学校改善における小中一貫コミュニティ・スクールの可能性 ―十勝郡浦幌町における小中一貫コミュニティ・スクールの成り立ちから―
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(2) 釧路論集 -北海道教育大学釧路校研究紀要-第49号(平成29年度) Kushiro Ronshu, - Journal of Hokkaido University of Education at Kushiro - No.49(2017):23-30. 学校改善における小中一貫コミュニティ・スクールの可能性 ―十勝郡浦幌町における小中一貫コミュニティ・スクールの成り立ちから― 宮 前 耕 史1・安 井 智 恵2 1. 北海道教育大学釧路校地域・環境教育専攻 2. 岐阜女子大学地域創造学部. The Possibility of Unified Community Elementary through Junior High School on School Improvement -From The Case Study of Urahoro Style SchoolsMIYAMAE Yasufumi1 ,YASUI Tomoe2 1. Department of Regional and Environmental Education, Kushiro Campus, Hokkaido University of Education 2. Department of Community Creation, Gifu Women’s University. はじめに. 4月、町内のすべての小中学校に小中一貫コミュニティ・ スクールを導入した(上浦幌学園・浦幌学園) 。以下、本. 本稿は、 学校改善における小中一貫コミュニティ・スクー. 稿では浦幌町における小中一貫コミュニティ・スクールの. ルの可能性について、北海道十勝郡浦幌町におけるその成. 成り立ちについて述べ、学校改善における小中一貫コミュ. り立ちに注目しつつ、明らかにしようとするものである。. ニティ・スクールの可能性について明らかにしたい(1)。. 十勝郡浦幌町は人口5,460人(男2,595、女2,865)、世帯 数2,216(平成22年(2010)国勢調査時点) 、国道38号線帯. 1.浦幌町小中一貫教育推進委員会の組織と活動(平成24. 広~釧路間のほぼ中間に位置する農業(畑作・酪農・畜産) ・. 年度(2012)). 林業・漁業の第一次産業を基幹産業とする町である。 浦幌町では、かつて14,000人を超えた人口(昭和35年. (1)浦幌町小中一貫教育推進委員会の設置(平成25年. (1960))も現在までの間に5,460人にまで減少(平成22. (2013)2月). 年(2010)国勢調査時点) 、22校、16校ずつあった小・中. 浦幌町では平成25年(2013)2月、「町内小学校と中学校. 学校数もそれぞれ2校ずつにまで統廃合が進んでいる(平. の義務教育段階の一貫性・連続性のある学習指導、生徒指. 成28年(2016)4月現在) 。昭和26年(1951)に北海道池. 導等の在り方を検討、検証・改善を図りながら効果的な教. 田高校浦幌分校として開校した浦幌高等学校も平成22年. 育を推進するため『浦幌町小中一貫教育推進委員会』を(中. (2010)3月に閉校となり、現在町内に高校はない。小中. 略)設置、先進地視察を行い『小中一貫教育に関する調査・. 学校を卒業すると子どもたちは近隣の市町村に所在する高. 研究を深めるとともに、小中学校の合同行事等の実施につ. 等学校へと進学し、鉄道あるいはバスで通学していく。. いて検討(中略) 、町教育研究所と連携しながら、浦幌町. このような町をとりまく課題状況に対処するため、持続. の実情に適した導入方法の調査・研究を進め』ることとし. 可能な地域づくりを目指して取り組まれることとなったの. た(浦幌町教育委員会総務係・学校教育係平成25年(2013). が「うらほろスタイルふるさとづくり計画」 である (以下「う. 2月「小中一貫教育―学びの連続性―」第1号(『広報うら. らほろスタイル」 ) 。 「子どもを軸に」 「学校を舞台に」取り. ほろ』730(平成25年2月号)))。. 組まれる「学校発の地域づくり」=「うらほろスタイル」. 同年同月には第1回委員会を開催、教育委員会教育長、. は、熟議に基づく学校・地域の連携・協働の先進事例とし. 小中学校校長・教頭、教諭、公民館長を委員に、平成25年. て知られ、 これまで筆者らも注目してきたところである〔文. 度(2013)以降の小中一貫教育推進にかかる年次計画につ. 部科学省2016〕 〔宮前・平岡・安井・添田編著2017〕。. いて協議し、各校に「校内コーディネーター会議」 、各地. 浦幌町教育委員会では平成27年(2015)4月、 「うらほろ. 区(上浦幌地区・浦幌地区)に「地区コーディネーター会議」. スタイル」における学校・地域の連携・協働による取り組. を設置、下記4項目を所管事項に小中一貫教育を推進して. みを持続可能性を確実なものにするため、 平成27年(2015). いくこととした(浦幌町教育委員会総務係・学校教育係平. - 23 -.
