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道東三管内における学校動物飼育に関するアンケート調査の分析

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(1)Title. 道東三管内における学校動物飼育に関するアンケート調査の分析. Author(s). 大谷, 聡寛; 廣田, 健. Citation. 釧路論集 : 北海道教育大学釧路校研究紀要, 第47号: 47-56. Issue Date. 2015-12. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/7926. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 釧路論集 -北海道教育大学釧路校研究紀要-第47号(平成27年度) Kushiro Ronshu, - Journal of Hokkaido University of Education at Kushiro - No.47(2015):47-56. 道東三管内における学校動物飼育に関するアンケート調査の分析 大 谷 聡 寛*1・廣 田 健*2 *1. 釧路市役所,*2北海道教育大学釧路校授業開発研究室. The analysis of questionary investigation of animal breeding activities in schools at Eastern Hokkaido OTANI Akihiro1/HIROTA Takeshi2 Kushiro City Hall Department of Education, Kushiro Campus, Hokkaido University of Education 1. 2. 要旨 本研究は、学校動物飼育について北海道道東地域における三管内(十勝管内・釧路管内・根室管内)の全小学校を対象 に実施したアンケート調査の結果から、小学校における動物飼育の現状を概観し、三管内における動物飼育をする上での 示唆を得ることを目的としている。アンケート調査の結果からは、次の点を捉えることができた。①動物飼育を実施して いた学校は約5割で,全国的に見ても低く,北海道四都市と比べても低かった。②大規模な学校に比べ,小規模・中規模 の学校は動物飼育実施率が低かった。③動物飼育実施率・「哺乳類や鳥類の飼育」は農山漁村の方が高かった。④飼育動 物の多くは水棲生物であり、哺乳類の飼育は7校で,鳥類を飼育している学校はなかった。三管内の学校は、飼育動物の 世話の手間、衛生管理上の問題、予算不足から動物飼育に対して冷淡であり、動物との触れ合いによる教育的効果は他の 取り組みで代替できると考えていることから生じる結果であることが判明した。 飼育実施校が極端に少なく、本調査の数値から、道東の学校における動物飼育を普及するための条件を推測することは 困難であることがわかったので、今後は調査によって明らかになった動物飼育実施校への個別聞き取りによって、その条 件を明らかにしたい。. 1.はじめに. 物を飼育している3。北海道の小学校における動物飼育実. 動物介在教育(AAE : Animal Assisted Education)の. 施率について、中川(2003)は平成14年8月に渡島支庁環. 一つである学校での動物飼育体験が子どもに与える影響に. 境生活課の調査を取り上げ、北海道は雪のためか飼育して. ついては、生命尊重の心や思いやりの心、責任感等様々な. いる学校は49%であったことを示している4。また、今野・. 1、 2. 事例が報告 (全国学校飼育動物研究会 2006, 鳩貝太郎・. 尾形は動物園を有し、獣医師や動物に関する専門家が多い. 中川美穂子 2003)されている。一方、児童を取り巻く自. 北海道四都市(札幌市・旭川市・帯広市・釧路市)の小学. 然環境や社会環境の変化により,日常生活の中で自然や生. 校を対象にした質問紙調査を行っており、その中で約8割. 命と触れ合い,かかわり合う機会は乏しくなってきている. の小学校が動物飼育を行っていたと報告5している。. 現在、学校教育における動物飼育は児童にとって生き物へ の親しみをもち,生命の尊さを実感することのできる貴重 な体験であるといえるだろう。. 3. 現在、日本の9割の小学校がウサギ、ニワトリなどの動. (学校獣医師制の必要性と活動事例)」 『日本獣医師会小. 日本獣医師会 「子どもの心を育てる学校での動物飼育. 動物臨床部会学校飼育動物委員会報告書』 社団法人日本 獣医師会 2007年 p.1 1. 全国学校飼育動物研究会 「学校・園での動物飼育の成果. 4. 中川美穂子 「学校で飼育されている動物」 『学校飼育動. ~心・いのち・脳を育む~」 緑書房 2006年. 物と生命尊重の指導 ~学校で動物を飼う意義と適切な管. 2. 理について再考する~』 教育開発研究所 2003年 p.76. 鳩貝太郎・中川美穂子(編) 「学校飼育動物と生命尊重. の指導 ~学校で動物を飼う意義と適切な管理について再. 5. 考する~」 教育開発研究所 2003年. 育(AAE)の現状と課題 ‐ 小学校を対象とした質問紙. 今野洋子・尾形良子 「北海道四都市における動物介在教. - 47 -.

