宇都宮大学教育学部教育実践紀要 第2号 2016年8月1日
住まいとまちづくりを考える教育活動のあり方に関する一考察
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―教員免許状更新講習の分析から―
陣内 雄次
*宇都宮大学教育学部
* 概要 本研究では、住まいとまち環境を対象とする教育活動のあり方を、教員免許状更新講習(2015年度実 施)の実践を通して検証した。家庭科における 実践的・体験的な学習活動 そのものがアクティブ・ラー ニングと親和性が高く、住まいとまち環境を考える教育活動においても、アクティブ・ラーニングの多様な 形態を取り入れたプログラムの開発と実践が重要であるということが指摘された。 キーワード:住まい、まちづくり、教育活動、教員免許状更新講習Yuji JINNOUCHI*: A Study on Educational Activity for Learning Housing and Community Design ‒A Case Study of the Teacher License Renewal Program ‒
Keywords :Housing, Community Design, Educational Activity, Teacher s License Update Lecture
Faculty of Education, Utsunomiya University (連絡先:[email protected]) 1.はじめに (1)研究の背景と目的 本研究は、住まいとまち環境を対象とする家庭科 の教育活動のあり方を、教員免許状更新講習の実践 を通して考察するものである。 2011年3月11日の東日本大震災からの復興、これ から起きうる震災に向けた対策の必要性も加わり、 住まいづくりやまちづくりに対する関心が高まって いる。双方のプロセスにおいて、子どもの成育環境 という視点が重要となる。なぜならば、住まいは日々 の生活の基礎基盤であり、また、これからのまちの 将来は子どもたちが担い、築き上げていくものであ るからである。そのような意味でも、子どもを対象 とした住まいとまちづくりに関する学びが一層重要 なのである[1]。 なお、家庭科と教員免許状更新講習との関連を対 象とする先行研究として、藤女子大学『家庭科・家 政教育研究』(2010)に収録されている家庭科にお ける消費者教育の課題に関する研究[2]、荒井、竹内、 松田、鈴木、綿引(2014)による家庭科教員の力量 形成を高める教員免許状更新講習のプログラム開発 を示した研究[3]などがある。 (2)まちづくり学習と家庭科教育 家庭科教育では「住まい」も重要な学びの対象で ある。より良い「住まい」にしていくには、それ単 体で検討することは不十分であり、周辺環境との関 わり、周辺環境の整備水準、コミュニティとの関連 などにも十分配慮しなければならない。「住む」と いうことは自分ひとりだけで成り立つものではな く、必ず家族や地域の人との関わりを考えなければ ならない。住居、そこに住まう人々が集まりまちを 形成し、ひいては地球環境と大きく関わっている。 つまり、「住まい」の学びにおいては、まちづくり という視点も重要なのである。例えば、『家庭基礎』 (開隆堂、2012年)の「第3章 住居と住環境」に は、都市計画の基本的な仕組みの一つである用途地 域制度、さらには、住民が参加してまちのルールを つくり、地区計画や建築協定等に関する記述がある (p.152)。また、『家庭総合』(開隆堂、2012年)の「第 3章 住まう」には、景観まちづくり、まちに求め られる施設、さまざまな地域とまち、住民参加のま ちづくり等に関する記述がある(pp.202−204)。『新 技術・家庭 家庭分野』(教育図書、2014年)には、 住領域での記述ではないが、低炭素なまちづくりの 紹介がある(p.266)。 「まちづくり学習」、「まち学習」、「住まい・まち 学習」、「環境学習」、「地域学習」など、まちづくり