(3) 宮 前 耕 史・安 井 智 恵 【表1】平成25年度浦幌町小中一貫教育推進委員会委員 会長 :教育長 副会長:浦幌小校長、上浦幌中央小校長 委員 :厚内小校長、浦幌中校長、上浦中校長 浦幌小教頭、上浦幌中央小教頭、浦幌中教頭 上浦中教頭、浦幌小教諭、厚内小教諭 上浦幌中央小教諭、浦幌中教諭、上浦中教諭. 【図1】浦幌町小中一貫教育推進委員会と各地区コーディ. 中央公民館長、上浦幌公民館長. ネーター会議・校内コーディネーター会議組織図. 事務局:浦幌町教育委員会. *浦幌町教育委員会平成25年(2013)「浦幌小中一貫便り. *浦幌町教育委員会(平成25年(2013)5月2日)「浦幌小. ~学びと育ちの連続性~」第2号等より筆者作成. 中一貫教育便り~学びと育ちの連続性~」第2号 【表3】浦幌地区コーディネーター会議委員(H25) 【表2】上浦幌地区コーディネーター会議委員(H25). 議 長:平岡校長(浦中). 会 長:宮村校長(浦中) 【表 2】. 事務局長:坂田教頭(浦中). 副会長:森校長、鈴木館長. 学習部長:鳥居教諭(浦中). 事務局長:白井教頭、次長:小室教頭. 副部長:笹川教諭(浦小)、. 学習指導部長:花房教諭、副部長:白井教頭、. 部 員:中村校長(浦小)、坂田教頭(浦中)、松村教諭. 部 員:竹中教諭、荒井教諭、吉田教諭、板垣教諭、佐. 生徒指導部長:三浦教諭、副部長:金田教諭、. 藤教諭. 部 員:吉藤校長、平岡校長、山本教頭. 顧 問:森校長. *浦幌町教育委員会(平成25年(2013)6月10日) 「浦幌小. 生徒指導部長:浜田教諭、副部長:小室教頭. 中一貫教育便り~学びと育ちの連続性~」第3号). 部 員:加藤教諭、根本養教、小西教諭、村田教諭、小 林養教. 会」を、5月30日には「上浦幌地区コーディネーター会議」. 顧 問:宮村校長. 「浦幌地区コーディネーター会議」を開催、それぞれ【表. *浦幌町教育委員会(平成25年(2013)7月8日)「浦幌小 中一貫教育便り~学びと育ちの連続性~」第4号. 2】 【表3】のようなメンバーを委員に「学習(指導)部会」 と「生徒指導部会」とに分かれ、下記のような活動を行っ ていくこととした。. 成25年(2013)3月「小中一貫教育―学びの連続性―」第2 号( 『広報うらほろ』731(平成25年3月号) ) ) (浦幌町教育. 上浦幌地区. 委員会総務係・学校教育係平成25年(2013)4月「小中一. (学習指導部会)〇授業参観日の小中相互参観〇小中乗り. 貫教育―学びの連続性―」第3号( 『広報うらほろ』732(平. 入れ授業〇校内研修・学習指導における交流〇漢字検定・. 成25年4月号) ) ) 。. 英語検定の合同開催、他 (生徒指導部会)〇交通安全マップの合同での作成〇生活. ①義務養育の9年間を見通した教育課程の工夫改善、生徒 指導の充実に関すること。. 実態やきまりの相互確認〇少年団・部活動の相互交流〇中 学校教諭による小学校水泳指導〇合同避難訓練の検討、他. ②小学校と中学校間で連携・協力した学校行事等のあり方 に関すること。. (浦幌町教育委員会平成25年(2013)7月8日「浦幌小中一 貫便り~学びと育ちの連続性~」第5号) 浦幌地区. ③児童生徒および教職員の交流に関すること。 ④その他小中一貫教育の推進に必要な事項およびコミュニ ティ・スクールに関すること。. (学習部会)〇町内研(11/21)での小中合同授業〇小中 教諭の相互授業参観〇小中合同の学習サポート (生徒指導部会)〇長期休業中の生活のしおり作り〇中学. (2)浦幌町小中一貫教育推進委員会および各地区コー. 校の意見発表会への6年生の参加〇中学校の一日体験の拡. ディネーター会議の組織と活動. 大による事前相互交流、他(浦幌町教育委員会平成25年. 【表1】は「浦幌町小中一貫教育推進委員会」委員、 【図1】. (2013)6月10日「浦幌小中一貫便り~学びと育ちの連続. は同委員会と「校内コーディネーター会議」 「地区コーディ. 性」第3号)。. ネーター会議」の関係を図示したものである。平成25年. 教育長をトップに町内各学校の校長・教頭・教諭等、学. (2013)4月26日には「第1回浦幌町小中一貫教育推進委員. 校教育関係者を中心に組織された「浦幌町小中一貫教育推. - 24 -.
(4) 学校改善における小中一貫コミュニティ・スクールの可能性 進委員会」およびその下部組織としての各地区「コーディ ネーター会議」とが、翌年度以降、 「浦幌町小中一貫コミュ. 【表4】平成26年度浦幌町小中一貫コミュニティ・スクー. ニティ・スクール推進委員会」 (平成26年(2014)4月~). ル推進委員会委員. →「浦幌町小中一貫コミュニティ・スクール推進協議会」. 会長 :教育長. (平成27年(2015)4月~)へと組織的連続性をもって展. 副会長:中央小校長、浦幌中校長. 開を遂げていくことになる。. 委員 :浦幌小校長、厚内小校長、上浦幌中校長. 平成25年(2013)1月には本稿でもすでにたびたび引用 している「小中一貫教育―学びの連続性―」の『広報うら ほろ』への掲載を開始、同年4月には独自に「浦幌町小中 一貫便り~学びと育ちの連続性~」の発行を開始している ことにも注目しておきたい。. 浦幌小教頭、厚内小教頭、中央小教頭 浦幌中教頭、上浦中教頭、浦幌小教諭 厚内小教諭、中央小教諭、浦幌中教諭 上浦中教諭、中央公民館長、上浦幌公民館長 事務局:教育委員会. 2.浦幌町小中一貫教育における教育課程編成の柱(H25. *浦幌町教育委員会・浦幌町教育研究所(平成26年(2014). 年度(2013) ). 4月)「小中一貫CS便り~学びと育ちの連続性~」第18号. 上記平成25年(2013)4月26日に開催された浦幌町小中. 3.浦幌町小中一貫コミュニティ・スクール推進委員会と. 一貫教育推進委員会の終了後、浦幌町教育委員会・久門好. 浦幌町コミュニティ・スクール推進委員会(H26年度). 行教育長は、浦幌町教育研究所(森雅仁所長=浦幌町立上 浦幌中央小学校校長)に対して「浦幌町の小中一貫教育(コ. (1)浦幌町小中一貫コミュニティ・スクール推進委員 会. ミュニティ・スクール)の推進方策について」を諮問、諮 問を受けた浦幌町教育研究所では、下記5項目について検. 