犬猫経絡・経穴講座
国際中獣医学院日本校/進修課程 石野 孝
経絡と経穴
(ツボ)
12経絡の
循環ルート
ツボの主治と作用
主治:そのツボの持っている治療効果の高いもの 作用:そのツボが経絡に対してどのように調整的に働く かを表したもの 例えば 【神門】前肢少陰心経 主治:心部痛、心煩(イライラ)、不眠、驚悸(驚きや すい) 作用:寧心安神(こころを安らがせる) 【足三里】後肢陽明胃経 主治:胃痛、嘔吐、消化不良、下痢、眩暈、疲労 作用:健脾和胃(脾胃を健やかにし和ませる) 通経活絡(経絡に活力を与え気血の通りをよ くする)特定穴(特定
の働きを持っ
たツボ)
【兪穴】背兪穴のこと。すべて膀胱経
に属す。臓腑の治療に用いる。
【原穴】各経脈を代表とするツボ(計
12)。原気不足に用いる。
【絡穴】慢性病の治療に用いる。
【郄穴】急性病の治療に用いる。
【墓穴】胸腹部に散在し、臓腑の気が
集まる。
奇穴、阿是穴
【奇穴】経外奇穴の
簡称で、経穴(正穴)以
外の腧穴のこと
【阿是穴】いわゆる
「ああ、そこだ」という体
表の圧痛点・過敏点
前肢三陽経
前肢陽明大腸経 前肢少陽三焦経 前肢太陽小腸経
前肢三陰経
前肢太陰肺経 前肢厥陰心包経 前肢少陰心経
後肢三陰経
後肢太陰脾経 後肢少陰腎経 後肢少陰腎経
後肢三陽経
後肢陽明胃経 後肢少陽胆経 後肢太陽膀胱経
1.前肢太陰肺経(LU)
【走行】 胸部から始まり、前肢の内側を下り、 前肢第1指内側末端で終わる。 【主治】 呼吸器系疾患、肩・前肢内側の痛み、 知覚・運動障害 【代表的なツボ】 中府、雲門、尺沢、孔最、列缺、太淵、 少商中府(LU1)
肺の募穴
【位置】肩関節内側の陥凹部。第一肋
間の高さ
【作用】清宣肺気:(肺の宣発機能を高
める)
【主治】肺気痛、咳嗽、肩部捻挫、前肢
跛行、麻痺など胸・肺および 前肢疾患。
【操作】毫鍼を用いて、内後方に向
かって刺入する
肺の機能➡
宣発と粛降を
復習しましょ
う
【宣発】
宣発(せんぱつ)とは、上へま
たは外へ動かす作用
【粛降】
粛降(しゅくこう)とは、下へま
たは内へ動かす作用
雲門(LU2)
【位置】中府の頭外側(斜め上)第一肋間
の高さ。肩甲骨と腹部正中線の中間にとる。
【作用】宣調肺気(肺気を宣発機能を高め
体調を整える)
【主治】咳嗽、喘息、四肢の冷え
【操作】毫鍼を用いて内後方に直刺
尺沢(LU5)
肺経の合穴
【位置】肘窩屈曲線(肘のひだ)上腕二頭筋腱の 外側(橈側) 【作用】清泄肺熱:肺熱をとり肺の働きを伸びやか にする 粛降肺気:体内深く清気を採り入れ肺気を充実 【主治】咳嗽、喀血、呼吸困難、心肺積熱、熱性病、 中暑、胸腕痛、 前肢跛行、リウマチ様関節炎 【操作】毫鍼を用いて直刺孔最(LU6)
肺経の郄穴
【位置】尺沢と太淵を結ぶ線上で、尺
沢からみて2/5.
