず社会的な利益を生み出しているのだ︑との考え方に支えられていると評価すること
ができよう︒
ところが︑近年アメリカでは︑≧宮∋而望10巨Φ昌 勺暑已ooqoの放棄に関して二つの問題が発生し︑その解
決のため立法活動まで含めた様々な議論が盛んに行われることとなった︒次項では︑この議論について紹
介したい︒
︵二︶﹀古9∋Φ望10冨昆勺巨己ΦoqΦの放棄に関する近年の議論
︵1︶﹀詳o∋Φぺ占巨o葺㊥SΦo︒Φの放棄に関する問題の一つは︑ディスカバリーに応じて開示することで勺臣≦
庁oq°やプδ完写o合含写9①︒﹇ざ⇒を失うことを恐れて︑開示に先立って文書等の点検をなす作業の負担が︑
ディスカバリーへの対応に要する費用を過大なものとしている︑というものである︒これは︑あるコミユ
ニケーションについて開示すると︑これと関連するコミュニケーションについても写巨oσ︒Φが放棄され
たものと扱われてしまうこと︑また︑誤って︵故意なく︶開示した場合にも︑勺昌邑①oqoの放棄がなされた
ものと扱われてしまうことにより︑点検作業が煩雑となるところ︑甲日巴等の普及によりデイスカバ
リーの対象となる資料が著しく増加していることもあって︑ディスカバリーへの対応に要する費用の問題 ︵221︶ が無視できなくなったものである︒この問題には立法的対応が進められ︑二〇〇八年﹁弁護士依頼者間の ︵1︶ 秘匿特権及びワーク・プロダクト法理の放棄に対処するため連邦証拠規則を改正する法律﹂によって連邦
証拠規則に第五〇二条が追加された︵末尾の資料一.参照︶︒同条は︑連邦の手続において︑または連邦
政府機関に対して開示がなされた場合に︑関連するコミュニケーション等について放棄がなされたものと
取り扱う範囲を限定し︵a︶︑さらに︑誤って開示がなされた場合でも︑写巨Φ゜︒oの保持者が開示を防ぐ
ための合理的な措置等をとった場合には放棄がなされていないものとする︵b︶など︑開示により勺註昌
一品Φ等の放棄がなされたと扱われる場合を限定することで︑当事者がうっかりと開示してしまった資料に
ょり広範囲に勺巨oぴ︒①を失う危険を減少させ︑ディスカバリー対応に要する費用を抑制しようとしてい
る︒︵2︶︾詳o日Φ寸○巨o昌㊥註①σ︒oの放棄に関するもう一つの問題は︑淳巨㊦o︒Φないしづ合井淳o合含四〇90註o⇒ ︵1︶ ︵偽︶ の対象について︑政府機関等がその開示を求める傾向が高まっていることであり︑国旨o⇒やづ菖500日等 ︵621︶ の倒産にその端を発する︒それ以前も︑司法省その他の政府機関が︑企業に対し︑その保有する巴8ヨo望
−○ぽ巳勺臣邑品Φや≦︒完−写︒晋含綱δ完ー写09ξ二︺09旨︒による保護を放棄するように求める傾向は存在
︵721︶ したが︑社会的な大企業の倒産に際し︑不正経理等に伴う企業の責任が問題となったことが︑その傾向を
より加速したためである︒代表的なものが︑司法省による2つの通達︵弓ゴo日霧o⇒呂Φ日o日ロ合∋︵二〇〇 ︵1︶ ︵鵬︶ 三年︶及び呂6Z巳蔓 ζΦ日︒日邑已⇒︵二〇〇六年︶であり︑①検察官に︑企業を告発するか否かの判断に
当たって︑≧9ヨΦ寸○巨①昌℃巨己ΦoqΦ及び頃合完−四〇合9写09含﹂05の放棄の有無を︑企業の捜査への協調
性の有無・企業の過失の有無として評価することを認める︑②会社の内部調査や会社の役員・被用者らと
のコミュニケーションに関して︑≧9日Φ司占巨①昌 勺民邑①o︒︒の放棄を要求することを認める︑等︑企業に
とっては︑秘匿特権の対象となる情報を開示せざるを得ない強力な圧力となるものであった︒
︵3︶この︑政府機関による﹀﹇8∋①匂10巨o彗淳巨品oの﹁強制的な放棄﹂︵呵o﹃8q詔守Φ﹃︶の要求は︑二つ
