教育・教職センター 特別支援教育研究年報第11号
2019
第1章 実践研究
算数障害のある子どもへの数概念の指導
黄 淵 熙 1), 2)
本研究では、 数概念の形成が難しい事例を対象とし、 数概念の獲得のために有効な指導方 法を探ることを目的とした。 その結果、 水のように連続性のあるものを用いて量としての数 の概念を指導することが、 連続量から分離量への理解を促し、 数概念の形成に有効であるこ とが明らかになった。
キ ー ワ ー ド:算数障害、 数概念、 連続量
I. はじめに
算数障害は、 医学的にも教育的にも発達障害の 一 つの種類として位置づけられているが、
算数の能力のつまずきは、 様々な認知的要因がかかわっており、 読み書き障害に比べてその 解明は進んでいない状況である。
算数障害の医学的診断基準として、ICD-10(WHO, 1992)では「学習能力の特異的発達 障害」の中の算数能力の特異的障害(Specific disorder of arithmetical skills in Specific Developmental Disorder of Scholastic Skill)としてとらえ、「ただ単に 一 般的な知的障害
あるいは非常に不適切な学校教育だけでは説明できないような算数能力の特異的な障害であ る。 この障害は、 代数学、 三角法、 幾何学または未積分学のようなより抽象的な数学的能力 よりは、 むしろ加減乗除のような基本的な計算能力の習得に現れる」と説明している。
またDSM-5(APA, 2013)では、 算数に障害のある特異的学習障害(Specific Learning Disorder with impairment in mathematics)と定義し、 限局性学習障害の下位分類とされ
ている。 具体的な算数障害の内容としては、 ①数感覚(number sense) : 計算の基礎となる 数概念につながる生得的能力、 数概念 ②数的事実(memorization of arithmetic fact) : 賠算の計算に必要な能力、 ③計算の正確性、 流暢性(accurate or fluent calculation) : 筆 算における正確で流暢な計算能力、 ④正確な数学的推論 (accurate math reasoning) : 文 章題に必要な正確な数的推論の4つの下位分類が挙げられている。
1)東北福祉大学教育学部教育学科
2)東北福祉大学教育・教職センタ ー
一方、 文部科学省の教育的定義(文部科学省、 1999)では、 知的発達に遅れはないが、
計算する・ 推論する能力の習得と使用において著しい 困難を示す状態とされ、 DSM-5の定 義のうち、 数感覚、 計算 能力、 数学的推論を含むと解釈できる。
以上の医学的定義、 教育的定義及び成人の計算障害に関する神経心理学的・認知心理学的 研究らを概観した熊谷と山本(2016)は子どもの算数障害を 4つに 下位分類し、 算数にお ける困難は、 各段階に起こり うることを指摘した(表1)。 本研究では、 算数障害の内容と してこの4つの分類を参考とした 。
表l 算数障害の下位分類(熊谷、 2013年より引用)
①数処理 数詞、 数字、 具体物の対応関係に関する問題
②数概念 序数性と基数性の問題
③計算 賠算と筆算の間題
④数的推論 文章題の問題
① 数処理の問題は、 数詞・数字 ・具体物の対応関係(図1)を知ることで、 数字の読み 書きができたり、 数の大小を比較し、 対応させたりする能力への問題である。 ② 数概念の 間題は、 数処理のよ うに単なる対応関係が 分かるだけではなく、 数には順番を表す序数性と 量を表す基数性があることを理解する段階の問題である。 ③ 計算の問題は、 賠算と筆算に 分けられる。 加減算で和が20 までの計算や乗除算で九九までの計算である賠算ではDSM-5 で示す数的事実の問題がかかわる。 また、 筆篤では、 繰り上がり繰り 下がりなどの手続き的 な 能力も必要となる。 ④ 数的推論は、 文章題を解くための過程であり、 変換(文章を 読み 理解する過程)、 統合( 問題表象を形成する過程)、 プラニング(立式) などの能力が必要と なる。
