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雑誌名 福井大学大学院工学研究科研究報告

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Academic year: 2021

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(1)

水に極めて難溶なモノマーを含むシード乳化共重合 反応に及ぼす攪拌の影響

著者 金 哲山, 鈴木 清, 渡邊 裕祐, 藤田 和美, 埜村  守, 徳永 雄次

雑誌名 福井大学大学院工学研究科研究報告

巻 55

ページ 9‑13

発行年 2007‑03‑31

URL http://hdl.handle.net/10098/914

(2)

Mem. Grad. Eng. Univ. Fukui, Vol. 55 (March 2007)

水 に極 め て 難 溶 な モ ノ マ ー を含 む シ ー ド乳 化 共 重 合 反 応 に及 ぼ す 撹拌 の 影 響 金 哲山*鈴 木 清*渡 邊 裕祐**藤 田 和美***埜 村 守*徳 永 雄次*

Effect of Agitation on Seeded Emulsion Copolymerization of Two Monomers Including Sparingly Water-Soluble Monomer

Zheshan JIN*, Kiyoshi SUZUKI*, Yusuke WATANABE**, Kazumi FUJITA***, Mamoru NOMURA* and Yuji TOKUNAGA*

(Received January 31, 2007)

Effect of agitation on the rate of batch seeded emulsion copolymerization of styrene and dodecyl methacrylate is studied. In the conditions studied, increase in agitation rate did not affect the rate of polymerization of styrene, but increased the rate of polymerization of dodecyl methacrylate.

This suggests that diffusion of sparingly water-soluble monomer, whose water-solubility is less than that of dodecyl methacrylate, from monomer droplets to the aqueous phase is rate- determining step in emulsion copolymerization system including sparingly water-soluble monomer.

Key Words : Seeded Emulsion Polymerization, Copolymerization, Agitation, Diffusion, Water- Solubility of Monomer

1.緒

工 業 的 な 高 分 了 の 製 造 に お い て,乳 化 重 合 な ど の 不 均 一 系 で の 重 合 操 作 が よ く行 わ れ る.製 造 され る 高 分 了 の 物 性 を制 御 し,又,重 合 速 度 を 増 加 し,制 御 す る た め に,シ ー ド乳 化 共 重 合 が 行 わ れ る が,水 に 極 め て 難 溶 な モ ノ マ ー を 用 い る と,重 合 速 度 が 低

く,ま た,凝 集 しや す い と い う問 題 が あ る.こ の 原 因 と し て は,次 の よ うな こ と が 提 唱 され て い る.す な わ ち,乳 化(共)重 合 に よ っ て 重 合 が 進 む た め に は,溶 媒 で あ る水 の 中 に分 散 して い るモ ノ マ ー の 滴 か ら,水 中 へ と モ ノ マ ー が 溶 解 し,水 中 か ら ポ リマ ー 微 粒 子へ と モ ノ マ ー が 拡 散 す る 必 要 が あ る が,モ

ノ マ ー の 水 へ の 溶 解 度 が 著 し く低 い 場 合 に は,そ の

モ ノマ ー は 微 粒 了 に 拡 散 す る 速 度 が 極 め て 低 く な る.

そ の た め,シ ー ド乳 化 重 合 で 主 な 重 合 の 場 所 で あ る 微 粒 子 内 で の モ ノ マ ー 濃 度 が 低 く な り,重 合 速 度 が 低 ドす る.さ ら に,モ ノマ ー 滴 内 で も極 め て 低 速 度 な が ら重 合 が 進 行 して,モ ノ マ ー を 多 く含 む 不 安 定 で 巨 大 な 粒 了 が 長 期 間 に わ た っ て 存 在 す る 状 況 が 現 出 し,凝 集 が 起 こ りや す く な る.こ の こ と が 真 実 な ら ば,シ ー ド乳 化(共)重 合 に お い て,撹 絆 速 度 が, 水 へ の 溶 解 度 が 低 い モ ノマ ー の 重 合 速 度 に影 響 す る は ず で あ る.し か し,モ ノマ ー の 水 溶 性 と,そ の モ ノ マ ー の シ ー ド乳 化 重 合 速 度 へ の 撲絆 の 影 響 の 関 係 は,定 量 的 に は 理 解 され て は い な い,そ こ で,本 研 究 で は そ の 影 響 を 定 量 的 に 検 討 す る こ と を 目的 に, 実 際 に 水 へ の 溶 解 度 の 低 い モ ノ マ ー を 含 む シ ー ド乳 化 重 合 を 行 い,そ の 結 果 か ら考 察 を行 っ た.

