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智山學報 第56 - 018中村 本然「『釈摩訶衍論』の五重問答について」

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(1)

 

 

 

 

『釈摩訶衍論 亅の五 重 問につ いて 中村)   弘

大 師 空

( 七 七 四 − 八 三 五 ) は 、 『 釈 摩

衍 論 』

説 の 五 重 問 答 を 思 想 的 根

と し て 顕 密 の 教 判 論 を 展 開 し 、    

 

   

 

   

 

            ( ↓ 四

乗 と 真

密 教 と の 関

じ る 。 『 辯 顕 密 二 教 論 』 で は 『 釈 摩 訶 衍 論 』 の

二 訶

法 に 注 目 し 、 こ の

実 を 開 演 す る

と し て 密 教 を

介 す る 。 『 秘 蔵 宝 鑰 』 で は 「 五 重 問 答 」 に よ っ て 、

・ 三 論 ・ 天 台 ・ 華 厳 の 四

別 す る 。 特

の 配

を 示 す の は 第 四 重 の 問

( 三 自 一 心 法 ) に お い て で あ る 。 そ れ は 空 海 が 『 秘 密

論 』 に お い て

九 極

性 住 心 を

と み な し 、 「 三

門 の 法 」 ( 生 滅 門 ) と 規 定 す る こ と と

で は な い 。 と も あ れ 『 秘

宝 鑰 』 の 「 三

一 心 法 」 ( 生 滅 門 ) に は そ れ を 意 識 し た

応 が 想

さ れ る 。    

 

   

 

   

 

                             

 

   

 

   

 

   

 

        ( 2 )   と こ ろ で 応

の 大 成 者 の 一 人 で あ る 長

( 一 三 四 〇

i

一 四 一 六 ) が 「 五 重 問

な り 」 と

す る よ

に 、 真 言

史 上 で は 「 五 重 問

」 は 階 梯 的 内 容 を

ん だ

さ れ 、 『 釈 摩 訶 衍 論 』 の 「 立 義 分 」 に 開 設 さ れ る 三    

 

   

 

   

 

                ( 3 ) 十 三

門 に 配 当 す る 議

が 重 ね ら れ て い る 。 概 ね 染 浄

( 初 重 ) ・ 清 浄

( 第 二 重 ) ・ 無 尽 一 法 界 〈 三

衍 〉 ( 第 三 重 ) ・ 三 自 一 心

衍 ( 第 四 重 ) ・ 不 二 摩 訶 衍 法 ( 第 五 重 ) と さ れ 、

日 に 至 っ て い る 。 そ の

に は 『 秘 蔵 一 229 一

(2)

智山学 報第五

f

六輯 宝 鑰 』 が 心 品 転 昇 の 次 第 を

き 、 四 家 大 乗 と の 比

証 を 展 開 す る と い

論 の 性 格 が

在 す る 。 ま た

四 重 問 答 を コ ニ 自 門 法 」 「 三

一 心 法 」 と し 、

重 の 生

入 の

と 規 定 し て お き た い 空 海 の 事 情 が 勘 案 さ れ る 。 こ の 度 の 報

で は

 

『 釈

訶 衍

』 の 「 五 重 問

」 、

 

空 海 の 「 五 重 問 答 」 、

 

国 の 注 釈 者 の 「 五 重 問

」 、

 

真 言

の 「 五 重 問 答 」 と い

の 視 点 か ら 検 討 す る こ と に し た い 。 二

 

」 の

  『 釈

衍 論 』

第 五 に は あ ら ゆ る 衆 生 は 無 始 以 来

え て い る か

か に つ い て の

論 が あ る 。 衆 生 の

覚 を

じ る 有

門 と 本 具 の 本

を 認 め な い

覚 門 の 二 門 を 通 し て 、

生 と 本

の 関 係 が 論 じ ら れ る 。 有 覚 門 に 設

さ れ る 質 疑 が 「 五 重 問 答 」 で あ る 。 衆 生

の 本

を 容 認 す る の で あ れ ば 、 衆 生 の す べ て は 一 時 に 発 心 修 行 し 成 仏 す べ き で あ る 。 と こ ろ が 衆 生 の 成 仏 ( 正 覚 ) の 時 期 は 多 様 で あ り 前 後 の 不 同 が み ら れ る 。   そ も そ も 衆 生 の 成 仏 に 差 別 が 生 じ る の は 、 本 覚 仏 性 の 強 劣 に 起 因 す る の か 、

い は 無 明 煩

薄 に よ る の か 、 二

に 分 か れ た

論 が な さ れ て い る 。 『 釈 摩 訶 衍 論 』 の 作 者 は 、 成 仏 の 種 々 相 の 要 因 を 無 明 に 求 め る 。 こ れ を 補 う 教 説 が 一 般 に 「 五 重 問 容 」 と さ れ る 問 答 で あ る 。   有

門 か ら 始 め る こ と に し よ う 。     一 切 衆 生 従 一 無 始 一 来 。

有 一 一 本

無 二 捨 離 時   。

生 先

二 成 仏   。

二 成 仏 一 。 今

成 仏 一 。 亦 有 二 勤

一 。     亦

二 不

一 。

。 亦 有 二 闇 鈍 一 。 無 量 差 別 。 同 有 二 一 覚 一

悉 一 時 発 心

行 到 二 無 上 道 一 。 本

強 劣 別                                  

 

 

 

 

( 4 )     故 。 如 レ

差 別 。

明 煩 悩 厚

故 。

レ 是 差 別 。   す べ て の 衆 生 は 本

の 姿 と し て 本 覚 を

え て お り 捨 離 す る こ と は な い 。 そ れ で は 何 故 に

生 の 成 仏 の 時 期 に 先 に 一 230 一

(3)

『釈摩 訶衍 論』の五重 問答につ いて 中村) 成

生 が あ

、 後 か ら

る 者 が み ら れ る の で あ ろ

か 。

に 勤 し む

生 や 修

に 目 を 向 け な い も の 、 聡

生 ・ 愚 鈍 な 衆 生 等 の

量 の 差 別 は 一

何 に よ る の で あ ろ う か 。 も し 平

に 本 覚 を 具 有

る な ら ば 、 す べ て の

生 は

に 発 心 ・ 修 行 し 無 上 道 に 到 る は

で あ る 。 そ の

因 は 本

の 仏 性 の

劣 に よ る も の な の か 或 い は 無 明 煩

に 基 づ く の で あ ろ

か 。    

レ 初 者 。 此

則 不 レ 爾 、 所 以 者 何 。 本 覚 仏 性 円 二

恒 沙 之 諸 功 徳 一

二 増 減 一 故 。

言 レ 如 レ 後 者 。 此 事

不 レ                                  

 

 

 

 

                                         

 

 

 

 

  ( 5 )    

以 者 何 。 一 地 断

不 二

立 一 故 。

レ 是 種

無 量 差

。 皆 依 二 無 明 一 而 得 二 住 持 一 。 於 二 至 理 中 無 レ 関

巳 。   も し

の 優 劣 が 要 因 と い

の で あ れ ば 、 本

の 仏

が 無 量 無 辺 の 功 徳 を 円 満 具 備 し 増

る こ と は な い と い う 理 念 に 逆 ら い 、 ま た

明 の

薄 に よ る と い

な ら ば 一 地 断 の 意 が 成 立 し な く な る 。 こ の よ

な 遣 り 取 り が

返 さ れ た 後 に 、 衆 生 本 有

覚 の 立

か ら ( 有 覚 門 ) 、 無 量 の 差 別 は 無 明 に よ る も の で あ り 、 畢 竟 な る 理 に お い て は 無 用 の 議 論 で あ る こ と が 述 べ ら れ る 。 引 き 続 い て 設