(3) 大 谷 聡 寛 ・ 廣 田 健 しかしながら、学校で動物飼育を行う際、専門家との連 6,7. 携により教師の負担感を軽減させた事例 や、小規模校な 8. 育に差し障りはないか、⑪学校で動物飼育を行う必要性、 ⑫いのちの大切さは動物とのふれあい以外でも教えること. 学校では動物飼育実施率が低いという研究報告 もある。. ができるかについて聞いた。その際、代表者の個人的な見. 特に、北海道は、前掲の四都市(北海道全体の約4.6%の面. 解による回答ではなく、学校全体としての実態を回答する. 積)でその人口の約半数(48.1%)占めており、これらの. よう、質問紙のはじめに「本アンケートを回答する際は、. 都市に比べ、獣医師等の動物に関する専門家が少なく小規. 学校全体の共通理解として回答ください」という文章を記. 模校の多いその他の地域における動物飼育の実態について. 載した。上記、②③⑤⑥⑦⑧⑩⑪⑫と⑨のふれあい体験の. は前掲の中川が取り上げた渡島支庁環境生活課の行った調. 有無については選択肢を設け、その他の項目は自由記述形. 査以降行われていないのが現状である。. 式とした。 対象校の児童数、僻地指定の有無については、学校名か. 2.本調査の目的. ら「北海道教育関係職員録2013年度版」12を参照した。. 本調査では、道東地域の3管内(十勝管内・釧路管内・. 倫理的な配慮として、アンケート用紙、調査依頼文の中. 根室管内)の小学校における動物飼育の現状を概観し、課. で①集計する際は、学校を特定して比較したり、学校個々. 題を明らかにするとともに、これらの地域における動物飼. の結果を公表したりしないこと、②データの保管方法や研. 育の在り方を考察する上での示唆を得ることを目的とす. 究終了後の処理は適切に行うこと、③得られた必要最低限. る。. の個人情報は目的外に使用しないこと、④本研究以外に使 用しないことを明記した。. 3.対象および方法. 回収状況は、十勝管内100部、釧路管内66部、根室管内. 北海道の十勝・釧路・根室管内すべての公立小学校(196. 30部郵送し、回収数は十勝管内57部(回収率57.0%) 、釧路. 校)を対象に、郵送による質問紙による悉皆調査を実施し. 管内49部(回収率74.2%)、根室管内19部(回収率63.3%) 、. た。. 返信元不明1部の計127部(回収率64.8%)、そのうちの有効. 調査期間については、2014(平成26)年2月27日に記名. 回答数は126部(有効回答率99.2%)である。. 式の質問紙を各小学校に郵送し、2014年3月20日中に同封 の返信用封筒で返送するよう依頼した。. 4.本調査の結果. 質問紙については、動物飼育状況に関しては、 「北海道. (1)対象校の属性. 四都市における動物介在教育(AAE)の現状と課題 ‐ 小. 児童数(n=126)は、「25名未満」41校(32.5%) 、 「25. 学校を対象とした質問紙調査から ‐ 」9「学校等における. ~ 50名未満」19校(15.1%)、 「50 ~ 100名未満」4校(3.2%) 、. 10. 動物飼育の現状と課題」 「小学校における動物飼育の状 11. 「100~400名 未 満 」46校(36.5%)、「400~700名 未 満 」13校. 況と教師の負担感の研究」 等を参考に作成した。. (10.3%)、「700名以上」3校(2.4%)であった。. 質問紙の回答については、各小学校につき一人が代表し. 学校の立地環境(n=126)については、農山漁村63校. て回答するよう依頼した。学校代表して回答する質問とし. (50.0%)が最も多く、市街地50校(39.7%)、観光地4校. て、①学校名、②立地環境、③動物を飼育しているか、④. (3.2%)、 そ の 他7校(5.6%)、 無 回 答2校(1.6%) で あ っ. 飼育している動物の種類と飼育動物を利用している教科. た。また、対象校(n=125)の81校(64.8%)は僻地指定. 等、⑤主な飼育の目的、⑥主な飼育の困難点、⑦連携して. 校(準僻地も含む)であり、一方僻地指定のない対象校は. いる専門家、⑧飼育を行っていない理由、⑨動物とのふれ. 44校(35.2.%)であった。. あい体験の有無と体験内容、⑩学校に動物がいなくても教. (2)動物飼育の実態 ●動物飼育の状況 調査から ‐ 」 『北翔大学北方圏学術情報センター年報2』. 学校での動物飼育の実態について(n=126)、「現在、. 2009年 p.17. 貴校の飼育舎や教室等で動物を飼育していますか?」と質. 6. 問したところ、 「はい」と答えたのが64校(50.8%)で、 「い. 全国学校飼育動物研究会 前掲1. 7. いえ」と答えたのが62校(49.2%)であり、約5割の学校で. 鳩貝太郎・中川美穂子(編) 前掲2. 8. 田中理絵・立川奏枝 「小学校における動物飼育の状況と. 動物を飼育していることが分かった。. 教師の負担感の研究」 『研究論叢 第3部 芸術・体育・教育・. 学校規模(児童数)別の動物飼育実施率は、児童数が25. 心理 59』 2009年 p.182. 名未満の学校(n=41)では20校(48.9%)、25 ~ 50名未. 9. 今野洋子・尾形良子 前掲5 pp.13-22. 10. 河村美登里ら 「学校等における動物飼育の現状と課. 題」 『広島県獣医学会雑誌 No.28』 2013年 pp.103-108. 12. 11. 版」 2013年. 田中理絵・立川奏枝 前掲8 pp.181-190. 北 海 道 教 育 評 論 社 「 北 海 道 教 育 関 係 職 員 録2013年 度. - 48 -.