*工 学 研 究 料 材 料 開 発 工 学 専 攻

**材 料 開 発 工 学 科

***技 術 部

* Materials Science and Engineering Course , Graduate School of Engineering

** Dept

. of Materials Science and Engineering

*** Dept

. of Technology

2,実

2.1試 薬

水 へ の 溶 解 度 の 低 い モ ノマ ー と して,重 合 挙 動 が 良 く検 討 さ れ て い る ス チ レ ン(以 後,Stと 記 す)と,

メ タ ク リル 酸 ドデ シ ル(以 後,DMAと 記 す)を 用 い た.

◎福井大学

(3)

10

Stの 水 へ の 溶 解 度 は0,025wt%で あ り[1],DMAの 水 へ の 溶 解 度 はStの 値 よ り遥 か に 低 く10‑6wt%で あ る

と の 報 告[2]が あ る が 、 極 め て 低 い た め に 正 確 な 測 定 は 困 難 で あ る.ス チ レ ン は,和 光 純 薬 工 業 製 特 級 の も の を 以 下 の 方 法 で 精 製 した も の を 用 い た,ス チ レ ン1000gあ た り約15wt%水 酸 化 ナ ト リ ウ ム 水 溶 液 330gを 加 え て 洗 浄 す る こ と を3回 繰 り返 し,重 合 禁 止 剤 を 除 去 した.続 い て 純 水 で ア ル カ リが 検 出 され な く な る ま で 洗 浄 し た.そ の 後,モ ノ マ ー 中 の 水 分 を 除 去 す る た め に 一20℃ の 冷 蔵 庫 内 に1日 以 上 放 置 し,水 分 を 凍 結 させ,生 成 し た 氷 を ろ 別 し た,そ の 後,窒 素 ガ ス 雰 囲 気 化 で 減 圧 蒸 留(圧 力27mmHg, 沸 点 約50℃)を2回 行 っ た.生 成 モ ノ マ ー は 使 用 直 前 ま で 一20℃ の 冷 蔵 庫 に保 管 し た.メ タ ク リル 酸 ドデ シ ル は 和 光 純 薬 工 業 製,特 級 の も の200gあ た り約5wt%水 酸 化 ナ ト リ ウ ム 水 溶 液1009を 加 え て 洗 浄 す る こ と を2回 繰 り返 して,重 合 禁 止 剤 を 除 去 した.続 い て 純 水 で ア ル カ リが 検 出 さ れ な く な る ま で 洗 浄 し た.洗 浄 され た モ ノ マ ー は 使 用 直 前 ま で 一 20℃ の 冷 蔵 庫 に保 管 した.実 験 に お い て 使 用 した 水

は,milli‑QLabo実 験 用 小 型 超 純 水 装 置 に よ っ て 精 留 した も の で あ る.

水 溶 性 開 始 剤 と し て 過 硫 酸 カ リ ウ ム(和 光 純 薬 工 業 製,特 級,以 後KPSと 表 記),乳 化 剤 と して ラ ウ リル 硫 酸 ナ ト リ ウ ム(ナ カ ラ イ テ ス ク(株)製,特 級, 以 後SDSと 表 記),pH調 製 剤 と し て 炭 酸 水 素 カ リ ウム(KHCO3,ナ カ ラ イ テ ス ク(株),特 級)を そ の ま ま使 用 し た.油 溶 性 開 始 剤 と して,2,2'一 ア ゾ ビ ス 2一メ チ ル ブ チ ロ ニ ト リル(和 光 純 薬(株)製,一 級, 以 後V59と 表 記)を,メ タ ノ ー ル 中 で 再 結 晶 を2 回 行 っ て 精 製 した も の を 使 用 した.メ タ ノー ル(関 東 化 学(株)製,1級)と テ トラ ヒ ド ロ フ ラ ン(和 光 純 薬 工 業 製,特 級)を そ の ま ま 用 い た.

