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聴覚障害児の教育支援のための聴能評価ツールの開発と活用に関する実践的研究

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聴覚障 害児の 教育 支援のた めの 聴能評 価ツー ルの

開発 と活用 に関す る実践 的研究

2015 年

兵 庫 教 育 大 学 大 学 院

連 合 学 校 教育 学 研 究 科

学 校 教 育 実践 学 専 攻

( 兵 庫 教 育大 学 )

中瀬 浩 一

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図表一覧 第1章 本研究の位置づけ 第1 節 研究の 背景 第2 節 北米に おける小 児を対象 とした聴 能の評価 に関する先 行研究 第3 節 日本に おける小 児を対象 とした聴 能の評価 に関する先 行研究 第4 節 本研究 の目的と 構成 第5 節 用語の 定義 第2章 聴能マトリ クステス トの開発 第1 節 聴能マ トリクス テストの 開発にあ たって 第2 節 聴能マ トリクス テストの 内容と実 施方法 第3 章 聴 能 マト リク ステ スト の有 効性 の検討 -既 存の 聴能 評価 法と の比 較- 第1 節 目的 第2 節 方法 第3 節 結果 第4 節 考察 第4章 聾学校にお ける補聴 時の聴能 評価(語 音検査) の実施状況 第1 節 目的 第2 節 方法 第3 節 結果 第4 節 考察

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第5章 聴能マトリ クステス トの事例 検討 第1 節 目的 第2 節 対象 第3 節 事例 第4 節 考察 第6章 総合考察 第1 節 研究の まとめ 第 2節 教 育支 援 のた めの 聴能 評価 ツール とし ての 聴能 マト リク ステ スト の活用 について 第3 節 今後の 課題 引用文献

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第1章 図1- 1 子ど も の 聴覚 的 言語 年 齢 によっ て分 類し た最 初に 実施 する 聴能 評価 法 図1- 2 聴 覚 的 言 語 年 齢 が 4 ~ 6 歳 、WIPI を 実 施 す る 場 合 の 聴 能 評 価 プロ トコルの 例 図1- 3 聴 覚 的 言 語 年 齢 が 5 ~ 8 歳 、PBK を 実 施 す る 場 合 の 聴 能 評 価 プロ トコルの 例 表1- 1 CID 聴取能評価テスト 表1- 2 CDaCI 調査で用いられた幼児用聴能評価バッテリーの種類と適 用年 齢 表1- 3 西オ ンタリオ 大学小児 聴能評価 プロトコ ル 表1- 4 日本 での主な 聴能評価 法 第2章 図2- 1 聴能 マトリク ステスト の聴能評 価法の中 での位置づ け 図2- 2 聴能 マトリク ステスト で用いる イラスト シート 図2- 3 聴能 マトリク ステスト の記録用 紙例 第3章 図3- 1 裸耳 閾値と聴 能マトリ クステス トの素点 図3- 2 補聴 閾値と聴 能マトリ クステス トの素点 図3- 3 加齢 にともな う素点の 変化 図3- 4 67 式 20 単語了解度検査と本テスト 図3- 5 CI2004 幼児用文検査と本テスト 第4章

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図4- 1 実施 状況(4 ~5歳児 ) 図4- 2 実施 状況(小 学部低学 年) 図4- 3 語音 検査の年 間実施頻 度(4~ 5歳児) 図4- 4 語音 検査の年 間実施頻 度(小学 部低学年 ) 図4- 5 検査 実施時間 図4- 6 4~ 5歳児段 階の実施 上の課題 図4- 7 小学 部低学年 段階の実 施上の課 題 図4- 8 幼稚 部での周 知状況 図4- 9 小学 部での周 知状況 図4- 10 日本 教育オー ディオロ ジー研究 会上級講 座プログラ ム 表4- 1 選択 肢として 示した語 音検査 表4- 2 4~ 5歳児の 語音検査 の組み合 わせ 表4- 3 小学 部低学年 の語音検 査の組み 合わせ 表4- 4 独自 の語音検 査例 表4- 5 実施 方法に関 する課題 の主な自 由記述 表4- 6 結果 の解釈や 活用に関 する課題 の主な自 由記述 表4- 7 聴能 マトリク ステスト に対する 意見 第5章 図5- 1 14 児の加齢に伴う素点の変化 図5- 2 A 児の変化 図5- 3 B 児の変化 図5- 4 C 児の変化 図5- 5 D 児の変化 図5- 6 E 児の変化 図5- 7 F 児の変化 図5- 8 G 児の変化 図5- 9 H 児の変化 図5- 10 I 児の変化 図5- 11 J 児の変化

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図5- 12 K 児の変化 図5- 13 L 児の変化 図5- 14 M 児の変化 図5- 15 N 児の変化 表5- 1 対象 児の裸耳 聴力レベ ルと補聴 閾値 表5- 2 聴能 マトリク ステスト による聴 取能向上 のタイプ分 け 第6章 図6- 1 聴能評 価のため のプロト コル例

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第1節 研究の背景 1.教育 オーディオ ロジー 教育オ ーディオロ ジーは教 育現場で のオーデ ィオロジ ー(聴能 学、Audiology) を対象と し、担う人 材を教育 オーディ オロジス ト(Educational Audiologist)とよば れている 。米国では 、教育オ ーディオ ロジスト (educational audiologist)は、支援 コ ー デ ィ ネ ー タ ー (Service Coordinators) と し て の 役 割 、 介 入 チ ー ム の 一 員 (Instructional Team Members)としての役割、コンサルタント(Consultants)しての 役 割 が あ り 、 責 務 と し て 、「 障 害 の 発 見 」「 評 価 ( ア セ ス メ ン ト )」「 ハ ビ リ テ ーション」「難聴 の予防」「カウ ンセリング とガイダ ンス」「補聴器 や人工内 耳、 補聴援助 機器の調整 」があり (Johnson and Seaton, 2012)、聴覚障害児への指導や 支援 を 行う 上 で子 ども のき こえ に関 する 評価を 行う こと が重 要と され てい る。 日 本に お いて は 、職 種と して の教 育オ ーディ オロ ジス トは 確立 して おら ず、 聾学 校 の聴 能 担当 者や きこ えと こと ばの 教室や 難聴 学級 の担 任の 一部 が上 記に 示さ れ た内 容 の一 部を 他の 業務 とと もに 行って いる のが 実状 とい える 。そ の中 に は 1997 年 に国 家 資格と な った言 語聴覚 士の 有資 格者も 存在 するが 、言 語聴 覚 士 が 教 育 オ ー デ ィ オ ロ ジ ス ト の 基 礎 資 格 に は な っ て い な い 。 ま た 、1999 年 に近 畿 地区 で 教育 オー ディ オロ ジー に関 する実 践研 究組 織と して 近畿 教育 オー ディ オ ロジ ー 研究 協議 会が 設立 され たこ とを契 機に 、そ の後 各地 で同 様の 協議 会 が 発 足 し 、2004 年 に は 日 本 教 育 オ ー デ ィ オ ロ ジ ー 研 究 会 が 組 織 さ れ 、 全 国 的な 研 修会 や 研究 発表 会、 研究 誌の 発行 などを 行い 、啓 蒙・ 普及 活動 にも 努め ている。 現在は会員 500 名を超える組織となっている。 2.聴能 の評価の目 的 聴 能の 評 価を 行 う目 的は 、子 ども の聴 取能を 適切 に把 握す るだ けで なく 、聴 覚障 害 によ っ て生 じる コミ ュニ ケー ショ ン上の 困難 さを 評価 した り、 その 後の 指導 や 支援 計 画の 立案 やそ の効 果の 把握 、さら には 補聴 機器 の選 択や 調整 など の 妥 当 性 や 有 効 性 の 検 討 を す る た め で も あ る (Mendel and Danhauer, 1997 ; Eisenberg et al., 2010)。

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取状 況 を把 握 する こと が重 要と なる が、 教育オ ーデ ィオ ロジ ーに おい ては 、そ の後 の 指導 ・ 支援 につ なが る教 育的 な評 価が重 要と いえ る。 その ため 、小 児の 聴能 の 評価 を 考え る場 合は 、補 聴器 等を 装用し てい ない 裸耳 の状 態よ り補 聴器 等を 装 用し た 状態 での 評価 が重 要と なる 。補聴 器や 人工 内耳 、あ るい は補 聴シ ステ ム など の 補聴 機器 の選 択や 調整 に役 立てら れる だけ でな く、 特に 低年 齢の 子ど も の場 合 には 、コ ミュ ニケ ーシ ョン の状況 を把 握す るこ とに もつ なが る。 3.小児 における聴 能の評価 の分類 1)検査 による評価 小 児の 聴 能の 評 価は 、子 ども の気 分や 注意、 言語 力と いっ た子 ども 自身 のこ とや 検 査者 と 被検 児と のラ ポー トの 有無 、さら には 検査 室の 雰囲 気な ど、 聴覚 以外の側 面の影響を 受けやす いといえ る(Boothroyd, 2004)。このような検査条 件以 外 の要 素 を考 慮し ない 場合 であ って も、小 児の 聴能 の評 価を 行う 場合 の観 点として 様々な条件 が考えら れる(大 沼, 1997)。裸耳の評価、あるいは補聴器 等の 装 用下 で の評 価が まず 考え られ る。 さらに 、主 なも のと して 以下 にあ げる 条件で評 価法を分類 すること も可能と なる。 検 査素 材 を提 示 して その 聴取 状況 を把 握する 方法 とし ては 、提 示す る素 材に よって分 類が可能で ある。すなわち、①環境 音、②音素(語の 一部)、③音 節、 ④単語、 ⑤文(また は句)が ある。 検 査素 材 の分 類 に加 えて 、そ の素 材を どのよ うな 条件 下で 実施 する のか によ って も 分類 が 可能 であ る。 音節 、単 語、 文(ま たは 句) を「 読話 併用 」で 実施 あ る い は 「 聴 覚 の み 」 で 実 施 す る の か で 分 け ら れ る 。 ま た 、「 雑 音 を 負 荷 」 し て 実 施 す る の か 、「 静 寂 下 」 で 実 施 す る の か と い う 分 類 も あ る 。 こ の ほ か 、 提 示する検 査素材が CD など録音されたものを使用するのか、肉声によって提示 するのか による分類 もある。 2)質問 紙による評 価 質 問紙 に よる 評 価は 回答 を行 う者 によ って大 きく 2分 され る。 すな わち 、回 答が 聴 覚障 害 者本 人に よる もの か、 ある いは養 育者 や関 係す る周 りの 人に よる も の か 、 で あ る 。 本 人 に よ る も の で あ れ ば 、「 当 事 者 に よ る 主 観 的 評 価 」 と な り 、 他 者 で あ れ ば 、「 関 係 者 に よ る ( 主 観 的 ) 評 価 」 と な る 。 就 学 前 の 幼 児 を