学習に含まれる概念は様々ある。『「まちづくり学習」 と称されるものやそれに似た概念のものに共通して いえることは、「まち」に関わる事象や事柄、もの、 人などを題材とした実践的・体験的な学習形態をと るということである。実践的・体験的な学習形態と は、フィールドワーク、インタビュー調査、絵や模 型作り、グループ討論、ディベートなどである』[4]。 また、まちづくり学習は、単なる知識習得に終わら ず、子どもの生活の場である「まち」を題材として 学ぶ楽しさや学ぶ意味、思考の手立てなど学ぶ能力 の基礎を築く学習であり。そうした基礎 が発展し、課題発見・解決力、コミュニ ケーション力といった現代社会に必要と される力に結びついていくと考える。 以上を総括すれば、家庭科における 住まいの学びを住まい単体に留まらせる のではなく、そこからの学びをまち環境 へ広げ、また、まち環境に関する学びを 住まいの学びにフィードバックするとい う、双方向の学びの重要性を指摘できる。 2.アンケート調査からの考察 ここでは、2011年の教員免許状更新講 習において実施したアンケート調査結果を要約する とともに、まちづくり学習を家庭科教育に取り入れ る可能性について検証する[5]。 調査期間:2011年8月25日 調査対象:教職員免許状所持現職教員の更新講習 「住まいとまち環境を楽しく学ぶ」受講 者65名(小学校教諭55%、中学校教諭 11%、高校教諭15%、他19%) 配布回収:受講終了後回収(回収率100%) (1)住生活領域に関する授業実態 回答者65名は様々な専門の出身である。住生活領 域の授業実践の状況については、小学校教諭では 63.8%が家庭科の授業で行ったことがあり、中学校 教諭57.1%、高校教諭80.0%であった。 (2)まちづくり学習に対する回答者の評価 まちづくり学習の授業展開について質問した。そ の結果、住生活領域の授業経験者は、約40%が「難 しいと思う」という回答。ほとんど授業を行ってい ない回答者に難しいと回答した者はおらず、75%が 「できそうである」としていた。また、全く住生活 領域の授業を行ったことがない回答者も63.2%とポ ジティブな回答であった(図1)。このように、住 生活領域の経験の有無によって、まちづくり学習の 授業展開に対する評価が異なった。これは、実際に 授業を行ったからこそ分かる現実があるとのではな いか。それは、限られた授業時間数という点である と考える。限られた時間数の中で、まちづくり学習 というあまり経験のない授業を展開することに対し て、授業経験者は「難しいと思う」と回答したとも のと推察される。 (3)まちづくり学習の授業を自身の学校で行うこ とに対する回答者の意識 まちづくり学習に関する授業展開を自身の学校で 行うことに対して、小学校教諭は条件付きを含め「で きる」と回答した割合は合わせて88.9%であり、中 学校教諭71.4%、高校教諭50%であった。 いずれの回答者も「専門家のアドバイザーがいれ ばできる」割合が最も高く、外部の協力がまちづ くり学習の展開に影響していることが明らかになっ た。また、まちづくり学習が実現しやすくなると考 えられる方法について評価を求めたところ、「まち づくりの実践授業の見学」、「詳細な指導案の紹介」、 「まちづくり授業のビデオの貸し出し」など、具体 的な実践方法を短時間に分かりやすく修得できる内 容が支持される傾向にあった。 (4)まとめ これからまちづくり学習を学校教育、特に家庭科 教育で展開していくために、直接的な支援体制の明 確化、間接的な支援として、副読本や学習プログラ ムの開発が必要であると考える。小学校に比べ、中・ 図1 住領域の授業経験とまちづくり学習の授業展開[6]
高等学校ではまちづくり学習の展開は難しいという 結果であったが、少ない授業時間数の中でも効果的 で、かつ発達段階に合わせた学習プログラムを示す ことによりそのネガティブ要素を取り除けるのでは ないかと考える。 住教育・まちづくり学習は、知識を教えるのでは なく、考える力を重視するものである。素敵なまち はなぜ素敵だと感じる理由を考える、それだけでも 充分考える力がついてくるであろう。さらに私たち が生きていくために人とまちがどうつながっている かを考えていけば、人はまちをどう維持していくの かといった、他者とのつながりについて考えること にもなるであろう。 住教育を通して豊な暮らしをデザインする人を育 てることが、住教育の目標である。与えられた知識 を持っているだけではなく、知識を状況によっては 分解してつなげていく力を育み、真の教養や生きる 軸を得るのが住教育となると考える。 まちづくり学習によって、学ぶ楽しさや学びへの 挑戦の意味を子どもたちに体得させることができる といえる。子どもたちが、まちづくり学習を通して 未知の知識や体験に関心をもち、仲間と協力して学 ぶことの楽しさから、未経験の体験に挑戦するその 価値を体得することで、人生において学び続ける意 欲の基礎をつくることができるのではないだろうか。 3.