2.2ポ リ ス チ レ ン シ ー ド ラ テ ッ ク ス の 調 製 前 報[3]で 記 した 回 分 反 応 器 に 純 水 を270g,Stを 60g,SDSを1.875g仕 込 ん だ.開 始 剤 で あ るKPS

を0.375g,純 水30gに 溶 解 させ,開 始 剤 投 入 器 に仕 込 ん だ.反 応 器 中 に 存 在 す る酸 素 及 び 反 応 溶 液 中 の 溶 存 酸 素 を 除 去 す る た め,窒 素 ガ ス を 反 応 器 内 と開 始 剤 投 入 器 内 の 液 中 に 流 通 した.そ の 後,撹 拝 速 度 を300叩mに 保 ち,反 応 器 内 の 温 度 を50℃ ま で 上 昇 させ,開 始 剤 を 投 入 し12時 間 重 合 さ せ た.得 られ た ポ リス チ レ ン シ ー ドラ テ ッ ク ス 中 に含 ま れ る 残 存 KPSを 分 解 さ せ る た め,酸 素 を 混 入 さ せ た 後, 80℃ で 保 っ た.得 られ た ポ リス チ レ ン粒 了 の 平 均 径

を 動 的 光 散 乱 光 度 計(DLS,大 塚 電 了 製DLS一

7000)に よ り測 定 し た と こ ろ,約100㎜ で あ っ た.

ま た,重 合 率 を メ タ ノー ル を 沈 殿 剤 とす る重 量 法 で 測 定 し た と こ ろ,98%で あ っ た 。

2.2シ ー ド乳 化 共 重 合

作 成 し た ポ リス チ レ ン シ ー ドラ テ ッ ク ス75gに 炭 酸 水 素 カ リ ウ ム 水 溶 液 を 加 え 中 和 し,Stを17.6g加 え, ポ リス チ レ ン 粒 子 に ス チ レ ン が 十 分 膨 潤 す る よ う, 冷 蔵 庫 内 に 一 日放 置 した.一 日後 にStを109,DMA

を30g加 え,反 応 器 に 仕 込 み,100rpmで 撹 絆 した 。 水30gに 開 始 剤 と してKPSを0.297g溶 解 させ,開 始 剤 投 入 器 に 仕 込 ん だ.反 応 器 中 に 存 在 す る酸 素 及 び 反 応 溶 液 中 の 溶 存 酸 素 を 除 去 す る た め,窒 素 ガ ス を 反 応 器 内 と開 始 剤 投 入 器 内 の 液 中 に 流 通 し た.そ の 後,撹 搾 速 度 を300rpmに 増 加 させ,反 応 器 内 の 温 度 を60℃ ま で 上 昇 させ,開 始 剤 を 投 入 し重 合 を 開 始 さ せ た.こ の と き,ス チ レ ン10gとDMA30gを 加 え て か ら開 始 剤 を加 え る ま で の 時 間 が 約50分 程 度 に な る よ う に し た.ま た 重 合 時 に 水 の 総 量 が225g, ポ リ ス チ レ ン 粒 子 の 数 が2x1014個/cc‑waterで 一 定

に な る よ う に 調 整 し た.開 始 剤 投 入 後 所 定 の 時 間 に, 反 応 液 を メ タ ノ ー ル 中 に 採 取 し,少 量 の 塩 酸 を 加 え て か ら40℃ に30分 ほ ど保 っ て 生 成 した ポ リマ ー を 凝 集 させ た.ろ 過 し て 凝 集 し た ポ リマ ー を 得 た.得

られ た ポ リマ ー の 重 量 を 測 定 し た.ま た,得 られ た ポ リマ ー 中 の ポ リ ス チ レ ン と ポ リ メ タ ク リル 酸 ドデ シ ル の 重 量 分 率 を 後 述 す るNMR法 に よ っ て 測 定 し た.

