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Academic year: 2021

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はじめに

著者

山 泰幸

雑誌名

災害復興研究

号

9

ページ

119-120

発行年

2018-03-31

URL

http://hdl.handle.net/10236/00026949

(2)

119 *関西学院大学災害復興制度研究所副所長、関西学院大学人間福祉学部教授

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はじめに

本特集は、2017 年 7 月 13 日(木)に関西学院 大学にて開催された国際学術シンポジウム「伝え る・遺す・語り合う〜災害の諸相をめぐって〜 東 アジアの新たな協働を考えるⅢ」(主催:関西学院 大学災害復興制度研究所)での報告内容を原稿化 し、収録したものである。 グローバル化が進む現代社会では、大災害の発 生は被災国のみならず、国境を超えた問題として 大きな影響をもたらすようになっている。自然災 害が相次ぐ東アジアでは近隣諸国との緊密な連携 が不可欠であり、災害復興制度研究所は 2016 年 1 月から「東アジアの新たな協働を考える」をテー マにした国際シンポジウムを開催してきた。第 3 弾となる今回は、災害をめぐる経験をどのように 伝え、その記憶を未来に教訓として遺していくの か、さらに災害からの「復興知」をいかにして共 有し継承していくのか、災害の諸相をめぐって復 興のあり方を考察することを目的として開催され た。 シンポジウムは、関西学院大学災害復興制度研 究所の長岡徹所長の開会挨拶、野呂雅之主任研究 員・教授による趣旨説明に始まり、引き続いて、 四つの報告が行われた。前半は、中国側と日本側 からそれぞれ基調報告が行われた。 郭連友・北京外国語大学北京日本学研究セン ター長・教授の基調報告「中国唐山大地震の歴史 と記憶」では、1976 年 7 月 28 日 3 時 42 分、北京 市から約 200 キロあまり離れた河北省唐山市を震 源に発生したマグニチュード 7 .8、死者は 24 万 2769 人に及び、中国史上最大規模とされる唐山 大地震について、被災状況と復興過程についての 詳しい報告がなされた。特に、報告者である郭教 授自身がこの大地震の被災者であり、実体験を交 えた印象深い報告がなされた。続いて、山中茂 樹・関西学院大学災害復興制度研究所顧問による 「阪神・淡路大震災と災害報道」では、1995 年の 阪神・淡路大震災を契機として、災害報道のあり 方が大きな分岐点を迎えたことを、当時、朝日新 聞神戸支局次長として災害報道の最前線にいた自 らの経験も交えながら、「関西安全神話と落下傘 報道」「東西メディアの温度差」「被害報道と安心 報道」という三つの論点から報告がなされた。 後半では、王鑫・北京大学医学部講師による「中 国における関東大震災の報道をめぐって」では、 中国における関東大震災の報道に関する貴重な史 料をもとに、日中関係が緊迫していた時期にもか かわらず、中国から災害支援が積極的に行われた ことが報告された。張慧・北京国際関係学院准教 授による「震災後における少数民族文化の保護」 では、2008 年 5 月 12 日に発生した四川省汶川大 地震後、被災地域に居住する少数民族の伝統文化 が国家の文化政策により文化遺産として積極的に 保護された結果、観光資源化が進み伝統文化が変 質するという皮肉な問題について報告がなされ た。以上の四つの報告をもとに、最後に、山泰幸 の司会のもと総括セッションが行われ、活発に質 疑応答がなされた。 本特集では、以上の 4 本の研究報告を原稿化

山   泰 幸*

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120 研究紀要『災害復興研究』第 9 号 し、収録している。 東アジアの政治的関係が冷え込むなか、学術面 での交流は大きな意義を持っている。災害復興は 被災地域、被災国だけに限定される問題ではな く、グローバルな影響関係を抜きに考えることは できない。特に、東アジアの近隣諸国との協働は 不可欠となっている。「東アジアの新たな協働を 考える」をテーマとした東アジアの研究者を招い た国際学術シンポジウムは、すでに述べたように 今回で第 3 回目となり、東アジアの相互理解と新 たな協働を目指して、ささやかではあるが着実な 歩みを続けている。災害復興制度研究所では、今 後も引き続き本テーマに取り組んでいくつもりで ある。

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