さ れ る の が 、 五 重 問 答 で あ る 。    

レ 是 者 一 切 行

。 断 二 一 切 悪 一

二 切 善 一 。 超 二 於 十 地 一 到 二 無 上 地 一 。 円 二

一 具 二 足 四

一 。

レ 是 行 者 為 レ     明

明 。 如 レ 是 行 者 無 明 分 位 非 二 明 分 位 一 。    

浄 本

一 無 始 一 来 。 不 レ

二 修 行 非 レ

二 他 力 】 。

円 満 本 智 具 足 。 亦 出 二 四

二 五 辺 } 。 自 然 之 言 不 レ    

二 自 然 一 。

之 心 不 レ 能 二

浄 一 。 絶 絶 離 離 。 如 レ 是

明 無 明 。 如 レ 是 本 処

明 辺 域 非 一 明 分 位 一 。    

一 法 界

。 非 二 百 非 一

二 千

一 。 非 二 中

中 一 背 レ 天 。

レ 天 演 水 之

而 已 止 。 審 慮 之 量 手 亡 而 已

レ    

一 心 為 明

明 。 如 レ 是 一 心

辺 域

= 明 分 位 一 。     三 自 一 心 。 摩 訶 衍 法 一

レ 一

二 能 入 一 心 一 。 不 レ 能 レ 心 仮 二 能 入 心 一 。

非 二 我 名 一 而 目 二 於 我 一 。 亦 非 二 自 唱 一

二    

自 一 。

立 レ

非 二

一 。 如 レ 自

レ 唱 而

自 一 。 玄 玄 又 玄 。

遠 又 遠 。 如 レ 是 勝

為 レ 明 無 明 。 如 レ 是 勝    

無 明 辺

二 明 分

一 。 一

231

(4)

智山学 報第五十六                                                           ( 6 )     不 二 摩 訶 衍 法 。 唯 是 不 二 摩 訶 衍 法 。 如 レ 是 不 二 摩 訶 衍 法 為 レ 明 無 明   五 重 問 答 で は 有

無 答 の 不 二 摩 訶 衍 法 を 除 く 他 の 四 重

は 明 で は な く 無 明 と 解 釈 す る 。 し か し な が ら 、 五 重 問 答 の 一 々 を 検 証 す る と 、 問 答 で 論 じ ら れ る

地 は い

れ も

の 境 涯 に あ る と も 考 え ら れ 、 明 と 無 明 と い

判 断 を 迫                                           ( 7 > ら れ る な ら ば 、 い

れ も 明 の

域 に あ る と い え よ う 。 そ れ で も 尚 『 釈 摩 訶 衍 論 』 の 撰 述 者 は 四 重 問

と す る 。                                                       ( 8 )   そ の 理 由 の 一 例 を

快 ( 一 三 四 五 − 一 四 一 六 ) の 『 釈 摩 訶 衍

』 に 求 め て み よ

。 ま

初 重 に つ い て は 『

記 』 ( 普 観 ) の 説 を 紹 介 し 「 生 滅 門 の 行 因 得 果 の 施 設 に し て 真 如 究

の 実 義 に 非 ざ る 」 こ と か ら 無 明 と す る 。 第 二 重 の

浄 本 覚 は 染 浄

覚 は 不 覚 に 相 待 す る 境 地 で あ る と す る 『 釈 摩 訶 衍

通 玄 疏 』 ( 通 法 ) の

や 清 浄 本 覚 ( 満 覚 ) は 随 分 覚 と 相 対

す る と い

の 意 に よ っ て 無 明 と み る 。 第 三 の 一 法 界 心 に つ い て は 、 同 じ

普 観 の 意 見 に よ っ て 、 不 二

訶 衍 法 と 比 較 し て 円 明 で は な い と す る 。 第 四 重 は 能 入 に

対 し て

示 さ れ る 法 に し て 無 明 の 域 に あ る と す る 説 ( 普 観 ) を 採 用

る 。 こ れ ら 一 切 の 相 対 的 な

地 か ら 脱 し た 法 と し て 不 二

訶 衍 法 が あ る 。   衆 生 本 具 の

覚 を 明 か す 有

門 に 対 し て 建 立 さ れ る の が 無

門 で あ る 。     已

覚 門 。 次 説 二

覚 門 . 何 故 一 切 衆 生 無 レ

一 本 覚 一 耶 。 無 一 本 覚

。 何 故 無 二 本 覚 一 耶 。 無 一 衆 生 一 故 。 何                             ( 9 )     故

二 衆 生 一

。 無 一 所

本 覚 故 。   一 切

生 に 本

は 無 い と い う 。 衆 生 が 無 い か ら で あ る 。 い う な れ ば 、 す べ て が 真 如 そ の も の で あ れ ば 、 そ こ に 衆 牛 と 仏 の 差 は な く 殊 更 に 衆 生 の 本

の 有 無 を 議 論 す る 必 要 は な い 。   一 体 、 『 釈 摩 訶 衍 論 』 所 説 の 五 重 問 答 に は 、 空 海 が 『 秘 蔵 宝 鑰 』 で 披 瀝 し 、 長 覚 が

深 の

第 と 指 摘 す る よ

に 、 施 設 さ れ る

に 浅 深 等 の 意 が 内 在 す る の で あ ろ

か 。 中 国 宋

の 注 釈 に お い て も 、 例 え ば 第 三 重 は

々 に 論 じ ら れ て い る 。 即 ち 普 観 は 一

と し て 前 重

如 門 所 入 の 一 体 一 心 摩

衍 と み る 。 通

は 後 重 真 如 門 所 入 の 一 法 界 心 と し て お り 浅 深 の 次 第 に 従

な ら ば 、 第 三 重 と 第 四

は 前 後 す る こ と に な る 。 こ の よ う な 周 辺 の 事 情 が 示

に 五

232

(5)

『釈 摩訶衍 論』の五重問答につ い て (中村) 問 答 に 階 梯

色 彩 を 覗

こ と は

し い 。   と こ ろ で 「 釈 摩 訶 衍

』 の 立

分 に は 十 六 の 所 入 法 と 十 六 の 能 入 門 の 三 十 二

門 と 不 二

訶 衍 法 が 開 示 さ れ る 。 十 六 の

と は 根 本

衍 を 八

に 開 き 、 一 心 法 界 と 三 大 義 と を 二 種 に 開 い た 法 で あ る 。 所 入 法 に 対

る 門 が 十          

 

 

( 10 ) 六 の 能 入 門 と さ れ る 。 こ の 能 入 ・

入 の 十 六 法 門 に 関 し て 『 釈 摩 訶 衍 論 』 は 「

所 の 十 六 の 法 相 。 遍 満 遍

等 平          

 

 

 

 

          ( 11 )

な り 。 一 味 一 相 に し て

差 別 無 し 」 、 「 能 入 所 入 の 十 六 法 門 。 円

円 満 に し て

等 平 等 な

。 法 界 に 周 遍 し て 差 別         ( 12 )