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対 象 と し た 場 合 、「 当 事 者 に よ る 主 観 的 評 価 」 は 非 常 に 困 難 で あ る こ と が 想 定 され る こと か ら、 保護 者な どの 養育 者に よる聴 性行 動観 察に 重点 を置 いた 内容 の構成と なる。 第2節 北米におけ る小児を 対象とし た聴能の 評価に関 する先行研 究 聴 能評 価 に関 す る研 究や 実践 は北 米に おいて 先進 的に 進め られ 、日 本へ の影 響も 大 きい 。 そこ で、 北米 にお いて 聴覚 障害児 者を 対象 に行 われ た聴 能の 評価 に関 す る研 究 の経 緯を いく つか の時 期に 分けて 概観 し、 北米 にお ける 現在 の聴 能評価法 の経過とそ の課題を 検討する 。 (1)1960 年代まで:聴能評価法開発の黎明期 聴 能 評 価 は オ ー デ ィ オ ロ ジ ー の 分 野 か ら 始 ま っ た の で は な く 、1910 年 頃 か ら電 話 での 伝 達評 価を 主目 的に 開発 がさ れ、次 第に 聴覚 障害 者の きこ えの 評価 にも 適 用さ れ るよ うに なっ た。 第二 次世 界大戦 後は 聴力 に障 害を 受け た戦 傷者 のリハビ リテーショ ンの必要 性を訴え るものと しての活 用もされた 。 (2)1960 年代~ 1990 年半ば:さまざまな評価法の開発 1960 年 代 以 降 に な る と 、 聴 覚 障 害 者 の 評 価 を 主 目 的 と し た 検 査 が 多 く 開 発 され た 。音 素 、無 意味 単音 節や 有意 味多 音節語 、文 理解 や読 話併 用な ど様 々な もの発表 されるよう になった (Mendel and Danhauer, 1997)。小児を対象とした主 な 評 価 法 は 、1970 年 の 絵 指 示 6 選 択 の WIPI( Word Intelegibility by Picture Identification; Ross and Lerman, 1970)、1980 年の 4 選択の NU-CHIPS(Northwestern University-Children's Perception of Speech; Elliott and Katz, 1980)など、絵や文字カー ド の 中 か ら 選 択 す る ク ロ ー ズ ド セ ッ ト の 単 語 了 解 度 検 査 が 主 で あ っ た(Kirk et al., 1995a) 。 オ ー プ ン セ ッ ト の 単 語 了 解 度 検 査 と し て 開 発 さ れ た PBK (Phonetically Balanced Kindergarten Test; Haskins, 1949)は、5 歳以上の子どもを対象 とし た 50 単音節語から成っている。オープンセットの文聴取検査として 8 歳 か ら 16 歳 の 聴覚 障 害 児 の 語彙 を もと に 作成 し た BKB(Bamford-Kowal-Bench)が ある 。 この よ うに 、聴 能の 評価 法は 、音 素、音 節、 単語 、文 など の構 造に 対応 する も のが そ れぞ れ開 発さ れ、 評価 者が 子ども の状 態に 即し て取 捨選 択す るよ うになっ た。

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1980 年 代 に な る と 、 成 人 の 人 工 内 耳 装 用 者 の 聴 能 評 価 と し て 複 数 の 評 価 法 を組 み 合わ せ るテ スト バッ テリ ーに よる 評価が 実施 され るよ うに なっ てき た。 カリフォ ルニア大学 のものと アイオア 大学のも のが知ら れている(Eisenberg and Johnson, 2008)。小児を対象としたテストバッテリーは 1990 年代半ばで登場す ることと なる。 (3)1990 年代半ば~ 2000 年代半ば:テストバッテリーの提案

1990 年代半ばに NIH(National Institue of Health)による大規模な研究調査が行わ れ、 こ れを 契 機に 複数 の評 価法 を組 み合 わせて 評価 する こと が提 案さ れる よう に な っ た 。 代 表 的 な も の と し て イ ン デ ィ ア ナ 大 学 聴 能 評 価 バ ッ テ リ ー(Indiana Univercity Speech Perception Test Batteries; Eisenberg, Johnson, and Martinez, 2010)、CID 聴能評価 バッテリー(The CID speech perception battery; Geers, 1994 , Mendel, 2008)、 人工内耳 メーカーMedEL 社の EARS がある。 ①インデ ィアナ大学 聴取能評 価バッテ リー 1991 年に Osberger らが発表したテストバッテリーで、6 歳以上の学齢期以降 の子ども を対象とし た学童期 版(School-Age Battery)と 2 ~ 5 歳の就学前の幼 児を対象 にした幼児 版(Preschool Battery)がある。ともに補聴器などを装用し た重度聴 覚障害児を 対象とし ている(Wang et al., 2008)。年齢段階で用いる評 価法を変 え、多角的 に評価を すること が提案し ている。 ②CID 聴能評価バッテリー Geers によって 1994 年に発表された重度聴覚障害児の聴能評価を行うための テストバ ッテリー( 表1-1 )で、聴覚のみ での評価と 読話併 用で行う評 価の2 種類があ る(Kirk et al., 1995 の文献による)。

表1 -1 CID 聴取能評価テスト (Kirk et al., 1995 の文献による) 聴覚のみでの評価(auditory-only)

評価法 刺激 反 応 形 式 知覚能力

Test Stimulus Response&Format Perceptual Skill Speech Detection Threshold 音声 クローズドセット 検出

ESP 1~3音節語 クローズドセット 単語識別(強勢、持続) 長長格 クローズドセット 単語識別(スペクトル) 単音節語 クローズドセット 単語識別(母音) WIPI 単音節語 クローズドセット 単語識別(子音)

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Matrix Test 句 クローズドセット 句中の単語識別 PTE 音節 クローズドセット スピーチ特徴識別 PBK 単音節語 オープンセット 単語識別 ③EARS EARS は 1995 年に人工内耳メーカーである Med-EL 社が 2 歳以上の人工内耳 装用 幼 児を 対 象と する テス トバ ッテ リー として 発表 した もの であ る。 クロ ーズ ド セ ッ ト ・ オ ー プ ン セ ッ ト ・ 質 問 紙 に よ る 評 価 法 が 複 数 用 意 さ れ て い る 。 MedEL 社が発行しているハンドブック(「小児聴能評価ツール」)には EARS の 作成 の 目的 と して 、人 工内 耳装 用児 の聴 能発達 の追 跡、 発語 や音 声コ ント ロー ルの 発 達の 追 跡、 人工 内耳 装置 の管 理、 リハビ リテ ーシ ョン 支援 、長 期に わた る評価、 言語発達の 把握など のために 使用する ものとし ている。 以 上の よ うな 複 数の 評価 法を 組み 合わ せて実 態を 把握 して いく こと は米 国の オ ー デ ィ オ ロ ジ ー 関 連 の 学 会 で も 積 極 的 に 推 奨 さ れ る よ う に な っ た 。2000 年 代の 中 頃に は 、米 国の オー ディ オロ ジー におい て大 きな 影響 力を 与え る団 体で あ る A A A( A m e r i c a n A c a d e m y o f A u d i o l o g y) と A S H A( A m e r i c a n Speech-Language-Hearing Association) か ら 相 次 い で ガ イ ド ラ イ ン が 発 表 さ れ た (AAA, 2003 ; ASHA, 2004)。AAA は補聴器装用下の聴能の評価として ESP 低言 語力版、ESP 標準版、PBK、NU-CHIPS、PSI(pediatric Speech Intelligibility Test ; Jerger and Jerger, 1980)を推奨している。また、ASHA は誕生から 5 歳までを 3 段階に 分類(誕 生〜 4 カ月、5 カ月〜 24 カ月、25 カ月〜 60 カ月)し、25 カ月〜 60 カ月児に 対しての聴 能評価法 として、NU-CHIPS、WIPI、MPT(Erber and Alencewicz, 1976)、PSI といった単語了解度の検査を推奨し、実施が困難な子どもには ESP、 6 sounds test(Ling, 1989)をすすめている。

(4)2000 年半ば以降(人工内耳の適用増加による影響)