平成26年(2014)4月、浦幌町教育委員会では翌年平成. 討を行っていくこととした(浦幌町教育委員会総務係・学. 27年(2015)4月におけるコミュニティ・スクールの導入. 校教育係平成25年(2013)9月「小中一貫教育―学びの連. に向け、文部科学省コミュニティ・スクール導入促進事業. 続性―」第7号( 『広報うらほろ』737(平成25年9月号)))。. の研究指定を受け、下記4つのテーマで研究を行っていく こととした(浦幌町教育委員会総務係・学校教育係平成26. ①小中一貫教育のねらいや期待される効果. 年(2014)5月「小中一貫コミュニティ・スクール」第15. ②9年間を見通した連続性・一貫性のある教育課程及び生. 号(『広報うらほろ』745(平成26年5月号)))。. 徒指導の在り方 ③児童生徒や教職員の交流. ①小中一貫コミュニティ・スクールの導入に向けた先進校. ④小中一貫教育の推進に必要な事項及びコミュニティ・ス. の学校運営協議会の組織・運営体制づくりに関する調. クールに関すること. 査及び分析. ⑤推進組織及び進め方. ②地域住民等の意見を効果的に反映させるための研究、学 校支援ボランティア等の効果的な活用や連携方策の検. 浦幌町教育研究所では、 「うらほろスタイル」を「浦幌. 討及び学校関係者評価の導入に向けた運営体制づくり. 町の学びの特徴の一つ」として浦幌町における小中一貫教. ③推進委員会における学校運営協議会の設置及び運営体制. 育の軸と位置付けて、これを基盤とした小中一貫の教育課 程編成を目指して平成26年(2014)3月には中間報告を答. の望ましい在り方に関する研究 ④学校運営協議会等の提案に基づいた指導方法の工夫改善. 申、これを踏まえて平成27年(2015)2月には、 「ふるさと. の研究. 学習」 「キャリア教育」 「算数・数学」を「浦幌町として取 り組む小中一貫の柱」とする最終答申「浦幌町の小中一貫. これにともない浦幌町教育委員会では同年同月25日、平. 教育及びコミュニティ・スクールの在り方について」を提. 成26年度第1回浦幌町小中一貫コミュニティ・スクール推. 出した(浦幌町教育研究所(平成27年(2015)2月10日)). 進委員会」を開催、【表4】のような委員を中心に、下記の. 「浦幌町の小中一貫教育及びコミュニティ・スクールの在. ような取り組みを行っていくこととした。. り方について」 ) 。. ①先進地視察. 以降、浦幌町では「ふるさと学習」 「キャリア教育」「算. ②浦幌町教育研究所による「浦幌町小中一貫教育及びコ. 数・数学」を「浦幌町として取り組む小中一貫の柱」とし. ミュニティ・スクールについて」(答申)に示された教. て、9年間を見通した連続性・一貫性のある教育課程編成. 育課程の3つの柱(ふるさと教育、算数・数学科、キャ. と、児童・生徒指導のあり方を追究していくことになる。. リア教育)の構想の検討、小中一貫の教育課程の編成・. (2). 試行. - 25 -.