\
図 l 数処理 能力
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このような算数の困難は数処理、 数概念を基礎とし、 計算、 数的推理の順に発達していく のが
一般的である。 しかし、学校の算数におけるつまずきは領域独立的に生じることも多く、
下位段階で困難があれば、 次に段階に進むことができないなど必ずしも順序性を示すもので はない。
学校の現場で、 算数障害を早期発見し、 適切な支援を行うことが難しい要因の
一つがここ にあると考えられる。 例えば、 計算は、 その手続きさえ踏まえれば、 概念的に理解できなく ても答えを導くことができる。 そのため、 数概念の理解段階に困難があっても、 学校で現在 学習して単元の計算問題はできる例も多く、 学習困難に指導者が気付きにくい。
しかし、 数概念は算数の最も基礎となる能力であり、 その段階でつまずきが生じると、 そ の後の学習に深刻な影響を与える(佐藤, 1 9 95)。 数概念が獲得されてないと、 計算の手続 きが分かっても、 数量の比較が難しいため、 引き算を行う際に、 小さい数から大きい数を引 くなどの誤りをしたり、 桁がずれた筆算をしても導かれた解答に疑問を持たなかったりする などの間題を示す。
そこで、 本研究では数概念の形成が難しい事例を対象とし、 数概念の獲得のための有効な 指導方法を探ることを目的とする。
なお、 本研究を実施するにあたり、 保護者に研究の目的と手続き、 個人情報やデータの取 り扱いについて説明をし、 書面での同意を得た。
II. 方法 1. 対象児
(1) 対象児の概要
胎児期に異常はなく、 満期正常出生。 小学校の通常の学級に在籍する現在2年生児童 (8歳、 女)で、5以下の数字でも合成と分解が理解できないという主訴で1年の終わり
ごろ相談機関を訪れた。
言語や運動面に遅れは見られず、 乳幼児検診においても問題は指摘されなかった。 読 み書きをはじめ、 算数科以外の科目の成績は良好で、 交友関係にも間題は見られなかっ た。 学校の方は、 算数の学習における苦手さは認識していたが、 経験不足による間題だ と把握し、 特別な支援は行っていなかった。
(2) 対象児のアセスメント
① 心理検査から推察された認知特性
小lの時、本相談室で行ったWISC-IVの結果では、全検査IQが9 7で平均の域にあっ
た。 各指標の合成得点は、 言語理解(VCI)が1 15、 知覚推理(PRI)が76、 ワ
ーキ
ングメモリ ー (WMI)が85、 処理速度(PSI)が110であった。 全般的 な知的 発達 に遅れはないが、 指標間及び下位検査間のばらつきが大き かった。 知覚推理は言語理 解に比べて有意に低く 、言語理解能力や言語的推理能力に比べて、視覚的情報をパタ ー ンとして認識し、 視覚的に取り込んだ情報を短い間記憶しておくことの弱さが認めら れた。 表2に WISC-IVの結果を示す。
表2 WISC-IVの結果 施行時の年齢 7歳7ヶ月
全検査FSIQ 97
言語理解指標 知覚推理指標 ワ
ーキングメモリ
ー指標 処理速度指標 VCI 115 PRI 76 WMI 85 PSI 110 各下位検査 類似:15 積木模様:8 数唱:7 符号:15
単語:10 絵の概念:7 語音整列:8 記号探し:9 評価点(SS) 理解:13 行列推理:4 (算数:4) (絵の抹消:8)
7歳10ヶ月時に行ったフロスティッグ視知覚発達検査(DTVP) では、 知覚指数は 86であった。 下位検査別では、 運動能力を評価する 「 視覚と運動の協応」で10、 図 形を弁別したり、 隠さ れた図形を見いだしたりする 「 図形と素地」で8、 図の大きさ や位置、 濃淡が異なっている ものから同じ図形を認知する 「 形の恒常性」で11 、 似
ているが異なる 図の中から的確な図を見つけ出す 「 空間における 位置」で10、 ある ものと他の物の位置関係を認識する 能力である 「 空間関係」で9点であった。 その中 でも図形と素地の課題が 6歳4ヶ月の知覚年齢を示し、 他の能力に比べて低さが認め られた。