の面で問題を生む︒すなわち︑企業は︑﹀け8日oペー○巨o曇 勺巨邑①oαoの放棄を要求されることにより︑第一
次的に︑放棄を求めてきた政府機関との間の訴訟において︑淳巨①oαoによる保護を受けることができない
弁護士の守秘義務と証言拒絶権︵二︶ ︵都法四十九ー二︶ 二六一
二六二
という不利益を負う︒また第二に︑≧9日①ペー○巨︒昌勺巨邑①o︒Φによる保護がコミュニケーションの⁝機密性
を要求しているために︑既に第三者に開示された情報は︑写﹂邑Φo︒︒による保護の対象から除かれることと
なり︑企業は︑放棄を求めてきた政府機関以外の第三者との訴訟においても︑勺巨己︒oq①による保護を失っ ︵031︶ てしまうのである︒この後者の取扱いは︑ある情報が誰かに開示されるのであれば︑その情報は秘匿特権
による保護を与えなくても弁護士に開示されていたはずであるから︑秘匿特権を与えて真実発見を害する
必要はない︑との考え方に基づくものであるが︑強制的な放棄による企業の被害をより拡大させることと
なる︒︵4︶この状況に対して︑巨け8日Φぺ占陪昌厚匡Φo︒Φ及びノぎ完−写o合含写9Φ臼﹂o⇒を尊重すべきであるとして︑
二種類の提案がなされている︒
一つは︑政府機関に対する放棄がなされてもそれ以外の第三者に対しては秘匿特権の存続を認める︑選 ︵131︶ 択的放棄︵c力Φ冨9守゜詔守隅ないし巨巨冨巳壽笥隅などと呼称される︶を可能にする︑というものであり︑
政府機関への開示を維持しつつ企業の利益を一定程度保護するものとして支持を得ている︒この流れを受
け︑先述した連邦証拠規則第五〇二条の立法過程においても︑当初の草案では選択的放棄を導入すること
が検討された︵末尾の資料三.参照︶︒もっとも︑連邦法で選択的放棄を認めても州の手続でその効果が
認められなければ実効性は弱いが︑多くの州は選択的放棄を認めておらず︑州裁判所を選択的放棄に拘束
するのは連邦主義の観点から重大な問題を生じるとの理由により︑選択的放棄に関する条項は草案段階で
︵231︶ 削除され︑立法には至らなかった︒
もう一つの考え方は︑より抜本的に︑政府機関による﹀古8日⑱望−○昔暮写∈己品Φ及びノぎ鼻ー呼゜合含写o−
︵331︶ 90寓o白の放棄要求に対して制約を設けるべきであるというものである︒こちらも二〇〇六年より三年に
わたって法案︵﹁弁護士依頼者間の秘匿特権の対象となるコミュニケーション及び弁護士のワーク・プロ
ダクトについて適切な保護を提供する法案﹂︵≧8日①﹃ー○箒昌勺巨己Φσ︒︒厚9而6自︒⇒巨︒古︶︶が連邦議会に提 ︵1︶ 出されているが︑二〇〇七年に下院を通過したものの︑上院を通過しないまま廃案となり︑一部訂正の上
再提出された︒本稿執筆時点では︑未だ上院を通過していない︵二〇〇七年下院通過時点の法案について︑
末尾の資料四.参照︶︒
︵5︶強制的放棄に関する以上の議論は︑政府機関が秘匿特権に対して強力な圧力をかけてその放棄を求める︑
という︑アメリカ社会の背景事情によるものではあるが︑弁護士依頼者間の秘匿特権がアメリカ司法制度
において非常に重要な地位を占めていることを見てとることはできよう︒公益のために真実を秘匿せず開
示すべきであるという機運が高まった時代にあっても︑なお弁護士依頼者間の秘匿特権は保護すべき価値
を有するものとして捉えられているのであり︑それはひいては︑弁護士依頼者間の秘匿特権により生ずる
とされる社会的利益をより高く評価していることの現れであるといえる︒また︑ゲートキーパー問題など︑
公益のための秘密の開示が問題とされる今日︑強制的な放棄に関するこれらの議論は︑職務上の秘密保護