る こ と 無 し 」 と 釈 し て い る 。 衆 生 の

に よ る

・ 門 の 差

性 を 認 め な が ら も 「 平

に し て 一 な

」 と

め 括 る 。 こ の 教 説 に 従

な ら ば 、 三 十 二 の

門 に

劣 や 浅

を み る べ き で は な い 。   「 立

分 」 で は 、

重 の 十 六

門 に 続 い て

立 さ れ る 後 重 の 十 六 法 門 は 一 心 法 界

一 法 界 心 〉 と 三 大

に よ っ て          

 

 

 

 

                                         

 

 

 

 

                  ( 13 ) 開

さ れ る 。 一

心 か ら 開

さ れ る の が 一 体 摩

衍 二 二 自 摩

と 心 真 如 門 ・ 心 生 滅 門 で あ る 。 「 立 義 分 」 に

い て 説

さ れ る の が 「

分 」 で あ る 。 こ の

釈 分 で 論 じ ら れ る の は 一 体

訶 衍 ・ 三

摩 訶 衍 ・

如 門 ・ 生 滅 門 の 二 法 二 門 に し て 、 残 り の 二 十 九 の 法 門 に 触 れ よ

と し な い 。     解 釈 門

二 四 法 一 。 所

法 門 略 不 二 別

一 。 云

為 レ 四 。 一 者 一 体

。 二 者 三 自 摩 訶 衍 。 三 者 真 如 門 。 四     者 生 滅 門 。 何

不 二

一 。 一 心 遍 満 等 九

中 已 解

。     所 レ 謂 一 心 遍 満 論 中 唯 釈 二 四 法 一 。 所

法 門

二 別 釈 一 。 云 何

四 。 一

一 心 摩 訶 衍 。 二 者 三 自 一 心

衍 。          

 

 

 

 

            ( 14 )     三

一 体 一 心 門 。 四 者 三

一 心 門 。   五 重 問

三 重 ( 一 法 界 心 ) の

に 登

四 重 は 従 来 コ ニ

一 心 摩 訶

法 」 と 解 さ れ て き て い る が 、 『

衍 論 』 は 三

一 心 摩 訶 衍 法 を ど の よ

に み て い る の で あ ろ

か 。 『

』 の

者 は 、 「 三 自 一 心

衍 」 は 『 一 心 遍

論 』 に 開 か れ る 法 に し て 、 『 大 乗 起

論 』 が 示 す 二 法 二 門 の 法 と

え て い な い 。 つ ま り 『

論 』

は 三 自 一 心 摩

に 積 極 的 に

れ る 立

に な い 。 233

(6)

智山学報 第五 十六輯  

故 に 三 十 三 の 法 門 の 一 一 を

述 し な い の か と い

疑 問 に つ い て は

の 理 由 を

る に 過 ぎ な い 。       為 レ 欲 = 顕 二 示

不 レ 分

門 得 別 一 故 。   復 次

レ 欲 レ

下 使 二

者 一 増 中 長 思 惟

 

次 為 レ 欲 丁 令 丙

使

開 二 示 教     理 甚 深 極 玄 「 。 出 乙 生

重 讃

心 甲 故 。

 

復 次 為 レ 欲 下 顕 中 示 法 門

如 二 虚 空

一 。

窮 如 二 澄 神 海 一 。 言 説 不 レ                                         ( 15 )     能

談 一 。 思

不 上 レ

量 一 故 〈 丸 数 字 は 筆 者 〉  

 

摩 訶 衍 の 法 の 体 は 同 一 に し て 平

で あ る が 法 に 到 る た め の 法 門 に は

々 な 別 相 が あ る こ と を 顕 示 す る た め 、

 

訶 衍 の

を 学 ぶ 者 の 思

力 を 増 長 せ し め る た め 、 ま た

 

そ の 教 理 が 甚 深 に し て 極

な る こ と を

し て 尊 重

歎 の 心 を 生 じ さ せ る た め 、

い は

 

摩 訶

の 法 門 は 虚 空 界 の よ

に 広 大 で あ り 、 深 淵 な る そ の 義 理 を

め る こ と が 非

に 困 難 で 、 言

道 断 ・ 心 行 処 滅 せ る

涯 で あ る こ と を 顕 示

る た め で あ る と す る 。   『

衍 論 』 に よ る と 、 馬 鳴 菩

は 九 十 種 の 華 文 論 と

を 撰 述 し て い る 。

義 論 は 仏 教 の 思 想 を 論 じ た も の で 、 『 一 心 遍 満 論 』 「 融 俗 帰 真 論 』 『

論 』 『 秘 密 微

』 『

合 一 論 』 『 真 如 三 昧 論 』 『 心 性 清 浄

』 『 不

本 原 論 』 『 甚 深 玄 理 論 』 『 大 乗 起

論 』 の 十 論 で

る 。 こ れ ら は 立 義 分 所 説 の 三 十 三 法 門 の 典 拠 と さ れ る                                                                                   ( 16 )

で も あ る 。 こ の 十 論 を

介 し た 後 に 『 釈 摩 訶 衍 論 』 は 「

レ 是 十 論 其 数 雖 レ 別 而 建 立 相 同 一 種 焉 」 と 注

す る 。

十 論 の 建 立 の 相 は 同 一 で あ る と い

の で あ る 。   も う 一

「 五 重 問 答 」 に 戻 る こ と に す る 。 本 覚 と

明 の

を 説 く 有 覚 門 に あ っ て は 、

量 の 差 別 相 は 無 明 に よ る の で あ り 、 無 明 の 数 に 応 じ た ( 本 )

を 提 供 す る こ と が 可 能 と 考 え ら れ る 。 続 い て 説 示 さ れ る の が 無

門 で

る 。

門 ・ 無 覚 門 に も 属 さ

、 本

や 無 明 に 左 右 さ れ な い 法 と し て 、 不 二 摩 訶 衍 法 が 施 設 さ れ て い る 。  

四 重 問 答 の 「 三 自 一 心 摩 訶

法 」 に 関 し て 気 掛 か り な こ と が あ る 。 『 大 正 大 蔵 経 』 所 収 の 『 釈 摩 訶 衍 論 』 に は                                                                                 ゜         ( 17 ) 「 三

一 心 。 摩 訶 衍 法 」 と あ

、 『 大 日 本 校 訂 大 蔵 経 』

の 『 釈 摩 訶 衍 論 』 に も 「 三

一 心 摩 訶 衍 法 」 と し て 、 「 三

一 心 摩 訶 衍 法 」 を 「 三 自 一 心 」 と 「

訶 衍 法 」 と

る こ と で あ る 。 「 三 自 一 心 」 は 「 三 自 の 一 心 」 或 い は 「 三 一

234

(7)

『釈摩訶衍論』の 五重問答につ い て 中村) 自 と 一 心 」 等 の

釈 が 成 立 し 、 生

門 の 心 や

門 の 法 と 捉 え る こ と も で き よ

い は 「 摩 訶

法 」 と の

わ せ で 『 釈 摩 訶

論 』 が 『

乗 起

』 に 説

さ れ る と い う 二

の 三 自

や 一 心 〈 体 〉

訶 衍

と み る こ と も で き る よ

に 思 わ れ 、

三 自 一 心 摩 訶 衍

と さ れ て き て い る こ と に 関 し て 再

す る 必 要 が あ ろ

。   た だ し 、

四 重 問 答 が 「 三 自 一 心

訶 衍 法 」 で あ る 要 因 に つ い て は 、 以 下 の よ

な こ と も 考

ら れ る 。 本

明 を 論 じ る

覚 門 を 生 滅 門 、

覚 を

定 す る

門 を 真

門 と

き 換 え る こ と が 許 さ れ る な ら ば 、 生 滅 門 所 入 の

た る 三

一 心 摩

衍 法 が 四 重

答 の

尾 に 設

さ れ る 意

は 生 じ て く る 。   「 五 重 問 答 」 の 構 想 は 「 立 義 分 」 解 釈 に お

る 三 十 三

の 説 相 を

彿

さ せ る 。 根 本 摩 訶

は 因 縁 ( 機 根 ) に 応 じ た 八

法 に

か れ 、 さ ら に 三 十 二 の

門 と し て 開 設 さ れ る 。 不 二 摩 訶 衍

は 三 十 二 法 門 が 論 じ ら れ た

に 、 唐 突 な 形 で 一 切 の

根 や

説 を

離 し た

と し て 説 か れ る 。 「 立

分 」 が 不 二 摩 訶 衍 法 を 標

す る こ と に

る こ と は 論 を

た な い 。

衍 法 に 視 点 を

な ら ば 「 五 重

答 」 の 主

も こ の

に 見 出 す こ と も 可 能 で あ る 。                        

 