また、 Rey-0sterrieth複雑図形の模写と再生を行った結果(図2)、 視覚認知機能 と視覚記憶ともに困難があることが分かった。
し =-==--=-�7 一
図2 対象児のRey-Osterrieth複雑図形の模写(左)と即時再生(右)(7歳 10 か月時)
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② 算数の学力の評価
7歳11 か月時に実施した標準学力検査(算数1年)の結果、算数の学力水準は9パー センタイル域にとどまっていた。 領域別では、「数と計算 」 、「量と測定 」 、「図形 」 、「数 量関係 」 の領域がそれぞれ37.0%, 4 6.2%, 75.0%, 75.0%の正答率を示した。 誤りの 分析からは、 何番Hなのかを聞く問題には答えることができ、 数概念のうち、 序数性 は獲得されているが、 書いてある線分図のどの辺りに指示された数がくるのかを聞く 間題には全く答えることができず、基数性の概念が獲得されていないことが分かった。
また、 計算に関しては1桁同士の加減算(例えば、 7-3)は正解することが多いが、
簡単な問題であっても2桁同士の加減算(例えば、 70-30)は不正解であった。 目 で見て長さを比較する間題においても不正解が目立っており、 視覚認知能力の弱さが 関係していると考えられる。
ほかに自作のプリントを用いた計算のテストでは、 行をずらして書いてしまい、 不 正解する場面が見られた( 図3)。 しかし、 本児は「600 +7 = 1400」の計算につい てもその解答について違和感を示すことがなく、 数字の相対的な量関係を理解してな いことがうかがわれた。
図3 対象児が示した計算の誤り
③ 数概念の獲得状況
算数の学力評価や日常の観察から本児は、 数概念のうち、 序数性の理解には困難が
ないと思われたので主に基数性の発達程度を評価した。 Gelman & Gallistel (1978)
は、 計数に関する原理の中で、「基数の原理」を説明し、 ものを数えた時に最後の数 字が全体の数を示すことを分かれば(例えば、 1,2,3,4だから4個)基数性が理解で きたと判断した。 しかし、熊谷(2007)は、数概念に間題がある児童でも「1,2,3,4,5 だから5」という反応を示すことは多く、 それは操作的に答えられているだけで、 実 際の数量関係は理解できていないことがあると報告した。 本児の場合も、 具体物の計 数において数えた最後の数字が全体の数を示すことは理解していた。
数概念の発達程度を見るために
一般的に使われているのが、 Booth & Siegler (2006)のナンバーラインテストである。 このテストは、 左右の端に数字が書かれて
いる線分を見せ、 特定の数字はこの線分上のどの位置にあるべきか印をつける課題で ある。 算数障害のある子どもはナンバーラインテストテストにおいて、 定型発達の子 どもに比べ、 劣っていることが明らかになっている(Booth & Siegler, 2006)。 図4
に8歳lか月時に行った本児のナンバーラインテスト結果を示した。
(1) 5
A
1 O(2) 3
1 0
(3) 60 (5) 2 0
0 .. • . 1
1 00 1 0 30(4) 3 0 (6) 2 0
00 1 0 , I 40
A A
図4 指樽前のナンバーラインテスト結果
本児はほとんどの数字の相対的大きさを考慮せず、似ている場所に印を付けていた。
また、 0-10で5を表した解答や 0-100の場合の50を表した解答から、 5や50が 10や100の真ん中に位置しているという認識が得られてないことが推測される。 ナ
ンバーラインテストの結果は数概念の獲得ができていないといえる。
また、 日常のやり取りの中でも「教室の端から端まで何歩くらいで行けるかな」と
いう質間に対して10歩くらいの距離を「100歩」と答えたり、 人差し指の長さが5
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センチであることを確認した後、
