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「研究会参加の魅力」

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Journal of Surface Analysis Vol.16, No. 2 (2009) p. 97 鈴木昇 研究会参加の魅力 −97−

巻頭言

研究会参加の魅力

思い起こせば,1979 年に東北大金属材料研究所の装置を使い,「鋼新生面での潤滑添加剤との反 応」に関する研究でFe2p,S2p などを測定したのが,XPS との付き合いの始まりであった.以後, しばらくは依頼測定となったが,1994 年に所属する大学に漸く XPS が導入された.当時は知識が 少なく,概算要求申請書そして採択決定後の仕様書を深夜まで作成したことから,導入時の喜びは 筆舌に尽くしがたいものであった. それから2 年後の 1996 年に,アルバック・ファイの田中氏の助けもあり,つくばでの表面分析 研究会に初参加した.参加者が大変多く,熱気に満ち溢れていたことを覚えている.また,グルー プ討論のどこに参加すべきか迷ったが,結局表面改質で形成される超薄膜と関連する有機グループ に参加した.以来 13 年,筆者が所属する学会や研究会の中で,出席回数が最も多く,かつ出席率 も最も高いものとなった.何故,このようにどっぷりと浸かってしまったのであろうか,いくつか 並べてみたい. 1) 表面分析に関する知識欲が高く,若さ(年齢ではない)溢れる集団であった.かつ,多くの学 会で見受けられるような,年寄りが闊歩するといった風景が無く,多くの諸先輩方が優しく新人 を迎えた. 2) ラウンドロビンテストなどのように,参加者に対して興味ある宿題が与えられ,その結果を次 の研究会に持ち寄って議論するというように,研究会自体が勉強の場であり,参加することの後 押しとなった.これは,初中級者にとって大変有益である. 3) 測定や解析に関しての新規の方法や,実用分析における工夫などに関する情報が多くの参加者 から発信され,情報交換の場でもあった. 4) 深夜まで議論が続き,そこには潤滑剤が豊富にあり(これが最大の要因であろうか?),かつ 通常の学会発表ではあまり見かけない厳しさと笑いが存在した. 以上の多くは今も継続されているが,ここ数年,若い方あるいは表面分析の初級者の方が継続し て参加していないように思われる.この要因として昨今の職場(会社等)における厳しい状況があ るだろう(大学においても休講が難しい状況となっている).また,表面分析研究会に参加してい るあるいは参加してきた方が職場等で指導者として活躍しているのではと推定しているが,そうで あれば,この冊子を含めて,表面分析研究会の実用分析に対する直接目に見えない貢献の一つとな るであろう.なお,常に 50 名程度が研究会に参加していることは,多くの表面分析手法が熟成期 を迎えており,センセーショナルな新規の技術が出現しない状況であることを考慮すると,魅力あ る研究会であることを物語っているであろうし,開催地と施設の選定およびプログラムの作成で努 力されている講演委員会の皆さん(筆者を除く)に敬意を表したい. 表面分析に関して多くを学び理解を深めることができたのは,この研究会に出会ったお陰であり, 諸先輩を見習い,若さを保つためにも,関連する研究を続け,発表と議論を今後も続けていきたい と考えている.そして,今もスケジュールの中でこの研究会を特別なことがない限り最優先にして いるが,年とともに他の用事とのバッティングが増えてきている.いつの日か,かつてのような余 裕ある職場や社会となって欲しいものである. 宇都宮大学大学院工学研究科学際先端研究部門 鈴木 昇

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