 

 

 

                                    ( 18 )   「 五 重 問 答 」 で

二 摩 訶 衍 法 が

じ ら れ る

景 に 「

詰 経 』 の 「 入 不 二

門 」 の 説 相 が 覗 え よ う 。 『

』 「 入 不 二

門 」 で は 不 二 の

門 に 入 る た め の

が 三 十 二 人 の 菩

に よ っ て 重 ね ら れ る が 、 維

居 士 に よ る 「

然 」 に 極 ま る 。 不 二

訶 衍 法 は あ ら ゆ る 相 対 的 な 概 念 を 否 定 す る 。

二 摩 訶 衍 法 の 思 想 的 典 拠 を 『 大 本 維 摩

                       

 

 

 

 

          ( 19V

』 と 吐 露

る の は 「

摩 訶

身 で も あ っ た 。

 

の 「

 

空 海 が 早 い

期 に 顕

と 密 教 の 教 判 を

じ た

と し て 『 辯 顕 密 二 教 論 』 が あ る 。 空 海 は 顕 教 と

教 を 峻 別

る た め に 『 金 剛

瑜 伽 金

堙 五

行 念 誦 儀

』 『 金

閣 一 切

経 』

の 六 経 典 と 『 金 剛

瑜 伽

235

(8)

智山学報 第五 十六輯                                                             ( 20 ) 阿 耨

羅 三 藐 三 菩

心 論 』 『 大 智

論 』 『 釈 摩 訶 衍 論 』 の 三

書 を 用 い る 。 六 経 三 論 中 、 最 初 に 依 用 さ れ る の が 『

衍 論 』 で あ り 、 「 五 重 問 答 」 と 称 さ れ る 箇 所 で あ る 。 「 五 重 問

」 は 空 海 が 『 辯 顕 密 二 教

』 に お い て

し た 呼

と 思 わ れ る 。 空

は 「 五 重 問 答 」 に 深 い 意

を 見 出 し 、 研 鑽 の 必 要 性 を 論 じ る と 同 時 に 、 そ の 一 一 に つ い て

る こ と の 困 難 さ も 告 白 す る 。 『 辯 顕 密 二 教 論 』 に お い て 空 海 は 「

二 摩 訶 衍 法 」 に つ い て 一 定 の 配 慮 を 施 す が 他 の 四 重 問

に つ い て 顧 み る

子 は 見 ら れ な い 。     喩 し て 曰 く 、 已 上 五 重 の 問

甚 だ 深 意 有 り 、 細 心 研

し て 則 ち 能 く 極 に 詣 る べ し 、 一 一 の

義 紙 に 染 む る こ と                             ( 21 )     能 は

、 審 か ん じ て 之 れ を 思 へ   空 海 の 視 点 が 「 不 二 摩 訶 衍

」 に あ る こ と は 、 続 い て 示 さ れ る 。     喩 し て 曰 く 、

不 二 摩

衍 及 び 円 円 海 徳 の 諸 仏 と は 、 即 ち 是 れ 自 性

身 な

、 是 れ を 秘

蔵 と

づ け 、 亦 金                                                                                               ( 22 )     剛 頂 大 教 王 と

つ く

十 地

も 見 聞 す る こ と 能 は

、 故 に 秘 密 の 号 を 得 、 具 に は 金 剛

経 に 説 く が 如 し   「

訶 衍 論 』 の 不 二 摩 訶 衍 法 や 円 円 海 徳 の 諸 仏 を 密 教 の 自 性 法

と 融 会 せ し め て い る 。 不 二 摩 訶 衍

は 、 金 剛 頂 大 教 王 と 称 せ ら れ 、 十 地 や

の 境 地 で も 把

で き な い こ と か ら 秘 密 ( 蔵 ) と 名

け ら れ る 。

細 に は 『 金 剛 頂 経 』 に 説 か れ る と

い 放 っ て い る 。 或 い は     喩 し て 曰 く 、

地 経 論 及 び 五 教 の 性 海 不 可 説 の 文 と 、

の 龍 猛

薩 の 不 二 摩

衍 の 円 円 性

不 可 説 の 言 と は 懸                                                                                     ( 23 )     る か に 会 へ り 、

謂 因 分 可

と は 顕 教 の 分

な り

不 可 説 と い っ ぱ 即 ち

れ 密 蔵 の 本

也 と 説 き 、 『 十 地

』 『 華 厳 五

』 に い

性 海 不 可 説 や 、 『 釈 摩 訶

』 所 説 の 不 二

訶 衍

不 可 説 は 顕

の 範 躊 で あ り 、 果 性 不 可

の 境 涯 を

詮 す る の は 密 教 の 本 分 で あ る と 断 っ て み せ る 。   空 海 の

の 論 で

る 『 秘

宝 鑰 』 に お い て は ど

で あ ろ う か ? 『 辯 顕

二 教

』 と は 相 違 し 、 五

の 問 答 を そ れ ぞ れ

・ 一 一. 論 ・ 天 台 ・ 華 厳 に 配 当 し て 、 教 判

を 開 演 す る 。 不 二 摩 訶 衍 法 に 関 し て 論 及 す る こ と は な い が 、 一

236

(9)

『釈 摩訶衍論 』の五重問答につ いて (中村) 『 辯 顕

二 教

』 で 不 二

衍 法 を

教 と し た

姿

化 は な い 。 従 っ て 、 四 家

教 に 遠 く 及 ば な い こ と を

れ ば 意 を 尽

こ と に な る 。 注 目 す べ き は

厳 教

へ の 空 海 の 対 処 で あ る 。 『 秘 蔵

』 に は       ノ     ノ       ノ       ハ       ノ       カ     問 如 レ 是 一 心 本 法 至

心 、           ノ   カ ク             ノ   ハ     モ       ハ   ナ ル コ ト   ル       ノ   ヲ       モ   ス   ハ   ナ ル コ ト   ル       ノ   ヲ       ニ   レ ト モ   ノ   ニ       ク       ニ    

猛 菩 薩

、 三

一 心 法 、 一

レ 能 レ 一

 

仮 二 能 入 一 一 、 心 不 レ

レ 心

 

入 心 一 、 実 非 二 我

目 二 於 我 } 、       ト モ   ノ   ヘ ニ     ヘ リ     ニ       ク   ノ   レ ト モ   ヲ     ス   ノ   ニ       ク   ノ   ト モ   ヲ     ス   ノ   ニ         ト ン テ     ナ リ       ト シ テ     ナ リ   ノ   ノ     亦 非 二 自 唱 一 而