「下敷きの長さは何センチかな」という質問に対し て
「1 センチ」と答えたりするなど数概念の乏しさが疑われた。
2. 学習支援手続き (1) 指導期間及び場所
2018年3月から12月まで、 大学付属の支援室にて週1回程度の1時間のセッション を17回行った。 1時間の指導は、 位取りを中心とした数処理、 以下に紹介する数概念、
計算の基礎としての数の合成分解の3つに分けられ、 そのうち数概念の指導を4回20 分ずつ行った。 本稿では、 数概念に関する指導を中心に報告する。
(2) 指導内容と経過
熊谷(2018)は、数字の相対的量関係は、分離量の指導では理解させることが難しく、
連続量として把握させる必要があると述べた。
「分離量」というのは、 おはじきやドッ トのように具体物で分離できるものである
一方、 連続量は長さや大きさのように個数で は表せないものである。 そこで、 本児に数概念を指導するための連続量として水を用い ることにした。 水という連続量を直接操作することを通して、 連続量から分離量に分解 することができると考えられる。 すなわち、 水という連続量を操作に用いるコップやス プ
ーンなどと関連付けることで、連続量を分離量として分けることができると思われる。
実際の指導は次の2つの段階に分けて行った。
l段階では、 数量の違いに気づくことを目標とし、 大きさが異なる容器を用いて、 ど の容器の水が
一番多いのか、 どれくらい多いのかを予想させた。
2段階では、 スプ
ーンやコップで水の操作を行い、 その量を棒グラフの上に示すこと
で連続量を分離量としてとらえさせた。 具体的な指導の例を表3と図5に示す。
課題
表3 指導の内容と子どもの反応の例
反応の特徴
色水を提示さ れた際に , 「実験が始ま る 」と嬉しそう にしてい る。
「10のコップをいっぱいにするには,1の 「5杯」と答え途中で違うことに気づき,回数を数え スプ
ーンで何杯入れるとよいですか。」 始める。 だが,数え間違いのため,8杯か9杯と曖昧
に答える。
「1のスプーン何杯入れました か。」 1「10杯」と指導者と回数を数えて答える。
「100のコップをいっぱいにするにはこの
1 「100杯くらい か な ?」1杯目は10のコップを1杯分 10のコップ何杯入れるとよいですか。」 として入れたが,2杯目 からは1のスプ
ーンを使って,
10のコップに 1が10回分入ることを確認しながら操 作を行った。
その後,「わかった 8杯だ,やっぱり9杯?」と答える。
「10のコップをいつばいにするには? !「1のスプーンで10杯分」
1のスプ
ーン何杯?」
「100のコップをいっぱいにするには? 「10のコップで10杯分」
10のコップ何杯? 1のスプ
ーン何杯?」 「1のスプ
ーンで100杯分」
棒グラフに数量を書き,グラフを見て大き 「こんなに違うんだね」
さの違いを知る。
図5 水の操作を用いた数概念の指導
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Ill. 結果
指導の結果を 「 数概念の発達」と 「 対象児の困り感の変化」という2点から検討した。 ま ず、 対象児の困り感の変化について述べる。 本児は算数の学習に関する苦手意識が強く、 数 字を扱う学習になると、 チック症状とみられる咳が出ることが多かった。 しかし、 水を用い た本学習においては、自ら水の操作を実験と言い、毎回指導のスケジュ ー ルを確認する際に、
今日は実験があるのかを聞くなど、 意欲的な学習態度を示した。 また、 咳が出るなどの症状 も見られなくなった。
次に、 数概念において変化が見られたのかを確認するため、 指導前と同様のナンバ ー ライ ンテストを行った結果を図6に示す。 指導前のナンバ ー ラインテストにおいては提示された 両端の数字を見ずに感覚的に印をつける傾向が見られたが、 指導後のナンバ ー ラインテスト においては1という分離数を用いて、 数虹線の上での位置を推測している様子が見られた。
