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合 田 紅 花

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Academic year: 2021

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別 室 登 校 生 徒 の た め の カ リ キ ュ ラ ム マ ネ ジ メ ン ト の 開 発

高度学校教育実践専攻

授業実践・カリキュラム開発コース 合 田 紅 花

1 研究の目的

文部科学省は不登校を「不登校児童生徒 とは何らかの心理的、情緒的、身体的ある いは社会的要因・背景により、登校しない あるいはしたくともできない状態にあるた めに年間30日以上欠席した者のうち、病気 や経済的な理由によるものをのぞいたも の」と定義し、不登校に対して様々な施策 を講じている。文部科学省の 2008年度「児 童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に 関する調査」によると、不登校の中学生の 人数は10万4153人で、全生徒数に対する 割合は 2.89%であり、35に一人の割合で不 登校の子どもが存在することになる。また、

不 登 校 生 徒 が 在 籍 す る 中 学 校 の 割 合 は 85%であり、不登校はどこの中学校でも、

またどの子どもにも発生する問題であると 考えて良い。

不登校児生徒の増加とともに学校現場で 課題になっているのは保健室登校である。

保健室登校とは「常時保健室にいるか、特 定の授業には出席できても学校にいる聞は、

主として保健室にいる状態を言う」と文部 省(当時)と日本学校保健会(1992)が定 義している。近年は保健室だけではなく相 談室や空き教室などを利用している学校も 多いため、保健室等登校、別室登校などと 言われることも多い。本研究では相談室を 利用している事例のため、以下別室登校と

実 習 責 任 教 員 村 川 実 習 指 導 教 員 川 上 実 習 指 導 教 員 大 西

弘 子

雅 綾

保健室登校・保健室等登校を同等のものと 考えることとする。別室登校は、不登校の 歯止めとして、また不登校状態から原教室 復帰のプロセスとして機能しているが、シ ステムとして学校組織に定着化していない

ことが大きな課題となっている。

そこで本研究では、別室登校生徒の支援 に向けて校内体制を確立させるため、置籍 校においてカリキュラムマネジメントの視 点を取り入れて実践することとした。

2 研究の方法 ( 1 )研究対象

①本校に別室登校している生徒3名 (Aさ ん、 Bさん、 Cさん)

②本校職員、スクールカウンセラー、市派 遣生徒指導支援員

( 2 )子どもの実態と成果の把握

具体的な手順と方法については以下の 通りである。

①別室登校生徒の実態を把握する。

②「支援チーム」において個々の生徒にあ ったストラテジーを考え実践する。

③実践したストラテジーをカリキュラムマ ネジメント・モデル(田村2009)に当ては め整理する。

別室登校の子どもたちが必要としている 支援を実現するために教育活動と条件整備 活動との対応関係を整理した。不足事項が

あれば補えるようにした。

(2)

図カリキュラムマネジメント・モデル田村知子(29)

④実践結果より「支援チーム」にてワーク ショップを行い、生徒と支援チームの状況 に応じてカリキュラムマネジメントを改善 する。

⑤効果測定として別室登校生徒に関わった 教員にインタビ、ューを行う。

3 実践と結果 ( 1 )年度当初

年 度 当 初 に お け る 別 室 登 校 に 関 す る 置 籍校の体制や、学校として使用できる資源 をカリキュラムマネジメント・モデル(田 村, 2009)によって整理する。

まず、「オ. リーダーシップj として、

人権教育が盛んで、学校教育目標の中の特別 支援教育の位置づけが大きく、何らかの理 由で教室に入れない子どもたちにも支援を していく管理職の姿勢があげられる。さら にこのリーダーシップが機能して職員には 別室登校に対するポジティブな「エ.組織 文化」が存在している。もちろん教員によ り個人的な立場や教育観、考え方は異なる が、大筋で別室登校を認める雰囲気をもっ ている。