【作用】理気潤肺:気の流れを良くし
肺を潤す :
清熱止血:熱を下げ炎症や出血を防ぐ
【主治】咳嗽、胸痛、気喘、咳血、咽
頭腫痛、胸・上腕・肘の疼痛、前肢跛行
【操作】遠位から近位に向かって、あ
るいは近位から遠位に向かって斜刺
列缺(LU7)
肺経の絡穴
【位置】尺沢と太淵を結ぶ線上で、尺沢(LU5) からみて7/8 【作用】宣肺疏風:肺の宣散作用を高め風の 邪気を分散させる 通経活絡:経絡に活力を与え気血の流れをよく する 【主治】頚部硬直および疼痛、顔面神経麻痺、 咳嗽、咽頭部腫脹・疼痛、開口不全 【操作】直刺または斜刺太淵(LU9)
肺経の原穴
【位置】手根屈曲線(手首のひだ)の内側(橈側側)で、橈骨 手根関節の内側にある陥凹部 【作用】祛風清肺:風寒(風と寒さにより体表や肺の機能が犯 される) を除去する 止咳化痰:咳を止め痰を出す 【主治】咳嗽、呼吸器系疾患、喀血、咽頭部痛、前肢跛行 【操作】直刺または斜刺少商(LU11)
肺経の井穴
【位置】第1指:の内側(橈側)爪甲角から内側すぐの ところ 【作用】清熱:身体内部の熱を冷ます 利咽:のど(咽喉)の調子を整える 回陽救逆:上逆を防ぎ陽気を回復させる 【主治】 掌部位の腫脹・疼痛、咽頭部腫痛、咳嗽、 気喘、発熱、嘔吐、昏迷、癲狂、癲癇 【操作】直刺0.1-0.2mm、点刺して出血させてもよい。 刺鍼時には疼痛伴う。2.前肢陽明大腸経(LI)
【走行】前肢第2指の内側末端から始まり、前 腕頭側を上がっていく。肘からは外側を上り, 肩頸部を通って、反対側の外側に終わる。 【主治】消化器系疾患、顔面(特に鼻・歯・喉) の問題、経脈上(頸部、肩、前腕橈側、上腕 外側)の問題 【主なツボ】 商陽,三間、合谷、陽谿、遍歴、温溜、手三 里、曲池、臂臑、肩髃、迎香商陽(LI1)
大腸経の井
穴
【位置】第2指の内側(橈側)爪甲角から内側す ぐのところ 【作用】泄熱消腫:熱をとり腫脹を抑える 開竅醒神:脳竅を開き意識をはっきりさせる 【主治】歯痛、咽喉の腫脹、手指の麻痺、熱性 病、昏迷、前肢跛行、感冒、中暑、中毒、腹痛 【操作】直刺0.1-0.2mm、点刺して出血させても よい。刺鍼時には疼痛伴う。三間(LI3)
大腸経の兪
穴
【位置】第二中手骨の内側で、中手指節関節の近位 にある陥凹部 【作用】 散風:風の邪気を散ずる 行気:胃腸の機能を高め、気(体のエネルギーの源)の 流れを改善して腹部の張った痛みをとる 清熱:身体内部の熱を冷ます 【主治】歯痛、目痛、咽喉部腫脹、手指および手背部 の発赤、腫脹 【操作】直刺または斜刺。灸も可。合谷(LI4)
大腸経の原
穴
【位置】第一・第二中手骨の間で、第二中手骨の内側(橈側)縁の 中点 【作用】鎮痛安神:痛みを止め精神安定を図る 通経活絡: 胃経の経絡の流れを良くする 疏風解表。:身体内部の熱を冷ます 【主治】頭痛、頚部痛、結膜炎、鼻出血、鼻詰まり、歯痛、顔面の 腫脹、咽喉の腫痛、牙関緊急、口眼の歪み、熱性病、腹痛、便秘、 上肢の疼痛 【操作】直刺または内方に向かって斜刺陽谿(LI5)
大腸経の経
穴
【位置】橈骨手根関節の背側の内
側にある陥凹部
【作用】清熱散風:熱を冷まし風邪
を散ずる
【主治】頭痛、耳鳴り、咽喉腫痛、歯
痛、目の充血、精神不安、手関節痛
【操作】直刺または斜刺
偏歴(LI6)
大腸経の絡
穴
【位置】陽谿と曲池を結んだ線上で、