一 一 於

一 、

レ 我 立 レ 名 而 非 二 実 我 一 、 如 レ

レ 唱 而 非 二 実 自 一 、 玄 玄

 

又 玄 、 遠 遠

 

又 遠 、 如 レ 是       ハ ン   ト ヤ   カ   ノ     ハ   ノ   ニ シ テ ス   ノ   ニ ( 鈎 )    

処 為 レ 明 無 明 、 如 レ

処 無 明 辺 域

 

非 二 明 分 位 一 、 と

、 後 重 生 滅 門

入 の 三

一 心 の 法 を

涯 と し 、

教 の 下 位 に 配

る 。 『

蔵 宝 鑰 』 の 「 三

一 心 の 法 」 に は 、 『 秘 密 漫 荼 羅 十

心 論 』 第 九

心 の 華

教 学 へ の 空 海 の 意 向 が 反 映 し て い る 。 空 海 は 「 釈

』 所 説 の 四

大 鏡 に つ い て 、

実 空 鏡 は 真 如 門 の

く 一 体 摩 訶 衍 或 い は 一 体 一 心 摩 訶 衍 V と し 、 因 熏 習 鏡 を 三 自

の 法 即                                  

 

 

 

 

        ( 25 ) ち 生

の 法 〈 三 自 摩 訶 衍 或 い は 三 自 一 心 摩 訶 衍 〉 に 配 当 す る 。 こ れ は 当

の 華 厳

理 を 念 頭 に お い た 配

と み ら れ る 。 『

蔵 宝 鑰 』 に は 、 ま た    

の 礦 垢

 

於 此 に 悉 く 盡 き 、 曼 荼 の 荘

是 の

、 漸

開 く 、 … 中 略 … 十 地 も 窺 騫 す る こ と 能 は ず 三 自 も 歯                                  

 

 

 

( 26 )    

る こ と を

中 の 秘 、

中 の 覚 な り と 述 べ 、

有 の 浄

提 心 を 覆 い

し て い た 無

の 垢 は 消 滅 し 、 本 源 の

浄 な る

が 開 示 さ れ る 。 こ の よ

な 境 地 は 十 地 で あ っ て も 極 め る こ と が で き な い し 、 三

の 境

に お い て も 掌

る こ と は で き な い と 論 じ る 。

( 宗 ) 或 い は 華

学 を

め 顕 教 を 三 自 ( 門 法 ) と

る 空

の 立

が 看 取 さ れ る 。   前 述 し た 『 秘 密

羅 十

心 論 』 の 検 討 に 移 る こ と に し よ

。     仏

説 の 三

世 間 円

之 仏 は

四 種 の

の 中 に は 第 二 に 当 る 也 。 四 鏡 と 言 っ ぱ 。 一 に は

空 鏡 。 二 に は 因     熏 習

。 三 に は

出 離

。 四 に は 縁 熏 習 鏡 な り 。

一 の

と は 。 … 中 略 … 此 は

如 門 の 法 を

す 。 一

237

(10)

智 山 学報第五 十 六 輯     二 に 因 熏

と は 。 性

本 覚 は 三 世 間 の 中 に

悉 く 離 れ ず 。 彼 の 三 を

習 し て 一

し て 一 大 法

之 果 を 荘    

す 。 是 の

に 名 づ け て 因 熏 習 鏡 と

。 三

世 間 と は 。 一 に は 衆 生 世 間 。 二 に は 器 世 間 。 三 に は

正 覚 世 間     な り 。 衆 生 世 間 と は 衆 生 は 謂 く 異 生

な り 。 器 世 間 と は 謂 く 所 依 止 の 土 な り 。 智 正

世 間 と は 謂

仏 菩

    是 れ な り … 中 略 … 此 は 三 自 門 の 法 を

。 次 の 二 種 の 鏡 は

浄 本

と 及 び 応 化

と を

。 此 の 住 心 に 於 い て                

 

 

 

( 27 )     は 無 用 な る が 故 に 出 さ

。   『 大

広 仏

厳 経 』 に い う 衆 生 世 間 ・ 智 正

間 ・ 器 世 間 を 円 融 す る 盧

那 仏 は 『 釈 摩 訶 衍 論 』 で 解

さ れ る 四 種 の 鏡 ( 如 実 空 鏡 . 因 熏 習 鏡 ・ 法 出 離 鏡 ・ 縁 熏 習 鏡 ) 中 の 因 熏 習 鏡 で あ る と い

。 如 実 空

門 の 法 で あ る 。 『

』 の 教 主 に

応 す る 因

習 鏡 は 三

門 の 法 即 ち 生 滅 門 の 法 で あ る 。 因 み に

出 離 鏡 と 縁

習 鏡 は 染 浄 本 覚 に し て 応

身 の 境

と み る 。   さ て 『 釈 摩

論 』 の 「

向 遍 布 門 」 に は 不 二

訶 衍 法 と 前

両 重 の 所 入 の 八 法 並 び に 両 重 の 能 入 の 八 門 の 三 十   鵬 三

門 を 扱 う 。

言 す る な ら ば 真 如 ・ 生 滅 の 二 門 の 法 門 と 不 二

が 論 じ ら れ て い る 。 こ の 中 で 不 二

詞 衍 法 と 華

 

冖 の

主 盧 舎 那

に 触 れ て い る 。     諸 仏 甚 深

義 者 。 即 是 通 總 摂 前 説

説 門 。

レ 謂 通 摂 二 三 十 三

。 此

。 言 二 諸 仏 一 者 。 則 是 不     二 摩 訶 衍

以 者 何 。 此 不 二 法 形 二 於

仏 一

徳 勝 故 。 大 本 花

作 二

レ 是 説 一 。 其 円 円 海 得 諸 仏 勝 。

    其 一 切 仏 不 レ 能 三 成 二 就 円 円 海 一 劣 故 。

爾 何

分 流

経 中 作 二 如 レ 是

一 。

那 仏 三 種 世 間

心 一 。 三                

 

 

 

 

                                         

 

 

 

 

                  ( 28 )    

世 間 摂 レ 法 無 レ 余 。 彼 仏 身 心 亦 復 無 レ 有 レ 所 レ

レ 摂 焉 。 盧 舎 那 仏 雖 レ

一 。 而 摂 不 摂

。 是 故 無 レ 過 。   『 釈

論 』 は 不 . 麿 訶 衍 法 の

実 で あ る 円 円 海 と 『 華 厳 経 』 の

那 仏 の

一 相 を 証 明 し よ

と す る 。 空 海 は こ の よ う な

を 熟 知 し な が ら も 『

』 に お い て         第 十

(11)

『釈摩訶衍論』の 五重 問答につ い て (中村 )     此 .

ニ ハ 説 コ 両

具 闕 益 損 門 → 。 又 説 コ

勝 不 退 門 弓 。 又 勧 修 利 益 分 。 此 . 中 二 説 彫 此 授 ⊃ , ト .