さらに、「ウ.組織構造j として、年度 当初から「人・もの・財の確保」が円滑に 行われた。「もの」に関しては、別室登校の

子どもたちが落ち着いて生活できる空間 (相談室)の確保が行われた。また学校内 の施設や教材・教具については、必要に応 じて担当する教員に許可を得て使用できる ようにした。

次に「人」の確保として、生徒指導支援 員が週に8時間、市から派遣されている。

さらに生徒指導部として校内組織があり、

生徒指導主事、養護教諭、スクールカウン セラーが別室登校生と関わりがもてるよう な関係にあった。今年度は曜日ごとに主に 関われる担当を決めた。具体的には、月曜 日はスクールカウンセラー、火曜日と金曜 日は筆者、水曜日と木曜日が生徒指導支援 員というようにした。生徒指導主事と養護 教諭は情報を統括できるよう、メンバーで 情報交換を密にした。

また、筆者と生徒指導支援員は交換ノー トを使って子どもたちの日々の生活や学び の様子、雑談の内容、生徒指導主事、養護 教諭や担任との話し合いの概要を記録し、

連絡することとした。この交換ノートは他 のメンバーも閲覧できるようにした。

(2)  4 ‑ 5月

概念化シートを使ってできるだけ多く の角度から情報を集めた。はじめは学習面、

生活面、家族や友人、好きな教科などにつ いて、前年度生徒たちと関わりを持ってい た教員何名かに筆者がインタビューして付 築に記入し、まとめるという形をとった。

その後、筆者自身が子どもたちと関わり気 付いた点なども追記していった。

支援チームで話し合う機会を得たので、

この概念化シートをもとに今後どのように 別室登校の子どもたちと関わってし、くか話

(3)

し合った。話し合いの結果を生徒ごとにカ リキュラムマネジメント・モデ、ルに整理し 不足があれば補えるようにした。

(3)  6'"'"'8月, 9'"'"'  1 1月

支援チームで決めた実践をすすめていく 中で、再度カリキュラムマネジメントを改 善させるために夏休みと 11月下旬にワー クショッフ。を行った。子どもの発言や教員 の気づきなどを4'"'"'5月の概念化シート上 に付け足した。子どもの変容を話し合う中 で、今までと同じように継続していくこと と、さらに付け加えるストラテジーを見い だすことができた。 4'"'"'5月時と同様に話 し合いの結果をカリキュラムマネジメン ト・モデルに整理した。さらに次年度への 引継として今回の実践をもとに校内内規を 策定することとした。

(4)生徒の変容

生徒の変容として大きく取り上げること ができるのが、欠席日数の変容で、あったo Aさんは 1年次に 142日の欠席があり、 2 年次は126日の欠席で、あった。しかし本年 度は 11月までの欠席が 14日である。飛躍 的に「学校に来る」ことができている。「精 神的な状態の底の段階J(山下, 1999)から の脱却があったにせよ、今年度の取り組み が功を奏したと言える。 Bさんの場合 1年 次は普通教室への登校で欠席は6日だ、った。

2年次 10月から不登校傾向になり 52日の 欠席があった。 3年次は 11月までに 24日

の欠席である。しかし、彼女は現段階では まだ回復期に達していないため3年次の欠 席は3月までだと多くなる可能性がある。

現在(12月)は担任、養護教諭、保護者と 相談し、登校刺激を控えている状況である。

Cさんについては 1年次から 2年次5月ま では普通教室への登校で、 4日間の欠席の 後に別室登校となったので、欠席日数自体の 変容は見られなかった。しかし、完全不登 校の状態の歯止めになっている。

( 5 )指導の変容

実践を行ってしだ過程で、教員の指導に も変容が見られた。 4'"'"'5月の段階では関 係する教員がプリントなどを準備し、様々 な教育活動に当たっていた。しかし子ども たちの状況や必要としている支援などを職 員会の場で、また日頃の雑談の中で伝えて いく活動を続けて行くにつれ、教材や時間 の提供をしていただけるようになった。職 員聞に別室登校の子どもたちを囲むもう一 つ大きな連携の輪ができたようと考えられ る。これは、カリキュラムマネジメント・