陽溪からみて1/4
【作用】清熱疏肺:熱を冷まし肺を侵
す邪気を分散
通調水道:三焦の通りがよくなるよう調
える
【主治】視力障害、鼻出血、排尿困難、
肩・上腕部・肘部、前腕部の疼痛
【操作】直刺または斜刺。灸も可。
温溜(LI7)
大腸経の郄穴
【位置】陽溪と曲池を結んだ線上の中点 【作用】清熱解毒:身体内部の熱を下げ毒を排除 調理腸胃:胃腸を調えて機能の回復を 図る 【主治】流涎、歯痛、目の充血・腫れ、喘息、腹痛 【操作】直刺または斜刺手三里(LI10)
【位置】陽溪と曲池を結んだ線上で、曲池からみて 1/6 【作用】袪風通絡:経絡の流れをよくし風邪を除去 する 調理腸胃:胃腸を調えて機能の回復を図る 【主治】腹痛、下痢、歯痛、頬の腫脹、肩・腕の疼 痛、橈神経麻痺、前肢リウマチ、脾胃虚弱、腰痛 【操作】直刺または斜刺曲池(LI11)
大腸経の合穴
【位置】肘窩屈曲線も外端の陥凹部 【作用】袪風解表:表裏・経絡・臓腑に停滞した外風を除去 し体表を解く 清熱利湿:熱を冷まし体内の余分な水分を排出させること 調和気血:気血を調える 【主治】咽頭腫痛、歯痛、結膜炎、瘰癧、風疹、上肢不 遂、腹痛、吐瀉、熱性病、肘関節疾患、眼病、皮膚疾患 【操作】直刺または斜刺臂臑(LI14)
【位置】曲池と肩髃を結んだ線上で、
肩髃からみて1/3
【作用】袪湿通絡:湿邪を払い、経絡
の通りをよくする
清熱明目:熱を冷まし目をスッキリさせ
る
【主治】肩・上腕痛、肩関節痛、瘰癧、
眼疾患、咳嗽、喀血、嗜眠
【操作】直刺または斜刺
肩髃(LI15)
【位置】肩甲骨肩峰の陥凹部 【作用】疏風活絡:風の邪気を分散させ経絡 の流れを活発にする 通利関節:関節の動きをよくする 調和気血:気血を調える 【主治】肩・上腕痛、風疹、瘰癧、肩関節痛、 肩部および前肢のリウマチおよび麻痺 【操作】直刺または斜刺迎香(LI20)
【位置】鼻孔背外側で、有毛部と無毛部の境界線上でと る 【作用】散風清熱:風を散じ熱を冷ます 宣通鼻竅:肺気を宣ろめ鼻の通りをよくする 【主治】鼻閉塞、顔面掻痒、顔面腫脹、腹痛、中暑、 感冒、咳嗽、眩暈、熱性病、鼻炎、顔面神経麻痺 【操作】刺鍼は疼痛を伴うので、指圧やマッサージ後肢陽明胃経(ST)
【走行】目の下から始まり、そのまま下がり、口唇の 縁に沿って耳の前に進む。頸部、胸、腹部へと尾側 に進み、大腿の前外側を下がる。膝からは外側を下 り、後肢第二趾の外側末端で終わる。 【主治】消化器疾患、顔面(特に鼻・歯・喉など)の問 題 【主なツボ】承泣、四白、頬車、下関、乳中、乳根、天 枢、髀関、伏兎、 陰市、梁丘、犢鼻、足三里、上巨虚、豊隆、解谿、衝 陽、内庭、厲兌承泣(ST1)
【位置】瞳孔直下、眼窩下縁との交点 【作用】散風泄火:風を散じ火邪を緩やかに外へもら す 疎邪名目:肝邪を疎んじ目がよく見えるようにする 【主治】結膜炎、涙目、顔面神経麻痺、緑内障、 視神経萎縮、感冒、腰痛、尿崩症 【操作】刺針時には、眼球を上方に押し上げ、眼窩下 縁に沿って直刺マヤは斜刺。熟練者のみが行うことが 望ましい。四白(ST2)
【位置】眼窩下孔の陥凹部
【作用】明目袪風:風邪を去り目をハッキ
リさせる
【主治】結膜炎、涙目、顔面神経麻痺、
緑内障、視神経萎縮、感冒、腰痛、尿崩
症
【操作】眼窩下孔に向かって直刺または
斜刺。灸は禁忌。
頬車(ST6)