と開示への要求とを調整する手段として︑我が国の議論にも参考になるものと思われる︒
︵三︶小括及び日本法への示唆
︵1︶弁護士依頼者間のコミュニケーションにつき特別に秘匿を認めること
訴訟手続において弁護士の秘密保持を保障する制度について︑アメリヵ法が我が国における職務上の秘
密に関する弁護士の証言拒絶権と大きく異なる点の一つは︑弁護士とその依頼者との間のコミュニケーシ
弁護士の守秘義務と証言拒絶権︵二︶ ︵都法四十九ー二︶ 二六三
二六四
ヨンに限定して特別の保護たる秘匿特権を与えている点である︒我が国においても︑このように︑弁護士
依頼者間のコミュニケーションのみを他と区別して特別の保護を与えるという考え方を採ることはできる
であろうか︒
既にみたように︑アメリカ法における弁護士依頼者間の秘匿特権が認められる根拠は︑その存在が弁護
士依頼者間の信頼関係の形成・依頼者の率直な情報開示の促進・自発的な法遵守の促進・司法組織の効率
性増加・憲法上の権利の保障に資する︑というものである︒これは︑弁護士への信頼確保に着目するとい
う点において︑弁護士が職務の性質上他人の秘密を打ち明けられることの多いことに鑑み︑秘密を開示し
た者の信頼を保護し︑さらには︑職業の存立を妨げないことを目的として証言拒絶権を与える︑という我
が国の議論と共通する部分もあるが︑実体法上の秘密保持義務が存在する故に訴訟においても証言拒絶を
認めるのだ︑とする我が国の考え方とは異なり︑実体法上の守秘義務と訴訟手続における秘密保持の権利
を切り離して捉え︑秘密保持を認めることが訴訟手続︑ひいては司法制度それ自体に与える効用に鑑みて
特別の保護を認めるものである︒依頼者による弁護士への情報開示を促進することが︑結果として司法制
度それ自体にとって︵真実発見がある程度損なわれるという犠牲を払っても︶利益が大きい︑とする考え
方は︑我が国においてはこれまで見られなかったように思う︒日本法における職務上の秘密に関する証言
拒絶権の議論は︑民事訴訟法が規定する種々の専門職について特に区別することなく論じていたが故に︑
専門職の特性が看過され︑専門職に対する信頼の確保及び職業の存立︑という︑司法制度にとってある意
味外在的な要因をもって︑証言拒絶権の正当化根拠としてきていた︒だが︑弁護士は依頼者の代理人とし
ての立場から司法制度の運用に関わり︑依頼者が法律問題を解決する手助けをする者なのであるから︑弁
護士に証言拒絶権を与えることは︑それにより司法制度の運用が改善されるか︑という︑司法制度の内在
的な問題として捉えられる側面も有すると考えるべきである︒職務上の秘密に関する弁護士の証言拒絶権
は︑自己の法律問題の解決のために弁護士に助言を求める依頼者との関係にあっては︑職業への信頼確
保・職業の存立のみにとどまらず︑司法制度自体の運用に影響を与えるといってもよい︒弁護士依頼者間
のコミュニケーションについて︑弁護士と他の第三者とのコミュニケーションと区別して保護を与えるこ
とは︑我が国の民事訴訟制度においても︑受容可能で︑かつ有益であるものと考える︒
具体的には︑以下のように︑弁護士依頼者間のコミュニケーションについて特別の保護を与えるとする
考え方を我が国の民事訴訟制度に取り込むことができよう︒すなわち︑民事訴訟法第一九七条一項二号は
﹁弁護士⁝⁝が職務上知り得た事実で黙秘すべきもの﹂について証言拒絶権を認めるが︑この﹁黙秘すべ
きもの﹂とは︑既にみたように︵第三章2.参照︶︑一般に知られておらず︑かつ︑それが公表されれば︑
名誉︑信用その他につき社会的︑経済的に不利な影響を受ける事項であって︑本人が特に秘匿することを
欲する︵主観的な意味での秘密︶とともに︑他人が同じ立場に立った場合においても同じように秘匿して