新 生児 聴 覚ス ク リー ニン グの 普及 によ り出生 後間 もな い乳 幼児 から 支援 が行 われるよ うになった 。2000 年に FDA(Food and Drug Administration)が人工内耳適 用 年 齢 を 生 後 12 カ月 に改めたこと もあり、より 早い段階か らの聴能の評価を 行う必要 性に迫られ るように なった(Barker et al., 2011)。人工内耳手術の適用年 齢 の 低 下 の 効 果 や 人 工 内 耳 の 長 期 使 用 等 に 関 す る 研 究 が 多 く 行 わ れ る (Geers, 2004 ; Houston and Miyamoto, 2010 ; Tajudeen et al., 2010 ; Davidson et al., 2011) とと

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もに 、 聴能 や 言語 、コ ミュ ニケ ーシ ョン などに 関す る大 規模 調査 が行 われ るよ うになっ た。

2002 年から 2004 年にかけて NIH により CDaCI(Childhood Development after Cochlear Implantation Study) と呼ばれる人工内耳装用児の発達に関する大規模調 査が実施 された(Eisenberg et al., 2006 ; Fink et al., 2007 ; Wang et al., 2008)。そこで はテ ス トバ ッ テリ ーを 組ん での 評価 が行 われた 。就 学前 の幼 児用 と学 童用 の2 種類があ る。幼 児用とし て用いら れた聴能評 価法を 表1-2に 示す(Eisenberg et al., 2010)。対象児が1歳~2歳の幼児の場合、養育者への質問紙による日常生 活での聴 覚反応を評 価するIT-MAIS(Infant-Toddler Meaningful Auditory Integration Scale; Zimmerman-Philips et al., 2000) や MAIS(Meaningful Auditory Integration Scale;

Robbins et al., 1991)を使用し、2歳以降になると、選択肢を示して実施するク ロー ズドセ ット によ る評 価法 (ESP, PSI)を用い、その後は選択の範囲を限定 しないオ ープンセッ トでの評 価法(MLNT, LNT, PBK, HINT-C) に至るような階 層構造に なっている 。

カ ナ ダ の 西 オ ン タ リ オ 大 学 で 考 案 さ れ た 小 児 聴 能 評 価 プ ロ ト コ ル UWO PedAMP(The University of Western Ontario Pediatric Audiological Monitoring Protocol ) による研 究も活発に 行われて いる(CHILD Amplification Laboratory, 2010; Bagatto et al., 2010; Bagatto et al., 2011)。誕生~ 6 歳までの聴覚障害乳幼児を対象とし、補 聴機 器 の適 合 から 聴能 の評 価や 養育 者に よる聴 性行 動観 察評 価に 至る まで の手 続きや評 価をパッケ ージ化し たものと もいえる (表1 -3)。

表 1-2 CDaCI 調査で用いられた幼児用聴能評価バッテリーの 種 類と適用年 齢(Eisenberg et al., 2010 による)

適用年齢 把握する聴取能 評価法 考案者と発表年

1 歳~ 2 歳 聴性反応 IT-MAIS (Zimmerman-Philips et al., 2000), Auditory Behaviors MAIS (Robbins et al., 1991)

2 歳~ 4 歳 クローズドセットによる ESP (Moog and Geers ,1990), 識別能力 PSI (Jerger and Jerger, 1980) Closed-Set Identification

4 歳~ 5 歳 オープンセットによる理 MLNT (Kirk et al., 1995a), 解能力 LNT (Kirk et al., 1995a), Open-Set Recognition PBK (Haskins, 1949),

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表1 -3 西オ ンタリオ 大学小児 聴能評価プ ロトコ ル (Bagatto et al., 2010 に よる)

オン タリオ州 乳幼児聴 覚プログ ラムによる 補聴効果 質問紙

(Ontario Infant Hearing Program(OIHP) Amplification Benefit Questionnaire) 補聴 器適合の まとめ(Hearing Aid Fitting Summary)

補聴 時音声明 瞭度指数Aided Speech Intelligibility Index (SII) Normative Values リト ルイヤー ズ聴覚発 達質問紙 (LittlEARS)

両親 による子 どもの聴 覚口話能 力評価質問 紙

(Parent's Evaluation of Aural / Oral Perfoce of Children(PEACH) (Ching & Hill, 2005; Copyright Australian Hearing 2005)

人 工内 耳 の早 期 適用 が進 んで いく 中で 、聴能 の評 価は 、よ り低 年齢 の乳 幼児 に 合 わ せ た も の が 開 発 さ れ る よ う に な っ た 。 人 工 内 耳 メ ー カ ー で あ る Med-EL 社 の オ ー デ ィ オ ロ ジ ス ト ら が 養 育 者 へ の 質 問 紙 に よ っ て 聴 覚 発 達 を 評 価 す る LittlEARS を 2003 年に発表した(Brachmaier and Shepherd, 2012)。これは上記の UWO PedAMP にも含められ、乳児期から聴覚発達の評価が重要となっている。 この よ うな 養 育者 への 質問 紙に よる 聴覚 発達評 価と とも に、 乳幼 児自 身の 聴覚 反 応 を 視 覚 強 化 式 聴 力 検 査(VRA)や遊戯聴力検査(Play Audiometry)等の手法を 応用 し た検 査 法に よる 実践 や研 究も 行わ れてい る。 乳幼 児の 音の パタ ーン 認識 (speech pattern contrast perception) 能力を評価することでその後の聴覚発達の状 況を把握 していこう とするも のである 。しかし 、Eisenberg らは、BATIT の 4 種 類の 評価 法 な ど を 乳 幼 児 に 適 用 し た 結果 、「1 ~ 3 歳の子どもに効果的なテス トはなか った」と結 論づけて いる(Eisenberg et al., 2007)。北米においては、今 後は1 ~ 3 歳の乳幼児に効果的な聴能の評価法が望まれている状況である。 こ のよ う に様 々 な評 価法 が開 発さ れ研 究され てい る北 米の 状況 であ るが 、中 川 (2003)も指摘するように補聴器装用下での評価はあまり行われていないだけ でな く 、こ れ らの 評価 法が 臨床 上は 多く 活用さ れて いな いと いう 調査 研究 もあ る。Munoz らは、全米の小児を対象とするオーディオロジスト 1072 人に 3 歳 ~6 歳までの子どもに実施している聴能評価等に関して質問紙調査を行い(145 人から回 答)、そ の結果 24 %が補聴器等の装用下での語音検査(聴能の評価)を 行っ て いな い こと 、評 価法 の研 究・ 開発 の進展 にも かか わら ず現 場で の普 及と

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いう課題 を抱えてい ることを 指摘した (Munoz et.al., 2012)。同調査では、また 5 歳 ま で の 幼 児 に 対 し て 使 用 さ れ て い る 主 な 評 価 法 は 、PBK、 WIPI、 NU-CHIPS の み で 、6 歳 で は PBK、 WIPI、 BKB-SIN( Bamford-Kowal-Bench Speech-in Noise sentences)、Mr potato Head task、PSI に限られていることを示した。これまで多 くの 評 価法 が 開発 され てい るに もか かわ らず、 教育 機関 や医 療機 関等 の現 場で 活用 され て い る の は 限 ら れ て い る こ とが わか る 。6 歳までの就学前の子どもに 対 し て 最 も 頻 度 が 多 く 使 用 さ れ て い る オ ー プ ン セ ッ ト の 評 価 法 は PBK の みで あった。WIPI と NU-CHIPS はそれぞれ単音節語のイラストを 6 選択と 4 選択で ポインテ ィングで応 答するも ので、1970 年と 1980 年に発表されたものである。 また PBK は 1949 年に発表されたもので、就学前の幼児に対して使用されてい る評 価 法は 、 多く の評 価法 が開 発さ れ、 研究発 表さ れて いる にも かか わら ず、 現場 で は依 然 とし てか なり 以前 のも のを 使用し 続け てい ると いえ る。 新た に開 発さ れ た評 価 法が 研究 の場 では なく 実際 の場面 にお いて 活用 され てい ない 理由 は上 記 の研 究 では 明ら かに され てい ない が、長 年使 用さ れて いる 評価 法に 対す る信頼が 大きいこと が伺える 。 Madell(2013)は 、 聴 能 評 価 バ ッ テ リ ー の 新 た な 提 案 と し て 、 子 ど も の 言 語 力 (言 語 年齢 ) が聴 取能 力に 影響 を与 える ことを 重視 して 、聴 覚に よる 理解 言語 力 を 言 語 年 齢 に よ り い く つ か の 区 分 に 分 け て ( 図 1 - 1 )、 各 区 分 に お い て 推 奨する聴 能評価法を 示すとと もに、検査条 件(提示 音圧や雑音 負荷の有 無とSN 比) と 結果 に よっ て次 の評 価法 をど のよ うに選 択す るか をフ ロー チャ ート 形式 の プ ロ ト コ ル に よ り 示 し た ( 図 1 - 2 、 図 1 - 3 )。 フ ロ ー チ ャ ー ト で 示 さ れ るの は どの よ うな 評価 法を 選択 する のか という こと だけ でな く、 提示 する 音圧 などの指 針を示して いること が新たな 方向性と 言える。小さ めの声(soft-speech) で提 示 して 評 価を 行う 必要 性が 主張 され るよう にな って きた のも 、人 工内 耳の 装用 下での 閾値 が 25dBHL 程度になることを反映した結果と思われる。このよ う な 小 さ な 声 で の 測 定 は 他 の 論 文 で も 見 ら れ る よ う に な っ て き て い る (McCreery, 2013)。