ま た,開 始 剤 水 溶 液 を 投 入 し た 直 後 に 擬 絆 速 度 を 500rpmに し た 場 合 に つ い て も 上 記 と 同 様 に して 実 験 を行 い,結 果 を比 較 検 討 した.さ ら に,上 記 と 同 様 に ス チ レ ン を加 え た シ ー ドラ テ ッ ク ス を 冷 蔵 庫 に 一 日放 置 した 後 に

,StlOgとDMA30gの 代 わ り にSt の み40g加 え て,ス チ レ ン の 単 独 シ ー ド乳 化 重 合 を 上 記 と 同 様 に して 行 い,結 果 を 比 較 検 討 し た.

2.3得 ら れ た ポ リ マ ー の 分 析

ら れ た ポ リ マ ー 試 料 を 重 ク ロ ロ ホ ル ム (CambridgeIsotopeLaboratories,Inc製,0.05%テ ラ メ チ ル シ ラ ン 含 有)に,濃 度 が3g/1に な る よ う に 溶 解 し,NMR(日 本 電 子 デ ー タ ム(株)製,LA 500)に よ るIH‑NMR測 定 に 供 し た.

(4)

3.結 果 と 考 察

3.1ス チ レ ン の 単 独 シ ー ド乳 化 重 合 へ の 撹 拝 の 影 響

ス チ レ ン の み を モ ノ マ ー と して 加 え て シ ー ド乳 化 重 合 を 行 っ た 場 合 の 重 合 率 を 時 間 に 対 して 記 し た の が 図1で あ る.記 号 は 撹 拝 速 度 の 異 な る 場 合 の 結 果 を 示 し て い る が,重 合 速 度 は300rpmの 場 合 で も 500rpmの 場 合 と 同 じ に な っ て い る.こ の こ とか ら, ス チ レ ン 程 度 の 水 溶 性 の モ ノ マ ー で は,本 実 験 条 件 で は,撹 拝 速 度 が300rpm以 上 で あ れ ば,モ ノ マ ー は モ ノ マ ー 滴 か ら水 相 を 通 して シ ー ド粒 了 に 十 分 速 や か に 供 給 され,モ ノ マ ー の 分 配 平 衡 が 成 り立 っ た

こ と が 示 唆 され る.

[,]辮

図1 1

1

=0・8 くロ0.6

糾0.4

畑0.2

0

mm

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▲△

▲△

▲△

▲△▲△

▲ 鬼

づ触 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

0.8

0.6

$

.4 ◆0

℃〆

◆500rpm

◇300rpm

0100200300400500

時 間[min】

ス チ レ ン の 単 独 シ ー ド乳 化 重 合 で の 重 合 率 一 時 間 曲線 へ の 麗 絆 速 度 の 影 響

3.2ス チ レ ン と メ タ ク リル 酸 ドデ シ ル の シ ー ド乳 化 共 重 合 へ の 撹 拝 の 影 響

ス チ レ ン と メ タ ク リル 酸 ドデ シ ルDMAの シ ー ド 乳 化 共 重 合 を 図1と 同 じ 条 件 で 行 っ た.サ ン プ ル 中 の 生 成 した ポ リマ ー の 重 量 分 率 を 重 量 法 に よ っ て 求 め,加 え た ス チ レ ン とDMAモ ノ マ ー の 重 量 分 率 の

0100200300400500

時 間[min]