おきたいと考える︵客観的意味での秘密︶ような事実をいうとされている︒だがこの基準は︑専門職への
信頼確保及び職業の存立という司法制度に対する外在的制約と︑司法制度の目的である真実発見との調整
を図ったものであって︑天秤の片方が外在的な制約ではなく︑司法制度自体の別の目的の達成であるとき︑
すなわち︑依頼者に率直な情報開示をなさしめることで司法制度自体の運用を改善しようとするときにお
いては︑異なった基準が妥当するものと考える︒具体的には︑依頼者と弁護士との間でなされた機密性を
有するコミュニケーションについては︑原則としてこれを﹁職務上知り得た事実で黙秘すべきもの﹂とし
弁護士の守秘義務と証言拒絶権︵二︶ ︵都法四十九ー二︶ 二六五
二六六
て証言拒絶権の対象とすべきである︒また︑司法制度自体の運用改善のために証言拒絶権を認める︑とい
う趣旨からすれば︑立法論としては︑この弁護士依頼者間のコミュニケーションについての証言拒絶権が
認められる主体は弁護士に限定されるべきではなく︑依頼者・弁護士またはこれらに準ずる者について証
言拒絶権を認めるのが妥当であろう︒
︵2︶弁護士の証言拒絶権を︑依頼者の権利として捉えること
アメリカ法の﹀詳o日Φ望占巨①昌勺書已ΦoqΦが我が国の証言拒絶権と大きく異なるもう一つの点は︑勺臣己Φα︒o
を依頼者の権利として捉えることである︒我が国が職務上の秘密に関する弁護士の証言拒絶権を弁護士の
権利として認め︑ただし秘密主体たる依頼者が秘密の公表に同意した場合にはもはや証言拒絶権は認めら
れないとする︵第三章1.参照︒民事訴訟法第一九七条︶のに対し︑依頼者に秘密保持の権利を認める方
法は︑秘密主体たる依頼者の利益を保護するという点では︑より直接的である︒我が国では証言拒絶権を
失わせる方向でのみ秘密主体たる依頼者の意思が反映され︑権利の行使は︵権利主体たる︶弁護士の意思
に委ねられることになるのに対し︑﹀叶8日①司占臣昌 四巨①σ︒Φは依頼者の権利であるが故に︑その行使も
放棄も原則として依頼者のみが決定しうるからである︒
そして︑︵1︶で述べたように︑弁護士依頼者間のコミュニケーションについて︑司法制度自体の運用
改善のための内在的な制約だとして保護する立場をとると︑このコミュニケーションを開示することにつ
いて︑弁護士に選択権を認めるのは妥当ではない︒司法制度自体が︑弁護士依頼者間のコミュニケーショ
ンが開示されないことを前提とすることになるのであるから︑その一翼を担う弁護士が自ら秘密を開示す
るのは背理である︒現在我が国では︑弁護士が職務上の秘密について証言拒絶権を行使せず尋問に応じた
︵531︶場合でも︑依頼者との間で守秘義務違反の問題が生じることは別として︑証言自体は証拠能力を有すると ︵631︶の考え方が支配的である︒だがこれは︑証言拒絶権があくまで証人たる弁護士が有する権利であることを
前提とするためであると考えられる︒証言拒絶権を証人たる弁護士の権利と捉えることから︑証人が証言
拒絶権を行使せずになした証言は︵その証言をなすことが秘密主体たる依頼者の意思に反していても︶有
効とされるのであろう︒しかし︑弁護士依頼者間のコミュニケーションについては︑依頼者の権利として
捉え︑依頼者の同意なしに弁護士が証言を行った場合には︑証拠能力を有しないものとして取り扱うべき
である︒
以上︑アメリカ法について法曹倫理上の守秘義務及び弁護士依頼者間の秘匿特権について検討し︑その特徴
から日本法にとって有益と思われる点を指摘した︒つづけて次節では︑イギリス法について同様に検討を加え