実践からの考察 ここでは、2015年度に筆者が実施した教員免許状 更新講習の内容を紹介するとともに、受講者へのア ンケート結果や受講者の取組の状況などを検証する ことで、住まいとまちづくり学習のあり方について 考察する。なお、本講習の内容については、これま での講習の実践、上記の分析結果などを参考にし改 善を加えた。 (1) これまでの講習の概要 1)受講者 2009、2011、2013、2015年度に「住まいとまち環 境を楽しく学ぶ」(一日:9時∼ 16時30)を開講した。 主な受講対象者は、小・中・高等学校家庭科教諭で あり、受講者数は、18、65、67、31名であった。 2009年:18名(小学校教諭39%、中学校教諭22%、 高校教諭22%、他17%) 2011年:65名(小学校教諭55%、中学校教諭11%、 高校教諭15%、他19%) 2013年:67名(小学校教諭64%、中学校教諭19%、 高校教諭9%、他8%) 2015年:31名(小学校教諭48%、中学校教諭23%、 高校教諭16%、他13%) 2)概要 本講習の一貫した目的は以下のとおりである。 住居は生活空間であり、居住者の生命の安全を 保障し、外部の自然を調整し人間の生存にとっ て適切な環境を創り、家族生活の基礎としての 役割を果たしています。本講義では、住居と人 間生活やまち環境との関わりについて、児童生 徒が「持続可能性」という観点から楽しく学べ るコツやそのためのプログラムを考えます。 講習の構成は以下のとおりである。 【2009、2011、2013年度】 1.自己紹介 2.住まいとまちの基礎知識 ・主に講義 3.家政教育における住まいとまち環境 ・主に講義 4.住まいとまち環境の授業展開 ・講義と演習(一人一人の住まいづくり、 グループワークによるまちづくり) 5.発表と講評 6.質疑 【2015年度】 1.自己紹介 2.住まいとまちの基礎知識 ・主に講義 3.家政教育における住まいとまち環境 ・主に講義 4.住まいとまち環境の授業展開 写真1 まちづくりグループワークの発表と講評 (2011年8月25日、筆者撮影)
・主に講義 5.住まいとまち環境を楽しく学ぶ方法を体験 する ・主に演習(個人及びグループでのワーク) ・発表と共有 6.振り返りと質疑 (2)アンケート結果 講習に対する受講者の評価(「講習の効果に関す る事項」)は図2のとおりである。 本講習の内容・方法についての 総合的な評価、本講習を受講した最新の知識・技 能の習得の成果についての総合的な評価、本講習の 運用面(受講者数、会場、連絡等についての評価、 いずれも過去3回よりも20ポイント前後の向上を示 した。 (2)プログラムの分析 上記のとおり、2015年度の評価がいずれの項目 においても、過去3回よりも高い値を示している。 2015年度の講習では、それまでの「4.住まいとま ち環境の授業展開」の内容を大幅に変更している。 2009、2011、2013年度の講習では、講義と演習を一 括とし、演習に割く時間は2時間半程度であった。 2015年度講習では、2∼4のセッションを講義のみ とするとともに時間を短縮した。加えて、新たに「5. 住まいとまち環境を楽しく学ぶ方法を体験する」を 加え、そのセッションでは、アクティブ・ラーニン グを意識し、主に個人とグループによるワークとし、 各ワーク後に発表と共有の時間を設けた。加えて、 5のセッションでのグループワークのスムーズな進 行のため、「1.自己紹介」で参加者全員による自 己紹介及びグループ内での自己紹介の時間をとり、 グループワークへの意識を高めるようにした。 【2015年度プログラムの詳細内容】 1.ガイダンス、自己紹介 9時∼ 9時20 ①プログラムの説明 ②講師の自己紹介 ③参加者の自己紹介 ④グループ分け 2.住まいとまち環境の基礎知識 9時20 ∼ 10時 ・住まいとまち環境の重要性 ・人間関係など全てを含めた環境が持続可能性につ ながるという視点 3.家政教育における住まいとまち環境 10時∼ 10時25 ・家庭科における住まい学習の位置付け ・児童・生徒に身に付けてもらいたい住まい観 ・持続可能性と住教育の関係について 4.住まいとまち環境の授業展開 10時25 ∼ 10時50 <10時50 ∼ 11時>休憩 5.住まいとまち環境を楽しく学ぶ方法を体験す 11時∼ 15時40 (1)本セッションのガイダンス (2)アイスブレーク、チームビルディング 図2 講習に対する受講者の評価(2009 ∼ 2015年度)