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図1 -1 子ど もの聴覚 的言語年 齢によって 分類し た 最 初に実施す る聴能 評価法(Madell, 2013 による) 図1-2 聴覚 的言語年齢 が4~6 歳、WIPI を実施する場合の 聴能 評価プロ トコルの例 (Madell, 2013 による) 2歳未満 ESP 2歳~5歳 NU CHIPS 4歳~6歳 WIPI 5歳~8歳 PBK 8歳以上 CNC or NU6 聴覚的言語 年齢 50%未満の正答 だったら NU CHIPSを実施 50%~75%の 正答だったら WIPIを35dBHL実施 さらに WIPIの50dBHLを SN+5dBで実施 WIPI 50dBHL クローズドセット 75%以上の正答 だったら WIPIの50dBHLを オープンセットで 実施 50%未満の正答 だったら 終了 50%~75%の 正答だったら WIPIを35dBHL実施 さらに WIPIの50dBHLを SN+5dBで実施 75%以上の正答 だったら PBKを オープンセットで 実施

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図1 -3 聴覚 的言語年 齢が5~8 歳、PBK を実施する場合の 聴能 評価プロ トコルの例 (Madell, 2013 による) 以 上か ら 北米 に おけ る小 児を 対象 とし た聴能 の評 価に 関す る研 究の 流れ は次 のように まとめられ る。 ①各種 評価法の開 発(中途 失聴者→ 成人→小 児) ②大規 模調査と複 数の評価 法による テストバ ッテリー の提案 ③人工 内耳手術の 低年齢化 による超 早期段階 での聴能 評価法の開 発 ④聴取 能評価プロ トコルの 提案 成 人を 中 心と し た聴 能の 評価 法か ら次 第に低 年齢 児の 評価 法の 開発 が進 んだ が、 新 生児 聴 覚ス クリ ーニ ング と人 工内 耳の普 及に より 、聴 取能 や発 達段 階を 踏ま え た評 価 が求 めら れる よう にな り、 複数の 評価 法を 組み 合わ せる こと で対 応するよ うになった 。そし て、対象とす る子ども の聴覚的言 語年齢 を考慮して 、 どの 評 価法 を どの よう な条 件で 実施 し、 その結 果に 基づ いて 次に 実施 すべ き評 価法 と その 評 価条 件を 示す こと で、 子ど もの発 達を 踏ま えた 聴取 能の 評価 を行 うことが 重要とする 流れが確 認できた 。 課 題と し ては 、 補聴 器装 用下 での 評価 はあま り行 われ てい ない だけ でな く、 これ ら の評 価 法が 臨床 上は 多く 活用 され ていな い実 態が ある こと が判 明し た。 50%未満の正答 だったら NU CHIPSを実施 50%~75%の 正答だったら PBKを35dBHL実施 さらに PBKの50dBHLを SN+5dBで実施 75%以上の正答 だったら NU6またはCNCを 50dBHLで実施 PBK 50dBHL オープンセット NU6またはCNCを 実施

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第3節 日本におけ る小児を 対象とし た聴能の 評価に関 する先行研 究 日 本 に お い て の 聴 能 評 価 法 は 、1957 年 に日本 オージオロジ ー学会(現、日本 聴覚医学 会)で 作成され た50 個の無意味単音節から構成された 57 語表と、1967 年に 57 語表から 20 個を選択した 67 語表が、その後の修正(57-S 語表、67-S 語表 ) を経 て 現在 でも 使用 され てい る。 これら は主 に成 人の 聴覚 障害 の鑑 別診 断に用い られている 。 小 児を 対 象と す る聴 能評 価と して は、 絵カー ドを 用い たク ロー ズド セッ トに よる方法 などで検査 をおこな う場合が 多いと言 われてい る(山 下・松平, 2008)。 無意味単 音節語表で ある 67 語表が発表されたのと同時に、20 個の3音節単語 が日本オ ーディオロ ジー学会 から発表 され、現 在におい ても「67 式 20 単語」 リス ト とし て 広く 活用 され てい る。 他に も研究 者を 中心 に、 子ど もの 発達 を考 慮 し た 聴 能 の 評 価 法 が 考 案 ・ 実 施 さ れ て き た 。 星 ら (1974) は低年齢高度難聴 児の 了 解度 検 査と して 絵カ ード を用 いた クロー ズド セッ トの 三音 節語 の単 語了 解 度 検 査 用 リ ス ト と 文 章 了 解 度 検 査 用 リ ス ト を 考 案 した 。 ま た 、 鷲 尾 (1978) は、絵指 示式の幼児 用単語了 解度検査 を試作し た。荒川 (1984)は 67 式 20 単語 を用 い て作 成 した 文章 によ る評 価法 を発 表した 。こ のよ うに 、聴 覚障 害児 を対 象と し た聴 能 評価 (語 音検 査) の考 案が 積極的 にな され 、特 に重 度聴 覚障 害幼 児を 対 象と し た単 語了 解度 検査 を中 心に 、一部 で文 章了 解度 検査 によ る評 価法 が発 表 され て いた 。そ の後 、米 国で の流 れと同 様に 、単 語や 文章 での 了解 度を 評価 す る方 法 に加 えて 、よ り詳 細に 聴覚 障害児 の聴 取能 を評 価す る方 法が 考案 され てい っ た 。大 沼 (1984)は ANT(Eaber,1980) の日本版を考案した(JANT; Japanese Auditory Numbers Test)。これは数字1から5までの数字を用いて聴能を 評価する ものである 。大 沼はその 後、日常生活 文リスト の開発(大 沼ら, 1987) や 「 お じ い さ ん 」「 あ ば あ さ ん 」 な ど 日 本 語 の 親 族 名 称 を 用 い た 検 査 も 開 発 し ている(大沼, 1988 ; 大沼・岡本, 1994)。日常生活文リストは補聴器適合評価用 CD(TY-89)(田中, 1989)にも収められ、デジタル音源としても活用された。TY-89 に は 、 他 に も 幼 児 用 2 音 節 単 語 や 3 音 節 単 語 な ど も 収 め ら れ た 。 高 橋 ら (1992,1993)は米国の ESP を基本モデルとして、持続時間パターンの受容・韻 律パター ンの受容な どで聴取 能力を 4 つのカテゴリーに分けて評価する重度聴

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覚障害幼 児用の話し ことばの 受容能力 評価テス トを試作 した。

人 工内 耳 の早 期 適用 によ り、 諸外 国同 様、乳 幼児 の聴 取能 の評 価に 関す る研 究が 多く発 表さ れる ようにな った。 冨里ら(2001)は Zimmerman ら(2000)の Infant-Toddler Meaningful Auditory Integration Scale(IT-MAIS)の適用を試みている。 中 山 ら (2000)と 加 藤 ら ( 2005) の グ ル ー プ は 、 絵 シ ー ト を 用 い た 単 語 聴 取 検 査 ( 異 母 音 単 語 検 査 、 同 母 音 単 語 検 査 、 単 語 了 解 度 検 査 、10 子 音 検 査 ) を 発 表 す る と と も に 、10 段 階 の 階 層 性 を 有 し た 語 音 聴 取 検 査 を 作 成 し た 。 こ の よ う な テ ス ト バ ッ テ リ ー を 組 ん で 聴 能 を 評 価 す る 試 み は、 高 橋 ら (2001)のグル ープでも 行われ、CI2004 として市販されるようになっている(井脇・久保, 2004 ; 日本人工 内耳研究会, 2004 ; 田内・小林, 2006)。 こ のよ う に、 日 本に おけ る聴 覚障 害児 の聴能 評価 法も 北米 での 経過 と同 様、 子ど も の年 齢 や言 語力 など を考 慮し た評 価法を 選択 する 方法 が提 案さ れる よう になって きたといえ る。主な 聴能評価 法を表1 -4に示 す。 表1- 4 日本 での主な 聴能評価法 作成者・名称など 刺激 反応形式 知覚能力 聴覚医学会 57 語表 単音節 オープンセット 識別 聴覚医学会 67 語表 単音節 オープンセット 識別 聴覚医学会 67 式 20 単語 単語 クローズドセット 単語識別 星ら 単語了解度検査 単語 クローズドセット 単語識別 文章了解度検査 文章 オープンセット 句中の単語識別 鷲尾 絵指示式 単語 クローズドセット 単語識別 荒川 文章 オープンセット 句中の単語識別 大沼 JANT 単語 クローズドセット 単語識別、単語パターン 大沼 日常生活文 文章 オープンセット 句中の単語識別 大沼 親族呼称 単語 クローズドセット 単語識別、単語パターン 中山、加藤ら 絵シートを 単語 クローズドセット 単語識別 用いた単語聴取検査 日本人工内耳研究会 CI2004 単音節・ クローズドセット 識別、単語識別、句中の 単語・文 とオープンセット 単語識別 しかし 、日本での 聴能評価 法は、単 音節の 57 語表と 67 語表以外は標準化さ れて お らず 、 特に 小児 を対 象と した 評価 法の標 準化 は皆 無と いえ る。 北米 のよ うに 複 数の 評 価法 を組 み合 わせ の推 奨も なく、 検査 者が 子ど もの 発達 を踏 まえ て聴能評 価法を自ら 選択しな ければい けない状 況となっ ている。