【位置】下顎骨角突起の吻測かつ背
面(前上方)にある陥凹部
【作用】開関通絡:経絡の通りをよくし
関節を滑らかにする
疏風清熱:風の邪気を分散させ熱を冷
ます
【主治】顔面神経麻痺、三叉神経痛、
顔面筋痙攣、歯痛、下顎関節障害
【操作】直刺または斜刺
下関(ST7)
【位置】頬骨弓下方の陥凹部 【作用】疏風清熱:風の邪気を分散させ熱を冷ます 開閉正熱:痛みを止めて正気を開く 【主治】歯痛、歯肉炎、牙関緊急、外耳炎、中耳 炎、顔面神経痛、顔面神経麻痺、破傷風、眩暈 【操作】直刺または斜刺。乳中(ST17)
【位置】前胸部、第
四肋間で、腹部正中
線から4寸外側
鍼灸施術は行わな
い
乳根(ST18)
【位置】前胸部、第四肋間で、腹部正中線か ら5寸外側 【作用】宣通肺気:肺の宣散作用を高める 活血通絡:経脈を通じさせ、血の流れを活発に する 【主治】咳嗽、喘息、胸部苦満などの呼吸器 疾患、乳腺炎、催乳作用、心胸痛、肋間神経痛 【操作】直刺または斜刺、横刺天枢(ST25)
胃経の募穴
【位置】臍の中央から2寸外側 【作用】調理腸胃:胃腸を調えて機能を回復する。 和気和営:気血を正常に巡らす。 【主治】腹痛、腹脹、腸鳴、便秘、泄瀉、痢疾、 水腫、腹水、尿閉、子宮内膜炎、神志疾患、腰痛 【操作】直刺、斜刺、横刺伏兎(ST32)
【位置】大腿頭外側、大腿骨大転子
と犢鼻を結んだ中点
【作用】強腰益腎:腎の働きを高め、
腰を丈夫にする
疏通経絡:経絡の気をよく通す
【主治】腰、大腿部の痛み、下肢の麻
痺、脚気
【操作】直刺または斜刺、灸も可
陰市(ST33)
【位置】大腿頭外側、大腿骨大転子と
犢鼻を結んだ線上で、犢鼻からみて1/3
【作用】温腎散寒:腎を温め寒邪を散
ずる
強腰背:背中や腰を丈夫にする
【主治】大腿痛、片麻痺、膝関節及び
その周囲軟部組織の知覚・運動麻痺
【操作】直刺または斜刺
梁丘(ST34)
胃経の郄穴
【位置】大腿頭外側。大腿骨大転子と
犢鼻を結んだ線上で、犢鼻からみて1/4
【作用】通経活絡:胃経の経絡の流れ
を良くする
理気和胃:気を巡らして胃の不調を解消
する
【主治】腰、大腿部の痛み、下肢の麻
痺、脚気
【操作】直刺または斜刺
犢鼻(ST35)
【位置】膝蓋骨下縁で、膝蓋靱帯外側にある陥凹部 【作用】通経活絡:胃経の経絡の流れを良くす 散寒止痛: 寒邪を散じ痛みを止める 【主治】 膝の痛み、痺れ、後肢リウマチおよび麻痺 【操作】直刺または斜刺足三里(ST36)
胃経の合穴
【位置】犢鼻と解谿を結んだ線上で、犢鼻からみて1/4 【作用】健脾和胃:消化機能を向上させ、胃の不調を改 善する 扶正培元:気の不足を補い、活動源の元気を補充 する 通経活絡:胃経の経絡の流れを良くする 胃経の経絡の流れを良くする 【主治】胃痛、嘔吐、腹部膨満、腸鳴、泄瀉、痢疾、便秘、、 浮腫、咳嗽、気喘、失眠、脾胃虚弱、後肢リウマチ、麻痺、 発熱、視力障害、遺尿、蕁麻疹。 【操作】 内下方に向かって斜刺上巨虚(ST37)
【位置】犢鼻と会計を結んだ線上で、犢鼻からみて2/5 【作用】理気和中:脾胃の働きを活発にする。 通腑化滞:五腑の滞りを解消 疏経調気:肝気を調える 清熱利湿:熱を冷まし体内の余分な水分を排出させること 【主治】腹痛、腹部膨満感、腹鳴、泄瀉、便秘、脹痛、 脚気、消化不良、脾胃虚弱、食欲不振 【操作】直刺または斜刺豊隆(ST40)
胃経の絡穴