ることとする︒イギリス法はアメリカ法の母法であるが︑写巨Φo︒⑦の体系がアメリカ法とは異なった進化を遂
げている上︑近年の法曹制度改革によって︑弁護士の地位に大きな変化が生じており︑これらの点に着目して
検討してゆくこととしたい︒
賓料︸資料一.︵訳文︶連邦証拠規則︵抄︶
第五章 秘匿特権
弁護士の守秘義務と証言拒絶権︵二︶ ︵都法四十九−二︶ 二六七
二六八
第五〇一条 総則
合衆国憲法により異なった要求がされた場合︑または連邦議会の制定法もしくは連邦最高裁判所が制定法の
授権に基づいて定めた規則において異なる定めがされた場合を除き︑証人︑個人︑政府︑州︑またはその行政
小区域の秘匿特権については︑コモン・ロー上の原則を連邦の裁判所が理性と経験に照らして解釈したところ
に従う︒もっとも︑民事上の訴訟及び手続における︑請求または答弁の要素に関しては︑州法がこれを決定す
る規則を提供する限りにおいて︑証人︑個人︑政府︑州︑またはその行政小区域の秘匿特権については︑州法
に従って決定される︒
第五〇二条 弁護士依頼者間の秘匿特権及びワーク・プロダクトにつき︑放棄に関する制限
以下の規定は︑弁護士依頼者間の秘匿特権またはワーク・プロダクト保護の対象となるコミュニケーション
または情報の開示を試みる状況において適用される︒
︵a︶ 連邦の手続において︑または連邦政府機関︵甘Oo邑o白8︶もしくは連邦政府関連機関︵諭Oo邑躍Φ⇒自︶
に対してなされた開示に関する放棄の範囲−開示が連邦の手続において︑または連邦政府機関もしくは連邦
政府関連機関に対して︑弁護士依頼者間の秘匿特権またはワーク・プロダクト保護を放棄してなされた場合︑
その放棄は︑以下の場合に限って︑連邦の手続または州の手続において開示されていないコミュニケーショ
ンまたは情報に対しても及ぶ︒
︵1︶ その放棄が故意に︵巨需昌85巴︶なされ︑
︵2︶ その開示されたコミュニケーションまたは情報と︑開示されていないコミュニケーションまたは情報と
が︑同一の主題に関するものであり︑かつ︑
︵3︶ それらが︑公正な立場から見て︑一体と認められるべき場合
︵b︶ 故意によらない︵巨豊く29暮︶開示ー連邦の手続において︑または連邦政府機関もしくは連邦政府関連機
関に対してなされた開示は︑以下の場合には︑連邦の手続または州の手続における弁護士依頼者間の秘匿特
権またはワーク・プロダクト保護の放棄とは扱われない︒
︵1︶ その開示が故意によらず︑
︵2︶ 当該秘匿特権または当該ワーク・プロダクト保護の保持者が開示を防ぐための合理的な措置をとってお
り︑かつ︑
︵3︶ 当該秘匿特権または当該ワーク・プロダクト保護の保持者が︑過ちを訂正する合理的な措置︵適用があ
る場合には︑連邦民事訴訟規則第二六条︵b︶︵5︶︵B︶に従うことを含む︶を直ちにとった場合︒
︵c︶ 州の手続においてなされた開示−開示が州の手続において︑放棄に関する州裁判所の命令の対象ではない
ものについてなされたときは︑その開示は︑以下の場合には連邦の手続においては︑弁護士依頼者間の秘匿
特権またはワーク・プロダクト保護の放棄とは扱われない︒
︵1︶ その開示が連邦の手続においてなされていたのであれば本規則のもとでの放棄にはあたらない場合︑ま
たは
︵2︶ その開示が︑その開示が行われた州の法の下では放棄にあたらない場合
︵d︶ 裁判所命令の規制効果ー連邦裁判所は︑当該裁判所に継続中の訴訟に関連する開示によっては秘匿特権ま
たはワーク・プロダクト保護は放棄されないとの命令を出すことができる︒その場合には︑当該開示はまた︑
あらゆる他の連邦または州の手続においても放棄にはあたらない︒
弁護士の守秘義務と証言拒絶権︵二︶ ︵都法四十九ー二︶ 二六九