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第4節 本研究の目 的と構成 北 米に お ける 小 児を 対象 とし た聴 能評 価は、 新生 児聴 覚ス クリ ーニ ング と人 工内 耳 の普 及 によ り、 より 低年 齢か らの 評価に 迫ら れ、 聴取 能や 発達 段階 を踏 まえ 、 複数 の 評価 法の 組み 合わ せが 提案 される よう にな った 。近 年は 、対 象と する 子 ども の 聴覚 的言 語年 齢を 考慮 して 、どの 評価 法を どの よう な条 件で 実施 し、 そ の結 果 に基 づい て次 に実 施す べき 評価法 とそ の評 価条 件を 示し て、 子ど もの 発 達を 踏 まえ た聴 取能 の評 価を 行う ことが 提案 され るな ど、 より 適切 な評 価法の選 定と実施手 順の明確 化の流れ となって いる。 日 本も 北 米と 同 じよ うな 評価 法開 発の 経過を 示し てい るこ とが 分か った が、 教育 機 関に お ける 聴能 評価 の実 態も 北米 同様で ある のか とい う疑 問が 浮か び上 が る 。 つ ま り 、 米 国 に お い て は 、Munoz ら (2012)の調査研究で明らかになっ たよ う に、 補 聴器 装用 下で の評 価は あま り行わ れて いな いだ けで なく 、こ れら の評 価 法が 臨 床上 はあ まり 多く 活用 され ていな い実 態が ある 。就 学前 の幼 児に 対し て 使用 さ れて いる 評価 法は 、現 場で は依然 とし てか なり 以前 のも のを 使用 して い た。 ま た、 米国 にお いて 新生 児聴 覚スク リー ニン グと 人工 内耳 の普 及に より 聴 能評 価 が低 年齢 児へ 適用 拡大 し、 テスト バッ テリ ーに よる 実施 に向 けて の手 順 等の 整 理へ と進 んで いる こと は、 日本に おい ても 同じ なの であ ろう かと いう 疑 問が 生 じる 。そ して 、こ れら の疑 問を解 決す るた めに は、 ①日 本の 聾学 校に お いて 、 どの よう な聴 能評 価法 が実 施され てい るか 、② 日本 にお いて 、新 生児 聴 覚ス ク リー ニン グの 普及 によ る教 育開始 年齢 の変 化は ある のか 、③ 聴覚 障害 幼 児の 聴 能評 価を 行う 際に 課題 とな ってい るこ とは 何か 、④ その 課題 を解 決す る ため に はど のよ うな 聴能 評価 法が 必要と なり 、そ の有 効性 はあ るの か、 ⑤日 本 にお い ても 、聴 能評 価の テス トバ ッテリ ーを 組む とす れば どの よう な評 価法 が 推奨 さ れる のか 、な どを 検証 する 必要が ある と思 われ る。 聾学 校に おけ る聴 能 評価 の 実態 を把 握し て現 場の ニー ズを確 認す るこ とや 、実 践的 に活 用で きる 聴 能評 価 法を 開発 して その 有効 性を 検証す るこ とは これ まで 実施 され てこ なかった 。 そ こで 、 本研 究 は、 聾学 校の 聴能 担当 者の実 践上 の課 題を もと にし て聴 能評 価ツ ー ルを 開 発し 、そ の有 効性 を検 討す ること を目 的と する 。具 体的 には 、以

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下の3 つの内容について検討を行う。 最 初に 、 開発 し た聴 能評 価ツ ール 「聴 能マト リク ステ スト 」に つい て、 対象 児や 実 施方 法 、開 発に あた って の経 緯な どを述 べる 。そ の後 、聴 能評 価ツ ール とし て 開発 し た「 聴能 マト リク ステ スト 」を聾 学校 幼稚 部に 在籍 する 聴覚 障害 幼児 を 対象 に 実施 して 、既 存の 聴能 評価 法との 比較 を行 うこ とに よっ て、 テス トバッテ リーとして の有効性 について 検討する 。 次 に、 聾 学校 で の語 音検 査の 実施 状況 と課題 につ いて 検討 を行 う。 全国 の聾 学校 幼 稚部 段 階と 小学 低学 年を 対象 とし て質問 紙に よる 調査 を行 い、 その 結果 から 聾 学校 で の聴 能の 評価 とし ての 語音 検査の 状況 を明 らか にす ると とも に、 聴能マト リクステス トの聾学 校での実 施状況に ついて検 討する。 さ らに 、 本テ ス トを 実践 的な 活用 を事 例から 検討 する 。聾 学校 幼稚 部で 継続 的に 実 施し た 結果 から 、事 例ご との 聴取 能の変 容を 分析 し、 聴能 マト リク ステ ストの教 育現場での 活用の有 効性を検 討する。 最 後に 、 上記 の 研究 結果 から 、聾 学校 におけ る聴 能評 価法 の現 状や 新生 児聴 覚ス ク リー ニ ング や人 工内 耳の 普及 によ る影響 を踏 まえ て検 討を 行い 、教 育支 援の た めの 聴 能評 価ツ ール とし ての 聴能 マトリ クス テス トの 活用 につ いて 、全 体的考察 を行う。 第5節 用語の定義 1.聴覚 障害児 聴 覚 に 障 害 が あ る 子 ど も と い う 意 味 で 使 用 さ れ て い る が 、「 障 害 」 と い う 表 記 を 「 障 が い 」「 障 碍 」 と す る 場 合 も 多 い 。 ま た 、 児 は 乳 児 ・ 幼 児 ・ 児 童 ・ 生 徒の 小 児を 総 じて 表し てい る。 本研 究で 対象と する 聴覚 障害 児は 主に 聾学 校幼 稚部 在 籍の 3 歳児 以降 の幼 児~ 小学 部低 学年( 1~ 3年 )の 児童 とし てい る。 2.聴能 の評価 中 川 (2003) は 、 Erber ら の 聴 能 の 定 義 を 紹 介 し て い る 。 そ れ に よ れ ば 、 聴 能と は 「現 有 する 聴覚 によ って 音や 音声 を検出 ・検 知し たり 、弁 別し たり 、あ るい は 識別 ・ 理解 する 能力 や、 その 態度 の総称 」の こと で、 視覚 など 他の 感覚

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情報 を 補完 的 に用 いて 聴覚 情報 を総 合的 に処理 する もの も含 むと して いる 。医 療機 関 等に お いて は、 語音 検査 や語 音聴 力検査 と呼 ばれ るこ とが 多い 。医 学的 には 聴 覚障 害 に関 する 鑑別 診断 を用 いる ために 、補 聴器 や人 工内 耳な どの 補聴 機器 を 使用 し ない 裸耳 でオ ージ オメ ータ の受話 器を とお して 実施 する 場合 が多 いが 、 受話 器 を装 着し ての 測定 が難 しい と思わ れる 小児 の場 合は 補聴 器や 人工 内耳 の 装用 下 で実 施す るこ とが 多い 。本 研究に おい ても 、補 聴器 や人 工内 耳装 用下での 聴能の評価 を中心と している 。 3.聾学 校 学 校 教 育 法 の 改 正 に よ り 、 平 成 19 年からは それまで「盲 学校、聾学校、養 護学 校 」の 名 称が 「特 別支 援学 校」 に一 本化さ れた 。そ れ以 前に おい ても 「聾 学校」に は「 聾学校・ろ う学校 ・聾話学校」の 3 種類の名称が使用されてきた。 特別 支 援教 育 移行 後、 複数 の障 害種 別を 対象と する 特別 支援 学校 が全 国的 に設 置さ れ るよ う にな り、 学校 名か らは 聴覚 障害児 が在 籍す る特 別支 援学 校な のか 判別 で きに く い例 もあ る。 聴覚 障害 をも つ子ど もに 対し ての 教育 は「 聴覚 障害 者を対象 とする特別 支援学校」と呼 ばれるこ とがあるが 、本 研究で は従前の「聾 学校」と いう名称を 使用する 。 4.幼稚 部、早期教 育 特別支 援学校にお いて、通 常の幼 稚園に相当 する年齢 段階の幼 児の教育は「幼 稚部」が 行っている 。3 歳児~ 5 歳児が該当する。早期教育は、主に幼稚部入 学前 の 乳幼 児 への 指導 やそ の保 護者 への 支援を 担っ てい るが 、一 部の 聾学 校に お い て は 、 幼 稚 部 に 入 学 し て い な い 幼 児 へ の 指 導 ・ 支 援 を 行 っ て い る 。「 乳 幼 児教育相 談」と呼ば れること もある。