【位置】犢鼻と外果を結んだ線上の中点
【作用】和胃気:胃の気を調える
化痰濁:痰濁(湿濁)を引き起こす閉証
を変える
清神志:心をスッキリさせる
【主治】眩暈、咳嗽、哮喘、痰、胸痛、便秘、下
肢の疼痛および麻痺、気管支炎、胃腸疾患、癲
癇
【操作】直刺または斜刺
解谿(ST41)
胃経の経穴
【位置】前脛骨筋と長趾伸筋腱との間で、足根関節の 背側中央にある陥凹部 【作用】健脾化湿:体内の余分な水分を排出させて胃腸 を丈夫にする 清胃化痰:痰を除き胃をすがすがしく 理気通絡:経絡の気の流れを良くする 活血止痛:血の流れを良くして痛みを止める 【主治】足根関節痛、下肢の麻痺、癲証、眩暈、腹部膨 満、便秘、顔面浮腫 【操作】直刺 0.1-0.5cm衝陽(ST42)
胃の原穴
【位置】第二・第三中足骨の近位端の間 【作用】和脾胃:胃腸を健全にする 化湿濁:湿濁を除く 寧神志:精神を安らかにする 【主治】顔面のゆがみ、歯痛、発熱、後肢の 萎縮、胃痛、腹部膨満、食欲不振 【操作】直刺または斜刺内庭(ST44)
胃経の栄穴
【位置】第二趾の外側で、中足4趾節関節のすぐ遠位 のところ 【作用】清胃腸湿熱:胃腸の湿熱を冷ます 理気鎮痛:気の流れを良くし痛みを止める 【主治】歯痛、顔面痛、咽喉痛、胃痛、腹瀉、泄瀉、 痢疾、便秘、趾部の疼痛、足根関節痛、後肢麻痺、中 毒、熱性病、下部尿路疾患 【操作】直刺または頭側方向に向かって斜刺厲兌(ST45)
胃経の井穴
【位置】第二趾外側爪甲角から外側すぐのところ 【作用】和胃化痰:胃腸調え痰を除く 清熱安神:熱を冷まし心を落ち着かせる 【主治】顔面腫脹、歯痛、喉痛、腹部膨満、熱性病、 癲狂、趾部の疼痛、感冒、中暑、中毒、便秘、腹痛 【操作】直刺または斜刺。出血させてもよい。4.前肢太陰脾経
(SP)
【走行】後肢第一趾内側末端から始まり、内果を 通り後肢内側を上がる。腹部外側を頭側に進み、 胸で終わる。 【主治】消化器系疾患、慢性疲労 【主なツボ】隱白、大都、太白、公孫、商丘、三陰 交、地機、陰陵泉、 血海、箕門、衝門、大包商丘(SP5)
脾経の経穴
【位置】内果の頭側遠位(前下方)の陥 凹部 【作用】健脾利湿:体内の余分な水分を 排出させ胃腸を丈夫にさせる 【主治】腹部膨満、便秘、泄瀉、腸鳴、 足根関節部腫痛、後肢リウマチ 【主治】直刺0または斜刺三陰交(SP6)
【位置】脛骨内側の後縁で、内果と膝関節下端を結 んだ線上で、内果からみて1/5 【作用】補脾胃:脾胃を補う 助運化:脾の運化機能を助ける 通経活絡:経絡の流れを良くする 調和気血:気血を調える 【主治】腹痛、腸鳴、腹部膨満、泄瀉、月経痛、不妊 滞産、小便不利、浮腫、陰部痛、眩暈、泌尿・生殖 器系疾患 【操作】直刺または斜刺。 妊娠動物には禁忌地機(SP8)
脾経の郄穴
【位置】内果と膝関節下端を結んだ線上
で、膝関節下端からみて1/3
【作用】利脾理血:脾の運化を調え血の活
性を図る
調血胞宮:子宮の血を調える
【主治】膝と下腿の知覚・運動障害、婦人
病、生殖器系疾患、腹脹、腹痛、下痢、腰痛
【操作】直刺または斜刺
陰陵泉(SP9)
脾経の合穴
【位置】脛骨後縁と腓腹筋の間で、脛骨内側顆 の下縁にある陥凹部 【作用】健脾化湿:体内の余分な水分を排出さ せて胃腸を丈夫にする 通利三焦:三焦の通りをよくする 【主治】腹部膨満、浮腫、黄疸、下痢、排尿困 難、尿失禁、陰部痛、膝部の疼痛。 【操作】外側にある陽陵泉(GB34)に向けて直刺 または斜刺血海(SP10)
