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実構造物から採取した腐食鉄筋の引張降伏強度推定に関する一考察

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Academic year: 2022

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(1)土木学会第55回年次学術講演会(平成12年9月). Ⅴ-358. 実構造物から採取した腐食鉄筋の引張降伏強度推定に関する一考察 (財)鉄道総合技術研究所. 正会員. 柏原. 茂. (財)鉄道総合技術研究所. 正会員. 谷村. 幸裕. 西日本旅客鉄道(株). 泉並. 良二. 西日本旅客鉄道(株). 木村. 元哉. 1.はじめに 近年、鉄筋コンクリート構造物において、鉄筋の腐食によりかぶりコンクリートが剥落する問題が相次い でいる。鉄筋の腐食は、進行すると断面欠損を生じ、構造物の耐力を低下させる恐れがある。本研究では、 コンクリートの中性化と塩化物イオンの存在が原因で鉄筋の腐食を生じたと考えられる構造物を対象に、鉄 筋を採取し引張試験を行い、その結果をもとに、実構造物の腐食した鉄筋の引張降伏強度を現場の計測から 簡易に推定する方法について検討することとした。 2.調査対象構造物 調査対象構造物は、中国地方の瀬戸内海側に位置する経年 25〜30 年のほぼ同時期に建設された鉄道ラーメ ン高架橋である。外観調査により、比較的コンクリートの剥落が著しく、鉄筋の腐食が進行していると思わ れる高架橋 8 箇所を選定しその中間スラブを対象とした。対象部材は、中性化深さが平均 26mm、鉄筋まで の中性化残りは平均 4mm であり、中性化が進行している。また、鉄筋近傍のコンクリート中に含まれる塩 化物イオン量は平均 1.4kg/m3 である。いずれの高架橋も海岸から 5km 以上離れており、飛来塩分の影響はな いと考えられることから、建設当初から塩化物イオンが比較的多く含まれていたものと考えられる。 3.引張試験 対象高架橋の中間スラブ下面に配置された、断面欠損が比較的大きい鉄筋を試験の対象とし、かぶりコン クリートをはつり落として鉄筋を切断し採取した。鉄筋はいずれも SD345 の D16 で、7 箇所の高架橋から 1 本ずつと 1 箇所の高架橋から 4 本の合計 11 本を採取した。採取した鉄筋は長さ 500mm 程度に切断して、1 本の鉄筋から 1〜3 本の試験片を作成し、合計 24 本作成した。作成した試験片は、腐食面積を測定した後、 クエン酸 2 アンモニウム水溶液に約 24 時間浸漬して腐食生成物を除去した。そして、試験片の質量を測定し、 引張試験を行って降伏強度等を測定した。 4.試験結果 採取した鉄筋の腐食面積率を測定したところ、鉄筋の下面は上面に対して 1.0〜3.4 倍の腐食面積があり、 上面に比べて下面で大きくなる傾向がある。下面の腐食面積率が比較的大きい原因としては、調査対象がス ラブ下面の鉄筋でありコンクリートの中性化が下面から進行すること、鉄筋下面はコンクリートのブリージ ングの影響があることが考えられる。 図1には、質量減少率と見かけの降伏強度残存率の関係を示す。採取した鉄筋は、もとの質量が不明であ るため、JIS 規格の単位質量を用いて質量減少率を求めた。ここで、見かけの降伏強度とは、引張試験より 得られた降伏荷重を公称断面積で除した値である。また、見かけの降伏強度残存率は、もとの鉄筋強度が不 明であるため、見かけの降伏強度を既往の試験結果 1)の平均値(392N/mm2 )で除して求めた。図1には、回 帰式を質量減少率 0%で降伏強度残存率 100%となるよう補正して記した。質量減少率と見かけの降伏強度残 存率がほぼ直線的な関係にあることがわかる。 図2は、質量減少率と、質量減少率を考慮した降伏強度残存率との関係である。ここで、質量減少率を考 キーワード:腐食、引張降伏強度、維持管理、中性化、塩化物イオン 連絡先:〒185-8540. 東京都国分寺市光町 2-8-38. ℡ 042-573-7281. Fax 042-573-7282.

(2) 土木学会第55回年次学術講演会(平成12年9月). Ⅴ-358. 慮した降伏強度とは、降伏荷重を公称断面積から質量減少率分を減じた値で除して求めた。降伏強度残存率 の低下割合は、質量減少率の増加割合よりもやや大きいことがわかる。これは、鉄筋の腐食が均一でないた め、ある断面の断面積減少率が、平均的な断面減少率を示す質量減少率よりも大きいことによるものと考え られる。また、ばらつきが大きいが、これは断面減少のばらつきのほかに、もとの鉄筋強度のばらつきも影. 110%. y = -1.17x + 1 R 2 = 0.904. 100% 90% 80% 70% 60% 0%. 5%. 10%. 15%. 20%. 質量減少率を考慮した 降伏強度残存率 Y. 見かけの降伏強度残存率 Y. 響していると考えられる。 120% 110% 100% 90% 80% 70% 60%. y = -0.268x + 1 R 2 = 0.293 0%. 25%. 5%. 10%. 20%. 25%. 質量減少率 x. 質量減少率 x. 図1. 15%. 質量減少率と見かけの降伏強度残存率. 図2. 質量減少率を考慮した降伏強度残存率. 5.鉄筋強度の推定方法 以上より、腐食した鉄筋の強度は質量減少率より概ね推定可能であると考えられるが、質量減少率を測定 するためには鉄筋を切断する必要があり、実構造物の調査には不向きである。そこで、現場の計測から簡易 に鉄筋の強度を推定する方法について検討する。 図3に、最小径と質量減少率の関係を示す。ここで、最小径とは、各断面の各方向で測定した鉄筋径のう ちの最小値である。最小径が小さくなると、質量減少率が大きくなる傾向が見られ、その関係はほぼ直線的 な関係となっている。質量減少率は断面積減少率に比例するため、断面が均一に減少すると鉄筋径とは直線 的な関係にはならない。しかし、本調査で採取された鉄筋は下面の腐食が顕著となっており、断面が均一に 減少していないことから、最小径と質量減少率がほぼ直線的な関係になったものと考えられる。 図4に、最小径と降伏強度残存率の関係を示す。図中には回帰式を示した。これらは、比較的高い相関を. 25%. y = -0.0632x + 0.942 R 2 = 0.930. 20% 15% 10% 5% 0% 10. 11. 12. 13. 14. 15. 16. 見かけの降伏強度残存率 Y. 質量減少率 Y. 示しており、鉄筋の最小径を測定することにより、鉄筋の降伏強度残存率が概ね推定できると考えられる。 110%. y = 0.0657x + 0.002 R 2 = 0.795. 100% 90% 80% 70% 60% 10. 11. 最小径(mm) x. 図3. 最小径と質量減少率. 図4. 12. 13. 14 最小径(mm) x. 15. 16. 最小径と降伏強度残存率. 6.まとめ コンクリートの中性化と塩化物イオンの存在が原因で鉄筋の腐食を生じたと考えられる構造物を対象に、 鉄筋を採取し引張試験を行ったところ、以下の結論を得た。 ・ 鉄筋の腐食は、鉄筋の上面よりも下面で進行する。 ・ 鉄筋の強度低下は、質量減少率よりもやや大きい。 ・ 鉄筋の降伏強度残存率は、鉄筋の最小径を測定することにより概ね推定できる。 [参考文献]1). 日本コンクリート工学協会:コンクリート構造物のリハビリテーション研究委員会報告書、1998.

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