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第1節 聴能マトリ クステス トの開発 にあたっ て 聴 覚障 害 児を 対 象と する 特別 支援 学校 (以下 、聾 学校 )で は聴 能発 達評 価の ひとつと して語音検 査が行わ れている (中瀬・ 大沼, 2012, 中瀬・中井, 2000)。 幼児 の 語音 検 査は 絵カ ード を用 いた クロ ーズド セッ トに よる 方法 など で検 査を おこ な う場 合 が 多い ( 山下 ・ 松 平, 2008)と指摘されているように、成人を主 対象 と して 作 成さ れた 語音 検査 は実 施に 困難を 伴う 場合 もあ り、 子ど もの 発達 を考慮し た独自の聴 能の評価 法が考案 ・実施さ れてきた (大沼, 1988; 高橋・高 橋, 1992; 大沼・岡本, 1994, 中山ら, 2000)。音声日本語の聴取状況を把握・評価 する た めに 、 幼児 ・児 童に とっ て親 密性 の高い 語で 構成 した 単語 了解 度検 査や 異聴 傾 向を 把 握し 指導 に活 かす ため の評 価法、 絵カ ード を用 いる 検査 法や 学校 生活 で 使用 す る頻 度の 高い 単語 を組 み合 わせて 構成 した 文聴 取検 査な どが ある (中瀬, 2004)。海外では、CID 聴能評価バッテリーやインディアナ大学聴取能 評 価 バ ッ テ リ ー 、EARS の よ う に 複 数 の 評 価 法 の 組 み 合 わ せ も 存 在 す る (Karen,L.K., et al., 1997, Lisa,L.M. 2008, Zakirullah, et al., 2008)。過去の調査では聾 学校 の 幼稚 部 ・小 学部 にお いて は、 単語 了解度 検査 を中 心に 実施 し、 次第 に単 音 節 の 受 聴 明 瞭 度 検 査 や 文 聴 取 検 査 に 移 行 す る 傾 向 が あ っ た ( 中 瀬 ・ 大 沼, 2012)。 単 語 の 了 解 度 検 査 か ら 短 文 聴 取 へ の 移 行 に は 課 題 を 伴 う こ と も 多 く 、 解決に向 けた試みも されてき た(荒川, 1984)。先にあげた欧米のテストバッテ リー が 単音 節 や単 語、 短文 の聴 取を クロ ーズド セッ トや オー プン セッ トで 実施 する 検 査で 構 成さ れて いる のは 検査 間の 移行に 伴う 困難 さの 軽減 を計 るた めと 思わ れ る。 な お、 日本 にお いて の聴 能評 価とし ての 文聴 取検 査と して 知ら れて いるのはTY-89 日常生活文(田中, 1989)や CI2004 の文聴取検査(日本人工内 耳研 究 会, 2004)などであるが、いずれも文章中に出現する単語の正答数をカ ウン ト する キ ーワ ード 正答 数に よっ て評 価して いる ので 、短 文の 聴取 能の 評価 法という よりも語連 鎖の聴取 能力の評 価法とも いえる。 一 方、 聴 覚障 害 幼児 や児 童の 聴取 能を 評価す る立 場に ある 聾学 校聴 能担 当者 からは「 5選択 程度の要素 をいくつ か組み合 わせ、クローズ ドセッ トであるが 、 2 ~ 4 つ の キ ー ワ ー ド を 聞 き 分 け る よ う な 語 音 検 査 」、「 な じ み の あ る 日 常 生 活文」、「 単語了解 度と日常生 活文の 間の検査」、「検 査時間が短 く手軽な もの」

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「現 在 の生 活 で身 近な もの で構 成さ れた リスト 」な どの 評価 法を 求め てい る状 況が判明 した(中瀬, 2004a)。 こ のよ う な教 育 現場 の実 態を 受け て、 単語了 解度 検査 から オー プン セッ トの 文聴取検 査の間に施 行する選 択肢があ る「ク ローズドの 文聴取 検査」として「聴 能マ ト リク ス テ スト 」 の開 発 を 行っ た(中 瀬, 2004b)。単語了解度検査がほぼ 正答 し た子 ど もの 次の 聴能 評価 法と して 、単音 節の 受聴 明瞭 度検 査を 施行 する 場合 と 文聴 取 検査 を施 行す る場 合が 考え られる が、 聴能 マト リク ステ スト は単 語了 解 度検 査 から オー プン セッ トで の文 聴取検 査の 移行 に困 難を 示す 子ど もを 主対 象 と想 定 し、 オー プン セッ トの 文聴 取検査 の実 施前 に行 うも のと して 開発 した。評 価方法とし て、TY-89 日常生活文や CI2004 の文聴取検査同様のキーワ ード正答 数を用いた 。本テス トの位置 づけを図 2-1に 示す。 単語了 解度検査 文 聴取検査 聴能マト リクステ スト 図2 -1 聴 能マトリ クステスト の聴能評 価法の中 での位置 づけ 第2節 聴能マトリ クステス トの内容 と実施方 法 (1)リ スト リスト は 2 種類作成したが主に様式Aを使用することにしている。図2-2 に様式A のイラスト シート、 図2-3 に記録用 紙を示す 。

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図2- 2 聴能 マトリク ステストで 用いるイ ラストシ ート

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検査リ ストは次の ような観 点で作成 した。 ①1文4 語で構成。(例:お じいさん が り んご を 1つ たべる) ②各語に は、それぞ れ4 つの選択肢を設ける。 (例 :りんご 、ばなな 、もも、 くり) ③選択肢 となる語は 、似かよ った特徴 を有する 語を2つ ずつ含んで いる。 A 表は次のよ うに構成 している 。 第1 語は、韻律情報が似ている 2 語を 2 種類(主語)。 第2 語は、音節数が同じ 2 語を 2 種類(目的語)。 第3 語は、韻律情報が似ている 2 語を 2 種類(数詞)。 第4 語は、音節数が同じ 2 語を 2 種類(動詞)。 なお、 検査リスト (記録用 紙)は様 式A・B それぞれ 3 パターン用意した。 (2)想 定する対象 児 本テス トは下記の 幼児児童 を対象に 開発をし た。 ①聾学校 幼稚部5 歳児~小学部低学年(2 年程度) ②裸耳平 均聴力レベ ル90dBHL 以上の幼児児童 ③ 67 式 20 単語了解度検査、TY ー 89 幼児用 3 音節単語リストによる単語了解 度検査 などがほぼ すべて正 答となる 子どもと する な お、 上 記幼 児 児童 を対 象と 想定 した が、上 記に 該当 して いな い場 合で あっ ても、活用で きる場合が 多いと 思われるた め、上記は「目安 」程度にと どめる。 (3)実 施方法 本 テス ト は、 聾 学校 など での 定期 的な 聴力検 査を 施行 した とき に実 施す るこ とを 想定して いる。肉 声により 実施する 。実施に要 する時間 は 5 分~ 10 分程 度と思わ れる。基本 的な実施 手順を以 下に示す 。 ①イラス トカードと 記録用紙 を準備す る。 ②被検児 に、選択用 紙に描か れたイラ スト(語 句)の確 認を行う。 ③記 録 用紙 に 沿っ て口 形を 隠し て肉 声で 一文を 読み 上げ 、そ の後 に該 当す る絵 を ポイ ン ティ ン グさ せる 。応 答方 法は 、ポイ ンテ ィン グ以 外に 子ど もの 実態

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に 応じ て 、復 唱 、場 合に よっ ては おは じきな どを イラ スト 上に 置く 、な どの 工夫も 可とする。 その場合 、応答方 法を記録 用紙に記 載しておく 。 ④記 録 用紙 の 正答 (あ るい は誤 答) の語 をチェ ック する 。誤 答の 場合 、誤 った 語を空 欄に記載し ておくと 、誤答傾 向の把握 に有効と なる。 ⑤終 了後 、 正 答 語 数 を 数 え 、 記 録 す る。 集計 は 次 の 3 種類行う(図3-2)。 ア 1 文ごとの正答数(全問正答 4 点。記録用紙の右端の下線に記入) イ 第 1 語(第 2 語~第 4 語)だけの集計(全問正答 10 点。記録用紙の下 部 の枠内に記 入) ウ 10 文全体の正答総計(全問正答 40 点。記録用紙の右下の下線の記入) ま た、 検 査を 実 施す る環 境は 特に 定め てない が、 過大 な騒 音が ない 静寂 下で の実 施 を基 本 とし 、防 音設 備の ある 聴力 検査室 内で の実 施が 最適 とす る。 検査 者と 子 ども と の距 離も 規定 して ない が、 通常は 1m 以内 で、 提示 する 音圧 は子 どもが聴 取しやすい 音圧とす る。 (4)留 意点 ①実施対 象児は 67 式 20 単語了解度検査、TY ー 89 幼児用 3 音節単語リストに よる単 語了解度検 査などが ほぼすべ て正答と なる子ど もとする( 幼稚部 5 歳 児 ~ 小 学 部 低 学 年 児 童 で 、 良 聴 耳 平 均 聴力 レ ベ ル が 90dB 以 上の子どもが主 対象)。 ②ク ロ ーズ ド セッ ト、 読話 併用 なし 、補 聴器装 用下 を原 則と する が、 オー プン セ ット や 読話 併 用、 補聴 器非 装用 での 評価も 応用 とし て実 施可 能で ある (そ の場合 は、実施条 件を記録 する)。 ③初めて 実施する子 どもの場 合、必ず 事前に語 彙の確認 を行う。 ④肉 声 の音 圧 は子 ども が聴 き取 りや すい 音圧に する こと を原 則と する が、 小さ め や大 き めな ど その 音圧 を可 変さ せる ことも 応用 的に 施行 する こと が可 能で あ る ( 実 施 条 件 を 記 録 す る )。 子 ど も の 状 態 に 応 じ て 、 1 回 の 提 示 で は 困 難 な 場合 は 複数 回 の提 示も 可と する 。そ の場合 は、 提示 回数 を記 録し てお くと よい。 ⑤肉 声 を提 示 する 場合 のス ピー ドは 子ど もが聴 き取 りや すい 速さ を原 則と する

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が 、「 ゆ っ く り め 」「 は や め 」 等 も 応 用 的 に 施 行 す る こ と が 可 能 で あ る ( 実 施条件 を記録する )。 ⑥正 答 数を 論 じる より 、あ る程 度の 期間 をおい て実 施し てい くこ とに より 、子 どもの 「伸び」を 評価する ことに用 いる。 ⑦誤 答 傾向 あ るい は検 査時 の様 子を 記録 してい くこ とに より 、そ の時 点で の子 ども聴 能的評価を 行い、指 導へと 結びつけて いくこと に役立て るようにす る。 ⑧こ れ らの 実 施手 順は 一応 の実 施要 領を 示すも ので あり 、子 ども の実 態に 合わ せ て、 様 々な 改 良や 工夫 を加 えて 行う ことと する 。数 回に わた る検 査記 録を 積 み上 げ てい く こと で、 子ど もの 聴取 能の変 化だ けで なく 、反 応様 式の 変容 をとら え、保護者 への解説 や子ども への指導 に役立て るものとす る。