例えば、 0-10を表す数直線の上で1の位置を示す場合、 1はこれくらいと見当をつけ、 数 を数えるような動作をし、 数直線の上に印をつける様子がみられた。 これは、 指導前の段階 では見られなかった行動であり、 連続数である数直線に分離数を加えることができたといえ る。 そのように見当をつける動作を通して、 間隔を1として考えると正解できる(0-10が 両端になる)間題に関してはほとんど正解することができた。 しかし、 半分の概念について は、 ことばで100の半分は50であると言うことができても、 ナンバーラインテストにおい ては 0-100の真ん中に50を置くことが難しかった。
(1) 1
゜
(2} 5
゜
(3) 2
(4) 5 0
+
I . -
•
図6
1 0
, 0
100
(4) 2 0
゜ • I '
(6) 2 0
(6) 2 0
(7) 7 5 70
(8) 5 8
50
•
指導後のナンバ ー ラインテスト
100
゜
゜
BO
60
IV. 考察
本研究では、 数概念の形成が難しい事例を対象とし、 数概念の獲得のための有効な指導方 法を探ることを目的とした。
対象児の場合、具体物を数えて、数詞が言えるという序数性は確立されていたが、ナンバ ー ラインテストなどで測られる 2 つの数の相対的な量関係は理解していないことが分かった。
そこで、 連続量としての数の概念(相対的大きさ)を教えるため、 水の操作を行い、 それを グラフで示すことで連続量から分離量へ分解を図った。 その結果、 指導前に比べて数概念の 理解において向上が見られた。 この指導は次の 2 点において有効であったと考えられる。
まずは、 水という日常生活に根ざしたものを用いて測定という操作を行ったことである。
島田(2016)によると、 数概念は、 単に感覚的にものを見ただけでは理解できないもので、
測定という行為をもとに概念化を図ることが効果的である。 そこで、 どのくらいの水の操作 でコップがいっぱいになるのか、 半分はコップのどの辺りを示すのかなど、 水を計量すると いう操作を通して数を量としてとらえることができたと考えられる。
2 つ目に、 操作に用いた具体物(スプ ー ン、 サイズが違うコップ)を変化させることで具 体物が変わっても数字と数字が示す量感覚は変わらないことを理解させたことである。 例え ば、 小さいコップで測った1杯と10杯の量的な違いは大きいコップで測った1杯と10杯の 量的な差と同じであることを気づかせたことであると考えられる。 数感覚を獲得するために は、 同じ位置でも数直線の上でそれを1で見る場合も10で見る場合もあることに気づかな ければいけないので相対的に大きさが違う具体物を用いた指導は効果的であったと考えられ る。 しかし、 対象児の場合、 1から10までの数字で構成された数直線の場合は指示された 数字を正しいところに位置付けることができたが、 100や50などが目安になる場合は不正 解することが多いく、 今後さらなる指導が必要であると思われる。
通常、 子どもたちは小学校に入学する前に遊びなどを通して概算と計数の韮本を理解する
(伊藤2008)。 その後、 教科としての算数を通して、 機械的な計算の仕方とその意味の関 連を見出すことになる。 しかし、 算数障害のある子どもは手続き的スキルとしての計算はで きても、計算と数感覚をうまく結びつけられないことが多い。 熊谷(2000)は、数字の大小、
二つのものを比較した際の大小、 長短をいいあてることができ、 分離量も安定した順序で数 えることができるにも関わらず、 数概念が形成されていない児童の例を挙げている。 本研究 の対象児と同様に、 通常学級の中では機械的な計算はできても計算の根底にある数処理や数 概念などが獲得されてない子どもたちがいると考えられる。 従って、 算数への困難を示して いる子どもに対して計算ドリルを練習させる前に数概念のつまずきがないのかを確認する必 要があると考えられる。
さらに、 その指導においては、 おはじきなどの具体物を用いて分離されたものを計数させ
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