【位置】膝蓋骨内側近位(斜め上)にある陥凹 部 【作用】理血調経:血の流れを調整する 散風袪湿:風を散じ、湿をとる 【主治】腹部膨満、排尿困難、繁殖器系疾患、 アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患、貧血 【操作】直刺または斜刺。灸も可箕門(SP11)
【位置】衝門と膝蓋 骨内側下縁を結んだ 線上で、衝門からみて 2/5 【作用】利水通林:水 分を補給して淋疾を流 す 【主治】小便不利、 遺尿、大腿部の腫痛、 下肢の腫痛、腰部およ び股関節の腫痛 【操作】直刺。本来 は瀉血のツボであるが、 血管を避けて瀉血しな いで用いてもよい。衝門(SP12)
【位置】鼠径部。腸骨稜前縁の腹側に
ある陥凹部。
【作用】調理下焦:下焦を養生する
【主治】下腹部痛、婦人病、生殖器系
の障害、鼠経リンパ節腫脹、小便不利
【操作】直刺または斜刺
大包(SP21)脾の大絡の絡穴
【位置】胸部の外側、第六肋間で、肩関節と同じ高さ 【作用】寛胸利脇:胸肋部のとり、スッキリさせる 【主治】胸脇痛、気喘、全身の疼痛、四肢無力、腹痛、中暑、感冒、中毒、脾経 積熱、呼吸困難、前肢麻痺 【操作】直刺または斜刺。灸も可。深刺しは厳禁5.前肢少陰心経
【走行】腋窩中央から始まり、上腕内側を下る。 肘からは外側を進み、前肢内側第五指の内側末 端で終わる。 【主治】心疾患、精神疾患。 経脈上(前腕外側、上腕内側)の痛み、知 覚・運動障害 【主なツボ】極泉、少海、通里、陰郄、神門、少衝極泉(HT1)
【位置】腋 窩の正中 【作用】活 血疏筋:血の 流れを良くし 筋を伸びやか にする 【主治】心 痛、脇痛、瘰 癧、上腕・肘 の腫痛 【操作】後 上方に向かっ て刺入。得気 後。前肢を上 下に動かす。少海(HT3)
心経の合穴
【位置】肘窩屈曲線の内端と上腕骨内側上顆 の間にある陥凹部 【作用】通心竅:心竅を通じさせ気の巡りをよく する 安神志:精神情志を安定させる 【主治】心痛、肘関節部の腫痛・麻痺、瘰癧、精 神的疾患 【操作】直刺または斜刺通里(HT5)
心経の絡穴
【位置】少海と神門を結んだ線上で、神門からみて 1/8 【作用】寧血安神:血をゆっくり巡行させ精神を安定 させる 熄風和営:血を調えめまい、ふるえ、痙攣な どの状態を改善する 【主治】心悸怔忡、咽喉部の腫脹・疼痛、舌運動障 害、前肢疼痛 【操作】直刺または斜刺陰郄(HT6)
心経の郄穴
【位置】神門と通里結んだ線上の中点 【作用】寧心安神:メンタル機能の障害によって 起こる不安、不眠などの症状を和らげる 養陰固表:血を養い皮膚の栄養状態を 改善 【主治】心胸痛、動悸、不整脈、心臓疾患、ヒス テリー、精神病、尺骨神経麻痺 【操作】直刺または斜刺神門(HT7)
心の原穴
【位置】手根球の外側(尺側)近位で、尺側手 根屈筋と尺側手根伸筋との間 【作用】寧心安神:メンタル機能の障害によっ て起こる不安、不眠などの症状を和らげる 【主治】心悸怔忡、咽喉部の腫脹・疼痛、舌 運動障害、前肢疼痛 【操作】直刺0.5cm少衝(HT9)
心経の井穴