衍 ト 與 コ 三 自                    

 

 

 

 

〔 29 )    

訶 衍 一 。 又 説 コ 龍 猛 菩 薩 ノ

誠 → と し 、

二 摩 訶 衍 法 と 三 自 摩

衍 が 開 示 さ れ て い る と い

。 三 十 二

門 を 三 自

衍 ( 後 重 生 滅 門 所 入 法 ) と み な す の で

る 。 『 華 厳

』 の

仏 も こ の

疇 に 収 ま る と 言 い た い の で あ ろ う 。 こ の 展 開

幾 の

識 し た

の 対 応 と 推 測 さ れ る 。 空

が 指 摘 す る 『 釈 摩 訶 衍 論 』 の 教 説 に つ い て 、

は 『 華 厳 一

』 中 で 、 次 の よ

じ る 。     問 云 。 何 此 三

一 大 毘 盧 遮 那 如 来 耶 。     答 。

猛 菩 薩 云 。 分 流 華 厳

中 作 二 如 レ 是

一 。

那 仏 三 種 世 間 為 二

心 一 。 三 種 世 問 摂 レ 法 無 レ

。 又 云 。     性 浄

。 三

悉 不 レ 離 二

習 一 。

三 而

レ 一

一 一 荘

一 大 法

之 果 一 。 是

〈 大 正 蔵 11 名 〉 為 二 因 熏 習 鏡 一 。     云 何

世 間 一 。 一 者 衆 生 世 間 。 二 者 器 世 間 。 三 者

正 覚 世 間 。 初 謂 異 生

。 次 謂 器

依 止 土 。

仏                 ( 30 )    

薩 。 是 名 為 レ 三

 

〈 〉 は 筆

 

は 、 『 釈

衍 論 』 の 廻

遍 布 門 や 四

大 鏡 を

拠 と し て 、 『 華

』 の 「 大 毘 盧 遮 那 如 来 」 を 論 証 し て い る 。   こ の よ

に 華 厳 の

主 を 三

摩 訶

と す る 『

事 』 や 、 四 種 大 鏡 を

如 の 法 ・ 三 自 門

本 覚 と 差

る 『 秘

』 に は 、 空

の 普

に 関 す る 見

な ま で の 対 応 が

わ れ る 。

ち 華

教 学 の

徴 と も い え る 盧

仏 を 『 釈

』 の 教 説 に よ っ て 下 位 に

理 を 行 っ て い る の で あ る 。   と こ ろ で 、 空

る 「 三 自 一 心 の 法 」 コ ニ 自 門 の

」 を 『 釈 摩 訶 衍 論 』 の 三 十 三 法 門 に 配 当

る と 前 重 生 滅 門 所 入 の 三

一 心

と 後 重 生 滅 門 所 入 の 三 自

訶 衍 と な る 。 そ の い

れ か に 関 し て は 空

も 態 度 を

し て い な い 。 ま た 『 金 剛 般

波 羅 蜜

開 題 』 に は     龍 猛

に 約 し て 之 を

ぜ ば 。 謂

と は 三 自 の

。 無 為 と は 一 如 の 法 。 法 と は 衆 生 の 心 な り 。 一

239

(12)

智山学報 第五十六輯     三

門 に 染 浄

浄 一 法 界 三 自 の 四 種 の 本

り 。 一 如 門 の 中 に

、 恒 沙 の 仏 徳 を 具 し 。 円 満 海 の 中 に 亦 、 無 量     の 徳 を 具 す 。 此 の 如 く の 諸 徳 は 皆 是 れ 一

生 の 心 法 な り 。 是 の 心 法 は 皆 無 明 大 念 の

を 離 れ た る が 故 に 無 為     と

つ く 。 皆 念 相 を 離 れ た る 覚 者 其 の 数

量 な り 。 故 に 有 差 別 と 云 ふ 。 差 別 は 則 ち 一

に 名 つ く る に 非 ず 。 高                     ( 31 )     下

る が 故 に 差 と 日 ふ 。 と 、 わ ざ わ ざ 「 釈

訶 衍 論 』 に よ る と 断 り な が ら 、

明 の 熏 習 に よ る 有 為 法 は 三 自 の 法 即 ち 生 滅 門 の 法 で あ り 、 無 明 の 熏 習 か ら 離 れ た 無 為 法 を 一 如 の

即 ち

如 門 の

る 。 そ の 三 自 門 に 染

・ 清 浄 ・ 一 法 界 ・ 三 自 の 本

を み る 。 生

門 は 無 明 の 念 相 に よ っ て 無 量 の 差 別 が 生 じ る 。 一

門 や 円

海 に は 無 量 の 差 別 相 は な く 一 相 で あ る 。 即 ち 生 滅 門 ・ 真 如 門 ・ 不 二 門 の 三 門 に よ る 解 釈 を 施 し て い る 。   『

法 蓮

経 』 に 関 す る 空 海 の 理 解 を 示 し た 『 法 華 経 開 題 』 に は 左 記 の よ

に あ る 。    

と は 且 く 六 重 の 浅 深 有 り 。 一 に は

浄 本

法 。 二 に は

浄 本 覚 妙 法 。 三 に は 一 心 法 界

覚 妙 法 。 四 に は     三 自 本 覚 妙 法 。 五 に は 一 如 本

妙 法 。 六 に は 不 二 本

法 な り 。 此 の 六 重 に 就 い て 且 く 顕

の 妙 法 を 分 た ば 。     初 め の 五 は 顕 の

法   後 の 、 は 密 の 妙

な り 。 又

の 五 が 中 に 初 め の 四 は 顕

 

の 一 は 秘 な

。 又 四 の 本 覚 の     中 に 更 に 顕 密 有 り 。 初 め は 顕

 

後 は 秘 な り

 

次 の

ん ぬ べ し 。 今 の

説 の

は 染 浄

之 妙

也 。

を 以                                                       ( 32 )     て 知 る こ と を 得 る 。 他 受 用

応 化 仏 の 随 機 の 所 説 な る が 故 に 。   「 妙

」 に は 染 浄 本

妙 法 ・ 清 浄 本

法 ・ 一 心

界 本 覚

法 ・ 三 自 本

法 ・ 一 如 本 覚

法 ・ 不 二 本

妙 法 の 六

の 浅 深 の 次 第 が あ る 。 こ の 六 種 の 本

は 『 秘 密

羅 十 住 心 論 』 の 第 九 住 心 を 踏 ま え た

に な っ て い る こ と は 言 う ま で も な い 。 い ま 試 み と し て 空 海 の 意

に 沿 っ て 、 六 重 本 覚 を 五 重 問 答 に 配 当 す れ ば 、 以 下 の よ

成 と な ろ う 。     染

本 覚 妙

… … … 第 一 重 問 答 一

240

(13)

『釈摩訶 衍論 』の 五重 問答につ い て (中村 )

 

 

浄 本

法 … … … 第 二 重 聞 答

 

 

一 心 法 界 本

… 第 三 重 問 答

 

 

三 自 本

法 … … … 第 四 重 問 答

 

 

一 如 本

法 … … … ?