(4) 道東三管内における学校動物飼育に関するアンケート調査の分析 満の学校(n=19)では9校(47.4%) 、50 ~ 100名未満の. の他)の動物飼育実施率を比較すると、農山漁村54.0%、. 学校(n=4)では2校(50.0%) 、100 ~ 400名未満の学校. その他の地域が47.6%であった。このことから、農山漁村. (n=45)では22校(48.9%) 、 400 ~ 700名未満の学校(n. の方がその他の地域に比べて動物飼育実施率が高い事が分. =13)では8校(61.5%) 、700名以上の学校(n=3)では2. かった。また、生命観を養う上で効果的であるとされる哺. 校(66.7%)で動物飼育が行われていた。児童数が400名未. 乳類の飼育14については、農山漁村の学校が5校、その他. 満の学校ではいずれも動物飼育実施率が5割程度であり、. の地域の学校が2校であった。(表1参照). 差はほとんどないものの、 児童数が400名以上の学校では、 動物飼育実施率が6割を超えていた。学校規模が小さいほ. 全体. ど動物飼育実施率が低いことが分かった。 (図1参照). 農山漁村 その他. 回答数. 飼育あり. 飼育なし. 126. 64. 62. 100.0. 50.8. 49.2. 63. 34. 29. 100.0. 54.0. 46.0. 63. 30. 33. 100.0 47.6 上段:回答校数(n) 下段:回答(%) 表1 立地環境別の動物飼育実施率. 52.4. ●飼育動物の利用法 飼育動物をどのような学校活動や教科等の教材として利 用している(n=115)かについては(複数回答)、理科44 (38.3%)が最も多く、次いで観賞用37(32.2%)、生活科 22(19.1%)等であった。複数回答であるため、下図の数 学校で飼育している動物の種類(複数回答)は(n=. 字は延べ数となっている。(図2 ‐ 1 ‐ 3参照). 64)、 「メダカ」37校(57.8%)で最も多く、 「金魚」30校 (46.9%) 、ミドリガメなどの「カメ」16校(25.0%)、アメ リカザリガニ等の「ザリガニ」6校(9.4%) 、グッピーなど の「熱帯魚」5校(7.8%) 、 「ハムスター」4校(6.3%)等13 であった。魚類を中心とした水棲生物が多い一方で、「哺 乳類」を飼育していた学校は7校(9.5%)で、 「鳥類」に関 してはどの学校も飼育していないことが明らかとなった。 複数回答であるため、下図の数字は延べ数となっている。 (図2参照). 飼育動物の学校活動や教科等への利用法としては、もっ とも飼育している学校数の多かった「メダカ」(n=37) は(複数回答)、36校(97.3%)で理科の教材として利用さ れていることが分かった。「金魚」 (n=30)は(複数回答) 、 観賞用16校(53.3%)が最も多く、理科・生活科・特別支 学校の立地環境が、酪農地域を含む、自然が豊かで動物. 援学級での観賞用のそれぞれ4校(13.3%)等であった。 「カ. とふれあえる機会が多い農山漁村にある学校(n=63)と. メ」 (n=16)は(複数回答)、生活科、観賞用共に7校(43.7%). 無回答を含むその他の地域の学校(市街地・観光地・そ 14 13. その他動物種は2校以下のものである。詳しくは図4参. 照。. 中川美穂子 「生命観を養うにはほ乳類の飼育が有効 ‐. 高校教師の生命教育についての意識調査から ‐ 」 『初等 理科教育』 農山漁村文化協会 2006年 pp.44-45. - 49 -.

(5) 大 谷 聡 寛 ・ 廣 田 健 が最も多かった。 「ザリガニ」や「ハムスター」は生活科. く利用されていることが分かった。複数回答であるため、. の教材(ザリガニが83.3%、ハムスターが100%)として多. 下図の数字は延べ数となっている。(図4参照). ●動物飼育の主な目的. 「目的を意識したことはない」2校(3.1%)、「社会性を養. 現在、動物を飼育している学校(n=64)における主な. う」「社会・経済活動と動物利用との関係について気付か. 飼育の目的(複数回答)は、多い順から「生命尊重の心を. せる」「アニマルセラピー」各1校(1.6%)、「食育・食農教. 育む」47校(73.4%) 、 「動物の生理・生態について気付か. 育」についてはどの学校も答えなかった。また、 「その他」. せる」33校(51.6%) 「責任感を育てる」29校(45.3%)、 、 「動. は5校(7.8%)で、理由が「5年生理科で使用」 「理科の観察」. 物愛護の心を育てる」23校(35.9%) 、 「思いやりの気持ち. 「生活科理科の学習→学習指導要領で示されているから」. を育てる」16校(25.0%) 、 「人間と動物の共生や自然環境. 「教科指導で必要なため」「教材として」であった。複数. 保全などの自然に対する見方や考え方を養う」 6校 (9.4%)、. 回答であるため、下図の数字は延べ数となっている。 (図5. 「感受性を養う」 「ふれあい体験をさせる」 共に4校 (6.3%)、. 参照). - 50 -.