(5) 宮 前 耕 史・安 井 智 恵 【表5】「浦幌町コミュニティ・スクール推進委員会」委 員. の研究 ⑤学校の総合マネジメント力の強化に関する調査研究事業 等との連携協力. 委員長 :岸田睦(社会教育委員) 副委員長:平岡弘孝(浦幌中校長) 、出口和枝(女性連. 「浦幌町小中一貫コミュニティ・スクール推進委員会」. 会長) 、川原昭良(浦幌中 PTA 会長). が、教育長をトップとする「浦幌町小中一貫教育推進委員. 委員 :大坂千代人(社会教育委員)、水野豊昭(浦 幌小校長) 、森雅仁(浦幌町教育研究所長、 中央小校長) 、橋本友子(社会教育委員長)、 元木一彦(前教育の日推進協会会長)、堀川. 会」の流れを継ぐ学校教育関係者を中心とする組織である のに対し、 「浦幌町コミュニティ・スクール推進委員会」 は、社会教育委員をトップとし、社会教育委員や公民館長・ PTA会長等の社会教育関係団体の代表者等、社会教育関. 敏夫(元 PTA 会長) 、北村敦子(前女性連. 係者を中心とする地域住民を主体とする組織であると言う. 会長) 、林常行(元 PTA 会長) 、佐藤芳雄(浦. ことができる。この「浦幌町コミュニティ・スクール推進. 幌中央公民館長) 、 鈴木信男(上浦幌公民館長). 委員会」が、翌年度以降における「浦幌町小中一貫CS委. *浦幌町教育委員会・浦幌町教育研究所平成26年(2014). 員会」 (いわゆる学校運営協議会) (平成27年(2015)4月). 6月「浦幌小中一貫CS便り~学びと育ちの連続性~」第20 号. へと組織的展開を遂げていくことになる。 4.学校・地域の協働体制構築に向けたWS. ③特別活動の小中合同開催等(上浦幌地区運動会の合同 開催、中学校行事(意見発表会・英語暗唱大会)への. 平成26年度(2014)には小中一貫コミュニティ・スクー. 小学生参加)、地域清掃活動など主体的な活動の合同実. ルの導入を翌年に控え、教職員への説明や、PTA・学校. 施、参観日や学習発表会、文化祭への相互参観、児童会・. 評議員への説明、PTAに対する研修等、本格的な実施に. 生徒会の交流等. 向けた様々な取り組みや説明会、研修会が開催されてい. ④ジョイント教室・乗り入れ授業の推進. る。中でもとりわけ注目されるのが、新潟市を拠点とする. ⑤教職員の交流(地区コーディネーター会議・合同校内研. 教育NPO「みらいずworks」代表・小見まいこを講師(ファ シリテーター)に招いての2回にわたるワークショップの. 修等の開催). 開催である。. ⑥コミュニティ・スクールに関する研究協議. 第1回ワークショップは平成26年(2014)11月11日に開 教育長をトップに町内各学校の校長・教頭・教諭等、学. 催された第3回「浦幌町コミュニティ・スクール推進委員. 校教育関係者を中心に組織されたこの「浦幌町小中一貫コ. 会」において行われ、小見の進行により「コミュニティ・. ミュニティ・スクール推進委員会」が、 「浦幌町小中一貫. スクールによりこどもたちがどう育ってほしいか、その期. 教育推進委員会」 (平成26年(2014)4月)の連続線上にあ. 待と可能性について」 「教育現場と地域・家庭の価値観を. り、やがて「浦幌町小中一貫教育推進地域協議会」 (平成. 共有するために」をテーマに意見交換を行っている。ここ. 27年(2015)4月~)へと展開を遂げていくことについて. では、「家庭、学校、地域のそれぞれの立場からCSに寄せ. はすでに述べた通りである。. る期待がだされ、CS導入の意義を共有」したという(浦 幌町教育委員会・浦幌町教育研究所平成26年(2014)12月. (2)浦幌町コミュニティ・スクール推進委員会. 12日「浦幌小中一貫CS便り~学びと育ちの連続性~」第. 一方、浦幌町教育委員会では「浦幌町小中一貫コミュニ. 40号)。. ティ・スクール推進委員会」と同時に「浦幌町コミュニ. 第2回のワークショップは平成27年(2015)1月29日、 「第. ティ・スクール推進委員会」も設置、 【表5】に見るような. 4回浦幌町小中一貫コミュニティ・スクール推進委員会」. 委員を中心に下記のような活動を行った。. 終了後、同委員会委員と「浦幌町コミュニティ・スクール 推進委員会」委員、教職員、PTA役員他を対象に「学校. ①小中一貫CS先進校における学校運営協議会の組織・体. と地域の連携・協働研修会」として行われたものである。 「CS導入にあたり、教職員や保護者、地域住民の協働体. 制づくりに関する調査及び分析 ②地域住民等の意見を効果的に反映させるための研究、学. 制を構築するため」に開催されたもので(浦幌町教育委員. 校支援ボランティア等の効果的な活用や連携方策の検. 会・浦幌町教育研究所平成26年(2014)11月26日「浦幌小. 討及び学校関係者評価の導入に向けた運営体制作り。. 中一貫CS便り~学びと育ちの連続性~」第37号)、やはり. ③学校運営協議会の望ましい構成や権限、運営体制の在り. 小見を講師(ファシリテーター)に、より具体的には「学 校を取り巻く課題や協働による可能性を共有し、協働意識. 方に関する研究 ④学校運営協議会等の提案に基づいた指導方法の工夫改善. を醸成する」こと、 「育てたい子ども像や協働によるアク. - 26 -.