モデルの「エ.組織文化」にあたり、その 変容が「ウ.組織構造」や「イ.カリキュ ラムのP DS 1 Jに及ぼすものは大きかっ た。また、組織自体に別室登校に関するさ らなる理解が生まれた。以前はなかなか別 室から原教室に行けないことに対して「対 応している教員が甘やかす」などの意見も 挙がったが、別室登校の子どもたちにチー ムで支援することやその支援チームの構成 員の会話、職員会での発言などによって他 の教員にも理解が生まれたのだと感じる。

4  まとめと課題

今回の実践の成果として、第一に、マネ ジメントサイクルの視点を取り入れたこと は別室登校生の支援においても有効だ、った。

個々の実践には「生徒の実態、学校の置か れた状況、学校が活用できる諸資源、現在 のカリキュラムの実態の現状を正しくアセ

(4)

スメント」し、「アセスメントの結果をもと に、何を維持・発展させ、何をより活用し、

何をどう変えていくのか、という戦略を立 てる必要が」あった。また本研究で個々の 子どもの実態把握をする手段として使用し た「概念化シート」は実態把握のみならず、

支援チームの教員と情報や戦略、お互いの 考えを共有化する点でも役だ、った。

第二に、教育活動と経営活動の対応を整 理し結びつけて考えることは意義があった。

別室登校生に対する支援には、全体をコー ディネートする教員にカリキュラムマネジ メントマインドが必要であるのと同時に、

個々の生徒に関わる教職員一人一人が教育 活動に必要な条件整備の視点を持つべきで あることを実感した。別室登校生徒に対す る支援方法やストラテジーをカリキュラム マネジメント・モデ、ルに整理することで、

その視点を持つことができたと考える。

第三に、「疎結合システムJ(淵上, 1995)  とし、う特徴を持っている学校の組織に協働 の意識が芽生えたと考える。今回の実践で は、支援チームの教員が困ったりむずかし いとd思っていることを他のメンバーやメン ノミー以外の教員に話すことで解決の糸口に つながった。保護者の視点から考えると、

養護教諭にいろいろなことを話せる状況が 確立され、学校側に家庭から協力してほし いことや今どんなことで悩んでいるのかを 率直に伝えることができている。また反対 に養護教諭を介して支援チームが家庭への 依頼を伝えることもできた。このように教 育活動全般がマネジメントによって支えら れ、歯車がうまく回り、生徒や関わる教職 員の指導に変容が見えてくることで、さら

にカリキュラムマ不ジメント・モデルの規 定要因である「組織文化」にもポジティブ な協働文化が生まれたといえる。

課題として、別室登校全般について言え ることであるが、学校において調整行動を 行うことが職務として位置づけられている のは生徒指導主事や学年主任といった組織 のミドルリーダーまでであり、非常勤とい う勤務形態のスクールカウンセラーや、コ ーディネーションに関するはっきりとした 職務上権限がない教育相談係、養護教諭は 正式な調整力を持たないということがあげ られる。そのため、人間関係をよりどころ としてすべてがすすめられる傾向にあり、

状況によっては専門性を発揮できないこと が考えられる。このような別室登校や心理 教育的な支援が従来の特別支援として、学 校に位置付くことができれば特別支援教育 コーディネーターなど専門機関との連携を 図ることを役職とした教員が専門性を発揮 できる。

一人ひとりの子どもは障害やその他の事 情にかかわらず多様な援助のニーズを持っ ており、学校の課題に取り組む中で何らか の援助を必要としている。教員は子どもの 抱える問題によって「別室登校JI学習障害」

などと分類してそれぞれにあう支援を考え るとともに、ただ支援を考えるのではなく 一人一人がカリキュラムマネジメントマイ ンドを自覚している必要がある。そのよう な点で、今後は特別支援や心理教育的支援 についてのより専門的な研修とカリキュラ ムマネジメントマインドを育成する研修を 校内に位置づけていくことが期待される。

参照

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