図2ス チ レ ン と メ タ ク リル 酸 ドデ シ ル の シ ー ド乳 化 共 重 合 に お け る撹 絆 速 度 の 影 響

和 で 割 っ た 値(こ れ を 重 量 基 準 の 重 合 率 と 記 す)を 時 間 に 対 し て 記 した の が 図2で あ る.初 期 の 重 量 基 準 重 合 率 の 増 加 速 度 は,撹 絆 速 度 が 高 い ほ ど 大 き く な っ て い る.こ の 結 果 は,ス チ レ ン 単 独 の シ ー ド乳 化 重 合 で は3001pm以 上 に 撹14≧速 度 を 増 加 して も重 合 速 度 は増 加 し な か っ た こ と も 考 慮 す れ ぼ,メ タ ク リル 酸 ドデ シ ル が モ ノ マ ー 滴 か ら水 相 を 通 して シ ー ド粒 子 に移 動 す る 速 度 が 不 十 分 で あ り,微 粒 子 内 の メ タ ク リル 酸 ドデ シ ル の 濃 度 が 平 衡 時 の 濃 度 よ り も 低 く な っ て,メ タ ク リル 酸 ドデ シ ル の 重 合 速 度 が 低 下 して い る こ と を 示 唆 す る.そ こ で,こ の こ と を 確 か め る た め に,メ タ ク リル 酸 ドデ シ ル の 重 合 速 度 を, NMR法 に よ っ て 求 め,撹 拝 速 度300rpmと500rpm の 場 合 で 比 較 検 討 した.

得 られ た ポ リマ ー のNMRス ペ ク トル の 一 例 を 図 3に 記 す.ケ ミ カ ル シ フ ト7近 傍 の2つ の ピ ー ク は ポ リ ス チ レ ン の フ ェ ニ ル 基 の 水 素 に 帰 属 で き る.ケ

ミカ ル シ フ ト2以 下 の ピー ク は,ア ル キ ル 基 の 水 素, つ ま り,ポ リス チ レ ン の 主 鎖 の 炭 素 原 子 に 結 合 し て い る 水 素 と,ポ リDMAの 水 素 と 考 え られ る.た だ し,ポ リDMAの 水 素 の 内 で 酸 素 原 子 の 横 の メ チ レ

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図3ス チ レ ン と ドデ シ ル メ タ ク リ レー トの シ ー ド乳 化 共 重 合 で 得 られ た ポ リマ ー の 且H‑NMRス ペ ク ト ル.撹 絆 速 度500rpm開 始 剤 投 入 後8時 間

(5)

12

ン 水 素 は ケ ミカ ル シ フ ト4あ た りの ピー ク を 示 す は ず な の で,そ れ ら を 除 い た も の で あ る.以 上 よ り, ケ ミカ ル シ フ ト6.3〜7.5の ピ ー ク 面 積 が ポ リス チ レ ン の ベ ンゼ ン 環 の 水 素 の モ ル 数 に 比 例 し,ケ ミカ ル シ フ ト1.0〜25の ピー ク 面 積 が ア ル キ ル 鎖 の 水 素 (ポ リス チ レ ン の 主 鎖 の 炭 素 原 了 に 結 合 して い る 水 素 と,ポ リDMAの 水 素 の 内 で 酸 素 原 子 の 横 の メ チ レ ン 水 素 を 除 い た も の)の モ ル 数 に そ れ ぞ れ 比 例 す る と して,各 ポ リマ ー の 重 量 分 率 を 求 め た.な お, ケ ミカ ル シ フ ト4付 近 の ピー ク 面 積 は ポ リDMAの 酸 素 原 子 の 横 の メ チ レ ン 水 素 の モ ル 数 に 比 例 す る は ず で あ る が,面 積 が 小 さ く て 誤 差 が 大 き い の で,今 回 は 解 析 に 用 い な か っ た.

以 上 の よ う に して 決 定 した ポ リ ス チ レ ン,ポ リ DMAの 採 取 ポ リマ ー 中 の 重 量 分 率 と,反 応 液 中 の

採 取 ポ リマ ー の 重 量 分 率 か ら,ス チ レ ン とDMAの 重 合 率 を 求 め,時 間 に 対 して プ ロ ッ トし た の が,図 4で あ る.