(6) 学校改善における小中一貫コミュニティ・スクールの可能性 これをふまえて2月25日には「浦幌町立小学校及び中学 校における学校運営協議会に関する規則」 「浦幌町立学園 コミュニティ・スクール運営委員会会則」等が教育委員 会において決定されて、ここに浦幌町におけるコミュニ ティ・スクールが成立することになる。 【図2】は浦幌町における小中一貫コミュニティ・スクー ルの全体像を図示したものである(浦幌町教育委員会・浦 幌町教育研究所(平成27年(2015)2月20日)「浦幌小中一 貫CS便り~学びと育ちの連続性~」第48号) 。学校運営協 議会委員と学校教職員とがそれぞれ個別に組織を組織し て、学校教育(学習指導)・家庭教育(生徒指導) ・地域教 育(ふるさと学習)の部会ならびに、上浦幌学園・浦幌学 園の学園ごとに結び付き、それぞれ自主性・独自性を保持 【図2】浦幌町小中一貫コミュニティ・スクール組織図. しながら学校・地域の連携・協働による取り組みを担保し. *浦幌町教育委員会・浦幌町教育研究所(平成27年(2015). ているところに浦幌町における小中一貫コミュニティ・ス. 2月20日) 「浦幌小中一貫CS便り~学びと育ちの連続性~」. クールの特徴があるように思われる。. 第48号より転載 おわりに ションプランの可能性が共有される」 ことが目指された(「1 月29日浦幌研修プログラム案」より) 。. 以上、本稿では浦幌町における小中一貫コミュニティ・. 双方ともに「学校総合マネジメント調査事業受託者」お. スクールの成り立ちについて述べてきた。以下ではその成. よび浦幌町教育委員会による共催事業として開催されたも. り立ちの特徴について改めて述べ、学校改善における小中. のであるが、これらは町内の企画会社・株式会社ノースプ. 一貫コミュニティ・スクールの可能性について明らかにす. ロダクション(近江正隆代表取締役)が受託した平成26年. る。. 度(2014)文部科学省委託事業「学校の総合的なマネジメ. 浦幌町における小中一貫コミュニティ・スクールの成り. ント力の強化に関する調査研究(自律的・組織的な学校運. 立ちの第一の特徴は、当初小中一貫コミュニティ・スクー. 営体制の構築に向けた調査研究) 」―「学校と地域の協働. ルではなく、小中一貫教育の実現が目指されていたことで. 体制の確立に向けたプログラム開発」の一環として取り組. ある。このことは、浦幌町教育委員会総務係・学校教育係. まれたもので、その成果は『地域みんなで子供たちの未来. による『広報うらほろ』における連載「小中一貫コミュニ. を考えるワークショップのすすめ―地域とともにある学校. ティ・スクール―学びの連続性」が、第13号( 『広報うら. づくりに向けて―』 (株式会社ノースプロダクション)に. ほろ』平成26年(2014)3月号(第743号))までは「小中. 活かされ、文部科学省によるコミュニティ・スクール導入. 一貫教育―学びの連続性」であったこと、ならびに浦幌町. の取り組みに全国各地で活用されている〔株式会社ノース. 教育委員会・浦幌町教育研究所による『浦幌小中一貫CS. プロダクション2015a,2015b〕 。. 便り―学びと育ちの連続性―』が、やはり平成26年(2014) 2月5日発行の第13号までは『浦幌小中一貫便り~学びと育. 5.小中一貫コミュニティ・スクールの成立. ちの連続性~』であったことからも明らかである。 一方、本文中でも述べたように、諮問を受けた浦幌教育. 以上のような取り組みをふまえ、平成27年(2015)2月. 研究所が浦幌町における小中一貫教育の柱としたのは「ふ. 13日には第4回「浦幌町コミュニティ・スクール推進委員. るさと学習」「キャリア教育」「算数・数学」であった。 