(6) 道東三管内における学校動物飼育に関するアンケート調査の分析. (3)飼育の困難点. 「糞・尿の処理」5校(7.8%)、 「エサの確保」4校(6.3%) 「感 、. 現在、動物を飼育している学校(n=64)における動物. 染症」3校(4.8%)、 「悪臭・鳴き声」2校(3.1%), 「保護者・. 飼育の際の困難点(複数回答)は、多い順から、 「長期休. 住民の理解」はどの学校も答えなかった。また、 「その他」. 暇中の世話・管理」54校(84.4%) 、 「土日の世話・管理」. 5校で、その理由は、「特になし」2校で、「水槽の清掃~大. 16校(25.0%) 、 「動物の健康維持」14校(21.9%) 、 「死亡時. きな水槽なので」 「次の年になったときの責任の曖昧さ」 「冬. の対応」 10校 (15.6%) 「飼育に関わる諸経費」 、 10校 (15.6%)、. 期(厳寒期)の世話・管理」であった。(図6参照). 「飼育方法」 6校 (9.4%) 「子どものアレルギー」 、 6校 (9.4%)、. (4)専門家との連携. の他」1校(1.6%)で、 「専門家との連携を行っていない」. 動物を飼育している学校(n=64)における専門家との. 55校(87.5%)、「無回答」4校(6.3%)であった。ほとんど. 連携について、専門家との連携を行っていたのは「ペット. (約9割)の学校で、動物飼育を行う際専門家との連携を. ショップ」2校(3.1%) 「酪農・養鶏従事者」1校(1.6%)、 、 「そ. 行っていなかったことが分かった。(図7参照). (5)動物を飼育していない理由. の児童もいるため」「ほとんどの家庭で家畜を育てている. 現在、動物飼育を行っていない学校(n=62)の動物飼. ため」「1月までニワトリを飼育していたが、老衰のため死. 育を行わない理由(複数回答)について、多い順から「衛. んでしまった」「必要に応じて動物にふれあう機会を設け. 生上の心配」37校(59.7%) 「予算がない」29校(46.8%)、 、. ている」「児童のアレルギー」「長期休業中、週末等の世話. 「時間的余裕がない」19校(30.6%) 、 「動物飼育の必要性. が大変」「数年前までは飼っていたようだが、寿命を迎え、. を感じない」16校(25.8%) 、 「無回答」1校(1.6%)「教材. その後、アレルギーのある子もいることから新たに飼育は. としての利用法が分からない」を答えた学校はなかった。. していない」「2年半にわたる耐震工事で場所の確保等が困. その他は16校(25.8%)で、 「世話・管理の問題」 「アレルギー. 難」 「飼育するための学校スペースが足りない」 「アレルギー. - 51 -.

(7) 大 谷 聡 寛 ・ 廣 田 健 をもっている児童も増えていて慎重な対応が必要」「動物. い、修繕予定が進んでいることもあって飼育していない」. アレルギーの児童がいる」 「アレルギーの児童がいるため」. であった。「その他」の理由には、「児童のアレルギー」の. 「野鳥観察を行っている」 「ウサギを飼育していたが、年. 問題が目立っていることが分かった。(図2 ‐ 1 ‐ 8参照). 度途中で死んでしまったため。さらに、小屋の老朽化に伴. (6)動物とのふれあい体験. 「あまり思わない」6校(4.8%)、 「思わない」3校(2.4%) 、. 「地域の施設や(獣医師やボランティアによる)動物訪. 無回答1校(0.1%)であった。約9割の学校で、いのちの大. 問教育等で動物と触れ合うような体験を行っているか。」. 切さは動物とのふれあい以外でも教えられるとしている一. (n=126)の質問に対し、 「はい」と答えた学校は45校. 方、約1割の学校ではいのちの大切さを教えるのに動物と. (35.7%) 「いいえ」と答えたのは77校(61.1%) 、 「無回答」 、. のふれあいが必要であるとしている。. は4校(3.2%)だった。 「はい」と答えた学校(n=45)の うち、 28校(62%)は「動物園でのふれあい体験」などといっ. 4.上記調査の考察. とが分かった。また、同14校(31.1%)は地域の酪農家に. (1)道東3管内(十勝、釧路、根室)における動 物介在教育の実態と課題. 訪問し搾乳体験やエサやり体験等の「酪農体験」を行うこ. 道東の3管内の公立小学校では、飼育舎や教室(通常学. とで動物と触れ合う機会を設けていることが分かった。. 級、特別支援学級、理科室等)等において、動物介在教育. た動物園を利用して、動物と触れ合う機会を設けているこ. における「動物飼育」を約5割(50.8%)の学校で実施して. (7)動物を介在させることに関する教育観. いた。中川が取り上げた平成14年8月に渡島支庁環境生活. 動物を介在させることに関する教育観について質問し. 科が行った調査によると、北海道では49%の学校で動物飼. た。. 育が行われていた4としており、調査時期が異なるために、. 「学校に動物がいなくても教育に差し障りはないと思いま. 単純比較はできないが、約11年前と実施状況はほぼ同じで. すか」 (n=126)との質問に対し、 「強く思う」2校(1.6%)、. あることが分かった。一方、日本獣医師会が記した日本の. 「思う」7 1校(56.3%)であった。一方、 「あまり思わない」. 動物飼育率の9割3と比べて、この上記調査における道東3. 46校(36.5%) 、 「思わない」7校(5.6%)であった。約6割. 管内の実施状況は大きく下回っていることが分かった。ま. が学校に動物がいなくても教育に差しさわりがないと考え. た、北海道でも動物園を有し、獣医師や動物に関する専門. ていたことが分かった。. 家が多い都市部である四都市(札幌市・旭川市・帯広市・. 「学校で動物飼育を行う必要があると思いますか」(n=. 釧路市)では、約8割近くの学校で動物飼育が行われてい. 126)との質問に対し、 「強く思う」4校(3.2%) 、 「思う」. るという報告5もあり、これらの都市部と比較しても、実. 45校(35.7%)であった。一方、 「あまり思わない」72校. 施状況は大きく下回っていることが分かった。. (57.1%) 、 「思わない」3校(2.4%)であり、 「無回答」が2. 前掲の田中・立川(2009)が山口県で行った調査による. 校(1.6%)であった。学校での動物飼育は約4割の学校が. と、「小規模校ほど動物飼育を行っていない」15としてお. 必要だとしている一方で、約6割の小学校では必要ないと. り、本調査における対象地域の小学校においても同様の結. 考えていることが分かった。. 果が得られた。これについては、本調査における対象校の. 「いのちの大切さは動物とのふれあい以外でも教えるこ とができると思いますか」 (n=126)との質問に対し、 「強 く思う」8校(6.3%) 、 「思う」108校(85.7%)であった。一方、. 15. 田中理絵・立川奏枝 前掲8 p.189. - 52 -.