1

0.8

::0.6‑

〈且0.4‑

02一

◆St500rpm

■DMA500rpm

◇St300rpm 口DMA300rpm

0 0

1

100200300400500

時 間[n血]

図4ス チ レ ン(St)と メ タ ク リ ル 酸 ドデ シ ル (DMA)の シ ー ド乳 化 共 重 合 に お け る 撹 拝 の 影 響

メ タ ク リル 酸 ドデ シ ル の 重 合 速 度 は ス チ レ ン の 重 合 速 度 に 比 べ て 著 し く遅 く,ま た,撹 拝 速 度 の 増 加 に よ っ て 増 加 して い る.こ れ は,メ タ ク リル 酸 ドデ シ ルDMAの 水 溶 性 が ス チ レ ン よ り も 遥 か に 低 い た め に,DMAが モ ノ マ ー 滴 か ら水 相 を 通 して シ ー ド粒 子 に 供 給 さ れ る 速 度 が 低 く,微 粒 了 内 のDMA濃 度 が 平 衡 濃 度 よ り も低 か っ た こ と を 支 持 す る.た だ し, DMAの 重 合 速 度 が ス チ レ ン の 重 合 速 度 よ り も 低 い

こ と に つ い て は,そ れ らの 共 重 合 反 応 性 比 が ス チ レ ン が 高 速 で 重 合 す る よ うに な っ て い る 可 能 性 も 原 因 と し て 考 え ら れ る.そ こ で,ス チ レ ン とDMAの 共 重 合 反 応 性 比 を 検 討 した.ス チ レ ン と メ タ ク リル 酸 エ ス テ ル の 共 重 合 反 応 性 比7且 とF2は,メ タ ク リル 酸 エ ス テ ル の ア ル キ ル 基 の 炭 素 数 に あ ま り依 存 せ ず,

い ず れ も0.6近 傍 で あ る こ と が 知 られ て い る.141 そ こ で,確 認 の た め に,ス チ レ ン と メ タ ク リル 酸 ド デ シ ル の 塊 状 共 重 合 を 以 下 の 方 法 で 行 っ て,ハ とr2 の 値 を 確 認 し た.す な わ ち,回 分 反 応 器 にStと DMAを 当 モ ル と な る よ う に そ れ ぞ れ15gと36.64g 仕 込 み,開 始 剤 と し て 油 溶 性 開 始 剤 で あ るV二59(和

光 純 薬 工 業 製)を1,19g仕 込 み,撹 拝 速 度100rpmで 撹 拝 し な が ら窒 素 置 換 を 流 量300cc/minで 約30分 間 行 っ た.そ の 後,温 度 を 上 昇 させ,60℃ に して 重 合 を 開 始 させ た.反 応 液 を所 定 時 間 ご と に 採 取 し,メ タ ノ ー ル 中 で 生 成 ポ リマ ー を 沈 殿 させ,溶 媒 を 除 去

し,テ トラ ヒ ドロ フ ラ ン に 溶 解 して か ら,再 度 メ タ ノ ー ル 中 で 沈 殿 させ て,溶 媒 を 除 去 し,乾 燥 した.

得 られ た ポ リマ ー を 上 述 のNMR法 で の 測 定 に 供 し, 結 果 か ら,各 時 間 で の ス チ レ ン と メ タ ク リル 酸 ドデ シ ル の 重 合 率 を 求 め た,ス チ レ ン の 重 合 率 が0,1〜

0.5の 範 囲 で は,ス チ レ ン の 重 合 率 は ほ ぼ メ タ ク リ ル 酸 ドデ シ ル の 重 合 率 に 等 し か っ た,こ の こ と は, ス チ レ ン と メ タ ク リル 酸 ドデ シ ル の 共 重 合 反 応 性 比 ア1とr2が い ず れ も0.6近 傍 で あ る こ と と矛 盾 しな い.