「ふ. 会」を開催、従来の「教育の日推進協議会及び役員会、コ. るさと学習」は、本文中でも述べたように、従来より「浦. ミュニティ・スクール推進委員会を整理統合」して「浦幌. 幌町の学びの特徴の一つ」として位置付けられ取り組まれ. 町小中一貫CS委員会」 (学校運営協議会)とすること、そ. てきた「うらほろスタイル」による学校・地域の連携・協. の下部組織としての「学園小中一貫CS委員会」の組織(学. 働の取り組みであるが、これを小中一貫教育の軸と位置付. 校教育支援部・家庭教育支援部・地域教育支援部)と権限・. けて、これを基盤とした小中一貫の教育課程を編成するこ. 責任、各学園「地区コーディネーター会議」を「学園小中. とにより浦幌町教育研究所が目指したものは、小中学校教. 一貫CS推進協議会」と改称し、従来の学習指導部・生徒. 員間にコミュニケーションの場を創出し、相互に課題意識. 指導部に「うらスタ」部を加え、全教職員はいずれかの部. を共有すると同時に協働意識を醸成し、このことにより浦. に所属して活動すること等、浦幌町における小中一貫コ. 幌町における小中一貫教育の組織的基盤をより強固なもの. ミュニティ・スクールの組織と運営、 役割等が決定された。. としていくことにあったと考えられる。. - 27 -.
(7) 宮 前 耕 史・安 井 智 恵 このように見てくると、浦幌町における小中一貫コミュ. 第1期(平成24年度~ 26年度):ステージ1、「視察」(先. ニティ・スクールの特徴は、従来より「浦幌町の学びの特 徴の一つ」として位置付けられてきた学校・地域の連携・. 進地域の視察研修) 第2期(平成27年度~ 29年度):ステージ2、「実施」(小. 協働の取り組みである「うらほろスタイル」による地域学 習の取り組みを、 「ふるさと学習」として小中一貫の義務. 中一貫CSの実施) 第3期(平成30年度~ 32年度) :ステージ3、 「改善」 (PDCA. 教育課程を一貫して貫く軸として位置付けることによりそ. サイクル改善). の継続性を担保すると同時に、小中一貫教育の実現を通じ. 以上の区分に従えば、本稿は、第1期(平成24年度~ 27. た各学校における学校改善の取り組みにも同時に資してい. 年度)を対象とするものである。. くことを志向した点にあると考えられる。 浦幌町における小中一貫コミュニティ・スクールの成り. (2). 立ちにおける第二の特徴は、学校内外すなわち学校内と学. 年間かけて調査・研究を行い、小中一貫教育・コミュニ. 校外(地域)の双方において、学校・地域の連携・協働体. ティ・スクールが子ども達にとって確かな『学び』と健や. 制の構築に向け、自発的な課題意識や協働意識の醸成をう. かな『育ち』につながる答申となるよう努めてまいります」. ながしていくための仕組みや仕掛けがあったという点であ. 「特に今年度は、本町の学びの特徴の一つである『うらほ. る。平成24年度(2012)以降実施されてきた数多くの視察. ろスタイル』を基盤とした『地域学習』 (仮称)の教育課. や研修をまずはそうした取り組みの一環としてあげること. 程を編成しています。編成方針は、 『地域学習』で身に付. ができるが、小中一貫コミュニティ・スクール導入を翌年. けさせたい力を示し、学びの連続性を図り、浦幌町の歴史・. に控え、平成26年度(2014)の学校教職員や地域住民等を. 文化・産業などについて系統的な学習が展開できるように. 対象として2回にわたり開催されたワークショップは、両. 協力員の力を借りながら作業を進めてまいります」。「ま. 