(3)演習 演習① 付箋で見つける住まいのグッド、バッド、 微妙 普段意識していない住まいの空間を体験的に調査 し、グッド、バッド、微妙を確認。その体験から、 住まいに関心を持つきっかけとする。 ・ 大学施設内にて上記の評価軸を用い、受講者が 付箋を壁、床、備品などに貼り付けていく。 ・ 貼る際に、理由を記入 ・ 全体的な印象などについては別途ボードを用意 し、そのボードに貼付。 ・ 貼付された付箋の状況をデジタルカメラで撮影 し、講義室にて上映。なぜグッドなのか、バッ ドを改善するには何が必要なのかなどを考える。 演習② 「住まい」をテーマにウェビング ウェビングを用い、各グループで「住まい」や「住 教育」から広がる様々な関連性に気づく。 ・ 模造紙に各グループで実践し発表共有 演習③ あなたが大好きな人と一緒に暮らしたい 理想の住まいを考える 午前中の講義内容、演習①、②での気づきをいか しつつ、家族と住まいの関係を考える。 ・ 平面計画シールを用い各自で検討 ・ 各自の平面計画ができたらグループ内で発表共有 ・ 次に、画用紙に平面計画を配置し、敷地計画を 各自で検討 ・ それぞれのグループから発表 演習④ ちいさな理想のまちを考える 各自で検討し制作した住まいを、グループ毎に模 造紙に配置し、ちいさな理想のまちを考える。燐家 への配慮、「私→家族→隣近所→まち」という広が りの中でを住まい考える重要性への気づき。 ・ 最初に、グループ内で「理想のまち」とはどの ようなまちかを考える。 ・ そのようなまちにするにはどうしたらよいかを 話し合いながら、模造紙に配置する。 写真2 ワークの様子(2015年9月5日、筆者撮影) 写真3 観賞用プラントには多くのGOODが (2015年9月5日、筆者撮影) 図3 ウェビングの例 図4 理想の住まい(受講者作品例)
・ 隣同士が近すぎたらどうするのか、例えば、家 の配置を変更するのがよいのか、道路とのアク セスは、この小さなまちでみんなが仲良く暮ら していくには、今日的課題である地球温暖化や 高齢化・少子化に対応するにはなど様々な条件 設定をし、それに応じたまちを各グループで模 造紙の上に創っていく。 ・ 発表と共有 6.振り返りと質疑 15時40 ∼ 16時 4.おわりに 家庭科の目的を小中高校の校種別に以下に整理する。 小学校家庭科:「衣食住などに関する実践的・体 験的活動を通して、日常生活に必要な基礎的・ 基本的な知識及び技術を身に付けるとともに、 家庭生活を大切にする心情をはぐくみ、家族の 一員として生活をよりよくしようとする実践的 な態度を育てる。」[7] 中学校の技術・家庭科における家庭分野:「衣食 住などに関する実践的・体験的な学習活動を通 して、生活の自立に必要な基礎的・基本的な知 識及び技術を習得するとともに、家庭の機能に ついて理解を深め、これからの生活を展望して、 課題をもって生活をよりよくしようとする能力 と態度を育てる。」[8] 高等学校・家庭基礎:「人の一生と家族・家庭及び 福祉、衣食住、消費生活などに関する基礎的・ 基本的な知識と技術を習得させ、家庭や地域の 生活課題を主体的に解決するとともに、生活の充 実向上を図る能力と実践的な態度を育てる。」[9] 生活をよりよくしようとする実践的な態度を育 てる ことが小中高校の家庭科における統一した目 的であり、そのために 実践的・体験的な学習活動 や 技術の習得 に重きが置かれていることが分かる。 一方、大学教育でも導入が奨励されているアク ティブ・ラーニングとは、「教員による一方向的な 講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修 への参加を取り入れた教授・学習法の総称」であり、 「教室内でのグループ・ディスカッション、ディベー ト、グループ・ワーク等も有効なアクティブ・ラー ニグの方法である」と、中教審答申に紹介されてい る[10]。山地(長崎大学大学教育イノベーションセ ンター)は、アクティブ・ラーニングについて以下 のように述べている。 アクティブ・ラーニングとは、「思考を活性化す る」学習形態を指します。例えば、実際にやって みて考える、意見を出し合って考える、わかりや すく情報をまとめ直す、応用問題を解く、などい ろいろな活動を介してより深くわかるようになる ことや、よりうまくできるようになることを目指 すものです[11]。つまり、家庭科における 実践的・ 体験的な学習活動 そのものが、アクティブ・ラー 写真5 理想のまち(2015年9月5日、筆者撮影) 写真6 理想のまち(2015年9月5日、筆者撮影) 写真7 理想のまちの発表と相互講評 (2015年9月5日、筆者撮影)
