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スルフェニルカチオンの特性を活かした各種求電子置換反応

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Academic year: 2021

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スルフェニルカチオンの特性を活かした各種求電子

置換反応

著者

井澤 章太郎

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2017 年度修士論文要旨

スルフェニルカチオンの特性を活かした各種求電子置換反応

関西学院大学理工学研究科 化学専攻 田辺研究室 井澤 章太郎 1. クロロカルボニルスルフェニルクロリド (CCSC) 反応剤を利用する 2(3H)-ベンゾチアゾ ール-2-オン類の合成展開 2(3H)-ベンゾチアゾール-2-オンは,抗イネいもち病殺 菌剤 Chlobenthiazone や選択的除草剤 Benazolin といった 安価で大量合成可能な農薬,医薬 Tiaramide, 天然物 (±)-Mevashuntin に含有される重要 S,N-含有ヘテロ環で ある(Scheme 1)。なかでも 4-位置換 2(3H)-ベンゾチアゾ ール-4-オンの合成は,その連続 ortho-三置換基による立 体的嵩高さのため,格別に合成困難である。市販または 大量合成可能でユニークな二官能性反応剤である,クロ ロカルボニルスルフェニルクロリド(ClCOSCl :略称 CCSC)を利用する 2(3H)-ベンゾチアゾール-2-オン類を活用する Chlobenthiazone および Benazolin の短段階合成法1) のさらなる展開を検討した。 プローブ基質として Chlobenthiazone やその類縁体を選び,還元,加水分解,さらに新規な 鈴木-宮浦クロスカップリング,Buckwald-Hartwig クロスカップリングが首尾よく進行するこ とを見出した(Scheme 2)。さらに,触媒系の探索の結果,宮浦-石山ボリル化が進行するこ とが分かり,新規な鈴木-宮浦クロスカップリング反応剤を創出することができた2)

(3)

2. 位置選択的求電子チオシアナト化反応 チオシアナート(R-SCN)は様々な含イオウ化合物に変換可能な有用な化合物である。 [SCN]‒ の求核置換反応を利用する方法が一般的であるが,著者はスルフェニルカチオン種 [SCN]+ を用いるチオシアナト化反応を検討した。当研究室では,炭素-ヘテロ原子結合の効 率的活性化に基づき,市販または調整容易な TMS-NCS と安価な SO2Cl2 をを酸化剤として 用いる,アルデヒド・ケトン・エポキシド化合物のカチオン的またはアニオン的な位置選択 的チオシアナト化反応を報告している3) 。 著者はさらなる展開として,芳香族化合物に対する求電子的チオシアナト化反応を検討し た。その結果,電子供与基を有するベンゼン類縁体に,市販で安価な反応剤 NH4SCN / SO2Cl2 反応剤を作用させると,従来法と比べ高収率,短時間で電子供与基を有するアリールチオシ アナートが得られた(Scheme 3)。 次に,アリールシラン・アリールスズを基質とする ipso-型位置選択的チオシアナト化を検 討した。その結果,芳香族化合物に TMS- 基を導入することで,para-位選択性だけでなく, 反応性も有意に向上した。また,電子供与基を有する芳香族化合物に限って,ortho-位および meta-位に位置制御を行ってチオシアナト基を導入す ることに成功した。 さらに,脂肪族ビニルシラン・ビニルスタナン基質 を用いる位置選択的チオシアナト化も検討した。その 結果,基質一般性は確立していないが,ipso-型反応が (E)-, (Z)-立体保持で進行する場合もあった。アルキニ ルシラン・スタナン基質では,予期に反して付加反応 が進行した。 一方,反応性の高いアリルシランを基質とすると,チオシアナト化またはイソチオシアナ ト化反応(-NCS 化)が進行するという興味深い結果を得た(Scheme 4)。

1) Tanabe, Y, et al. Bull. Chem. Soc. Jpn. 1983, 56, 1255.

2) Izawa, S.; Nakatsuji, H.; Tanabe, Y. Molbank 2018, M976 (communication, invited, special issue of “Heterocycles”).

参照

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