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第 3 章

聴 能 マ ト リ ク ス テ ス ト の 有 効 性 の 検 討

- 既 存 の 聴 能 評 価 法 と の 比 較 -

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第1節 目的 本 章で は 、聾 学 校幼 稚部 での 本テ スト の教育 実践 上の 活用 の有 効性 を検 討す るこ と を目 的 とし 、補 聴時 の閾 値や 年齢 との関 係と 既存 の語 音検 査と の併 用の 有効性に ついて考察 した。 も し、 補 聴閾 値 と本 テス トの 素点 との 相関が 認め られ れば 、補 聴閾 値に 影響 を受ける ことが確認 できると 思われる 。また、 単語了解 度検査(67 式 20 単語 了 解 度 検 査 ) や オ ー プ ン セ ッ ト の 文 聴 取 検 査 ( 語 音 聴 取 評 価 検 査 「CI2004(試 案 )」 の 幼 児 用 オ ー プ ン セ ッ ト 文 検 査 ) と の 相 関 を 検 討 す る こ と に よ り 、 そ れ ぞれ の 評価 法 との 併用 の有 効性 が確 認で きると 思わ れる 。特 に、 聴能 マト リク ステスト からオープ ンセット の文聴取 検査であ る語音聴 取評価検査「CI2004(試 案 )」 の 幼 児 用 オ ー プ ン セ ッ ト 文 検 査 へ の 移 行 を 35/40 と し て い る が 、 こ の 数 値の 妥 当性 が 確認 でき れば 、単 語了 解度 検査か ら文 聴取 検査 の「 間」 の評 価法 としての 有効性が確 認できる ことにな ると思わ れる。 第2節 方法 (1)対 象 A聾学 校幼稚部で 2006 年 6 月~ 2012 年 9 月までに聴能マトリクステストを 実施した 聴覚障害幼 児 50 児。内訳は男児 26 名、女児 24 名で、人工内耳装用 児は 3 名、他は補聴器装用児であった。裸耳良聴耳平均聴力レベル(4 分法) は、43dBHL ~ 130dBHL 以上と広範囲に分散していた。なお、重複障害学級在 籍児は除 外した。 (2)手 続き 聴能マ トリクステ ストの実 施時の年 齢は 3 歳 5 カ月~ 6 歳 9 カ月で、年齢と の関係を 検討するた め、同一 児に対し て 6 カ月程度の期間を空けて 2 ~ 3 回程 度実施し た。合計で 147 回の実施となった。なお、すでに幼稚部を卒業した児 もいるが 、幼稚部在 籍当時の 結果を検 討した。 まず補 聴時の音場 での閾値(dBHL)を4分法で求めた数値を補聴閾値とし、 補聴 閾 値と 本 テス トの 素点 との 相関 の有 無につ いて 検討 した 。ま た、 年齢 と素 点の関係 を検討する ために、 生活年齢 を 6 カ月ごとに区分し、年齢と素点につ いて検討 した。なお 、3 月生まれの児が幼稚部入学直後の 4 月は満 3 歳に達し

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たばかり であること を考慮し て、最初 の区分を “3 歳 5 カ月未満まで”とし、 それ以上 は 6 カ月ごとで区切った。同一年齢区分内に複数回施行した場合、そ の区分内 の最高得点 を記録と した。 また、 聴覚障害幼 児 50 名の中から 67 式 20 単語了解度検査および語音聴取 評価検査 「CI2004(試案)」(日本人工内耳研究会, 2004; 高橋ら, 2001)を本テ ストと同 時あるいは 前後1 カ月以内に施行した児の検査結果を分析した。 67 式 20 単語了解度検査を補聴器あるいは人工内耳装用下で、イラストシー ト を 用 い て 20 選択の クローズドセ ットで肉声に よる提示と 指さしまたは復唱 による応 答で実施し た。聴能 マトリク ステスト は本来 4 語文提示であるが、ク ロー ズ ドの 単 語了 解度 検査 と併 用す る児 の場合 、よ り低 年齢 であ るた め、 連続 する 4 語を記銘することが困難であったり、注意集中が持続しにくく検査意欲 の低 下により 10 文の実施ができなかったりするため、第 3 語(数詞)を除い た 3 語文で提示し、合計は 30 点満点とした。実施を行った対象児は 26 人であ った。 語 音 聴 取 評 価 検 査 「CI2004( 試 案 )」 の 幼 児 用 オ ー プ ン セ ッ ト 文 検 査 は 、 補 聴器 あ るい は 人工 内耳 装用 下で 同検 査の マニュ アル に従 い、 肉声 で提 示し 復唱 によ る応答で 実施した 。実施を 行った対 象児は 25 人であった(一部は 2 回行 ったため 、計29 回の実施となった)。 第3節 結果 (1)裸 耳閾値と素 点の関係 本 テス ト の素 点 と補 聴閾 値を 図3 -1 にドッ ト表 示し た。 裸耳 閾値 と素 点と の 相 関 は 認 め ら れ な か っ た ( ピ ア ソ ン の 積 率 相 関 係 数, r=-0.04167。 回 帰 直 線 y=-0.013x+31.452、寄与率 R2 = 0.0017。無相関検定 P 値=0.65015)。

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(2)補 聴閾値と素 点の関係 本 テス ト の素 点 と補 聴閾 値を 図3 -2 にドッ ト表 示し た。 補聴 閾値 と素 点と の 相 関 は 認 め ら れ な か っ た ( ピ ア ソ ン の 積 率 相 関 係 数, r=-0.1078。 回 帰 直 線 y=-0.0712x+33.29、寄与率 R2 = 0.0077。無相関検定 P 値=0.232931)。 ( 2 )

図3-2

補聴閾値と聴能マトリクステストの素点

年 齢 と 素 図3-1 裸耳閾値と聴能マトリクステストの素点

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点の関係 年 齢ご と の聴 能 マト リク ステ スト の素 点を図 3- 3に 示す 。同 一年 齢区 分内 に 複 数 回 施 行 し た 場 合 、 そ の 区 分 内 の 最 高 得 点 を 解 析 に 用 い た た め 50 児 114 回の記録 が記載され ている。 区分間の 比較で 50 児中 44 児は月齢が上がるにつ れて、素 点が向上し ていた。 向上が認 められな かった区 分がある幼 児 6 児のう ち、同一 の素点であ ったもの が 3 児、1 点低下した児が 1 児、2 点低下した児 は 2 名だった。臨床上、本テストから他のオープンセットでの復唱による文聴 取検査へ の移行の目 安を 35 点としていたため 40 点に至るまで実施できていな い児もい た。3 歳台(3 歳 11 ヵ月まで)に 35/40 に達した児は 1 名(2 %)、4 歳台(4 歳 11 カ月まで)に 35/40 に達した児は 11 名(22 %)、5 歳台(5 歳 11 カ月まで )に 35/40 に達した児は 14 名(28 %)、6 歳台以降の児は 11 名(22 %)、6 歳末段階 35/40 に達しなかった児は 10 名(20 %)、35/40 には達してお らず 6 歳未満の児が 3 名(6 %)であった。5 歳台の割合が若干多いが、4 歳 台から 6 歳台で全体の 9 割を占めるとともに、各年齢ごとでは 2 割程度と均等 に分散し ていた。 素 点 35/40 は臨床経験上から得られた数値であるが、既存の語音検査との併 用症 例 を検 討 する こと によ り、 この 数値 の妥当 性や 本テ スト の有 効性 につ いて 検 討 す る 。 図3-3 加齢にともなう素点の変化

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(3)67 式 20 単語了解度検査 67 式 20 単 語 了 解 度 検 査 の 正 答 数 と 本 テ ス ト の 素 点 の 関 係 を 図 3 - 4 に 示 す。 両 者 の 相 関 は 認 め ら れ な か っ た ( ピ ア ソ ン の 積 率 相 関 係 数 、 相 関 係 数 r=0.0826、 回 帰 直 線 y=0.0511x+16.498、 寄 与 率 R2 = 0.0079、 無 相 関 検 定 P 値 =0.688026)。 (4)語 音聴取評価 検査「CI2004(試案)」の幼児用オープンセット文検査 語 音 聴 取 評 価 検 査 「CI2004( 試 案 )」 の 幼 児 用 オ ー プ ン セ ッ ト 文 検 査 の 正 答 数と 本 テス ト の素 点と の関 係を 図3 -5 に示す 。両 者は 比較 的高 い相 関が 認め られた( ピアソ ンの積率相 関係数, r=0.7009、回帰直線 y=1.0027x-10.892、寄与率 R2 = 0.4914、無相関 検定 P=0.0000228)。臨床経験 上、本テスト から他のオープン セ ッ ト で の 復 唱 に よ る 文 聴 取 検 査 へ の 移 行 の 目 安 を 35 点と したが、本テスト の素点が 35/40 以上の 20 例を抽出して両者の相関を分析したところ、強い相関 があると はいえなか った(ピ アソンの 積率相関 係数, r=0.4049)。一方、34/40 以 下の 9 例を抽出しての分析では相関が認められた(ピアソンの積率相関係数、 r=0.6612)。