そ こ で,η とF2が い ず れ も0.6で あ る と して,ま た, DMAが モ ノ マ ー 滴 か ら シ ー ド微 粒 子 へ と速 や か に

拡 散 し て,微 粒 子 内 の ス チ レ ン モ ノ マ ー とDMAモ ノ マ ー の 濃 度 比 が,系 内 に 残 存 す る ス チ レ ン モ ノ マ ー とDMAモ ノ マ ー の 量 の 比 に 等 し い と 仮 定 して, ス チ レ ン の 重 合 率 か ら,DMAモ ノ マ ー の 重 合 率 を 推 算 し た 。 推 算 に はNomuraら[5]の シ ー ド乳 化 共 重 合 速 度 の 式 を 用 い た.推 算 され たDMAモ ノ マ ー の 重 合 率 は,図4に 示 され る ス チ レ ン の 重 合 率 よ り も 高 く,DMAモ ノ マ ー の 実 測 され た 重 合 率 よ り も 遥 か に 高 か っ た.こ の こ とは,シ ー ド粒 子 内 に お け る DMAモ ノ マ ー 濃 度 の ス チ レ ン モ ノ マ ー 濃 度 に 対 す る 比 が,反 応 器 全 体 に 存 在 し て い るDMAモ ノ マ ー 量 の ス チ レ ン モ ノ マ ー 量 に 対 す る 比 よ りも 著 し く 小 さ い こ と を 示 し て い る.ま た,撹 絆 速 度 の 増 加 に よ っ てDMAモ ノ マ ー の 重 合 速 度 が 増 加 して い る こ と は,シ ー ド粒 子 内 のDMAモ ノ マ ー 濃 度 が 撹 拝 速 度 の 増 加 に よ っ て 増 加 して い る こ と を 示 唆 す る.こ れ ら の 原 因 と し て は,DMAモ ノ マ ー が,水 に 溶 解

しに く い た め に,モ ノ マ ー 滴 か ら水 相 を 通 して 微 粒 子 内 に 拡 散 す る速 度 が 遅 か っ た こ と が 考 え られ る.

ス チ レ ン とメ タ ク リル 酸 ドデ シ ル の シ ー ド乳 化 共 重 合 に お い て,ス チ レ ン モ ノ マ ー の 重 合 率 が 撹 搾 速 度 の 増 加 に よ っ て 増 加 して い る.こ の 原 因 と して は, メ タ ク リル 酸 ドデ シ ル が 十 分 に は シ ー ド粒 子に は 拡 散 せ ず,擬 絆 速 度 が 低 い ほ ど,水 相 中 の モ ノ マ ー 滴 に 多 く の メ タ ク リル 酸 ドデ シ ル が 残 り,ス チ レ ン が

(6)

因 は 定 か で は な い.今 後 の 検 討 が 必 要 で あ る.

4.ま と め

本 研 究 で 得 られ た 実 験 結 果 か ら次 の こ と が 示 唆 され た.本 実 験 条 件 で は,撹 料≧速 度 が300rpm以 上 な ら, ス チ レ ン モ ノ マ ー は ポ リス チ レ ン の シ ー ド粒 了 へ 十 分 に 拡 散 し,ス チ レ ン モ ノ マ ー は モ ノ マ ー 滴,水 相, シ ー ド粒 子の 問 で 平 衡 状 態 に な る.一 方,メ タ ク リ ル 酸 ドデ シ ル モ ノマ ー の シ ー ド粒 了 へ の 拡 散 速 度 は 小 さ く,シ ー ド粒 子 中 の メ タ ク リル 酸 ドデ シ ル の 濃 度 は 平 衡 濃 度 に は 至 ら な い.し た が っ て,撹 搾 速 度 を 増 加 させ る こ と に よ り,メ タ ク リル 酸 ドデ シ ル の 重 合 速 度 は 増 加 す る.

参考文献

[1] N. Slitterlin: Polymer Colloids II (R.M Fitch Ed.), Plenum (New York), p.583 (1980).

[2] C.S. Chem and T.J. Chen: Colloids Surface A, 138, 65 (1998).

[3] M. Nomura, S. Sasaki, M. Harada and W. Eguchi:

J. Appl. Polym. Sci., 22, 1043 (1978).

[4] J. Brandrup and E.H. Emmergut: Polymer Handbook

2nd Ed., Wiley (New York), II-59 (1975).

[5] M. Nomura, M. Kubo and K. Fujita: Mem. Fac. Eng.

Fukui Univ., 29, 167 (1981).

参照

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