(8) 道東三管内における学校動物飼育に関するアンケート調査の分析 特徴として、 児童数が100名未満の学校が半数以上 (51.2%). ある「衛生上の心配」62.7%、「予算がない」47.5%、 「時間. 占めており、小規模な学校が多かったことが影響している. 的余裕がない」30.5%や、 「その他」で多く挙げられていた 「児. のではと考えられる。. 童のアレルギーの問題」が関係していると考えられる。そ. 農山漁村にある学校の中には自然が豊かであることや児. の理由として、「衛生上の問題」や「児童のアレルギーの. 童の実家が酪農家である等、動物と関わる機会が多いがた. 問題」といった児童の健康への影響を懸念した問題につい. めに動物飼育の必要性がない考える学校がいくつかみられ. ては、哺乳類や鳥類の飼育数が多かった先行研究19に比べ. た。しかしながら、動物飼育実施率については農山漁村に. て「飼育の困難点」に挙げられている割合が低かった点が. ある学校の方がその他の地域に比べて高く、また、高い教. あげられる。また近年、北海道では平成22年から23年にか. 育効果が期待できる哺乳類・鳥類 (鳥類はどの学校でも飼っ. けて道内のハクチョウやカモ類から、高病原性鳥インフル. ていなかったため哺乳類のみである)の飼育は農山漁村が. エンザウイルス(H5N1亜型)が確認20されている。さら. 5校、その他の地域が2校であり、農山漁村の学校の方が多. に近年、アレルギー疾患をもつ国民が増加しており、その. かった。この点について、農山漁村にある学校の方が動物. 増加の主体は動物との接触がその要因の一つでもあるアレ. 介在教育に対する意識が高いあるいは、飼育を行いやすい. ルギー性鼻炎(花粉症を含む)と喘息の増加による21と考. 環境であるのではと考えられる。都市化や子どもの遊びの. えられている。今西(2007)はこうした、衛生問題や児童. 変容については調査対象地域である道東3管内においても. の動物アレルギー等について、「学校現場で事故やトラブ. 例外ではない。こうしたことが子どもの自然体験不足の要. ルが起こった場合、誰がどう責任を取るのか、またリスク. 因の一つとして叫ばれている中、市街地を中心とした農山. を負ってまで実施する意義があるのかどうかが二の足を踏. 漁村ではない地域の学校において動物飼育が行われてない. む原因となる」22と指摘し、そのためにも、「学校で起き. ということは、子どもの生き物と出会いふれあう機会が著. るトラブルの全責任を負う学校長の理解が必要」23として. しく減ってきているのではと考えられる。. いる。. 飼育している動物種に関して、その上位の5つは「メダ. 「時間的余裕がない」については、平成18年に文科省が. カ」「金魚」 「カメ」 「ザリガニ」 「熱帯魚」と魚類を中心と. 行った調査24によると、 「以前より忙しくなった気がする」. した水棲生物が多い事が分かった。その中でも最も多かっ. と感じている教師が多いことからも、魚類などに比べ世話. た「メダカ」は、その97.3%の学校で理科の教材として飼. に時間がかかる哺乳類や鳥類が避けられがちになるのでは. 育していた。これについては、現行の小学校学習指導要領. と考えられる。 「予算がない」についても、哺乳類や鳥類は、. 解説理科編の第5学年の内容B生命と地球の(2)動物の誕. 他の動物種に比べて多くの予算(飼育小屋や餌台や怪我や. 生において「魚を育てたり人の発生についての資料を活用. 病気時の治療費など)が必要となる。こうしたことへの懸. したりして、卵の変化の様子や水中の小さな生物を調べ、. 念が哺乳類や鳥類の動物飼育実施数が少ないことへ繋がっ. 動物の発生や成長についての考えをもつことができるよう. ているのではないかと考えられる。. にする。 」といった内容16があり、本調査における対象校. 「動物飼育の目的」については、「生命尊重の心を育む」. 17. で使用されている教科書 ではメダカの観察を取り上げて いることが影響しているものと考えられる。魚類が好まれ る理由について教師たちは「命の教育の教材として、比較. 19. 的世話が簡単で、休日の心配がなく、また糞尿が閉鎖され. 20. た水槽の中で排泄されるので衛生的だと思う」18としてい. 事項について」 . るという報告があり、 「動物飼育の困難点」や「動物を飼. http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/skn/tyuijikou221029.. 今野洋子・尾形良子 前掲5 p.15-17 北海道ホームページ 「死亡野鳥を見つけた場合の注意. 育しない理由」で挙げられている「休日の世話」や「衛生. htm(最終閲覧日:2015年6月7日). 上の問題」を考慮した結果であることがうかがえる。. 21. 本調査の対象校において魚類を中心とした水棲生物が多. 策委員会 「リウマチ・アレルギー対策委員会 報告書」 . い一方で、 「哺乳類」 「鳥類」の飼育実施率が低いことにつ. 2011年. いては、動物飼育を行っていない理由の上位3つの理由で. http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001nes4-. 厚生科学審議会疾病対策部会 リウマチ・アレルギー対. att/2r9852000001newa.pdf(最終閲覧日:2015年6月7日) 22 16. 文部科学省 「小学校学習指導要領解説理科編」 大日本. 今 西 乃 子 「 ル ポ ル タ ー ジ ュ 動 物 介 在 教 育(Animal. Assisted Education)と命の授業 (特集 犬と暮らせば)」 『日. 図書株式会社 2008年 p.59. 本児童文学53(2)』 2007年 p.37. 17. 23. http://www.dokyohan.com/kyokasyo/img/syosaitaku.pdf. 24. (最終閲覧:2014年5月9日). p.9 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/. 18. kyuyo/07061801/002.pdf(最終閲覧日:2015年6月7日). 北海道教科書供給所 「小学校用教科書採択一覧表」. 中川美穂子 前掲4 p.75. 今西乃子 同上 文 部 科 学 省 「 教 師・ 保 護 者 意 識 調 査 」 2006年. - 53 -.