図3-4

67 式 20 単語了解度検査と本テスト

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第4節 考察 (1)裸 耳閾値と素 点、補聴 閾値と素 点、年齢 と素点に ついて 裸 耳閾 値 と素 点 およ び補 聴閾 値と 素点 との相 関は 認め られ なか った 。人 工内 耳手術を 受けた子ど もの補聴 閾値は平 均して30dBHL 台(浅見ら, 2007; 柴田ら, 2010)なることから、例えば裸耳閾値が 120dBHL の子どもの場合、人工内耳を 装用 し てい る のか 、補 聴器 を装 用し てい るのか によ って 、補 聴閾 値は 大き く異 なる 。 人工 内 耳装 用児 の場 合、 補聴 器装 用時に 比較 して 良好 な素 点が 得ら れる 場合 も 多い 。 また 、補 聴閾 値と 本テ スト の素点 との 相関 が認 めら れな かっ たこ とで 、 素点 は 補聴 閾値 にも 影響 され てい ないこ とが 示唆 され た。 要因 とし て、 単語 了 解度 検 査か らス ムー ズに 文聴 取検 査に移 行で きた 児や 単語 レベ ルの 聴取 評価 段 階の 児 には 本テ スト を実 施し てい ないこ とや 、全 ての 検査 結果 を検 討し たために 4 語文聴取が困難な低年齢児の結果も多く含まれていたことが原因と 考え ら れる 。 年齢 との 関係 を検 討し た結 果、ほ とん どの 幼児 が月 齢が 上が るに つれ て 、素 点 が向 上し てい た。 幼児 の場 合、検 査へ の動 機付 けを 高め たり 、検 査態 度 を維 持 させ るた めの 工夫 の有 無が 検査結 果に 反映 する こと もあ る( 森・

図3-5

CI2004 幼児用文検査と本テスト

(37)

熊井, 2011)他、短期記銘の能力や注意集中の持続時間等は発達状況により個 人差 が ある こ とか ら同 じ補 聴閾 値で あっ ても年 齢を 考慮 する 必要 があ るこ とが うかがわ れた。 本 テス ト から 他 のオ ープ ンセ ット での 復唱に よる 文聴 取検 査へ の移 行の 目安 を35 点としているが、35/40 に達した児は、3 歳台(3 歳 11 ヵ月まで)、4 歳台 (4 歳 11 カ月まで)、5 歳台(5 歳 11 カ月まで)、6 歳台以降と分類したとき、5 歳台の割 合が若干多 いが、4 歳台から 6 歳台で全体の 9 割を占めるとともに、 各年齢ご とでは 2 割程度と均等に分散していた。聴能マトリクステストは小学 校入 学 前の 6 歳 くら い まで に 35/40 を達している子どもが多く占めていること から 、 幼児 を 主対 象と した 聴能 評価 法の 1つと して 適当 であ るこ とが 推察 され る。 幼 児へ の 適用 にあ たっ ては 、子 ども の集中 の持 続の 問題 等か ら実 施時 間や 実施の容 易さを考慮 すべきで ある。聴 能マトリ クステス トが 3 歳台でも評価が 可能 が子ども がいるこ とは、実 施時間が 5 分~ 10 分程度であり、肉声提示を 原則とし た簡便なも のである ことや準 備物もイ ラストシ ート 1 枚と記録用紙が あれ ば 済み 、 検査 担当 者の 習熟 性が ほと んど問 われ ない こと も理 由と 考え られ る。 (2)67 式単語了解度検査から本テストへの移行について 67 式 20 単語了解度検査の正答数と本テストの素点には相関は認められなか っ た 。67 式 単語 了解 度検 査は 各症例 とも 1 回 ずつ しか施 行で きてい ない が、 翌回の評 価時には、 行動観察 上、67 式 20 単語は全て正答できていると見なし て実 施 しな か った ため であ る。 つま り、 分析さ れた デー タは 、単 語了 解度 検査 と本テス トを同時に 実施した 最初で最 後の検査 結果であ るといえる 。 本 テ ス ト は 開 発 当 初 、「67 式 20 単 語了 解度 検査 がほぼ 全問 正答」 とな る児 を想 定 対象 と し たが 、 実際 に は 15/20 程度で本テストを併用し始めていたこと や、67 式 20 単語了解度検査の正答数が 15 ~ 20 であっても、本テストは 15 ~ 25 程度に分散していることがわかる。つまり、3 語文で提示しても 1 文あたり 2 語程度の 正答しか得 られない 場合が多 いことが うかがわ れる。こ の結果によ り、 本テスト は 67 式 20 単語了解度検査が 15/20 程度から実施可能であるが、1 語 ずつ 提 示し て 実施 して いる 段階 から 複数 語の連 続で ある 文聴 取検 査へ の移 行は 困難を伴 う場合も多 いことが 確認でき た。

(38)

( 3 ) 語 音 聴 取 評 価 検 査 「CI2004( 試 案 )」 の 幼 児 用 オ ー プ ン セ ッ ト 文 検 査 へ の移行に ついて 語 音 聴 取 評 価 検 査 「CI2004( 試 案 )」 の 幼 児 用 オ ー プ ン セ ッ ト 文 検 査 の 正 答 数と 本 テス ト の素 点に は比 較的 高い 相関 が認め られ た。 また 、本 テス トの 素点 が 35/40 以上では強い相関があるとはいえなかったが、34/40 以下では相関が認 めら れ た。 こ の 結果 か ら、 本 テ スト が 34/40 以下であれば、本テストの素点が 高 け れ ば 語 音 聴 取 評 価 検 査 「CI2004( 試 案 )」 の 幼 児 用 オ ー プ ン セ ッ ト 文 検 査 の キ ー ワ ー ド 正 答 数 も 多 く な る 傾 向 が あ る が 、35/40 以 上 で は 必 ず し も 関 係 が あ る と は い え な い こ と が 確 認 で き た 。 し か し 、35/40 以 上 を 示 し た 児 で は 、 翌 回の 聴 能評 価 の際 は、 集中 でき る時 間が 長くな いこ とや オー プン セッ トに よる 文聴 取 検査 で の評 価に 重点 を置 いた こと などに より 本テ スト を実 施し てい ない 場合 が 多い 。 これ らの 児も 継続 して 本テ ストを 実施 して おけ ばさ らに 詳細 な分 析が 可 能な っ たこ とは 否め ない 。実 験で はなく 、臨 床的 に収 集さ れた デー タを 検討 し た結 果 であ るを 踏ま えて おく 必要 がある が、 少な くと も臨 床場 面に おい ては、本 テストが 35/40 以上では、満点まで 5 点しかなく聴取状況の細かい変 化 を 把 握 し に く い 本 テ ス ト を 引 き 続 き 実 施 し て い く よ り も 語 音 聴 取 評 価 検 査 「CI2004( 試 案 )」 の 幼 児 用 オ ー プ ン セ ッ ト 文 検 査 を は じ め と す る 他 の オ ー プ ンセット の文聴取検 査(田中, 1989;大沼ら, 1987)に移行した方が聴取状況が よ り 細 か く 把 握 し や す い と い え 、35/40 を 本 テ ス ト か ら 他 の 評 価 法 へ の 移 行 ラ インとし た臨床経験 上の目安 の妥当性 はあると 考えられ る。 語 音 聴 取 評 価 検 査 「CI2004( 試 案)」 の幼 児 用オ ー プン セ ット 文 検査 は 2 語 文~ 4 語文で構成されていて、何語文までであれば聴取正答ができているかを みて い くと 児 の発 達の 把握 にも 役立 てら れるが 、キ ーワ ード 正答 数や その 率だ けで 評 価を 行 うと 聴取 能の 実態 が把 握で きにく い場 合も ある が、 本テ スト は何 語文 聴 取の 段 階か をよ り明 確に 把握 する ことが 可能 とい える 。さ らに 、オ ープ ンセ ッ トの 復 唱に よる 文聴 取検 査は 、児 の発音 が不 明瞭 で検 査者 が聴 取状 況を 判別 し にく い 場面 があ るが 、本 テス トは ポイン ティ ング によ る応 答を 基本 とし てい る ため 、 被検 児の 聴取 状況 を把 握し やすい 。こ のよ うな 点を ふま える と、 本テ ス トは 、 単語 了解 度検 査を 施行 する 段階か ら復 唱に よる 文聴 取検 査を 施行 する 間 に実 施 する こと を念 頭に 置く こと で、既 存の 語音 検査 と併 用に より 相互

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補完 的 に聴 覚 障害 幼児 の聴 取能 の発 達評 価を把 握す るた めの ツー ルの ひと つと して有効 であると思 われる。 (4)ま とめ 本研 究に おい て、67 式 20 単語了解度検査が 15/20 以上となった場合、聴能 マト リ クス テ スト を併 用す るこ とが 考え られる とと もに 、聴 能マ トリ クス テス トからオ ープンセッ トの文聴 取検査で ある語音 聴取評価 検査「CI2004(試案)」 の幼児用 オープンセ ット文検 査への移 行ライン の 35/40 の妥当性が認められた。 以上 か ら、 聴 能マ トリ クス テス トは 、既 存の語 音検 査と の併 用す るこ とで 相互 補完 的 に子 ど もの 聴取 能の 評価 が行 える ことが 可能 で、 単語 了解 度検 査か ら文 聴取検査 の「間」の 評価法と しての有 効性が認 められた 。

(40)

第 4 章

聾 学 校 に お け る 補 聴 時 の

聴 能 評 価 ( 語 音 検 査 ) の 実 施 状 況

参照

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