者の間で課題意識やビジョンとゴール、その実現にいたる. た、これまで各小中学校で取り組んできた『小中連携』を. プロセスを共有し、協働意識を醸成していくための仕掛け. さらに充実・深化・発展させた『浦幌に合った』『浦幌な. であった。さらに言うなら、浦幌町教育研究所に対する諮. らでは』の小中一貫教育・コミュニティ・スクール像を示. 問「浦幌町の小中一貫教育(コミュニティ・スクール)の. した内容を提言することを目標に調査・研究を行っていき. 推進方策について」も、学校教職員の学校・地域の連携・. ます」と抱負を述べている(浦幌町教育委員会・浦幌町教. 協働に対する自発的な課題意識を醸成していくための仕掛. 育研究所平成25年(2017)12月6日「浦幌小中一貫便り~. けであったということができる。. 学びと育ちの連続性~」第10号)。. この点について、浦幌町教育研究所・森雅仁所長は「2. 第三に、ボトムアップとトップダウンのコンビネーショ ンである。「うらほろスタイル」そのものが、全体として. 【参考文献】. ボトムアップによる取り組みを、トップダウンにより位置. ・株式会社ノースプロダクション2015a『地域みんなで子. 付けつつ成り立ってきたものであることは〔宮前・平岡・. どもたちの未来を考えるワークショップのすすめ―地域と. 安井・添田編著2017〕においてもすでに述べたが、それと. ともにある学校づくりに向けて―』 (文部科学省委託事業. 同様の成り立ちを、小中一貫コミュニティ・スクールの. 「学校の総合マネジメント力の強化に関する調査研究」 ). 導入にも見出すことができる。浦幌町における小中一貫コ. ・株式会社ノースプロダクション2015b『地域とともにあ. ミュニティ・スクールの成り立ちの第二点目の特徴をプロ. る学校づくりをめざして』 (文部科学省委託事業「学校の. セスとして見てみると、ボトムアップとトップダウンのコ. 総合マネジメント力の強化に関する調査研究」). ンビネーションととらえることができる。こ点を、浦幌町. ・宮前耕史・平岡俊一・安井智恵・添田祥史編著2017『持. における小中一貫コミュニティ・スクールの成り立ちの特. 続可能な地域づくりと学校―地域創造型教師のために』. 徴の第三点目としてあげておきたい。. ぎょうせい. 以上をふまえ、小中一貫コミュニティ・スクールを導入. ・文部科学省2016『コミュニティ・スクール2016』. することにより、各学校では校種の違いを超えて教職員間 で課題意識を共有すると同時に協働意識を醸成し、これら. * 本 稿 は、 平 成29年(2017)2月20日( 月 ) に 宮 前 と 安. を踏まえた学校改善の取り組みが可能となるということが. 井が共同で実施した、浦幌町教育委員会におけるインタ. できる。. ビュー調査に基づいている。ご多用中にも関わらずご丁寧 に対応をいただいた浦幌町教育委員会・久門好行教育長、 鈴木広次長、佐藤亘次長補佐、その他お世話になりました. 【注】. みなさまに感謝申し上げます。 *本研究は、文部科学省科学研究費補助金(基盤研究(C) ). (1). 浦幌町教育委員会では浦幌町小中一貫コミュニティ・. スクールの年次推進計画を次のように示している。. 「持続可能な地域づくりに向けた学校内外における協働体 制の構築過程に関する調査研究」 (平成28年度~ 30年度、. - 28 -.
(8) 学校改善における小中一貫コミュニティ・スクールの可能性 研究代表者・宮前耕史) 、および「地域とともにある学校 づくりの実質化と地域人材育成に関する調査研究」 (平成 28年度~ 30年度、研究代表者・安井智恵)による研究成 果の一部である。. - 29 -.
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