(9) 大 谷 聡 寛 ・ 廣 田 健 が約7割、 「動物の生理・生態について気付かせる」「責任. くの支援者と連携して,よりよい体験を与える環境を整. 感を育てる」が約5割と、学校教育においてこれらの目的. える必要がある」31としており、動物飼育の体験をより充. を果たす上での動物飼育の役割やその期待度の高さがうか. 実させる上で専門家との連携の必要性が明記されている。. がえる。 「動物飼育の目的」 については、 先行研究25、26でも「命. 専門家と連携し、動物の適切な飼養・管理が行われること. の大切さ」や命の教育を含む「情操教育」が、飼育の目的. で教育効果を高めた様々な飼育実践が報告1,2されている。. である学校が最も多かったとしている。動物飼育を通して. 専門家との連携は飼育体験を充実させ、教育的効果を高め. 命の大切さを伝える等の「生命尊重の心を育むこと」は、. るだけではなく、不適切な飼育により中川美穂子(2003). 本調査の対象校に限らず、多くの小学校で動物飼育のねら. は4月から7月の間に90羽のウサギが死んだ学校の例を紹介. いとしていることが分かった。一方でこれまで、動物飼育. し、不適切な飼育は反教育的であり、生命軽視を助長する. を通して得られる様々な効果について報告されているが、. ことにつながるとしている32。また、学校における飼育に. 新学習指導要領の柱の一つでもある「自他の生命を尊重す. ついては、動物の愛護及び管理に関する法律の第5条4項に. る心を育てること」へのアプローチとしては不十分である. 基づき告示された家庭動物等の飼養及び保管に関する基準. 27. との報告 もある。また、飼育経験のある教師を対象に中. の第7「学校、福祉施設等における飼養及び保管」において、. 川美穂子等が行った調査28によると、小型哺乳類と愛玩鳥. 管理者である校長は、校内での動物(哺乳類、鳥類、爬虫. を飼育したすべての教師が、飼育による子どもの変化を認. 類)の飼育が獣医師等の指導の下に行われるよう努め、適. めた一方で、魚類については常に置いてある場合が多いた. 切な飼育による事故の防止と虐待等の予防に努めることが. めか、子どもの変化を認めたのは3分の1であったとしてい. 明記され33ている。こうしたことから、文部科学省は動物. る。本調査の対象校で飼育されていた動物種はメダカや金. 飼育の際の専門家との連携について、飼育体験を充実させ. 魚を中心とした魚類が多かったために、 「動物飼育の目的」. 教育効果を高めることだけではなく、不適切な飼育が行わ. で最も多かった「生命尊重の心を育む」が果たせていたか. れた場合、教育的な観点及び動物愛護の観点の両者からの. は疑問である。. 問題が生じる可能性34があるとし、そうしたことを避ける. 「飼育の困難点」については、 「長期休暇の世話・管理」. 役割も果たす意味でも、この必要性について示している。. が8割、 「土日の世話・管理」2割と、休日の世話や管理を. 現在、教育委員会と獣医師会との間で委託契約を結び、獣. 困難であると感じている学校が目立った。この傾向は先行. 医師と連携・協力している地域も増えつつあるが、本調査. 研究29と同様な結果が得られた。一方で、本研究における. における対象地域では、獣医師との連携をしている学校は. 対象校については、 「長期休暇の世話・管理」を除いた他. なく、その他の専門家との連携においてもほとんどされて. の項目については、ほとんどの学校で困難であると考えて. いなかったために、「飼育管理体制の整備」という点にお. いないことが分かった。これは前述したように対象校が魚. いて、これを行う必要性があると考えられる。. 類を中心とした水棲生物がほとんどであり、飼育が比較的. 動物とのふれあい体験等については、対象校の約4割の. 簡単で、休日の世話や衛生面についてもあまり心配の要ら. 学校で行われていた。そのうちの約6割の学校が動物との. ない動物種が多かったからではないかと考えられる。. ふれあい体験等を行う場として動物園を利用していた。国. 「専門家との連携」については、動物を飼育している学. 立科学博物館が平成20年に行った全国調査35によると、約. 校の約9割が専門家との連携を行っておらず、連携してい たのは「ペットショップ」2校、 「酪農・養鶏従事者」1校、 「その他」1校のわずか4校であった。北海道四都市では近 30. 31. 文部科学省 「小学校学習指導要領解説生活編」 日本文. 隣の専門家との連携が見られたのは5割弱 であったとし. 教出版株式会社 2008年 p.42. ており、これら四都市と比較しても、専門家とはほとんど. 32. 連携していなかったことが分かった。現行の小学校学習指. 育動物と生命尊重の指導 ~学校で動物を飼う意義と適切. 導要領解説生活編では「動物の飼育に当たっては,管理や. な管理について再考する~』 教育開発研究所 2003年 . 繁殖,施設や環境などについて配慮する必要がある。その. p.79. 