【位置】第5指内側爪甲角から内側すぐのところ 【作用】開竅醒神:脳竅を開き、意識をはっきり させる 解熱蘇厥:熱と冷えをとり身体を蘇らせ る 【主治】心悸、心痛、胸脇痛。癲狂、熱性病、 昏厥 【操作】直刺または斜刺、出血させてもよい。5.前肢太陽小腸経
(SI)
【走行】前肢第5指外側末端からはじまり、前腕の外 側を上る。いったん肘の内側を通ったのち、また外 側を上る。肩、頸部を通り、耳の前で終わる。 【主治】顔面(特に耳)の問題、消化器系疾患、泌尿 器系疾患 【主なツボ】少沢、後谿、腕骨、陽谷、養老、支正、 小海、肩貞、臑兪、天宗、聴宮少沢(SI1)
小腸経の井穴
【位置】第5指外側爪甲角からすぐ外側のところ 【作用】清熱:身体の内部の熱を冷ます 利咽:のど(咽喉)の調子を整える 通乳:母乳の出をよくする 通経活絡:経絡の流れを良くする 開竅:七竅を開き意識をはっきりさせる 【主治】熱性病、昏厥、乳汁分泌減少、咽喉腫 痛、結膜炎、前肢の腫痛、中暑、中毒、腹痛、 咳嗽、黄疸 【操作】直刺または斜刺後溪(SI3)
小腸経の兪穴
【位置】第5中手骨の外側で、中手指関節の近位に ある陥凹部 【作用】散風舒筋:風を散じ筋肉の働きを伸びやか にする 通督脈:督脈の通りをよくする 寧心安神:メンタル機能の障害によって起 こる不安、不眠などの症状を和らげる 清熱利咽:熱を冷まし咽喉をうるおす 【主治】頭・頚部のこわばり、目の充血、前肢の腫 痛、熱性病、癲癇、下部尿路疾患 【操作】直刺または斜刺腕骨(SI4)
小腸の原穴
【位置】手根関節の遠位で、第五中手骨近位端 の外側にある陥凹部 【作用】散風舒筋:風を散じ筋肉の働きを伸び やかにする 袪湿熱:湿熱を取り除く 【主治】熱性病、頚部・頭部のこわばり、前肢の 腫痛、黄疸、胃腸炎 【操作】直刺または斜刺。陽谷(SI5)
【位置】尺骨茎状突起の外側にある陥凹部 【作用】舒筋:筋肉の動きを伸びやかにす る 清熱:身体の内部の熱を冷ます 【主治】尺骨神経障害、前肢関節障害、咽 喉痛、偏桃体炎、歯痛。目赤 【操作】直刺または斜刺養老(SI6)
小腸経の郄穴
【位置】尺骨茎状突起の近位にあり、尺骨 と橈骨の間 【作用】舒筋:筋肉の動きを伸びやかにす る 明目:目がよく見えるようにする 【主治】斜頸、腰痛、顔面・五官疾患,眼の 充血・腫脹 【操作】直刺または斜刺支正(SI7)
小腸経の絡穴
【位置】陽谷と小海を結んだ線上で、陽谷 からみて5/12 【作用】解表清熱:体表の熱を冷ます 安神志:精神情志を安定させる 【主治】肘の痙攣、手指の疼痛、熱性描、 癲狂 【操作】直刺または斜刺。灸も可小海(SI8)
小腸経の合穴
【位置】肘の内側で上腕骨内側と尺骨肘頭との間にある陥凹部 【作用】袪風:風邪を追い払う 散熱:熱を散ずる。熱を取り去る 活絡:経絡の流れを活発にする 開竅:七竅を開き意識をはっきりさせる 通経鎮痛:経気を通し痛みを止める 【主治】肩・背部の疼痛、肘の痙攣、前肢の腫痛五官疾患、歯肉痛、癲 癇 【操作】直刺または斜刺、灸も可肩貞(SI9)
【位置】肩甲骨後縁で、肩関節からみ
て1/5のところの陥凹部
【作用】疏経活絡:肝の経絡を活発に
巡らせる
扶正袪風:風邪を去り正気を助ける
【主治】肩・前肢痛および麻痺、五官
病
【操作】肩甲骨と体幹の筋肉の間を
前内方に向かって刺入
臑兪(SI10)
【位置】肩甲骨肩峰の尾背側(後上方)で、肩 甲棘に沿った陥凹部 【作用】散風舒筋:風を散じ筋肉の働きを伸び やかにする 通経止痛:経気を通じさせ痛みを止める 【主治】肩関節障害、頚腕障害、肩甲痛、片 麻痺 【操作】 直刺または斜刺天宗(SI11)