ニングの実践ということができる。 加えて、山地はアクティブ・ラーニングの形態 を次図のように示している[12]。 図5に示してあるアクティブ・ラーニングの形態 を参考にしながら、本論の分析対象である2015年度 教員免許状更新講習「住まいとまち環境を楽しく学 ぶ」が、過去3回の講習よりも受講者の満足度が高 くなったのかを検証する。(以下、[ ]は図5の形 態を示す。) 【1.ガイダンス、自己紹介】 本講習の導入として、受講者全員で自己紹介する ワーク(バースデー・サークル)を行い、リラック スして参加できるよう心がけた[プレゼンテーショ ン]。また、演習時からグループに分けるのではなく、 講習開始時よりグループに分けるとともにグループ 内自己紹介を行うことで、グループで取り組むこと へのモチベーションを高めた。[グループ学習] 【2.住まいとまち環境の基礎知識】 【3.家政教育における住まいとまち環境】 【4.住まいとまち環境の授業展開】 セッション2、3、4は筆者による講義が中心の セッションであるが、セッション終了時に各グルー プで、本セッションでの学びに関する振り返りの ディスカッションをしてもらった。[振り返り] 【5.住まいとまち環境を楽しく学ぶ方法を体験 する】 本セッションは演習が中心のセッションである。 過去3回よりも2時間程長くし、個人及びグループ によるワークに集中して取り組めるようにした[演 習、グループ学習]。 各演習において各グループから発表、相互講評す るとともに、各演習の終了時に質問を受けるように した[振り返り、プレゼンテーション]。 なお、本講習の実施に当たって、プログラムの検 討、資料作成、備品等の準備、会場の検討、予行演 習等かなりの時間と労力を投入した。受講者の満足 度が高まった背景にはそのような基本的なこともあ るだろうが、アクティブ・ラーニングの形態を取り 入れたプログラムと実践が重要な要素であったと考 えられる。 既述のように、家庭科における 実践的・体験的 な学習活動 そのものがアクティブ・ラーニングと 親和性が高いことから、住まいとまちづくりを考え る教育活動においても、アクティブ・ラーニングの 多様な形態を取り入れたプログラムの開発と実践が 重要であるということが指摘できる。 最後になりますが、TAとして熱心に取り組んで 図5 アクティブ・ラーニングの形態 写真8 バースデー・サークルで全員の自己紹介 (2015年9月5日、筆者撮影) 写真9 グループ・ワークの様子 (2015年9月5日、筆者撮影)
くださった須田栞さん(講習当時:宇都宮大学教育 学部家政教育専攻4年)、本稿のとりまとめをサポー トいただいた上田由美子さん(子どもの居場所駄菓 子屋「 ん坊」マネージャー)への感謝の意を表し ます。 【補注及び参考・引用文献】 [1] 汐見稔幸によると、「教育とは、どんな社会を つくるのかというところに帰着し、教育学はつまる ところまちづくりであり、社会づくりなのである」 という。(住宅総合研究財団・住教育委員会編著『矢 根のない学校』萌文社、2011) [2]「平成21年度公印免許状更新講習 選択領域・家 庭科 家庭科における消費者教育の課題」『家庭科・ 家政教育研究』、藤女子大学家庭科・家政教育研究会、 2010、pp.91−98 [3]荒井紀子、竹内惠子、松田淑子、鈴木真由子、綿 引伴子「問題解決リテラシーにかかわる家庭科教員 の力量形成 ―教員免許状更新講習におけるプログ ラム開発とその検証―」『日本家庭科教育学会誌』 57(3)、2014年、pp.152−163 [4]高木真理『家庭科教育におけるまちづくり学習の 可能性』、宇都宮大学教育学部修士論文、2001 [5]陣内雄次、上田由美子、渡邊真弓「家庭科教育と まちづくり学習に関する一考察」『宇都宮大学教育 学部紀要』第62号第1部、2012 [6]前掲[5]、p.181 [7]文部科学省『小学校学習指導要領解説』東洋館出 版社、2008 [8]文部科学省『中学校学習指導要領解説 技術・家 庭編』教育図書、2008 [9]文部科学省『高等学校学習指導要領解説 家庭編』 開隆堂、2008 [10]中央教育審議会「新たな未来を築くための大学 教育の質的転換に向けて ―生涯学び続け、主体的 に考える力を育成する大学へ―」用語集、2012 [11]山地弘起「特集アクティブ・ラーニングの実質 化に向けて アクティブ・ラーニングとはなにか」 http://www.juce.jp/LINK/journal/1403/02_01.html (2016/3/7アクセス) [12]前掲[11] 平成28年 3月 8日 受理