際,専門的な知識をもった地域の専門家や獣医師などの多. 33. 中川美穂子 「学校における動物飼育の問題点」 『学校飼. 鳩貝太郎 「新動物愛護法と学校における動物飼育」 . 『学校飼育動物と生命尊重の指導 ~学校で動物を飼う意 義と適切な管理について再考する~』 教育開発研究所 25. 2003年 p.41. 26. 34. 27. ページ. 28. http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/06121213.. 29. htm(最終閲覧日:2015年6月7日). 30. 35. 今野洋子・尾形良子 前掲5 pp.16-17 田中理絵・立川奏枝 前掲8 p.185 今野洋子・尾形良子 前掲5 p.18 中川美穂子 前掲4 pp75-76 今野洋子・尾形良子 前掲5 p.17 今野洋子・尾形良子 同上 p.20. 「学校における動物飼育について」 文部科学省ホーム. 国立科学博物館「小・中学校と博物館の連携に関する. - 54 -.

(10) 道東三管内における学校動物飼育に関するアンケート調査の分析 3割(28.7%)の小学校が体験学習に動物園を利用してい. 考えおり、さらに、6割の学校では「学校で動物飼育を行. る。それに比べ、本調査対象地域では、対象地域内に2つ. う必要はない」と考えていることが分かった。本調査対象. の動物園がありながら、ふれあい体験等で動物園を活用. 地域の小学校では学校教育において、動物飼育の必要性. していた小学校は20.6%(26校)と全国平均を下回ってい. や重要性が低いと考えられる。しかし、動物飼育に関して. た。安藤ら(2013)は、動物園は動物関連の各種社会教育. は、新学習指導要領で小学校生活科において動物の飼育が. 施設の中で、子どもたちが最も多く訪れる場所である36と. 必修40となり、その必要性は位置づけられている41。鳩貝. している。千田ら(2013)は、日本にある動物園の90%に. らが2006年に行った「高等学校生物教育に関するアンケー. は、子ども動物園(またはふれあい動物園)という子ども. ト調査」によると高校の教師は「生命尊重の心情」を育成. 達が動物と身近に親しむことによって動物をかわいがる気. するために高校入学までに必要な事前経験として「哺乳類. 持ちや、自然に対する愛好心の芽生えを育てることを目的. や鳥類の飼育」を主なものとしてあげ42ており、また、 「中. 37. とした施設がある としており、こうした施設等での動物. 学校「理科」生物的領域に関するアンケート調査」 (鳩貝. とのふれあいを通して、主に低学年の各教科等の学習指導. ら 2008)によると約8割の中学校の教師は「生命尊重の. 要領等に基づいた学習に利用していると考えられる。並木. 心情」を育成するために中学入学までに必要な事前経験と. (2008)は、動物園での動物とのふれあいが子どもの人格. して「哺乳類や鳥類の飼育」「魚類、両生類、は虫類など. 形成について良い影響を与えるとしている一方で、動物園. の飼育」をあげている43。日本獣医師会は、生活環境の都. での体験は「一期一会でその場だけの体験になる可能性が. 市化と核家族化の進展等により、子どもの成長期に動物を. 大きい」事を指摘し、そして「そのたった一回の体験をい. 飼育する家庭が少なくなってきていることを指摘し、小学. かに大事に何度も引き出して後の学習に生かせるかは、恐. 校での動物飼育の必要性について言及している44。家庭で. 38. らくその後の周囲の環境(多くは学校)による」 として. の動物飼育が行われなくなってきている現在、小学校での. おり、体験だけに留まらずその後の学習に如何にして繋げ. 動物飼育は、中学校・高校での「生命尊重の心情」を育む. るかが大切である。. ための指導を充実させるうえでも、その必要性が高くなっ. 一方、次に多かった地域の酪農家に訪問し搾乳体験やエ. ているのではと考える。さらに、約9割の学校で、いのち. サやり体験等の「酪農体験」については、本調査における. の大切さは動物とのふれあい以外でも教えられるとしてい. 対象地域の5割が農山漁村であり、酪農が地域の主要産業. るとしていた一方で、約1割の学校ではいのちの大切さを. である地域も多かったため、こうした体験を行っている学. 教えるのに動物とのふれあいが必要であるとしていた。現. 校も多かったのではと考えられる。こうした経済動物の飼. 在、児童の生命尊重の心を育む教育の在り方は動物飼育に. 育体験(以後、 家畜飼育とする)について中川(2003)は、. 限らず、性教育や近年ではデスエデュケーションなどの中. 学校で飼育すると、手間がかかってしまい最後には飼育で. で様々な実践が行われている。しかしながら、動物飼育等. きなくなることがあることを指摘し、 「家畜飼育は畜産農. をする中で、生き物とふれあい、温かみを感じることで生. 家で見学や飼育体験をさせてもらえばよい」39との考え方. 命についての実感を伴った理解を図ることが必要不可欠で. を示している。