 

 

不 二 本

妙 法 … … …

五 重 問 答

 

論 と さ れ る べ き は 『

蓮 華 経 』 を

浄 本

法 と

る こ と で あ る 。 空 海 は そ の 理 由 を

受 用

応 化 仏 が 衆 生 の

根 に 随 っ て 説 い た 経 典 で あ る か ら と 明 か し て い る 。 こ れ は 『 辯 顕 密 二

論 』 で み せ た 「 他 受 応 化

の 随 機 の 説

 

 

 

                                         

 

 

 

 

            ( 33 )

 

之 を 顕 と

い 、 自 受 用

仏 の 内 証

を 説 い た も う 、

れ を 秘 と

つ く 」 や 「 法 華

は 是 れ 応

仏 の 所

 

 

 

                                      ( 34 ) な

… 中 略 … 或 る

、 法

と 談

 

甚 だ 誣 罔 な り 」 を 踏 ま え た 論 の 展 開 で あ る 。 問 題 が な い わ け で は な い 。 空

が 『 秘 蔵 宝 鑰 』 で

心 と す る の は

三 重

答 で あ っ た 。 即 ち 「 一

界 心 」 で

る 。 『

経 開 題 』 に

え ば

 

嬲 コ 心

界 本

」 と な ろ

。 と こ ろ が 空

は 第 一 重 問 答 に 想

さ れ る 「 染 浄 本

妙 法 」 に 配 し て お り

 

一 き た す 結 果 を 招 い て い る 。

 

空 海 の 教

し た

末 徒 に は

 

第 一 重 問

染 浄 本

と す る こ と 、

 

宗 に 配 し た 第 三

答 と の 関

 

第 四 重 「 三 自 一 心

衍 法 」 に つ い て 、 或 い は

 

空 海 が

た に 創 設 し た 一 如

覚 に 関 す る 解 決 が

ら れ る こ と に な る 。

 

の 「

国 の 宋

( 九 六 〇

 

二 七 ) に 撰 述 さ れ た 『

論 』 の 注

』 ( 後、 通 法 疏 と す る ) ・

(14)

智山学 報 第五 十 六

摩 訶 衍 論 通 玄

』 ( 後、 慈 行 鈔 と す る ) ・ 『 釈 摩

記 』 ( 後、 普 観 記 と す る ) に 散 見 す る 「 五

問 答 」 に つ い て

証 す る 。 筆 者 は

て 「 『 釈 摩

』 に 説 か れ る 熏 習 論 の

徴 に つ い て 」 や 「 『 顕 密 二 教

手 鏡 鈔 』 に つ い て 」 と い  

 

   

 

      ( 35 ) う 論

を 報 告 し て い る 。   は じ め に 通 法 疏 で あ る 。 通 法 の 疏 は 五 重 問 答 の 抱 え る 内 情 を

呈 し た 論 述 を 行 っ て い る 。 つ ま り 「 五 重 問 答 」 に 関 し て 、 生 滅 門 と

如 門 の 二 方 面 か ら の 理 解 を 提

し て い る 。   ま ず 生 滅 門 的 見 地 か ら の

釈 で あ る 。 「

摩 訶 衍 論 賛 玄 疏 』 に お い て 、 通 法 は 初 重 を 究

と み る 。  

 

明 と 無

を 釈 す る に 五

り 。 一 の 問

は 究 竟 始

な り 。 … 中

… 是 く の 如 く の 聖

は 明 と や 為 ん

明 か 。 答

。  

 

   

 

                             

 

   

 

   

 

   

 

      ( 36 )  

 

無 明 を

る に 因 っ て 方 に 極 智 を 円

明 の

に 属 し て 明 の 分 位 に

ず …   究 竟 始 覚 で あ っ て も 、 無 明 を 断 尽 し

の 智 を 円

な の で 、 無 明 の 域 を 遁 れ る こ と は で き な い と い

。  

二 重 は

本 覚 で あ る 。  

 

二 の 問

は 清 浄

覚 な り 。 若 し 仏 果

を 以 て 無 明 の 位 に 属 し 明 の 位 に 非

れ ば

浄 本

… 中 略 … 是  

 

く の 如 く の 本 智 は 明 と や 為 ん 無 明 か 。

う 、 斯 く の 如 く の 本 智 は 生 滅 門 に 依 る 、 染

本 に 対 し て

浄 本 を 立 つ 、  

 

   

 

                             

 

   

 

   

 

   

 

    ( 37 )  

 

覚 に 対

る に 因 っ て 此 の 覚 を 立 つ

に 無 明 の 域 に し て 明 の 分

に 非

。   こ の 本 智 は 生 滅 門 に 依 っ て 建 立 さ れ て お り 、 即 ち 染

対 す る 本

で あ り 、 不

に 対 す る

の 範 囲 を 脱 し て い な い の で 、

明 に あ る と い う 。  

 

三 の 問 答 は

重 所 入 な

。 若 し 清 浄 本

を 以 て 亦 た 無 明 の 域 に 属 す 後 重

一 心 の

… 中 略 … 是 く の 如 く  

 

の 一 心 は

と や 為 ん 無

か ・ 答

斯 く の 如 く の 一 心 は 生 滅 に 依 る と

し 無

の 域 に 属 し

の 分 位 に 非

 

三 重 は 後

入 多 一 心 の 体 、 つ ま り 三 十 二 法 門 で い う な ら ば 三 自 摩

衍 法 と い う こ と に な る 。 従 っ て こ の 摩 訶 衍

生 滅 門 の

域 に あ る 。 一

242

(15)

『釈摩訶 衍論』の五重問答につ い 村 )     四 の 問 答 は

重 所 入 な

。 謂 わ く 前 重 所 入 の 三

一 心 摩 訶 衍 の

は … 中

… 是 く の

く の 勝 つ 義 は 明 と や 為 ん    

明 か 、

斯 く の 如 く の 勝

は 能 入 の 三 自 一 心 の 生 滅 門 に 対 す る に

っ て 説 く 、

明 の 域 に 属 し 明 の 分 位 に     非

 

四 重 は 後

三 自 一 心 摩 訶 衍 法 で あ る 。 こ の 法 は

入 ・ 所 入 の 関

か ら

れ て い な い の で 無 明 に 分 類 さ れ る 。   通

の 「 五

問 答 」

釈 の 特 徴 は 生 滅 門 か ら の

ば か り で な く 、 真 如 門 に 立 脚 し た 五 重 問

釈 を 設 定 す る と こ ろ に あ る 。 当 然 の こ と な が ら 四 重 問 答 に 開 か れ る

は す べ て 明 の

域 に

る 。 こ の よ

な る

が 成 立

に 『 釈 摩

論 』 の 五 重 問 答 の 潜 在 的 な 問 題 が あ る と い え よ

。     応 に 問

て 云 う べ し 、 一 人 有 り て 真

門 に 依 る が 如 し 、

随 順 し て

し た 後 に 証 に

入 す 、 是

の 如 く の

   

は 明 と や

か 、 是 く の 如 く の 覚

は 是 れ 明 の 分

に し て 無 明 の 域 に 非

略 … 又 問

は … 中

    … 是 く の

く の

如 は 明 と や

ん 無

か 、 是

の 如 く の

如 は 是 れ 明 の 分 位 に し て

明 の 域 に ず 、 又 問

重     一

界 心 の

は … 中 略 … 是 く の 如 く の 勝 処 は 明 と や 為 ん

明 か 、 是 く の 如 く の 勝 処 は 是 れ

の 分 位 に し     て 無 明 の 域 に 非

、 又

所 入 の 一

一 心 摩 訶 衍 の 法 は … 中

… 是 く の 如 く の 勝 処 は 明 と や 為 ん

か 、

く                                               茹 )     の 如 く の 勝

れ 明 の 分 位 に し て

明 の 域 に

、  

如 門 の 視

か ら 四 重 問

の 明 ・ 無 明 を 判 断 す る な ら ば 、 四 重 の 全 て が

と い

こ と に な る 。 但 し

門 に

立 さ れ る

で あ る た め の 不 都 合 も 生 じ さ せ て い る 。

二 重 は

で は な

体 如 の 法 と し て 、

四 重 は 三 自 一 心 摩 訶 衍 法 で は な く 一 体 一 心 摩 訶

法 と し て

理 さ れ て お り 、

の 名

が 改 変 さ れ て い る こ と で あ る 。 取

け 四 重 問 答 す べ て を 無 明 で は な

明 と す る こ と も 『

訶 衍

』 が 「 五 重 問 答 」 を 施

し た 本 意 か ら は

れ よ

。 と も あ れ 通 法 は 「 両 重 俗 門

所 入 是 れ 無 明 の 域 」 と し 、 「 両 重 真 門

れ 明 の 分 位 」 と す る

異 な

し 進 め て い る 。   そ し て 第 五 重 の 不 二

訶 衍

に つ い て 通 法 は 一

243

(16)

