実構造物から採取した腐食鉄筋の引張降伏強度推定に関する一考察
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(2) 土木学会第55回年次学術講演会(平成12年9月). Ⅴ-358. 慮した降伏強度とは、降伏荷重を公称断面積から質量減少率分を減じた値で除して求めた。降伏強度残存率 の低下割合は、質量減少率の増加割合よりもやや大きいことがわかる。これは、鉄筋の腐食が均一でないた め、ある断面の断面積減少率が、平均的な断面減少率を示す質量減少率よりも大きいことによるものと考え られる。また、ばらつきが大きいが、これは断面減少のばらつきのほかに、もとの鉄筋強度のばらつきも影. 110%. y = -1.17x + 1 R 2 = 0.904. 100% 90% 80% 70% 60% 0%. 5%. 10%. 15%. 20%. 質量減少率を考慮した 降伏強度残存率 Y. 見かけの降伏強度残存率 Y. 響していると考えられる。 120% 110% 100% 90% 80% 70% 60%. y = -0.268x + 1 R 2 = 0.293 0%. 25%. 5%. 10%. 20%. 25%. 質量減少率 x. 質量減少率 x. 図1. 15%. 質量減少率と見かけの降伏強度残存率. 図2. 質量減少率を考慮した降伏強度残存率. 5.鉄筋強度の推定方法 以上より、腐食した鉄筋の強度は質量減少率より概ね推定可能であると考えられるが、質量減少率を測定 するためには鉄筋を切断する必要があり、実構造物の調査には不向きである。そこで、現場の計測から簡易 に鉄筋の強度を推定する方法について検討する。 図3に、最小径と質量減少率の関係を示す。ここで、最小径とは、各断面の各方向で測定した鉄筋径のう ちの最小値である。最小径が小さくなると、質量減少率が大きくなる傾向が見られ、その関係はほぼ直線的 な関係となっている。質量減少率は断面積減少率に比例するため、断面が均一に減少すると鉄筋径とは直線 的な関係にはならない。しかし、本調査で採取された鉄筋は下面の腐食が顕著となっており、断面が均一に 減少していないことから、最小径と質量減少率がほぼ直線的な関係になったものと考えられる。 図4に、最小径と降伏強度残存率の関係を示す。図中には回帰式を示した。これらは、比較的高い相関を. 25%. y = -0.0632x + 0.942 R 2 = 0.930. 20% 15% 10% 5% 0% 10. 11. 12. 13. 14. 15. 16. 見かけの降伏強度残存率 Y. 質量減少率 Y. 示しており、鉄筋の最小径を測定することにより、鉄筋の降伏強度残存率が概ね推定できると考えられる。 110%. y = 0.0657x + 0.002 R 2 = 0.795. 100% 90% 80% 70% 60% 10. 11. 最小径(mm) x. 図3. 最小径と質量減少率. 図4. 12. 13. 14 最小径(mm) x. 15. 16. 最小径と降伏強度残存率. 6.まとめ コンクリートの中性化と塩化物イオンの存在が原因で鉄筋の腐食を生じたと考えられる構造物を対象に、 鉄筋を採取し引張試験を行ったところ、以下の結論を得た。 ・ 鉄筋の腐食は、鉄筋の上面よりも下面で進行する。 ・ 鉄筋の強度低下は、質量減少率よりもやや大きい。 ・ 鉄筋の降伏強度残存率は、鉄筋の最小径を測定することにより概ね推定できる。 [参考文献]1). 日本コンクリート工学協会:コンクリート構造物のリハビリテーション研究委員会報告書、1998.
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