家畜飼育の教育的意義はあるものの、飼育. あると考えている学校もあり、近年動物飼育をしている学. の手間等を考慮すると、地域の畜産農家との協力の下で行. 校が減少している傾向がある中で、動物とふれあう活動が. うことが大切だろう。. 生命の大切さを学ぶ上での重要性は決して低くはない事が. 動物を介在させることに関する教育観について、約6割 が「学校に動物がいなくても教育に差しさわりがない」と 40. 中村智帆 「間主観性を高める動物介在教育」 『日本教. 育学会大會研究発表要項 71』2012年 p.150 ア ン ケ ー ト 調 査 報 告 書 」 2009年 p.5 https://www.. 41. kahaku.go.jp/learning/researcher/pdf/sciprog_question_. 在教育の展望 ‐ 」 『山形大学大学院教育実践研究科年報. 藤岡久美子 「子どもの発達と動物との関わり ‐ 動物介. s.pdf(最終閲覧日:2015年6月7日). (4)』 2013年 p.9. 36. 42. 安藤元一ら 「野生動物に関する大学入学前の経験変化. と進路選択」 『東京農大農学集報57(4)』 2013年 pp.275-. 鳩貝太郎ら 「高等学校生物教育に関するアンケート」 . 『生物教育における生命尊重についての指導観と指導法に. 286. 関する調査研究 研究成果報告書』 2008年 p.184. 37. 43. 千田絵里子ら 「ふれあい動物園における大型動物の行. 38. 鳩貝太郎ら 「中学校生物教育に関するアンケート」 . 『生物教育における生命尊重についての指導観と指導法に. 動」 『東京農大農学集報58(3)』 2013年 p.186 大森享 「生命を考える授業 ‐ 動物が教えてくれるこ. 関する調査研究 研究成果報告書』 2008年 p.224. と ‐ 小学校低学年」 並木美砂子『動物園における動物. 44. とのふれあい』ルック2007年 p.93. 動の経過と事業推進の指針)」 『日本獣医師会学校飼育動. 39. 物委員会報告』 2005年 p.4. 中川美穂子 前掲32 p.80. 日本獣医師会 「学校飼育動物活動の推進について(活. - 55 -.

(11) 大 谷 聡 寛 ・ 廣 田 健 うかがえた。. 5.本調査のまとめ 本研究では北海道道東3管内の全公立小学校対象に質問 紙調査(回収率64.8%)から動物飼育の実態として以下の 諸点を捉えることができた。 ①動物飼育を実施していた学校は約5割で,全国的に見て も低く,北海道四都市と比べても低かった。 ②大規模な学校に比べ,小規模・中規模の学校は動物飼育 実施率が低かった。 ③動物飼育実施率は農山漁村の学校の方が,その他の地域 の学校より高く, 「温かみを感じることのできる哺乳類 や鳥類の飼育」は農山漁村の方が多く実施されていた。 ④飼育している動物種の上位の5つは魚類を中心とした水 棲生物であった。また、哺乳類の飼育は7校で,鳥類を 飼育している学校はなかった。 ⑤動物飼育の目的は, 「生命尊重の心を育む」約7割,「動 物の生理・生態に気付かせる」約5割等であった。 ⑥飼育の困難点については,上位2つは「長期休暇の世話・ 管理」約8割, 「土日の世話・管理」約3割と, 「休日の世 話・管理」を困難であると答えている学校が多かった。 しかし, 「長期休暇の世話・管理」 以外の事項については, 飼育が比較的簡単で,休日の世話や衛生面についてもあ まり心配の要らない水棲生物が多かったせいかほとんど の学校があまり困難だと感じていないことが分かった。 ⑦専門家との連携を行っていたのはわずか4校であり,約9 割の学校が専門家との連携を行っていなかった。 ⑧飼育を行わない理由は「衛生上の問題」約6割, 「予算が ない」約5割であった。飼育活動を充実させるうえでも 専門家連携や支援体制を構築することの必要性が示唆さ れた。 ⑨動物とのふれあい体験等については,動物園や地域の酪 農家等を訪問するなどして約4割の学校で行われていた ことが分かった。 ⑩約6割の学校で「学校に動物がいなくても教育に差しさ わりがない」 , 「学校で動物飼育を行う必要はない」と考 えていることが分かった。 「学校での動物飼育の必要性」 については先行研究に比べて,低く考えている事が分 かった。 以上が今回の調査で明らかになったことだが、調査前に はもっと多くの小学校が動物飼育を実施していると考えて いた。しかし、実際には飼育をしている小学校が極端に少 数であった。このため当初は本調査の数値から、飼育を実 施している小学校の環境・条件を精査することによって動 物飼育が学校で普及することのできる条件を考察しようと 考えていたが困難であることが判明した。 今後の課題としては、本調査で明らかになった哺乳類の 飼育を実施していた小学校への聞き取り調査を行うこと で、その条件を明らかにする一助としたい。. - 56 -.

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