智山学 報第五 十六輯  

 

五 の 問

は 不 二 大 乗 な り 。 … 中 略 … 唯 だ 此 の 一

は 問 い

り て

え 無 し 、 意 は 不 二 離

の 果 は 明 の 分 位 に 非

 

 

   

 

   

 

   

 

                          ( 41 )  

 

無 明 の 域 に 非

を 顕 わ す 、 不 可 説 に

く 分 つ 良 き 証 な り 。 と し 、 不 二

訶 衍

は 離

根 ・ 離 教 説 の

界 に し て 明 ・ 無 明

の 分 別 の 領

で な い と 説 く 。   続 い て 『 慈 行 鈔 』 で あ る 。 慈 行 は 衆 生 の 成 仏 に 前 後 が あ る 要

は 、 本 覚 仏 性 の 強 弱 に あ る の で は な く 、 無 明 の 厚 薄 に あ る と

摘 す る 。 『 釈 摩 訶 衍 論 通 玄 鈔 』 に  

 

是 く の

く の 種

無 量 の 差 別 等 と は …

略 … 先 ず 問 う 、 何

に 先 に 成 仏

る 後 に 成 仏 す る 等 を 指 す 並 び に 無 明  

 

に 由 る 、 是 れ 本 覚 不 平

に 非 ざ る が

に 又 亦 た 近 く は 本 覚 の 仏 性 の 強 劣 が

な る が 故 に

の 二 義 を

す 、 皆

 

 

明 に 由 る

な り 。  

 

無 明 の 分

に し て 明 の 分 位 に 非 ず と は 明 は 即 ち 本 覚 な り 、 下 は 皆 準 知 し 上 の 差 別 す 皆 無 明 に 由 り 本

に 由 ら  

 

   

 

   

 

   

 

    ( 42 )  

 

ざ る に 因 っ て 下 の 文 を 転

す と 論 じ 、 五 重

は 無 明 の

に よ る

深 に 過 ぎ な い の で す べ て 無 明 の

に あ る と み な す 。 五 重 問 答 に 前 重 所 入 の 一 体 一 心

衍 法 が 施

さ れ な い 理

は 、 一

一 心 摩 訶 衍

が 真

門 の

に し て あ ら ゆ る 観 待 を 絶 離 し て お り 、

四 重 の よ

に 相 待 倶 成 の 義 に よ る 理

と 同 一

で き な い と す る 。

如 門 に

う 法 は 通 法 と 同 様 に 明 と す る 立 場 に あ る と も

え ら れ る 。 第 五 重 の 不 二 摩 訶 衍 法 に は 殊 更 に 言 及 す る 様 子 は 見 ら れ な い 。   最

に 普 観 の 『

』 を み る こ と に し よ う 。 普 観 は

重 を 満 浄 の 行 人 と 解

る 。 『

衍 論 記 』 に は  

 

に 徴 す る

人 を 釈 す … 中 略 … 是 く の 故 に

了 す と 言

も 猶

明 の 分 位 に 有

又 斯 く の 行

、 権 宜 に  

 

   

 

   

 

   

 

                             

 

   

 

   

 

    ( 43 )  

 

設 す れ ど

だ 真 の 成 を

竟 す る こ と 能 わ ざ る が 故 に 明 の 分

に 非

と 説

… と あ り 、 初 重 を

人 と す る が 、 修 行 の 行 徳 は 権 り に 建 立 さ れ た

の に 過 ぎ ず 、

実 の

就 と は い え な い と い

。   次 に 第 二 重 。 一

244

(17)

『釈 摩訶衍 論』の 五重 問答につ い て (中村 )  

 

本 覚 … 中 略 … 是 く の

く の

浄 本

は 唯 だ

転 す と 雖 も 亦 た 分 に 対 す る が 故 に … 中 略 … 彼 の 不 覚 と

待 建  

 

 

 

 

                                  ( 44 )  

 

立 せ ら る 、 故 に 説 い て

づ け 無 明 の 辺

と 為 す …  

に つ い て 、 普 観 は

せ る

地 で は あ る が 、 清 浄 本 覚 は 分 覚 に

す る 満

で あ

、 不

に 対 す る 覚 に

ぎ な い の で 無 明 の 域 を 回 避 で き て い な い と い

。   さ て

三 重 の 一 法 界 で あ る 。 普

は 前 重

入 の 一 体 一 心

訶 衍

或 い は 清 浄

所 証 の 一 心 と み る 。  

 

心 に 二 つ あ り … 中 略 …

入 八 本

中 の 一 体 一 心 を 一 法 界 と

つ く

い は 前 の

の 一 心 … 中

… 此  

 

 

 

 

                                         

 

 

 

 

                                    ( 45 )  

 

の 一 心 因

至 極 と 雖 も

に 不 二 に 於 い て は 猶

だ 円 明 な ら ざ る が

に 説 き

づ け て 明 の 分 位 に

ず と

…   こ れ ら の 一 心 は 修

種 因 至 極 の

地 で は あ る が 不 二

衍 の 性 徳 円 満 海 と 比 較 す る と 円 明 で は な い の で

明 と す る 。 こ こ に 二 点 の 問 題 が 起 こ さ れ て い る 。 ま

こ の 一

心 を 一 体 一 心 摩

衍 と み な

と 、 第 四 重 の 三

一 心 摩 訶

深 い 境 界 と い う こ と に な り 、 五 重 問 答 に 想 定 さ れ る 階 層 的 視

が 否

さ れ る こ と に な る 。 ま た

の 法 た る 一

一 心 摩 訶 衍 を 無 明 と し て お

、 通

如 門 を 明 と す る 立 場 と は 相 異 す る 。 普 観 は 不 二

訶 衍

と 見 立 て て い る の で あ ろ

か 。  

 

三 自 一 心 … 中 略 … 今 三 自 と 云 い 及 び 一 心 と 言

入 門 に

り て

入 法 を 顕 わ す 故 に …

略 … 是 く の

 

 

一 心 本 法 は 玄 遠 と し て

勝 な る に 明 と や 為 ん 無 明 か 、 二 是 く の 如

下 に 能 入

入 観 待 し て 釈 し て 立 つ 、 是 く の  

 

 

 

 

                〔 46 )  

 

に ま た 無 明 の 辺 域 に 属 す …  

は 前 重 所 入 の 三 自 一 心 摩 訶

法 は 、 能 入 に 応 じ て 設 定 さ れ る 法 に し て 相 待 の 世 界 を 離 れ る こ と は な い と 切 り 捨 て る 。  

 

に 不 二 法 を 明 か す … 中 略 … 此 の 法

深 極 玄 ・ 独

・ 最 勝 に し て

故 離

説 故 な る こ と を 顕 示 せ ん と 欲

 

 

る が 為 に 問 詞 有

と 雖 も 答 語 無 し 、 又

は 亦 明 無 明 非 明 無 明 四

を 融 摂 せ ざ る こ と 無 し 、 問 及 245 一

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