【位置】肩甲骨後縁の中点 【作用】舒筋散風:風邪を散じ筋肉の動きを伸び やかにする 疎筋利節:筋と関節を伸びやかにする 【主治】肩・前肢痛および麻痺、気喘 【操作】肩甲骨と体幹の筋肉の間を前内方に向 かって刺入聴宮(SI19)
【位置】耳珠と下顎骨関節突起との
間の陥凹部
【作用】通経活絡:経絡の流れを良く
する
益聡開竅:五官の竅をすべて開き気を
補充する
【主治】五官病(特に聴覚)、牙関不
利、歯痛、頚部腫痛
【操作】直刺
後肢太陽膀胱経
(BL)
【走行】内眼角から始まり、額を上って頭上から後ろへ下る。 頸部の後ろで二つに分かれて背骨の横を平行に走り、臀 部大腿の尾側を通って膝の裏で合流する。さらに、後肢の 尾外側を通って、後肢第五趾外側末端で終わる 【主治】泌尿器疾患、顔面(特に眼や鼻)の問題。 経脈上(後頭部、後頚部、背部、腰部、後肢尾外 側)の痛み 【主なツボ】晴明、攅竹、天柱、大杼、風門、肺兪、厥陰腧、 心兪、督兪、膈兪、肝兪、胆兪、脾兪、胃兪、三焦腧、腎腧、 気海兪、大膓兪、關元兪、小膓兪、膀胱兪、上膠,次膠、 会陽、承扶、殷門、委陽、膏肓、志室、秩辺、承山、飛揚、 崑崙、金門、京骨、束骨、足通谷、至陰睛明(BL1)
【位置】内眼角背側(目頭)の背側(上
方)すぐのところ
【作用】明目:目がよく見えるようにする
袪風:風邪を追い払う
【主治】結膜炎、角膜炎、肝熱による眼
疾患
【操作】内眼角に沿って眼を避けて、後
内方に向かって刺入0.2-0.5cm、灸は近畿
攅竹(BL2)
【位置】眉毛内端の隆起部 【作用】袪風:風邪を追い払う 泄熱:熱を泄らす。主に裏熱をとることをいう 明目:目がよく見えるようにする 【主治】頭痛、眩暈、結膜炎、眼瞼痙攣、 副鼻腔炎、癲癇 【操作】直刺または下方・上方に向かって斜刺天柱(BL10)
【位置】環椎(第一頚椎)と軸椎(第二頚椎)との 間で、環椎翼の尾側縁の陥凹部 【作用】散風:風の邪気を散ずる 清熱:身体の内部の熱を冷ま 清頭目:頭や目をスッキリさせる 【主治】頭痛、鼻詰まり、咽喉浮腫痛、項強、 肩背痛 【操作】内下方に向かって斜刺、。灸も可大杼(BL11)
【位置】第一胸椎棘突起尾側で、背
部正中線から1.5寸外側の陥凹部
【作用】清熱散風:熱を冷まし風邪を
散ずる
降逆舒筋:上がった気を下げ筋肉を伸
びやかにする
【主治】咳嗽、発熱、頭痛、肩甲骨部
痛、頚頂部の強直、前肢疼痛
【操作】内下方に向かって斜刺、灸も
可。
風門(BL12)
【位置】第二胸椎棘突起尾側で、背部正中線か ら1.5寸外側の陥凹部 【作用】袪風:風邪を追い払う 清熱:身体の内部の熱を冷ます 清頭目:頭や目をスッキリさせる 【主治】感冒、発熱、悪風、肩こり、アレルギー 【操作】斜刺0.3-1.0cm肺兪(BL13)
肺の背部兪
穴
【位置】第3肋間で、背部正中線から1.5寸外側。胸最 長筋の中点。 【作用】宣肺:肺の機能を高めること 平喘:気道にたまった痰を除き、鎮咳、あえぎを鎮める 働きを示す 利気:気をめぐらすこと 【主治】肺熱咳嗽、気喘、胸、前肢疼痛および胸背部 疾患 【操作】内下方に向かって斜刺、灸も可。ところ変わればツボの位置も違うんです
犬疑難病的診療と鍼灸図譜(陆刚,范开) 農業出版社2013